(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、無線タグは、複数の無線タグリーダのうちで信号送信時期が最も遅い無線タグリーダから信号が送信されてくる可能性がある時点までは、受信可能状態を維持する必要がある。例えば4台の無線タグリーダが存在する場合、無線タグは、そのいずれとも通信可能としなければならないので、1回の受信可能状態とする期間は4台の無線タグリーダが送信する期間分確保しなければならない。そして、無線タグは、無線タグリーダの台数に応じた期間の受信結果により、無線タグリーダの通信範囲内であるか通信範囲外であるかを判断する。
【0005】
上記無線タグは、人に携帯されるものである。そのため、無線タグは、いずれの無線タグリーダの通信範囲でもない場所に存在している時間が圧倒的に長く、受信可能状態としていても、結局、どの無線タグリーダからの信号も受信しない場合が圧倒的に多い。
【0006】
しかしながら、従来システムにおける無線タグは、無線タグリーダの通信範囲内であるか通信範囲外であるかの判断を、無線タグリーダの台数に応じた期間の受信結果により行っていた。よって、全ての無線タグリーダの通信範囲外に存在している場合も、1回の受信可能状態の長さを、無線タグリーダの通信範囲内に存在している場合と同じ長さとしていた。しかも、受信可能状態は周期的に繰り返すので、無線タグリーダからの信号を受信しないのに受信可能状態としている時間は、積算により長い時間となってしまい、無線タグの消費電力を十分に低減できていなかった。
【0007】
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、無線タグの消費電力を低減することができる無線タグシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
その目的を達成するための請求項1
、2記載の発明は、無線タグと、その無線タグと通信をする複数の無線タグリーダとを備えた無線タグシステムであって、複数の無線タグリーダは、無線タグからの信号を受信した場合、受信時点に基づいて定まり、かつ、複数の無線タグリーダに共通の共通送信時点に、無線タグに電波を送信する。さらに、共通送信時点に電波を送信した後、無線タグリーダ毎に異なるタイミングに設定された2回目送信時点に、無線タグに、無線タグリーダを識別可能な伝送データを送信する。
【0009】
一方、無線タグは、無線タグリーダに信号を送信後、共通送信時点に無線タグリーダから送信される可能性がある電波を受信できる第1受信期間は受信可能状態とし、その第1受信期間に無線タグリーダからの電波を受信しなかったと判断した場合には第1受信期間が経過したことに基づいて待機状態とする。また、第1受信期間に無線タグリーダからの電波を受信したと判断したことに基づいて、追加受信の必要性を判断し、追加受信が必要と判断した場合には、無線タグリーダから2回目送信時点において送信される伝送データを受信するために、受信可能状態の期間を追加す
る。
【0010】
このように、本発明では、無線タグは、信号を送信後、共通送信時点に無線タグリーダから送信される電波を受信できるようにするために、第1受信期間は受信可能状態としている。本発明における第1受信期間は、複数の無線タグリーダのいずれか少なくとも一つからの電波を受信したか、あるいは、いずれの無線タグリーダからの電波も受信しなかったかを判断するための期間である。仮に、複数の無線タグリーダからの電波が同じ期間に重複したとしても、この判断は可能である。そこで、複数の無線タグリーダは、いずれも、無線タグからの信号を受信した時点に基づいて定まり、かつ、複数の無線タグリーダに共通の共通送信時点、すなわち同じタイミングで、無線タグに電波を送信するようにしている。複数の無線タグリーダが共通送信時点に電波を送信する場合、それら複数の無線タグリーダが、互いの信号が重ならない送信タイミングで電波を送信する場合よりも、それら複数の無線タグリーダの少なくとも一つから電波が送信される可能性がある期間は短くなる。よって、無線タグの第1受信期間は、複数の無線タグリーダが互いの信号が重ならないように送信する場合の受信期間よりも短くてよく、たとえば、この第1受信期間は、1台の無線タグリーダが信号を送信する期間と実質的に同じ程度で十分である。
【0011】
そして、無線タグは、第1受信期間に無線タグリーダからの電波を受信しなかったと判断した場合には第1受信期間が経過したことに基づいて待機状態とする。前述のように、無線タグは、圧倒的に多くの時間は、いずれの無線タグリーダの通信範囲でもない場所に存在することから、この第1受信期間が経過した時点で待機状態となる場合が圧倒的に多い。従って、1回の第1受信期間を短くできることにより、トータルでの受信可能状態の期間を大きく短縮できるので、消費電力を低減することができる。
【0013】
さらに、複数の無線タグリーダは、共通送信時点に電波を送信した後、無線タグリーダ毎に異なるタイミングに設定された2回目送信時点に、無線タグに伝送データを送信するようにしている。一方、無線タグは、第1受信期間に無線タグリーダからの電波を受信したと判断したことに基づいて追加受信が必要か否かを判断する。追加受信が必要と判断するのは
、通信エラーの場合(請求項
1)や、受信強度が圏内判断強度以上の場合(請求項
2)である。そして、追加受信が必要と判断した場合には、無線タグリーダから2回目送信時点において送信される伝送データを受信するために、受信可能状態の期間を追加する。受信可能状態の期間を追加することにより、無線タグリーダから、データ衝突がない状態で伝送データを受信することができ、この伝送データに基づき、無線タグは、特許文献1と同様、無線タグリーダを特定することができる。
【0014】
なお、こ
れらの発明では、追加受信が必要と判断した場合には、受信可能状態の期間を追加することになるが、無線タグは、人に携帯されるものであることから、実際には、無線タグリーダの通信圏外に位置している時間が圧倒的に長い。そのため、受信可能状態の期間を追加する場合は少ない。よって、無線タグの消費電力を十分に低減することができる。加えて、この発明では、上述のように、無線タグリーダを特定することもできる。
【0015】
請求項
1記載の発明では、無線タグリーダは、共通送信時点に無線タグに伝送データを送信し、無線タグは、第1受信期間に受信した電波が受信エラーであった場合に、追加受信が必要であると判断する。受信エラーである場合には、複数の無線タグリーダの通信圏内であると判断できることから、追加受信が必要であると判断するのである。
請求項2記載の発明では、無線タグは、第1受信期間に受信した電波の受信強度が、予め設定された圏内判断強度よりも低ければ、第1受信期間に無線タグリーダからの電波を受信しなかったと判断して、第1受信期間が経過したことに基づいて待機状態とし、第1受信期間に受信した電波の受信強度が圏内判断強度以上である場合には、追加受信が必要であると判断する。
