(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
それぞれ左右に長い上側の金型と下側の金型とを備え、これら上下の金型の相対的な上下移動により、上下の金型間に位置する板材にプレス加工を行うプレス機械において、
前記上側の金型を、同金型を支持する支持部材に対し金型固定手段により高さ調整可能に固定し、
この高さ調整可能な金型とその支持部材との間の左右方向の複数箇所に、金型と接する面が前後方向に傾斜し金型側に凸または凹の円筒面であって、金型に対し前後方向および前記円筒面に沿う円周方向に摺動自在な中間くさび部材を介在させ、
この中間くさび部材を、その円筒面の中心軸方向に沿う方向である前後方向に移動させてその位置を変更させる前後位置変更手段を設け、
前記中間くさび部材は、前記上側の金型とその支持部材との間に介在し、前記上側の金型は左右方向に分割された複数の金型分割体からなり、各金型分割体の上面の左右2箇所に設けた円筒面状の凹部または凸部に、2個の前記中間くさび部材の前記円筒面がそれぞれ前後方向および前記円筒面に沿う円周方向に摺動自在に接するプレス機械の中垂れ調整装置。
前記金型固定手段は、上端が前記支持部材の鉛直面に接する状態で左右方向位置を変更可能に固定され、下端に前記金型分割体が固定される固定用部材を有し、この固定用部材は、前記鉛直面の反対側から押付け部材により前記鉛直面に押付けられることで前記支持部材に固定されるものであり、前記支持部材の前記鉛直面に、左右方向に沿う上向きの段面を設けると共に、前記固定用部材に、前記段面に引っ掛かることで固定用部材の落下を規制する引っ掛かり部を設けた請求項1または請求項2に記載のプレス機械の中垂れ調整装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のくさび状部材を用いる手法は、金型分割体自体の姿勢を調整することはできないため、各金型分割体の高さ調整を行うと、
図11に示すように、各金型分割体4Aが階段状に配置された状態となる。これでは、可動側の金型4と固定側の金型2とで板材ワークWを曲げ加工するとき、可動側の金型4に、板材ワークWに対し強く当たる部分と弱く当たる部分とが生じ、良好な曲げ加工を行えない。図例は、可動側の金型が上型であるが、可動側の金型が下型の場合も同様である。
【0006】
偏心軸を用いる手法は、各金型分割体4Aの姿勢を調整できるため上記問題はないが、以下に記述する別の問題がある。
偏心軸を用いた可動型支持部の一例を
図12に示す。この可動型支持部は、可動側の金型が上型4であって、可動型支持部材100の下端に前後一対の取付板101を取付け、前後両取付板101の間に上端が可動型支持部材100に接する状態で調整板102を介在させ、この調整板102の下端に接続板103を介してホルダ104を取付け、このホルダ104に上型4を取付けている。取付板101と調整板102とは、偏心軸105により互いに連結されている。すなわち、偏心軸105の両側の軸部105aは前後の取付板101に形成された軸孔101aにそれぞれ嵌合し、中央の軸部105bは、調整板102に形成された軸孔102aに嵌合している。調整板102の上端が可動型支持部材100に接する状態を保持したまま、偏心軸105の位相を変更することで、調整板102に対する前後一対の取付板101の高さが変り、上型4の高さが変更される。
【0007】
この可動型支持部の構造であると、曲げ加工時に可動型支持部に作用する力Fは、取付板101の軸孔101aと偏心軸105の軸部105aとの接触部で受けられ、さらに調整板102の軸孔102aと偏心軸105の軸部105bとの接触部で受けられる。これら接触部のうち接触面積の小さい方の接触部により、加圧に対する耐力が決定される。上記各接触部は、いずれも接触面積は大きくとることができないため、十分な耐力を確保することが難しい。
【0008】
この発明の目的は、プレス加工時における上側の金型と下側の金型との相対的な位置関係を適正に保つことができ、加圧に対して十分な耐力を確保することが可能なプレス機械の中垂れ調整装置を提供することである。
この発明の他の目的は、プレス加工時における上側の金型と下側の金型との相対的な位置関係をより一層適正に保つことができるようにすることである。
