(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、ガラスの工業的な製造方法として、ガラス原料を溶融する工程と、溶融ガラスを清澄する工程と、清澄後のガラスを成形する工程とを備える方法が一般的に用いられている。ガラスの製造を行うための容器としては、耐火物により形成された容器や、PtまたはPtを含む合金により形成された容器などが挙げられる。
【0003】
例えば、窓ガラスなどのように、異物や泡に関してそれほど高い品位が求められないガラスを製造する場合には、ガラス製造用の容器として耐火物製の容器が用いられることもあるが、例えば、液晶ディスプレイなどのディスプレイ用の基板ガラスなどのように、異物や泡に関して高い品位が求められるガラスを製造する際には、PtやIrやRhなどの貴金属や、PtやIrやRhなどの貴金属を含む合金からなる容器が一般的に用いられる。この理由は、PtやIrやRhなどの貴金属や、貴金属を含む合金からなる容器(以下、「貴金属容器」とする。)をガラスの製造に用いた場合、溶融ガラス中に容器から異物などが混入しにくいためである。
【0004】
しかしながら、貴金属容器をガラスの製造に用いた場合、ガラス中の水分に起因する泡が貴金属容器の溶融ガラス側の表面に発生する場合がある。この泡が発生する原因は、ガラス中に含まれる水が分解することで生じた水素が貴金属容器を透過して外部に放出されることによって、貴金属容器の表面付近に位置する溶融ガラスの酸素濃度が増大するためであると考えられる。すなわち、下記の式(1)に示す反応により生じた水素ガスが貴金属容器を透過して外部に放出される一方、貴金属容器を透過しない酸素が貴金属容器の表面近傍に位置する溶融ガラス中に残存することにより、貴金属容器の表面付近に位置する溶融ガラスの酸素濃度が増大し、泡が発生するものと考えられる。
【0005】
OH
− → 1/2O
2 + 1/2H
2 + e
− ・・・ (1)
【0006】
このような問題に鑑み、例えば、下記の特許文献1〜5では、PtまたはPtを含む合金からなる容器(以下、「Pt容器」とする。)を用いた場合に、ガラス中の水分に起因する泡の発生を抑制できる方法が提案されている。
【0007】
例えば、下記の特許文献1では、ガラス中のβ−OHを約0.5/mm未満とすることにより、ガラス中の水分に起因する泡の発生を抑制する方法が記載されている。
【0008】
また、下記の特許文献2には、ガラス製造時に、Pt容器の外側の水素の分圧を、Pt容器の内側の水素の分圧に対して制御することにより、ガラス中の水分に起因する泡の発生を抑制する方法が記載されている。
【0009】
下記の特許文献3,4には、Pt容器の外表面にガラスのバリアコーティングを施してPt容器の水素透過性を減少させることにより、ガラス中の水分に起因する泡の発生を抑制する方法が記載されている。
【0010】
さらに、下記の特許文献5には、Pt容器の外表面に、アルミナ系セラミック粒子の全量に対しFeをFe
2O
3換算で0.2〜5wt%含有し、溶融ガラス温度域にFeレドックス(Fe
2+/Fe
2++Fe
3+)が上昇する変化点を有するアルミナ系セラミック粒子から形成される層を形成することにより、ガラス中の水分に起因する泡の発生を抑制する方法が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、ガラス中のβ−OHは溶融条件の影響を受けるため、特許文献1に記載の方法では、ガラスの溶融条件が制限される。このため、例えば、他の条件によってガラスの溶融条件に制限が課される場合には、泡の発生を十分に抑制できない場合がある。また、外乱によりガラスの溶融条件が変化することにより、泡が発生してしまうおそれもある。
【0013】
また、特許文献2に記載のように、Pt容器の外側の水素の分圧を高めることにより泡の発生を抑制しようとすると、Pt容器全体の周囲の水素分圧を一様に高める必要がある。しかしながら、高温雰囲気下においてPt容器の形状を保持するために、Pt容器を耐火物で囲う必要などがあるため、Pt容器全体の周囲の水素分圧を一様に高めることは困難である。例えば、Pt容器の一部分の周囲の水素分圧が所望の水素分圧よりも低い場合は、そのPt容器の一部分の内表面に泡が発生するおそれがある。
【0014】
また、特許文献3,4に記載のように、Pt容器の外表面に、ガラスのバリアコーティングを施すことにより泡の発生を抑制する方法の場合、泡の発生を確実に抑制するためには、Pt容器の外表面全面がバリアコーティング層により被覆されている必要がある。しかしながら、ガラス溶融に使用されるPt容器は、通常1000℃を超えるような高温下において使用されるため、経時的にバリアコーティング膜が変質したり収縮したりしてPt容器にバリアコーティング膜により覆われていない部分が生じる場合がある。また、一般的に、Pt容器と、バリアコーティング膜とは、熱膨張率が異なるため、Pt容器の温度変化に伴い、コーティング膜が剥離し、Pt容器にバリアコーティング膜により覆われていない部分が生じる場合がある。Pt容器にバリアコーティング膜により覆われていない部分が生じると、Pt容器のバリアコーティング膜により覆われていない部分の内表面に泡が発生するおそれがある。
