特許第5655882号(P5655882)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5655882
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/04 20060101AFI20141225BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20141225BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20141225BHJP
   H01F 41/10 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
   H01F41/04 B
   H01F17/00 B
   H01F15/10 C
   H01F41/10 C
【請求項の数】11
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2013-47839(P2013-47839)
(22)【出願日】2013年3月11日
(62)【分割の表示】特願2009-261740(P2009-261740)の分割
【原出願日】2009年11月17日
(65)【公開番号】特開2013-153184(P2013-153184A)
(43)【公開日】2013年8月8日
【審査請求日】2013年4月9日
(31)【優先権主張番号】特願2008-325389(P2008-325389)
(32)【優先日】2008年12月22日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2009-199260(P2009-199260)
(32)【優先日】2009年8月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(74)【代理人】
【識別番号】100130982
【弁理士】
【氏名又は名称】黒瀬 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100127199
【弁理士】
【氏名又は名称】三谷 拓也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 誠
(72)【発明者】
【氏名】神山 浩
(72)【発明者】
【氏名】西川 朋永
【審査官】 五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−165477(JP,A)
【文献】 特開平9−270325(JP,A)
【文献】 特開平6−96992(JP,A)
【文献】 特開2007−53254(JP,A)
【文献】 特開2008−140858(JP,A)
【文献】 特開2000−151327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 41/04
H01F 17/00
H01F 27/29
H01F 41/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁層に埋め込まれるよう、基板上に複数の受動素子を形成し、
前記複数の受動素子にそれぞれ電気的に接続される複数の内部電極層であって、下部が前記第1の絶縁層に埋め込まれ、上部が前記第1の絶縁層から突出した複数の内部電極層を形成し、
前記第1の絶縁層の上面を覆うとともに前記内部電極層の前記上部の側面を覆う、磁性体材料を含む第2の絶縁層を形成し、
前記複数の受動素子ごとに区画されるよう溝加工を行い、
前記複数の内部電極層にそれぞれ接続され、前記溝加工により形成された露出面及び前記複数の内部電極層の前記上部の上面を覆うL字状断面を有する複数の外部電極膜をめっき形成する
ことを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記露出面は、前記複数の内部電極層によって構成されることを特徴とする請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記露出面は、前記複数の内部電極層間に存在する前記第2の絶縁層によって構成されることを特徴とする請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記めっき形成した後、前記基板を切断することにより個々の電子部品に分離することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項5】
上面及び側面を有する電子部品であって、
受動素子と、
該受動素子を覆い、側面が該電子部品の前記側面の一部を構成する第1の絶縁層と、
該第1の絶縁層の上面に設けられ、上面が該電子部品の前記上面の一部を構成し、側面が該電子部品の前記側面の他の一部を構成する、磁性体材料を含む第2の絶縁層と、
前記受動素子に電気的に接続され、少なくとも上面が前記第2の絶縁層の前記上面から露出するよう、前記第1及び第2の絶縁層に埋め込まれた複数の内部電極層と、
各々が該電子部品の前記上面及び側面を覆うL字状断面を有し、少なくとも前記複数の内部電極層の前記上面にそれぞれ接続された複数の外部電極膜と、を備えていることを特徴とする電子部品。
【請求項6】
前記複数の内部電極層の側面が前記第2の絶縁層から露出しており、前記複数の外部電極膜が前記内部電極層の前記上面及び前記側面に被着して形成されていることを特徴とする請求項5に記載の電子部品。
【請求項7】
前記複数の内部電極層の側面が前記第2の絶縁層の側面から露出することなく前記第2の絶縁層に覆われており、前記複数の外部電極膜が前記内部電極層の前記上面に被着して形成されていることを特徴とする請求項5に記載の電子部品。
【請求項8】
前記受動素子が、インダクタ、キャパシタ及び抵抗のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項9】
磁性体基板をさらに備え、前記インダクタは前記磁性体基板と前記第2の絶縁層との間に設けられたコモンモードチョークコイルを構成することを特徴とする請求項8に記載の電子部品。
【請求項10】
基板と、
前記基板の主面上に設けられた第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層に埋め込まれた受動素子と、
前記受動素子を覆うように前記第1の絶縁層上に設けられ、磁性体材料を含む第2の絶縁層と、
前記受動素子に電気的に接続され、前記基板の主面に対して垂直に延在する内部電極層と、を備え、
前記内部電極層は、側面が前記第1の絶縁層に覆われた第1の部分と、前記第1の絶縁層から突出し、側面が前記第2の絶縁層に覆われた第2の部分とを含み、
前記内部電極層の前記第2の部分は、前記第2の絶縁層から露出する上面を有し、前記内部電極層の前記上面が外部電極膜で覆われていることを特徴とする電子部品。
【請求項11】
前記内部電極層の前記第1の部分は、前記第1の絶縁層に覆われた第1の側面と、前記第1の絶縁層に覆われていない第2の側面を有し、
前記内部電極層の前記第2の部分は、前記第2の絶縁層に覆われた第3の側面と、前記第2の絶縁層に覆われていない第4の側面を有し、
前記内部電極層の前記第2及び第4の側面が前記外部電極膜で覆われていることを特徴とする請求項10に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器におけるプリント回路基板やハイブリッドIC(HIC)上に実装される表面実装型の電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータや携帯電話機等の電子機器に実装される電子部品には、インダクタ素子やコモンモードチョークコイルを構成するコイル部品、キャパシタ部品等の種々の受動素子部品が存在する。
【0003】
例えばコイル部品としては、フェライトコアに銅線を巻回した巻線型コイル部品、コイル導体パターンを表面に形成したフェライト等の磁性体シートを積層した積層型コイル部品、及び薄膜形成技術を用いて絶縁膜と金属薄膜のコイル導体とを交互に形成した薄膜型コイル部品が知られている。
【0004】
薄膜型コイル部品の一例であるコモンモードチョークコイルは、一般に、フェライト基板上に絶縁層とコイル層とを薄膜形成技術で順次形成し、その上にフェライト基板を貼り合わせてなるものを切断することにより、直方体状の外形を有する個々のチップに分離し、そのチップの側面に露出した内部電極端子に接続されるように外部電極を例えばめっき等により形成するものである(特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−203737号公報
【特許文献2】特開2002−203718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したごときコモンモードチョークコイルに代表される従来の電子部品は、基板上に多数の素子を薄膜形成技術で形成し、これらを個々のチップに切断分離した後、外部電極をその上面、側面及び下面に形成することによって製造されていた。個々のチップに切断分離した後に外部電極を形成しているのは、切断後でないとチップの側面が外部に現れてこないためその側面に外部電極を形成することができないためである。側面に外部電極が形成されていないと電極面積が小さくなり、半田接続強度が不足してしまう。例えば特許文献1に記載のコモンモードチョークコイルにおいては、基体との接着強度及び内部導体との導通を十分にとるためコの字状の断面形状を有する外部電極のパターンを形成している。
【0007】