この発明のさらに他の目的は、中間くさび部材の高さを低くし、かつ左右位置を調整し易くすることである。
この発明のさらに他の目的は、上側の金型と下側の金型との相対的な位置関係を調整する作業を容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のプレス機械の中垂れ調整装置は、それぞれ左右に長い上側の金型と下側の金型とを備え、これら上下の金型の相対的な上下移動により、上下の金型間に位置する板材にプレス加工を行うプレス機械に適用される。前記上側の金
型を、同金型を支持する支持部材に対し金型固定手段により高さ調整可能に固定し、この高さ調整可能な金型とその支持部材との間の左右方向の複数箇所に、金型と接する面が前後方向に傾斜し金型側に凸または凹の円筒面であって、金型に対し前後方向および前記円筒面に沿う円周方向に摺動自在な中間くさび部材を介在させ、この中間くさび部材
を、その円筒面の中心軸方向に沿う方向である前後方向に移動させてその位置を変更させる前後位置変更手段を設けた。
【0010】
中間くさび部材は金型と接する面が前後方向に傾斜しているため、前後位置変更手段により中間くさび部材の前後位置を変更すると、金型の上下高さが変わる。また、中間くさび部材は金型と接する面が金型側に凸または凹の円筒面であるため、中間くさび部材に対し金型を上記円筒面の中心軸回り位置変更して、金型を傾斜させることができる。これらのことから、上側の金型と下側の金型との相対的な位置関係を適正に保つことができる。金型がどの傾斜姿勢であっても、中間くさび部材と金型とが面で接触した状態に保たれるため、常に加圧に対して十分な耐力を確保できる。
【0011】
前記中間くさび部材は、前記上側の金型とその支持部材との間に介在し、前記上側の金型は左右方向に分割された複数の金型分割体からなり、各金型分割体の上面の左右2箇所に設けた円筒面状の凹部または凸部に、2個の前記中間くさび部材の前記円筒面がそれぞれ前後方向および前記円筒面に沿う円周方向に摺動自在に接す
る。
上側の金型を左右方向に分割された複数の金型分割体で構成することにより、上側の金型と下側の金型との相対的な位置関係を、左右方向の各部ごとに調整することができる。各金型分割体の上面の左右2箇所に設けた円筒面状の凹部または凸部に、2個の中間くさび部材の円筒面が接する構成
であるため、各金型分割体の上下位置調整および傾き調整をできる。
【0012】
上記構成とする場合、前記中間くさび部材は、前記円筒面と上下反対側の面である上面が水平面であるのが良い。
中間くさび部材の上面が水平面であると、中間くさび部材の高さを低くできる。また、上面が水平面であると、中間くさび部材を上側の金型の支持部材に対し左右に容易にスライドさせることができ、中間くさび部材の左右位置を調整しやすい。
【0013】
また、前記金型固定手段は、上端が前記支持部材の鉛直面に接する状態で左右方向位置を変更可能に固定され、下端に前記金型分割体が固定される固定用部材を有し、この固定用部材は、前記鉛直面の反対側から押付け部材により前記鉛直面に押付けられることで前記支持部材に固定されるものであり、前記支持部材の前記鉛直面に、左右方向に沿う上向きの段面を設けると共に、前記固定用部材に、前記段面に引っ掛かることで固定用部材の落下を規制する引っ掛かり部を設けるのが良い。
この構成であると、押付け部材による押付けが解除された状態で、固定用部材を左右方向にずらせることにより、金型分割体の左右位置調整を行える。その際、支持部材の段面に固定用部材の引っ掛かり部が引っ掛かって固定用部材の落下が規制されるため、上記左右位置調整作業を行い易い。
【発明の効果】
【0014】
この発明のプレス機械の中垂れ調整装置は、それぞれ左右に長い上側の金型と下側の金型とを備え、これら上下の金型の相対的な上下移動により、上下の金型間に位置する板材にプレス加工を行うプレス機械において、
前記上側の金
型を、同金型を支持する支持部材に対し金型固定手段により高さ調整可能に固定し、
この高さ調整可能な金型とその支持部材との間の左右方向の複数箇所に、金型と接する面が前後方向に傾斜し金型側に凸または凹の円筒面であって、金型に対し前後方向および前記円筒面に沿う円周方向に摺動自在な中間くさび部材を介在させ、