【0015】
また、特許文献5に記載のように、Feレドックスが上昇する変化点を有するアルミナ系セラミックス粒子の層をPt容器の外表面に形成することにより泡の発生を抑制するためには、Pt容器と、アルミナ系セラミックス粒子の層との温度を一定に保つ必要がある。しかしながら、実際の製造工程においてガラス融液の温度を一定に保つことは困難である。従って、特許文献5に記載の方法により泡の発生を十分に抑制することは困難である。
【0016】
また、Feレドックスが上昇する変化点を有するアルミナ系セラミックス粒子の層に含まれるFeは、空気中の酸素と接触することにより酸化するため、特許文献5に記載の方法では、泡の発生を一時的にしか抑制できないおそれがある。
【0017】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、溶融ガラス中に泡が発生しにくいガラス製造用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述のように、貴金属容器をガラスの製造に用いた場合に、泡が発生するのは、下記の式(1)に示す反応により生じた水素ガスが貴金属容器を透過して外部に放出される一方、貴金属容器を透過しない酸素が貴金属容器の表面近傍に位置する溶融ガラス中に溶解することにより、貴金属容器の表面付近に位置する溶融ガラスの酸素濃度が増大するためであると考えられる。このため、泡の発生を抑制するひとつの方策として、下記式(1)の反応の進行を抑制することが考えられる。
【0019】
OH
− → 1/2O
2 + 1/2H
2 + e
− ・・・ (1)
【0020】
上記式(1)の反応の進行を抑制する方策としては、従来、Pt容器等の貴金属容器の外側(ガラス融液の反対側)における水素分圧を高くする方策が提案されている。しかしながら、上述の通り、貴金属容器の全体の外側において、水素分圧を一様に上昇させることは困難である。このことに鑑み、本発明者らは、上記式(1)の反応の進行を抑制できる他の方策について鋭意研究した。その結果、電子供与性物質を用いることにより、貴金属容器のガラス融液側の表面における電子(e
−)濃度を高めることができ、その結果、上記式(1)の反応の進行を抑制できることを見出し、本発明をなすに至った。
【0021】
すなわち、本発明に係るガラス製造用容器は、貴金属または貴金属を含む合金からなり、ガラス融液と接触する内表面と、ガラス融液と接触しない外表面とを有する容器本体と、容器本体の外表面に電気的に接続されており、使用温度において、容器本体に電子を供与する電子供与性物質からなる電子供与体とを備えている。
【0022】
本発明では、容器本体に電子を供与する電子供与性物質からなる電子供与体が、容器本体に電気的に接続されている。このため、使用温度、すなわち、ガラスの溶融が行われる500℃〜1800℃の温度範囲、より好ましくは、1000℃〜1800℃の温度範囲において、電子供与体から容器本体に電子が供給される。よって、本発明のガラス製造用容器を用いた場合、ガラス製造時において、容器本体における電子の濃度を高めることができる。その結果、上記式(1)の進行を抑制することができる。従って、ガラス製造時において、ガラス中に含まれる水分に起因する泡の発生を効果的に抑制することができる。
【0023】
このように、本発明において、泡の発生は、電子供与体から容器本体に電子が供与されることにより抑制される。また、容器本体は、導電性を有するため、電子供与体から容器本体に供給された電子は、容器本体内を自由に移動できる。よって、本発明の場合、電子供与体は、容器本体の外表面の少なくとも一部に電気的に接続されておればよく、容器本体の外表面の全面に接続されている必要は必ずしもない。すなわち、電子供与体は、容器本体の外表面の一部分に接触しており、容器本体の外表面には、電子供与体に接触していない部分があってもよい。例えば、容器本体の外表面の一部に電子供与体を接触させておけば本発明の効果が得られる。容器本体と電子供与体との間に外部から電圧を印加する必要もない。従って、本発明のガラス製造用容器は、作製が容易である。
【0024】
また、例えば、容器本体の外表面にバリアコーティング層を形成する場合は、バリアコーティング層に亀裂が入ったり、バリアコーティング層が容器本体から剥離したりすると、泡の発生を十分に抑制できなくなるが、本発明では、容器本体の外表面に電子供与体に接触していない部分が生じた場合でも、泡の発生を効果的に抑制することができる。
【0025】
