(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の内部電極層の側面が前記第2の絶縁層から露出しており、前記複数の外部電極膜が前記内部電極層の前記上面及び前記側面に被着して形成されていることを特徴とする請求項5に記載の電子部品。
前記複数の内部電極層の側面が前記第2の絶縁層の側面から露出することなく前記第2の絶縁層に覆われており、前記複数の外部電極膜が前記内部電極層の前記上面に被着して形成されていることを特徴とする請求項5に記載の電子部品。
磁性体基板をさらに備え、前記インダクタは前記磁性体基板と前記第2の絶縁層との間に設けられたコモンモードチョークコイルを構成することを特徴とする請求項8に記載の電子部品。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は本発明の一実施形態により製造される電子部品におけるコモンモードチョークコイルの構成を概略的に示す(A)外観斜視図、(B)B−B線断面図、(C)C−C線断面図であり、
図2はこのコモンモードチョークコイルの分解斜視図である。なお、
図1(B)のB−B線断面図は外部電極の存在する位置における断面を示しており、
図1(C)のC−C線断面は外部電極の存在しない位置における断面を示している。
【0028】
これらの図において、10はコモンモードチョークコイル、11はフェライト基板、12はフェライト基板11上に形成された第1の絶縁膜12a、第2の絶縁膜12b及び第3の絶縁膜12cから構成される絶縁層、13は絶縁層12に囲まれて形成された第1のコイル導体膜13a及び第2のコイル導体膜13bから構成されるコイル導体層、14は一端が図示しないビアホール導体を介してコイル導体層13に電気的に接続され、他端が内部導体(15)に電気的に接続されたリード導体層、15はコモンモードチョークコイル10の上面10aの一部並びに側面10b及び10cの一部に現れるように形成された第1〜第4の内部電極層15a〜15dから構成される内部導体、16は絶縁層12上に形成されたフェライト材料を含む複合フェライト樹脂層、17は第1〜第4の内部電極層15a〜15dの外面上にそれぞれ被着形成された第1〜第4の外部電極膜17a〜17dからなる外部電極をそれぞれ示している。本実施形態においては、外部電極17を構成する第1〜第4の外部電極膜17a〜17dの各々が、上面10a及び1つの側面10b又は10c上にまたがって被着されてなるL字状断面を有している。なお、理解を助けるために、
図2におけるコイル導体13は、共に3ターン程度に簡略化して図示した。
【0029】
コモンモードチョークコイルは、周知のように、平衡伝送方式において電磁妨害の原因となるコモンモード電流を抑制するために使用される電子部品であり、本実施形態では、例えば底辺が約0.6mm×約0.3mm、高さが約0.3mmの略直方体形状の外形を有し、その上面及び側面に4つの外部電極を備えた表面実装型部品として構成されている。なお、コモンモードチョークコイルの外形の各角部や隣接面交線部は面取り処理が施されていてもよい。
【0030】
フェライト基板11は本実施形態ではNi−Zn(ニッケル−亜鉛)フェライト等のフェライト焼結体から構成されており、絶縁層12は本実施形態では加熱硬化されたポリイミド樹脂材料から構成されており、コイル導体層13、リード導体層14及び内部導体15は本実施形態ではCu、Au、アルミニウム(Al)又は銀(Ag)等の導電材料から構成されており、複合フェライト樹脂層16は本実施形態ではフェライト粒子を含有するエポキシ樹脂材料から構成されており、外部電極17は長時間外気に晒されても腐食し難いように本実施形態ではNi膜上にAu膜を積層した多層導電材料又はSn等の単層導電材料から構成されている。
【0031】
図3a及び3b並びに
図4a及び4bは本実施形態のコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図であり、
図3a及び3bは外部電極の存在する位置における断面を示しており、
図4a及び4bは外部電極の存在しない位置における断面を示している。以下、これらの図を用いて、本実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を説明する。なお、
図3a及び3bは
図1(B)に対応し、2つの隣接するコモンモードチョークコイルについて図示している。
図4a及び4bは
図1(C)に対応する。
【0032】
図3a(A)及び
図4a(A)に示すように、まず、Ni−Znフェライト等のフェライトを焼結し、切断、切削及び研磨を行って、厚さ約0.1〜2.0mmのフェライト基板11を形成する。
【0033】
次いで、
図3a(B)及び
図4a(B)に示すように、その全面上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、加熱硬化して厚さ約1.0〜10μmの第1の絶縁膜12aを形成する。
【0034】
次いで、
図3a(C)及び
図4a(C)に示すように、第1の絶縁膜12a上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第1のコイル導体膜13aと第1〜第4の内部電極層15a〜15dの一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0035】
次いで、
図3a(D)及び
図4a(D)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第2の絶縁膜12bを形成する。
【0036】
次いで、
図3a(E)及び
図4a(E)に示すように、図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmのリード導体層14と第1〜第4の内部電極層15a〜15dの一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0037】
次いで、
図3a(F)及び
図4a(F)に示すように、第2の絶縁膜12b上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第2のコイル導体膜13bを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。なお、リード導体層14はコモンモードチョークコイル10の中央部まで伸長しているが、このリード導体14とこれに交差する第2のコイル導体膜13bとの間には、第2の絶縁膜12bが存在する(
図2参照)。
【0038】
次いで、
図3a(G)及び
図4a(G)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第3の絶縁膜12cを形成する。
【0039】
次いで、
図3b(H)及び
図4b(H)に示すように、第3の絶縁膜12c上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜200μmの第1〜第4の内部電極層15a〜15dから構成される内部導体15を付加的に形成してレジストパターンを除去する。
【0040】
その後、
図3b(I)及び
