特許第5655339号(P5655339)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5655339
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20141225BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20141225BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
   H01L25/04 C
   H01L23/36 Z
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2010-73044(P2010-73044)
(22)【出願日】2010年3月26日
(65)【公開番号】特開2011-205020(P2011-205020A)
(43)【公開日】2011年10月13日
【審査請求日】2013年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】町田 修
(72)【発明者】
【氏名】猪澤 道能
【審査官】 中野 浩昌
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−088046(JP,A)
【文献】 特開2002−368121(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/041682(WO,A1)
【文献】 特開2000−269354(JP,A)
【文献】 特開2001−308263(JP,A)
【文献】 特開2005−217072(JP,A)
【文献】 特開2003−332518(JP,A)
【文献】 特開平08−140341(JP,A)
【文献】 特開2002−217416(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0095729(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/00−25/18
H01L 23/34−23/473
H02M 7/42− 7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有し第1リードを介して直流電源の一端に接続され、前記第1リードの厚さよりも厚い第1のダイパッドと、
導電性を有し第2リードを介して前記直流電源の他端に接続され、前記第2リードの厚さよりも厚いる第2のダイパッドと、
前記第1のダイパッド上に配設され、この第1のダイパッド側から前記直流電源が供給され、前記第1のダイパッド側と反対側の端子が第1の出力端子に接続される第1のスイッチング素子と、
前記第2のダイパッド上に配設され、この第2のダイパッド側から前記直流電源が供給され、前記第2のダイパッド側と反対側の端子が前記第1の出力端子に接続される第2のスイッチング素子と、
を備え
前記第1のスイッチング素子は、前記第1のダイパッド側に形成され前記直流電源が供給される第1の主電極と、この第1の主電極と反対側に配設され前記第1の出力端子に接続される第2の主電極とを有し、前記第1のダイパッドの表面に対して垂直方向に電流が流れる縦型構造を備え、
前記第2のスイッチング素子は、前記第2のダイパッド側に形成され前記直流電源が供給される基板電極と、この基板電極と反対側に配設され前記基板電極と電気的に接続される第3の主電極及び前記第1の出力端子に接続される第4の主電極とを有し、前記第2のダイパッドの表面に対して水平方向に電流が流れる横型構造を備えていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記直流電源の一端は高電位側の一端であり、前記直流電源の他端は低電位側の一端であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2のスイッチング素子の前記第3の主電極は接続配線を通して前記基板電極に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1のダイパッド及び前記第2のダイパッドに配設された放熱体を更に備え、
前記第1のダイパッドと前記放熱体との間、又は前記第2のダイパッドと前記放熱体との間の少なくともいずれか一方に絶縁体が配設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1のスイッチング素子の前記第1の主電極と前記第2の主電極との間に電気的に並列に接続された第1のダイオードと、
前記第2のスイッチング素子の前記第3の主電極と前記第4の主電極との間に電気的に並列に接続された第2のダイオードとを更に備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特にダイパッド上に搭載されたスイッチング素子を用いてブリッジ回路を構築した半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家電用製品や産業用製品を問わず、空調機のコンプレッサ、洗濯機のドラム、ポンプ等に組み込まれるモータの駆動制御には三相モータ駆動用半導体装置が使用されている。下記特許文献1の図3及びその説明箇所には三相モータ駆動用半導体装置の駆動回路が開示されている。駆動回路においては、高レベル側(ハイサイド(H-side))のスイッチング素子と低レベル側(ロウサイド(L-side))のスイッチング素子とを直列に接続したハーフブリッジ回路をU相、V相、W相の三相分備え、この三相分のハーフブリッジ回路が電気的に並列に接続されている。つまり、駆動回路は合計6個のスイッチング素子により構成されている。高レベル側のスイッチング素子は、直流電源の一端(高電圧側の固定電位)に各々のドレイン電極を電気的に並列に接続し、U相、V相、W相の各々の出力端子にソース電極を電気的に並列に接続している。低レベル側のスイッチング素子は、U相、V相、W相の各々の出力端子にドレイン電極を電気的に並列に接続し、直流電源の他端(低電圧側の固定電位)に各々のソース電極を電気的に並列に接続している。