このように、本発明においては、容器本体の外表面が電子供与体により被覆されている必要は必ずしもないため、電子供与体を膜状に形成する必要は必ずしもない。例えば、電子供与体は、粒子であってもよい。具体的には、例えば、耐火物からなる容器内に粒子状の電子供与体を敷き詰め、その上に、容器本体を配置してもよい。また、例えば、耐火物からなる容器内に、容器本体を配置し、容器本体と容器の内表面との間に粒子状の電子供与体を充填しても良い。これらの場合は、例えば、電子供与体を膜状に形成し、容器本体の外表面を電子供与体により被覆する場合と比較して、より容易にガラス製造用容器を作製することができる。
【0026】
但し、容器本体に電子を効率的に供給し、ガラス中の水に起因する泡の発生をより効果的に抑制する観点からは、容器本体の外表面のうち、電子供与体に接触している部分の面積が大きい方が好ましく、容器本体の外表面の全面に電子供与体が接触していることがより好ましい。
【0027】
従って、例えば、容器本体の外表面の全面と耐火物からなる容器の内表面との間に粒子状の電子供与体を充填することが好ましい。また、電子供与性物質の焼結体からなる膜により容器本体の外表面の全面を覆うことがより好ましい。
【0028】
なお、本発明において、「ガラス製造用容器」とは、ガラス融液と接触する内表面と、ガラス融液と接触しない外表面とを有する部材のことを意味する。このため、「ガラス製造用容器」には、ガラス融液を溜めておくことができる部材、ガラス融液を輸送するためのパイプ、成形用部材等が含まれる。ここで、「成形用部材」とは、ガラス融液を所定の形状を有する部材に成形するために用いられる部材をいう。従って、「成形用部材」には、成型用スリーブ、ダウンドロー法に用いられる樋状の成形体、ノズル等が含まれる。
【0029】
本発明において、容器本体は、貴金属または貴金属を含む合金からなるものである限りにおいて、特に限定されない。但し、本発明のガラス製造用容器は、高温雰囲気下において使用されるものであるため、容器本体は、高温雰囲気下においてある程度以上の剛性を有するものであることが好ましい。容器本体は、例えば、Pt、Ir、Rh若しくはPt、Ir、Rhのうちの少なくとも一種を含む合金からなることが好ましい。中でも、容器本体は、PtまたはPtを含む合金からなることが好ましい。
【0030】
また、容器本体には、容器本体の剛性を向上するため、例えば、ZrやZr酸化物などの他の金属や金属酸化物がドープされていても良い。すなわち、本発明において、容器本体には、貴金属または貴金属を含む合金に他の元素がドープされていてもよい。
【0031】
電子供与性物質は、容器本体に電子を供与できるものである限りにおいて特に限定されない。
【0032】
電子供与性物質は、例えば、フェルミ準位が、容器本体のフェルミ準位よりも高いエネルギー準位に位置している物質であってもよい。そのよう物質の例としては、室温、すなわち25℃においてn型特性を示すn型酸化物セラミックなどのn型セラミック等が挙げられる。なお、本発明において、フェルミ準位が高いとは、真空準位に近いことを意味し、フェルミ準位が低いとは、真空準位から遠いことを意味する。
【0033】
電子供与性物質の好ましい具体例としては、例えば、Zn、Mg、Ti、Sn及びAlからなる群から選ばれた1種以上の金属を含む酸化物が挙げられる。より具体的には、電子供与性物質としては、例えば、ZnO、SnO
2、TiO
2、SrTiO
3などが挙げられる。中でも、より好ましい電子供与性物質としては、熱励起するn型内因性半導体セラミックの一種であるZnOセラミックや、Alなどの金属をドープしたZnOセラミックなどが挙げられる。
【0034】
本発明においては、電子供与体には、電子受容体が電気的に接続されていることが好ましい。後述の実施例の結果に示すとおり、電子供与体に電子受容体を電気的に接続することにより、泡の発生をより効果的に抑制できるからである。これは、電子供与体と電子受容体との接触面でpn接合ができ、その接合面で熱エネルギーにより電子が励起されることで電子供与体の電子供与能が高まるからであると考えられる。
【0035】
電子受容体は、電子供与体に接触している限りにおいて、容器本体に接触していてもよいし、容器本体に接触していなくてもよいが、後述の実施例の結果に示すように、電子供与体と容器本体とのうち、電子供与体のみに接触しているほうが泡の発生をより効果的に抑制できるため、より好ましい。
【0036】
電子受容体は、フェルミ準位が電子供与性物質のフェルミ準位よりも低いエネルギー準位に位置しているものであることが好ましい。電子受容体は、例えば、室温、すなわち25℃においてp型特性を示すp型酸化物セラミックなどのp型セラミックであってもよい。具体的には、電子受容体は、例えば、Cu、Ni、Co、Mn及びLiからなる群から選ばれた1種以上の金属を含む酸化物からなるp型酸化物セラミックであってもよい。中でも、電子受容体は、LiがドープされたNiOであることが好ましい。
【0037】
なお、電子受容体のフェルミ準位は、容器に使用されるPt等の貴金属のフェルミ準位より高いことが好ましい。例えば、施工時に電子受容体がPt等の貴金属容器に誤って接触するような箇所ができた場合に、電子受容体のフェルミ準位が容器に使用される貴金属のフェルミ準位より低いと、貴金属界面の泡の発生を促進してしまうおそれがあるからである。