この中間くさび部材
を、その円筒面の中心軸方向に沿う方向である前後方向に移動させてその位置を変更させる前後位置変更手段を設けたため、プレス加工時における上側の金型と下側の金型との相対的な位置関係を適正に保つことができ、加圧に対して十分な耐力を確保することが可能である。
【0015】
前記中間くさび部材は、前記上側の金型とその支持部材との間に介在し、前記上側の金型は左右方向に分割された複数の金型分割体からなり、各金型分割体の上面の左右2箇所に設けた円筒面状の凹部または凸部に、2個の前記中間くさび部材の前記円筒面がそれぞれ前後方向および前記円筒面に沿う円周方向に摺動自在に接する
ため、プレス加工時における上側の金型と下側の金型との相対的な位置関係をより一層適正に保つことができる。
【0016】
前記中間くさび部材は、前記円筒面と上下反対側の面である上面が水平面である場合は、中間くさび部材の高さを低くし、かつ左右位置を調整し易い。
【0017】
前記金型固定手段は、上端が前記支持部材の鉛直面に接する状態で左右方向位置を変更可能に固定され、下端に前記金型分割体が固定される固定用部材を有し、この固定用部材は、前記鉛直面の反対側から押付け部材により前記鉛直面に押付けられることで前記支持部材に固定されるものであり、前記支持部材の前記鉛直面に、左右方向に沿う上向きの段面を設けると共に、前記固定用部材に、前記段面に引っ掛かることで固定用部材の落下を規制する引っ掛かり部を設けた場合は、上側の金型と下側の金型との相対的な位置関係を調整する作業を容易に行える。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の一実施形態を図面と共に説明する。
図1はこの実施形態にかかるプレス機械の正面図、
図2はその平面図、
図3はその側面図である。このプレス機械はプレスブレーキであって、本体フレーム1の前面側に、固定側の金型である下型2を支持する固定型支持部材としてのテーブル3と、可動側の金型である上型4を支持する可動型支持部材としてのラム5とが設けられている。本体フレーム1に対しテーブル3は位置固定であり、ラム5は左右両側部でガイド手段26(
図2、
図3)を介して昇降可能である。下型2は、成形用の凹部2a(
図3)を有する左右方向に長い一体の金型である。上型4は、下型2の凹部2aに進入する先端部分4a(
図3)を有し、下型2と同じく左右に長い金型であるが、
図1に示すように、左右方向に分割された複数の金型分割体4Aからなる。下型2の上に載置された板材からなるワークWに対し上型4を下降させ、下型2の凹部2aに上型4の先端部分4aを進入させることで、ワークWをV字状に曲げ加工する。
【0020】
なお、本体フレーム1は、
図2に示すように、左右一対の板状の側部フレーム1aと、左右の側部フレーム1aの上部同士を互いに連結する平面形状がはしご状の連結フレーム1bとでなる。
図3に示すように、左右の側部フレーム1aは、加工時に左右幅の広いワークWとの干渉を避けるために、前端の上下中央部が後方に凹んだ凹み部1aaを有する形状とされている。
【0021】
上型4の各金型分割体4Aの高さは、
図4に示す中垂れ調整装置6により、個別に調整することが可能とされている。中垂れ調整装置6は、ラム5に対し各金型分割体4Aを高さ調整可能に固定する金型固定手段7、およびラム5と金型分割体4Aとの間に介在させて両者の間隔を調整する中間くさび部材8を備える。図例では、金型分割体4Aはこの金型分割体4Aと同幅の上型ホルダ10に保持されており、中間くさび部材8は、ラム5と上型ホルダ10との間隔を調整する。上型ホルダ10への金型分割体4Aの取付けは、上型ホルダ10の薄肉下部10aに金型分割体4Aの薄肉上部4Aaを前後に重ね合わせ、上型ホルダ10の前後両側に配置した一対の押え板11をボルト12で締付け、後側の押え板11と上型ホルダ10の薄肉下部10aとで金型分割体4Aの薄肉上部4Aaを挟み付けて行う。
【0022】
