特許第5656142号(P5656142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5656142ジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5656142
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】ジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/6581 20060101AFI20141225BHJP
   C07F 9/6593 20060101ALI20141225BHJP
   C09K 21/12 20060101ALI20141225BHJP
   C08L 87/00 20060101ALI20141225BHJP
   C08K 5/5399 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
   C07F9/6581CSP
   C07F9/6593
   C09K21/12
   C08L87/00
   C08K5/5399
【請求項の数】9
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2009-245462(P2009-245462)
(22)【出願日】2009年10月26日
(65)【公開番号】特開2011-88873(P2011-88873A)
(43)【公開日】2011年5月6日
【審査請求日】2012年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】591286270
【氏名又は名称】株式会社伏見製薬所
(74)【代理人】
【識別番号】100099841
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 恒彦
(72)【発明者】
【氏名】守屋 成真
(72)【発明者】
【氏名】池田 憲明
(72)【発明者】
【氏名】多田 祐二
【審査官】 天野 皓己
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−226796(JP,A)
【文献】 特開2004−043339(JP,A)
【文献】 特開2006−117545(JP,A)
【文献】 特開2006−117546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 9/6581
C07F 9/6593
C08K 5/5399
C08L 87/00
C09K 21/12
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(1)で表されるジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物。
【化1】

(式(1)中、nは3〜8の整数を示し、Aは下記のA1基およびA2基からなる群から選ばれた基を示し、かつ少なくとも一つがA2基である。
A1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
A2基:下記の式(2)で示されるジヒドロベンゾオキサジンオキシ基からなる群から選ばれる基。
【化2】

式(2)中、Rはメチル基、シクロヘキシル基またはフェニル基を示す。E〜Eは、それぞれ独立して少なくとも一つは炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基の群から選ばれる基であり、残りは水素原子を示す。)
【請求項2】
式(1)において、2n個のAのうちの1〜(2n−2)個がA2基である、請求項1に記載のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物。
【請求項3】
式(1)のnが3若しくは4である、請求項1および2のいずれかに記載のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物。
【請求項4】
式(1)のnが異なる二種以上のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物を含む、請求項1から3のいずれかに記載のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物。
【請求項5】
請求項1に記載のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物を製造するための方法であって、
下記の式(3)で表されるヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物と、アルデヒド類および第一級アミン類とを反応させる工程を含む
ジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の製造方法。
【化3】

(式(3)中、nは3〜8の整数を示し、Gは下記のG1基およびG2基からなる群から選ばれた基を示し、かつ少なくとも一つがG2基である。
G1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基で置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
G2基:下記の式(4)で示されるヒドロキシ置換フェニルオキシ基からなる群から選ばれる基。
【化4】

式(4)中、L〜Lは、それぞれ独立して少なくとも一つは炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる基であり、残りは水素原子を示す。)
【請求項6】
樹脂成分と、請求項1から4のいずれかに記載のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有ホスファゼン化合物を含む樹脂組成物。
【請求項7】
前記樹脂成分が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂およびビスマレイミド−シアン酸エステル樹脂からなる群から選ばれたものである、請求項6に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
請求項6または7に記載の樹脂組成物からなる樹脂成形体。
【請求項9】
請求項8に記載の樹脂成形体からなる電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状ホスファゼン化合物およびその製造方法、特に、ジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂は、その加工性、耐薬品性、耐候性、電気的特性および機械的強度等の点で他の材料と比べて優れていることから、産業用および民生用の機器並びに電気製品などの分野において多用され、その使用量が増加している。合成樹脂の中で燃焼し易い性質を有する易燃性合成樹脂は、従来、難燃性が付与されているが、この手法としては、ハロゲン含有化合物やハロゲン含有化合物と酸化アンチモンなどのアンチモン化合物との混合物が一般的な難燃剤として添加されている。ところが、このような難燃剤を配合した樹脂組成物は、燃焼時や成形時等において、環境汚染のおそれがあるハロゲン系ガスを発生する可能性がある。また、ハロゲン系ガスは、電子部品の電気的特性や機械的特性を低下する可能性がある。そこで、最近では、合成樹脂用の難燃剤として、燃焼時や成形時等においてハロゲン系ガスが発生しにくい非ハロゲン系のもの、例えば、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの金属水和物系難燃剤やリン酸エステル系、縮合リン酸エステル系、リン酸アミド系、ポリリン酸アンモニウム系およびホスファゼン系などのリン系難燃剤が多用されるようになっている。
【0003】
このうち、金属水和物系難燃剤は、脱水熱分解の吸熱反応とそれに伴う水の放出が合成樹脂の熱分解や燃焼開始温度と重複した温度領域で起こることで難燃化効果を発揮するが、その効果を高めるためには樹脂組成物に対して多量に配合する必要がある。このため、この種の難燃剤を含む樹脂組成物の成形品は、機械的強度が損なわれるという欠点がある。一方、リン系難燃剤のうち、特許文献1〜5に記載されたようなリン酸エステル系および縮合リン酸エステル系のものは、可塑効果を有するため、難燃性を高めるために樹脂組成物に対して多量に添加すると、樹脂成形品の機械的強度が低下するなどの問題が生じる。また、リン酸エステル系、リン酸アミド系およびポリリン酸アンモニウム系のものは、容易に加水分解することから、機械的および電気的な長期信頼性が要求される樹脂成形品の製造用材料においては実質的に使用が困難である。
【0004】
【特許文献1】特開2001−270891号公報
【特許文献2】特開2002−179887号公報
【特許文献3】特開2006−188649号公報
【特許文献4】特開2007−184558号公報
【特許文献5】特開2009−120667号公報
【0005】
これらに対し、特許文献6〜10に記載されたホスファゼン系の難燃剤は、他のリン系難燃剤に比べて可塑効果および加水分解性が小さく、樹脂組成物に対する添加量を大きくすることができるため、合成樹脂用の有効な難燃剤として多用されつつあるが、樹脂組成物に対する添加量を増やすと、高温下における樹脂成形品の信頼性を損なう可能性がある。具体的には、熱可塑性樹脂系の樹脂組成物の場合は、高温下においてその樹脂成形体からホスファゼン系の難燃剤がブリードアウト(溶出)し易く、また、熱硬化性樹脂系の樹脂組成物の場合は、高温下においてその樹脂成形品にフクレ等の変形が発生し、当該樹脂成形品が積層基板等の電気・電子分野において用いられる場合は変形によるショートを引き起こす可能性がある。
【0006】
【特許文献6】特開2000−103939号公報
【特許文献7】特開2004−83671号公報
【特許文献8】特開2004−210849号公報
【特許文献9】特開2005−248134号公報
【特許文献10】特開2007−45916号公報
【0007】
そこで、ホスファゼン系の難燃剤は、高温下での樹脂成形品の信頼性(高温信頼性)を高めるための改良が検討されており、その例として特許文献11にはジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物およびそれを用いた重合体が開示されている。この種のホスファゼン系難燃剤は、ジヒドロベンゾオキサジンオキシ基が重合性を有するため、それ自体を単独で熱硬化製樹脂として使用することができ、また、樹脂形成用の単量体成分の一部として用いることもできる。そして、このホスファゼン系化合物の重合体、およびこのホスファゼン系化合物を単量体の一部として使用した重合体は、その成形体の高温信頼性が良好であり、しかも、ホスファゼン化合物による難燃性を有するため、電気、電子部品用等の製品の樹脂材料としての利用が期待されている。しかし、この種の重合物からなる樹脂成形体は、本質的効果として求められる難燃性の点で不十分であり、また、機械的特性(特に、高いガラス転移温度)においても不十分である。
【0008】
【特許文献11】特開2004−4339号公報
【0009】
本発明の目的は、樹脂成形体の機械的特性を損なわずにその難燃性を効果的に高めることができ、しかも樹脂成形体での高温信頼性を損ないにくいホスファゼン化合物を実現することにある。また、本発明で得られる難燃性樹脂成形体は、樹脂の持つ本来の特性を低下させず、その難燃性を効果的に高めることができ、しかも樹脂成形体の高温信頼性および電気(誘電)特性を損ないにくいことから、自動車部品、電気部品、接着剤、塗料、各種フィルム、OA機器、電子部品およびシール材等に有用である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上述の課題を解決すべく研究を重ねた結果、ジヒドロベンゾオキサジンオキシ基を有する新規なホスファゼン化合物を含む樹脂組成物からなる成形体が、優れた機械的特性および難燃性を示し、同時に高温下での信頼性が高く、電気(誘電)特性に優れていることを見出した。
【0011】
本発明のホスファゼン化合物は、下記の式(1)で表されるジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物である。
【0012】
【化1】
【0013】
式(1)中、nは3〜8の整数を示す。また、Aは、下記のA1基およびA2基からなる群から選ばれた基を示し、かつ少なくとも一つがA2基である。
A1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
A2基:下記の式(2)で示されるジヒドロベンゾオキサジンオキシ基からなる群から選ばれる基。
【0014】
【化2】
式(2)中、Rはメチル基、シクロヘキシル基またはフェニル基を示す。E〜Eは、それぞれ独立して、少なくとも一つは炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる基であり、残りは水素原子を示す。
【0015】
このジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物は、例えば、式(1)において、2n個のAのうちの1〜(2n−2)個がA2基である。また、ジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物は、例えば、式(1)のnが3若しくは4である。さらに、このジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物は、例えば、式(1)のnが異なる二種以上の反応性基含有環状ホスファゼン化合物を含んでいる。
【0016】
本発明に係るジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の製造方法は、本発明のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物を製造するための方法であり、次の工程を含んでいる。
【0017】
下記の式(3)で表されるヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物とアルデヒド類および第一級アミン類とを反応させる工程。
【0018】
【化3】
【0019】
式(3)中、nは3〜8の整数を示し、Gは下記のG1基およびG2基からなる群から選ばれた基を示し、かつ少なくとも一つがG2基である。
G1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
G2基:下記の式(4)で示されるヒドロキシ基置換フェニルオキシ基からなる群から選ばれる基。
【0020】
【化4】
【0021】
式(4)中、L〜Lは、それぞれ独立して、少なくとも一つは炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる基であり、残りは水素原子を示す。
【0022】
本発明の樹脂組成物は、樹脂成分と、本発明のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物とを含んでいる。樹脂成分は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂およびビスマレイミド−シアン酸エステル樹脂からなる群から選ばれたものである。
【0023】