【0038】
本発明に係るガラス製造装置は、上記本発明に係るガラス製造用容器を備えるものである。従って、本発明に係るガラス製造装置を用いることにより、ガラス内部に残存する泡が少ないガラスを製造することができる。
【0039】
本発明のガラス製造装置は、ガラス原料の溶解を行うための溶融用容器と、溶融されたガラスを清澄するための清澄用容器と、清澄したガラス融液を攪拌するための攪拌用容器と、ガラス融液を成形するための成形用部材と、溶融用容器と清澄用容器とを接続する接続通路が形成されている第1の接続部材と、清澄用容器と攪拌用容器とを接続する接続通路が形成されている第2の接続部材と、攪拌用容器と成形用部材とを接続する接続通路が形成されている第3の接続部材とを備え、溶融用容器、清澄用容器、攪拌用容器、成形用部材及び第1〜第3の接続部材のうちの少なくともひとつが上記本発明に係るガラス製造用容器により構成されているものであってもよい。中でも、溶融用容器及び第1の接続部材を除いた、清澄用容器、攪拌用容器、成形用部材並びに第2及び第3の接続部材のそれぞれが上記本発明に係るガラス製造用容器により構成されていることが好ましい。この構成によれば、ガラス内に泡が残存することをより効果的に抑制することができる。
【0040】
本発明に係るガラスの製造方法は、上記本発明に係るガラス製造装置を用いるものである。従って、本発明に係るガラスの製造方法によれば、ガラス内部に残存する泡が少ないガラスを製造することができる。
【0041】
本発明において、製造対象となるガラスは特に限定されないが、β−OHが0.1/mm以上であるガラスを製造する際には、泡が発生しやすいため、本発明がより好適に適用される。さらには、β−OHが0.3/mm以上、より好ましくは0.4/mm以上のガラスの製造に、本発明がより好適に適用される。
【0042】
なお、本発明において「β−OH」とは、ガラス中に含まれる水分量を示す指標であり、以下の式により表される。
【0043】
(β−OH)=(1/X)log10(T
1/T
2)
【0044】
但し、
X:ガラスの厚さ(mm)、
T
1:参照波長3846cm
−1(=2600nm)における透過率(%)、
T
2:水酸基吸収波長3600cm
−1(=2800nm)付近(3400cm
−1〜3700cm
−1)における極小透過率(%)、
である。
【0045】
また、ディスプレイ用ガラス基板を製造する場合、泡がガラス中に残存していないことがより強く望まれるため、本発明がより好適に適用される。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、ガラス製造時において、ガラス中に含まれる水分に起因する泡の発生を効果的に抑制することができ、ガラス中に泡が残存することを効果的に抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明するが、本発明は、下記の実施形態に何ら限定されるものではない。
【0049】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のガラス製造用容器の略図的断面図である。本実施形態では、
図1を参照して、ガラス製造用容器の一種であるガラス製造用容器10について説明する。
【0050】
図1に示すように、ガラス製造用容器10は、容器本体11と、電子供与体12、電子受容体13とを備えている。ガラス製造用容器10は、耐火物15に形成された凹部15a内に配置されている。具体的には、凹部15a内に容器本体11が配置されている。容器本体11と、耐火物15との間には、電子供与体12と電子受容体13とが、容器本体11側からこの順番で配置されている。
【0051】
なお、本実施形態のガラス製造用容器10には、交流電源もしくは別途の加熱体が配置されており、ガラス製造用容器10は、交流電源による直接加熱もしくは別途の加熱体によって加熱されるものである。
【0052】
容器本体11は、貴金属または貴金属を含む合金からなる。貴金属の具体例としては、例えば、Pt、Au、Ir、Rhなどが挙げられる。貴金属を含む合金の例としては、Pt−Rh合金、Pt−Au合金、Ir−Rh合金、Pt−Ir合金などが挙げられる。中でも、容器本体11は、PtまたはPtを含む合金により形成されていることが好ましい。PtまたはPtを含む合金は高温下における強度が比較的高く、溶融ガラスへの溶出も少ないためである。
【0053】
また、容器本体11には、剛性や強度を向上することなどを目的として、ZrやZr酸化物などの他の金属や金属酸化物などの他の元素をドープしてもよい。例えば、容器本体11は、ZrがドープされたPtからなるものであってもよい。
【0054】
