特許第5656095号(P5656095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5656095
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】太陽電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/18 20060101AFI20141225BHJP
   H01L 31/0216 20140101ALI20141225BHJP
   H01L 31/0248 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
   H01L31/04 440
   H01L31/04 240
   H01L31/04 300
【請求項の数】17
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-503046(P2013-503046)
(86)(22)【出願日】2011年2月16日
(65)【公表番号】特表2013-524524(P2013-524524A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】EP2011052257
(87)【国際公開番号】WO2011124409
(87)【国際公開日】20111013
【審査請求日】2012年12月6日
(31)【優先権主張番号】102010003784.2
(32)【優先日】2010年4月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514275657
【氏名又は名称】ソーラーワールド インダストリーズ テューリンゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】SolarWorld Industries Thueringen GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ティム ベスケ
【審査官】 吉野 三寛
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102007041392(DE,A1)
【文献】 特開2006−073617(JP,A)
【文献】 特表2011−512669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板(1)から太陽電池を製造する方法であって、
当該シリコン基板は、使用状態において光入射側として使用される第1主面(3)と、背面側として使用される第2主面(4)とを有しており、
前記シリコン基板は、前記第2主面(4)にパッシベーション層を有している、
太陽電池を製造する方法において、
− 前記シリコン基板(1)の前記第2主面(4)に酸化物含有層(5)を被着するステップと、
− 1つのプロセスステップ内で前記第1主面(3)にエミッタ層を形成し、前記背面をパッシベーションする酸化シリコン層(6)を前記第2主面(4)に形成するステップと、
− 前記ステップによって前記第1主面(3)および前記第2主面(4)に形成されたドーピング材のシリコン層を除去し、同時に前記第2主面(4)に存在する酸素含有層(5)を部分的にエッチバックするステップとを有する
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記酸素含有層(5)を被着する前に前記第2主面(4)にドーピング材料を打ち込む、
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、
前記エミッタ形成のプロセスステップ中、前記エミッタ層(8)の形成および前記酸化シリコン層(6)の形成に加えて、前記第2主面(4)に打ち込まれたドーピング材料の活性化および打ち込み欠陥の修復も行う、
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、
2およびH2Oを含むプロセス雰囲気を酸素源として機能させる、
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1またはに記載の方法において、
前記酸化物含有層を被着して、当該酸化物含有層が、化合物SiO2,ZrO2,SiOabおよびSiOabのうちの少なくともいずれか1つを含んで酸素透過性であるようにし、ただしそれぞれb≪aである、
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法において、