金型固定手段7は、上型ホルダ10とほぼ左右同じ幅で、上端がラム5の下端に押付け固定される固定用部材13を有し、この固定用部材13の下端に上型ホルダ10がボルト14で締結されている。ボルト14が挿通される固定用部材13のボルト孔14aは、ボルト径に対し上下方向に調整用の隙間を持つルーズ孔、例えば上下方向に長い長孔である。固定用支持部材13のラム5への固定は、固定用支持部材13の上端の片方の面をラム5の鉛直面16に当て、もう片方の面に断面L字状の押付け部材17を被せ、この押付け部材17をボルト18による締付けで鉛直面16に押付けることにより行われる。ラム5の鉛直面16には左右方向に沿う上向きの段面16aが形成され、固定用部材13には上記段面16aに引っ掛かる引っ掛かり部13aが形成されている。
【0023】
中間くさび部材8は、上型ホルダ10の上面の左右方向に並ぶ2箇所に設けた凹部10bに嵌り込ませて設けられている。この凹部10bは、中心軸が前後に傾斜した円筒面状である。図例では中心軸が前上がりであるが、中心軸が前下がりであっても良い。
図5に示すように、中間くさび部材8は、上面が水平面8aで、かつ下面が前記凹部10bに対応して前後方向に傾斜し下側に凸の円筒面8bとなっている。水平面8aからなる上面は、ラム5の下端面に摺動自在に接し、円筒面8bからなる下面は、前記凹部10bの内周面に前後方向および円周方向に摺動自在に接している。
【0024】
中間くさび部材8の前後位置を変更させる前後位置変更手段21が設けられている。前後位置変更手段21は、中間くさび部材8に形成された前後方向に沿うねじ孔22と、固定用部材13を貫通し先端のねじ部23aを前記ねじ孔22に螺合させたねじ部材23とで構成される。ねじ孔22に対するねじ部材23のねじ込み量を変えることで、中間くさび部材8の前後位置が変更される。ねじ部材23の頭部23bには、ねじ部材23の回転位置を示すマーク24が設けられている。また、固定用部材13の前面には、前記マーク25に対応して円周方向の位相を示す目盛り25が付けられている。この目盛り25に、ねじ部材23の回転位置に応じた金型分割体4Aの高さ位置を示す数値を添付しておいても良い。
金型分割体4Aの高さを調整する方法については、後で説明する。
【0025】
図2に示すように、前記ラム5は、左右両側部がそれぞれガイド手段26によって本体フレーム1に対し昇降自在に支持されており、左右両側部がそれぞれ左右の昇降機構27によって独立して昇降駆動される。ガイド手段26は、本体フレーム1の側部フレーム1aに設けた上下方向に沿う昇降ガイド26aと、ラム5の裏面側に設けられ前記昇降ガイド26aの前後両面をそれぞれ転動する一対のローラ26bとでなる。昇降機構27は、サーボモータを駆動源とするモータ駆動系昇降機構30と、油圧アクチュエータを駆動源とする油圧駆動系昇降機構40との組合せでなる。各組合せは、モータ駆動系昇降機構30の方が油圧駆動系昇降機構40よりも左右外側に配置されている。
【0026】
図6に示すように、モータ駆動系昇降機構30は、サーボモータ31の回転運動をボールねじ機構32により直線運動に変換するものである。ボールねじ機構32は、上下方向に沿うねじ軸32aと、このねじ軸32aに内蔵のボール(図示せず)を介して螺合するナット32bとでなる。ねじ軸32aの上下両端は、後記油圧シリンダ41のシリンダチューブ42に固定された上ねじ軸支持部材33および下ねじ軸支持部材34により、それぞれ回転自在に支持されている。なお、シリンダチューブ42は、本体フレーム1に固定されている。モータ駆動系昇降機構30の可動部分であるナット32bは、シリンダチューブ42に固定して設けた上下方向の直動ガイド35に沿って摺動自在である。ナット32bは、前後一対のリンク36を介して、ラム5の左右両側の肩部に設けられた連結板5aに連結されている。
【0027】
ねじ軸32aは、上端側でサーボモータ31の出力軸(図示せず)に回転伝達可能に連結されており、サーボモータ31の駆動で正逆両方向に選択的に回転させられる。ねじ軸32aが回転することによりナット32bがねじ軸32aに沿って昇降し、このナット32bの昇降がリンク36を介してラム5に伝えられる。なお、サーボモータ31は、前記上ねじ軸支持部材33に固定状態に取付けられている。
【0028】