本実施形態では、容器本体11は、碗状に形成されており、容器本体11には、ガラス融液14が溜められる凹部11aが形成されている。すなわち、容器本体11は、ガラス融液14と接触する内表面11bと、ガラス融液14とは接触しない外表面11cとを有している。
【0055】
容器本体11の外表面11cには、電子供与体12が電気的に接続されている。具体的には、本実施形態では、容器本体11の外表面11cと直接接触するように、電子供与体12が設けられている。より具体的には、電子供与体12は、容器本体11の外表面11cのうち、凹部11aの外側に位置する部分の全面に接触するように配置されている。
【0056】
ここで、電子供与体12とは、500℃〜1800℃の温度範囲、好ましくは、1000℃〜1800℃の温度範囲のうちの少なくとも一部の温度範囲において、容器本体11に電子を供与する電子供与性物質からなるものである。すなわち、電子供与体12とは、ガラスを溶融するときの温度にまで加熱されたときに、容器本体11に電子を供与する電子供与性物質からなるものである。このため、本実施形態のガラス製造用容器10を用いてガラスを溶融した場合、ガラスの溶融中に、電子供与体12から容器本体11に電子(e
−)が供給されるため、酸素の泡を発生させる下記式(1)の進行を抑制することができる。従って、酸素の泡の発生を抑制することができる。
【0057】
OH
− → 1/2O
2 + 1/2H
2 + e
− ・・・ (1)
【0058】
本実施形態では、容器本体11が貴金属または貴金属を含む合金からなるため、容器本体11は導電性を有している。このため、電子供与体12から容器本体11に供給された電子は、容器本体11内を自由に移動できる。よって、容器本体11の一部に電子を共有することができれば、容器本体11の全体における電子濃度を高めることができる。従って、上記式(1)の進行を電子の供給により抑制する場合は、容器本体11の外表面11cの少なくとも一部に電子供与体12が電気的に接続されていればよい。例えば、容器本体11の外表面11cに、電子供与体12が電気的に接続されていない部分があってもよい。従って、本実施形態のガラス製造用容器10は、作製が容易である。
【0059】
また、容器本体の外表面にバリアコーティング層を形成する場合は、バリアコーティング層に亀裂が入ったり、バリアコーティング層が容器本体から剥離したりすると、泡の発生を十分に抑制できなくなるが、本実施形態のガラス製造用容器10では、容器本体11の外表面11cに電子供与体12に接触していない部分が生じた場合でも、泡の発生を効果的に抑制することができる。
【0060】
本実施形態において、電子供与性物質は、ガラスの溶融温度において、容器本体11に電子を供給可能な物質である限りにおいて特に限定されない。電子供与性物質は、例えば、金属であってもよいし、酸化物であってもよい。また、電子供与体12は、酸化物セラミックなどのセラミックであってもよい。
【0061】
また、電子供与体12は、粒子であってもよいし、例えば、セラミックである場合においては、焼結体の膜であってもよい。本実施形態においては、容器本体11の外表面11cが電子供与体12により完全に被覆されている必要はないため、電子供与体12が粒子であっても、泡の発生を抑制できる効果が十分に奏される。
【0062】
本実施形態では、具体的には、電子供与性物質からなる粒子により形成された層により構成されている電子供与体12が容器本体11の外表面11cのうち、凹部11aの外側に位置する部分の全面に接触するように充填されている。この構成の場合、容器本体11の形状寸法に関わらず、容易に電子供与体12を配置することができる。
【0063】
電子供与性物質は、例えば、フェルミ準位が、容器本体11のフェルミ準位よりも高いエネルギー準位に位置している、n型酸化物セラミックなどのn型セラミックであってもよい。
【0064】
電子供与性物質の好ましい具体例としては、例えば、Zn、Mg、Ti、Sn及びAlからなる群から選ばれた1種以上の金属を含む酸化物が挙げられる。より具体的には、電子供与性物質としては、例えば、ZnO、SnO
2、TiO
2、SrTiO
3などが挙げられる。中でも、より好ましい電子供与性物質としては、熱励起するn型内因性半導体セラミックの一種であるZnOセラミックや、Alなどの金属をドープしたZnOセラミックが挙げられる。
【0065】
また、本実施形態では、電子供与体12に電気的に接続するように設けられた電子受容体13をさらに備えている。具体的には、電子受容性物質からなる粒子により構成された層からなる電子受容体13が、電子供与体12に接触するように配置されている。電子受容体13は、電子供与体12の外側において、容器本体11の凹部11aの外側に位置する部分には接触しないように設けられている。
【0066】
このように、電子供与体12に電気的に接続するように電子受容体13を配置することにより、下記の実施例によっても裏付けられるように、ガラス融液中の水やOH
−イオンに起因する泡の発生を効果的に抑制することができる。
【0067】