従来のこれら電子部品を製造する場合、多数の素子が形成された基板を個々のチップに切断した後、各チップに所望の断面形状を有する外部電極パターンを形成することが行われている。このように、従来技術では、個々のチップに分離した後に外部電極パターンを形成する必要があったため、外部電極の形状、寸法及び位置を高精度で形成することが非常に難しかった。さらに、従来技術によると、基板上の工程とチップに分離した後の工程という複数の製造工程が必要なため、製造コストが大幅に増大する不都合があった。
【0008】
従って本発明の目的は、実装時に充分な半田強度を得ることができるように電極面積が大きい外部電極を有する電子部品の製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、形状、寸法及び位置が高い精度で形成された外部電極を有する電子部品の製造方法を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、小型化及び低コスト化を図ることができる電子部品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、基板上に第1の絶縁層を形成し、第1の絶縁層上に複数の受動素子を形成し、複数の受動素子上に第2の絶縁層を形成し、複数の受動素子にそれぞれ電気的に接続され、上面に露出する複数の導体層を第2の絶縁層の外側に形成し、複数の受動素子をそれぞれ含む複数の電子部品の側面が露出し、複数の導体層の一部が側面に露出するように溝加工を行い、複数の導体層が電子部品の上面及び側面には露出せず、複数の外部電極膜のみが電子部品の上面及び側面に露出するように、複数の導体層上に複数の外部電極膜をそれぞれめっき形成し、基板を完全に切断して個々の電子部品に分離する電子部品の製造方法が提供される。
【0012】
基板上の複数の電子部品を個々の電子部品に分離する前に溝加工を行って、電子部品の側面が露出されて導体層の一部がこれら側面に露出するようにし、上面及び側面に露出した複数の導体層上に外部電極をそれぞれめっき形成した後、基板を完全に切断して個々の電子部品に分離している。個々の電子部品に分離する前に外部電極を形成しているので、外部電極の形状、寸法及び位置が高い精度で形成することができると共に、電子部品のさらなる小型化を図ることができる。しかも、製造工程が基板上の工程とチップに分離した後の工程とに分かれないため、製造コストを低減化することが可能となる。さらにまた、各外部電極が電子部品の上面のみならずその側面にも形成されているため、その電極面積が大きくなり、実装時に充分な半田強度を得ることができる。
【0013】
本発明によれば、さらに、基板上に第1の絶縁層を形成し、第1の絶縁層上に複数の受動素子を形成し、複数の受動素子上に第2の絶縁層を形成し、複数の受動素子にそれぞれ電気的に接続され、上面に露出する複数の導体層を第2の絶縁層の外側に形成し、複数の受動素子をそれぞれ含む複数の電子部品の側面が露出し、複数の導体層の一部が側面に露出するように基板を完全に切断して個々の電子部品に分離し、分離した個々の電子部品において、複数の導体層が電子部品の上面及び側面には露出せず、複数の外部電極膜のみが電子部品の上面及び側面に露出するように、複数の導体層上に複数の外部電極膜をそれぞれめっき形成する電子部品の製造方法が提供される。
【0014】
基板上の複数の電子部品を個々の電子部品に分離することにより、電子部品の側面が露出されて導体層の一部がこれら側面に露出するので、上面及び側面に露出した複数の導体層上に外部電極をそれぞれめっき形成する。上面及び側面に露出した複数の導体層上に外部電極を形成しているので、外部電極の形状、寸法及び位置が高い精度で形成することができると共に、電子部品のさらなる小型化を図ることができる。しかも、各外部電極が電子部品の上面のみならずその側面にも形成されているため、その電極面積が大きくなり、実装時に充分な半田強度を得ることができる。
【0015】
個々の電子部品に分離した後、電子部品の面取りを行うことも好ましい。
【0016】
複数の導体層と複数の外部電極膜とを互いに異なる材料で形成することが好ましい。
【0017】
単一導電材料をめっきして複数の導体層を形成し、金(Au)膜を含む多層膜又は錫(Sn)膜をめっきして外部電極を形成することも好ましい。
【0018】
本発明によれば、さらに、基板上に第1の絶縁層を形成し、第1の絶縁層上に複数の受動素子を形成し、複数の受動素子上に第2の絶縁層を形成し、複数の受動素子にそれぞれ電気的に接続され、上面に露出する複数の導体層を第2の絶縁層の外側に形成し、複数の導体層の外側に第3の絶縁層を形成し、複数の受動素子をそれぞれ含む複数の電子部品の側面が露出し、第3の絶縁層の一部が側面に露出するように浅溝加工を行い、上面に露出する複数の導体層の上及び側面に露出する第3の絶縁層の一部の上に外部電極用下側導体膜をスパッタ形成し、複数の導体層が電子部品の上面及び側面には露出せず、複数の外部電極用上側導体膜のみが電子部品の上面及び側面に露出するように、外部電極用下側導体膜上に複数の外部電極用上側導体膜をめっき形成し、基板を完全に切断して個々の電子部品に分離する電子部品の製造方法が提供される。
【0019】
本発明によれば、さらにまた、基板上に第1の絶縁層を形成し、第1の絶縁層上に複数の受動素子を形成し、複数の受動素子上に第2の絶縁層を形成し、複数の受動素子にそれぞれ電気的に接続され、上面に露出する複数の導体層を第2の絶縁層の外側に形成し、複数の導体層の外側に第3の絶縁層を形成し、複数の受動素子をそれぞれ含む複数の電子部品の側面が露出し、第3の絶縁層の一部が側面に露出するように浅溝加工を行い、上面に露出する複数の導体層の上及び側面に露出する第3の絶縁層の一部の上に外部電極用下側導体膜をスパッタ形成し、基板を完全に切断して個々の電子部品に分離し、複数の導体層が電子部品の上面及び側面には露出せず、複数の外部電極用上側導体膜のみが電子部品の上面及び側面に露出するように、分離した個々の電子部品における外部電極用下側導体膜上に複数の外部電極用上側導体膜をめっき形成する電子部品の製造方法が提供される。
【0020】
基板上の複数の電子部品を個々の電子部品に分離する前に浅溝加工を行って、電子部品の側面が露出されるようにし、上面に露出した複数の導体層上及び側面に外部電極用下側導体膜をスパッタ形成している。このように、個々の電子部品に分離する前に外部電極用下側導体膜を形成しているので、その後にめっき形成される外部電極の形状、寸法及び位置が高い精度で形成することができると共に、電子部品のさらなる小型化を図ることができる。しかも、各外部電極が電子部品の上面のみならずその側面にも形成されているため、その電極面積が大きくなり、実装時に充分な半田強度を得ることができる。
【0021】
複数の導体層と複数の外部電極用上側導体膜とを互いに異なる材料で形成することも好ましい。
【0022】
銅(Cu)膜を含む多層膜をスパッタして外部電極用下側導体膜を形成することも好ましい。
【0023】
単一導電材料をめっきして複数の導体層を形成し、Au膜を含む多層膜又はSn膜をめっきして外部電極用上側導体膜を形成することも好ましい。
【0024】
受動素子として、インダクタ、キャパシタ及び抵抗のうちの少なくとも1つを形成することが好ましい。この場合、電子部品がインダクタを備えたコモンモードチョークコイルであり、基板として磁性体基板を使用し、浅溝加工の前に複数の導体層間に磁性体材料を含む層を充填することがより好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、各外部電極が電子部品の上面のみならずその側面にも形成されているため、その電極面積が大きくなり、実装時に充分な半田強度を得ることができる。また、個々の電子部品に分離する前に外部電極又は外部電極用下側導体膜を形成可能なので、外部電極の形状、寸法及び位置が高い精度で形成することができると共に、電子部品のさらなる小型化を図ることができる。しかも、製造工程が基板上の工程とチップに分離した後の工程とに分かれないようにもできるため、製造コストを低減化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態により製造される電子部品におけるコモンモードチョークコイルの構成を概略的に示す外観斜視図、B−B線断面図及びC−C線断面図である。
図2図1に示した電子部品におけるコモンモードチョークコイルの分解斜視図である。
図3a図1の実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図である。
図3b図1の実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図である。
図4a図1の実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図である。
図4b図1の実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図である。
図5図1の実施形態の変更態様により製造される電子部品におけるコモンモードチョークコイルの構成を概略的に示す外観斜視図である。
図6a】本発明の他の実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図である。
図6b】本発明の他の実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図である。
図7a】本発明のさらに他の実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図である。
図7b】本発明のさらに他の実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図である。
図8a】本発明のまたさらに他の実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図である。
図8b】本発明のまたさらに他の実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図である。