【0003】
下記特許文献2には、三相モータ駆動用に好適な半導体装置の具体的なデバイス構造が開示されている。この半導体装置は、1つのドレインリード上にハイサイドのスイッチング素子として縦型構造のパワーMOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)を搭載し、他の1つのドレインリード上にロウサイドのスイッチング素子として同一の縦型構造のパワーMOSFETを搭載している。ハイサイドのパワーMOSFETは半導体チップの裏面側にドレイン電極を有し、このドレイン電極にはドレインリードを通して直流電源の一端固定が接続されている。また、ハイサイドのパワーMOSFETは半導体チップの表面側にソース電極を有し、このソース電極は、ワイヤ及びソースリードを通して出力端子に接続されるとともに、ロウサイドのドレインリードに接続されている。一方、ロウサイドのパワーMOSFETは同様に半導体チップの裏面側にドレイン電極を有し、このドレイン電極はドレインリードを通して出力端子に接続される。また、ロウサイドのパワーMOSFETは半導体チップの表面側にソース電極を有し、このソース電極にはワイヤ及びソースリードを通して直流電源の他端に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−348874号公報
【特許文献2】特開2009−130055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記技術文献2に開示された半導体装置においては、以下の点について配慮がなされていなかった。ドレインリードは放熱板上に設置され、パワーMOSFETの動作により発生する熱を有効に放熱する放熱板としての機能を有する。ハイサイドのドレインリードには直流電源の一端が接続され、このドレインリードには固定電位が印加されることになるので、ドレインリードのサイズを大きくして放熱効率を高めることができる。
【0006】
ところが、ロウサイドのドレインリードは出力端子に接続され、このドレインリードには変動電位が印加されることになるので、放熱性を高めるためにドレインリードのサイズを大きくすると、ノイズや寄生容量が増大する。ノイズの増大は誤動作の発生確率を高め、寄生容量の増大は動作速度を遅くする。ロウサイドのパワーMOSFETのドレインリードと放熱板との間を絶縁すれば、ノイズの影響を抑えることができる。しかしながら、絶縁することによりパワーMOSFETから発生した熱の放熱板への熱抵抗が増大し、放熱効率を高めることが難しい。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものである。従って、本発明は、ブリッジ回路を構築するハイサイド及びロウサイドの双方のスイッチング素子の放熱効率を向上しつつ、ノイズの発生及び寄生容量を減少することができ、誤動作を防止し動作速度の高速化を実現することができる半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の実施例に係る第1の特徴は、半導体装置において、導電性を有し第1リードを介して直流電源の一端に接続され、前記第1リードの厚さよりも厚い第1のダイパッドと、導電性を有し第2リードを介して直流電源の他端に接続され、前記第2リードの厚さよりも厚い第2のダイパッドと、第1のダイパッド上に配設され、この第1のダイパッド側から直流電源が供給され、第1のダイパッド側と反対側の端子が第1の出力端子に接続される第1のスイッチング素子と、第2のダイパッド上に配設され、この第2のダイパッド側から直流電源が供給され、第2のダイパッド側と反対側の端子が第1の出力端子に接続される第2のスイッチング素子とを備え、前記第1のスイッチング素子は、前記第1のダイパッド側に形成され前記直流電源が供給される第1の主電極と、この第1の主電極と反対側に配設され前記第1の出力端子に接続される第2の主電極とを有し、前記第1のダイパッドの表面に対して垂直方向に電流が流れる縦型構造を備え、前記第2のスイッチング素子は、前記第2のダイパッド側に形成され前記直流電源が供給される基板電極と、この基板電極と反対側に配設され前記基板電極と電気的に接続される第3の主電極及び前記第1の出力端子に接続される第4の主電極とを有し、前記第2のダイパッドの表面に対して水平方向に電流が流れる横型構造を備えている
【0009】
第1の特徴に係る半導体装置において、直流電源の一端は高電位側の一端であり、直流電源の他端は低電位側の一端であることが好ましい。
【0010】
第1の特徴に係る半導体装置において、第1のスイッチング素子は、第1のダイパッド側に形成され直流電源の一方が供給される第1の主電極と、この第1の主電極と反対側に配設され第1の出力端子に接続される第2の主電極とを有し、第1のダイパッドの表面に対して垂直方向に電流が流れる縦型構造を備え、第2のスイッチング素子は、第2のダイパッド側に形成され直流電源の他方が供給される基板電極と、この基板電極と反対側に配設され直流電源の他方が供給される第3の主電極及び第1の出力端子に接続される第4の主電極とを有し、第2のダイパッドの表面に対して水平方向に電流が流れる横型構造を備えていることが好ましい。
【0011】
第1の特徴に係る半導体装置において、第2のスイッチング素子の第3の主電極は接続配線を通して基板電極に電気的に接続されていることが好ましい。
【0012】
第1の特徴に係る半導体装置において、第1のダイパッド及び第2のダイパッドに配設された放熱体を更に備え、第1のダイパッドと放熱体との間、又は第2のダイパッドと放熱体との間の少なくともいずれか一方に絶縁体が配設されていることが好ましい。
【0013】
第1の特徴に係る半導体装置において、第1のスイッチング素子の第1の主電極と第2の主電極との間に電気的に並列に接続された第1のダイオードと、第2のスイッチング素子の第3の主電極と第4の主電極との間に電気的に並列に接続された第2のダイオードとを更に備えることが好ましい。