図4b(I)に示すように、その上にフェライト粒子を含有するエポキシ樹脂材料を塗布し、加熱して硬化させた後、表面を研磨して厚さ約5.0〜200μmの複合フェライト樹脂層16を形成する。
【0041】
次いで、
図3b(J)及び
図4b(J)に示すように、溝加工用の回転切削具を用いて基板11に浅溝18を形成する。この浅溝18は、基板11を完全に切断分離することなく、つながった状態のコモンモードチョークコイル間に形成されるものであり、例えば、約70μmの幅を有している。この浅溝18を設けることにより、各コモンモードチョークコイル10の側面10b及び10cが露出する。しかも、本実施形態のように第1〜第4の内部電極層15a〜15dから構成される内部導体15の位置に浅溝18を設けることにより、これら第1〜第4の内部電極層15a〜15dの一部が、側面10b及び10cに露出する。なお、第1〜第4の内部電極層15a〜15dは、その一部が上面10aにも露出している。
【0042】
次いで、
図3b(K)及び
図4b(K)に示すように、Ni及びAuをこの順序で順次電解めっき又は無電解めっきしてNi/Au(Niが下側層、Auが上側層)の多層膜、又はSnを電解めっき又は無電解めっきしてSnの単層膜を、コモンモードチョークコイル10の上面10a並びに側面10b及び10cに露出した第1〜第4の内部電極層15a〜15d上に被着形成する。これにより、各々が厚さ約1.0〜10μmのL字状断面を有する第1〜第4の外部電極膜17a〜17dからなる外部電極が形成される。この外部電極の望ましい実施態様としては、Ni膜を3μm、その上にAu膜を0.1μm形成する。
【0043】
次いで、
図3b(L)及び
図4b(L)に示すように、基板11の裏面を研削してその厚さを低減させる。例えば、研削前の基板11の厚さが1.5mmであるとすると、0.2〜0.8mm程度の厚さとなるように研削する。
【0044】
その後、
図3b(M)及び
図4b(M)に示すように、切断用の回転切削具を用いて基板11を完全に切断して個々のコモンモードチョークコイルに分離する。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によれば、基板11上に形成された複数のコモンモードチョークコイルを個々に分離する前に浅溝加工を行って、各コモンモードチョークコイルの側面が露出されるようにし、その上面及び側面に露出した第1〜第4の内部電極層15a〜15d上に第1〜第4の外部電極膜17a〜17dをそれぞれめっき形成した後、基板11を完全に切断して個々のコモンモードチョークコイルチップに分離している。このように個々のコモンモードチョークコイルチップに分離する前に外部電極を形成しているので、外部電極の形状、寸法及び位置が高い精度で形成することができると共に、コモンモードチョークコイルのさらなる小型化を図ることができる。しかも、製造工程が基板上の工程とコモンモードチョークコイルチップに分離した後の工程とに分かれないため、製造コストを低減化することが可能となる。さらにまた、各外部電極がコモンモードチョークコイルの上面のみならずその側面にもまたがって形成されるL字状断面を有しているため、その電極面積が大きくなり、実装時に充分な半田強度を得ることができる。また、本実施形態のコモンモードチョークコイルは、従来のコモンモードチョークコイルのように対向配置された2つのフェライト基板を有していないので、低背化を図ることができる。
【0046】
図5は
図1の実施形態の変更態様により製造される電子部品におけるコモンモードチョークコイルの構成を概略的に示す外観斜視図である。
【0047】
この変更態様では、外部電極を構成する第1〜第4の外部電極膜57a〜57dの各々が、コモンモードチョークコイル50の上面50aと側面50b〜50eの2つとにまたがって被着されており、上面及び2つの側面の各々間で、並びに2つの側面間でL字状断面を有するように形成されている。
【0048】
このように、第1〜第4の外部電極膜57a〜57dの各々が被着された3つの面間でそれぞれL字状断面を有するように構成されているため、電極面積がより大きくなると共に電極の強度がより高くなり、実装時により充分な半田強度を得ることができる。
図5の変更態様におけるその他の構成及び作用効果は、
図1の実施形態における構成及び作用効果と同様である。
【0049】
図6a及び6bは本発明の他の実施形態のコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図である。以下、これらの図を用いて、本実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を説明する。なお、
図6a及び6bは、2つの隣接するコモンモードチョークコイルについて図示している。また、本実施形態の説明において、
図1の実施形態の場合と同様の構成要素については、同じ参照番号を使用する。
【0050】
図6a(A)に示すように、まず、Ni−Znフェライト等のフェライトを焼結し、切断、切削及び研磨を行って、厚さ約0.1〜2.0mmのフェライト基板11を形成する。
【0051】
次いで、
図6a(B)に示すように、その全面上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、加熱硬化して厚さ約1.0〜10μmの第1の絶縁膜12aを形成する。
【0052】
次いで、
図6a(C)に示すように、第1の絶縁膜12a上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第1のコイル導体膜13aと第1〜第4の内部電極層15a〜15dの一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0053】
次いで、
図6a(D)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第2の絶縁膜12bを形成する。
【0054】
次いで、
図6a(E)に示すように、図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmのリード導体層14と第1〜第4の内部電極層15a〜15dの一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0055】
次いで、
図6a(F)に示すように、第2の絶縁膜12b上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第2のコイル導体膜13bを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。なお、リード導体層14はコモンモードチョークコイル10の中央部まで伸長しているが、このリード導体14とこれに交差する第2のコイル導体膜13bとの間には、第2の絶縁膜12bが存在する(
図2参照)。
【0056】
次いで、
図6a(G)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第3の絶縁膜12cを形成する。
【0057】
次いで、
図6b(H)に示すように、第3の絶縁膜12c上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜200μmの第1〜第4の内部電極層15a〜15dから構成される内部導体15を付加的に形成してレジストパターンを除去する。