図9】本発明のさらに他の実施形態として、コモンモードチョークコイルの構成を概略的に示す外観斜視図及びB−B線断面図である。
図10a図9の実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図である。
図10b図9の実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図である。
図11a】本発明のまたさらに他の実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図である。
図11b】本発明のまたさらに他の実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図である。
図12a】本発明のさらに他の実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図である。
図12b】本発明のさらに他の実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は本発明の一実施形態により製造される電子部品におけるコモンモードチョークコイルの構成を概略的に示す(A)外観斜視図、(B)B−B線断面図、(C)C−C線断面図であり、図2はこのコモンモードチョークコイルの分解斜視図である。なお、図1(B)のB−B線断面図は外部電極の存在する位置における断面を示しており、図1(C)のC−C線断面は外部電極の存在しない位置における断面を示している。
【0028】
これらの図において、10はコモンモードチョークコイル、11はフェライト基板、12はフェライト基板11上に形成された第1の絶縁膜12a、第2の絶縁膜12b及び第3の絶縁膜12cから構成される絶縁層、13は絶縁層12に囲まれて形成された第1のコイル導体膜13a及び第2のコイル導体膜13bから構成されるコイル導体層、14は一端が図示しないビアホール導体を介してコイル導体層13に電気的に接続され、他端が内部導体(15)に電気的に接続されたリード導体層、15はコモンモードチョークコイル10の上面10aの一部並びに側面10b及び10cの一部に現れるように形成された第1〜第4の内部電極層15a〜15dから構成される内部導体、16は絶縁層12上に形成されたフェライト材料を含む複合フェライト樹脂層、17は第1〜第4の内部電極層15a〜15dの外面上にそれぞれ被着形成された第1〜第4の外部電極膜17a〜17dからなる外部電極をそれぞれ示している。本実施形態においては、外部電極17を構成する第1〜第4の外部電極膜17a〜17dの各々が、上面10a及び1つの側面10b又は10c上にまたがって被着されてなるL字状断面を有している。なお、理解を助けるために、図2におけるコイル導体13は、共に3ターン程度に簡略化して図示した。
【0029】
コモンモードチョークコイルは、周知のように、平衡伝送方式において電磁妨害の原因となるコモンモード電流を抑制するために使用される電子部品であり、本実施形態では、例えば底辺が約0.6mm×約0.3mm、高さが約0.3mmの略直方体形状の外形を有し、その上面及び側面に4つの外部電極を備えた表面実装型部品として構成されている。なお、コモンモードチョークコイルの外形の各角部や隣接面交線部は面取り処理が施されていてもよい。
【0030】
フェライト基板11は本実施形態ではNi−Zn(ニッケル−亜鉛)フェライト等のフェライト焼結体から構成されており、絶縁層12は本実施形態では加熱硬化されたポリイミド樹脂材料から構成されており、コイル導体層13、リード導体層14及び内部導体15は本実施形態ではCu、Au、アルミニウム(Al)又は銀(Ag)等の導電材料から構成されており、複合フェライト樹脂層16は本実施形態ではフェライト粒子を含有するエポキシ樹脂材料から構成されており、外部電極17は長時間外気に晒されても腐食し難いように本実施形態ではNi膜上にAu膜を積層した多層導電材料又はSn等の単層導電材料から構成されている。
【0031】
図3a及び3b並びに図4a及び4bは本実施形態のコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図であり、図3a及び3bは外部電極の存在する位置における断面を示しており、図4a及び4bは外部電極の存在しない位置における断面を示している。以下、これらの図を用いて、本実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を説明する。なお、図3a及び3bは図1(B)に対応し、2つの隣接するコモンモードチョークコイルについて図示している。図4a及び4bは図1(C)に対応する。
【0032】
図3a(A)及び図4a(A)に示すように、まず、Ni−Znフェライト等のフェライトを焼結し、切断、切削及び研磨を行って、厚さ約0.1〜2.0mmのフェライト基板11を形成する。
【0033】
次いで、図3a(B)及び図4a(B)に示すように、その全面上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、加熱硬化して厚さ約1.0〜10μmの第1の絶縁膜12aを形成する。
【0034】
次いで、図3a(C)及び図4a(C)に示すように、第1の絶縁膜12a上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第1のコイル導体膜13aと第1〜第4の内部電極層15a〜15dの一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0035】
次いで、図3a(D)及び図4a(D)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第2の絶縁膜12bを形成する。
【0036】
次いで、図3a(E)及び図4a(E)に示すように、図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmのリード導体層14と第1〜第4の内部電極層15a〜15dの一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0037】
次いで、図3a(F)及び図4a(F)に示すように、第2の絶縁膜12b上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第2のコイル導体膜13bを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。なお、リード導体層14はコモンモードチョークコイル10の中央部まで伸長しているが、このリード導体14とこれに交差する第2のコイル導体膜13bとの間には、第2の絶縁膜12bが存在する(図2参照)。
【0038】
次いで、図3a(G)及び図4a(G)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第3の絶縁膜12cを形成する。
【0039】
次いで、図3b(H)及び図4b(H)に示すように、第3の絶縁膜12c上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜200μmの第1〜第4の内部電極層15a〜15dから構成される内部導体15を付加的に形成してレジストパターンを除去する。
【0040】
その後、図3b(I)及び図4b(I)に示すように、その上にフェライト粒子を含有するエポキシ樹脂材料を塗布し、加熱して硬化させた後、表面を研磨して厚さ約5.0〜200μmの複合フェライト樹脂層16を形成する。
【0041】
次いで、図3b(J)及び図4b(J)に示すように、溝加工用の回転切削具を用いて基板11に浅溝18を形成する。この浅溝18は、基板11を完全に切断分離することなく、つながった状態のコモンモードチョークコイル間に形成されるものであり、例えば、約70μmの幅を有している。この浅溝18を設けることにより、各コモンモードチョークコイル10の側面10b及び10cが露出する。しかも、本実施形態のように第1〜第4の内部電極層15a〜15dから構成される内部導体15の位置に浅溝18を設けることにより、これら第1〜第4の内部電極層15a〜15dの一部が、側面10b及び10cに露出する。なお、第1〜第4の内部電極層15a〜15dは、その一部が上面10aにも露出している。
【0042】
次いで、図3b(K)及び図4b(K)に示すように、Ni及びAuをこの順序で順次電解めっき又は無電解めっきしてNi/Au(Niが下側層、Auが上側層)の多層膜、又はSnを電解めっき又は無電解めっきしてSnの単層膜を、コモンモードチョークコイル10の上面10a並びに側面10b及び10cに露出した第1〜第4の内部電極層15a〜15d上に被着形成する。これにより、各々が厚さ約1.0〜10μmのL字状断面を有する第1〜第4の外部電極膜17a〜17dからなる外部電極が形成される。この外部電極の望ましい実施態様としては、Ni膜を3μm、その上にAu膜を0.1μm形成する。
【0043】
次いで、図3b(L)及び図4b(L)に示すように、基板11の裏面を研削してその厚さを低減させる。例えば、研削前の基板11の厚さが1.5mmであるとすると、0.2〜0.8mm程度の厚さとなるように研削する。
【0044】