第1受信期間に受信した電波の受信強度が圏内判断強度よりも低ければ、いずれの無線タグリーダの通信圏内でもないと判断して、第1受信期間が経過したことに基づいて待機状態とするのである。一方、第1受信期間に受信した電波の受信強度が圏内判断強度以上である場合には、少なくともいずれか一つの無線タグリーダの通信圏内であると判断して、追加受信を行うのである。なお、圏内判断強度は、少なくともいずれか一つの無線タグリーダの通信圏内である場合に、無線タグが無線タグリーダから受信できる受信強度に基づいて定められる強度である。
回路によっては、複数の無線タグリーダからのデータ信号が重複しており、無線タグリーダとの通信ができない状況を、単にノイズとしてしまい、通信エラーとしない回路も存在する。しかし、このように、電波の受信強度により追加受信を判断する場合には、そのような回路も利用可能であることから、部品選択の幅が広がる。
【0016】
請求項3記載の発明では、無線タグは、第1受信期間に受信した電波に基づいて受信成功と判断した場合には、受信可能状態の期間を追加することなく、受信成功した伝送データに基づいて定まる処理を実行する。
【0017】
この請求項3記載の発明では、無線タグは、第1受信期間に受信した電波に基づいて受信成功と判断した場合には、受信可能状態の期間を追加しないので、受信可能状態の期間を短くすることができる。また、受信成功した伝送データに基づいて定まる処理を速やかに実行することもできる。
【0018】
上記請求項3では、無線タグリーダが、共通送信時点での送信(1回目の送信)で伝送データを送信することにより、無線タグは、第1受信期間(1回目の受信期間)で無線タグリーダとの通信が成功する構成としている。これに代えて、次の請求項4のように構成することができる。
【0019】
請求項4記載の発明は、無線タグリーダは、共通送信時点で送信する電波の送信時間が、2回目送信時点で送信する伝送データの送信時間よりも短いことを特徴とする。この請求項4では、1回目の送受信は、少なくとも一つの無線タグリーダの通信圏内か、或いは、いずれの無線タグリーダの通信圏内でもないかを無線タグが判断することのみを目的としている。この場合、共通送信時点に無線タグリーダが送信する電波は、単に無線タグリーダからの電波の有無が分かりさえすればよい。よって、共通送信時点で送信する電波の送信時間を、2回目送信時点で送信する伝送データの送信時間よりも短くしているのである。この請求項4記載の発明によれば、共通送信時点で送信する電波の送信時間が、2回目送信時点で送信する伝送データの送信時間よりも短いことから、無線タグの第1受信期間を短くすることができる。
【0023】
受信強度で追加受信の必要性を判断する場合、無線タグリーダは、1回目の送信では伝送データを送信する必要はない。そこで、請求項
5のようにすることもできる。その請求項
5記載の発明では、無線タグリーダは、共通送信時点に無線タグに無変調波を送信する。
【0024】
請求項
6記載の発明では、無線タグは、追加した受信可能状態の期間において、受信成功か否かを逐次判断し、受信成功した時点で受信可能状態を終了する。このようにすれば、追加の受信可能状態の期間を短くできることから、無線タグの消費電力をより低減できる。
【0025】
請求項
7記載の発明は、請求項
6において、共通送信時点に電波を送信した無線タグリーダが複数あった場合に、その複数の無線タグリーダの2回目送信時点を、無線タグが追加する受信可能状態の期間内において互いに異なる複数の送信時点に決定する2回目送信時点決定手段を備える。また、この2回目送信時点決定手段は、受信可能状態の期間内に予め設定された複数の送信時点のうち、早い時点から順番に、複数の無線タグリーダの2回目送信時点として決定する。そして、複数の無線タグリーダは、2回目送信時点決定手段が決定した2回目送信時点に伝送データを送信する。
【0026】
この請求項
7記載の発明では、各無線タグリーダの2回目送信時点を、無線タグが追加した受信可能状態の期間内に予め設定された複数の送信時点のうち、送信時点の早いものから順番としている。よって、各無線タグリーダ毎に2回目送信時点が予め決まっている場合よりも、無線タグが追加した受信可能状態の期間の早い時点で、いずれかの無線タグリーダが伝送データを送信する可能性が高くなる。また、無線タグは、受信成功と判断した時点で受信可能状態を終了する。これらのことにより、無線タグの受信可能状態の期間を短くすることができる。よって、無線タグは消費電力をより低減することができる。
【0027】
請求項
8記載の発明では、複数の無線タグリーダを制御するリーダ制御装置を備える。また、複数の無線タグリーダは、無線タグからの信号を受信した場合に、受信したことを通知する通知情報を、リーダ制御装置に送信するようになっている。また、リーダ制御装置は、2回目送信時点決定手段を備え、且つ、その2回目送信時点決定手段が決定した2回目送信時点を、複数の無線タグリーダへ指示する送信時点指示手段を備える。
【0028】
複数の無線タグリーダを備える無線タグシステムにおいては、それら複数の無線タグリーダを制御するリーダ制御装置が備えられている場合も多い。従って、この請求項
8のようにすれば、リーダ制御装置を活用して、2回目送信時点決定手段を備える無線タグシステムとすることができる。
【0029】
ただし、上記請求項
8の態様に限らず、請求項
9のようにして、リーダ制御装置を不要にすることもできる。その請求項
9記載の発明では、複数の無線タグリーダのうちのいずれか1つの無線タグリーダが2回目送信時点決定手段を備える。そして、複数の無線タグリーダのうち、2回目送信時点決定手段を備えない無線タグリーダは、無線タグからの信号を受信した場合に、受信したことを通知する通知情報を、2回目送信時点決定手段を備える無線タグリーダに送信する。また、2回目送信時点決定手段を備える無線タグリーダは、2回目送信時点決定手段が決定した2回目送信時点のうち、他の無線タグリーダに対する2回目送信時点を、当該他の無線タグリーダへ指示する送信時点指示手段を備える。
【0030】
この請求項
9のようにすれば、無線タグシステムに2回目送信時点決定手段を含ませるためにリーダ制御装置が必要ないことから、リーダ制御装置を備えない無線タグシステムが可能となる。よって、システム全体の設置面積を減らし、且つ、コストも低減できる可能性がある。
【0031】
請求項
10記載の発明では、複数の無線タグリーダは、通知情報に、無線タグから受信した信号の受信信号強度を含ませて送信する。そして、2回目送信時点決定手段は、複数の無線タグリーダの2回目送信時点を、それら複数の無線タグリーダが無線タグから受信した信号の受信信号強度が高い順に、前記受信可能状態の期間内に予め設定された複数の送信時点のうちの早い送信時点に決定する。
【0032】