【0058】
その後、
図6b(I)に示すように、その上にフェライト粒子を含有するエポキシ樹脂材料を塗布し、加熱して硬化させた後、表面を研磨して厚さ約5.0〜200μmの複合フェライト樹脂層16を形成する。
【0059】
次いで、
図6b(J)に示すように、溝加工用の回転切削具を用いて基板11に深溝19を形成する。この深溝19は、
図1の実施形態における
図3b(J)に示す浅溝18よりも深く、基板11を完全に切断分離することなく、わずかにつながった状態のコモンモードチョークコイル間に形成されるものであり、例えば、約70μmの幅を有している。この深溝19を設けることにより、各コモンモードチョークコイル10の側面10b及び10cが露出する。しかも、本実施形態のように第1〜第4の内部電極層15a〜15dから構成される内部導体15の位置に深溝19を設けることにより、これら第1〜第4の内部電極層15a〜15dの一部が、側面10b及び10cに露出する。なお、第1〜第4の内部電極層15a〜15dは、その一部が上面10aにも露出している。
【0060】
次いで、
図6b(K)に示すように、Ni及びAuをこの順序で順次電解めっき又は無電解めっきしてNi/Au(Niが下側層、Auが上側層)の多層膜、又はSnを電解めっき又は無電解めっきしてSnの単層膜を、コモンモードチョークコイル10の上面10a並びに側面10b及び10cに露出した第1〜第4の内部電極層15a〜15d上に被着形成する。これにより、各々が厚さ約1.0〜10μmのL字状断面を有する第1〜第4の外部電極膜17a〜17dからなる外部電極が形成される。この外部電極の望ましい実施態様としては、Ni膜を3μm、その上にAu膜を0.1μm形成する。
【0061】
次いで、
図6b(L)に示すように、基板11の裏面を研削することにより、深溝19の部分で基板11を完全に切り離して個々のコモンモードチョークコイルに分離する。
【0062】
以上説明したように、本実施形態によれば、基板11上に形成された複数のコモンモードチョークコイルを個々に分離する前に深溝加工を行って、各コモンモードチョークコイルの側面が露出されるようにし、その上面及び側面に露出した第1〜第4の内部電極層15a〜15d上に第1〜第4の外部電極膜17a〜17dをそれぞれめっき形成した後、基板11の裏面を研削することにより深溝の部分で切り離して個々のコモンモードチョークコイルチップに分離している。このように個々のコモンモードチョークコイルチップに分離する前に外部電極を形成しているので、外部電極の形状、寸法及び位置が高い精度で形成することができると共に、コモンモードチョークコイルのさらなる小型化を図ることができる。しかも、製造工程が基板上の工程とコモンモードチョークコイルチップに分離した後の工程とに分かれないため、製造コストを低減化することが可能となる。さらにまた、各外部電極がコモンモードチョークコイルの上面のみならずその側面にもまたがって形成されるL字状断面を有しているため、その電極面積が大きくなり、実装時に充分な半田強度を得ることができる。また、本実施形態のコモンモードチョークコイルは、従来のコモンモードチョークコイルのように対向配置された2つのフェライト基板を有していないので、低背化を図ることができる。
【0063】
図7a及び7bは本発明のさらに他の実施形態のコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図である。以下、これらの図を用いて、本実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を説明する。なお、
図7a及び7bは、2つの隣接するコモンモードチョークコイルについて図示している。また、本実施形態の説明において、
図1の実施形態の場合と同様の構成要素については、同じ参照番号を使用する。
【0064】
図7a(A)に示すように、まず、Ni−Znフェライト等のフェライトを焼結し、切断、切削及び研磨を行って、厚さ約0.1〜2.0mmのフェライト基板11を形成する。
【0065】
次いで、
図7a(B)に示すように、その全面上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、加熱硬化して厚さ約1.0〜10μmの第1の絶縁膜12aを形成する。
【0066】
次いで、
図7a(C)に示すように、第1の絶縁膜12a上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第1のコイル導体膜13aと第1〜第4の内部電極層15a〜15dの一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0067】
次いで、
図7a(D)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第2の絶縁膜12bを形成する。
【0068】
次いで、
図7a(E)に示すように、図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmのリード導体層14と第1〜第4の内部電極層15a〜15dの一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0069】
次いで、
図7a(F)に示すように、第2の絶縁膜12b上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第2のコイル導体膜13bを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。なお、リード導体層14はコモンモードチョークコイル10の中央部まで伸長しているが、このリード導体14とこれに交差する第2のコイル導体膜13bとの間には、第2の絶縁膜12bが存在する(
図2参照)。
【0070】
次いで、
図7a(G)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第3の絶縁膜12cを形成する。
【0071】
次いで、
図7b(H)に示すように、第3の絶縁膜12c上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜200μmの第1〜第4の内部電極層15a〜15dから構成される内部導体15を付加的に形成してレジストパターンを除去する。
【0072】
その後、
図7b(I)に示すように、その上にフェライト粒子を含有するエポキシ樹脂材料を塗布し、加熱して硬化させた後、表面を研磨して厚さ約5.0〜200μmの複合フェライト樹脂層16を形成する。
【0073】
次いで、
図7b(J)に示すように、基板11の裏面を研削してその厚さを低減させる。例えば、研削前の基板11の厚さが1.5mmであるとすると、0.2〜0.8mm程度の厚さとなるように研削する。
【0074】
次いで、
図7b(K)に示すように、切断用の回転切削具を用いて基板11を完全に切断して個々のコモンモードチョークコイルに分離する。この分離により、各コモンモードチョークコイル10の側面10b及び10cが露出すると共に、第1〜第4の内部電極層15a〜15dの一部が側面10b及び10cに露出する。なお、第1〜第4の内部電極層15a〜15dは、その一部が上面10aにも露出している。