その後、図3b(M)及び図4b(M)に示すように、切断用の回転切削具を用いて基板11を完全に切断して個々のコモンモードチョークコイルに分離する。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によれば、基板11上に形成された複数のコモンモードチョークコイルを個々に分離する前に浅溝加工を行って、各コモンモードチョークコイルの側面が露出されるようにし、その上面及び側面に露出した第1〜第4の内部電極層15a〜15d上に第1〜第4の外部電極膜17a〜17dをそれぞれめっき形成した後、基板11を完全に切断して個々のコモンモードチョークコイルチップに分離している。このように個々のコモンモードチョークコイルチップに分離する前に外部電極を形成しているので、外部電極の形状、寸法及び位置が高い精度で形成することができると共に、コモンモードチョークコイルのさらなる小型化を図ることができる。しかも、製造工程が基板上の工程とコモンモードチョークコイルチップに分離した後の工程とに分かれないため、製造コストを低減化することが可能となる。さらにまた、各外部電極がコモンモードチョークコイルの上面のみならずその側面にもまたがって形成されるL字状断面を有しているため、その電極面積が大きくなり、実装時に充分な半田強度を得ることができる。また、本実施形態のコモンモードチョークコイルは、従来のコモンモードチョークコイルのように対向配置された2つのフェライト基板を有していないので、低背化を図ることができる。
【0046】
図5図1の実施形態の変更態様により製造される電子部品におけるコモンモードチョークコイルの構成を概略的に示す外観斜視図である。
【0047】
この変更態様では、外部電極を構成する第1〜第4の外部電極膜57a〜57dの各々が、コモンモードチョークコイル50の上面50aと側面50b〜50eの2つとにまたがって被着されており、上面及び2つの側面の各々間で、並びに2つの側面間でL字状断面を有するように形成されている。
【0048】
このように、第1〜第4の外部電極膜57a〜57dの各々が被着された3つの面間でそれぞれL字状断面を有するように構成されているため、電極面積がより大きくなると共に電極の強度がより高くなり、実装時により充分な半田強度を得ることができる。図5の変更態様におけるその他の構成及び作用効果は、図1の実施形態における構成及び作用効果と同様である。
【0049】
図6a及び6bは本発明の他の実施形態のコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図である。以下、これらの図を用いて、本実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を説明する。なお、図6a及び6bは、2つの隣接するコモンモードチョークコイルについて図示している。また、本実施形態の説明において、図1の実施形態の場合と同様の構成要素については、同じ参照番号を使用する。
【0050】
図6a(A)に示すように、まず、Ni−Znフェライト等のフェライトを焼結し、切断、切削及び研磨を行って、厚さ約0.1〜2.0mmのフェライト基板11を形成する。
【0051】
次いで、図6a(B)に示すように、その全面上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、加熱硬化して厚さ約1.0〜10μmの第1の絶縁膜12aを形成する。
【0052】
次いで、図6a(C)に示すように、第1の絶縁膜12a上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第1のコイル導体膜13aと第1〜第4の内部電極層15a〜15dの一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0053】
次いで、図6a(D)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第2の絶縁膜12bを形成する。
【0054】
次いで、図6a(E)に示すように、図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmのリード導体層14と第1〜第4の内部電極層15a〜15dの一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0055】
次いで、図6a(F)に示すように、第2の絶縁膜12b上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第2のコイル導体膜13bを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。なお、リード導体層14はコモンモードチョークコイル10の中央部まで伸長しているが、このリード導体14とこれに交差する第2のコイル導体膜13bとの間には、第2の絶縁膜12bが存在する(図2参照)。
【0056】
次いで、図6a(G)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第3の絶縁膜12cを形成する。
【0057】
次いで、図6b(H)に示すように、第3の絶縁膜12c上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜200μmの第1〜第4の内部電極層15a〜15dから構成される内部導体15を付加的に形成してレジストパターンを除去する。
【0058】
その後、図6b(I)に示すように、その上にフェライト粒子を含有するエポキシ樹脂材料を塗布し、加熱して硬化させた後、表面を研磨して厚さ約5.0〜200μmの複合フェライト樹脂層16を形成する。
【0059】
次いで、図6b(J)に示すように、溝加工用の回転切削具を用いて基板11に深溝19を形成する。この深溝19は、図1の実施形態における図3b(J)に示す浅溝18よりも深く、基板11を完全に切断分離することなく、わずかにつながった状態のコモンモードチョークコイル間に形成されるものであり、例えば、約70μmの幅を有している。この深溝19を設けることにより、各コモンモードチョークコイル10の側面10b及び10cが露出する。しかも、本実施形態のように第1〜第4の内部電極層15a〜15dから構成される内部導体15の位置に深溝19を設けることにより、これら第1〜第4の内部電極層15a〜15dの一部が、側面10b及び10cに露出する。なお、第1〜第4の内部電極層15a〜15dは、その一部が上面10aにも露出している。
【0060】
次いで、図6b(K)に示すように、Ni及びAuをこの順序で順次電解めっき又は無電解めっきしてNi/Au(Niが下側層、Auが上側層)の多層膜、又はSnを電解めっき又は無電解めっきしてSnの単層膜を、コモンモードチョークコイル10の上面10a並びに側面10b及び10cに露出した第1〜第4の内部電極層15a〜15d上に被着形成する。これにより、各々が厚さ約1.0〜10μmのL字状断面を有する第1〜第4の外部電極膜17a〜17dからなる外部電極が形成される。この外部電極の望ましい実施態様としては、Ni膜を3μm、その上にAu膜を0.1μm形成する。
【0061】
次いで、図6b(L)に示すように、基板11の裏面を研削することにより、深溝19の部分で基板11を完全に切り離して個々のコモンモードチョークコイルに分離する。
【0062】
以上説明したように、本実施形態によれば、基板11上に形成された複数のコモンモードチョークコイルを個々に分離する前に深溝加工を行って、各コモンモードチョークコイルの側面が露出されるようにし、その上面及び側面に露出した第1〜第4の内部電極層15a〜15d上に第1〜第4の外部電極膜17a〜17dをそれぞれめっき形成した後、基板11の裏面を研削することにより深溝の部分で切り離して個々のコモンモードチョークコイルチップに分離している。このように個々のコモンモードチョークコイルチップに分離する前に外部電極を形成しているので、外部電極の形状、寸法及び位置が高い精度で形成することができると共に、コモンモードチョークコイルのさらなる小型化を図ることができる。しかも、製造工程が基板上の工程とコモンモードチョークコイルチップに分離した後の工程とに分かれないため、製造コストを低減化することが可能となる。さらにまた、各外部電極がコモンモードチョークコイルの上面のみならずその側面にもまたがって形成されるL字状断面を有しているため、その電極面積が大きくなり、実装時に充分な半田強度を得ることができる。また、本実施形態のコモンモードチョークコイルは、従来のコモンモードチョークコイルのように対向配置された2つのフェライト基板を有していないので、低背化を図ることができる。
【0063】
図7a及び7bは本発明のさらに他の実施形態のコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図である。以下、これらの図を用いて、本実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を説明する。なお、図7a及び7bは、2つの隣接するコモンモードチョークコイルについて図示している。また、本実施形態の説明において、図1の実施形態の場合と同様の構成要素については、同じ参照番号を使用する。
【0064】
図7a(A)に示すように、まず、Ni−Znフェライト等のフェライトを焼結し、切断、切削及び研磨を行って、厚さ約0.1〜2.0mmのフェライト基板11を形成する。
【0065】
次いで、図7a(B)に示すように、その全面上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、加熱硬化して厚さ約1.0〜10μmの第1の絶縁膜12aを形成する。
【0066】
次いで、図7a(C)に示すように、第1の絶縁膜12a上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第1のコイル導体膜13aと第1〜第4の内部電極層15a〜15dの一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0067】
次いで、図7a(D)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第2の絶縁膜12bを形成する。
【0068】