前記酸化物含有層(5)は、SiO2を含んでおり、CVD法またはPECVD法により、前記シリコン基板(1)の前記第2主面(4)に被着される、
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法において、
前記酸化物含有層(5)には、ハイパーストイキオメトリの酸化物および/または密度の低い酸化物および/または吸湿性酸化物が含まれており、
前記酸化物含有層(5)は、前記酸素源として機能する、
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項に記載の方法において、
前記ハイパーストイキオメトリの酸化物にはSiO2+X:Hが含まれており、
前記吸湿性酸化物にはBSG,PSGおよび/またはTEOS酸化物が含まれている、
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法において、
さらに、前記酸化物含有層(5)を被着した後、前記2つの主面(3)にドーピング材料を拡散注入し、
前記シリコン基板(1)を加熱するステップの間に前記ドーピング材料が前記第1主面(3)に拡散し、前記酸化物含有層(5)は、前記加熱中に前記第2主面(4)のマスキング層として機能する、
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法において、
さらに、前記酸化物層(5)を被着する前に前記第1主面(3)および/または前記第2主面(4)に表面構造を載置する、
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法において、
さらに、前記酸化物含有層(5)を被着する前に前記第2主面(4)を平坦化する、
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法において、
さらに、前記酸化物含有層(5)を被着する前に、前記第1主面(3)および/または前記第2主面(4)をクリーニングする、
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法において、
さらに、BSF(Back Surface Field)層(10)を形成するため、ホウ素またはリンを前記第2主面(4)に拡散または注入し、前記シリコン基板(1)を加熱することによって前記ホウ素またはリンを活性化する、
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法において、
前記2つの主面(3,4)をエッチングした後、SiN反射防止層(9)を前記第1主面(3)に被着する、および/または前記第2主面(4)の前記酸化物含有層(5)に被着する、
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法において、
前記酸化物含有層(5)を被着する前、前記第1主面(3)と前記第2主面(4)とを接続するため、前記シリコン基板(1)を貫通する1つまたは複数のホールを形成する、
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法において、前記酸化物含有層(5)を被着する前につぎのステップを実行する、すなわち
− ドーピング材料を前記2つの主面(3,4)に拡散注入し、
− 前記第1主面(3)にエミッタ層を形成するため、および、前記第2主面(4)にエミッタ層を形成するため、前記シリコン基板(1)を加熱することによって前記ドーピング材料を当該シリコン基板(1)に拡散注入し、
− 前記シリコン基板(1)を加熱することによって発生するドーピング材料ガラス層を前記第1主面(3)および/または前記第2主面(4)からエッチング除去し、
− マスキング層としてのSiN層を前記第1主面(3)に被着し、
− エッチングによって前記第2主面(4)のエミッタ層を除去し、当該除去中には前記SiN層が前記第1主面(3)のマスキング層として機能する、
ことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項8または16に記載の方法において、
拡散注入するドーピング材料として、臭化ホウ素を用いてホウ素を拡散注入し、および/または、オキシ塩化リンを用いてリンを拡散注入する、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載した、シリコン基板から太陽電池を製造する方法に関する。
【0002】
従来の技術
太陽電池は、シリコン基板から構成されることが多い。太陽電池の長時間安定性を保証するため、および基板に異物原子が入り込むことを回避するため、太陽電池にはパッシベーション層が設けられる。