【0015】
第2の特徴に係る半導体装置において、第2のスイッチング素子、第4のスイッチング素子及び第6のスイッチング素子は1つの共通基板に一体に構成されていることが好ましい。
【0016】
第1の特徴又は第2の特徴に係る半導体装置において、第1のスイッチング素子、又は第1のスイッチング素子、第3のスイッチング素子及び第5のスイッチング素子はシリコン半導体素子であり、第2のスイッチング素子、又は第2のスイッチング素子、第4のスイッチング素子及び第6のスイッチング素子は化合物半導体素子であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ブリッジ回路を構築するハイサイド及びロウサイドの双方のスイッチング素子の放熱効率を向上しつつ、ノイズの発生及び寄生容量を減少することができ、誤動作を防止し動作速度の高速化を実現することができる半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例1に係る半導体装置に搭載されたロウサイドの半導体素子の要部断面図である。
図2】実施例1に係る半導体装置に搭載されたハイサイドの半導体素子の要部断面図である。
図3】実施例1に係る半導体装置の平面図である。
図4図1に示す半導体装置を組み込んだ三相モータ駆動システムの回路図である。
図5】本発明の実施例1の変形例に係る半導体装置に搭載されたロウサイドの半導体素子の要部断面図である。
図6】本発明の実施例2に係る半導体装置に搭載されたロウサイドの半導体素子の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、図面を参照して、本発明の実施例を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0020】
また、以下に示す実施例はこの発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0021】
(実施例1)
本発明の実施例1は、高圧三相モータ駆動システムに組み込まれる半導体装置に本発明を適用した例を説明するものである。
【0022】
[三相モータ駆動システムの構成]
図4に示すように、本発明の実施例1に係る半導体装置1は、高圧三相モータ駆動システム5に組み込まれ、この高圧三相モータ駆動システム5を構築する。高圧三相モータ駆動システム5は、半導体装置1と、この半導体装置1に直流電流を供給する直流電源2と、半導体装置1により駆動される三相電動モータ3とを備えている。また、図4において図示は省略するが、実施例1において高圧三相モータ駆動システム5には、半導体装置1の第1のスイッチング素子SW1−SW6の駆動制御を行うコントローラが含まれる。ここでは、コントローラは半導体装置1に内蔵されている。なお、コントローラは半導体装置1の外付けデバイスとして構築してもよい。
【0023】
半導体装置1は、合計6個の第1のスイッチング素子SW1、第2のスイッチング素子SW2、第3のスイッチング素子SW3、第4のスイッチング素子SW4、第5のスイッチング素子SW5及び第6のスイッチング素子SW6と、合計6個の第1のダイオード素子D1、第2のダイオード素子D2、第3のダイオード素子D3、第4のダイオード素子D4、第5のダイオード素子D5及び第6のダイオード素子D6とを備えている。
【0024】
第1のスイッチング素子SW1はハイサイド(高レベル側)のスイッチング素子、第2のスイッチング素子SW2はロウサイド(低レベル側)のスイッチング素子である。この第1のスイッチング素子SW1及び第2のスイッチング素子SW2は、対をなし、ハーフブリッジ回路を構築する。
【0025】
第1のスイッチング素子SW1の一方の第1の主電極(例えばドレイン電極又はコレクタ電極)は直流電源2の高電位(+)側の一端に接続され、他方の第2の主電極(例えばソース電極又はエミッタ電極)は第1の出力端子P7に接続される。第1の出力端子P7は三相電動モータ3のU相駆動電圧出力端子である。第1のスイッチング素子SW1の制御電極(例えばゲート電極又はベース電極)は制御信号入力端子P1に接続される。第1のスイッチング素子SW1の第1の主電極と第2の主電極との間には、第1の主電極にカソード電極が接続され、第2の主電極にアノード電極が接続された第1のダイオードD1が電気的に並列に接続されている。この第1のダイオードD1は回生ダイオードとしての機能を有する。
【0026】
第2のスイッチング素子SW2の一方の第3の主電極(例えばソース電極又はエミッタ電極)は直流電源2の低電位(−)側の他端に接続され、他方の第4の主電極(例えばドレイン電極又はコレクタ電極)は第1のスイッチング素子SW1の第2の主電極に接続され第1の出力端子P7に接続される。第2のスイッチング素子SW2の制御電極(例えばゲート電極又はベース電極)は制御信号入力端子P2に接続される。第2のスイッチング素子SW2の第3の主電極と第4の主電極との間には、第3の主電極にアノード電極が接続され、第4の主電極にカソード電極が接続された第2のダイオードD2が電気的に並列に接続されている。この第2のダイオードD2は第1のダイオードD1と同様に回生ダイオードとしての機能を有する。
【0027】
第3のスイッチング素子SW3はハイサイドのスイッチング素子、第4のスイッチング素子SW4はロウサイドのスイッチング素子である。この第3のスイッチング素子SW3及び第4のスイッチング素子SW4は、対をなし、ハーフブリッジ回路を構築する。
【0028】
第3のスイッチング素子SW3の一方の第5の主電極(例えばドレイン電極又はコレクタ電極)は直流電源2の高電位(+)側の一端に接続され、他方の第6の主電極(例えばソース電極又はエミッタ電極)は第2の出力端子P8に接続される。第2の出力端子P7は三相電動モータ3のV相駆動電圧出力端子である。第3のスイッチング素子SW3の制御電極(例えばゲート電極又はベース電極)は制御信号入力端子P3に接続される。第3のスイッチング素子SW3の第5の主電極と第6の主電極との間には、第5の主電極にカソード電極が接続され、第6の主電極にアノード電極が接続された第3のダイオードD3が電気的に並列に接続されている。この第1のダイオードD3は第1のダイオードD1と同様に回生ダイオードとしての機能を有する。
【0029】
第4のスイッチング素子SW4の一方の第7の主電極(例えばソース電極又はエミッタ電極)は直流電源2の低電位(−)側の他端に接続され、他方の第8の主電極(例えばドレイン電極又はコレクタ電極)は第3のスイッチング素子SW3の第6の主電極に接続され第2の出力端子P8に接続される。第4のスイッチング素子SW4の制御電極(例えばゲート電極又はベース電極)は制御信号入力端子P4に接続される。第4のスイッチング素子SW4の第7の主電極と第8の主電極との間には、第7の主電極にアノード電極が接続され、第8の主電極にカソード電極が接続された第4のダイオードD4が電気的に並列に接続されている。この第4のダイオードD4は第1のダイオードD1と同様に回生ダイオードとしての機能を有する。
【0030】
第5のスイッチング素子SW5はハイサイドのスイッチング素子、第6のスイッチング素子SW6はロウサイドのスイッチング素子である。この第5のスイッチング素子SW5及び第6のスイッチング素子SW6は、対をなし、ハーフブリッジ回路を構築する。
【0031】
第5のスイッチング素子SW5の一方の第9の主電極(例えばドレイン電極又はコレクタ電極)は直流電源2の高電位(+)側の一端に接続され、他方の第10の主電極(例えばソース電極又はエミッタ電極)は第3の出力端子P9に接続される。第3の出力端子P9は三相電動モータ3のW相駆動電圧出力端子である。第5のスイッチング素子SW5の制御電極(例えばゲート電極又はベース電極)は制御信号入力端子P5に接続される。第5のスイッチング素子SW5の第9の主電極と第10の主電極との間には、第9の主電極にカソード電極が接続され、第10の主電極にアノード電極が接続された第5のダイオードD5が電気的に並列に接続されている。この第5のダイオードD5は第1のダイオードD1と同様に回生ダイオードとしての機能を有する。
【0032】
第6のスイッチング素子SW6の一方の第11の主電極(例えばソース電極又はエミッタ電極)は直流電源2の低電位(−)側の他端に接続され、他方の第12の主電極(例えばドレイン電極又はコレクタ電極)は第5のスイッチング素子SW5の第10の主電極に接続され第3の出力端子P9に接続される。第6のスイッチング素子SW6の制御電極(例えばゲート電極又はベース電極)は制御信号入力端子P6に接続される。第6のスイッチング素子SW6の第11の主電極と第12の主電極との間には、第11の主電極にアノード電極が接続され、第12の主電極にカソード電極が接続された第6のダイオードD6が電気的に並列に接続されている。この第6のダイオードD6は第1のダイオードD1と同様に回生ダイオードとしての機能を有する。
【0033】
第1の出力端子P7、第2の出力端子P8及び第3の出力端子P9は三相電動モータ3に接続される。三相電動モータ3はこれら第1の出力端子P7、第2の出力端子P8及び第3の出力端子P9から出力される駆動信号に従って駆動される。
【0034】
[半導体装置のデバイス構造]
前述の高圧三相モータ駆動システム5に組み込まれる半導体装置1は、図3に示すように、導電性を有し直流電源2の一端(ここでは高電位側)に接続される第1のダイパッド11と、導電性を有し直流電源2の他端(ここでは低電位側)に接続される第2のダイパッド12と、第1のダイパッド11上に配設され、この第1のダイパッド11側から直流電源2が供給され、第1のダイパッド11側と反対側の主電極(端子)が第1の出力端子P7に接続される第1のスイッチング素子SW1を有する半導体素子21(SW1)と、第1のダイパッド11上に配設され、この第1のダイパッド11側から直流電源2が供給され、第1のダイパッド11側と反対側の主電極(端子)が第2の出力端子P8に接続される第3のスイッチング素子SW3を有する半導体素子21(SW3)と、第1のダイパッド11上に配設され、この第1のダイパッド11側から直流電源2が供給され、第1のダイパッド11側と反対側の主電極(端子)が第3の出力端子P9に接続される第5のスイッチング素子SW5を有する半導体素子21(SW5)と、第2のダイパッド12上に配設され、この第2のダイパッド12側から直流電源2が供給され、第2のダイパッド12側と反対側の主電極(端子)が第1の出力端子P7に接続される第2のスイッチング素子SW2を有する半導体素子22(SW2)と、第2のダイパッド12上に配設され、この第2のダイパッド12側から直流電源2が供給され、第2のダイパッド12側と反対側の主電極(端子)が第2の出力端子P8に接続される第4のスイッチング素子SW4を有する半導体素子22(SW4)と、第2のダイパッド12上に配設され、この第2のダイパッド12側から直流電源2が供給され、第2のダイパッド12側と反対側の主電極(端子)が第3の出力端子P9に接続される第6のスイッチング素子SW6を有する半導体素子22(SW6)とを備えている。
【0035】
更に、半導体装置1は、第3のダイパッド15と、この第3のダイパッド15上に配設された半導体素子25と、第4のダイパッド16と、この第4のダイパッド16上に配設された半導体素子26と、第5のダイパッド17と、この第5のダイパッド17上に配設された半導体素子27と、第6のダイパッド18と、この第6のダイパッド18上に配設された半導体素子28とを備えている。これらの第1のダイパッド11、第2のダイパッド12、第3のダイパッド15−第6のダイパッド18、半導体素子21、22、25−28は封止体32内に気密封止されている。半導体素子25−28にはコントローラを備えている。
【0036】