このようにすれば、高い受信信号強度で無線タグからの信号を受信した無線タグリーダほど、2回目送信時点が早い送信時点に決定される。また、高い受信信号強度で無線タグからの信号を受信できる無線タグリーダほど、無線タグとの通信が成功しやすい。よって、無線タグは、追加した受信可能状態の期間のうちの早い時点で受信成功となる可能性が一層高くなる。よって、無線タグの第2受信期間を短くできる可能性がより向上する。
【0033】
また、次の請求項1
1のようにしてもリーダ制御装置が不要になる。その請求項1
1記載の発明では、複数の無線タグリーダは、無線タグからの信号を受信した場合に、受信したこと、および、優先順位を示す優先順位情報を含む通知情報を、他の無線タグリーダに送信する。また、それら複数の無線タグリーダは、送信リーダ数判断手段と2回目送信時点決定手段を備える。送信リーダ数判断手段は、他の無線タグリーダからの通知情報および自身が無線タグからの信号を受信したか否かに基づいて、共通送信時点に電波を送信した無線タグリーダが複数あったか否かを判断する。2回目送信時点決定手段は、その送信リーダ数判断手段により、共通送信時点に電波を送信した無線タグリーダが複数あったと判断した場合に、無線タグが追加する受信可能状態の期間内に予め設定された複数の送信時点のうち、他の無線タグリーダの2回目送信時点と異なる送信時点であって、且つ、できるだけ早い時点を、自身の2回目送信時点として決定するものであり、自身の優先順位と、通知情報に含まれる優先順位情報とに基づいて、複数の送信時点から自身の2回目送信時点を決定する。そして、各無線タグリーダは、2回目送信時点決定手段が決定した2回目送信時点に伝送データを送信する。
【0034】
この請求項1
1のようにしても、無線タグシステムに2回目送信時点決定手段を含ませるためにリーダ制御装置が必要ないことから、リーダ制御装置を備えない無線タグシステムが可能となる。よって、システム全体の設置面積を減らし、且つ、コストも低減できる可能性がある。
【0035】
この請求項1
1のように、各無線タグリーダが自身の2回目送信時点をそれぞれ決定する発明において、優先順位は、たとえば、各無線タグリーダ毎に異なるリーダIDにより決定することができる。また、次の請求項1
2のように、受信信号強度により優先順位を決定することもできる。
【0036】
その請求項1
2記載の発明では、複数の無線タグリーダは、無線タグから受信した信号の受信信号強度を、優先順位情報として通知情報に含ませて、他の無線タグリーダに送信するようになっており、自身も無線タグからの信号を受信した場合、2回目送信時点決定手段は、他の無線タグリーダから受信した通知情報に含まれる受信信号強度と、自身が無線タグから受信した信号の受信信号強度とを比較し、受信信号強度が高いほど優先順位が高いとして、複数の送信時点から自身の2回目送信時点を決定する。
【0037】
このようにすれば、請求項
10と同様に、高い受信信号強度で無線タグからの信号を受信した無線タグリーダほど、2回目送信時点が早い送信時点に決定されることになる。よって、無線タグは、追加した受信可能状態の期間のうちの早い時点で受信成功となる可能性が一層高くなるので、無線タグの第2受信期間を短くできる可能性がより向上する。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、第1実施形態を説明する。
図1は、本発明の無線タグシステム1のシステム構成の一例である。図に示すように、無線タグシステム1は、複数台(ここでは4台)の無線タグリーダ100A、100B、100C、100Dと、無線タグ200とを備えている。なお、
図1には1つの無線タグ200を示しているが、無線タグ200も複数であってもよい。また、無線タグシステム1は、複数台の無線タグリーダ100を制御するコントローラ300(
図3参照)も備えている。
【0040】
図2は、無線タグリーダ100の配置と各無線タグリーダ100の通信圏101を例示する図である。無線タグシステム1は、人に無線タグ200を携帯させ、無線タグ200を検出することにより、ある監視領域(たとえば、家の敷地およびその周辺)における人の存在を検出するシステムである。そのため、複数の無線タグリーダ100A〜Dの通信圏101A〜Dにより形成される全体の通信圏は、その監視領域を漏れなくカバーする必要がある。しかも、監視領域の中心となる敷地は、矩形等、多角形が多いのに対して、各無線タグリーダ100A〜Dの通信圏101A〜Dは円形である。これらのことから、各無線タグリーダ100A〜Dの通信圏101A〜Dが他の無線タグリーダ100A〜Dの通信圏101A〜Dと部分的に重複するように、各無線タグリーダ100A〜Dは配置されている。
【0041】
図3は、無線タグリーダ100の構成を示す図である。
図3に示すように、無線タグリーダ100は、制御部110、送信部120、受信部130、アンテナ140を備えている。制御部110は、外部へ無線送信させる信号を送信部120へ送るとともに、アンテナ140によって受信され受信部130によって復調・復号された信号をその受信部130から取得する。また、制御部110は、内部にメモリ111とタイマ112とを備えている。
【0042】
メモリ111には、この無線タグリーダ100のIDやディレイ時間などが記憶されている。ディレイ時間とは、1回目の伝送データを送信してから2回目の伝送データを送信するまでの時間であり、無線タグリーダ100毎に異なる時間に設定されている。また、各無線タグリーダ100のディレイ時間の差は、複数の無線タグリーダ100からの伝送データが衝突しないようにするために、伝送データの送信時間と同じか、それよりも僅かに大きくなっている。タイマ112は、上記ディレイ時間の計測などに用いる。
【0043】
送信部120は、符号部121、変調部122、増幅部123を備えている。符号部121は、制御部110から供給された信号を符号化する。この信号には無線タグリーダ100のIDが含まれる。符号部121は、この符号化した信号を変調部122へ出力する。変調部122は、符号部121にて符号化された信号を電気的デジタル信号に変換した後に、予め設定されている通信チャンネルを用いて位相偏移変調や周波数偏移変調等の所定の変調方式により変調する。増幅部123は、変調部122で変調された信号を増幅する。増幅された信号は、アンテナ140から電波として送信される。
【0044】
また、アンテナ140は、無線タグ200から送信された電波を受信する。受信した電波は復調部131において復調される。復調された信号は復号部132において符号化され、符号化された信号が制御部110に送られる。
【0045】
前述の制御部110は、受信部130から供給される信号に基づいて、無線タグ200からタグデータを受信したと判断すると、そのタグデータの受信時点を基準として定まる固定送信時点に、無線タグリーダ100のIDや所定のコマンド等を含むリーダデータを、無線タグ200へ送信する。なお、固定送信時点は、全ての無線タグリーダ100に共通であり、特許請求の範囲の共通送信時点に相当する。また、リーダデータは、特許請求の範囲の伝送データに相当する。
【0046】
