(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
撮影レンズを透過した光束をファインダ側に反射させる干渉位置と、上記光束との干渉を避ける非干渉位置との間を往復運動可能で、かつ上記干渉位置と非干渉位置の一方に向けて付勢されたリターンミラーと、
上記干渉位置と非干渉位置の他方まで回転したリターンミラーと接触することにより、リターンミラーが上記他方の位置を超えて回転するのを規制するストッパと、
駆動手段の駆動力によって一方向に回転する一方向回転部材と、
該一方向回転部材の回転によって上記リターンミラーを往復運動させる往復駆動部材と、
上記往復駆動部材又は上記リターンミラーに形成した第1バウンド規制部と、
上記一方向回転部材に形成した、上記リターンミラーが上記他方の位置に移動して上記ストッパと接触したときに、リターンミラーの該ストッパに対するバウンドを上記第1バウンド規制部に接触することにより所定範囲内で規制する第2バウンド規制部と、
を備えることを特徴とする一眼レフカメラのリターンミラー機構。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構造の一眼レフカメラでは、非干渉位置まで移動したリターンミラーと機械的に接触して、リターンミラーが非干渉位置を超えて回転するのを規制するストッパを設けるのが一般的である。
近年、連写モード時の連写速度に対する高速化の要求が高まっているため、カム盤の回転速度は高速化している。そのため、リターンミラーが非干渉位置まで回転したときに、リターンミラーがストッパから大きな反力を受けて干渉位置側に瞬間的に大きくバウンドし、その直後に非干渉位置まで戻るバウンド現象が起こるおそれが高くなっている。バウンド現象が起こると、撮影したい光束がミラーにケラれたり、次の撮影の為のファインダー像が揺れたりするおそれがある。
【0005】
このような問題を解決するための方策としては、例えば、カム盤のカム面形状を工夫することが考えられる。しかし、カム盤の回転速度が高速化しているため、カム面形状の工夫のみによってバウンドを規制することは事実上困難となっている。
別の方策としては、ストッパにバウンド現象を抑制するためのダンパを設けることが考えられる。しかしダンパを設けると、部品点数が増えて製造コストが大きくなるだけでなく、ダンパの取付スペース分だけカメラボディが大型化してしまう。
【0006】
本発明は、製造コストの増大やカメラボディの大型化を招くことなく、リターンミラーの回転端位置におけるバウンドを効果的に規制できる一眼レフカメラのリターンミラー機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一眼レフカメラのリターンミラー機構は、撮影レンズを透過した光束をファインダ側に反射させる干渉位置と、上記光束との干渉を避ける非干渉位置との間を往復運動可能で、かつ上記干渉位置と非干渉位置の一方に向けて付勢されたリターンミラーと、上記干渉位置と非干渉位置の他方まで回転したリターンミラーと接触することにより、リターンミラーが上記他方の位置を超えて回転するのを規制するストッパと、駆動手段の駆動力によって一方向に回転する一方向回転部材と、該一方向回転部材の回転によって上記リターンミラーを往復運動させる往復駆動部材と、上記往復駆動部材又は上記リターンミラーに形成した第1バウンド規制部と、上記一方向回転部材に形成した、上記リターンミラーが上記他方の位置に移動して上記ストッパと接触したときに、リターンミラーの該ストッパに対するバウンドを上記第1バウンド規制部に接触することにより所定範囲内で規制する第2バウンド規制部と、を備えることを特徴としている。
【0008】
上記一方向回転部材が、カム面を具備し、かつ上記駆動手段の駆動力によって一方向に回転すると共に該駆動手段が停止するときは初期位置に位置する回転カム部材であり、上記往復駆動部材が、付勢手段の付勢力によって該回転カム部材の上記カム面と接触するカムフォロア面を具備し、上記回転カム部材の回転に伴って該カムフォロア面の上記カム面に対する接触位置が変化することにより、上記リターンミラーが上記一方の位置まで回転するのを許容する回転許容位置と、上記リターンミラーを上記他方の位置まで押圧する最大押圧位置とに交互に移動するミラー位置制御レバーであってもよい。
