(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5655370
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/861 20060101AFI20141225BHJP
H01L 29/868 20060101ALI20141225BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
H01L29/91 D
H01L29/06 301G
H01L29/06 301D
H01L29/06 301R
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2010-115718(P2010-115718)
(22)【出願日】2010年5月19日
(65)【公開番号】特開2011-243811(P2011-243811A)
(43)【公開日】2011年12月1日
【審査請求日】2012年7月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】藤井 岳志
(72)【発明者】
【氏名】今川 鉄太郎
【審査官】
杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−299476(JP,A)
【文献】
特開2009−176772(JP,A)
【文献】
特開2008−135522(JP,A)
【文献】
特開2010−219224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/861
H01L 29/06
H01L 29/868
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域に設けられ、導通時に電流が流れる活性領域と、
前記第1半導体領域に設けられ、前記活性領域を囲む耐圧構造部と、
前記活性領域において前記第1半導体領域の表面層に選択的に設けられた第2導電型の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域の外周部に設けられ、前記第2半導体領域を貫通して、前記第1半導体領域まで達する複数のトレンチと、
前記トレンチの内部に、絶縁膜を介して設けられた第1電極と、
前記第2半導体領域および前記第1電極に接する第2電極と、
を備え、
前記トレンチは、前記活性領域側から前記耐圧構造部側に向う直線状の平面形状を有し、
複数の前記トレンチは、前記第2半導体領域の外周部に沿った方向に前記トレンチと前記第2半導体領域とが交互に存在するようにそれぞれ離れて配置された平面レイアウトを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記トレンチが前記第2半導体領域の外周部のコーナー部に扇状に配置された平面レイアウトを有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2半導体領域の外周部のコーナー部以外に配置された前記トレンチ間の間隔は、当該第2半導体領域の外周部のコーナー部の頂点に配置された前記トレンチと隣り合う前記トレンチ間の間隔より狭いことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記トレンチが前記第2半導体領域から当該第2半導体領域の外側の領域に突き出して配置された平面レイアウトを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2半導体領域の外周部のコーナー部に配置された前記トレンチは、他の前記トレンチよりも、当該第2半導体領域の外側に延びた平面形状を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2半導体領域の外周部のコーナー部の頂点に配置された前記トレンチは、隣り合う前記トレンチよりも、当該第2半導体領域の外側に延びた平面形状を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記トレンチが前記第2半導体領域の内部に配置され、かつ当該トレンチの端部が当該第2半導体領域の端部上に配置された平面レイアウトを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記トレンチが前記第2半導体領域の内部に配置された平面レイアウトを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2半導体領域の外周部のコーナー部に配置された前記トレンチは、他の前記トレンチよりも、当該第2半導体領域の端部側に延びた平面形状を有することを特徴とする請求項1〜3または8のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2半導体領域の外周部のコーナー部の頂点に配置された前記トレンチは、隣り合う前記トレンチよりも、当該第2半導体領域の端部側に延びた平面形状を有することを特徴とする請求項1〜3、8または9のいずれか一つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