【0075】
次いで、
図7b(L)に示すように、このように分離した個々のコモンモードチョークコイルについて、外部電極をバレルめっきする。このバレルめっきにより、Ni及びAuをこの順序で順次電解めっき又は無電解めっきしてNi/Au(Niが下側層、Auが上側層)の多層膜、又はSnを電解めっき又は無電解めっきしてSnの単層膜を、コモンモードチョークコイル10の上面10a並びに側面10b及び10cに露出した第1〜第4の内部電極層15a〜15d上に被着形成する。これにより、各々が厚さ約1.0〜10μmのL字状断面を有する第1〜第4の外部電極膜17a〜17dからなる外部電極が形成される。この外部電極の望ましい実施態様としては、Ni膜を3μm、その上にAu膜を0.1μm形成する。
【0076】
以上説明したように、本実施形態によれば、基板11上に形成された複数のコモンモードチョークコイルを個々に分離して、各コモンモードチョークコイルの側面が露出されるようにし、その上面及び側面に露出した第1〜第4の内部電極層15a〜15d上に第1〜第4の外部電極膜17a〜17dをそれぞれバレルめっき形成している。このように、露出された内部電極の位置にバレルめっきして外部電極を形成しているので、外部電極の形状、寸法及び位置が高い精度で形成することができると共に、コモンモードチョークコイルのさらなる小型化を図ることができる。しかも、各外部電極がコモンモードチョークコイルの上面のみならずその側面にもまたがって形成されるL字状断面を有しているため、その電極面積が大きくなり、実装時に充分な半田強度を得ることができる。また、本実施形態のコモンモードチョークコイルは、従来のコモンモードチョークコイルのように対向配置された2つのフェライト基板を有していないので、低背化を図ることができる。
【0077】
図8a及び8bは本発明のまたさらに他の実施形態のコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図である。以下、これらの図を用いて、本実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を説明する。なお、
図8a及び8bは、2つの隣接するコモンモードチョークコイルについて図示している。また、本実施形態の説明において、
図1の実施形態の場合と同様の構成要素については、同じ参照番号を使用する。
【0078】
図8a(A)に示すように、まず、Ni−Znフェライト等のフェライトを焼結し、切断、切削及び研磨を行って、厚さ約0.1〜2.0mmのフェライト基板11を形成する。
【0079】
次いで、
図8a(B)に示すように、その全面上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、加熱硬化して厚さ約1.0〜10μmの第1の絶縁膜12aを形成する。
【0080】
次いで、
図8a(C)に示すように、第1の絶縁膜12a上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第1のコイル導体膜13aと第1〜第4の内部電極層15a〜15dの一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0081】
次いで、
図8a(D)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第2の絶縁膜12bを形成する。
【0082】
次いで、
図8a(E)に示すように、図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmのリード導体層14と第1〜第4の内部電極層15a〜15dの一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0083】
次いで、
図8a(F)に示すように、第2の絶縁膜12b上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第2のコイル導体膜13bを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。なお、リード導体層14はコモンモードチョークコイル10の中央部まで伸長しているが、このリード導体14とこれに交差する第2のコイル導体膜13bとの間には、第2の絶縁膜12bが存在する(
図2参照)。
【0084】
次いで、
図8a(G)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第3の絶縁膜12cを形成する。
【0085】
次いで、
図8b(H)に示すように、第3の絶縁膜12c上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜200μmの第1〜第4の内部電極層15a〜15dから構成される内部導体15を付加的に形成してレジストパターンを除去する。
【0086】
その後、
図8b(I)に示すように、その上にフェライト粒子を含有するエポキシ樹脂材料を塗布し、加熱して硬化させた後、表面を研磨して厚さ約5.0〜200μmの複合フェライト樹脂層16を形成する。
【0087】
次いで、
図8b(J)に示すように、基板11の裏面を研削してその厚さを低減させる。例えば、研削前の基板11の厚さが1.5mmであるとすると、0.2〜0.8mm程度の厚さとなるように研削する。
【0088】
次いで、
図8b(K)に示すように、切断用の回転切削具を用いて基板11を完全に切断して個々のコモンモードチョークコイルに分離する。この分離により、各コモンモードチョークコイル10の側面10b及び10cが露出すると共に、第1〜第4の内部電極層15a〜15dの一部が側面10b及び10cに露出する。なお、第1〜第4の内部電極層15a〜15dは、その一部が上面10aにも露出している。
【0089】
次いで、
図8b(L)に示すように、このように分離した個々のコモンモードチョークコイルについて、バレル研磨を行って各角部の面取りを行う。このように面取りを行うことにより、各コモンモードチョークコイルをパーツフィーダにスムーズに装着することができる。
【0090】
次いで、
図8b(M)に示すように、このように面取りした個々のコモンモードチョークコイルについて、外部電極をバレルめっきする。このバレルめっきにより、Ni及びAuをこの順序で順次電解めっき又は無電解めっきしてNi/Au(Niが下側層、Auが上側層)の多層膜、又はSnを電解めっき又は無電解めっきしてSnの単層膜を、コモンモードチョークコイル10の上面10a並びに側面10b及び10cに露出した第1〜第4の内部電極層15a〜15d上に被着形成する。これにより、各々が厚さ約1.0〜10μmのL字状断面を有する第1〜第4の外部電極膜17a〜17dからなる外部電極が形成される。この外部電極の望ましい実施態様としては、Ni膜を3μm、その上にAu膜を0.1μm形成する。
【0091】