【0009】
上記第2バウンド規制部は、上記回転カム部材が上記初期位置以外の位置に位置するときに、上記第1バウンド規制部に接触してもよい。
【0010】
上記撮影レンズを着脱可能なカメラボディ内に、上記リターンミラー、ストッパ、回転カム部材、ミラー位置制御レバー、及びバウンド規制手段を設け、上記回転カム部材が上記初期位置に位置するとき、上記第1バウンド規制部と上記第2バウンド規制部の係合を不能にしてもよい。
【0011】
上記第1バウンド規制部と上記第2バウンド規制部の一方が、ミラー位置制御レバーまたはリターンミラーと上記回転カム部材との一方に形成したバウンド規制突部であり、上記第1バウンド規制部と上記第2バウンド規制部の他方が、ミラー位置制御レバーまたはリターンミラーと上記回転カム部材との他方に形成した、上記バウンド規制突部が通過可能なバウンド規制溝の側面としてもよい。
この場合は、上記バウンド規制突部が上記バウンド規制溝の内部に位置するときに、該バウンド規制溝の側面と上記バウンド規制突部との間に隙間が形成されるようにしてもよい。
【0012】
上記バウンド規制突部における上記回転カム部材の回転方向側の端面を、上記回転カム部材の径方向に対して傾斜する傾斜端面としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、リターンミラーが干渉位置と非干渉位置のうち付勢手段によって付勢されていない位置まで移動してストッパに接触すると、リターンミラーが当該位置を超えて回転するのが規制される。そして、このときにストッパから受ける反力によりリターンミラーが当該位置から反対側の位置(付勢手段によって付勢された側の位置)側に瞬間的にバウンドすると、リターンミラーまたは往復駆動部材に形成した第1バウンド規制部が一方向回転部材に形成した第2バウンド規制部に接触するので、このバウンド動作が規制される。
しかも、リターンミラーまたは往復駆動部材に第1バウンド規制部を形成し、かつ回転カム部材に第2バウンド規制部を形成しているので、これらの部材とは別部材であるダンパを設ける場合に比べて、製造コストの増大及びカメラボディの大型化を抑制できる。
【0014】
請求項4のように構成すれば、撮影レンズをカメラボディから取り外したときにカメラボディの内部が外部に露出する。しかし、駆動手段を停止させることにより回転カム部材を初期位置に位置させておけば、第1バウンド規制部と第2バウンド規制部は係合不能な状態になるので、ユーザーがリターンミラーを無理矢理回転させても、第1バウンド規制部と第2バウンド規制部の間に強い力が生じて両部材が破壊されるおそれはない。
【0015】
請求項5のように構成すれば、回転カム部材の回転軸に対して直交する方向から見たときに、バウンド規制突部とバウンド規制溝どうしの当該回転軸方向の位置が一致する。そのため、リターンミラー機構を上記回転軸方向にコンパクト化できる。
【0016】
請求項6のように構成すれば、ミラー位置制御レバーまたはリターンミラーと回転カム部材との相対位置(またはバウンド規制突部とバウンド規制溝の相対位置)が設計位置から多少ずれていても、バウンド規制突部がバウンド規制溝を円滑に通過できるので、リターンミラー機構の動作が不円滑になることがない。
【0017】
ユーザーが手でリターンミラーを保持する等してリターンミラーが干渉位置と非干渉位置の間で停止してしまった後に駆動手段によって回転カム部材を回転させると、バウンド規制突部がバウンド規制溝を形成した部材の端面に衝突してしまい、ミラー位置制御レバーまたはリターンミラーと回転カム部材がロックしてしまうおそれがある。しかし、請求項7のようにバウンド規制突部に傾斜端面を形成すれば、傾斜端面がバウンド規制溝を形成した部材の端面を乗り越えて該部材を通過するので、ミラー位置制御レバーまたはリターンミラーと回転カム部材がロックするのを回避できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の説明中の方向は図中の矢印を基準としている。