次いで、図7a(E)に示すように、図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmのリード導体層14と第1〜第4の内部電極層15a〜15dの一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0069】
次いで、図7a(F)に示すように、第2の絶縁膜12b上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第2のコイル導体膜13bを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。なお、リード導体層14はコモンモードチョークコイル10の中央部まで伸長しているが、このリード導体14とこれに交差する第2のコイル導体膜13bとの間には、第2の絶縁膜12bが存在する(図2参照)。
【0070】
次いで、図7a(G)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第3の絶縁膜12cを形成する。
【0071】
次いで、図7b(H)に示すように、第3の絶縁膜12c上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜200μmの第1〜第4の内部電極層15a〜15dから構成される内部導体15を付加的に形成してレジストパターンを除去する。
【0072】
その後、図7b(I)に示すように、その上にフェライト粒子を含有するエポキシ樹脂材料を塗布し、加熱して硬化させた後、表面を研磨して厚さ約5.0〜200μmの複合フェライト樹脂層16を形成する。
【0073】
次いで、図7b(J)に示すように、基板11の裏面を研削してその厚さを低減させる。例えば、研削前の基板11の厚さが1.5mmであるとすると、0.2〜0.8mm程度の厚さとなるように研削する。
【0074】
次いで、図7b(K)に示すように、切断用の回転切削具を用いて基板11を完全に切断して個々のコモンモードチョークコイルに分離する。この分離により、各コモンモードチョークコイル10の側面10b及び10cが露出すると共に、第1〜第4の内部電極層15a〜15dの一部が側面10b及び10cに露出する。なお、第1〜第4の内部電極層15a〜15dは、その一部が上面10aにも露出している。
【0075】
次いで、図7b(L)に示すように、このように分離した個々のコモンモードチョークコイルについて、外部電極をバレルめっきする。このバレルめっきにより、Ni及びAuをこの順序で順次電解めっき又は無電解めっきしてNi/Au(Niが下側層、Auが上側層)の多層膜、又はSnを電解めっき又は無電解めっきしてSnの単層膜を、コモンモードチョークコイル10の上面10a並びに側面10b及び10cに露出した第1〜第4の内部電極層15a〜15d上に被着形成する。これにより、各々が厚さ約1.0〜10μmのL字状断面を有する第1〜第4の外部電極膜17a〜17dからなる外部電極が形成される。この外部電極の望ましい実施態様としては、Ni膜を3μm、その上にAu膜を0.1μm形成する。
【0076】
以上説明したように、本実施形態によれば、基板11上に形成された複数のコモンモードチョークコイルを個々に分離して、各コモンモードチョークコイルの側面が露出されるようにし、その上面及び側面に露出した第1〜第4の内部電極層15a〜15d上に第1〜第4の外部電極膜17a〜17dをそれぞれバレルめっき形成している。このように、露出された内部電極の位置にバレルめっきして外部電極を形成しているので、外部電極の形状、寸法及び位置が高い精度で形成することができると共に、コモンモードチョークコイルのさらなる小型化を図ることができる。しかも、各外部電極がコモンモードチョークコイルの上面のみならずその側面にもまたがって形成されるL字状断面を有しているため、その電極面積が大きくなり、実装時に充分な半田強度を得ることができる。また、本実施形態のコモンモードチョークコイルは、従来のコモンモードチョークコイルのように対向配置された2つのフェライト基板を有していないので、低背化を図ることができる。
【0077】
図8a及び8bは本発明のまたさらに他の実施形態のコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図である。以下、これらの図を用いて、本実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を説明する。なお、図8a及び8bは、2つの隣接するコモンモードチョークコイルについて図示している。また、本実施形態の説明において、図1の実施形態の場合と同様の構成要素については、同じ参照番号を使用する。
【0078】
図8a(A)に示すように、まず、Ni−Znフェライト等のフェライトを焼結し、切断、切削及び研磨を行って、厚さ約0.1〜2.0mmのフェライト基板11を形成する。
【0079】
次いで、図8a(B)に示すように、その全面上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、加熱硬化して厚さ約1.0〜10μmの第1の絶縁膜12aを形成する。
【0080】
次いで、図8a(C)に示すように、第1の絶縁膜12a上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第1のコイル導体膜13aと第1〜第4の内部電極層15a〜15dの一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0081】
次いで、図8a(D)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第2の絶縁膜12bを形成する。
【0082】
次いで、図8a(E)に示すように、図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmのリード導体層14と第1〜第4の内部電極層15a〜15dの一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0083】
次いで、図8a(F)に示すように、第2の絶縁膜12b上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第2のコイル導体膜13bを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。なお、リード導体層14はコモンモードチョークコイル10の中央部まで伸長しているが、このリード導体14とこれに交差する第2のコイル導体膜13bとの間には、第2の絶縁膜12bが存在する(図2参照)。
【0084】
次いで、図8a(G)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第3の絶縁膜12cを形成する。
【0085】
次いで、図8b(H)に示すように、第3の絶縁膜12c上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜200μmの第1〜第4の内部電極層15a〜15dから構成される内部導体15を付加的に形成してレジストパターンを除去する。
【0086】
その後、図8b(I)に示すように、その上にフェライト粒子を含有するエポキシ樹脂材料を塗布し、加熱して硬化させた後、表面を研磨して厚さ約5.0〜200μmの複合フェライト樹脂層16を形成する。
【0087】
次いで、図8b(J)に示すように、基板11の裏面を研削してその厚さを低減させる。例えば、研削前の基板11の厚さが1.5mmであるとすると、0.2〜0.8mm程度の厚さとなるように研削する。
【0088】
次いで、図8b(K)に示すように、切断用の回転切削具を用いて基板11を完全に切断して個々のコモンモードチョークコイルに分離する。この分離により、各コモンモードチョークコイル10の側面10b及び10cが露出すると共に、第1〜第4の内部電極層15a〜15dの一部が側面10b及び10cに露出する。なお、第1〜第4の内部電極層15a〜15dは、その一部が上面10aにも露出している。
【0089】
次いで、図8b(L)に示すように、このように分離した個々のコモンモードチョークコイルについて、バレル研磨を行って各角部の面取りを行う。このように面取りを行うことにより、各コモンモードチョークコイルをパーツフィーダにスムーズに装着することができる。
【0090】
次いで、図8b(M)に示すように、このように面取りした個々のコモンモードチョークコイルについて、外部電極をバレルめっきする。このバレルめっきにより、Ni及びAuをこの順序で順次電解めっき又は無電解めっきしてNi/Au(Niが下側層、Auが上側層)の多層膜、又はSnを電解めっき又は無電解めっきしてSnの単層膜を、コモンモードチョークコイル10の上面10a並びに側面10b及び10cに露出した第1〜第4の内部電極層15a〜15d上に被着形成する。これにより、各々が厚さ約1.0〜10μmのL字状断面を有する第1〜第4の外部電極膜17a〜17dからなる外部電極が形成される。この外部電極の望ましい実施態様としては、Ni膜を3μm、その上にAu膜を0.1μm形成する。
【0091】
以上説明したように、本実施形態によれば、基板11上に形成された複数のコモンモードチョークコイルを個々に分離したものにバレル研磨を行って面取りした後、各コモンモードチョークコイルの上面及び側面に露出した第1〜第4の内部電極層15a〜15d上に第1〜第4の外部電極膜17a〜17dをそれぞれバレルめっき形成している。このように、外部電極形成前に面取りを行っているため、角部にバリ等が存在せず、各コイルをパーツフィーダに装着する際に、動作不良等の発生を未然に防止することができる。また、露出された内部電極の位置にバレルめっきして外部電極を形成しているので、外部電極の形状、寸法及び位置が高い精度で形成することができると共に、コモンモードチョークコイルのさらなる小型化を図ることができる。しかも、各外部電極がコモンモードチョークコイルの上面のみならずその側面にもまたがって形成されるL字状断面を有しているため、その電極面積が大きくなり、実装時に充分な半田強度を得ることができる。また、本実施形態のコモンモードチョークコイルは、従来のコモンモードチョークコイルのように対向配置された2つのフェライト基板を有していないので、低背化を図ることができる。