縦型ダイオード素子として、例えばpin(p−intrinsic−n)ダイオードやMPS(Merged p−i−n/Schottky)ダイオードなどが公知である。このような縦型ダイオード素子のおもて面構造は、pin構造やMPS構造などデバイス構造の違いによらず、n型基板上にpアノード領域としてp型領域が設けられた構造となっている。
【0003】
また、縦型ダイオード素子のおもて面構造として、pアノード領域が設けられた活性領域と、活性領域を囲む耐圧構造部とからなる構造が知られている。さらに、pアノード領域と耐圧構造部との間に、導通状態から逆阻止状態に切り換わるとき(逆回復時)のダイオードの破壊を防ぐための耐量(以下、破壊耐量とする)を確保する領域(以下、逆回復耐量確保構造部とする)が設けられた構成のダイオードが公知である。
【0004】
図8は、逆回復耐量確保構造部を有するダイオードを示す断面図である。
図8に示すダイオードは、nカソード領域であるn型基板(不図示)の表面に、n
-ドリフト領域101が設けられている。n
-ドリフト領域101には、活性領域100と、活性領域100を囲む耐圧構造部110とが設けられている。
【0005】
活性領域100において、n
-ドリフト領域101の表面層には、pアノード領域102が設けられている。アノード電極103は、pアノード領域102に接する。また、アノード電極103は、pアノード領域102から耐圧構造部110側のn
-ドリフト領域101に跨って設けられた層間絶縁膜104上に延在する。耐圧構造部110において、n
-ドリフト領域101の表面層には、ガードリング111が設けられている。
【0006】
pアノード領域102と耐圧構造部110との間には、逆回復耐量確保構造部120が設けられている。逆回復耐量確保構造部120は、n
-ドリフト領域101の表面層に、アノード電極103と接しないp
-型領域(以下、未コンタクトp
-領域とする)121が設けられた構造となっている。未コンタクトp
-領域121は、pアノード領域102の端部に接し、耐圧構造部110側に延びるように設けられ、かつ層間絶縁膜104上に延在するアノード電極103の下方に設けられている。未コンタクトp
-領域121は、pアノード領域102よりも低い不純物濃度を有する。
【0007】
このように逆回復耐量確保構造部120を設けることにより、逆回復時に、逆回復電流が集中する部分と電界強度が最も高くなる部分とを分離し、アノード領域102の端部のみに電圧および電流の負荷が集中することを防止する。これにより、逆回復時におけるダイオード素子の破壊耐量を確保することができる。具体的には、
図8に示すダイオードは、次のように動作する。
【0008】
図9は、順方向導通時のダイオードを示す説明図である。また、
図10は、逆回復時のダイオードを示す説明図である。
図9に示すように、順方向導通時、pアノード領域102および未コンタクトp
-領域121からn
-ドリフト領域101に、ホール(プラス電荷)131,132が注入される。未コンタクトp
-領域121の電気抵抗によって、未コンタクトp
-領域121から耐圧構造部110側のn
-ドリフト領域101に注入されるホール132の注入量は、ホール131の注入量よりも少なくなる。つまり、アノード電位を有するp型領域の端部(未コンタクトp
-領域121の耐圧構造部110側の端部)から耐圧構造部110側のn
-ドリフト領域101へのホール注入は抑制される。
【0009】
これにより、逆回復時に、耐圧構造部110側のn
-ドリフト領域101から未コンタクトp
-領域121に注入されるホール注入量は、活性領域100側のn
-ドリフト領域101からpアノード領域102に注入されるホール注入量よりも少なくなる。また、未コンタクトp
-領域121がアノード電極103に接していないため、逆回復電流(ホール電流)が、pアノード領域102の端部を通ってアノード電極103へと流れやすくなる。これにより、
図10に示すように、逆回復時、逆回復電流133の集中部は、pアノード領域102の端部の下の領域(以下、下端部とする)となる。
【0010】
一方、逆回復時、電界強度が最も高くなる部分は、未コンタクトp
-領域121の耐圧構造部110側の下端部(以下、未コンタクトp
-領域121の下端部とする)134となる。それは、アノード電位を有するp型領域の端部が、未コンタクトp
-領域121の幅の分だけ耐圧構造部110側にずれるからである。このように、
図8に示すダイオードでは、逆回復時に、逆回復電流が集中する部分(pアノード領域102の下端部)と、電界強度が最も高くなる部分(未コンタクトp
-領域121の下端部134)とが分離される。
【0011】
電界集中を緩和させた半導体装置として、次のような装置が提案されている。コレクタ領域となる一導電型半導体層と、該一導電型半導体層表面に設けられた逆導電型チャネル層と、前記一導電型半導体層の裏面に設けられたコレクタ領域となる逆導電型半導体領域と、前記逆導電型チャネル層の形成深さが略均一な実動作領域と、該実動作領域の内側に設けられた第1トランジスタと、第2トランジスタとを有する。前記第1トランジスタは、第1トレンチと、該第1トレンチ内を覆う第1絶縁膜と、前記第1トレンチ内に埋設された第1ゲート電極と、該第1トレンチに隣接して設けられた一導電型の第1エミッタ領域とを備える。前記第2トランジスタは、第2トレンチと、該第2トレンチ内を覆う第2絶縁膜と、前記第2トレンチ内に埋設された第2ゲート電極と、該第2トレンチに隣接して設けられた一導電型の第2エミッタ領域とを備える。ここで、前記第2トランジスタは、複数の前記第1トランジスタを囲む最外周に配置され、前記第2トレンチの深さは、前記第1トレンチより浅い(例えば、下記特許文献1参照。)。