電子受容体13は、フェルミ準位が電子供与性物質のフェルミ準位よりも低いエネルギー準位に位置しているものであることが好ましい。電子受容体13は、例えば、室温、すなわち25℃においてp型特性を示すp型酸化物セラミックなどのp型セラミックであってもよい。具体的には、電子受容体13は、例えば、Cu、Ni、Co、Mn及びLiからなる群から選ばれた1種以上の金属を含む酸化物からなるp型酸化物セラミックであってもよい。中でも、電子受容体13は、LiがドープされたNiOであることが好ましい。
【0068】
電子受容体13は、例えば、p型酸化物セラミックなどのp型セラミックであってもよい。具体的には、電子受容体13は、例えば、Cu、Ni、Co、Mn及びLiからなる群から選ばれた1種以上の金属を含む酸化物からなるp型酸化物セラミックであってもよい。より具体的には、電子受容体13の例としては、例えば、LiがドープされたNiO、LiがドープされたCoO、LiがドープされたFeO、LiがドープされたMnO、BaがドープされたBi
2O
3、MgがドープされたCr
2O
3、SrがドープされたLaCrO
3、SrがドープされたLaMnO
3Cu
2O、CuAlO
2、NaCo
2O
4、CaMnO
3、などが挙げられる。中でも、電子受容体13は、LiがドープされたNiOであることが好ましい。その場合、例えば施工時に電子受容体13がPt等の貴金属容器に誤って接触しても、泡の発生を促進し難い。
【0069】
なお、電子受容体13は、容器本体11に直接接触するように配置されていてもよいが、容器本体11に電子を供与する部材は、電子供与体12であるため、容器本体11と電子供与体12との接触面積をより多くして、電子受容体13は、容器本体11に直接接触しないように配置することが好ましい。
【0070】
上記の泡の発生を抑制できる効果は、どのような種類のガラスを溶融する際にも得られるものである。従って、本実施形態のガラス製造用容器10は、どのような種類のガラスの溶融にも好適に用いられるものである。ガラス製造用容器10は、例えば、珪酸塩ガラス、硼珪酸塩ガラス、硼リン酸ガラス、リン酸塩ガラスなどの溶融に好適に用いられる。中でも、β−OHが0.1/mm以上であるガラスを製造する際には、泡が発生しやすいため、本実施形態のガラス製造用容器10は、β−OHが0.1/mm以上であるガラスの製造により好適に用いられる。さらには、β−OHが0.3/mm以上、より好ましくは0.4/mm以上のガラスの製造に、本実施形態のガラス製造用容器10がより好適に適用される。
【0071】
また、ディスプレイ用ガラス基板を製造する場合、泡がガラス中に残存していないことがより強く望まれるため、本実施形態のガラス製造用容器10は、ディスプレイ用ガラス基板の製造により好適に用いられる。
【0072】
本実施形態のガラス製造用容器10の作製方法は特に限定されないが、例えば、以下の要領で作製することができる。
【0073】
まず、耐火物15を用意する。耐火物15の上方に、電子供与体12と電子受容体13とを形成するための例えば紙などのシートを配置し、さらにその上方に、容器本体11を配置する。そして、シートと耐火物15との間に電子受容性物質からなる粒子を充填することにより電子受容体13を形成すると共に、シートと容器本体11との間に電子供与性物質からなる粒子を充填することにより電子供与体12を形成する。この方法によれば、例えば、電子供与体12と電子受容体13とのそれぞれを膜状に形成する場合と比べて、非常に簡単にガラス製造用容器10を作製することができる。また、容器本体11が複雑な形状を有する場合でも、ガラス製造用容器10を容易に作製することができる。さらに、容器本体11に予め成膜しておく必要がなく、ガラス製造装置を組み立てる際に、電子供与体12と電子受容体13とを容易に形成することができる。
【0074】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、本発明を実施したガラス製造用容器の例として、ガラス製造用容器10を例に挙げて説明した。但し、本発明において、ガラス製造用容器は、ガラス製造用容器10に限定されない。ガラス製造用容器は、例えば、ガラス融液搬送用のパイプであってもよい。本実施形態では、ガラス製造用容器の一種であるガラス融液搬送用パイプについて、
図2を参照しながら説明する。
【0075】
なお、本実施形態の説明において、上記第1の実施形態と実質的に同様の機能を有する部材を同じ符号で参照し、説明を省略する。
【0076】
図2は、第2の実施形態のガラス融液搬送用パイプの略図的横断面図である。
図2に示すように、本実施形態のガラス融液搬送用パイプ20では、容器本体11は、筒状に形成されている。そして、電子供与体12は、容器本体11を覆うように配置されている。さらに、電子供与体12の外側には、電子供与体12を覆うように、電子受容体13が配置されている。
【0077】