図1に示すように本発明を適用したデジタルカメラ10は、撮影レンズLを内蔵する交換式レンズ鏡筒11と、その前面開口部に交換式レンズ鏡筒11を着脱可能なカメラボディ12とからなるものである。カメラボディ12内の後部には撮影レンズLの光軸O上に位置する撮像素子13が固定してあり、撮像素子13の直前には光軸O上に位置するシャッター14が設けてある。また、カメラボディ12内の上部にはプリズム15が固定してあり、カメラボディ12の後面にはプリズム15の直後に位置するファインダ窓16が設けてある。
さらにカメラボディ12内には回転可能なリターンミラー20が設けてある。リターンミラー20は、後端部側に左右一対の回転支持軸21を一体的に具備する方形枠状のミラー支持枠22と、ミラー支持枠22の内部に固定したミラー23と、を具備している。ミラー支持枠22の左側部の後部には左方に向かって延びる被押圧突部24が一体的に形成してあり、右側部の前端部にはストッパ片25が一体的に突設してある。左右の回転支持軸21はカメラボディ12の左右の内壁に回転可能に支持してあるので、リターンミラー20は回転支持軸21を中心に、光軸Oに対して45°をなしかつ撮影レンズLを透過した光束と干渉する干渉位置(
図1の実線、
図2、
図3、
図8及び
図9の位置)と、光軸Oと略平行をなしかつ該光束の上方に退避する非干渉位置(
図1の仮想線及び
図6の位置)との間を回転可能である。
図2に示すように、カメラボディ12の右側の内壁には軸線が左右方向に延びる偏心ネジ機構を利用してストッパ27が固定してあり、リターンミラー20が干渉位置まで回転するとストッパ片25の下面がストッパ27に当接することにより、リターンミラー20のそれ以上の下方への回転が規制される。また、図示は省略してあるが、リターンミラー20が非干渉位置まで回転するとミラー支持枠22の前縁部26がカメラボディ12の内部に固定した緩衝部品(図示略)に当接し、リターンミラー20のそれ以上の上方への回転が規制される。リターンミラー20が干渉位置に位置するときは、撮影レンズLを透過した光束はミラー23によってプリズム15側に反射されその後ファインダ窓16に向かう。従って、このとき撮影者はファインダ窓16を覗くことにより被写体を観察できる。一方、リターンミラー20が非干渉位置に位置するとリターンミラー20は撮影レンズLを透過した光束と干渉しなくなるので、光束はシャッター14側に向かう。
【0020】
カメラボディ12の左側の内壁には、ミラー位置制御レバー(往復駆動部材)30の前端部から左側に延びる回転支持軸31が回転可能に支持してある。ミラー位置制御レバー30は、回転支持軸31の直上に位置するばね掛け部32と、回転支持軸31の後端部から下方に突出する押圧部33と、右側面から右方に延びるボス34と、長手方向の中間部から下方に突出するカム突部35と、を一体的に具備している。カム突部35の周面(下面)は湾曲面からなるカムフォロア面36となっており、カム突部35の左側面には略円弧形状のバウンド規制溝(第1バウンド規制部)37が凹設してある。カム突部35におけるバウンド規制溝37の下方部分には端部突部38が形成してある。図示するように、ミラー位置制御レバー30の押圧部33はリターンミラー20の被押圧突部24の直上に位置している。
図2及び
図3に示すように、ミラー位置制御レバー30のボス34には捻りコイルばねS1の巻回部S1aが掛け回してあり、捻りコイルばねS1の一端である係止端部S1bはミラー位置制御レバー30の端面に係止してあり、捻りコイルばねS1の他端である係止端部S1cは被押圧突部24の下面に係止してある。
さらに
図3に示すように、回転支持軸31には捻りコイルばねS1よりも付勢力が強い捻りコイルばねS2の巻回部S2aが掛け回してあり、捻りコイルばねS2の一端である係止端部S2bはカメラボディ12の内壁に形成した係止部(図示略)に係止してあり、捻りコイルばねS2の他端である係止端部S2cはばね掛け部32に係止してある。そのため、ミラー位置制御レバー30は捻りコイルばねS2の付勢力によって常に
図3の反時計方向に回転付勢されている。
【0021】