無線タグリーダ100は、固定送信時点にリーダデータを送信した場合、さらに、無線タグリーダ100毎に異なるタイミングに設定され、且つ、他の無線タグリーダ100の2回目送信期間と重複しないように設定された2回目送信時点にも、無線タグ200に、リーダデータを送信する。なお、この2回目送信時点も、タグデータの受信時点を基準として定める。
【0047】
図4は、無線タグ200の構成を示す図である。無線タグ200は人に携帯されるものである。無線タグ200は、アクティブ方式の無線タグであり、内蔵電源210を備えている。この内蔵電源210の他に、無線タグ200は、送信部220、受信部230、アンテナ240、振動センサ250、制御部260を備えており、内蔵電源210は、これらに電源を供給する。
【0048】
送信部220は、符号部221、変調部222、増幅部223を備えている。符号部221は制御部260から送信される信号を符号化して変調部222に送る。変調部222は、符号部221からの符号を、たとえば、振幅変位変調などの変調方式により変調する。増幅部223は、変調部222が変調した信号を増幅して、アンテナ240から送信させる。
【0049】
受信部230は、アンテナ240が受信した電波を復調する復調部231と、復調部231が復調した信号を復号する復号部232とを備えている。復号部232は、復号した信号を制御部260へ供給する。
【0050】
振動センサ250は、導通状態が機械的に変化するセンサであり、振動のない状態ではオンとなり、振動がある状態ではオフとなる。この振動センサ250のオンオフの状態は制御部260に入力される。
【0051】
制御部260は、送信部220および受信部230を制御する。また、制御部260は、タイマ261、メモリ262を備えている。タイマ261は、クロック発振器(図示せず)のクロックを計数することで計時を行う。この制御部260は、振動センサ250からのオン信号が入力されることにより待機状態から起動状態へ移行する。そして、その信号が入力されてから一定時間が経過したり、或いは、後述するように、無線タグリーダ100からのデータを受信できないと判断した場合には待機状態へ戻る。そして、起動している間は、ID信号などの所定のタグデータを一定周期で送信部220に出力する。送信部220は、このタグデータを符号化し、変調・増幅してアンテナ240から送信する。
【0052】
よって、無線タグ200は、振動センサ250により一定間隔以下で振動を検出している間、周期的(たとえば、2.0秒毎)にタグデータを外部に送信する。また、制御部260は、タグデータを送信後、内蔵電源210から受信部230に電源を供給させて受信可能状態とする。この受信可能状態とする期間は、第1受信期間および第2受信期間である。ただし、第2受信期間については、後述するように、第1受信期間の受信結果によって、受信可能状態とするか否かを決定する。
【0053】
第1受信期間は、無線タグ200が、いずれか少なくとも1つの無線タグリーダ100の通信圏内に位置しており、無線タグ200が送信したタグデータを無線タグリーダ100が受信できた場合に、無線タグリーダ100が1回目にリーダデータを送信する期間である。よって、第1受信期間は、無線タグリーダ100からのリーダデータのデータ長に応じて定まる長さの期間ある。ただし、全ての無線タグリーダ100は同じ固定送信時点にリーダデータを送信することから、第1受信期間は、1つの無線タグリーダ100からリーダデータを受信する場合と同じ長さの期間となっている。また、第1受信期間は、タグデータを送信した直後から開始する。
【0054】
この第1受信期間に、いずれの無線タグリーダ100からのリーダデータも受信しなかった場合には、その第1受信期間が経過した時点で即座に受信可能状態を終了して、待機状態へ移行する。なお、本実施形態においては、受信成功せず、また、受信エラーとの判断もしない場合に、リーダデータを受信しなかったと判断する。一方、受信成功、あるいは、受信エラーの場合には、リーダデータを受信したと判断する。
【0055】
ここで、受信成功とは、復号部232から供給される信号に基づいて、最終コードまで正しく認識できた場合である。一方、受信エラーとは、復号部232から供給される信号から、最初のコマンドなど一部のコマンドや、一部のコードは認識できたが、全部を認識することはできなかった場合である。そして、受信成功の場合には受信可能状態を終了し、受信成功したことにより取得したコマンドに基づく処理を行う。この処理としては、たとえば、無線タグリーダ100との間の認証処理がある。
【0056】
一方、受信エラーと判断した場合には、受信可能状態の期間を追加すると判断して、第2受信期間においても受信可能状態とする。第2受信期間は、無線タグリーダ100が2回目送信時点で送信するリーダデータを受信するための期間である。無線タグリーダ100の2回目送信時点は、前述のように、他の無線タグリーダ100の2回目送信期間と重複しないように設定されている。よって、第2受信期間は、1つの無線タグリーダ100の2回目送信期間を、無線タグリーダ100の数だけ足し合わせた時間よりも長い時間となる。ただし、第2受信期間が終了するまで受信可能状態を継続する必要はない。第2受信期間の途中でも、いずれか1つの無線タグリーダ100からのリーダデータの受信が成功した場合には、受信可能状態を終了する。なお、受信成功により受信可能状態を終了した場合には、受信成功したことにより取得したコマンドに基づく処理を行う。
【0057】
図5は、無線タグ200と、無線タグリーダ100A〜Dの通信シーケンスを例示する図である。この
図5に基づいて、無線タグ200の受信期間を説明する。なお、この
図5において、タグは無線タグ200を意味し、リーダA〜Dはそれぞれ無線タグリーダ100A〜Dを意味する。
【0058】
t1時点で、無線タグ200は、タグデータを送信している。無線タグ200において、t1時点から立ち上がっているパルス波形は、タグデータの送信期間を示している。このt1時点で送信したタグデータは、いずれの無線タグリーダ100A〜Dにも受信されていない。よって、どの無線タグリーダ100A〜Dも、固定送信時点に、リーダデータを送信しない。各リーダ100A〜Dにおいて、t2時点から立ち上がっているパルス波形が破線となっているのは、固定送信時点であるが、リーダデータを送信していないことを示している。リーダデータを送信していないので、無線タグ200は、第1受信期間にリーダデータを受信しない。無線タグ200においてt2時点から始まるパルス波形が破線で示されているのは、第1受信期間であるが、リーダデータを受信しなかったことを示している。無線タグ200は、第1受信期間にリーダデータを受信しなかったので、第1受信期間経過後、即座に待機状態へ移行する。
【0059】
また、t3の期間にパルス波形を破線で示すように、各無線タグリーダ100は、2回目送信時点も、リーダデータを送信しない。
【0060】