本発明の樹脂成形体は、本発明の樹脂組成物からなるものである。
【0024】
本発明の電子部品は、本発明の樹脂成形体からなるものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物は、上述のような特定の構造を有するものであるため、樹脂成形体の機械的特性を損なわずにその難燃性を効果的に高めることができ、しかも樹脂成形体の高温信頼性および電気(誘電)特性を損ないにくい。
【0026】
本発明に係るジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の製造方法は、上述のような工程を含むものであるため、本発明に係る上述のような特定の構造を有するジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物を製造することができる。
【0027】
本発明の樹脂組成物は、本発明のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物を難燃剤として含むため、実用的な機械的特性および難燃性を示し、しかも高温信頼性が高く電気(誘電)特性が優れた樹脂成形体を得ることができる。
【0028】
本発明の樹脂成形体および電子部品は、本発明の樹脂組成物からなるため、実用的な機械的特性および難燃性を示し、しかも高温信頼性が高く電気(誘電)特性が優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
ジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物
本発明のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物は、下記の式(1)で表されるものである。
【0030】
【化5】
【0031】
式(1)において、nは、3から8の整数を示しているが、3から6の整数が好ましく、3若しくは4が特に好ましい。すなわち、このジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物として特に好ましいものは、nが3のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有シクロトリホスファゼン(3量体)およびnが4のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有シクロテトラホスファゼン(4量体)である。また、本発明のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物は、nが異なる二種以上のものの混合物であってもよい。
【0032】
また、式(1)において、Aは、下記のA1基およびA2基からなる群から選ばれた基を示している。但し、Aのうちの少なくとも一つはA2基である。
【0033】
[A1基]
炭素数が6〜20のアリールオキシ基。このアリールオキシ基は、炭素数が1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基置換されていてもよい。このようなアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、エチルメチルフェノキシ基、ジエチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、イソプロピルメチルフェノキシ基、イソプロピルエチルフェノキシ基、ジイソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ペンチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、エテニルフェノキシ基、1−プロペニルフェノキシ基、2−プロペニルフェノキシ基、イソプロペニルフェノキシ基、1−ブテニルフェノキシ基、sec−ブテニルフェノキシ基、1−ペンテニルフェノキシ基、1−ヘキセニルフェノキシ基、フェニルフェノキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基およびフェナントリルオキシ基等を挙げることができる。このうち、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ジエチルフェノキシ基、2−プロペニルフェノキシ基、フェニルフェノキシ基およびナフチルオキシ基が好ましく、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基およびナフチルオキシ基が特に好ましい。
【0034】
[A2基]
下記の式(2)で示されるジヒドロベンゾオキサジンオキシ基からなる群から選ばれる基。
【0035】
【化6】
式(2)中、Rはメチル基、シクロヘキシル基またはフェニル基を示す。E〜Eは、それぞれ独立して、少なくとも一つは炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる基であり、残りは水素原子を示す。
【0036】
式(2)で示される置換ジヒドロベンゾオキサジンオキシ基としては、具体的には、5−(ジヒドロ−6−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−7−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−8−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−5−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−7−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−8−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−5−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−6−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−8−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−5−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−6−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−7−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−6−エチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−7−エチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−8−エチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−5−エチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−7−エチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−8−エチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−5−エチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−6−エチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−8−エチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−5−エチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−6−エチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−7−エチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−6−アリル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−7−アリル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−8−アリル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−5−アリル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−7−アリル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−8−アリル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−5−アリル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−6−アリル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−8−アリル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−5−アリル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−6−アリル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−7−アリル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−3,6−ジフェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−3,7−ジフェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−3,8−ジフェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−3,5−ジフェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−3,7−ジフェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−3,8−ジフェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−3,5−ジフェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−3,6−ジフェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−3,8−ジフェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−3,5−ジフェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−3,6−ジフェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−3,7−ジフェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−6,7−ジメチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−6,8−ジメチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−7,8−ジメチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−5,7−ジメチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−5,8−ジメチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−7,8−ジメチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−5,6−ジメチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−5,8−ジメチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−6,8−ジメチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−5,6−ジメチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−5,7−ジメチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−6,8−ジメチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−6,7,8−トリメチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−5,7,8−トリメチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7―(ジヒドロ−5,6,8−トリメチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8―(ジヒドロ−5,6,7−トリメチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−6−メチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−7−メチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−8−メチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−5−メチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−7−メチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−8−メチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−5−メチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−6−メチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−8−メチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−5−メチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−6−メチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−7−メチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−6−エチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−7−エチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−8−エチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−5−エチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−7−エチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−8−エチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−5−エチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−6−エチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−8−エチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−5−エチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−6−エチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−7−エチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−6−アリル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−7−アリル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−8−アリル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−5−アリル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−7−アリル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−8−アリル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−5−アリル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−6−アリル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−8−アリル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−5−アリル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−6−アリル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−7−アリル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−6−フェニル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−7−フェニル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−8−フェニル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、
6−(ジヒドロ−5−フェニル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−7−フェニル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−8−フェニル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−5−フェニル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−6−フェニル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−8−フェニル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−5−フェニル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−6−フェニル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−7−フェニル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−6,7−ジメチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−6,8−ジメチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−7,8−ジメチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−5,7−ジメチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−5,8−ジメチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−7,8−ジメチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−5,6−ジメチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−5,8−ジメチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−6,8−ジメチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−5,6−ジメチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−5,7−ジメチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−6,8−ジメチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−6,7,8−トリメチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−5,7,8−トリメチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7―(ジヒドロ−5,6,8−トリメチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8―(ジヒドロ−5,6,7−トリメチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−3,6−ジメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−3,7−ジメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−3,8−ジメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−3,5−ジメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−3,7−ジメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−3,8−ジメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−3,5−ジメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−3,6−ジメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−3,8−ジメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−3,5−ジメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−3,6−ジメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−3,7−ジメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−6−エチル−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−7−エチル−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−8−エチル−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−5−エチル−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−7−エチル−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−8−エチル−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−5−エチル−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−6−エチル−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−8−エチル−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−5−エチル−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−6−エチル−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−7−エチル−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−6−アリル−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−7−アリル−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−8−アリル−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−5−アリル−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−7−アリル−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−8−アリル−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−5−アリル−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−6−アリル−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−8−アリル−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−5−アリル−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−6−アリル−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−7−アリル−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−3−メチル−6−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−3−メチル−7−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−3−メチル−8−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−3−メチル−5−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−3−メチル−7−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−3−メチル−8−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−3−メチル−5−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−3−メチル−6−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−3−メチル−8−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−3−メチル−5−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−3−メチル−6−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−3−メチル−7−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−3,6,7−トリメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−3,6,8−トリメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−3,5,7−トリメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−3,5,8−トリメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−3,5,6−トリメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−3,5,8−トリメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−3,5,6−トリメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、8−(ジヒドロ−3,5,7−トリメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−3,6,7,8−テトラメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−3,5,7,8−テトラメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−3,5,6,8−テトラメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基および8−(ジヒドロ−3,5,6,7−テトラメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基である。
【0037】