第1のダイパッド11は、ハイサイドの第1のスイッチング素子SW1、第3のスイッチング素子SW3及び第5のスイッチング素子SW5のそれぞれを有する3つの半導体素子21に共通の(一体化された)ダイパッドである。ここでは、図3中、第1のダイパッド11はX方向(第1の方向)に細長い帯状の平面形状を有する。3つの半導体素子21は、必ずしもこの配列形態に限定されるものではないが、X方向に一定間隔を持って直線上に配列されている。また、図3中、右側において、第1のダイパッド11はリード11Rの一端に一体に構成され(電気的に接続され)、このリード11Rの他端は封止体32の内部から外部にY方向(第2の方向)に向かって延在している。このリード11Rには直流電源2の一端が接続されるようになっている。第1のダイパッド11は前述のように導電性を有し、熱抵抗値が小さく放熱性に優れた例えばCu、Cu合金、Fe−Ni合金等の金属板により構成されている。第1のダイパッド11の厚さは、放熱性を高めるために、リード11Rに比べて厚く設定されている。
【0037】
第2のダイパッド12は、ロウサイドの第2のスイッチング素子SW2、第4のスイッチング素子SW4及び第6のスイッチング素子SW6のそれぞれを有する3つの半導体素子22に共通の(一体化された)ダイパッドである。同様に、第2のダイパッド12はX方向に細長い帯状の平面形状を有する。また、3つの半導体素子22は、X方向に一定間隔を持って直線上に配列されている。図3中、左側において、第2のダイパッド12はリード12Rの一端に一体に構成され(電気的に接続され)、このリード12Rの他端は封止体32の内部から外部にY方向に向かって延在している。このリード12Rには直流電源2の他端が接続されるようになっている。第2のダイパッド12の材料や厚さは第1のダイパッド11の材料や厚さと同様である。
【0038】
図3中、下側には、封止体32の内部から外部にY方向に向かってリード13RU1、リード13RV1及びリード13RW1が延在されている。リード13RU1は第1の出力端子P7として使用され、リード13RV1は第2の出力端子P8として使用され、リード13RW1は第3の出力端子P9として使用される。これらのリード13RU1、リード13RV1及びリード13RW1は、第1のダイパッド11及び第2のダイパッド12の材料と同一材料により構成されるとともに、第1のダイパッド11及び第2のダイパッド12の厚さよりも薄い厚さに設定されている。
【0039】
また、図3中、上側には、封止体32の内部にX方向に向かってリード13RU2、リード13RV2及びリード13RW2が延在されている。リード13RU2は、半導体素子21(SW1)の第1のスイッチング素子SW1の第2の主電極と半導体素子22(SW2)の第2のスイッチング素子SW2の第4の主電極との間の電気的な結線を行い、これらの主電極を第1の出力端子P7に接続するための補助配線として機能する。リード13RV2は、半導体素子21(SW3)の第3のスイッチング素子SW3の第6の主電極と半導体素子22(SW4)の第4のスイッチング素子SW4の第8の主電極との間の電気的な結線を行い、これらの主電極を第2の出力端子P8に接続するための補助配線として機能する。リード13RW2は、半導体素子21(SW5)の第5のスイッチング素子SW5の第10の主電極と半導体素子22(SW6)の第6のスイッチング素子SW6の第12の主電極との間の電気的な結線を行い、これらの主電極を第3の出力端子P9に接続するための補助配線として機能する。これらのリード13RU2、リード13RV2及びリード13RW2の材料や厚さはリード13RU1、リード13RV1及びリード13RW1の材料や厚さと同様に設定されている。
【0040】
図3中、下側に配置されている。第3のダイパッド15上に配設される半導体素子25に備えた図示しないコントローラは、半導体素子21(SW1)の第1のスイッチング素子SW1の図4に示す制御信号入力端子P1に接続される。第4のダイパッド16上に配設される半導体素子26に備えた図示しないコントローラは、半導体素子21(SW3)の第3のスイッチング素子SW3の制御信号入力端子P3に接続される。第5のダイパッド17上に配設される半導体素子27に備えた図示しないコントローラは、半導体素子21(SW5)の第5のスイッチング素子SW5の制御信号入力端子P5に接続される。
【0041】
第6のダイパッド18は、図3中、下側に配置されている。第6のダイパッド18上に配設される半導体素子28に備えた図示しないコントローラは、半導体素子22(SW2)の第2のスイッチング素子SW2の制御信号入力端子P2、半導体素子22(SW4)の第4のスイッチング素子SW4の制御信号入力端子P4、半導体素子22(SW6)の第6のスイッチング素子SW6の制御信号入力端子P6にそれぞれ接続される。
【0042】
また、第3のダイパッド15−第6のダイパッド18のそれぞれの周囲には複数本のリード19Rの一端が配設されている。このリード19Rの他端は、封止体32内に適切に引き回され、封止体32の内部から外部にY方向に向かって延在されている。
【0043】
封止体32内部における結線には接続配線31が使用されている。接続配線31は実施例1においてワイヤが使用される。ワイヤには例えばAuワイヤ、Alワイヤ、Cuワイヤ等の導電性に優れた材料が使用され、ワイヤはワイヤボンディング装置を用いてボンディングを行っている。
【0044】
封止体32にはここでは樹脂封止体が使用される。この樹脂封止体には例えばエポキシ樹脂が使用され、樹脂封止体はトランスファーモールド法を用いて成形されている。
【0045】
[ハイサイドの半導体素子のデバイス構造]
前述の半導体素子21に搭載された第1のスイッチング素子SW1、第3のスイッチング素子SW3、第5のスイッチング素子SW5のそれぞれは、縦型構造を有するパワートランジスタにより構成されている。すなわち、図2に示すように、パワートランジスタは、n型のドレイン層210と、このドレイン層210上に配設されたp型のドリフト層211と、このドリフト層211上(主面部)に配設されたn型のソース層213と、ソース層213からドリフト層211を突き抜けドレイン層210に達するトレンチ(穴又は溝)214と、トレンチ214の内壁面並びに底面に沿って配設された絶縁体(ゲート絶縁膜)215と、トレンチ214内部に絶縁体215を介して埋設されたゲート電極(制御電極)216とを備えている。つまり、ここでは、パワートランジスタには縦型構造を有するMOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)が使用され、このパワートランジスタはシリコン半導体素子である。