【0003】
太陽電池のシリコン表面をパッシベーションするため、これまで誘電性の薄膜が使用されている。工業的な実施においては殊に、プラズマ方式によってデポジットした窒化シリコン薄膜が使用される。しかしながら、熱的に成長させた酸化シリコン層により、格段に良好なパッシベーション特性が得られることは公知である。これは、殊にpドーピングされた表面をパッシベーションする場合であり、それは、ここでは窒化シリコンにおける高濃度の正のキャリアが、性能を低下させる影響を有しているからである(反転層の形成および「寄生的な短絡形成」)。したがって殊にPERC(passivated emitter and rear cell)−/PERT(passivated emitter, rear totally-diffused)−/PERL(passivated emitter, rear locally-diffused)−セルの背面のパッシベーションに対して熱酸化を使用することが望ましい。
【0004】
太陽電池の作製において熱酸化物を作製するための従来公知の方法には多くの欠点がある。このプロセスには多くの時間がかかる。それはプロセス時間が層厚に伴って二乗で増大するからであり、このことは、高いプロセスコストに結びつく。さらにこのプロセスには高い熱収支が必要であり、これにより、拡散プロフィールを不利に変化させることがある。さらに上記のプロセスが内在的に両側に行われることは不利である。しかしながら上記のパッシベーション層はふつう太陽電池の片側だけに必要であるため、この太陽電池の他方の側をマスキングしなければならないのである。
【0005】
PERCセルに対しては、例えば(簡単にまとめると)つぎのステップを含むプロセス(''All-Screen-Printed 120-pm-Thin Large-Area Silicon Solar Cells Applying Dielectric Rear Passivation and Laser-Fired Contacts Reaching 18% Efficiency", L. Gautero et al., 24th EU-PVSEC 2009, Hamburg, Session 2D0.2.5)が公知である。
1) テクスチャ
2) クリーニング(HNO3)
3) ドライブインステップによるPOCl3の拡散
4) PSG(phosphor silicate glass)の(エッチング除去)
5) 前面のSiNデポジット
6) 背面のエミッタ除去
7) クリーニング 標準クリーニング1/標準クリーニング2
8) 酸化
9) 背面のSiO2デポジット
10) 背面のSiNデポジット
ここでは片側の酸化は、デポジットしたSiNによる前面マスキングによって行われる。プロセス時間を低減するため、薄い1つの層(〜20nm)酸化物だけを成長させ、引き続き、デポジットさせた酸化物または窒化物によってこれを厚くする。上記のパッシベーションにはSiO2とSiとの間の境界層がもっぱら関連するため、上記の積層体により、純粋な熱酸化物に匹敵するパッシベーション品質が得られる。しかしながらここでの欠点は、この方法が技術的に煩雑でありかつ高価なことである。
【0006】
発明の開示
本発明が対象とするのは、使用状態において光入射側として使用される第1主面と、背面として使用される第2主面を有するシリコン基板から太陽電池を作製する方法であり、ここでこの基板は、第2主面上にパッシベーション層を有する。上記の方法はつぎのステップを有する。上記のシリコン基板の第2主面上に酸化物含有層をデポジットするステップと上記の酸化物含有層を圧縮しかつこの酸化物含有層とシリコン基板の第2主面との間の境界面を酸化して熱酸化物を形成するために、このシリコン基板を少なくとも800℃に加熱するステップとを有する。ここで酸素源により、この酸化のための酸素が放出される。この方法の利点は、これが技術的に簡単でありかつコスト的に有利なことである。
【0007】
例えばO2および/またはH2Oを含む上記のシリコン基板のプロセス雰囲気は、酸素源として機能することができる。上記の酸化物含有層は、これが例えばSiO2,ZrO2,SiOabおよび/またはSiOabを含有して酸素透過性になるように被着することができる。ただしそれぞれb≪aである。こうすることの利点は、上記の方法が技術的にさらに簡単になり、かつ一層コスト的に有利になることである。
【0008】
例えばSiO2を含む酸化物含有層は、殊にSiH4を使用してCVD法またはPECVD法により、上記シリコン基板の第2主面に被着することができる。これにより、この方法のコストがさらに安くなる。それは、CVD法ならびにPECVD法は極めてコスト的に有利な方法だからである。さらに上記の酸化物含有層は、第2主面に均一に被着される。