【0012】
また、別の装置として、次のような装置が提案されている。コレクタ領域となる一導電型半導体層と、該一導電型半導体層の裏面に設けられコレクタ領域となる逆導電型半導体領域と、前記一導電型半導体層表面に設けた逆導電型の第1の不純物領域と、該第1の不純物領域周端部に設けた逆導電型高濃度不純物領域と、第1のトランジスタおよび第2のトランジスタが配置される実動作領域と、を具備する。前記第1のトランジスタは、前記第1の不純物領域を貫通する第1のトレンチと、少なくとも該第1のトレンチ内を覆う絶縁膜と、前記第1のトレンチ内に埋設された半導体材料と、前記第1のトレンチに隣接して設けられた一導電型の第2の不純物領域とを有する。前記第2のトランジスタは、前記第1の不純物領域を貫通する第2のトレンチと、少なくとも該第2のトレンチ内を覆う絶縁膜と、前記第2のトレンチ内に埋設された半導体材料と、前記第2のトレンチに隣接して設けられた一導電型の第2の不純物領域とを有する。ここで、前記第2のトランジスタは、複数の前記第1のトランジスタを囲む最外周に配置されている。前記第2のトレンチの深さは、前記第1のトレンチより深く前記逆導電型高濃度不純物領域より浅く設けられている。また、前記第2のトランジスタと前記逆導電型高濃度不純物領域との離間距離は、前記第1のトランジスタ同士の離間距離以下である(例えば、下記特許文献2参照。)。
【0013】
また、別の装置として、次のような装置が提案されている。第1の主電極と第2の主電極の間に一導電型の本体部分を有し、前記第1の主電極が前記本体部分の第1の表面の複数の整流器部分で前記本体部分とショットキー障壁を形成する半導体本体と、前記第1の表面から前記本体部分の中に延びるトレンチのパターンとを具備してなるショットキー整流器であって、前記パターンが、各整流器部分の境界となる内部トレンチと、前記複数の整流器部分の外周を取り囲んで延びる内側の壁を有する周囲トレンチとを備え、前記トレンチが、前記第1の主電極に接続されているフィールド電極を収容し、前記フィールド電極が、前記本体部分内に電界緩和領域を設けるように、前記トレンチに沿って並ぶ誘電体材料を介して、前記本体部分に容量的に結合され、空乏層が、前記整流器の阻止状態で、前記ショットキー障壁および前記電界緩和領域から前記本体領域の中に形成されるショットキー整流器であって、前記周囲トレンチ内の前記フィールド電極が、前記周囲トレンチの前記内側の壁の誘電体上に存在し、且ついずれの外側の壁に対しても作用することなく、前記内側の壁を横切って容量的に結合されていること、および前記内部トレンチおよび周囲トレンチが十分に狭い間隔をおいて配置され、さらに前記本体部分の中間部分が十分に低濃度にドーピングされて、前記整流器の阻止状態で、前記本体部分内に形成される空乏層が、降伏電圧よりも小さい電圧で、前記トレンチの間の前記本体部分の中間部分全体を空乏にする。また、反対の導電型の降伏遮蔽領域が、前記最も外側の内部トレンチと前記周囲トレンチの間に存在し、前記一導電型の前記本体部分とpn接合を形成する(例えば、下記特許文献3参照。)。
【0014】
また、電界集中を緩和させた半導体装置の製造方法として、次のような方法が提案されている。活性領域にトレンチ金属酸化膜半導体素子を形成するための複数の第1のトレンチおよび終端構造を形成するための第2のトレンチを形成する。次に、半導体基板の全領域にゲート酸化層を形成し、続いて、第1のトレンチおよび第2のトレンチに第1の導電材料を埋め込む。エッチバックプロセスを行い、余分な第1の導電材料を除去し、第2のトレンチにスペーサを形成するとともに、第1のトレンチのみに導電材料を残す。次に、メサ表面上のゲート酸化層を除去する。蒸着、リソグラフィックおよびエッチングプロセスにより、終端構造酸化層を形成する。第1の電極を所定の位置に形成する(例えば、下記特許文献4参照。)。
【0015】
また、破壊耐量を向上した半導体装置として、一導電型の第一半導体層と、該第一半導体層より低不純物濃度の一導電型の第二半導体層とを積層して成る半導体基板と、該第二半導体層表面に所定の幅と間隔をもって形成された複数の環状トレンチ部と、該環状トレンチ部の内壁に設けたシリコン酸化膜と、該トレンチ部を充填するポリシリコンと、該第二半導体層表面と該ポリシリコン表面に連接して形成されたショットキー金属層を備えた半導体装置において、最外郭部の前記環状トレンチ部表面と前記第二半導体層表面に跨って環状絶縁体薄膜が形成された装置が提案されている(例えば、下記特許文献5参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許第4171268号公報
【特許文献2】特許第4171286号公報
【特許文献3】国際公開第2001/057915号パンフレット
【特許文献4】特開2002−208711号公報
【特許文献5】特許第3691736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、次のような問題が生じることが新たに判明した。
図8に示すダイオードにおいて、上述したように逆回復電流が集中する部分と、電界強度が最も高くなる部分とを分離させるという効果を得るためには、未コンタクトp