上述のA2基として好ましいものは、5−(ジヒドロ−7−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−8−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−5−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−7−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−8−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−5−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−6−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−8−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−7−メチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−8−メチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−5−メチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−7−メチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−8−メチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−5−メチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−6−メチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−8−メチル−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−3,7−ジメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、5−(ジヒドロ−3,8−ジメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−3,5−ジメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−3,7−ジメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−3,8−ジメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−3,5−ジメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、7−(ジヒドロ−3,6−ジメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基および7−(ジヒドロ−3,8−ジメチル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基である。
【0038】
このうち、6−(ジヒドロ−5−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−7−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基および6−(ジヒドロ−8−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基が特に好ましい。
【0039】
式(1)において、Aは、2n個含まれており、このうちの少なくとも一つがA2基である。したがって、式(1)で表される本発明のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物は、次の形態に大別することができる。
【0040】
[形態A]
2n個の全てのAがA2基のものである。この場合、Aは、全てが同じA2基であってもよいし、二種以上のA2基であってもよい。
【0041】
このような形態のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の具体例としては、式(1)のnが3であるジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有シクロトリホスファゼン化合物、式(1)のnが4であるジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有シクロテトラホスファゼン化合物、式(1)のnが5であるジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有シクロペンタホスファゼン化合物および式(1)のnが6であるジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有シクロヘキサホスファゼン化合物であって、Aの全てが、6−(ジヒドロ−5−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基、6−(ジヒドロ−7−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基および6−(ジヒドロ−8−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基からなるA2基群から選ばれた一種のA2基であるものおよびAの全てが当該A2基群から選ばれた二種以上のA2基であるもの、並びにこれらの任意の混合物を挙げることができる。
【0042】
[形態B]
2n個のAのうちの一部(すなわち、少なくとも一つ)がA2基であり、他のAがA1基のものである。この場合、A2基以外の他のAは、全てが同じA1基であってもよいし、二種以上のA1基が混在した状態であってもよい。
【0043】
このような形態のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の具体例としては、式(1)のnが3であるジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有シクロトリホスファゼン化合物、式(1)のnが4であるジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有シクロテトラホスファゼン化合物、式(1)のnが5であるジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有シクロペンタホスファゼン化合物若しくは式(1)のnが6であるジヒドロベンゾオキサジンオキシ含有シクロヘキサホスファゼン化合物であって、Aが、A2基である6−(ジヒドロ−5−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基とA1基であるフェノキシ基との組合せのもの、A2基である6−(ジヒドロ−5−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基とA1基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A2基である6−(ジヒドロ−7−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基とA1基であるフェノキシ基との組合せのもの、A2基である6−(ジヒドロ−7−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基とA1基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A2基である6−(ジヒドロ−8−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基とA1基であるフェノキシ基との組合せのものおよびA2基である6−(ジヒドロ−8−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基とA1基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの並びにこれらの任意の混合物が好ましい。
【0044】
特に、式(1)のnが3であるジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有シクロトリホスファゼン化合物若しくは式(1)のnが4であるジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有シクロテトラホスファゼン化合物であって、Aが、A2基である6−(ジヒドロ−5−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基とA1基であるフェノキシ基との組合せのもの、A2基である6−(ジヒドロ−5−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基とA1基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A2基である6−(ジヒドロ−7−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基とA1基であるフェノキシ基との組合せのもの、A2基である6−(ジヒドロ−7−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基とA1基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A2基である6−(ジヒドロ−8−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基とA1基であるフェノキシ基との組合せのもの、若しくはA2基である6−(ジヒドロ−8−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)オキシ基とA1基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの並びにこれらの任意の混合物が好ましい。
【0045】
この形態のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物として好ましいものは、2n個のAのうちの1個〜(2n−2)個がA2基のものである。特に、式(1)のnが3であるジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有シクロトリホスファゼン化合物、式(1)のnが4であるジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有シクロテトラホスファゼン化合物、式(1)のnが5であるジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有シクロペンタホスファゼン化合物および式(1)のnが6であるジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有シクロヘキサホスファゼン化合物であって、2n個のAのうちの1個〜(2n−2)個がA2基のもの並びにこれらの任意の混合物である。この種のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物は、本発明の他のジヒドロオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物に比べ、高温信頼性および機械的強度(特に、ガラス転移温度)がより優れた樹脂成形体を実現可能な点において有利である。
【0046】
なお、2n個のAのうちの1個〜(2n−2)個がA2基であるか否かは、ジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物若しくはその製造過程における中間体のTOF−MS分析により確認することができる。
【0047】
ジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の製造方法
本発明のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物は、前駆体であるヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有ホスファゼン化合物とアルデヒド類および第一級アミン類とを付加・反応して製造することができる。
【0048】
この製造において用いられる前駆体であるヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有ホスファゼン化合物は、例えば、下記の式(3)で表される。
【化7】
【0049】
式(3)において、nは、3から8の整数を示しているが、3から6の整数が好ましく、3若しくは4が特に好ましい。すなわち、ヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物として特に好ましいものは、nが3のヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有シクロトリホスファゼン(3量体)およびnが4のヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有シクロテトラホスファゼン(4量体)である。ヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有ホスファゼン化合物は、nが異なる二種類のものの混合物であってもよい。
【0050】
また、式(3)において、Gは、下記のG1基およびG2基からなる群から選ばれた基であり、Gのうち少なくとも一つはG2基である。
【0051】
[G1基]
炭素数が6〜20のアリールオキシ基。このアリールオキシ基は、炭素数が1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基置換されていてもよい。
このようなアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、エチルメチルフェノキシ基、ジエチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、イソプロピルメチルフェノキシ基、イソプロピルエチルフェノキシ基、ジイソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ペンチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、エテニルフェノキシ基、1−プロペニルフェノキシ基、2−プロペニルフェノキシ基、イソプロペニルフェノキシ基、1−ブテニルフェノキシ基、sec−ブテニルフェノキシ基、1−ペンテニルフェノキシ基、1−ヘキセニルフェノキシ基、フェニルフェノキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基およびフェナントリルオキシ基等を挙げることができる。このうち、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ジエチルフェノキシ基、2−プロペニルフェノキシ基、フェニルフェノキシ基およびナフチルオキシ基が好ましく、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基およびナフチルオキシ基が特に好ましい。
【0052】
[G2基]
下記の式(4)で示されるヒドロキシ基置換フェニルオキシ基からなる群から選ばれる基。
【化8】
式(4)中、L〜Lは、それぞれ独立して、少なくとも一つは炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる基であり、残りは水素原子を示す。