油圧駆動系昇降機構40は、油圧アクチュエータとして複動型の油圧シリンダ41を備える。油圧シリンダ41は、本体フレーム1に固定されたシリンダチューブ42にピストン43が上下に摺動自在に嵌合し、シリンダチューブ42内におけるピストン43の上下両側に、ボトム側となる第1のシリンダ室44と、トップ側となる第2のシリンダ室45とが形成されている。これら第1のシリンダ室44と第2のシリンダ室45には、油の出入りするポートP1,P2がそれぞれ設けられている。ピストン43からは、ピストンロッド43aが下方に延びている。ピストンロッド43aの先端面には、凹面座となる球面状の凹部46が形成されており、この凹部46に、前記ラム5の連結板5aに設けられた上面が球面状の凸部47が接している。これら凹部46と凸部47とで、ピボット連結部48が構成される。
【0029】
油圧駆動系昇降機構40の油圧回路図を
図7に示す。左右の油圧駆動系昇降機構40は、配管を介して油圧シリンダ41の第1のシリンダ室44に接続されたメイン油ポンプ50を備える。このメイン油ポンプ50は、ポンプ駆動モータ51の回転数と回転方向を変えることで、油の吐出量と吐出方向を制御する形式のものである。第1のシリンダ室44と油タンク52とを結ぶ配管中には、圧力制御され必要時に油タンク52の油を第1のシリンダ室44へ流すプレフィル弁53が設けられている。また、左右の油圧シリンダ41の第2のシリンダ室45には、左右の油圧駆動系昇降機構40で互いに共用のアキュームレータ54が接続されている。アキュームレータ54は、油圧シリンダ41の第2のシリンダ室45に常時圧力をかけることによりラム5の重量の一部を支えるカウンタバランスとして機能する。前記プレフィル弁53の圧力制御は、開閉弁55および方向制御弁56を電磁制御することで、アキュームレータ54の圧力を用いたパイロット圧で行う。他に、アキュームレータ54に油を補給する補助ポンプ57等が設けられている。なお、油圧シリンダ41およびアキュームレータ54を除く油圧駆動系昇降機構40の本体部40a(
図2)は、本体フレーム1の連結フレーム1bの上に設置され、アキュームレータ54は本体フレーム1の左側方に設置されている。
【0030】
このプレス機械には、プレス加工を実行させる指令信号を出力するペダル式等のプレススイッチSW(
図1)と、上型4の高さを検出するためのリニアスケール72(
図1、
図2)とが設けられている。リニアスケール72は、側部フレーム1aに取付けられた上下に長いスケール部72aと、ラム5に取付けられ前記スケール部72aの目盛りを読み取る読取ヘッド72bとでなる
【0031】
図8は、昇降機構27を制御する制御装置のブロック図である。制御装置70は、制御盤71(
図1)の内部に設けられていても、制御盤71の外部に設けられていても良い。制御装置70はコンピュータ式の数値制御装置からなり、前記プレススイッチSWおよびリニアスケール72からの入力に基づき、前記サーボモータ31、ポンプ駆動モータ51、開閉弁55、および方向制御弁56に指令信号を出力する。制御装置70は、以下の一連の制御を行う。
【0032】
通常は、上型4が待機位置H1(
図1)で待機する状態にある。この状態から、プレススイッチSWからの指令信号を入力すると、サーボモータ31を下降側に回転させ、モータ駆動系昇降機構30によりラム5を高速低負荷の駆動力で下降させる。このとき、開閉弁55を開くことで、アキュームレータ54の圧力をプレフィル弁53にかけ、プレフィル弁53を開き状態にする。それにより、油タンク52の油が油圧シリンダ41の第1のシリンダ室44へ供給され、モータ駆動系昇降機構30のボールねじ機構32の動作に追随して、油圧シリンダ41のピストン43が下方へ突出する。
【0033】
そして、上型4が駆動系切換位置H2(
図1)となる高さまでラム5が下降すると、サーボモータ31を停止すると共に、ポンプ駆動モータ51を回転させ、メイン油ポンプ50により油圧シリンダ41の第1のシリンダ室44に油を送り込む。それにより、油圧駆動系昇降機構40の駆動に切り換えて、低速高負荷の駆動力でラム5を下降させる。このとき、開閉弁55を閉じると共に、方向制御弁36をプレフィル弁53から油を戻す側に切り換えて、プレフィル弁53を閉じ状態にする。
【0034】
上型4が下死点位置H3(