そして、t1時点から2秒経過後のt4時点で、無線タグ200は、再度、タグデータを送信している。今度は、このタグデータを無線タグリーダ100Aのみが受信し、他の無線タグデータ100B〜Dは、タグデータを受信していない。そのため、無線タグリーダ100Aは、固定送信時点(t5時点)でリーダデータを送信するが、他の無線タグリーダ100B〜Dは、リーダデータを送信しない。無線タグリーダ100Aにおいて、t5時点から立ち上がっているパルス波形が実線となっているのに対して、他の無線タグリーダ100B〜Dでは、t5時点から立ち上がっているパルス波形が破線となっているのは、このことを示している。
【0061】
また、無線タグリーダ100Aは、タグデータを受信したことにより、固定送信時点だけでなく、2回目送信時点(t6時点)にもリーダデータを送信する。しかし、1つの無線タグリーダ100Aのみがタグデータを送信することから、データの衝突が生じないので、無線タグ200は通信成功と判断する。よって、無線タグ200は、第2受信期間を受信可能状態とはしない。また、他の無線タグリーダ100B〜Dは、t7の期間にパルス波形を破線で示すように、2回目送信時点もリーダデータを送信しない。
【0062】
t4時点の次のタグデータ送信時点(t8時点)において、無線タグ200は、再度、タグデータを送信する。今度は、このタグデータを、2台の無線タグリーダ100A、100Bが受信している。そのため、無線タグリーダ100A、100Bは、ともに、固定送信時点(t9時点)でリーダデータを送信する。一方、残りの2台の無線タグリーダ100C,100Dはリーダデータを送信しない。無線タグリーダ100A、100Bにおいて、t9時点から立ち上がっているパルス波形が実線となっているのに対して、残りの無線タグリーダ100C、Dは、t9時点から立ち上がっているパルス波形が破線となっているのは、このことを示している。
【0063】
t9時点で、2台の無線タグリーダ100A、100Bがリーダデータを送信していることにより、無線タグ200は、受信エラーが起きたと判断する(t9時点)。そのため、t10時点から始まる第2受信期間において受信可能状態とする。
【0064】
また、タグデータを受信した無線タグリーダ100A、100Bは、2回目送信時点にもリーダデータを送信する。ただし、前述のように、2回目送信時点は、無線タグリーダ100毎に異なる時点に設定されており、かつ、データを送信している時間が重ならないように設定されている。この
図5の例では、無線タグリーダ100Aは、無線タグ200の第2受信期間の開始時点(t10時点)を2回目送信時点としている。一方、無線タグリーダ100Bは、無線タグリーダ100Aの2回目のリーダデータの送信終了後であるt11時点からリーダデータを送信している。このように、データを送信している時間が重ならないようにするには、たとえば、タイムスロット方式において、互いに異なるスロットを用いればよい。なお、スロットとは、データを送信する単位時間である。
【0065】
無線タグ200の第2受信期間は、最も遅い時点に2回目送信時点が設定された無線タグリーダ100Dが2回目の送信を行った場合にも、リーダデータを受信できる期間に設定されている(t12時点)。しかしながら、無線タグ200は、第2受信期間が終了するまで受信状態を継続するのではなく、いずれか一つのリーダデータの受信が成功した場合には受信可能状態を終了する。よって、t9時点から始まる無線タグリーダ100Aのデータ送信の受信が成功した時点で、無線タグ200は受信可能状態を終了する。
【0066】
t13時点以降は、タグデータを3台の無線タグリーダ100A〜Cが受信した場合である。詳細は省略するが、この場合にも受信エラーが生じることにより、無線タグ200は、第2受信期間を設定し、3台の無線タグリーダ100A〜Cが、互いに異なるタイミングに設定された2回目送信時点において、2回目のリーダデータの送信を行う。
【0067】
以上、説明した本実施形態の効果を
図6を用いて説明する。
図6(A)は、本実施形態を適用した場合の無線タグ200と、無線タグリーダ100A〜Dの通信シーケンスを例示する図であり、
図6(B)は、従来技術を適用した場合の無線タグ200と、無線タグリーダ100A〜Dの通信シーケンスを例示する図である。
【0068】
本実施形態では、無線タグ200は、タグデータを送信後、無線タグリーダ100から送信されるリーダデータを受信できるようにするために、第1受信期間は受信可能状態としている。一方、4台の無線タグリーダ100A〜Dは、タグデータを受信した場合、無線タグ200に対して、同じ固定送信時点に、リーダデータを送信するようにしている。よって、
図6(A)に示すように、無線タグ200の第1受信期間は、1つの無線タグリーダ100からのリーダデータを受信する場合と同じ長さの期間となっている。そして、無線タグ200は、第1受信期間にリーダデータを受信しなかったと判断した場合には第1受信期間が経過した時点で即座に待機状態とする。
【0069】
これに対して、
図6(B)に示す従来技術では、無線タグ200は、タグデータを送信後、全ての無線タグリーダ100A〜Dからリーダデータが送信されてくる可能性がある期間、必ず、受信可能状態としている。これら
図6(A)、(B)の比較から分かるように、本実施形態によれば、無線タグ200が受信可能状態とする期間を短くできるので、消費電力を低減することができる。
【0070】
さらに、無線タグリーダ100A〜Dは、固定送信時点にリーダデータを送信した後、無線タグリーダ100A〜D毎に異なるタイミングに設定された2回目送信時点にも、リーダデータを送信するようにしている。一方、無線タグ200は、第1受信期間に無線タグリーダ100からのリーダデータを受信したと判断したが、そのデータが受信エラーであった場合に、第2受信期間を受信可能状態とする。第2受信期間を受信可能状態とすることにより、データ衝突がない状態でリーダデータを受信することができ、このリーダデータに基づき、無線タグ200は、特許文献1と同様、無線タグリーダ100を特定することができる。
【0071】
また、本実施形態では、無線タグ200は、第1受信期間に受信したリーダデータに基づいて受信成功と判断した場合には、受信可能状態の期間を追加せずに、受信成功したリーダデータに基づいて定まる処理を実行する。よって、リーダデータに基づく処理を速やかに実行することもできる。
【0072】
また、本実施形態では、無線タグ200は、第2受信期間の途中でも、受信成功と判断した場合には、その時点で受信可能状態を終了する。これによっても受信可能状態の期間を短くすることができ、また、成功したデータに基づく処理を速やかに実行することもできる。
【0073】
加えて、第2受信期間を受信可能状態とすると全体の受信可能時間は長くなるが、無線タグ200は、人に携帯されるものであることから、無線タグ200は、無線タグリーダ100の通信圏外に位置している時間が圧倒的に長い。そのため、第2受信期間を追加する場合はそもそも少ない。