【0053】
式(4)で示されるヒドロキシ基置換フェニルオキシ基としては、具体的には、2−ヒドロキシ−4−メチルフェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−5−メチルフェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−6−メチルフェニルオキシ基、2−メチル−3−ヒドロキシフェニルオキシ基、4−メチル−3−ヒドロキシフェニルオキシ基、5−メチル−3−ヒドロキシフェニルオキシ基、6−メチル−3−ヒドロキシフェニルオキシ基、2−メチル−4−ヒドロキシフェニルオキシ基、3−メチル−4−ヒドロキシフェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−4−エチルフェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−5−エチルフェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−6−エチルフェニルオキシ基、2−エチル−3−ヒドロキシフェニルオキシ基、4−エチル−3−ヒドロキシフェニルオキシ基、5−エチル−3−ヒドロキシフェニルオキシ基、6−エチル−3−ヒドロキシフェニルオキシ基、2−エチル−4−ヒドロキシフェニルオキシ基、3−エチル−4−ヒドロキシフェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−4−アリルフェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−5−アリルフェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−6−アリルフェニルオキシ基、2−アリル−3−ヒドロキシフェニルオキシ基、4−アリル−3−ヒドロキシフェニルオキシ基、5−アリル−3−ヒドロキシフェニルオキシ基、6−アリル−3−ヒドロキシフェニルオキシ基、2−アリル−4−ヒドロキシフェニルオキシ基、3−アリル−4−ヒドロキシフェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−4−フェニルフェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−5−フェニルフェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−6−フェニルフェニルオキシ基、2−フェニル−3−ヒドロキシフェニルオキシ基、4−フェニル−3−ヒドロキシフェニルオキシ基、5−フェニル−3−ヒドロキシフェニルオキシ基、6−フェニル−3−ヒドロキシフェニルオキシ基、2−フェニル−4−ヒドロキシフェニルオキシ基、3−フェニル−4−ヒドロキシフェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−4,5−ジメチルフェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−4,6−ジメチルフェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−5,6−ジメチルフェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルフェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−4,5−ジメチルフェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−4,6−ジメチルフェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−5,6−ジメチルフェニルオキシ基、4−ヒドロキシ−2,3−ジメチルフェニルオキシ基、4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニルオキシ基、4−ヒドロキシ−2,6−ジメチルフェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−4,5,6−トリメチルフェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−4,5,6−トリメチルフェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−2,5,6−トリメチルフェニルオキシ基および4−ヒドロキシ−2,3,6−トリメチルフェニルオキシ基等を挙げることができる。
【0054】
このうち、2−メチル−3−ヒドロキシフェニルオキシ基、4−メチル−3−ヒドロキシフェニルオキシ基、5−メチル−3−ヒドロキシフェニルオキシ基、6−メチル−3−ヒドロキシフェニルオキシ基、2−メチル−4−ヒドロキシフェニルオキシ基および3−メチル−4−ヒドロキシフェニルオキシ基が好ましく、2−メチル−4−ヒドロキシフェニルオキシ基および3−メチル−4−ヒドロキシフェニルオキシ基が特に好ましい。
【0055】
このようなヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の製造方法その他は、各種の文献、例えば、下記のような非特許文献および特許文献に記載されている。
【非特許文献1】PHOSPHORUS−NITROGEN COMPOUNDS、H.R.ALLCOCK著、1972年刊、ACADEMIC PRESS社
【非特許文献2】PHOSPHAZENES、A WORLDWIDE INSIGHT、M.GLERIA、R.DE JAGER著、2004年刊、NOVA SCIENCE PUBLISHERS INC.社
【0056】
ヒドロキシ基置換フェニルオキシ基からジヒドロベンゾオキサジンオキシ基への変換は、公知の方法を用いることができる。例えば、第一級アミン化合物とホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドを有機溶媒中、0〜20℃程度の温度で0.1〜1.5時間反応させた後、ヒドロキシ基置換フェニルオキシ含有ホスファゼン化合物を添加して30℃以上、好ましくは還流条件下で1〜10時間反応することで得られる。有機溶媒としては、通常、エタノール等のアルコール類、1,4−ジオキサンおよびテトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類、エチレングリコールおよびジエチレングリコール等のグリコール類またはこれらの混合溶媒等が用いられる。
【0057】
本発明で用いられる第一級アミン類は、例えば、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、メチルアミンおよびシクロヘキシルアミン等のモノアミン、p−フェニレンジアミン等のジアミン、トリアミノナフタレンおよびトリアミノアントラセン等のトリアミンを挙げることができる。このうち、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジンおよびメチルアミンが好ましく、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジンおよびp−トルイジンが特に好ましい。
【0058】
このようなヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物とホルムアルデヒドおよび第一級アミン類との反応により得られる、目的とするジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物は、濾過、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィーおよび再結晶等の通常の方法によって、反応系から単離精製することができる。
【0059】
樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、本発明のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物からなる難燃剤と樹脂成分とを含むものである。本発明のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物からなる難燃剤は、一種類のものが用いられてもよいし、二種以上のものが併用されてもよい。また、樹脂成分としては、各種の熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂を使用することができる。これらの樹脂成分は、天然のものであってもよいし、合成のものであってもよい。
【0060】
ここで利用可能な熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、スチレン樹脂、耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン樹脂(MBS樹脂)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(MABS樹脂)、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂(AAS樹脂)、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル、脂肪族系ポリアミド、芳香族系ポリアミド、ポリ乳酸、(ポリ乳酸/ポリブチレンサクシネート系)ブロックコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリ(カプロラクトン/ブチレンサクシネート)、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)、ポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)、ポリ(テトラメチレンアジペート/テレフタレート)、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリチオエーテルスルホン、ポリエーテルスルホン並びに液晶ポリマー等を挙げることができる。変性ポリフェニレンエーテルとしては、ポリフェニレンエーテルの一部または全部に、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、水酸基、無水ジカルボキシル基などの反応性官能基をグラフト反応や共重合など何らかの方法で導入したものが用いられる。なお、本発明の樹脂組成物を電子機器用途、特に、OA機器、AV機器、通信機器および家電製品用の筐体や部品用の材料として用いる場合は、熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル若しくはポリアミド等を用いるのが好ましい。
【0061】
一方、ここで利用可能な熱硬化性樹脂の具体例としては、ポリウレタン、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコン樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂、マレイミド−シアン酸エステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリベンズイミダゾール、ポリカルボジイミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドおよびポリエステルイミド等のポリイミド系樹脂並びにエポキシ樹脂等を挙げることができる。また、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリカルボジイミド、マレイミド樹脂、マレイミド−シアン酸エステル樹脂等のポリイミド系樹脂は、その取り扱い加工性および接着性を向上するために、熱可塑性や溶媒可溶性が付与されたものであってもよい。なお、本発明の樹脂組成物を電子部品用途、特に、各種IC素子の封止材、配線板の基板材料、層間絶縁材料や絶縁性接着材料等の絶縁材料、導電材料および表面保護材料として用いる場合は、熱硬化性樹脂として、ポリウレタン、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂、ビスマレイミド−シアン酸エステル樹脂、ポリイミド系樹脂若しくはエポキシ樹脂等を用いるのが好ましい。
【0062】
上述の各種樹脂成分は、それぞれ単独で用いられてもよいし、必要に応じて二種以上のものが併用されてもよい。
【0063】
本発明の樹脂組成物において、ジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物からなる難燃剤の使用量は、樹脂成分の種類、樹脂組成物の用途等の各種条件に応じて適宜設定することができるが、通常、固形分換算での樹脂成分100重量部に対して0.1〜200重量部に設定するのが好ましく、0.5〜100重量部に設定するのがより好ましく、1〜50重量部に設定するのがさらに好ましい。ジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物からなる難燃剤の使用量が0.1重量部未満の場合は、当該樹脂組成物からなる樹脂成形体が十分な難燃性を示さないおそれがある。逆に、200重量部を超えると、樹脂成分本来の特性を損ない、当該特性による樹脂成形体が得られなくなるおそれがある。
【0064】
また、本発明の樹脂組成物は、樹脂成分の種類や樹脂組成物の用途等に応じ、その目的とする物性を損なわない範囲で、各種の添加剤を配合することができる。利用可能な添加剤としては、例えば、天然シリカ、焼成シリカ、合成シリカ、アモルファスシリカ、ホワイトカーボン、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛、天然マイカ、合成マイカ、アエロジル、カオリン、焼成カオリン、クレー、焼成クレー、タルク、焼成タルク、ウオラストナイト、ガラス短繊維、ガラス粉末、中空ガラスおよびチタン酸カリウム繊維等の無機充填剤、アラミド繊維またはポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール繊維等の有機繊維、シランカップリング剤などの充填材の表面処理剤、ワックス類、脂肪酸およびその金属塩、酸アミド類およびパラフィン等の離型剤、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、リン酸アミド、リン酸アミドエステル、ホスフィネート系難燃剤、リン酸アンモニウム、赤リン、塩素化パラフィン、メラミン、メラミンシアヌレート、メラム、メレム、メロンおよびサクシノグアナミン等の窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤並びに臭素系難燃剤等の難燃剤、三酸化アンチモン等の難燃助剤、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のドリッピング防止剤、ベンゾトリアゾールなどの紫外線吸収剤、ヒンダートフェノール、スチレン化フェノールなどの酸化防止剤、チオキサントン系などの光重合開始剤、スチルベン誘導体などの蛍光増白剤、硬化剤、染料、顔料、着色剤、光安定剤、光増感剤、増粘剤、滑剤、消泡剤、レベリング剤、光沢剤、重合禁止剤、チクソ性付与剤、可塑剤並びに帯電防止剤等を挙げることができる。
【0065】