図1)となる高さまでラム5が下降すると、ポンプ駆動モータ51を逆転させる。すると、油圧シリンダ41の第1のシリンダ室44から油が排出され、それに伴いアキュームレータ54に蓄えられている圧力油が第2のシリンダ室45に供給される。それにより、ラム5が上昇する。このときの駆動力は、アキュームレータ54の圧力を利用するため、メイン油ポンプ50で駆動力を発生させる場合に比べて低負荷である。
【0035】
上型4が駆動系切換位置H2となる高さまでラム5が上昇すると、ポンプ駆動モータ51を停止すると共に、サーボモータ31を上昇側に回転させる。それにより、モータ駆動系昇降機構30の駆動に切り換えて、高速低負荷の駆動力でラム5を上昇させる。
【0036】
このように昇降機構27を制御することにより、高速低負荷の駆動力を出力するモータ駆動系昇降機構30により、上型4を待機位置H1から駆動系切換位置H2まで昇降させ、低速高負荷の駆動力を出力する油圧駆動系昇降機構40により、上型4を駆動系切換位置P2から下死点位置H3まで昇降させる。モータ駆動系昇降機構30に採用されているボールねじ機構32は、構造が簡単でありながら、上型4を正確に高速で駆動することができる。油圧駆動系昇降機構40は、ポンプ駆動モータ51を制御して油ポンプ50の回転数を調整することで、上型4の動作位置を正確に定めることができる。それにより、上型4の高速で安定した移動と、確実なプレス加工とを実現できる。
【0037】
モータ駆動系昇降機構30は、プレス加工のための加圧駆動に関与しないため、小容量のものを選択できる。そのため、慣性が小さく急停止性が良い。また、上型5が待機位置H1で待機しているときは、モータ駆動系昇降機構30により支持されるため、油圧駆動系昇降機構40の油漏れの影響を受けない。
【0038】
油圧駆動系昇降機構40にカウンタバランスとしてアキュームレータ54が設けられているため、上型4を小さな駆動力で昇降させられる。そのため、モータ駆動系昇降機構30を小型化できると共に、エネルギー効率が良い。また、アキュームレータ54を設けたことで、制御弁の数を減少させることができ、油圧駆動系昇降機構40の油圧回路を簡略化できる。
【0039】
ラム5は本体フレーム1に対して傾動可能に設けられ、昇降機構27のモータ駆動系昇降機構30と油圧駆動系昇降機構40の組合せが左右一対で設けられているため、ラム5を任意の左右の傾きにすることができる。嵩張る油圧駆動系昇降機構40をモータ駆動系昇降機構30よりも内側に配置しているため、昇降機構27のメンテナンスを機械の左右外側から行いやすい。
【0040】
ラム5の連結板5aとモータ駆動系昇降機構30の可動部分であるナット32bとがリンク36を介して連結され、かつ連結板5aと油圧駆動系昇降機構40の可動部分であるピストンロッド43aとが、球面状の接触面を有するピボット連結部48で互いに連結されているため、ラム5の左右の傾きに対応可能である。なお、連結板5aとピストンロッド43aとが、円筒面状の接触面で互いに接していてもよい。
【0041】
上型4の各金型分割体4Aの高さは、ワークWの肉厚、材質、曲げ形状等に合わせて、中垂れ調整装置6により個別に調整する。これは、加圧時にラム5の左右中央部が加圧方向と反対側に撓んで、上型4と下型2との高さ関係が不適正になることを防ぐためである。
【0042】
金型分割体4Aの高さ調整は、前後位置変更手段21により中間くさび部材8の前後位置を変更させることで行う。詳しくは、ボルト14を緩めた状態で、前後位置変更手段21のねじ部材23を回してねじ孔22に対するねじ込み量を変える。それにより、中間くさび部材8の前後位置が変更される。中間くさび部材8が前方に位置変更した場合は、中間くさび部材8の円筒面8bにより上型ホルダ10が押下げられる。中間くさび部材8が後方に位置変更した場合は、中間くさび部材8の円筒面8bと上型ホルダ10の凹部10bとの間に隙間が生じるため、その隙間分だけ上型ホルダ10を持上げる。これに伴い、固定用部材13と上型ホルダ10の上下方向の相対位置関係が変化する。固定用部材13のボルト孔14aは上下方向に長い長孔であるため、上記相対位置関係の変化に対応できる。ねじ部材23のマーク24と合致する目盛り25を読むことで、金型分割体4Aの高さ位置が分かる。調整終了後、ボルト14を締めて、固定用部材13と上型ホルダ10を固定する。