【0046】
ドレイン層210及びドリフト層211は、シリコン単結晶基板、又はシリコン単結晶基板とエピタキシャル成長法を用いて積層されたシリコン単結晶層との積層基板である。ソース層213は、ドリフト層211にイオン注入法又は拡散法を用いて不純物を導入し活性化した半導体領域である。トレンチ214はシリコン単結晶基板又は積層基板にリアクティブイオンエッチング(RIE)法等の異方性エッチングを用いてエッチングを行い形成した領域である。絶縁体215には、例えば、シリコン酸化膜が使用される。ゲート電極216には例えばシリコン多結晶膜が使用される。
【0047】
ソース層213上及びドリフト層211上、つまり基板主面上には第2、第6又は第10の主電極217が配設される。この第2、第6又は第10の主電極217は例えばAl膜若しくはAl合金膜等の導電性に優れた金属膜により形成される。
【0048】
ドレイン層210下、つまり基板主面と反対側の第1のダイパッド11側の表面(基板裏面)には第1、第5又は第9の主電極218が配設される。この第1、第5又は第9の主電極218は例えばAl、Al−Cu等の導電性に優れた金属膜により形成される。
【0049】
半導体素子21の第1、第5又は第9の主電極218は、第1のダイパッド11の表面と向かい合わせ、この第1のダイパッド11上に導電性接着材101を介して電気的かつ機械的に接続される(ダイボンディングが行われる)。導電性接着材101には例えば半田が使用される。
【0050】
第1のダイパッド11には直流電源2の一端(高電位側)の固定電位が接続されるので、半導体素子21には、第1のダイパッド11から供給される直流電流が第1、第5又は第9の主電極218から第2、第6又は第10の主電極217に向かって、第1のダイパッド11の表面に対して垂直に流れる。
【0051】
なお、縦型構造を有するパワートランジスタは、MOSFETに限定されるものではなく、絶縁体215を窒化膜等の絶縁膜により形成したMISFET(metal insulator semiconductor field effect transistor)や絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT:insulated gate bipolar transistor)に代えてもよい。
【0052】
また、図示しないが、半導体素子21には第1のダイオードD1、第3のダイオードD3又は第5のダイオードD5が内蔵されている。これらの第1のダイオードD1、第3のダイオードD3又は第5のダイオードD5は半導体素子21の外付け素子として構成してもよい。
【0053】
第1のダイパッド11の下面には絶縁体102を介して第1の放熱体103が配設されている。第1の放熱体103は、第1のダイパッド11からの熱を封止体32の外部に効率良く放熱する機能を有する。絶縁体102には、絶縁性を有し、熱伝導性に優れた、例えばモールド樹脂、マイカ、セラミック等を使用することができる。第1の放熱体103は、ここでは放熱フィンを有するヒートシンクを使用しているが、板状の放熱板であってもよい。第1の放熱体103には、熱伝導性に優れた、例えばAl等の金属材料を使用することができる。なお、第1の放熱体103とロウサイドの半導体素子とを電気的に絶縁する場合、第1のダイパッド11と第1の放熱体103との間は絶縁体102を介在させずに直接接続することができ、放熱効率を高めることができる。
【0054】
[ロウサイドの半導体素子のデバイス構造]
前述の半導体素子22に搭載された第2のスイッチング素子SW2、第4のスイッチング素子SW4、第6のスイッチング素子SW6のそれぞれは、横型構造を有するパワートランジスタにより構成されている。すなわち、図1に示すように、パワートランジスタは、シリコン単結晶基板220と、このシリコン単結晶基板220上に配設されたバッファ層221と、このバッファ層221上に配設され二次元キャリアガスチャネル領域223Cを有する電子走行層223と、この電子走行層223上に配設された電子供給層224と、この電子供給層224上(主面上)に配設された第3、第7又は第11の主電極(ソース電極)225S及び第4、第8又は第12の主電極(ドレイン電極)225Dと、ゲート電極226とを備えている。更に、この素子構造に限定されるものではないが、実施例1に係る半導体素子22はGaN、AlN等の化合物半導体により構築されている。つまり、ここでは、パワートランジスタには横型構造を有する高電子移動度トランジスタ(HEMT:high electron mobility transistor)、特にnチャネル導電型のHEMTが使用され、このパワートランジスタは化合物半導体素子である。
【0055】
シリコン単結晶基板220は、その表面上にエピタキシャル成長法を用いて化合物半導体層を成長させる安価な基板材料として使用されている。このシリコン単結晶基板220下つまり表面と反対側の第2のダイパッド12側の表面(基板裏面)には基板電極228が配設されている。基板電極228はシリコン単結晶基板220を固定電位に保持するために配設されており、シリコン単結晶基板220には直流電源2の他端から第2のダイパッド12、基板電極228を通して固定電位が供給されている。基板電極228は、例えばAu、Au−Ni合金等の導電性に優れた金属材料により構成されている。実施例1における基板材料はシリコンであるが、炭化シリコン(SiC)、サファイア、GaN、AlN等の材料を用いてもよい。
【0056】