さらに、本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、熱硬化性の硬化剤や硬化促進剤を配合することができる。ここで用いられる硬化剤や硬化促進剤は、一般に使用されるものであれば、特に限定されるものではないが、通常、アミン化合物、フェノール化合物、酸無水物、イミダゾール類および有機金属塩などである。これらは、二種以上を併用することもできる。
【0066】
本発明の樹脂組成物を電気・電子分野用の材料、具体的には、LSI等の電子部品の封止剤や基板等に用いる場合、樹脂成分としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂およびビスマレイミド−シアン酸エステル樹脂を選択するのが好ましい。
【0067】
本発明の樹脂組成物において利用可能なエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であれば、特に限定されるものではない。その具体例としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール−Aノボラック型エポキシ樹脂およびナフトールノボラック型エポキシ樹脂等のフェノール類とアルデヒド類との反応により得られるノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール−A型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール−A型エポキシ樹脂、ビスフェノール−F型エポキシ樹脂、ビスフェノール−AD型エポキシ樹脂、ビスフェノール−S型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、シクロペンタジェン型エポキシ樹脂、アルキル置換ビフェノール型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン等のフェノール類とエピクロルヒドリンとの反応により得られるフェノール型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン、オリゴプロピレングリコールおよび水添ビスフェノール−A等のアルコール類とエピクロルヒドリンとの反応により得られる脂肪族エポキシ樹脂、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸若しくはフタル酸とエピクロルヒドリン若しくは2−メチルエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエステル系エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンやアミノフェノール等のアミンとエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルアミン系エポキシ樹脂、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンとの反応により得られる複素環式エポキシ樹脂、グリシジル基を有するホスファゼン化合物、エポキシ変性ホスファゼン樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂並びにウレタン変性エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール−A型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂およびトリス(ヒドロキシフェニル)メタンとエピクロルヒドリンとの反応により得られるフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。これらのエポキシ樹脂は、それぞれ単独で使用してもよいし、二種以上のものが併用されてもよい。
【0068】
樹脂成分として上述のエポキシ樹脂を用いる場合(以下、このような樹脂組成物を「エポキシ樹脂組成物」という場合がある)、本発明のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物は、エポキシ基との反応によって、エポキシ樹脂の硬化剤として機能し得る。また、エポキシ樹脂組成物は、本発明のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物と共に、他の硬化剤を併せて含んでいてもよい。エポキシ樹脂組成物が、硬化剤として本発明のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物と他の硬化剤とを併用している場合、硬化剤の合計量(すなわち、本発明のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物と他の硬化剤との合計量)に占める本発明のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の割合は、0.1〜99重量部が好ましく、0.5〜90重量部がより好ましい。ジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の割合が0.1重量部未満の場合は、当該樹脂組成物からなる樹脂成形体が十分な難燃性を示さないおそれがある。ジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の割合が99重量部より多い場合は、当該樹脂成形体の物性に影響を及ぼすおそれがあり、また、不経済である。
【0069】
エポキシ樹脂組成物において、硬化剤(すなわち、本発明のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物または本発明のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物と上述の他の硬化剤との併用物)の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5〜1.5当量になるよう設定するのが好ましく、0.6〜1.2当量になるよう設定するのがより好ましい。
【0070】
硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤を含んでいてもよい。利用可能な硬化促進剤は、公知の種々のものであり、特に限定されるものではないが、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾールおよび2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第三級アミン系化合物並びにトリフェニルホスフィン化合物等を挙げることができる。硬化促進剤を用いる場合、その使用量は、エポキシ樹脂100重量部に対して0.01〜15重量部に設定するのが好ましく、0.1〜10重量部に設定するのがより好ましい。
【0071】
エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて公知の反応性希釈剤や添加剤が配合されていてもよい。利用可能な反応性希釈剤は、特に限定されるものではないが、例えば、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルおよびアリルグリシジルエーテル等の脂肪族アルキルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレートおよび第三級カルボン酸グリシジルエステル等のアルキルグリシジルエステル、スチレンオキサイドおよびフェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、p−s−ブチルフェニルグリシジルエーテルおよびノニルフェニルグリシジルエーテル等の芳香族アルキルグリシジルエーテル等を挙げることができる。これらの反応性希釈剤は、それぞれ単独で用いられてもよいし、二種以上が併用されてもよい。一方、添加剤としては、既述のようなものを用いることができる。
【0072】
上述のエポキシ樹脂組成物等の本発明の樹脂組成物は、各成分を均一に混合することにより得られる。この樹脂組成物は、樹脂成分に応じて100〜250℃程度の温度範囲で1〜36時間加熱すると、充分な硬化反応が進行し、硬化物を形成する。例えば、エポキシ樹脂組成物は、通常、150〜250℃の温度で2〜15時間加熱すると、充分な硬化反応が進行し、硬化物を形成する。このような硬化過程において、本発明のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物からなる難燃剤は、樹脂成分と反応、架橋することから、硬化物中において安定に保持され、当該硬化物の高温信頼性を損ないにくい。また、本発明のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物からなる難燃剤は、ジヒドロベンゾオキサジン環にアルキル基またはアリール基が導入されているため、これまでのものと比較してより高い機械的特性を有している。また、本発明のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物からなる難燃剤を用いることによって硬化物の機械的特性(特に、ガラス転移温度)を損なわずに、その難燃性を高めることができる。このため、本発明の樹脂組成物は、各種の樹脂成形体の製造用材料、塗料用、接着剤用およびその他の用途用として、広く用いることができる。
【0073】
本発明の樹脂組成物は、特に、本発明の樹脂組成物は、半導体封止用や回路基板(特に、金属張り積層板、プリント配線板用基板、プリント配線板用接着剤、プリント配線板用接着剤シート、プリント配線板用絶縁性回路保護膜、プリント配線板用導電ペースト、多層プリント配線板用封止剤、回路保護剤、カバーレイフィルム、カバーインク)形成用等の電気・電子部品の製造用材料として好適である。
【実施例】
【0074】
以下に実施例等を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下において、「unit mol」の「unit」は、環状ホスファゼン化合物の最小構成単位、例えば、一般式(1)については(PNA)を意味し、一般式(3)については(PNG)を意味する。一般式(3)において、Gが塩素原子の場合、その1unit molは115.87gである。また、以下においては、特に断りがない限り、「%」および「部」とあるのは、それぞれ「重量%」および「重量部」を意味する。
【0075】
実施例および合成例等で得られたホスファゼン化合物は、H−NMRスペクトルおよび31P−NMRスペクトルの測定、CHN元素分析、IRスペクトルの測定、アルカリ溶融後の硝酸銀を用いた電位差滴定法による塩素元素(残留塩素)の分析、マイクロウエーブ湿式分解後のICP−AESによるリン元素の分析並びにTOF−MS分析の結果に基づいて同定した。また、水酸基当量は、JIS K0070−1992「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価および不けん化物の試験方法」において規定された水酸基価測定方法の中和滴定法に従い測定し、水酸基価mgKOH/gの値を水酸基当量g/eq.に変換した。
【0076】
合成例1(形態Aに係るヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
温度計、撹拌機、冷却管および滴下ロートを備えた5リットルの4つ口フラスコに、窒素気流下、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン(173.8g、1.50unit mol)を仕込み、トルエン(2,000mL)を加えて溶解した。これにナトリウム 3−メチル−4−メトキシフェノキシド(608.6g、3.8mol)のTHF(700mL)溶液を5時間で滴下した後、110℃にて10時間還流した。反応混合物を室温に冷却後、5%水酸化ナトリウム水溶液にて2回洗浄後、希硝酸にて中和し、さらに水洗した。トルエン層を減圧濃縮し、濃縮残渣にピリジン塩酸塩(450.6g、3.9mol)を加えて内温200℃にて加熱撹拌した。H−NMR測定にて原料物質の消失を確認後、冷却し、メチルイソブチルケトン(MIBK、1,000mL)を加えて希釈した。MIBK層を5%塩酸水溶液(500mL)、次に1%塩酸水溶液(500mL)で洗浄後、1%水酸化ナトリウム水溶液にて中和し、さらに水洗した。MIBK層を減圧濃縮し、褐色ガラス状固体の生成物337.4g(収率90.0%)を得た。この生成物の分析値は以下の通りであった。
【0077】
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
2.1(3H), 6.7(3H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 10.3
◎CHNP元素分析:
理論値 C:57.7%,H:4.9%,N:4.8%,P:10.6%
実測値 C:57.6%,H:4.9%,N:4.8%,P:10.6%
◎TOF−MS(m/z):
874
◎残存塩素分析:
<0.01%
◎水酸基当量:
146g/eq.
【0078】
以上の分析結果から、この生成物は[N(OC(CH)OH)]のヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
【0079】
合成例2(形態Bに係るヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
温度計、撹拌機、冷却管および滴下ロートを備えた5リットルの4つ口フラスコに、窒素気流下、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン(173.8g、1.50unit mol)を仕込み、トルエン(2,000mL)を加えて溶解した。これにナトリウム 3−メチル−4−メトキシフェノキシド(161.8g、1.01mol)のTHF(450mL)溶液を5時間で滴下した後、25℃にて24時間撹拌した。この反応液を予め調製したナトリウムフェノキシド(336.7g、2.90mol)のトルエン(1,250g)懸濁液に投入後、110℃にて10時間還流した。反応混合物を室温に冷却後、5%水酸化ナトリウム水溶液にて2回洗浄後、希硝酸にて中和し、さらに水洗した。トルエン層を減圧濃縮し、濃縮残渣にピリジン塩酸塩(233.4g、2.02mol)を加えて内温200℃にて加熱撹拌した。H−NMR測定にて原料物質の消失を確認後、冷却し、メチルイソブチルケトン(MIBK、1,000mL)を加えて希釈した。MIBK層を5%塩酸水溶液(500mL)、次に1%塩酸水溶液(500mL)で洗浄後、1%水酸化ナトリウム水溶液にて中和し、さらに水洗した。MIBK層を減圧濃縮し、褐色油状の生成物337.4g(収率89.3%)を得た。この生成物の分析値は以下の通りであった。
【0080】
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
2.1(6H), 6.5〜7.3(26H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.1〜10.3
◎CHNP元素分析:
理論値 C:60.6%,H:4.6%,N:5.6%,P:12.3%
実測値 C:60.5%,H:4.6%,N:5.6%,P:12.3%
◎TOF−MS(m/z):
724,754,784
◎残存塩素分析:
<0.01%
◎水酸基当量:
365g/eq.