【0074】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を説明する。前述の第1実施形態では、各無線タグリーダ100がタグデータの送信を2回目に開始する2回目送信時点は、予め設定された固定時点であった。これに対して、第2実施形態では、各無線タグリーダ100の2回目送信時点を、第1受信期間において無線タグ200からの電波を受信したか否かに基づいて、都度、決定する(この決定のための処理を、以下、2回目送信時点決定処理という)。その他の構成については第1実施形態と同じである。
【0075】
上記2回目送信時点決定処理は、第2実施形態では、コントローラ300が行う。従って、第2実施形態では、コントローラ300は特許請求の範囲のリーダ制御装置に相当する。
【0076】
図7は、コントローラ300が実行する2回目送信時点決定処理を示すフローチャートである。第2実施形態では、各無線タグリーダ100は、無線タグ200からタグデータを受信した場合、受信したことを、自身のID(以下、リーダID)とともにコントローラ300に通知する。なお、リーダIDは、互いに異なる数値を含んでいる。また、この通知する内容を、以下、通知情報という。コントローラ300は、少なくともいずれか1つの無線タグリーダ100から通知情報を取得した場合に、
図7の2回目送信時点決定処理を開始する。
【0077】
ステップS1では、他の無線タグリーダ100からの通知情報を取得する。このステップS1では、他の無線タグリーダ100もタグデータを受信していれば、そのタグリーダ100からも通知情報を取得できることになる。
【0078】
続くステップS2では、ステップS1で通知があった無線タグリーダ100の数が、2以上であるか否かを判断する。この判断が否定判断であれば、2回目送信時点決定処理を終了する。一方、この判断が肯定判断であればステップS3へ進む。ステップS3へ進む場合、複数の無線タグリーダ100が、2回目のリーダデータの送信を行うことになる。第2実施形態では、ステップS3、S4を実行することで、各無線タグリーダ100の2回目送信時点を、都度、決定する。
【0079】
まず、ステップS3では、各無線タグリーダ100の2回目のリーダデータの送信順序を決定する。リーダデータは、無線タグ200からタグデータを受信したことにより送信するものであることから、このステップS3では、通知情報を受け取った複数の無線タグリーダ100に対して、送信順序を決定する。そして、この第2実施形態では、通知情報に含まれるリーダIDの数値により定まる順番で、送信順序を1から順番に決定する。
【0080】
続くステップS4では、予め記憶している、送信時点と送信順序との対応を定める対応テーブル、および、ステップS3で決定した送信順序とを用いて、2回目のリーダデータの送信時点(2回目送信時点)を決定する。上記対応テーブルにおける送信時点は、無線タグリーダ100の数だけ設定されている。各送信時点は、いずれも無線タグ200の第2受信期間内の時点、且つ、互いに異なる時点であり、加えて、その送信時点で送信開始されたタグデータが、無線タグ200の第2受信期間内に送信終了するように設定されている。このように設定されている各送信時点が、送信時点の早いものから順に送信順序と対応しているテーブルが、送信時点対応テーブルである。この送信時点対応テーブルと、ステップS3で決定した送信順序とから、各無線タグリーダ100の2回目送信時点を決定する。なお、送信時点は、タグデータの受信開始時点あるいは受信終了時点を計時開始として定まる時点である。
【0081】
続くステップS5では、ステップS4で決定した2回目送信時点を、通知情報に含まれているリーダIDによって特定される無線タグリーダ100へ指示する。
【0082】
このステップS5で2回目送信時点が指示された無線タグリーダ100は、指示された2回目送信時点に2回目のリーダデータの送信を開始する。また、無線タグ200は、第1実施形態と同様、いずれか1つの無線タグリーダ100からの受信が成功した場合には、受信可能状態を終了する。
【0083】
図8は、第1実施形態の
図6に対応する図、すなわち、第2実施形態において、無線タグ200と無線タグリーダ100の通信シーケンスを例示する図である。ただし、
図8(A)は、第1実施形態を適用した場合の通信シーケンス図であり、第2実施形態(
図8(B)、(C))との比較のために示してある。
【0084】
まず、
図8(A)を説明する。t1時点で、無線タグ200は、タグデータを送信している。無線タグ200において、t1時点から立ち上がっているパルス波形は、タグデータの送信期間を示している。このt1時点で送信したタグデータを、2台の無線タグリーダ100B、100Dは受信しているが、他の2台の無線タグリーダ100A、100Cは受信していない。そのため、無線タグリーダ100B、100Dは、固定送信時点(t2時点)でリーダデータを送信する。一方、残りの2台の無線タグリーダ100A、100Cはリーダデータを送信しない。
【0085】
t2時点で、2台の無線タグリーダ100B、100Dがリーダデータを送信していることにより、無線タグ200は、第1受信期間で受信エラーが起きたと判断する(t2時点)。そのため、t3時点から始まる第2受信期間において受信可能状態とする。
【0086】
また、タグデータを受信した無線タグリーダ100B、100Dは、2回目送信時点にもリーダデータを送信する。前述の第1実施形態では、2回目送信時点は、無線タグリーダ100毎に異なる時点に予め設定されている。具体的には、無線タグリーダ100Bは、第2受信期間内における2番目の送信時点であるt4時点が2回目送信時点に設定されており、無線タグリーダ100Dは、4番目の送信時点であるt6時点が2回目送信時点に設定されている。
【0087】
そのため、第1実施形態の場合には、t4時点から無線タグリーダ100Bが送信開始するデータの受信が成功する時点までは、無線タグ200は、少なくとも受信可能状態を継続する必要がある。また、仮に、無線タグリーダ100Bからのデータの受信に成功しなかった場合には、t6時点から無線タグリーダ100Dが送信開始するデータの受信が成功する時点まで受信可能状態を継続する必要がある。
【0088】
次に
図8(B)を説明する。
図8(B)も、
図8(A)と同じで、t1時点で、無線タグ200がタグデータを送信し、このタグデータを2台の無線タグリーダ100B、100Dが受信している。そのため、t2時点で、2台の無線タグリーダ100B、100Dがリーダデータを送信しており、これにより、無線タグ200は、第1受信期間で受信エラーが起きたと判断し、t3時点から始まる第2受信期間を受信可能状態としている。
【0089】
ただし、第2実施形態では、複数の送信時点候補のうち、送信時点の早いものから順番に、2回目のリーダデータを送信する各無線タグリーダ100の2回目送信時点としている。つまり、