以上説明したように、本実施形態によれば、基板11上に形成された複数のコモンモードチョークコイルを個々に分離したものにバレル研磨を行って面取りした後、各コモンモードチョークコイルの上面及び側面に露出した第1〜第4の内部電極層15a〜15d上に第1〜第4の外部電極膜17a〜17dをそれぞれバレルめっき形成している。このように、外部電極形成前に面取りを行っているため、角部にバリ等が存在せず、各コイルをパーツフィーダに装着する際に、動作不良等の発生を未然に防止することができる。また、露出された内部電極の位置にバレルめっきして外部電極を形成しているので、外部電極の形状、寸法及び位置が高い精度で形成することができると共に、コモンモードチョークコイルのさらなる小型化を図ることができる。しかも、各外部電極がコモンモードチョークコイルの上面のみならずその側面にもまたがって形成されるL字状断面を有しているため、その電極面積が大きくなり、実装時に充分な半田強度を得ることができる。また、本実施形態のコモンモードチョークコイルは、従来のコモンモードチョークコイルのように対向配置された2つのフェライト基板を有していないので、低背化を図ることができる。
【0092】
図9は本発明のさらに他の実施形態により製造される電子部品におけるコモンモードチョークコイルの構成を概略的に示す(A)外観斜視図、(B)B−B線断面図である。なお、同図(B)のB−B線断面図は外部電極の存在する位置における断面を示している。本実施形態は、内部導体及び外部電極の構成が
図1の実施形態の場合と多少異なる場合であり、その他の構成は
図1の実施形態の場合とほぼ同様である。
【0093】
図9において、90はコモンモードチョークコイル、91はフェライト基板、92はフェライト基板91上に形成された第1の絶縁膜92a、第2の絶縁膜92b、第3の絶縁膜92c及び第4の絶縁膜92dから構成される絶縁層、93は絶縁層92に囲まれて形成された第1のコイル導体膜93a及び第2のコイル導体膜93bから構成されるコイル導体層、95a及び95bはコモンモードチョークコイル90の上面90aの一部のみに現れるように形成された第1及び第2の内部電極層(内部導体として第3及び第4の内部電極層も形成されているが図では示されていない)、96は絶縁層92上に形成されたフェライト材料を含む複合フェライト樹脂層、99a及び99bはコモンモードチョークコイル90の上面90aにおいて第1及び第2の内部電極層95a及び95bに被着されており、コモンモードチョークコイル90の側面90b及び90cにおいては第4の絶縁膜92dの側面の一部の上に形成された第1及び第2の外部電極用下側導体膜(第3及び第4の外部電極用下側導体膜も形成されているが図では示されていない)、97a及び97bは第1及び第2の外部電極用下側導体膜99a及び99b上にそれぞれ被着形成された第1及び第2の外部電極用上側導体膜(第3及び第4の外部電極用上側導体膜も形成されているが図では示されていない)をそれぞれ示している。
【0094】
コモンモードチョークコイルは、周知のように、平衡伝送方式において電磁妨害の原因となるコモンモード電流を抑制するために使用される電子部品であり、本実施形態では、例えば底辺が約0.6mm×約0.3mm、高さが約0.3mmの略直方体形状の外形を有し、その上面及び側面に4つの外部電極を備えた表面実装型部品として構成されている。
【0095】
フェライト基板91は本実施形態ではNi−Znフェライト等のフェライト焼結体から構成されており、絶縁層92は本実施形態では加熱硬化されたポリイミド樹脂材料から構成されており、コイル導体層93、図示しないリード導体層、並びに第1及び第2の内部電極層95a及び95bは本実施形態ではCu、Au、Al又はAg等の導電材料から構成されており、複合フェライト樹脂層96は本実施形態ではフェライト粒子を含有するエポキシ樹脂材料から構成されており、第1及び第2の外部電極用下側導体膜99a及び99bは本実施形態ではCu膜上にクロム(Cr)膜を積層したり、Cu膜上にチタン(Ti)膜を積層した多層導電材料から構成されており、第1及び第2の外部電極用上側導体膜97a及び97bは本実施形態ではNi膜上にAu膜を積層した多層導電材料又はSn等の単層導電材料から構成されている。
【0096】
図10a及び10bは本実施形態のコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図であり、外部電極の存在する位置における断面を示している。なお、
図10a及び10bは、2つの隣接するコモンモードチョークコイルについて図示している。以下、同図を用いて、本実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を説明する。
【0097】
図10a(A)に示すように、まず、Ni−Znフェライト等のフェライトを焼結し、切断、切削及び研磨を行って、厚さ約0.1〜2.0mmのフェライト基板91を形成する。
【0098】
次いで、
図10a(B)に示すように、その全面上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、加熱硬化して厚さ約1.0〜10μmの第1の絶縁膜92aを形成する。
【0099】
次いで、
図10a(C)に示すように、第1の絶縁膜92a上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第1のコイル導体膜93aと第1及び第2の内部電極層95a及び95b(並びに第3及び第4の内部電極層)の一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0100】
次いで、
図10a(D)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第2の絶縁膜92b及び第4の絶縁膜92dを形成する。
【0101】
次いで、
図10a(E)に示すように、図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの図示しないリード導体層と第1及び第2の内部電極層95a及び95b(並びに第3及び第4の内部電極層)の一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0102】
次いで、
図10a(F)に示すように、第2の絶縁膜92b上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第2のコイル導体膜93bを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。なお、リード導体層はコモンモードチョークコイル90の中央部まで伸長しているが、このリード導体とこれに交差する第2のコイル導体膜93bとの間には、第2の絶縁膜92bが存在する(
図2参照)。
【0103】
次いで、
図10a(G)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第3の絶縁膜92cを形成し、さらに第4の絶縁膜92dの膜厚を増大させる。
【0104】
次いで、
図10a(H)に示すように、第3の絶縁膜92c上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜200μmの第1及び第2の内部電極層95a及び95b(並びに第3及び第4の内部電極層)を付加的に形成してレジストパターンを除去する。この段階まで、換言すれば、第2のコイル導体膜93bと同じ高さとなるまでは、第1及び第2の内部電極層95a及び95b(並びに第3及び第4の内部電極層)は、各コモンモードチョークコイルの側面90b及び90cに露出しない。