【0081】
以上の分析結果から、この生成物は[N(OC(CH)OH)(OC]、[N(OC(CH)OH)(OC]、[N(OC(CH)OH)(OC]の混合物であり、その平均組成が[N(OC(CH)OH)2.1(OC3.9]のヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
【0082】
合成例3(形態Bに係るヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
ナトリウム 3−メチル−4−メトキシフェノキシドの代わりにナトリウム 2−メチル−4−メトキシフェノキシド(161.8g、1.01mol)を使用する以外は合成例2と同様の処理を行ない、褐色油状の生成物325.6g(収率86.8%)を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
【0083】
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
2.0(6H), 6.4〜7.4(26H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.0〜11.5
◎CHNP元素分析:
理論値 C:60.6%,H:4.6%,N:5.6%,P:12.3%
実測値 C:60.7%,H:4.5%,N:5.6%,P:12.4%
◎TOF−MS(m/z):
724,754,784
◎残存塩素分析:
<0.01%
◎水酸基当量:
397g/eq.
【0084】
以上の分析結果から、この生成物は[N(OC(CH)OH)(OC]、[N(OC(CH)OH)(OC]、[N(OC(CH)OH)(OC]の混合物であり、その平均組成が[N(OC(CH)OH)2.0(OC4.0]のヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
【0085】
合成例4(形態Bに係るヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
ナトリウムフェノキシドの代わりにm,p−混合クレゾールのナトリウム塩、(377.3g、2.90mol)を使用する以外は合成例2と同様の処理を行ない、褐色油状の生成物377.3g(収率82.8%)を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
【0086】
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
2.0〜2.4(18H), 6.4〜7.4(22H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.0〜11.5
◎CHNP元素分析:
理論値 C:62.3%,H:5.2%,N:5.2%,P:11.5%
実測値 C:62.3%,H:5.3%,N:5.1%,P:11.5%
◎TOF−MS(m/z):
793,809,825
◎残存塩素分析:
<0.01%
◎水酸基当量:
421g/eq.
【0087】
以上の分析結果から、この生成物は[N(OC(CH)OH)(OCCH]、[N(OC(CH)OH)(OCCH]、[N(OC(CH)OH)(OCCH]の混合物であり、その平均組成が[N(OC(CH)OH)1.9(OCCH4.1]のヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
【0088】
合成例5(形態Bに係るヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
ナトリウム 3−メチル−4−メトキシフェノキシドの代わりにナトリウム 4−メチル−3−メトキシフェノキシド(161.75g、1.01mol)を使用する以外は合成例4と同様の処理を行ない、褐色油状の生成物334.3g(収率82.8%)を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
【0089】
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
2.0〜2.4(18H), 6.4〜7.4(22H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.0〜11.5
◎CHNP元素分析:
理論値 C:62.3%,H:5.2%,N:5.2%,P:11.5%
実測値 C:62.2%,H:5.2%,N:5.2%,P:11.5%
◎TOF−MS(m/z):
793,809,825
◎残存塩素分析:
<0.01%
◎水酸基当量:
434g/eq.
【0090】
以上の分析結果から、この生成物は[N(OC(CH)OH)(OCCH]、[N(OC(CH)OH)(OCCH]、[N(OC(CH)OH)(OCCH]の混合物であり、その平均組成が[N(OC(CH)OH)1.9(OCCH4.1]のヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
【0091】
合成例6(形態Bに係るヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
ナトリウム 3−メチル−4−メトキシフェノキシドの代わりにナトリウム 4−メトキシフェノキシド(147.6g、1.01mol)を使用する以外は合成例2と同様の処理を行ない、褐色油状の生成物328.7g(収率93.1%)を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
【0092】
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
6.4〜7.4(26H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.0〜11.5
◎CHNP元素分析:
理論値 C:59.6%,H:4.6%,N:5.8%,P:12.8%
実測値 C:59.7%,H:4.5%,N:5.8%,P:12.8%
◎TOF−MS(m/z):
709,725,741
◎残存塩素分析:
<0.01%
◎水酸基当量:
389g/eq.
【0093】
以上の分析結果から、この生成物は[N(OCOH)(OC]、[N(OCOH)(OC]、[N(OCOH)(OC]の混合物であり、その平均組成が[N(OCOH)1.9(OC4.1]のヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
【0094】
合成例7(環状ホスファゼン化合物の製造)
PHOSPHORUS−NITROGEN COMPOUNDS、H.R.ALLCOCK著、1972年刊、151頁、ACADEMIC PRESS社に記載されている方法に従い、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン81%とオクタクロロシクロテトラホスファゼン19%とのシクロホスファゼン混合物を用いて[N=P(OCと[N=P(OCとの混合物(白色固体/融点:65〜112℃)を得た。
【0095】
実施例1(ジヒドロベンゾオキサジンオキシ含有環状ホスファゼン化合物の製造)
撹拌機、温度計および窒素導入管を備えた1リットルのフラスコ中に合成例1で得られたヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物(水酸基当量:146g/eq.)100.0g、アニリン(63.7g,0.68mol)およびメチルエチルケトン(MEK)150mLを仕込み40℃に加温した。97%パラホルムアルデヒド(42.4g,1.37mol)を添加後、60℃で1時間加熱撹拌した。その後、内温を80に上げて5時間加熱撹拌した。減圧下にて水および溶剤を留去して180g(収率100%)の生成物を得た。
【0096】
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
2.1(3H),4.6,(2H),5.4(2H),6.7(2H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 10.7
◎CHNP元素分析:
理論値 C:68.6%,H:5.4%,N:8.0%,P:5.9%
実測値 C:68.5%,H:5.4%,N:8.0%,P:5.9%
◎IRスペクトル
1029,1230,1498cm−1
【0097】
以上の分析結果から、この生成物は目的とするジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物であり、その組成はH−NMRの各シグナルの積分比から、[N(OC(CH)−OCHN(C)CH−)]であることを確認した。
【0098】
実施例2(ジヒドロベンゾオキサジンオキシ含有環状ホスファゼン化合物の製造)
撹拌機、温度計および窒素導入管を備えた1リットルのフラスコ中に合成例2で得られたヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物(水酸基当量:365g/eq.)100.0g、アニリン(25.5g,0.27mol)およびMEK150mLを仕込み40℃に加温した。97%パラホルムアルデヒド(16.5g,0.55mol)を添加後、60℃で1時間加熱撹拌した。その後、内温を80に上げて5時間加熱撹拌した。減圧下にて水および溶剤を留去して132g(収率100%)の生成物を得た。
【0099】
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
2.1(6H),4.6,(4H),5.4(4H),6.4〜7.4(24H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.0〜11.5
◎CHNP元素分析:
理論値 C:65.7%,H:4.9%,N:7.1%,P:9.4%
実測値 C:65.8%,H:4.9%,N:7.1%,P:9.4%
◎IRスペクトル
1029,1230,1498cm−1
【0100】
以上の分析結果から、この生成物は目的とするジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物であり、その組成はH−NMRの各シグナルの積分比から、[N(OC(CH)−OCHN(C)CH−)2.1(OC3.9]であることを確認した。
【0101】
実施例3(ジヒドロベンゾオキサジンオキシ含有環状ホスファゼン化合物の製造)
合成例2で得られたヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の代わりに合成例3で得られたヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物(108.7g)を使用する以外は実施例2と同様の処理を行ない、141g(収率100%)の生成物を得た。