図8(B)のように、2台の無線タグリーダ100B、100Dが2回目のリーダデータを送信する場合には、第2受信期間内における1番目の送信時点であるt3時点と、2番目の送信時点であるt4時点を、それぞれ、無線タグリーダ100B、100Dの2回目送信時点に設定する。これを第1実施形態と比較して考えると、無線タグリーダ100Bの2回目送信時点は、t4時点からt3時点へ早まったことになり、無線タグリーダ100Dの2回目送信時点は、t6時点からt4時点へ早まったことになる。
【0090】
無線タグリーダ100Bがt3時点から2回目のリーダデータの送信を開始し、このリーダデータの受信に無線タグ200が成功すれば、
図8(B)に示すように、短い期間で無線タグ200の受信可能状態は終了する。
【0091】
次に
図8(C)を説明する。
図8(C)でも、t1時点で、無線タグ200がタグデータを送信している。しかし、この
図8(C)の例では、3台の無線タグリーダ100A、100C、100Dがタグデータを受信しており、t2時点で、3台の無線タグリーダ100A、100C、100Dがリーダデータを送信している。これにより、無線タグ200は、第1受信期間で受信エラーが起きたと判断し、t3時点から始まる第2受信期間を受信可能状態としている。
【0092】
図8(C)の例では、3台の無線タグリーダ100A、100C、100Dが2回目のリーダデータを送信するので、第2受信期間内における1番目の送信時点であるt3時点と、2番目の送信時点であるt4時点、3番目の送信時点であるt5時点を、それぞれ、無線タグリーダ100A、100C、100Dの2回目送信時点に設定する。これを第1実施形態と比較して考えると、無線タグリーダ100Cの2回目送信時点は、t5時点からt4時点へ早まったことになり、無線タグリーダ100Dの2回目送信時点は、t6時点からt5時点へ早まったことになる。
【0093】
無線タグリーダ100Aがt3時点から2回目のリーダデータの送信を開始し、このリーダデータの受信に無線タグ200が成功すれば、
図8(C)に示すように、短い期間で無線タグ200の受信可能状態は終了する。また、仮に、何らかの理由により、無線タグリーダ100Aが送信するリーダデータの受信に成功しない場合でも、2番目の送信時点であるt4、t5時点から別の無線タグリーダ100C、100Dが連続してリーダデータを送信するので、早期に受信成功となる。
【0094】
以上、説明した第2実施形態によれば、無線タグ200は、第2受信期間内であっても受信成功と判断した場合には、その時点で受信可能状態を終了するようになっている。加えて、2回目のリーダデータを送信する各無線タグリーダ100の2回目送信時点として、複数の送信時点候補(
図8のt3〜t6)のうち、送信時点の早いものから順番に用いている。これらのことにより、無線タグ200が第2受信期間において受信可能状態としている時間を短くすることができる。よって、無線タグ200は消費電力をより低減することができる。
【0095】
(第2実施形態の変形例1)
上述した第2実施形態では、コントローラ300が
図7の2回目送信時点決定処理を実行していたが、いずれか1つの無線タグリーダ100がその処理を実行してもよい。この場合には、2回目送信時点決定処理を実行しない無線タグリーダ100は、タグデータを受信した場合、前述の通知情報を、2回目送信時点決定処理を実行する無線タグリーダ100に送信する。このようにすれば、コントローラ300を備えない無線タグシステムが可能となるので、システム全体の設置面積を減らし、且つ、コストも低減できる可能性がある。
【0096】
(第2実施形態の変形例2)
第2実施形態の変形例2では、4つの無線タグリーダ100は、タグデータを受信した場合に、受信したことを、自身のID(以下、リーダID)とともに、他の全部の無線タグリーダ100に通知する。また、各無線タグリーダ100は、自身の2回目送信時点を決定するために、
図9に示す2回目送信時点決定処理を実行する。この処理は、一定周期で実行する。
【0097】
ステップS11では、無線タグ200から信号(すなわちタグデータ)を受信したか否かを判断する。この判断が否定判断であれば
図9の処理を終了する。一方、肯定判断であればステップS12へ進む。ステップS12では、他の無線タグリーダ100へ通知情報を送信する。この通知情報は第2実施形態と同じであり、タグデータを受信したこと、およびリーダIDを含む情報である。
【0098】
ステップS13では、他の無線タグリーダ100から通知情報を取得する。続くテップS14では、ステップS13で通知情報を取得した無線タグリーダ100の数が1以上かどうか(つまり、いずれか少なくとも1台の他の無線タグリーダ100から通知があったかどうか)を判断する。このステップS14を実行するのは、自身も無線タグ200からタグデータを受信している場合である。よって、ステップS14は、自身を含めて、タグデータを受信した無線タグリーダ100が複数あったか否かを判断していることになる。このステップS14は特許請求の範囲の送信リーダ数判断手段に相当する。このステップS14の判断が否定判断である場合にも、
図9の処理を終了する。
【0099】
一方、ステップS14が肯定判断であった場合にはステップS15へ進む。ステップS15へ進む場合、自身を含めて複数の無線タグリーダ100が、2回目のリーダデータの送信を行うことになる。そこで、次のステップS15、S16を実行することで、自身の2回目送信時点を、都度、決定する。
【0100】
ステップS15では、自身の2回目のリーダデータの送信順序を決定する。具体的には、通知情報を受け取った他の無線タグリーダ100の優先順位と、自身の優先順位とを比較して、優先順位の順に送信順序を決定する。なお、ここでは、優先順位はリーダIDにより定まるとする。たとえば、自身のリーダIDが2であり、通知情報を受け取った他の無線タグリーダ100のリーダIDが4であれば、自身の送信順序を1、リーダID4の無線タグリーダ100の送信順序を2とする。
【0101】
ステップS16では、第2実施形態と同じ対応テーブル、および、ステップS15で決定した送信順序を用いて、自身の2回目のリーダデータの送信時点を決定する。
【0102】
このステップS16を実行後、この無線タグリーダ100は、ステップS16で決定した2回目送信時点に2回目のリーダデータの送信を開始する。
【0103】
以上の処理を、各無線タグリーダ100が実行することで、前述した第2実施形態と同様に、2回目のリーダデータを送信する各無線タグリーダ100の2回目送信時点として、複数の送信時点候補のうち、送信時点の早いものから順番に用いることができる。よって、無線タグ200が第2受信期間において受信可能状態としている時間を短くすることができるので、無線タグ200の消費電力をより低減することができる。
【0104】
また、第2実施形態の変形例2のようにしても、コントローラ300が必要ないことから、コントローラ300を備えない無線タグシステムが可能となるので、システム全体の設置面積を減らし、且つ、コストも低減できる可能性がある。