バッファ層221は例えばGaN層とAlN層とを交互に複数積層した構造により構成されている。なお、このバッファ層221はこのような構造に限定されるものではなく、又バッファ層221は必須の要件ではない。電子走行層223は例えばGaN層により構成され、電子供給層224は例えばAlGaNにより構成されている。同様に、電子走行層223や電子供給層224はこれらの材料に限定されるものではない。
【0057】
第3、第7又は第11の主電極(ソース電極)225S及び第4、第8又は第12の主電極(ドレイン電極)225Dは、例えばTi層とその上にAl層を積層した複合膜により構成されている。ゲート電極226は例えばTi層と、このTi層上に積層したNi層と、このNi層上に積層したAu層とを有する複合膜により構成されている。同様に、これら電極材料はこの一例に限定されるものではない。
【0058】
半導体素子22の基板電極228は、第2のダイパッド12の表面と向かい合わせ、この第2のダイパッド12上に導電性接着材201を介して電気的かつ機械的に接続される(ダイボンディングが行われる)。導電性接着材201には例えば半田が使用される。そして、半導体素子22の第3、第7又は第11の主電極225Sは、実施例1において、接続配線31を通して第2のダイパッド12に電気的に接続されている。第2のダイパッド12には直流電源2の他端(低電位側)の固定電位が接続されるので、半導体素子22の第3、第7又は第11の主電極225S並びにシリコン単結晶基板220は同一の固定電位が供給される。半導体素子22は横型構造を有するパワートランジスタを備えているので、このパワートランジスタには、第4、第8又は第12の主電極(ドレイン電極)225Dから第3、第7又は第11の主電極(ソース電極)225Sに向かって、第2のダイパッド12の表面に対して水平に電流が流れる。
【0059】
なお、横型構造を有するパワートランジスタは、HEMTに限定されるものではなく、第2のダイパッド12側から固定電位が供給可能なMOSFET、MISFET、IGBT、MESFET(metal semiconductor field effect transistor)等のパワートランジスタに代えてもよい。
【0060】
また、図示しないが、半導体素子22には第2のダイオードD2、第4のダイオードD4又は第6のダイオードD6が内蔵されている。これらの第2のダイオードD2、第4のダイオードD4又は第6のダイオードD6は半導体素子22の外付け素子として構成してもよい。
【0061】
第2のダイパッド12の下面には絶縁体202を介して第2の放熱体203が配設されている。第2の放熱体203は、第2のダイパッド12からの熱を封止体32の外部に効率良く放熱する機能を有する。絶縁体202には前述の絶縁体102と同様のものが使用される。また、第2の放熱体203には前述の第1の放熱体103と同様のものが使用される。
【0062】
なお、第2のダイパッド12に供給される直流電源2の他方の固定電位が接地電位(グランド)である場合には、第2のダイパッド12と第2の放熱体203との間は絶縁体202を介在させずに直接接続してもよい。また、この場合、第2の放熱体203は、直接接地させるか、又は容量を介して間接的に接地させる。第2のダイパッド12と第2の放熱体203とを直接接続することによって、放熱効率をより一層高めることができる。また、絶縁体102及び202の少なくとも一方が配設される場合、第1の放熱体103と第2の放熱体とを単一の放熱体として共通化できるため、放熱体のサイズを大きくして放熱効率を高めることができる。
【0063】
[半導体装置の特徴]
前述の実施例1に係る半導体装置1は、ハーフブリッジ回路を構築するハイサイドの第1のスイッチング素子SW1、第3のスイッチング素子SW3、第5のスイッチング素子SW5を有するそれぞれの半導体素子21の裏面側に第1、第5及び第9の主電極(ドレイン電極)218を配設し、第1のダイパッド11上にこの半導体素子21を搭載するとともに、ロウサイドの第2のスイッチング素子SW2、第4のスイッチング素子SW4、第6のスイッチング素子SW6を有するそれぞれの半導体素子22の裏面側に基板電極228を配設し、第2のダイパッド12上にこの半導体素子21を搭載して、半導体素子21の第3、第7及び第11の主電極(ソース電極)225Sと第2のダイパッド12との間を接続する構成を採用している。第1のダイパッド11には直流電源2の一方の固定電位を供給することができ、第1のダイパッド11から半導体素子21に固定電位を印加することができるとともに、半導体素子21の動作により発生する熱を第1のダイパッド11に効率良く放出することができる。同様に、第2のダイパッド12には直流電源2の他方の固定電位を供給することができ、第2のダイパッド12から半導体素子21に固定電位を印加することができるとともに、半導体素子21の動作により発生する熱を第2のダイパッド12に効率良く放出することができる。従って、第1のダイパッド11、第2のダイパッド12のそれぞれのサイズを大きくして、放熱効率を向上することができるとともに、サイズの大型化により第1のダイパッド11と第1の放熱体103との間並びに第2のダイパッド12と第2の放熱体203との間に付加される寄生容量が増加するが、この寄生容量の増加は直流電流のチャージ、ディスチャージ経路に付加される容量ではないのでスイッチング速度に影響を与えない。更に、第1のダイパッド11、第2のダイパッド12のそれぞれには固定電位が供給され、第1のダイパッド11、第2のダイパッド12のそれぞれの電位変動を生じることがないので、ノイズの発生を減少することができる。
【0064】
[ロウサイドの半導体素子のデバイス構造の変形例]
実施例1に係る半導体装置1のロウサイドの半導体素子22においては、図5に示すように、第2のスイッチング素子SW2に第2のダイオードD2を一体に構成することができる。同様に、半導体素子22においては、第4のスイッチング素子SW4に第4のダイオードD4を一体に構成するこができ、第6のスイッチング素子SW6に第6のダイオードD6を一体に構成することができる。
【0065】