【0092】
図9は本発明のさらに他の実施形態により製造される電子部品におけるコモンモードチョークコイルの構成を概略的に示す(A)外観斜視図、(B)B−B線断面図である。なお、同図(B)のB−B線断面図は外部電極の存在する位置における断面を示している。本実施形態は、内部導体及び外部電極の構成が図1の実施形態の場合と多少異なる場合であり、その他の構成は図1の実施形態の場合とほぼ同様である。
【0093】
図9において、90はコモンモードチョークコイル、91はフェライト基板、92はフェライト基板91上に形成された第1の絶縁膜92a、第2の絶縁膜92b、第3の絶縁膜92c及び第4の絶縁膜92dから構成される絶縁層、93は絶縁層92に囲まれて形成された第1のコイル導体膜93a及び第2のコイル導体膜93bから構成されるコイル導体層、95a及び95bはコモンモードチョークコイル90の上面90aの一部のみに現れるように形成された第1及び第2の内部電極層(内部導体として第3及び第4の内部電極層も形成されているが図では示されていない)、96は絶縁層92上に形成されたフェライト材料を含む複合フェライト樹脂層、99a及び99bはコモンモードチョークコイル90の上面90aにおいて第1及び第2の内部電極層95a及び95bに被着されており、コモンモードチョークコイル90の側面90b及び90cにおいては第4の絶縁膜92dの側面の一部の上に形成された第1及び第2の外部電極用下側導体膜(第3及び第4の外部電極用下側導体膜も形成されているが図では示されていない)、97a及び97bは第1及び第2の外部電極用下側導体膜99a及び99b上にそれぞれ被着形成された第1及び第2の外部電極用上側導体膜(第3及び第4の外部電極用上側導体膜も形成されているが図では示されていない)をそれぞれ示している。
【0094】
コモンモードチョークコイルは、周知のように、平衡伝送方式において電磁妨害の原因となるコモンモード電流を抑制するために使用される電子部品であり、本実施形態では、例えば底辺が約0.6mm×約0.3mm、高さが約0.3mmの略直方体形状の外形を有し、その上面及び側面に4つの外部電極を備えた表面実装型部品として構成されている。
【0095】
フェライト基板91は本実施形態ではNi−Znフェライト等のフェライト焼結体から構成されており、絶縁層92は本実施形態では加熱硬化されたポリイミド樹脂材料から構成されており、コイル導体層93、図示しないリード導体層、並びに第1及び第2の内部電極層95a及び95bは本実施形態ではCu、Au、Al又はAg等の導電材料から構成されており、複合フェライト樹脂層96は本実施形態ではフェライト粒子を含有するエポキシ樹脂材料から構成されており、第1及び第2の外部電極用下側導体膜99a及び99bは本実施形態ではCu膜上にクロム(Cr)膜を積層したり、Cu膜上にチタン(Ti)膜を積層した多層導電材料から構成されており、第1及び第2の外部電極用上側導体膜97a及び97bは本実施形態ではNi膜上にAu膜を積層した多層導電材料又はSn等の単層導電材料から構成されている。
【0096】
図10a及び10bは本実施形態のコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図であり、外部電極の存在する位置における断面を示している。なお、図10a及び10bは、2つの隣接するコモンモードチョークコイルについて図示している。以下、同図を用いて、本実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を説明する。
【0097】
図10a(A)に示すように、まず、Ni−Znフェライト等のフェライトを焼結し、切断、切削及び研磨を行って、厚さ約0.1〜2.0mmのフェライト基板91を形成する。
【0098】
次いで、図10a(B)に示すように、その全面上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、加熱硬化して厚さ約1.0〜10μmの第1の絶縁膜92aを形成する。
【0099】
次いで、図10a(C)に示すように、第1の絶縁膜92a上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第1のコイル導体膜93aと第1及び第2の内部電極層95a及び95b(並びに第3及び第4の内部電極層)の一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0100】
次いで、図10a(D)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第2の絶縁膜92b及び第4の絶縁膜92dを形成する。
【0101】
次いで、図10a(E)に示すように、図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの図示しないリード導体層と第1及び第2の内部電極層95a及び95b(並びに第3及び第4の内部電極層)の一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0102】
次いで、図10a(F)に示すように、第2の絶縁膜92b上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第2のコイル導体膜93bを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。なお、リード導体層はコモンモードチョークコイル90の中央部まで伸長しているが、このリード導体とこれに交差する第2のコイル導体膜93bとの間には、第2の絶縁膜92bが存在する(図2参照)。
【0103】
次いで、図10a(G)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第3の絶縁膜92cを形成し、さらに第4の絶縁膜92dの膜厚を増大させる。
【0104】
次いで、図10a(H)に示すように、第3の絶縁膜92c上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜200μmの第1及び第2の内部電極層95a及び95b(並びに第3及び第4の内部電極層)を付加的に形成してレジストパターンを除去する。この段階まで、換言すれば、第2のコイル導体膜93bと同じ高さとなるまでは、第1及び第2の内部電極層95a及び95b(並びに第3及び第4の内部電極層)は、各コモンモードチョークコイルの側面90b及び90cに露出しない。
【0105】
その後、図10b(I)に示すように、その上にフェライト粒子を含有するエポキシ樹脂材料を塗布し、加熱して硬化させた後、表面を研磨して厚さ約5.0〜200μmの複合フェライト樹脂層96を形成する。
【0106】
次いで、図10b(J)に示すように、溝加工用の回転切削具を用いて基板91に浅溝98を形成する。この浅溝98は、基板91を完全に切断分離することなく、つながった状態のコモンモードチョークコイル間に形成されるものであり、例えば、約70μmの幅を有している。この浅溝98を設けることにより、各コモンモードチョークコイル90の側面90b及び90cが露出する。しかも、本実施形態のように複合フェライト樹脂層96及び第4の絶縁膜92dの位置に浅溝98を設けることにより、これら複合フェライト樹脂層96及び第4の絶縁膜92dの一部が、側面90b及び90cに露出する。なお、第1及び2の内部電極層95a及び95b(並びに第3及び第4の内部電極層)は、各コモンモードチョークコイル90の側面90b及び90cには露出しておらず、その一部が上面90aのみに露出している。このように、ポリイミド樹脂及びエポキシ樹脂という絶縁材料の部分で浅溝加工を行っているので、溝加工用の回転切削具の目詰まりが生じにくいという効果が得られ、また、溝加工のマージンも十分確保することができる。
【0107】
次いで、図10b(K)に示すように、第1及び第2の外部電極用下側導体膜99a及び99bをコモンモードチョークコイル90の上面90aにおいては第1及び第2の内部電極層95a及び95b上に被着するように、コモンモードチョークコイル90の側面90b及び90cにおいては第4の絶縁膜92dの側面の一部の上に被着するようにスパッタ形成する。具体的には、浅溝98を挟んで対向する2つのコモンモードチョークコイル90の上面に露出する隣接した2つの内部電極(95a〜95d)を共に覆う矩形形状の開口を有する図示しないマスクを、これらコモンモードチョークコイル90の上面に設置し、この上面に垂直な方向からのスパッタリングにより、2つの内部電極(95a〜95d)の上面、その間のフェライト粒子を含有するエポキシ樹脂部分上面、及び研削形成された浅溝98の内部電極側の両側面に、Cu/Crの多層膜、又はCu/Tiの多層膜をスパッタして厚さ約100〜10000nmのL字状断面を有する第1及び第2の外部電極用下側導体膜99a及び99b(並びに第3及び第4の外部電極用下側導体膜)を形成する。また、マスクとして、この浅溝側面をもカバーする立体的なマスクを使用すれば、より正確な形状の外部電極用下側導体膜99a及び99bが得られる。
【0108】
次いで、図10b(L)に示すように、この状態でNi及びAuを順次電解めっき又は無電解めっきしてNi/Auの多層膜、又はSnを電解めっき又は無電解めっきしてSnの単層膜を、第1及び第2の外部電極用下側導体膜99a及び99b(並びに第3及び第4の外部電極用下側導体膜)上に被着形成する。これにより、各々が厚さ約1.0〜10μmのL字状断面を有する第1及び第2の外部電極用上側導体膜97a及び97b(並びに第3及び第4の外部電極用上側導体膜)が形成される。この外部電極用上側導体膜の望ましい実施態様としては、Ni膜を3μm、その上にAu膜を0.1μm形成する。