【0009】
この酸化物含有層には、ハイパーストイキオメトリの酸化物、例えばSiO2+x:Hおよび/または密度の低い酸化物および/または吸湿性酸化物、有利にはBSG、PSGおよび/またはTEOS酸化物を含めることができ、またこの酸化物含有層は、上記の酸素源として機能することができる。これによってこの方法は技術的にさらに簡単になる。それは付加的な酸素源は不要になるからである。
【0010】
さらにこの方法では、シリコン基板の加熱中にそこに発生するシリコン酸化物層を第1主面からエッチングによって除去し、また上記の酸化物含有層の一部を第2主面からエッチングによって除去することができる。こうすることの利点は、第1主面上のシリコン基板が簡単に露出されるのに対し、第2主面上では上記のパッシベーション層が部分的にしか除去されないことである。
【0011】
本発明の方法ではさらに上記の酸化物含有層を被着した後、上記の2つの主面にドーピング材料を拡散注入することができ、例えば、有利には3臭化ホウ素を用いてホウ素を拡散注入することができ、および/または有利にはオキシ塩化リンを用いてリンを拡散注入することができ、ここではシリコン基板を加熱するステップの間にドーピング材料が第1主面に拡散し、上記の酸化物含有層は、上記の加熱中に第2主面のマスキング層として機能する。これにより、シリコン基板の第1主面に、エミッタとして機能し得るドーピング層を簡単に形成することができ、これに対し、ドーピング材料は上記のシリコン基板の第2の主面に拡散することはない。
【0012】
上記のシリコン基板を加熱する間に発生するドーピング材料−シリコン化合物層は、第1主面および/または第2主面からエッチングによって除去することができる。こうすることの利点は、第1主面上のシリコン基板のシリコンが露出し、また第2主面上の酸化物含有層が露出することである。
【0013】
さらに本発明の方法では、上記の酸化物含有層を被着する前、第1主面および/または第2主面に表面構造体を載置することができる。こうすることの利点は、第1主面および/または第2主面の複数の部分に、所期のように酸化物含有層が被着しないようにすることである。
【0014】
本発明の方法ではさらに、上記の酸化物含有層を被着する前に第2主面を平坦化する。これにより、第2主面における酸化物含有層の被着が格段に改善される。さらに本発明で提案される方法では、上記の酸化物含有層を被着する前に、例えばHNO3によって第1主面および/または第2主面をクリーニングする。こうすることの利点は、上記の酸化物層の被着がさらに改善されることである。
【0015】
この方法ではさらにBSF(Back Surface Field)層を形成するため、ホウ素またはリンを第2主面に拡散させるかまたはイオン注入によって打ち込む。このホウ素またはリンはシリコン基板を加熱した際に活性化される。このBSFにより、太陽電池の効率が改善される。それは、BSFは電子に対するバリアであり、したがって電子は、上記のシリコン基板の表面に到達しないからである。
【0016】
この方法ではさらにSiN反射防止層を第1主面および/または第2主面の酸化物含有層に被着することができる。この反射防止層により、シリコン基板によって反射する光が少なくなり、これによって一層多くの光がシリコン基板に進入する。これにより、太陽電池の効率が増大する。
【0017】
さらに上記の第1主面と第2主面とを接続するため、酸化物含有層を被着する前に、上記のシリコン基板を通過するレーザによる1つまたは複数のホールを、例えばレーザによって作製することができる。このことの利点は、これらのホールにより、第1主面から第2主面へのないしはこの逆の電気接続を簡単に形成できることである。
【0018】
上記の方法では酸化物含有層を被着する前につぎの方法ステップを実行することができる。すなわち、2つの主面にドーピング材料を拡散注入し、例えば、有利には3臭化ホウ素を用いてホウ素を拡散注入し、および/または有利にはオキシ塩化リンを用いてリンを拡散注入する。このドーピング材料はシリコン基板を加熱することによってシリコン基板に拡散されて、第1主面にエミッタ層が形成され、また第2主面にエミッタ層が形成される。シリコン基板を加熱することによって生じたドーピング材料−シリコン化合物層は、第1主面および/または第2主面からエッチングによって除去される。有利にはSiNであるマスキング層を第1主面に被着する。第2主面のエミッタ層は、例えばエッチングによって除去され、この除去の間、SiN層は第1主面のマスキング層として機能する。こうすることの利点は、従来技術に比べ、シリコン基板のクリーニングステップ、すなわち、標準クリーニング1/標準クリーニング2が省略されるかまたはこれを省略できることである。これによって時間およびコストが節約され、またプロセスも技術的に簡単になるのである。