本実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に、容器本体11に電子供与体12が接触しているため、容器本体11に電子を供与することができる。従って、ガラス融液中の水やOH
−イオンに起因する酸素ガスの発生を効果的に抑制することができる。さらに、本実施形態においても、電子受容体13が設けられているため、酸素ガスの発生をより効果的に抑制することができる。
【0078】
(第3の実施形態)
本実施形態では、第1及び第2の実施形態で説明したガラス製造用容器10及びガラス融液搬送用パイプ20を用いたガラス製造装置について、
図3を参照しつつ説明する。なお、本実施形態のガラス製造装置は、オーバーフローダウンドロー法によりディスプレイ用のガラス基板を成形するための装置である。
【0079】
図3に示すように、ガラス製造装置1は、溶融用容器31と、清澄用容器32と、攪拌用容器33と、ポット34と、成形用部材35(forming member)と、図示しない発熱体とを備えている。溶融用容器31は、投入されたガラス原料(バッチ)の溶解を行うための容器である。溶融用容器31は、第1の接続部材36の内部に形成されている第1の接続通路36aによって、清澄用容器32に接続されている。清澄用容器32は、溶融用容器31から共有されたガラス融液を清澄するための容器である。清澄用容器32は、第2の接続部材37の内部に形成されている第2の接続通路37aによって、攪拌用容器33に接続されている。攪拌用容器33は、清澄されたガラス融液を攪拌し、均一化させるための容器である。攪拌用容器33は、第3の接続部材38の内部に形成されている第3の接続通路38aと、ポット34と、パイプ39とによって成形用部材35に接続されている。
【0080】
本実施形態では、上記容器31〜33、ポット34、接続部材36〜38、パイプ39及び成形用部材35のうちの少なくともひとつが上記ガラス製造用容器10またはガラス融液搬送用パイプ20により構成されている。具体的には、溶融用容器31及び成形用部材35が耐火物からなる耐火物炉により構成されており、清澄用容器32,攪拌用容器33、ポット34、接続部材36〜38及びパイプ39のそれぞれが上記ガラス製造用容器10またはガラス融液搬送用パイプ20により構成されている。このため、本実施形態のガラス製造装置1によれば、ガラス中に泡が残存することが抑制されたガラスを製造することができる。
【0081】
なお、溶融用容器31も上記ガラス製造用容器10により構成してもよいが、清澄用容器32よりも上流側のガラス製造用容器に関しては、本発明を実施したガラス製造用容器を適用する必要は必ずしもない。
【0082】
以下、ガラス製造用容器の変形例について説明する。なお、以下の変形例の説明において、上記実施形態と実質的に共通の機能を有する部材を共通の符号で参照し、説明を省略する。
【0083】
(第1の変形例)
上記第1及び第2の実施形態では、電子供与体12と電子受容体13とのそれぞれが、多数の粒子からなる層により構成されている場合について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、電子供与体12と電子受容体13とのそれぞれは、例えば、膜であってもよい。より具体的には、電子供与体12と電子受容体13とのそれぞれは、セラミック焼結体の膜であってもよい。その場合、電子供与体12と容器本体11との間の接触面積及び電子供与体12と電子受容体13との接触面積を大きくできるため、泡の発生をより効果的に抑制することができる。
【0084】
(第2及び第3の変形例)
図4は、第1の実施形態の変形例である第2の変形例のガラス製造用容器の略図的断面図である。
図5は、第2の実施形態の変形例である第3の変形例のガラス融液搬送用パイプの略図的横断面図である。
【0085】
上記第1及び第2の実施形態では、電子受容体13が設けられている場合について説明したが、第2及び第3の変形例では、上記
図4及び
図5に示すように、電子供与体12のみが設けられており、電子受容体13が設けられていない。この場合であっても、ガラス融液中の水やOH
−イオンに起因する泡の発生を効果的に抑制することができる。
【0086】
(第4及び第5の変形例)
上記第1の実施形態では、容器本体11の凹部11aの外側部分の全面に電子供与体12を接触させる場合について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、第4の変形例では、
図6に示すように、容器本体11のガラス融液14の界面との接触部近傍の外側にのみ電子供与体12を接触させている。また、第5の変形例では、
図7に示すように、容器本体11の底部の外側にのみ電子供与体12を接触させている。
【0087】
容器本体11のどの部分に電子供与体12を接触させるかは、容器本体11の内表面11bのどの部分で泡が発生しやすいかによって適宜決定することができる。
【0088】
以下、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