【0102】
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
2.0(6H),4.6,(4H),5.4(4H),6.4〜7.4(24H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.0〜11.5
◎CHNP元素分析:
理論値 C:65.7%,H:4.9%,N:7.1%,P:9.4%
実測値 C:65.7%,H:4.9%,N:7.1%,P:9.4%
◎IRスペクトル
1031,1230,1499cm−1
【0103】
以上の分析結果から、この生成物は目的とするジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物であり、その組成はH−NMRの各シグナルの積分比から、[N(OC(CH)−OCHN(C)CH−)2.0(OC4.0]であることを確認した。
【0104】
実施例4(ジヒドロベンゾオキサジンオキシ含有環状ホスファゼン化合物の製造)
合成例2で得られたヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の代わりに合成例4で得られたヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物(115.3g)を使用する以外は実施例2と同様の処理を行ない、146g(収率99%)の生成物を得た。
【0105】
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
2.0〜2.4(18H),4.6(4H),5.4(4H), 6.4〜7.4(20H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.0〜11.5
◎CHNP元素分析:
理論値 C:66.7%,H:5.4%,N:6.7%,P:8.9%
実測値 C:66.8%,H:5.3%,N:6.7%,P:9.0%
◎IRスペクトル
1030,1231,1500cm−1
【0106】
以上の分析結果から、この生成物は目的とするジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物であり、その組成はH−NMRの各シグナルの積分比から、[N(OC(CH)−OCHN(C)CH−)1.9(OCCH4.1]であることを確認した。
【0107】
実施例5(ジヒドロベンゾオキサジンオキシ含有環状ホスファゼン化合物の製造)
合成例2で得られたヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の代わりに合成例5で得られたヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物(118.9g)を使用する以外は実施例2と同様の処理を行ない、150g(収率99%)の生成物を得た。
【0108】
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
2.0〜2.4(18H),4.6(4H),5.4(4H), 6.4〜7.4(20H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.0〜11.5
◎CHNP元素分析:
理論値 C:66.7%,H:5.4%,N:6.7%,P:8.9%
実測値 C:66.7%,H:5.4%,N:6.6%,P:8.9%
◎IRスペクトル
1030,1231,1500cm−1
【0109】
以上の分析結果から、この生成物は目的とするジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物であり、その組成はH−NMRの各シグナルの積分比から、[N(OC(CH)−OCHN(C)CH−)1.9(OCCH4.1]であることを確認した。
【0110】
合成例8(ジヒドロベンゾオキサジンオキシ含有環状ホスファゼン化合物の製造)
合成例2で得られたヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物の代わりに合成例6で得られたヒドロキシ基置換フェニルオキシ基含有環状ホスファゼン化合物(106.6g)を使用する以外は実施例2と同様の処理を行ない、138g(収率100%)のジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物を得た。この生成物は以下の分析結果から目的とするジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
【0111】
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
4.6(4H),5.4(4H), 6.4〜7.4(26H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.0〜11.5
【0112】
実施例6〜10(樹脂組成物の調製)
実施例1〜5で得られたジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物、2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)、MEK、オルトクレゾールノボラックエポキシ樹脂(日本化薬株式会社商品名「EOCN−1020−65」:エポキシ当量197g/eq.)およびフェノールノボラック樹脂(明和化成株式会社商品名「H−1」:水酸基当量106g/eq.)を表1の割合(重量部)で混合、溶解し、ワニスを調製した。このワニスをステンレス製の型に流し込み、140℃で20分加熱して乾燥させた後、220℃で2時間加熱して硬化物(樹脂成形体)を製造した。ここでは1/16インチ厚のシート状硬化物を製造した。硬化物はDSC測定にて硬化の完了を確認した。
【0113】
比較例1、2(樹脂組成物の調製)
合成例8で得られたジヒドロベンゾオキサジンオキシ基含有環状ホスファゼン化合物、合成例6で得られた環状ホスファゼン化合物、2E4MZ、MEK、オルトクレゾールノボラックエポキシ樹脂(日本化薬株式会社商品名「EOCN−1020−65」:エポキシ当量197g/eq.)およびフェノールノボラック樹脂(明和化成株式会社商品名:「H−1」:水酸基当量106g/eq.)を表1の割合(重量部)で混合、溶解し、ワニスを調製した。このワニスをステンレス製の型に流し込み、140℃で20分加熱して乾燥させた後、220℃で2時間加熱して硬化物(樹脂成形体)を製造した。ここでは1/16インチ厚のシート状硬化物を製造した。硬化物はDSC測定にて硬化の完了を確認した。
【0114】
評価
実施例6〜10および比較例1,2で得られたシート状硬化物について燃焼性および耐熱性を評価した。各項目の評価方法は次の通りである。結果を表1に示す。
【0115】
(燃焼性試験)
アンダーライターズラボラトリーズ(Underwriter’s Laboratories Inc.)のUL−94垂直燃焼試験に基づき、10回接炎時の合計燃焼時間と燃焼時の滴下物による綿着火の有無により、V−0、V−1、V−2および規格外の四段階に分類した。評価基準を以下に示す。難燃性レベルはV−0>V−1>V−2>規格外の順に低下する。
【0116】
V−0:下記の条件を全て満たす。
(A)試験片5本を1本につき二回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が50秒以内。
(B)試験片5本を1本につき二回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が5秒以内。
(C)すべての試験片で滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がない。
(D)すべての試験片で、二回目の接炎後のグローイングは30秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
【0117】
V−1:下記の条件を全て満たす。
(A)試験片5本を1本につき二回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が250秒以内。
(B)試験片5本を1本につき二回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が30秒以内。
(C)すべての試験片で滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がない。
(D)すべての試験片で、二回目の接炎後のグローイングは60秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
【0118】
V−2:下記の条件を全て満たす。
(A)試験片5本を1本につき二回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が250秒以内。
(B)試験片5本を1本につき二回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が30秒以内。(C)試験片5本のうち、少なくとも一本、滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がある。
(D)すべての試験片で、二回目の接炎後のグローイングは60秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
【0119】
(耐熱性)
株式会社島津製作所のDSC−60(商品名)を用い、JIS K7121「プラスチックの転移温度測定方法」に従って、ガラス転移温度を測定した。測定条件は次のとおりである。ガラス転移温度は、高いほど耐熱性にに優れていることを示す。
【0120】
測定雰囲気:窒素測定温度 :35〜200℃
測定試料 : シート状硬化物
【0121】
(高温信頼性)
シート状硬化物を85℃、相対湿度85%の恒温恒湿装置に48時間保管した後、288℃で20分間加熱処理し、外観の変化を観察した。表1において「有」は、シート状硬化物の表面にブリードアウトによる外観変化がないこと(すなわち、高温信頼性があること)を示す。また、「無」は、シート状硬化物の表面にブリードアウトによる外観変化があること(すなわち高温信頼性がないこと)を示す。
【0122】
(比誘電率)
JIS C2138「比誘電率及び誘電正接の測定方法」に従って、厚さ2mmの試験片を用い周波数1GHzの比誘電率を測定した。
【0123】
【表1】
【0124】
表1から明らかなように、実施例6〜10の樹脂組成物からなるシート(樹脂成形体)は、比較例1および2に比べて熱変形温度が高いことから、耐熱性が優れている。また、優れた高温信頼性、電気(誘電)特性および難燃性を有している。