カメラボディ12の左側の内壁には右方に向かって延びる支持軸17が突設してあり、支持軸17には回転カムギヤ(回転カム部材)(一方向回転部材)40の中心部を貫通する中心軸孔41が回転可能に支持してある。回転カムギヤ40の外周面には多数のギヤ歯42が並べて形成してある。回転カムギヤ40の右側面には、内部を中心軸孔41が通る円筒部43と、カム突部45とが右向きに突設してある。図示するように円筒部43とカム突部45の外周面は互いに連続しており、カム突部45の外周面は周方向の位置に応じて中心軸孔41の中心位置からの径方向距離が変化するカム面46となっている。さらに、回転カムギヤ40の右側面の別の位置には、その左右方向位置がミラー位置制御レバー30のバウンド規制溝37と一致しているバウンド規制突部(第2バウンド規制部)47が突設してある。図示するように、バウンド規制突部47の周面の一部は回転カムギヤ40の径方向に対して傾斜する傾斜端面48となっている。
回転カムギヤ40のギヤ歯42は、カメラボディ12の左側の内壁に回転可能に支持されたシャッター用回転カムギヤ(図示略)と噛合しており、シャッター用回転カムギヤはギヤ列を介してカメラボディ12の内部に固定したモータ(駆動手段)M(
図1参照)の回転出力軸に接続している。
モータMはカメラボディ12に設けたシャッターボタン(図示略)を全押ししないときは停止している。一方、通常撮影モードでシャッターボタンを1回全押しすると1回転し、連写モードでシャッターボタンを1回全押しすると1秒間に連続で5回転する。モータMが停止状態のとき回転カムギヤ40は
図2及び
図9に示す初期位置に位置する。そして、通常撮影モードでモータMが回転すると回転カムギヤ40は初期位置から
図3の反時計方向(
図3、
図6〜8の矢印R方向)に1回転し、連写モードにおいてモータMが回転すると回転カムギヤ40は1秒間に5回転する。
以上説明した部材のうち、リターンミラー20、ミラー位置制御レバー30、回転カムギヤ40、シャッター用回転カムギヤ、ギヤ列、モータM、捻りコイルばねS1、及び捻りコイルばねS2がリターンミラー機構50の構成要素である。
【0022】
上述のように回転カムギヤ40はモータMの駆動力によって回転し、回転カムギヤ40がミラー位置制御レバー30と連係し、かつミラー位置制御レバー30がリターンミラー20と連係しているので、以下に説明するようにシャッターボタンを全押しすることによりモータMが回転するとリターンミラー20が回転する。
図9はモータMが停止している撮影待機状態にあるときのリターンミラー機構50を示している。このとき、回転カムギヤ40は初期位置に位置し、カム突部35のカムフォロア面36は円筒部43の外周面から上方に離間しており、かつ捻りコイルばねS2によって付勢されているミラー位置制御レバー30の押圧部33が、捻りコイルばねS1によって付勢されているリターンミラー20の被押圧突部24を上方から下方に押圧しているので、リターンミラー20はストッパ片25がストッパ27に接触する干渉位置に位置する。
撮影モードが連写モードのときにシャッターボタンを1回全押しすると、モータMが上記方向に1秒間に5回連続で回転する。そして、ギヤ列及びシャッター用回転カムギヤを介してモータMの回転力を受けた回転カムギヤ40が初期位置から
図6に示す位置までR方向に回転するとカム突部45のカム面46がカム突部35のカムフォロア面36に接触し、中心軸孔41から径方向に遠い位置までミラー位置制御レバー30を押し上げるので、ミラー位置制御レバー30が捻りコイルばねS2の付勢力に抗して
図6に示す回転許容位置まで回転する。すると、ミラー位置制御レバー30の押圧部33がリターンミラー20の被押圧突部24から上方に離れ、ミラー位置制御レバー30と一緒に回転した捻りコイルばねS1の係止端部S1cが被押圧突部24の下側を上方に持ち上げるので、リターンミラー20は
図6に示す非干渉位置まで回転し、ミラー支持枠22の前縁部26が上記緩衝部品に当接する。
そしてモータMがさらに回転すると、カム面46における中心軸孔41からの径方向距離が近い部分(
図6でカムフォロア面36に接触する部分より近い部分)がカム突部35のカムフォロア面36に接触するので、
図7に示すようにミラー位置制御レバー30は
図6の回転許容位置から下方に移動し、押圧部33が被押圧突部24を下方に押圧する。すると、
図7に示すように非干渉位置に位置していたリターンミラー20が干渉位置側に回転し、バウンド規制突部47がバウンド規制溝37の前側の開口端部に接近する。
【0023】
そしてモータMがさらに回転すると、ストッパ片25がストッパ27に当接することによりリターンミラー20の回転が干渉位置において規制され、かつ、被押圧突部24によってミラー位置制御レバー30の回転が