【0105】
その後、
図10b(I)に示すように、その上にフェライト粒子を含有するエポキシ樹脂材料を塗布し、加熱して硬化させた後、表面を研磨して厚さ約5.0〜200μmの複合フェライト樹脂層96を形成する。
【0106】
次いで、
図10b(J)に示すように、溝加工用の回転切削具を用いて基板91に浅溝98を形成する。この浅溝98は、基板91を完全に切断分離することなく、つながった状態のコモンモードチョークコイル間に形成されるものであり、例えば、約70μmの幅を有している。この浅溝98を設けることにより、各コモンモードチョークコイル90の側面90b及び90cが露出する。しかも、本実施形態のように複合フェライト樹脂層96及び第4の絶縁膜92dの位置に浅溝98を設けることにより、これら複合フェライト樹脂層96及び第4の絶縁膜92dの一部が、側面90b及び90cに露出する。なお、第1及び2の内部電極層95a及び95b(並びに第3及び第4の内部電極層)は、各コモンモードチョークコイル90の側面90b及び90cには露出しておらず、その一部が上面90aのみに露出している。このように、ポリイミド樹脂及びエポキシ樹脂という絶縁材料の部分で浅溝加工を行っているので、溝加工用の回転切削具の目詰まりが生じにくいという効果が得られ、また、溝加工のマージンも十分確保することができる。
【0107】
次いで、
図10b(K)に示すように、第1及び第2の外部電極用下側導体膜99a及び99bをコモンモードチョークコイル90の上面90aにおいては第1及び第2の内部電極層95a及び95b上に被着するように、コモンモードチョークコイル90の側面90b及び90cにおいては第4の絶縁膜92dの側面の一部の上に被着するようにスパッタ形成する。具体的には、浅溝98を挟んで対向する2つのコモンモードチョークコイル90の上面に露出する隣接した2つの内部電極(95a〜95d)を共に覆う矩形形状の開口を有する図示しないマスクを、これらコモンモードチョークコイル90の上面に設置し、この上面に垂直な方向からのスパッタリングにより、2つの内部電極(95a〜95d)の上面、その間のフェライト粒子を含有するエポキシ樹脂部分上面、及び研削形成された浅溝98の内部電極側の両側面に、Cu/Crの多層膜、又はCu/Tiの多層膜をスパッタして厚さ約100〜10000nmのL字状断面を有する第1及び第2の外部電極用下側導体膜99a及び99b(並びに第3及び第4の外部電極用下側導体膜)を形成する。また、マスクとして、この浅溝側面をもカバーする立体的なマスクを使用すれば、より正確な形状の外部電極用下側導体膜99a及び99bが得られる。
【0108】
次いで、
図10b(L)に示すように、この状態でNi及びAuを順次電解めっき又は無電解めっきしてNi/Auの多層膜、又はSnを電解めっき又は無電解めっきしてSnの単層膜を、第1及び第2の外部電極用下側導体膜99a及び99b(並びに第3及び第4の外部電極用下側導体膜)上に被着形成する。これにより、各々が厚さ約1.0〜10μmのL字状断面を有する第1及び第2の外部電極用上側導体膜97a及び97b(並びに第3及び第4の外部電極用上側導体膜)が形成される。この外部電極用上側導体膜の望ましい実施態様としては、Ni膜を3μm、その上にAu膜を0.1μm形成する。
【0109】
次いで、
図10b(M)に示すように、基板91の裏面を研削してその厚さを低減させる。例えば、研削前の基板91の厚さが1.5mmであるとすると、0.2〜0.8mm程度の厚さとなるように研削する。
【0110】
その後、
図10b(N)に示すように、基板91を完全に切断して個々のコモンモードチョークコイルに分離する。
【0111】
以上説明したように、本実施形態によれば、基板91上に形成された複数のコモンモードチョークコイルを個々に分離する前に浅溝加工を行って、各コモンモードチョークコイルの側面が露出されるようにし、その上面に露出した第1〜第4の内部電極層上と側面とに第1〜第4の外部電極用下側導体膜をそれぞれスパッタ形成した後、その上に及び第1〜第4の外部電極用上側導体膜をそれぞれめっき形成した後、基板91を完全に切断して個々のコモンモードチョークコイルチップに分離している。このように個々のコモンモードチョークコイルチップに分離する前に外部電極を形成しているので、外部電極の形状、寸法及び位置が高い精度で形成することができると共に、コモンモードチョークコイルのさらなる小型化を図ることができる。しかも、製造工程が基板上の工程とコモンモードチョークコイルチップに分離した後の工程とに分かれないため、製造コストを低減化することが可能となる。さらにまた、各外部電極がコモンモードチョークコイルの上面のみならずその側面にも形成されるL字状断面を有しているため、その電極面積が大きくなり、実装時に充分な半田強度を得ることができる。また、本実施形態のコモンモードチョークコイルは、従来のコモンモードチョークコイルのように対向配置された2つのフェライト基板を有していないので、低背化を図ることができる。
【0112】
図11a及び11bは本発明のまたさらに他の実施形態のコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図である。以下、これらの図を用いて、本実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を説明する。なお、
図11a及び11bは、2つの隣接するコモンモードチョークコイルについて図示している。また、本実施形態の説明において、
図9の実施形態の場合と同様の構成要素については、同じ参照番号を使用する。
【0113】
図11a(A)に示すように、まず、Ni−Znフェライト等のフェライトを焼結し、切断、切削及び研磨を行って、厚さ約0.1〜2.0mmのフェライト基板91を形成する。
【0114】
次いで、
図11a(B)に示すように、その全面上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、加熱硬化して厚さ約1.0〜10μmの第1の絶縁膜92aを形成する。
【0115】
次いで、
図11a(C)に示すように、第1の絶縁膜92a上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第1のコイル導体膜93aと第1及び第2の内部電極層95a及び95b(並びに第3及び第4の内部電極層)の一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0116】
次いで、
図11a(D)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第2の絶縁膜92b及び第4の絶縁膜92dを形成する。
【0117】
次いで、
図11a(E)に示すように、図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの図示しないリード導体層と第1及び第2の内部電極層95a及び95b(並びに第3及び第4の内部電極層)の一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0118】