-領域121の幅をある程度広く取る必要がある。また、未コンタクトp
-領域121の不純物濃度を、pアノード領域102よりも低い不純物濃度とする必要がある。さらに、未コンタクトp
-領域121の幅および不純物濃度は、ダイオード素子の所望の耐圧クラスや電流容量によって、素子ごとに設計変更する必要があることがわかった。
【0018】
例えば、1200Vの耐圧クラスで、素子サイズを8.9〜10mm程度とする場合に、所望の破壊耐量を確保するためには、未コンタクトp
-領域121からなる逆回復耐量確保構造部120の幅は、150〜300μm程度となってしまう。この場合、逆回復耐量確保構造部120は、活性領域100の10%程度にまで広い幅を有することとなってしまい、素子全体が大きくなってしまう。
【0019】
また、逆回復耐量確保構造部120の幅を広くしたからといって、所望の破壊耐量を確保することができるわけではない。それは、未コンタクトp
-領域121の最適な幅は、未コンタクトp
-領域121の不純物濃度によって決定され、かつ未コンタクトp
-領域121の最適な不純物濃度は、未コンタクトp
-領域121の幅によって決定されるからである。そして、上述したように、未コンタクトp
-領域121の最適な幅および不純物濃度は、素子の耐圧クラスや電流容量によって種々変化するからである。したがって、耐圧クラスや電流容量、未コンタクトp
-領域121の設計条件によって、ダイオード素子の動作に必要な最低限の破壊耐量でさえ確保できない虞が生じてしまう。
【0020】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、耐量を向上させた半導体装置を提供することを目的とする。また、小型化を図った半導体装置を提供することを目的とする。また、設計が容易な半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、請求項1の発明にかかる半導体装置は、第1導電型の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域に設けられ、導通時に電流が流れる活性領域と、前記第1半導体領域に設けられ、前記活性領域を囲む耐圧構造部と、前記活性領域において前記第1半導体領域の表面層に選択的に設けられた第2導電型の第2半導体領域と、前記第2半導体領域の外周部に設けられ、前記第2半導体領域を貫通して、前記第1半導体領域まで達する複数のトレンチと、前記トレンチの内部に、絶縁膜を介して設けられた第1電極と、前記第2半導体領域および前記第1電極に接する第2電極と、を備え、前記トレンチは、前記
活性領域側から前記
耐圧構造部側に向う直線状の平面形状を有し、複数の前記トレンチは、前記第2半導体領域の外周部に沿った方向に前記トレンチと前記第2半導体領域とが交互に存在するようにそれぞれ離れて配置された平面レイアウトを有することを特徴とする。
【0022】
また、請求項2の発明にかかる半導体装置は、請求項1に記載の発明において、前記トレンチが前記第2半導体領域の外周部のコーナー部に扇状に配置された平面レイアウトを有することを特徴とする。
【0023】
また、請求項3の発明にかかる半導体装置は、請求項1または2に記載の発明において、前記第2半導体領域の外周部のコーナー部以外に配置された前記トレンチ間の間隔は、当該第2半導体領域の外周部のコーナー部の頂点に配置された前記トレンチと隣り合う前記トレンチ間の間隔より狭いことを特徴とする。
【0024】
また、請求項4の発明にかかる半導体装置は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、前記トレンチが前記第2半導体領域から当該第2半導体領域の外側の領域に突き出して配置された平面レイアウトを有することを特徴とする。
【0025】
また、請求項5の発明にかかる半導体装置は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、前記第2半導体領域の外周部のコーナー部に配置された前記トレンチは、他の前記トレンチよりも、当該第2半導体領域の外側に延びた平面形状を有することを特徴とする。
【0026】
また、請求項6の発明にかかる半導体装置は、請求項1〜5のいずれか一つに記載の発明において、前記第2半導体領域の外周部のコーナー部の頂点に配置された前記トレンチは、隣り合う前記トレンチよりも、当該第2半導体領域の外側に延びた平面形状を有することを特徴とする。
【0027】
また、請求項7の発明にかかる半導体装置は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、前記トレンチが前記第2半導体領域の内部に配置され、かつ当該トレンチの端部が当該第2半導体領域の端部上に配置された平面レイアウトを有することを特徴とする。
【0028】
また、請求項8の発明にかかる半導体装置は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、前記トレンチが前記第2半導体領域の内部に配置された平面レイアウトを有することを特徴とする。
【0029】
また、請求項9の発明にかかる半導体装置は、請求項1〜3または8のいずれか一つに記載の発明において、前記第2半導体領域の外周部のコーナー部に配置された前記トレンチは、他の前記トレンチよりも、当該第2半導体領域の端部側に延びた平面形状を有することを特徴とする。