【0105】
(第2実施形態の変形例3)
第2実施形態の変形例3では、第2実施形態と同様、コントローラ300が2回目送信時点決定処理を行う。ただし、第2実施形態ではリーダIDにより送信順序を決定していたのに対して、第2実施形態の変形例3では、受信電波強度に基づいて送信順序を決定する。また、無線タグリーダ100は、通知情報に、タグデータを受信したこと、およびリーダIDに加え、タグデータを受信した時の受信電波強度も含ませる。
【0106】
図10は、第2実施形態の変形例3においてコントローラ300が実行する2回目送信時点決定処理を示すフローチャートである。この
図10において、
図7と同じ処理を行うステップについては
図7と同じステップ番号を付している。すなわち、
図10に示す2回目送信時点決定処理は、ステップS3−1以外は、
図7と同じである。
【0107】
ステップS3−1では、各無線タグリーダ100の2回目のリーダデータの送信順序を決定する。具体的には、このステップS3−1では、各無線タグリーダ100から取得した通知情報にそれぞれ含まれている受信信号強度を比較し、受信信号強度が高いほど優先順位が高いとして、受信信号強度の高い順に、送信順序を1から順番に決定する。
【0108】
この第2実施形態の変形例3では、高い受信信号強度で無線タグ200からの信号を受信した無線タグリーダ100ほど、2回目送信時点が早い送信時点に決定される。また、高い受信信号強度でタグデータを受信できる無線タグリーダ100ほど、無線タグ200との通信が成功しやすい。よって、無線タグ200は、第2受信期間の早い時点で受信成功となる可能性が一層高くなり、その結果、無線タグ200が第2受信期間において受信可能状態としている時間を短くできる可能性がより向上する。
【0109】
(第2実施形態のその他の変形例)
上述した第2実施形態では、2回目送信時点は必ず対応テーブルを用いて決定していた。しかし、この態様に限られず、第1実施形態と同様、第2実施形態においても、各無線タグリーダ100は予め2回目送信時点を記憶しており、変更が必要な場合に限り、対応テーブルを用いて2回目送信時点を変更するようにしてもよい。
【0110】
このようにする場合、全ての無線タグリーダ100がタグデータを受信できていれば、各無線タグリーダ100の2回目送信時点を変更する必要はない。従って、コントローラ300(あるいはいずれかの無線タグリーダ100)が実行する
図7のステップS2において、通知があったリーダ数をn、無線タグリーダ100の総数をxとしたとき、2≦n≦x−1を判断してもよい。
【0111】
また、上述した変形例3以外の第2実施形態では、リーダIDから定まる優先順位を用いて送信順序を決定していた。しかし、これに限られず、各無線タグリーダ100が第1実施形態と同様の2回目送信時点を記憶している場合には、各2回目送信時点は互いに重ならないように設定されている。そこで、この2回目送信時点が早いものほど優先順位が高いとして、送信順序を決定してもよい。
【0112】
また、各無線タグリーダ100が自身の2回目送信時点をそれぞれ決定する第2実施形態の変形例2においても、第2実施形態の変形例3のように、受信信号強度により優先順位を決定するようにしてもよい。
【0113】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0114】
(第1、第2実施形態に共通する変形例1)
たとえば、前述の実施形態では、無線タグリーダ100は、1回目の送信も、2回目の送信も、同じリーダデータを送信していた。しかし、1回目の送信は、受信エラーを起こさせることのみを目的としたデータとすることもできる。この場合、単に無線タグリーダ100からの電波の有無が分かりさえすればよく、1回目で送信するデータで受信成功とする必要はない。つまり、正規のコマンドを送信する必要はない。よって、受信エラーを起こさせることができるデータ量の範囲で、2回目で送信するデータよりも短いデータとすることができる。また、これに伴い、無線タグ200の第1受信期間を、前述の実施形態よりも短くすることができる。
【0115】
なお、無線タグリーダ100が1回目の送信で正規のコマンドを送信しない場合には、無線タグ200は、いずれか少なくとも一つの無線タグリーダ100の通信圏内に位置している場合には、必ず、2回目の受信を行う必要がある。しかし、前述の実施形態でも、複数の無線タグ200の通信エリアが重複している重複エリアに存在している場合には、2回目の受信を行う必要がある。また、前述のように、この変形例1では、第1受信期間を短くすることができる。よって、重複エリアの比率が高い場合、この変形例1は有効である。逆に、重複エリアの比率が低い場合には、前述の実施形態の態様が好ましい。
【0116】
(第1、第2実施形態に共通する変形例2)
また、前述の実施形態では、無線タグ200は、第1受信期間で受信した電波を復調・復号した結果、受信エラーと判断した場合に、第2受信期間を受信可能状態としていた。これに代えて、第1受信期間に受信した電波の受信強度と所定の圏内判断強度とを比較して、第2受信期間を受信可能状態とするか否かを決定してもよい。
【0117】
より詳しくは、第1受信期間に受信した電波の受信強度が圏内判断強度よりも低ければ、第1受信期間に無線タグリーダ100からの電波を受信しなかったと判断する。この場合、いずれの無線タグリーダ100の通信圏内でもないと判断し、第1受信期間が経過した時点で即座に待機状態とする。一方、第1受信期間に受信した電波の受信強度が圏内判断強度以上であれば、その電波は、少なくともいずれか一つの無線タグリーダ100から送信されたものであると判断する。すなわち、少なくともいずれか一つの無線タグリーダ100の通信圏内であると判断する。この場合には、無線タグリーダ100からのコマンドを受信するために、第2受信期間を受信可能状態とする。
【0118】
回路の種類によっては、複数の無線タグリーダ100からのデータが重複しており、無線タグリーダ100を特定して通信ができない状況を、単にノイズとしてしまい、通信エラーとしない回路も存在する。しかし、このように、受信強度により通信圏内かどうかの判断をする場合には、そのような回路も利用可能であることから、部品選択の幅が広がる。また、無変調波の受信強度を判断することから、第2受信期間を受信可能状態とするかどうかの判断に際し、復調、復号が不要となる利点もある。
【0119】
また、この場合、無線タグリーダ100は、1回目の送信において、データを送信せずに、無変調波(変調したデータを搬送波に重畳しない送信波)を送信すればよい。
【0120】
(その他の変形例)
前述の実施形態では、
図5に示すように、第1受信期間と第2受信期間とは連続していなかった。すなわち、第1受信期間とは別に第2受信期間が設けられていた。しかし、第1受信期間とは別に第2受信期間を設けず、第1受信期間を延長して、無線タグリーダ100からの2回目のデータを受信できるようにしてもよい。