【0089】
(第1の実験例)
本実験例では、ガラス製造用容器に電子供与体を接触させることにより得られる効果を確認する実験を行った。具体的には、まず、
図8に示すように、電子供与性物質の粉末からなる電子供与体12の粉末の上に、Ptからなるプレート40を配置し、そのPtプレート40の上にガラス41を載置し、1550℃で15分放置した後、室温にまで冷却し、ガラス中の泡を目視観察した。また、第1の比較例として、電子供与体12を設けなかった場合についても同様の実験を行い、ガラス中の泡を目視観察した。なお、第1の実験例及び第1の比較例では、日本電気硝子社製Li
2O−Al
2O
3−SiO
2系ガラス:ネオセラム(β−OH:0.4/mm)を用いた。
【0090】
図9に示す写真は、電子供与体12を設けなかった場合のガラスの写真である。
図9に示すように、電子供与体12を設けなかった場合は、ガラス中に大きな直径の泡がガラス全体に多数残存した。
【0091】
図10〜
図13のそれぞれは、電子供与体12として、それぞれ、ZnOの粉末、SnO
2の粉末、TiO
2の粉末、SrTiO
3の粉末を設けた場合のガラスの写真である。
図10〜
図13に示すように、電子供与体12を容器本体としてのPtプレート40に接触させた場合は、ガラス中における泡の残存を効果的に抑制できた。この結果から、電子供与体を容器本体に接触させることにより泡の発生を抑制できることが分かる。ただし、その効果には差があり、TiO
2の効果は比較的小さいが、ZnOを電子供与体12として用いた場合に泡が少なくなったことから、ZnOを電子供与体12として用いることが好ましいことが分かる。
【0092】
なお、
図11〜
図13に示す場合も、ガラス中に泡が残存しているが、
図11〜
図13のいずれにおいても、中央部の泡の数が少なくなっており、また、
図12においては、泡の直径が小さくなっていることから、泡の発生が抑制されていることが分かる。
【0093】
(第2の実験例)
本実験例では、電子受容体を設けることによる効果を確認する実験を行った。具体的には、
図14に示すように、Ptプレート40の中央部に上記第1の実験例と同様の電子供与体12を接触させると共に、Ptプレート40の周辺部にLiを固溶させたNiOの粉末からなる電子受容体13を接触させた。そして、上記第1の実験例と同様に、ガラス41を配置し、1550℃で15分放置した後、室温にまで冷却し、ガラス中の泡を目視観察した。また、第2の比較例として、電子供与体12及び電子受容体13を設けなかった場合についても同様の実験を行い、ガラス中の泡を目視観察した。なお、第2の実験例及び第2の比較例では、日本電気硝子社製無アルカリガラスOA−10(β−OH:0.55/mm)を用いた。
【0094】
図15は、第2の比較例により得られたガラスの写真である。
図15に示すように、電子供与体12及び電子受容体13を設けなかった場合は、ガラスの全体に多数の泡が発生した。本実験例で使用したガラスは、上記第1の実験例で使用したガラスよりもβ−OHが多いガラスであったため、特に多くの泡が発生した。
【0095】
それに対して、
図16は、第2の実験例により得られたガラスの写真である。
図16に示すように、第2の実験例の方が、第2の比較例よりも、泡の数が少なく、ガラスの周辺部においては、泡が特に少なかった。この結果から、電子供与体12及び電子受容体13を容器本体に接触させた場合においても、泡の発生を抑制できることが分かる。
【0096】
(第3の実験例)
本実験例では、
図17に示すように、Ptプレート40の全面に電子供与体12を接触させ、電子受容体13を電子供与体12の下面にのみ接触させ、Ptプレート40に接触させないようにした以外は、上記第2の実験例と同様の実験を行った。
図18にその結果を示す。
図18に示すように、本実験例においては、ほとんど泡は残存していなかった。この結果から、容器本体に電子供与体を接触させ、電子供与体の容器本体とは反対側の面に電子受容体を接触させることにより、特に効果的に泡の発生を抑制できることが分かる。
【0097】
(第4の実施例)
上記第1の実施形態に示すガラス製造用容器10を用いて、日本電気硝子社製無アルカリガラスOA−10(β−OH:0.55/mm)の溶融を行い、室温にまで冷却した後に、ガラス中の泡を目視確認した。第4の比較例として、電子供与体12及び電子受容体13を設けない場合についても、同様に、日本電気硝子社製無アルカリガラスOA−10の溶融を行い、室温にまで冷却した後に、ガラス中の泡を目視確認した。その結果、を
図19及び
図20に示す。
図19及び
図20に示すように、電子供与体12及び電子受容体13を設けなかった場合は、側面及び底面に泡が多数残存したのに対して、電子供与体12及び電子受容体13を設けた場合は、容器本体11の側面及び底面の両方に泡がほとんど観察されなかった。この結果からも、電子供与体12及び電子受容体13を設けることにより、泡の発生を効果的に抑制できることが分かる。