【0030】
また、請求項10の発明にかかる半導体装置は、請求項1〜3、8または9のいずれか一つに記載の発明において、前記第2半導体領域の外周部のコーナー部の頂点に配置された前記トレンチは、隣り合う前記トレンチよりも、当該第2半導体領域の端部側に延びた平面形状を有することを特徴とする。
【0031】
上述した発明によれば、第2半導体領域の外周部に、第2半導体領域よりも深い複数のトレンチが設けられている。また、複数のトレンチによって、第2半導体領域の外周部は複数の領域に分離された平面レイアウトを有する。これにより、逆回復時、逆回復電流は、トレンチ間に挟まれた第2半導体領域の端部の下の領域(下端部)に集中する。一方、電界強度が最も高くなる部分は、トレンチ底面のコーナー部となる。このため、逆回復電流が集中する部分と、電界強度が最も高くなる部分とを分離することができる。したがって、第2半導体領域の下端部にのみ電圧および電流の負荷が集中することを防止することができる。また、複数のそれぞれ離れて設けられたトレンチによって、逆回復電流が集中する第2半導体領域の下端部をさらに分離することができる。また、複数のトレンチを設けることで、電圧強度が高くなる部分をさらに分離することができる。また、逆回復耐量確保構造部の幅を、従来の逆回復耐量確保構造部(
図8参照)の幅に比べて短くすることができる。これにより、層間絶縁膜上に延在する第2電極の幅を、従来に比べて短くすることができる。また、逆回復耐量確保構造部に未コンタクトp
-領域を設ける必要がなくなるため、耐圧クラスや電流容量によって未コンタクトp
-領域の幅および不純物濃度を設計する必要がなくなる。
【発明の効果】
【0032】
本発明にかかる半導体装置によれば、耐量を向上することができるという効果を奏する。また、小型化を図ることができるという効果を奏する。また、容易に設計することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】実施の形態1にかかる半導体装置を示す断面図である。
【
図2】実施の形態1にかかる逆回復時の半導体装置を示す説明図である。
【
図3】実施の形態1にかかるトレンチの平面レイアウトの要部を示す平面図である。
【
図4】実施の形態2にかかるトレンチの平面レイアウトの要部を示す平面図である。
【
図5】実施の形態3にかかるトレンチの平面レイアウトの要部を示す平面図である。
【
図6】実施の形態4にかかるトレンチの平面レイアウトを示す平面図である。
【
図7】実施の形態5にかかるトレンチの平面レイアウトを示す平面図である。
【
図8】逆回復耐量確保構造部を有するダイオードを示す断面図である。
【
図9】順方向導通時のダイオードを示す説明図である。
【
図10】逆回復時のダイオードを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および−は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0035】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる半導体装置を示す断面図である。
図1に示す半導体装置は、nカソード領域であるn型基板(不図示)の表面に、n
-ドリフト領域(第1半導体領域)1が設けられている。n
-ドリフト領域1には、活性領域10と、活性領域10を囲む耐圧構造部20とが設けられている。
【0036】
活性領域10において、n
-ドリフト領域1の表面層には、pアノード領域(第2半導体領域)2が選択的に設けられている。アノード電極(第2電極)3は、pアノード領域2に接する。また、アノード電極3は、pアノード領域2から耐圧構造部20側のn
-ドリフト領域1に跨って設けられた層間絶縁膜4上に延在する。
【0037】
耐圧構造部20において、n
-ドリフト領域1の表面層には、ガードリング21が設けられている。フィールドプレート(不図示)は、ガードリング21に接する。図示省略するが、層間絶縁膜4には、ガードリング21とフィールドプレートとのコンタクト部として、ガードリング21上に開口部が設けられている。
【0038】
pアノード領域2と耐圧構造部20との間には、導通状態から逆阻止状態に切り換わるとき(逆回復時)に半導体装置の破壊を防ぐための耐量(破壊耐量)を確保する領域(逆回復耐量確保構造部)30が設けられている。逆回復耐量確保構造部30は、トレンチ31に絶縁膜32を介して埋め込まれた電極(以下、埋め込み電極とする)33からなる。ここでは、逆回復耐量確保構造部30の幅を誇張して描いているが、実際の寸法とは異なっているおり、例えば、逆回復耐量確保構造部30の幅は、従来の逆回復耐量確保構造部(
図8参照)の幅よりも狭い。
【0039】
トレンチ31は、pアノード領域2を貫通し、n
-ドリフト領域1まで達する。つまり、トレンチ31は、pアノード領域2よりも深く設けられている。トレンチ31の内部には、絶縁膜32を介して埋め込み電極(第1電極)33が設けられている。埋め込み電極33は、アノード電極3に接し、アノード電位を有する。埋め込み電極33は、例えばポリシリコンが埋め込まれてなる電極である。絶縁膜32は、例えば1500Å以上の膜厚を有していてもよい。絶縁膜32を厚くするほど、耐圧を向上することができる。しかし、絶縁膜32を厚くするほど、順電圧特性が悪くなったり、スイッチング損失が生じたりするため、絶縁膜32の膜厚は薄いのが好ましい。