次いで、
図11a(F)に示すように、第2の絶縁膜92b上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第2のコイル導体膜93bを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。なお、リード導体層はコモンモードチョークコイル90の中央部まで伸長しているが、このリード導体とこれに交差する第2のコイル導体膜93bとの間には、第2の絶縁膜92bが存在する(
図2参照)。
【0119】
次いで、
図11a(G)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第3の絶縁膜92cを形成し、さらに第4の絶縁膜92dの膜厚を増大させる。
【0120】
次いで、
図11a(H)に示すように、第3の絶縁膜92c上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜200μmの第1及び第2の内部電極層95a及び95b(並びに第3及び第4の内部電極層)を付加的に形成してレジストパターンを除去する。この段階まで、換言すれば、第2のコイル導体膜93bと同じ高さとなるまでは、第1及び第2の内部電極層95a及び95b(並びに第3及び第4の内部電極層)は、各コモンモードチョークコイルの側面に露出しない。
【0121】
その後、
図11b(I)に示すように、その上にフェライト粒子を含有するエポキシ樹脂材料を塗布し、加熱して硬化させた後、表面を研磨して厚さ約5.0〜200μmの複合フェライト樹脂層96を形成する。
【0122】
次いで、
図11b(J)に示すように、溝加工用の回転切削具を用いて基板91に浅溝98を形成する。この浅溝98は、基板91を完全に切断分離することなく、つながった状態のコモンモードチョークコイル間に形成されるものであり、例えば、約70μmの幅を有している。この浅溝98を設けることにより、各コモンモードチョークコイル90の側面90b及び90cが露出する。しかも、本実施形態のように複合フェライト樹脂層96及び第4の絶縁膜92dの位置に浅溝98を設けることにより、これら複合フェライト樹脂層96及び第4の絶縁膜92dの一部が、側面90b及び90cに露出する。なお、第1及び2の内部電極層95a及び95b(並びに第3及び第4の内部電極層)は、各コモンモードチョークコイル90の側面90b及び90cには露出しておらず、その一部が上面90aのみに露出している。このように、ポリイミド樹脂及びエポキシ樹脂という絶縁材料の部分で浅溝加工を行っているので、溝加工用の回転切削具の目詰まりが生じにくいという効果が得られ、また、溝加工のマージンも十分確保することができる。
【0123】
次いで、
図11b(K)に示すように、第1及び第2の外部電極用下側導体膜99a及び99bをコモンモードチョークコイル90の上面90aにおいては第1及び第2の内部電極層95a及び95b上に被着するように、コモンモードチョークコイル90の側面90b及び90cにおいては第4の絶縁膜92dの側面の一部の上に被着するようにスパッタ形成する。具体的には、浅溝98を挟んで対向する2つのコモンモードチョークコイル90の上面に露出する隣接した2つの内部電極(95a〜95d)を共に覆う矩形形状の開口を有する図示しないマスクを、これらコモンモードチョークコイル90の上面に設置し、この上面に垂直な方向からのスパッタリングにより、2つの内部電極(95a〜95d)の上面、その間のフェライト粒子を含有するエポキシ樹脂部分上面、及び研削形成された浅溝98の内部電極側の両側面に、Cu/Crの多層膜、又はCu/Tiの多層膜をスパッタして厚さ約100〜10000nmのL字状断面を有する第1及び第2の外部電極用下側導体膜99a及び99b(並びに第3及び第4の外部電極用下側導体膜)を形成する。また、マスクとして、この浅溝側面をもカバーする立体的なマスクを使用すれば、より正確な形状の外部電極用下側導体膜99a及び99bが得られる。
【0124】
次いで、
図11b(L)に示すように、基板91の裏面を研削してその厚さを低減させる。例えば、研削前の基板91の厚さが1.5mmであるとすると、0.2〜0.8mm程度の厚さとなるように研削する。
【0125】
次いで、
図11b(M)に示すように、切断用の回転切削具を用いて基板91を完全に切断して個々のコモンモードチョークコイルに分離する。
【0126】
次いで、
図11b(N)に示すように、このように分離した個々のコモンモードチョークコイルについて、外部電極をバレルめっきする。このバレルめっきにより、Ni及びAuをこの順序で順次電解めっき又は無電解めっきしてNi/Au(Niが下側層、Auが上側層)の多層膜、又はSnを電解めっき又は無電解めっきしてSnの単層膜を、第1及び第2の外部電極用下側導体膜99a及び99b(並びに第3及び第4の外部電極用下側導体膜)上に被着形成する。これにより、各々が厚さ約1.0〜10μmのL字状断面を有する第1及び第2の外部電極用上側導体膜97a及び97b(並びに第3及び第4の外部電極用上側導体膜)が形成される。この外部電極用上側導体膜の望ましい実施態様としては、Ni膜を3μm、その上にAu膜を0.1μm形成する。
【0127】
以上説明したように、本実施形態によれば、基板91上に形成された複数のコモンモードチョークコイルを個々に分離する前に浅溝加工を行って、各コモンモードチョークコイルの側面が露出されるようにし、その上面に露出した第1〜第4の内部電極層上と側面とに第1〜第4の外部電極用下側導体膜をそれぞれスパッタ形成した後、個々に分離した後、第1〜第4の外部電極用下側導体膜上に第1〜第4の外部電極用上側導体膜をそれぞれバレルめっき形成している。このように第1〜第4の外部電極用下側導体膜の位置にバレルめっきして外部電極を形成しているので、外部電極の形状、寸法及び位置が高い精度で形成することができると共に、コモンモードチョークコイルのさらなる小型化を図ることができる。しかも、各外部電極がコモンモードチョークコイルの上面のみならずその側面にも形成されるL字状断面を有しているため、その電極面積が大きくなり、実装時に充分な半田強度を得ることができる。また、本実施形態のコモンモードチョークコイルは、従来のコモンモードチョークコイルのように対向配置された2つのフェライト基板を有していないので、低背化を図ることができる。
【0128】
図12a及び12bは本発明のさらに他の実施形態のコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図である。以下、これらの図を用いて、本実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を説明する。なお、
図12a及び12bは、2つの隣接するコモンモードチョークコイルについて図示している。
【0129】
図12a(A)に示すように、まず、Ni−Znフェライト等のフェライトを焼結し、切断、切削及び研磨を行って、厚さ約0.1〜2.0mmのフェライト基板121を形成する。
【0130】
次いで、
図12a(B)に示すように、その全面上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、加熱硬化して厚さ約1.0〜10μmの第1の絶縁膜122aを形成する。