【0019】
図面
本発明の別の利点および合理性を図面によって説明し、また以下の説明において詳述する。ここで、以下の図面は単に説明的な性質しか有しておらず、いかなる形でも本発明で制限することを意図したものではないことに注意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】パッシベーション層を有するシリコン基板から太陽電池を作製する本発明の方法の連続するステップ後のシリコン基板を示す図である。
図2】パッシベーション層を有するシリコン基板から太陽電池を作製する本発明の別の方法の連続するステップ後のシリコン基板を示す図である。
【0021】
以下の説明において同じ部分および同じ作用を有する部分には同じ参照符号を使用する
【0022】
図1ないし1dでは、背面にパッシベーション層を有する太陽電池を作製する本発明による別の方法の連続したステップ後のシリコン基板1が示されている。図1aでは、シリコン2からなるウェハを含むシリコン基板1において、第1主面3とは反対側の第2主面4にすでに酸化物含有層5が被着されている。第2方法ステップでは、リンが拡散注入される。ここでシリコン基板1の第1主面3と、第2主面4の二酸化ケイ素5とにPSG7,すなわちリンケイ酸ガラスが形成される。
【0023】
拡散注入されるリンは、シリコン基板1を加熱することによってシリコン基板1のシリコン2内にドライブインされて、シリコン基板1の第1主面3にエミッタ8が形成される。このドライブインステップ中、シリコン2と、シリコン基板1の第2主面4に被着された二酸化ケイ素5との間の境界面に熱酸化物層6が生じる。この方法ステップ後のこの積層体の状態は、図1bに示されている。
【0024】
1主面3および第2主面4をエッチングすることにより、これらの2つの主面3,4からPSG7を除去する。図1cには2つの主面3,4をエッチングした後の結果が示されている。第2主面4では、上記のエッチングによって酸化物含有層5の一部だけが除去される。したがって片側だけに、すなわち背面だけに高品質な熱酸化物6を備えたパッシベーション層を有する太陽電池が形成されるのである。第1主面3では、リンをドーピングした薄い層8を含むシリコン2が露出する。シリコン基板1の第2主面4には熱酸化物6があり、さらにここには二酸化ケイ素5の層がある。図1cにはこの方法ステップ後のシリコン基板1の状態が示されている。
【0025】
別の方法ステップでは、シリコン基板1の第1主面3にSiN反射防止層9が被着される。図1dには、この方法が終了した後のシリコン基板1が示されている。シリコン基板1は、熱酸化物6を含むパッシベーション層を背面だけに有する。
【0026】
上記の酸素源は、シリコン基板1のプロセス雰囲気とすることができる(例えばO2またはH2O)。ここで、デポジットした酸化物含有層5は酸素透過性である。これは例えばSiO2およびSiOabまたはSiOabの場合であり、bがaよりも格段に小さい場合である。
【0027】
また酸化物含有層として、例えばZrO2などの別の酸素伝導性の金属酸化物も考えられる。
【0028】
上記の酸素源は、酸化物含有層5それ自体とすることも可能である。この場合にはハイパーストイキオメトリの酸化物を酸化物含有層として、シリコン基板1の第2主平面に被着する。上記のシリコン基板の加熱中、このハイパーストイキオメトリの酸化物によって水および/または酸素が放出される。上記のハイパーストイキオメトリの酸化物は、例えばBSG,PSG,またはTEOS酸化物などの吸湿性酸化物とすることができるかまたは例えばSiO2+x:Hとすることも可能である。付加的には密度の小さい酸化物を使用し、これによって酸素拡散を簡略化する。これはふつう低い温度におけるSiH4プロセスの場合である。
【0029】
シリコン基板上のアモルファスSiO2層は、SiH4および酸素源を用いてPECVD法によって作製される。このための酸素源として例えば笑気ガスまたは純粋な酸素が機能し得る。
【0030】
このSiH4プロセスは、室温と約500℃との間の温度において進行し、有利には約200℃で進行する。
【0031】
2aないし2dには、シリコン基板1の片側にパッシベーション層を有する太陽電池を作製する本発明のさらに別の方法の連続したステップ後のシリコン基板1が示されている。第1ステップでは、例えば拡散により、裏面電界としてホウ素層10がシリコン基板1の第2主面4に入れられる。この第1ステップ後のシリコン基板1が図2aに示されている。
【0032】