【0040】
トレンチ31は、pアノード領域2の外周部に沿って複数設けられ、pアノード領域2を囲む。また、各トレンチ31はそれぞれ離れて配置されている。トレンチ31の耐圧構造部20側の端部は、n
-ドリフト領域1内に位置する。つまり、トレンチ31は、pアノード領域2からn
-ドリフト領域1にかけて配置され、pアノード領域2の外周部を複数の領域に分離する。
図1では、トレンチ31は、図面に垂直な方向に複数形成されている。
図1において、点線で記載されている領域は、トレンチ31によって分離され、トレンチ31間に挟まれたpアノード領域2の外周部である。トレンチ31の平面レイアウトの詳細な説明については、後述する。
【0041】
図2は、実施の形態1にかかる逆回復時の半導体装置を示す説明図である。逆回復時、耐圧構造部20側のn
-ドリフト領域1からアノード電極3に向かって流れる逆回復電流(ホール電流)は、トレンチ31間に挟まれたpアノード領域2の端部を通ってアノード電極3へと流れる。この理由は、pアノード領域2(活性領域)を完全に囲まないようにトレンチ31を設けているからである。例えば、トレンチによって活性領域を完全に囲んだ場合(特許文献3参照)、トレンチ内部に設けられた絶縁膜によりトレンチの内部には電流が流れない。このため、逆回復電流は、トレンチの底面側からpアノード領域2の下の領域を通ってアノード電極へと流れる。この場合、後述する電界強度が最も高くなる部分であるトレンチ31の底面のコーナー部(以下、トレンチ底面のコーナー部とする)43近傍に逆回復電流が流れてしまう。pアノード領域2の外周部を複数のトレンチ31によって分離することで、逆回復電流が集中する部分をpアノード領域2の端部の下の領域(下端部)42とすることができる。
【0042】
また、逆回復時、トレンチ底面のコーナー部43に電界が集中する。その理由は、トレンチ31をpアノード領域2よりも深く設けることで、トレンチ31の底面がpアノード領域2の下の領域よりもカソード電極(不図示)に近い領域となるからである。また、トレンチ底面のコーナー部43の曲率が、pアノード領域の下端部42の曲率よりも大きいからである。これにより、逆回復時に、電界強度が最も高くなる部分を、逆回復電流の集中部であるpアノード領域の下端部42ではなく、トレンチ底面のコーナー部43にずらすことができる。
【0043】
図3は、実施の形態1にかかるトレンチの平面レイアウトの要部を示す平面図である。ここでは、pアノード領域2の外周部の要部のみを示す。トレンチ31内部に設けられた絶縁膜32およびアノード電極3は図示省略する。また、層間絶縁膜4の活性領域10側の端部を二点差線で示す(以下、
図4,5においても同様)。
図3に示すように、
図1に示す半導体装置は、トレンチ31がpアノード領域2の内部からpアノード領域2の外側に突き出して配置された平面レイアウトを有する。つまり、トレンチ31の耐圧構造部側の端部は、pアノード領域2とn
-ドリフト領域1の界面よりも、耐圧構造部側に位置している。また、トレンチ31は、アノード電極(不図示)側から層間絶縁膜4の下の領域を占めている。
【0044】
隣り合うトレンチ31間の第1距離a、pアノード領域2とn
-ドリフト領域1の界面に平行な方向のトレンチ31の幅(以下、第2距離とする)b、第2距離bに直行する方向のトレンチ31の幅(以下、第3距離とする)c、pアノード領域2とn
-ドリフト領域1の界面からn
-ドリフト領域1側に突き出したトレンチ31の、第2距離bに直行する方向の幅(以下、第4距離とする)d、およびpアノード領域2とn
-ドリフト領域1の界面からpアノード領域2側の、第2距離bに直行する方向のトレンチ31の幅(以下、第5距離とする)eは、種々変更可能である。
【0045】
第1距離aは、広いのが望ましい。その理由は、逆回復時に、ホールがすり抜ける領域を増やすことができ、破壊耐量を向上することができるからである。第2距離bおよび第3距離cは、少なくともトレンチ31をpアノード領域2よりも深く形成することができ、かつトレンチ31内部に絶縁膜32を介して埋め込み電極33を形成できる程度の幅を有していればよい。
【0046】
第4距離dは、短いのが好ましい。その理由は、逆回復耐量確保構造部30の幅を狭くすることができからである。これにより、活性領域10が減少することを回避することができる。また、半導体装置の小型化を図ることができる。しかし、第4距離dを長くするほど、逆回復時に、逆回復電流が集中する部分と電界強度が最も強くなる部分とを離すことができる。このため、半導体装置の電圧レベルが高い場合、第4距離dを長くするのが好ましい。例えば、トレンチ31底面のコーナー部への電界集中が、pアノード領域2の下端部への逆回復電流集中よりも、破壊耐量を低下させる原因となる場合に適用してもよい。
【0047】
以上、説明したように、実施の形態1によれば、pアノード領域2の外周部に、pアノード領域2よりも深い複数のトレンチ31が設けられている。また、複数のトレンチ31によって、pアノード領域2の外周部は複数の領域に分離された平面レイアウトを有する。これにより、逆回復時、逆回復電流41は、トレンチ31間に挟まれたpアノード領域の下端部42に集中する。一方、電界強度が最も高くなる部分は、トレンチ底面のコーナー部43となる。このため、逆回復電流が集中する部分と、電界強度が最も高くなる部分とを分離することができる。したがって、pアノード領域の下端部42にのみ電圧および電流の負荷が集中することを防止することができ、逆回復時における半導体装置の破壊耐量を向上することができる。また、複数のそれぞれ離れて設けられたトレンチ31によって、逆回復電流が集中するpアノード領域2の下端部をさらに分離することができる。また、複数のトレンチ31を設けることで、電圧強度が高くなる部分をさらに分離することができる。また、逆回復耐量確保構造部30の幅を、従来の逆回復耐量確保構造部(