【0131】
次いで、
図12a(C)に示すように、第1の絶縁膜122a上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第1のコイル導体膜123aと第1及び第2の内部電極層125a及び125b(並びに第3及び第4の内部電極層)の一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0132】
次いで、
図12a(D)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第2の絶縁膜122b及び第4の絶縁膜122dを形成する。
【0133】
次いで、
図12a(E)に示すように、図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの図示しないリード導体層と第1及び第2の内部電極層125a及び125b(並びに第3及び第4の内部電極層)の一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0134】
次いで、
図12a(F)に示すように、第2の絶縁膜122b上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第2のコイル導体膜123bを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。なお、リード導体層はコモンモードチョークコイルの中央部まで伸長しているが、このリード導体とこれに交差する第2のコイル導体膜123bとの間には、第2の絶縁膜122bが存在する(
図2参照)。
【0135】
次いで、
図12a(G)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第3の絶縁膜122cを形成し、さらに第4の絶縁膜122dの膜厚を増大させる。
【0136】
次いで、
図12a(H)に示すように、第3の絶縁膜122cの一部の上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜200μmの第1及び第2の内部電極層125a及び125b(並びに第3及び第4の内部電極層)を付加的に形成してレジストパターンを除去する。この段階まで、換言すれば、第2のコイル導体膜123bと同じ高さとなるまでは、第1及び第2の内部電極層125a及び125b(並びに第3及び第4の内部電極層)は、各コモンモードチョークコイルの側面に露出しない。
【0137】
その後、
図12b(I)に示すように、その上にフェライト粒子を含有するエポキシ樹脂材料を塗布し、加熱して硬化させた後、表面を研磨して厚さ約5.0〜200μmの複合フェライト樹脂層126を形成する。
【0138】
次いで、
図12b(J)に示すように、溝加工用の回転切削具を用いて基板121に浅溝128を形成する。この浅溝128は、基板121を完全に切断分離することなく、つながった状態のコモンモードチョークコイル間に形成されるものであり、例えば、約70μmの幅を有している。この浅溝128を設けることにより、各コモンモードチョークコイルの側面が露出する。しかも、本実施形態のように複合フェライト樹脂層126及び第4の絶縁膜122dの位置に浅溝128を設けることにより、これら複合フェライト樹脂層126及び第4の絶縁膜122dの一部が、側面に露出する。なお、第1及び2の内部電極層125a及び125b(並びに第3及び第4の内部電極層)の下部は、各コモンモードチョークコイルの側面には露出しておらず、その上部が側面に露出し、上面も露出している。このように、ポリイミド樹脂及びエポキシ樹脂という絶縁材料の部分で浅溝加工を行っているので、溝加工用の回転切削具の目詰まりが生じにくいという効果が得られ、また、溝加工のマージンも十分確保することができる。
【0139】
次いで、
図12b(K)に示すように、Ni及びAuをこの順序で順次電解めっき又は無電解めっきしてNi/Au(Niが下側層、Auが上側層)の多層膜、又はSnを電解めっき又は無電解めっきしてSnの単層膜を、コモンモードチョークコイルの上面及び側面の一部に露出した第1及び2の内部電極層125a及び125b(並びに第3及び第4の内部電極層)上に被着形成する。これにより、各々が厚さ約1.0〜10μmのL字状断面を有する第1及び第2の外部電極膜127a及び127b(並びに第3及び第4の外部電極膜)が形成される。この外部電極膜の望ましい実施態様としては、Ni膜を3μm、その上にAu膜を0.1μm形成する。
【0140】
次いで、
図12b(L)に示すように、基板121の裏面を研削してその厚さを低減させる。例えば、研削前の基板121の厚さが1.5mmであるとすると、0.2〜0.8mm程度の厚さとなるように研削する。
【0141】
その後、
図12b(M)に示すように、切断用の回転切削具を用いて基板121を完全に切断して個々のコモンモードチョークコイルに分離する。
【0142】
以上説明したように、本実施形態によれば、基板121上に形成された複数のコモンモードチョークコイルを個々に分離する前に浅溝加工を行って、各コモンモードチョークコイルの側面が露出されるようにし、その上面及び側面の一部に露出した第1〜第4の内部電極層125a〜125d上に第1〜第4の外部電極膜127a〜127dをそれぞれめっき形成した後、基板121を完全に切断して個々のコモンモードチョークコイルチップに分離している。このように個々のコモンモードチョークコイルチップに分離する前に外部電極を形成しているので、外部電極の形状、寸法及び位置が高い精度で形成することができると共に、コモンモードチョークコイルのさらなる小型化を図ることができる。しかも、製造工程が基板上の工程とコモンモードチョークコイルチップに分離した後の工程とに分かれないため、製造コストを低減化することが可能となる。さらにまた、各外部電極がコモンモードチョークコイルの上面のみならずその側面にもまたがって形成されるL字状断面を有しているため、その電極面積が大きくなり、実装時に充分な半田強度を得ることができる。また、本実施形態のコモンモードチョークコイルは、従来のコモンモードチョークコイルのように対向配置された2つのフェライト基板を有していないので、低背化を図ることができる。なお、本発明の製造方法において、本実施形態における
図12a(A)〜
図12b(I)の製造工程を、
図6a及び6b、
図7a及び7b、並びに
図8a及び8bの実施形態に適用しても良いことは明らかである。
【0143】
以上述べた実施形態では、電子部品として、4つの外部電極を有するコモンモードチョークコイルを例に説明したが、本発明の電子部品はこれに限定されるものではなく、例えば、インダクタ、キャパシタ、抵抗又はその他の受動素子を有する電子部品にも適用することができる。また、外部電極数も4つに限定されるものではなく、4つ以外の個数の外部電極を有する電子部品にも適用することができる。さらに、本発明は、1パッケージ内に複数の受動素子を有する電子部品にも適用することができる。
【0144】
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。