その後、シリコン基板1の第2主面4に二酸化ケイ素層5が被着される。このステップの後の積層体は、図2bに示されている。
【0033】
つぎにエミッタ8を形成するためにリンを拡散する。これにより、第1主面3と、第2主面4の二酸化ケイ素5とにPSG7が形成される。シリコン2へのリンのドライブインステップ中、第2主面4に被着される二酸化ケイ素5とシリコン2との間の境界面に熱酸化物層6が発生する。さらにシリコン基板1を加熱する加熱ステップにより、ホウ素層10のホウ素が活性化されて注入ステップによる損傷が修復される。この方法ステップ後のシリコン基板1は、図2cに示されている。
【0034】
ここで第1主面3および第2主面4をエッチングすることにより、2つの主面3,4からPSG7を除去する。最後のステップとしてシリコン基板1の第1主面3にSiN反射防止層9を被着する。
【0035】
ここで説明した方法は、上述のプロセスと組み合わせることができ、これによってプロセスの流れが格段に簡略化される。それは、付加的な酸化ステップもはや不要であり、またクリーニングステップの回数が低減されるからである。さらにすでに公知のプロセスの流れと、本発明による方法と組み合わせることにより、所要の酸化時間/温度を低減することができる。
【0036】
本発明にしたがって変更されたプロセスはつぎのようになる。
1) テクスチャ
2) クリーニング(HNO3
3) ドライブインステップによるPOCl3の拡散
4) PSGのエッチング除去
5) 前面へのSiNのデポジット
6) RSのエミッタ除去
7) 背面へのSiO2のデポジット
8) 酸化
9) 背面へのSiNのデポジット
【0037】
従来公知のプロセスと比べてステップ8)とステップ9)とが入れ替わっている(ここではステップ8)および7))。公知のSintoプロセスのステップ7)、すなわちコストがかかりかつ煩雑な金属汚染物を除去するための標準クリーニング1/標準クリーニング2ステップが省略されるかないしはこれを省略することができる。
【0038】
このプロセスによって作製したPERCセルは、ホウ素注入によってPERTセルに拡張することができる。この場合にPOCl3/BBr3拡散はさらに、打ち込んだ調量を活性化するという機能を果たすため、合わせて2つの高温ステップを節約することができるのである。
【0039】
本発明による新しいPERCプロセスはつぎのとおりである。
1) テクスチャ(+背面平坦化)
2) クリーニング(HNO3、場合によってそれ以上)
3) 背面へのSiO:Hデポジット
4) ドライブインステップによるPOCl3の拡散
5) PSGのエッチング除去
6) 前面へのSiNデポジット
7) 背面へのSiNデポジット
【0040】
この新しいPERCプロセスによって付加的な酸化ステップが省略される。
【0041】
付加的にはこの方法と、MWT(metal wrap though)のプロセスの流れとを組み合わせることができる。
【0042】
本発明による新たなPERC−MWTプロセスはつぎのとおりである。
1) テクスチャ(+背面平坦化)
2) クリーニング
3) 背面へのSiO:Hデポジット
4) ホールをレーザで作製(+場合によってはブスバー領域において背面を除去)
5) ドライブインステップによるPOCl3の拡散
6) PSGの除去
7) 前面へのSiNデポジット
8) 背面へのSiNデポジット
【0043】
本発明による、イオン注入を有する新しいPERTプロセスはつぎのとおりである。
1) テクスチャ(+背面平坦化)
2) クリーニング
3) BSF注入(リンまたはホウ素)
4) 背面へのSiO:Hデポジット
5) ドライブインステップによるBBr3またはPOCl3の拡散
6) PSGのエッチング除去
7) 前面へのSiNデポジット
8) 背面へのSiNデポジット
【0044】
POCl3またはBBr3拡散ないしは上記のドライブインステップは同時にホウ素注入の活性化としても作用するため、ここでは2つの高温ステップが節約される。
【0045】
ここで提案したプロセスの流れは制限なしに、選択的な前面拡散を有するセルプロセスの流れにも適用可能である。ここでは上記の背面パッシベーションの品質は、前面拡散の長いドライブインステップによってさらに改善することができる。
【0046】
ここで指摘しておきたいのは、上で説明した本発明のすべてのステップは、単独でも、またあらゆる組み合わせにおいても請求され、殊に図面に示した詳細は、本発明にとって重要なものとして請求されることである。これについての変更は、当業者によく知られている。
【0047】
また本発明の実施は、上で説明した例および強調して説明した様相に限定されることはなく、添付の特許請求の範囲の保護範囲だけによって限定される。
図1
図2