図8参照)の幅に比べて短くすることができる。具体的には、逆回復耐量確保構造部30の幅を、従来の逆回復耐量確保構造部の幅に比べて90%程度まで短くすることができる。これにより、層間絶縁膜4上に延在するアノード電極3の幅を、従来に比べて短くすることができ、半導体装置の小型化を図ることができる。また、逆回復耐量確保構造部に未コンタクトp
-領域を設ける必要がなくなるため、耐圧クラスや電流容量によって未コンタクトp
-領域の幅および不純物濃度を設計する必要がなくなる。これにより、半導体装置の設計を容易にすることができる。
【0048】
(実施の形態2)
図4は、実施の形態2にかかるトレンチの平面レイアウトの要部を示す平面図である。実施の形態1において、トレンチがpアノード領域の内部に配置され、かつトレンチの端部がpアノード領域の端部上に位置するように配置された平面レイアウトとしてもよい。
【0049】
実施の形態2では、
図4に示すように、トレンチ51は、pアノード領域2の内部に設けられている。また、トレンチ51の耐圧構造部側の端部が、ちょうどpアノード領域2とn
-ドリフト領域1の界面に位置するように設けられている。つまり、トレンチ51の耐圧構造部側の端部は、pアノード領域2とn
-ドリフト領域1の界面から耐圧構造部側に突き出ていない。このように、実施の形態1に示す半導体装置(
図1,3参照)において、トレンチの位置のみをpアノード領域2の内側に移動させた平面レイアウトとしてもよい。また、トレンチ51の内部には、実施の形態1と同様に、絶縁膜(不図示)を介して埋め込み電極53が設けられている。例えば、トレンチ51底面のコーナー部への電界集中と、pアノード領域2の下端部への逆回復電流集中が、同じ程度に破壊耐量を低下させる原因となる場合に適用してもよい。それ以外の構成は、実施の形態1と同様である。
【0050】
以上、説明したように、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、トレンチ51をpアノード領域2内にのみ設けることで、pアノード領域2の外側に逆回復耐量確保構造部30が突き出てない。これにより、半導体装置をさらに小型化することができる。
【0051】
(実施の形態3)
図5は、実施の形態3にかかるトレンチの平面レイアウトの要部を示す平面図である。実施の形態2において、トレンチの耐圧構造部側の端部が、さらにpアノード領域とn
-ドリフト領域の界面よりもpアノード領域の内側に配置された平面レイアウトとしてもよい。
【0052】
実施の形態3では、
図5に示すように、トレンチ61は、pアノード領域2の内部に配置されている。また、トレンチ61の耐圧構造部側の端部は、pアノード領域2内に位置している。つまり、pアノード領域2の外周端部は、分離されておらず、連続している。そして、トレンチ61は、pアノード領域2の外周端部を除く外周部を分離する。トレンチ61は、層間絶縁膜4の下の領域に設けられていなくてもよい。トレンチ61の内部には、実施の形態1と同様に、絶縁膜(不図示)を介して埋め込み電極63が設けられている。それ以外の構成は、実施の形態2と同様である。
【0053】
トレンチ61の耐圧構造部側の端部から、pアノード領域2とn
-ドリフト領域1の界面までの距離(以下、第6距離とする)fは、種々変更可能である。第6距離fを長くするほど、逆回復時に、電流が集中する部分(pアノード領域の下端部)の幅を大きくすることができ、耐量を向上することができる。例えば、電圧レベルが低く、逆回復電流が大きい場合、つまり、pアノード領域の下端部への逆回復電流集中が、トレンチ61底面のコーナー部への電界集中よりも、破壊耐量を低下させる原因となる場合に適用してもよい。
【0054】
以上、説明したように、実施の形態3によれば、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0055】
(実施の形態4)
図6は、実施の形態4にかかるトレンチの平面レイアウトを示す平面図である。実施の形態1において、トレンチ31がpアノード領域2の外周部のコーナー部に扇状に配置された平面レイアウトとしてもよい。
【0056】
実施の形態4では、
図6に示すように、トレンチ31は、pアノード領域2の外周部のコーナー部の中心Rを基準として、pアノード領域2の外周部のコーナー部に扇状に配置されている。pアノード領域2の外周部のコーナー部の頂点に配置されたトレンチ31と、隣り合うトレンチ31間の第1間隔t
1は狭いのが望ましい。その理由は、第1間隔t
1が狭いほど、トレンチの側面にかかる電界を均一にすることができるからである。しかし、各トレンチ31間のpアノード領域2は、逆回復時にホールがすり抜ける領域となる。このため、第1間隔t
1は、逆回復時にn