図7の位置より下方の最大押圧位置(
図8の位置)で規制される。しかし回転カムギヤ40はさらに回転し続けるので、ストッパ片25とストッパ27が接触した後は
図8に示すようにカムフォロア面36とカム面46の間に隙間が形成される。この隙間はリターンミラー20の45°調整(干渉位置においてミラー20を撮影光の光軸Oに対して厳密に45°の角度にして、光束を厳密に垂直(上方)に反射させる為の「調整」のことであり、具体的には上記偏心ネジ機構を利用してストッパ27を回転調整することにより行う)を考慮して設けたものである。仮にこの「隙間」が無いと、45°調整の調整具合によっては、
図8の状態になる前に(端部突部38とバウンド規制突部47による後述するバウンド規制が行われる前に)、バウンド規制凸部47がバウンド規制溝37の周囲の部材に接触してしまう可能性がある。そして、リターンミラー20が干渉位置に達する直前に回転カムギヤ40のバウンド規制突部47がミラー位置制御レバー30のバウンド規制溝37内に進入する。このようにリターンミラー20が干渉位置まで回転すると上述のようにストッパ片25がストッパ27に当接するので(
図2参照)、ストッパ片25はストッパ27から上向きの反力を受け、リターンミラー20がこの反力によって上方(非干渉位置側)に瞬間的にバウンドする。すると、被押圧突部24によってミラー位置制御レバー30(押圧部33)が瞬間的に上方に押圧されるが、ミラー位置制御レバー30が極めて短い距離だけ移動した後に端部突部38の上面(バウンド規制溝37の下面)がバウンド規制突部47の下面に当接するので、ミラー位置制御レバー30のこれ以上の移動は規制され、ミラー位置制御レバー30は直ちに最大押圧位置に復帰する。従って、リターンミラー20もバウンドした直後に干渉位置(ストッパ片25がストッパ27に接触する位置)に復帰する。
そしてモータMがさらに回転することにより回転カムギヤ40が初期位置に復帰すると、リターンミラー機構50は
図2及び
図9に示す状態に復帰する。
連写モードにおいてはモータMが1秒の間に5回連続で回転するので、シャッターボタンを1秒間押し続けたとすると、リターンミラー機構50はこの動作を5回連続で行い、リターンミラー機構50は再び撮影待機状態(
図2及び
図9の状態)となる。
【0024】
上述したシャッター用回転カムギヤはシャッター14の動作を制御するためのものであり、図示を省略したチャージばね(捻りコイルばね)と接続しており、チャージばねのチャージ状態(弾性変形状態)はシャッター用回転カムギヤ及び回転カムギヤ40の回転位置と連動している。即ち、リターンミラー機構50が撮影待機状態にあるとき(回転カムギヤ40が上記初期位置に位置するとき)にチャージばねはチャージ状態となり、シャッター14(先幕と後幕)は撮像素子13の前方を完全に塞ぐ(遮光する)。回転カムギヤ40が初期位置から
図6の位置まで回転する過程では先幕と後幕のチャージ状態はそれぞれに対応するソレノイドによって維持されているが、シャッターボタンが全押しされると、各ソレノイドによる維持力が所定のタイミングで解除され、チャージばねが蓄えられた弾性力を利用して自由状態に戻ろうとするので、シャッター14はチャージばねの付勢力によって所定の開口部を形成しながら撮像素子13の直前を移動し撮像素子13を露光させる。そして、回転カムギヤ40が初期位置まで回転復帰することにより、チャージばねは再びチャージ状態となり、シャッター14が撮像素子13の直前を再び塞ぐ。
従って、連写モードにおいてシャッターボタン全押しを維持すると、1秒間にこの動作が5回連続で行われ、撮像素子13が被写体を5回連続で撮像する。
【0025】
以上説明したように本実施形態によれば、リターンミラー20が干渉位置まで回転したときのリターンミラー20のバウンドをミラー位置制御レバー30のバウンド規制溝37と回転カムギヤ40のバウンド規制突部47によって極めて短い距離内で規制し、リターンミラー20を素早く停止させているので、次のコマへの測光、測距を短いWait時間で行うことが可能であり、そのため連写速度を向上しやすい。又、リターンミラー20やミラー位置制御レバー30がバウンドしたままでは、回転カムギヤ40やモータMへの負荷変動が大きくなる(しかも当該負荷変動は撮影毎に変動する)ため、モータM制御が困難になったり、メカ部品への負担が大きくなってしまう。つまり、メカ的にもバウンド終了が早いことは連写速度の向上にとって有益である。