第2のダイオードD2は、第2のスイッチング素子SW2の第4の主電極(ドレイン電極)225Dをカソード電極225Cとして兼用し、このカソード電極225Cとゲート電極226との間にアノード電極225Aを配設して構成されている。この第2のダイオードD2はショットキーバリアダイオード(SBD)である。同様に、第4のダイオードD4は、第4のスイッチング素子SW4の第8の主電極(ドレイン電極)225Dをカソード電極225Cとして兼用し、このカソード電極225Cとゲート電極226との間にアノード電極225Aを配設して構成されている。この第4のダイオードD4は同様にSBDである。第6のダイオードD6は、第6のスイッチング素子SW6の第12の主電極(ドレイン電極)225Dをカソード電極225Cとして兼用し、このカソード電極225Cとゲート電極226との間にアノード電極225Aを配設して構成されている。この第6のダイオードD6は同様にSBDである。
【0066】
(実施例2)
本発明の実施例2は、前述の実施例1に係る半導体装置1において、ロウサイドの半導体素子22の変形例を説明するものである。
【0067】
ロウサイドの第2のスイッチング素子SW2の第3の主電極(ソース電極)225S、第4のスイッチング素子SW4の第7の主電極(ソース電極)225S、第6のスイッチング素子SW6の第11の主電極(ソース電極)225Sは基板電極228と同一の固定電位が印加され、かつこれらの固定電位は共通である。つまり、図6に示すように、1つの共通のシリコン単結晶基板220にこれら第2のスイッチング素子SW2、第4のスイッチング素子SW4及び第6のスイッチング素子SW6を一体に作り込むことができる。
【0068】
第2のスイッチング素子SW2、第4のスイッチング素子SW4、第6のスイッチング素子SW6の各領域間には例えばリセス(トレンチ)229が配設され、相互に電気的な分離がなされている。なお、各スイッチング素子の各領域間にFeイオンを注入して素子分離を行っても良い。
【0069】
実施例2係る半導体装置1においては、実施例1に係る半導体装置1により得られる効果に加えて、第2のスイッチング素子SW2、第4のスイッチング素子SW4、第6のスイッチング素子SW6のそれぞれの半導体素子22を1つの共通基板に作り込む(1チップ化する)ことにより、相互の離間面積を縮小することができるので、小型化を実現することができる。
【0070】
(その他の実施例)
上記のように、本発明を実施例1及び実施例2によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものでない。本発明は様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術に適用することができる。
【0071】
例えば、前述の実施例は高圧三相モータ駆動システムに組み込まれる半導体装置を例に説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、四相以上のスイッチング電源システム、フルブリッジ回路若しくはハーフブリッジ回路を有するスイッチング電源システムに適用することができる。
【0072】
また、前述の実施例はハイサイドの半導体素子21に縦型構造のパワートランジスタを採用した例を説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ハイサイドの半導体素子21を横型構造を有するパワートランジスタとし、表面側から裏面側にドレイン電極(又はコレクタ電極)を引き出す構造を設けてもよい。また、半導体素子21は、横型構造若しくは縦型構造のいずれかのSiC、GaN等の化合物半導体素子であってもよい。
【0073】
また、前述の実施例はロウサイドのスイッチング素子を共通の基板上に集積した例を説明したが、ハイサイドのスイッチング素子を周知の技術により共通の基板上に集積することができる。
【0074】
また、前述の実施例はロウサイドの半導体素子22の第3、第7、第11の主電極(ソース電極)225Sのそれぞれと第2のダイパッド12との接続配線31にワイヤを使用していたが、本発明は、これに限定されるものではなく、接続配線31を半導体素子22の側面に配設された金属パターン配線、半導体素子22の表面から裏面に通じるビアホール(又はスルーホール)内に形成されたビアホール配線等に代えてもよい。
【0075】
更に、本発明は、1つのスイッチング素子をシリコン半導体素子とノーマリオン型の化合物半導体素子とを組み合わせた複合素子により構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明においては、スイッチング素子の放熱効率を向上しつつ、ノイズの発生及び寄生容量を減少することができ、誤動作を防止し動作速度の高速化を実現することができる半導体装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0077】
1…半導体装置
103…第1の放熱体
11…第1のダイパッド
12…第2のダイパッド
11R,12R,13RU1,13RU2,13RV1,13RV2,13RW1,13RW2,19R…リード
2…直流電源
203…第2の放熱体
21,22…半導体素子
210…ドレイン層
211…ドリフト層
213…ソース層
214…トレンチ
215,102,202…絶縁体
216,226…ゲート電極
217…第2、第6、第10の主電極
218…第1、第5、第9の主電極
220…シリコン単結晶基板
221…バッファ層
223…電子走行層
224…電子供給層
225A…アノード電極
225C…カソード電極
225S…第3、第7、第11の主電極
225D…第4、第8、第12の主電極
228…基板電極
3…三相電動モータ
31…接続配線
32…封止体
5…高圧三相モータ駆動システム
SW…スイッチング素子
D…ダイオード
P7…第1の出力端子
P8…第2の出力端子
P9…第3の出力端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6