-ドリフト領域1からpアノード領域2へのホール注入を抑制せず、トレンチの側面にかかる電界を均一にすることができる程度に狭いのが好ましい。ここで、pアノード領域2の外周部のコーナー部の頂点とは、pアノード領域2の外周部のコーナー部のうち、最も耐圧構造部側に突き出ている部分である。
【0057】
また、pアノード領域2の外周部のコーナー部以外に配置されたトレンチ31間の第2間隔t
2は、第1間隔t
1より狭いのが好ましい。その理由は、逆回復時、pアノード領域2の外周部のコーナー部以外の外周部には、pアノード領域2の外周部のコーナー部ほど逆回復電流が集中しないからである。また、第2間隔t
2は、第1間隔t
1より広くてもよい。第2間隔t
2を、第1間隔t
1より広くした場合、pアノード領域2の外周部のコーナー部以外のpアノード領域2の外周部の電界分布を、pアノード領域2の外周部のコーナー部よりも緩やかにすることができる。それ以外の構成は、実施の形態1と同様である。
【0058】
また、実施の形態2や実施の形態3のように、pアノード領域2の内部にのみトレンチが設けられている場合においても適用可能である。その場合、トレンチは、pアノード領域2からn
-ドリフト領域1側に突き出さないように、pアノード領域2のコーナー部に扇状に配置される。
【0059】
以上、説明したように、実施の形態4によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0060】
(実施の形態5)
図7は、実施の形態5にかかるトレンチの平面レイアウトを示す平面図である。実施の形態4において、pアノード領域2の外周部のコーナー部に配置されたトレンチを、他のトレンチよりも、pアノード領域2の外側に延ばして設けてもよい。
【0061】
実施の形態5では、
図7に示すように、pアノード領域2の外周部のコーナー部に配置されたトレンチ(以下、第1,第2トレンチとする)71,72の第4距離d
1および第4距離d
2は、pアノード領域2の外周部のコーナー部以外に配置されたトレンチ(以下、第3トレンチとする)73の第4距離d
3よりも長くなっている。ここで、第1トレンチ71の第5距離e
1、第2トレンチ72の第5距離e
2および第3トレンチ73の第5距離e
3は同じ長さである(第4,第5距離については
図3参照)。また、第1〜第3トレンチの内部には、実施の形態1と同様に、絶縁膜(不図示)を介してポリシリコンなどによる埋め込み電極が設けられている。
【0062】
pアノード領域2の外周部のコーナー部は、pアノード領域2の外周部のうち、最も電界が集中する部分となっている。このため、上述したように第1トレンチ71の第4距離d
1および第2トレンチ72の第4距離d
2を長くすることで、pアノード領域2の外周部のうち、最も電界強度の高いコーナー部(トレンチ底面のコーナー部)を、電流が集中する部分(pアノード領域の下端部)から離すことができる。
【0063】
また、pアノード領域2の外周部のコーナー部の頂点に配置された第1トレンチ71は、隣り合う第2トレンチ72よりも、pアノード領域2の外側に延びた平面形状を有していてもよい。つまり、第1トレンチ71の第4距離d
1は、第2トレンチ72の第4距離d
2よりも長くてもよい。これにより、pアノード領域2の外周部のコーナー部うち、最も電界が集中するコーナー部の頂点を、電流が集中する部分から離すことができる。それ以外の構成は、実施の形態4と同様である。
【0064】
また、実施の形態3に示すように、pアノード領域2の内部にのみトレンチが設けられている場合においても適用可能である。この場合、第1トレンチ71の耐圧構造部側(不図示)の端部、および第2トレンチ72の耐圧構造部側の端部が、第3トレンチ73の耐圧構造部側の端部より、pアノード領域2とn
-ドリフト領域1の界面に近くなるように設けられる。また、第1トレンチ71の耐圧構造部側の端部が、pアノード領域2とn
-ドリフト領域1の界面に最も近く、かつ第3トレンチ73の耐圧構造部側の端部が、pアノード領域2とn
-ドリフト領域1の界面から最も遠くなるように設けてもよい。つまり、トレンチによって分離されずに連続した領域となっているpアノード領域2の外周端部の幅(第6距離:
図5参照)を、pアノード領域2の外周部のコーナー部またはpアノード領域2の外周部のコーナー部の頂点のみ短くしてもよい。
【0065】
以上、説明したように、実施の形態5によれば、実施の形態4と同様の効果を得ることができる。
【0066】
以上において本発明では、略矩形の平面形状を有するトレンチを例に説明しているが、上述した実施の形態に限らず、トレンチの平面形状を円形状としてもよいし、三角形状としてもよい。トレンチの平面形状を三角形状とする場合、三角形の頂点が耐圧構造部側となるようにトレンチを配置するのがよい。また、pアノード領域の外周部に設けられたトレンチの個数は一例であり、例えばpアノード領域の外周部のコーナー部にさらに複数のトレンチを設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように、本発明にかかる半導体装置は、例えばFWD(Free Wheeling Diode)などの半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0068】
1 n
-ドリフト領域
2 pアノード領域
3 アノード電極
4 層間絶縁膜
10 活性領域
21 ガードリング
20 耐圧構造部
31 トレンチ
32 絶縁膜
33 埋め込み電極