【0109】
次いで、図10b(M)に示すように、基板91の裏面を研削してその厚さを低減させる。例えば、研削前の基板91の厚さが1.5mmであるとすると、0.2〜0.8mm程度の厚さとなるように研削する。
【0110】
その後、図10b(N)に示すように、基板91を完全に切断して個々のコモンモードチョークコイルに分離する。
【0111】
以上説明したように、本実施形態によれば、基板91上に形成された複数のコモンモードチョークコイルを個々に分離する前に浅溝加工を行って、各コモンモードチョークコイルの側面が露出されるようにし、その上面に露出した第1〜第4の内部電極層上と側面とに第1〜第4の外部電極用下側導体膜をそれぞれスパッタ形成した後、その上に及び第1〜第4の外部電極用上側導体膜をそれぞれめっき形成した後、基板91を完全に切断して個々のコモンモードチョークコイルチップに分離している。このように個々のコモンモードチョークコイルチップに分離する前に外部電極を形成しているので、外部電極の形状、寸法及び位置が高い精度で形成することができると共に、コモンモードチョークコイルのさらなる小型化を図ることができる。しかも、製造工程が基板上の工程とコモンモードチョークコイルチップに分離した後の工程とに分かれないため、製造コストを低減化することが可能となる。さらにまた、各外部電極がコモンモードチョークコイルの上面のみならずその側面にも形成されるL字状断面を有しているため、その電極面積が大きくなり、実装時に充分な半田強度を得ることができる。また、本実施形態のコモンモードチョークコイルは、従来のコモンモードチョークコイルのように対向配置された2つのフェライト基板を有していないので、低背化を図ることができる。
【0112】
図11a及び11bは本発明のまたさらに他の実施形態のコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図である。以下、これらの図を用いて、本実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を説明する。なお、図11a及び11bは、2つの隣接するコモンモードチョークコイルについて図示している。また、本実施形態の説明において、図9の実施形態の場合と同様の構成要素については、同じ参照番号を使用する。
【0113】
図11a(A)に示すように、まず、Ni−Znフェライト等のフェライトを焼結し、切断、切削及び研磨を行って、厚さ約0.1〜2.0mmのフェライト基板91を形成する。
【0114】
次いで、図11a(B)に示すように、その全面上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、加熱硬化して厚さ約1.0〜10μmの第1の絶縁膜92aを形成する。
【0115】
次いで、図11a(C)に示すように、第1の絶縁膜92a上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第1のコイル導体膜93aと第1及び第2の内部電極層95a及び95b(並びに第3及び第4の内部電極層)の一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0116】
次いで、図11a(D)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第2の絶縁膜92b及び第4の絶縁膜92dを形成する。
【0117】
次いで、図11a(E)に示すように、図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの図示しないリード導体層と第1及び第2の内部電極層95a及び95b(並びに第3及び第4の内部電極層)の一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0118】
次いで、図11a(F)に示すように、第2の絶縁膜92b上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第2のコイル導体膜93bを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。なお、リード導体層はコモンモードチョークコイル90の中央部まで伸長しているが、このリード導体とこれに交差する第2のコイル導体膜93bとの間には、第2の絶縁膜92bが存在する(図2参照)。
【0119】
次いで、図11a(G)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第3の絶縁膜92cを形成し、さらに第4の絶縁膜92dの膜厚を増大させる。
【0120】
次いで、図11a(H)に示すように、第3の絶縁膜92c上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜200μmの第1及び第2の内部電極層95a及び95b(並びに第3及び第4の内部電極層)を付加的に形成してレジストパターンを除去する。この段階まで、換言すれば、第2のコイル導体膜93bと同じ高さとなるまでは、第1及び第2の内部電極層95a及び95b(並びに第3及び第4の内部電極層)は、各コモンモードチョークコイルの側面に露出しない。
【0121】
その後、図11b(I)に示すように、その上にフェライト粒子を含有するエポキシ樹脂材料を塗布し、加熱して硬化させた後、表面を研磨して厚さ約5.0〜200μmの複合フェライト樹脂層96を形成する。
【0122】
次いで、図11b(J)に示すように、溝加工用の回転切削具を用いて基板91に浅溝98を形成する。この浅溝98は、基板91を完全に切断分離することなく、つながった状態のコモンモードチョークコイル間に形成されるものであり、例えば、約70μmの幅を有している。この浅溝98を設けることにより、各コモンモードチョークコイル90の側面90b及び90cが露出する。しかも、本実施形態のように複合フェライト樹脂層96及び第4の絶縁膜92dの位置に浅溝98を設けることにより、これら複合フェライト樹脂層96及び第4の絶縁膜92dの一部が、側面90b及び90cに露出する。なお、第1及び2の内部電極層95a及び95b(並びに第3及び第4の内部電極層)は、各コモンモードチョークコイル90の側面90b及び90cには露出しておらず、その一部が上面90aのみに露出している。このように、ポリイミド樹脂及びエポキシ樹脂という絶縁材料の部分で浅溝加工を行っているので、溝加工用の回転切削具の目詰まりが生じにくいという効果が得られ、また、溝加工のマージンも十分確保することができる。
【0123】
次いで、図11b(K)に示すように、第1及び第2の外部電極用下側導体膜99a及び99bをコモンモードチョークコイル90の上面90aにおいては第1及び第2の内部電極層95a及び95b上に被着するように、コモンモードチョークコイル90の側面90b及び90cにおいては第4の絶縁膜92dの側面の一部の上に被着するようにスパッタ形成する。具体的には、浅溝98を挟んで対向する2つのコモンモードチョークコイル90の上面に露出する隣接した2つの内部電極(95a〜95d)を共に覆う矩形形状の開口を有する図示しないマスクを、これらコモンモードチョークコイル90の上面に設置し、この上面に垂直な方向からのスパッタリングにより、2つの内部電極(95a〜95d)の上面、その間のフェライト粒子を含有するエポキシ樹脂部分上面、及び研削形成された浅溝98の内部電極側の両側面に、Cu/Crの多層膜、又はCu/Tiの多層膜をスパッタして厚さ約100〜10000nmのL字状断面を有する第1及び第2の外部電極用下側導体膜99a及び99b(並びに第3及び第4の外部電極用下側導体膜)を形成する。また、マスクとして、この浅溝側面をもカバーする立体的なマスクを使用すれば、より正確な形状の外部電極用下側導体膜99a及び99bが得られる。
【0124】
次いで、図11b(L)に示すように、基板91の裏面を研削してその厚さを低減させる。例えば、研削前の基板91の厚さが1.5mmであるとすると、0.2〜0.8mm程度の厚さとなるように研削する。
【0125】
次いで、図11b(M)に示すように、切断用の回転切削具を用いて基板91を完全に切断して個々のコモンモードチョークコイルに分離する。
【0126】
次いで、図11b(N)に示すように、このように分離した個々のコモンモードチョークコイルについて、外部電極をバレルめっきする。このバレルめっきにより、Ni及びAuをこの順序で順次電解めっき又は無電解めっきしてNi/Au(Niが下側層、Auが上側層)の多層膜、又はSnを電解めっき又は無電解めっきしてSnの単層膜を、第1及び第2の外部電極用下側導体膜99a及び99b(並びに第3及び第4の外部電極用下側導体膜)上に被着形成する。これにより、各々が厚さ約1.0〜10μmのL字状断面を有する第1及び第2の外部電極用上側導体膜97a及び97b(並びに第3及び第4の外部電極用上側導体膜)が形成される。この外部電極用上側導体膜の望ましい実施態様としては、Ni膜を3μm、その上にAu膜を0.1μm形成する。
【0127】
以上説明したように、本実施形態によれば、基板91上に形成された複数のコモンモードチョークコイルを個々に分離する前に浅溝加工を行って、各コモンモードチョークコイルの側面が露出されるようにし、その上面に露出した第1〜第4の内部電極層上と側面とに第1〜第4の外部電極用下側導体膜をそれぞれスパッタ形成した後、個々に分離した後、第1〜第4の外部電極用下側導体膜上に第1〜第4の外部電極用上側導体膜をそれぞれバレルめっき形成している。このように第1〜第4の外部電極用下側導体膜の位置にバレルめっきして外部電極を形成しているので、外部電極の形状、寸法及び位置が高い精度で形成することができると共に、コモンモードチョークコイルのさらなる小型化を図ることができる。しかも、各外部電極がコモンモードチョークコイルの上面のみならずその側面にも形成されるL字状断面を有しているため、その電極面積が大きくなり、実装時に充分な半田強度を得ることができる。また、本実施形態のコモンモードチョークコイルは、従来のコモンモードチョークコイルのように対向配置された2つのフェライト基板を有していないので、低背化を図ることができる。