【0043】
また、1つの上型ホルダ10につき2つ設けられている中間くさび部材8の前後位置を互いに異ならせることで、金型分割体4Aを左右に傾斜させることができる。それにより、例えば
図9に示すように、各金型分割体4Aの下端を結ぶ線が1本の繋がった曲線に近い形状、すなわちクラウニング形状にすることができる。この形状であると、各金型分割体4Aの各部がワークWに対しほぼ同じ力で強く当てられ、良好な曲げ加工を行える。
【0044】
中間くさび部材8の上型ホルダ10と接する面が、上型ホルダ10側に凸の円筒面8bであるため、中間くさび部材8に対し上型ホルダ10をどの傾き姿勢にも傾斜させることができる。また、上型ホルダ10がどの傾き姿勢であっても、中間くさび部材8と上型ホルダ10とが面で接触した状態に保たれるため、常に加圧に対して十分な耐力を確保できる。
【0045】
中間くさび部材8の上面が水平面8aであるため、中間くさび部材8の高さを低くできる。また、上面が水平面8aであると、中間くさび部材8をラム5に対し容易に左右にスライドさせることができ、金型分割体4Aの左右位置を調整が簡単である。金型分割体4Aの左右位置を調整は、ボルト18を緩めて押付け部材17による固定用部材13の押付けを解除した状態で行うが、このときラム5の段面16aに固定用部材13の引っ掛かり部13aが引っ掛かることで固定用部材13の落下が規制されるため、調整作業を行い易い。
【0046】
この実施形態の中垂れ調整装置6は、中間くさび部材8の下面が下側に凸の円筒面8bとなっているが、中間くさび部材8の下面を下側に凹の円筒面(図示せず)としても良い。その場合、上型ホルダ10の上面には円筒面状の凸部(図示せず)を設け、この上型ホルダ10の凸部で中間くさび部材8の円筒面に接するようにする。この構成としても、1つの上型ホルダ10につき2つ設けられている中間くさび部材8の前後位置を互いに異ならせることで、金型分割体4Aを左右に傾斜させることができる。
【0047】
図10は、下型2が複数の金型分割体2Aに分割されており、中垂れ調整装置6で各金型分割体2Aの高さを個別に調整する構成を示す。この場合、金型固定手段7は、テーブル3に対し各金型分割体2Aを高さ調整可能に固定し、中間くさび部材8は、テーブル3と金型分割体2Aとの間に介在して両者の間隔を調整する。
【0048】
金型固定手段7は、金型分割体2Aとほぼ左右同じ幅で、下端がテーブル3の上端にボルトで固定される固定用部材13を有し、この固定用部材13の上端に金型分割体2Aがボルト14で締結されている。ボルト14が挿通される固定用部材13のボルト孔14aは、ボルト径に対し上下方向に調整用の隙間を持つルーズ孔、例えば上下方向に長い長孔である。
【0049】
中間くさび部材8は、金型分割体2Aの下面の左右方向に並ぶ2箇所に設けた凹部2bに嵌り込ませて設けられている。この凹部2bは、中心軸が前下がりに傾斜した円筒面状である。中間くさび部材8は、下面が水平面8aで、かつ上面が前記凹部2bに対応して前後方向に傾斜し上側に凸の円筒面8bとなっている。水平面8aからなる下面は、テーブル3の上端面に摺動自在に接し、円筒面8bからなる上面は、前記凹部2bの内周面に前後方向および円周方向に摺動自在に接している。
【0050】
金型分割体2Aの高さ調整は、前記同様、ねじ孔22とねじ部材23とでなる前後位置変更手段21により中間くさび部材8の前後位置を変更させることで行う。すなわち、ボルト14を緩めた状態で、前後位置変更手段21のねじ部材23を回してねじ孔22に対するねじ込み量を変える。それにより、中間くさび部材8の前後位置が変更される。中間くさび部材8が前方に位置変更した場合は、中間くさび部材8の円筒面8bにより金型分割体2Aが持上げられる。中間くさび部材8が後方に位置変更した場合は、中間くさび部材8の円筒面8bと金型分割体2Aの凹部2bとの間に隙間が生じるため、その隙間分だけ金型分割体2Aを押下げる。これに伴い、固定用部材13と金型分割体2Aの上下方向の相対位置関係が変化する。固定用部材13のボルト孔14aは上下方向に長い長孔であるため、上記相対位置関係の変化に対応できる。調整終了後、ボルト14を締めて、固定用部材13と金型分割体2Aを固定する。