しかも、被押圧突部24、押圧部33、ストッパ27、ストッパ片25などにミラー位置制御レバー30や回転カムギヤ40とは別部材であるダンパを設ける場合に比べて、製造コストの増大及びカメラボディの大型化を抑制できる。
さらに、ミラー位置制御レバー30のバウンド規制溝37と回転カムギヤ40のバウンド規制突部47の左右方向位置が一致しているので、リターンミラー機構50は特に左右方向にコンパクト化されている。
【0026】
また、交換式レンズ鏡筒11をカメラボディ12から取り外したときはカメラボディ12の内部が前面開口部を通して外部に露出するため、撮影待機状態にあるリターンミラー機構50のリターンミラー20をユーザーが手で触るおそれがある。しかし、リターンミラー機構50が撮影待機状態にあるときは、
図9に示したように回転カムギヤ40のバウンド規制突部47がミラー位置制御レバー30のバウンド規制溝37から脱出しているので、ユーザーがリターンミラー20を無理矢理回転させても、バウンド規制突部47とカム突部35(カムフォロア面36、端部突部38)との間に強い力が生じてミラー位置制御レバー30と回転カムギヤ40が破壊されることはない。
さらに、
図8に示したように、バウンド規制突部47がバウンド規制溝37内に進入したときに、バウンド規制突部47とバウンド規制溝37の両側面の間には隙間が形成される。そのため、リターンミラー20やミラー位置制御レバー30の相対位置(またはバウンド規制溝37とバウンド規制突部47の相対位置)が設計位置から多少ずれていても、バウンド規制突部47はバウンド規制溝37の内部を円滑に通過でき、リターンミラー機構50の動作が不円滑になることがない。
【0027】
また、バウンド規制突部47の端面に傾斜端面48を形成しているが故に以下の作用効果も発揮できる。
即ち、
図10は交換式レンズ鏡筒11をカメラボディ12から取り外したときにユーザーが撮影待機状態にあるリターンミラー機構50のリターンミラー20を非干渉位置側に無理に回転させた後に、シャッターボタンを全押しすることによりモータMを回転させたときの様子を示している。このようにリターンミラー20の位置が所定の位置(干渉位置)からずれた状態でモータMを回転させると、バウンド規制溝37の前側開口端部とバウンド規制突部47の位置がずれ、その結果、バウンド規制突部47の傾斜端面48が端部突部38の前面に衝突することがある。しかし、このような場合であっても、回転カムギヤ40の径方向に対して傾斜する傾斜端面48が端部突部38を上方に押圧しながら端部突部38の(カムフォロア面36)の下方を通過する。従って、ミラー位置制御レバー30と回転カムギヤ40が
図10の状態でロックされることはなく、リターンミラー機構50、撮像素子13及びシャッター14はこの後に所定の動作を円滑に行う。
【0028】
以上、上記実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は様々な変更を施しながら実施可能である。
例えば、バウンド規制溝37に相当する溝をミラー支持枠22に形成し、リターンミラー20が干渉位置まで回転したときに回転カムギヤ40のバウンド規制突部47を当該溝に進入させてもよい。また、回転カムギヤ40にバウンド規制溝37に相当する溝(請求項1の第2バウンド規制部に相当)を形成し、ミラー位置制御レバー30またはミラー支持枠22にバウンド規制突部47に相当する突部(請求項1の第1バウンド規制部に相当)を形成してもよい。
さらに、付勢手段によってリターンミラー20を干渉位置側に付勢し、かつモータMの動力によって回転付勢されたミラー位置制御レバー30によってリターンミラー20を上方(非干渉位置側)に押圧するようにし、かつ、回転カムギヤ40が初期位置に位置するときにリターンミラー20が非干渉位置に位置するようにした上で、リターンミラー20が非干渉位置に達したときに第1バウンド規制部と第2バウンド規制部でリターンミラー20のバウンドを規制してもよい。
さらに、撮像素子13を省略することによりカメラボディ12を銀塩カメラ用のカメラボディとすることも可能である。