【0128】
図12a及び12bは本発明のさらに他の実施形態のコモンモードチョークコイルの製造工程を概略的に説明する工程断面図である。以下、これらの図を用いて、本実施形態におけるコモンモードチョークコイルの製造工程を説明する。なお、図12a及び12bは、2つの隣接するコモンモードチョークコイルについて図示している。
【0129】
図12a(A)に示すように、まず、Ni−Znフェライト等のフェライトを焼結し、切断、切削及び研磨を行って、厚さ約0.1〜2.0mmのフェライト基板121を形成する。
【0130】
次いで、図12a(B)に示すように、その全面上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、加熱硬化して厚さ約1.0〜10μmの第1の絶縁膜122aを形成する。
【0131】
次いで、図12a(C)に示すように、第1の絶縁膜122a上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第1のコイル導体膜123aと第1及び第2の内部電極層125a及び125b(並びに第3及び第4の内部電極層)の一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0132】
次いで、図12a(D)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第2の絶縁膜122b及び第4の絶縁膜122dを形成する。
【0133】
次いで、図12a(E)に示すように、図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの図示しないリード導体層と第1及び第2の内部電極層125a及び125b(並びに第3及び第4の内部電極層)の一部とを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。
【0134】
次いで、図12a(F)に示すように、第2の絶縁膜122b上に図示しないめっき下地膜をスパッタで形成し、その上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜20μmの第2のコイル導体膜123bを形成してレジストパターン及びその下のめっき下地膜を除去する。なお、リード導体層はコモンモードチョークコイルの中央部まで伸長しているが、このリード導体とこれに交差する第2のコイル導体膜123bとの間には、第2の絶縁膜122bが存在する(図2参照)。
【0135】
次いで、図12a(G)に示すように、その上に、ポリイミド樹脂材料をスピンコートし、このポリイミド樹脂自体でパターニングを行って加熱硬化し、厚さ約3.0〜20μmの第3の絶縁膜122cを形成し、さらに第4の絶縁膜122dの膜厚を増大させる。
【0136】
次いで、図12a(H)に示すように、第3の絶縁膜122cの一部の上に図示しないレジストパターンを形成した後、Cu、Au、Al又はAg等の導電材料を電解めっき又は無電解めっきして、厚さ約5.0〜200μmの第1及び第2の内部電極層125a及び125b(並びに第3及び第4の内部電極層)を付加的に形成してレジストパターンを除去する。この段階まで、換言すれば、第2のコイル導体膜123bと同じ高さとなるまでは、第1及び第2の内部電極層125a及び125b(並びに第3及び第4の内部電極層)は、各コモンモードチョークコイルの側面に露出しない。
【0137】
その後、図12b(I)に示すように、その上にフェライト粒子を含有するエポキシ樹脂材料を塗布し、加熱して硬化させた後、表面を研磨して厚さ約5.0〜200μmの複合フェライト樹脂層126を形成する。
【0138】
次いで、図12b(J)に示すように、溝加工用の回転切削具を用いて基板121に浅溝128を形成する。この浅溝128は、基板121を完全に切断分離することなく、つながった状態のコモンモードチョークコイル間に形成されるものであり、例えば、約70μmの幅を有している。この浅溝128を設けることにより、各コモンモードチョークコイルの側面が露出する。しかも、本実施形態のように複合フェライト樹脂層126及び第4の絶縁膜122dの位置に浅溝128を設けることにより、これら複合フェライト樹脂層126及び第4の絶縁膜122dの一部が、側面に露出する。なお、第1及び2の内部電極層125a及び125b(並びに第3及び第4の内部電極層)の下部は、各コモンモードチョークコイルの側面には露出しておらず、その上部が側面に露出し、上面も露出している。このように、ポリイミド樹脂及びエポキシ樹脂という絶縁材料の部分で浅溝加工を行っているので、溝加工用の回転切削具の目詰まりが生じにくいという効果が得られ、また、溝加工のマージンも十分確保することができる。
【0139】
次いで、図12b(K)に示すように、Ni及びAuをこの順序で順次電解めっき又は無電解めっきしてNi/Au(Niが下側層、Auが上側層)の多層膜、又はSnを電解めっき又は無電解めっきしてSnの単層膜を、コモンモードチョークコイルの上面及び側面の一部に露出した第1及び2の内部電極層125a及び125b(並びに第3及び第4の内部電極層)上に被着形成する。これにより、各々が厚さ約1.0〜10μmのL字状断面を有する第1及び第2の外部電極膜127a及び127b(並びに第3及び第4の外部電極膜)が形成される。この外部電極膜の望ましい実施態様としては、Ni膜を3μm、その上にAu膜を0.1μm形成する。
【0140】
次いで、図12b(L)に示すように、基板121の裏面を研削してその厚さを低減させる。例えば、研削前の基板121の厚さが1.5mmであるとすると、0.2〜0.8mm程度の厚さとなるように研削する。
【0141】
その後、図12b(M)に示すように、切断用の回転切削具を用いて基板121を完全に切断して個々のコモンモードチョークコイルに分離する。
【0142】
以上説明したように、本実施形態によれば、基板121上に形成された複数のコモンモードチョークコイルを個々に分離する前に浅溝加工を行って、各コモンモードチョークコイルの側面が露出されるようにし、その上面及び側面の一部に露出した第1〜第4の内部電極層125a〜125d上に第1〜第4の外部電極膜127a〜127dをそれぞれめっき形成した後、基板121を完全に切断して個々のコモンモードチョークコイルチップに分離している。このように個々のコモンモードチョークコイルチップに分離する前に外部電極を形成しているので、外部電極の形状、寸法及び位置が高い精度で形成することができると共に、コモンモードチョークコイルのさらなる小型化を図ることができる。しかも、製造工程が基板上の工程とコモンモードチョークコイルチップに分離した後の工程とに分かれないため、製造コストを低減化することが可能となる。さらにまた、各外部電極がコモンモードチョークコイルの上面のみならずその側面にもまたがって形成されるL字状断面を有しているため、その電極面積が大きくなり、実装時に充分な半田強度を得ることができる。また、本実施形態のコモンモードチョークコイルは、従来のコモンモードチョークコイルのように対向配置された2つのフェライト基板を有していないので、低背化を図ることができる。なお、本発明の製造方法において、本実施形態における図12a(A)〜図12b(I)の製造工程を、図6a及び6b、図7a及び7b、並びに図8a及び8bの実施形態に適用しても良いことは明らかである。
【0143】
以上述べた実施形態では、電子部品として、4つの外部電極を有するコモンモードチョークコイルを例に説明したが、本発明の電子部品はこれに限定されるものではなく、例えば、インダクタ、キャパシタ、抵抗又はその他の受動素子を有する電子部品にも適用することができる。また、外部電極数も4つに限定されるものではなく、4つ以外の個数の外部電極を有する電子部品にも適用することができる。さらに、本発明は、1パッケージ内に複数の受動素子を有する電子部品にも適用することができる。
【0144】
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【符号の説明】
【0145】
10、90 コモンモードチョークコイル
10a、90a 上面
10b、10c、90b、90c 側面
11、91、121 フェライト基板
12、92 絶縁層
12a、92a、122a 第1の絶縁膜
12b、92b、122b 第2の絶縁膜
12c、92c、122c 第3の絶縁膜
13、93 コイル導体層
13a、93a、123a 第1のコイル導体膜
13b、93b、123b 第2のコイル導体膜
14 リード導体層
15 内部導体
15a、95a、125a 第1の内部電極層
15b、95b、125b 第2の内部電極層
15c 第3の内部電極層
15d 第4の内部電極層
16、96、126 複合フェライト樹脂層
17 外部電極
17a、127a 第1の外部電極膜
17b、127b 第2の外部電極膜
17c 第3の外部電極膜
17d 第4の外部電極膜
18、98、128 浅溝
19 深溝
92d、122d 第4の絶縁膜
97a 第1の外部電極用上側導体膜
97b 第2の外部電極用上側導体膜
99a 第1の外部電極用下側導体膜
99b 第2の外部電極用下側導体膜
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図9
図10a
図10b
図11a
図11b
図12a
図12b