(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5656148
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】オイル制御バルブ及びバルブトレインの内部のオイルフローを制御する方法
(51)【国際特許分類】
F16K 31/42 20060101AFI20141225BHJP
【FI】
F16K31/42 B
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-520156(P2011-520156)
(86)(22)【出願日】2009年7月22日
(65)【公表番号】特表2012-506974(P2012-506974A)
(43)【公表日】2012年3月22日
(86)【国際出願番号】US2009051372
(87)【国際公開番号】WO2010011727
(87)【国際公開日】20100128
【審査請求日】2012年7月20日
(31)【優先権主張番号】61/082,575
(32)【優先日】2008年7月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/507,153
(32)【優先日】2009年7月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390033020
【氏名又は名称】イートン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】ケラー,ロバート,ディー
(72)【発明者】
【氏名】ベネカー,ゲリット ヴィ
(72)【発明者】
【氏名】デイトン,ロバート,エー
【審査官】
石井 孝明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−293695(JP,A)
【文献】
実開昭56−041309(JP,U)
【文献】
特開2006−049103(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/060696(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイル制御バルブ(20)は、
ハウジング(40)と、壁(48)と、ダイアフラム(52)と、バルブ部材(50)と、ソレノイドバルブ(22)とを備え、
ハウジング(40)は、第1チャンバ(42)、第2チャンバ(44)及び第3チャンバ(32)を形成し、
壁(48)は、ハウジング(40)の壁でありかつ第1チャンバ(42)と第2チャンバ(44)との間に配置されかつオリフィス(46)を形成し、
ダイアフラム(52)は、ハウジング(40)に装着されかつ第2チャンバ(44)と第3チャンバ(32)との間に壁を形成し、
バルブ部材(50)は、ダイアフラム(52)に装着されかつバルブ部材(50)はオリフィス(46)を介して延在し、かつ、第1チャンバ(42)、第2チャンバ(44)及び第3チャンバ(32)の少なくとも一つの内部の圧力の変化に基づいて、オリフィス(46)に対し移動可能とされ、
ソレノイドバルブ(22)は、第1チャンバ(42)及び第3チャンバ(32)に流体接続されており、
流体が第1圧力で第1チャンバ(42)に入り、かつ、第2圧力で第2チャンバ(44)から流れ、
ソレノイドバルブ(22)が、第1チャンバ(42)を第3チャンバ(32)から流体非接続にするとき、第1、第2、第3チャンバのうちの第3チャンバ(32)のみを排出ギャラリに流体接続することを特徴とするオイル制御バルブ(20)。
【請求項2】
ハウジング(40)の壁(48)はオリフィス(46)において角度付きのエッジを形成し、かつ該角度付きのエッジはバルブ部材(50)の弁座を形成することを特徴とする請求項1に記載のオイル制御バルブ(20)。
【請求項3】
バルブ部材(50)は、ソレノイドバルブ(22)が第1チャンバ(42)と第3チャンバ(32)とを流体接続すると、前記弁座に対し第1位置にあり、かつソレノイドバルブ(22)が第1チャンバ(42)を第3チャンバ(32)から流体非接続にすると、前記弁座に対し第2位置にあることを特徴とする請求項2に記載のオイル制御バルブ(20)。
【請求項4】
第2圧力が第1圧力よりも低くかつ第1チャンバ(42)と第2チャンバ(44)との間の圧力差が弁座の方向に向いた第1方向にバルブ部材(50)を付勢することを特徴とする請求項2に記載のオイル制御バルブ(20)。
【請求項5】
オイル制御バルブ(20)はさらに、バルブ部材(50)を前記弁座から遠ざかる第2の方向に付勢するために、第3チャンバ(32)の内部に配置されたスプリング(58)をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載のオイル制御バルブ(20)。
【請求項6】
第2圧力は、ソレノイドバルブ(22)が第1チャンバ(42)と第3チャンバ(32)とを流体接続すると、第1レベルにあり、かつ、ソレノイドバルブ(22)が第1チャンバ(42)と第3チャンバ(32)とを流体非接続にすると、第1レベルよりも低い第2レベルにあることを特徴とする請求項4に記載のオイル制御バルブ(20)。
【請求項7】
バルブ部材(50)はダンパーを備えたハウジング(40)に接続されることを特徴とする請求項1に記載のオイル制御バルブ(20)。
【請求項8】
流体リザーバ(12)から制御弁(20)に流体をポンプ引きし、
流体が第1圧力の制御バルブ(20)に入り、かつ、第2圧力の制御バルブ(20)から流れるように、制御バルブ(20)を通る流量を変化させ、
流体を制御バルブ(20)からバルブトレインの少なくとも一つのエンジン部品(16A)に向け、かつ、該少なくとも一つのエンジン部品(16A)は、第2圧力に基づき第1位置から第2位置に流体駆動される、バルブトレインの内部のオイルフローを制御する方法であって、
制御バルブ(20)は、
ハウジング(40)と、壁(48)と、ダイアフラム(52)と、バルブ部材(50)と、ソレノイドバルブ(22)とを備え、
ハウジング(40)は、第1チャンバ(42)、第2チャンバ(44)及び第3チャンバ(32)を形成し、
壁(48)は、ハウジング(40)の壁でありかつ第1チャンバ(42)と第2チャンバ(44)との間に配置されかつオリフィス(46)を形成し、
ダイアフラム(52)は、ハウジング(40)に装着されかつ第2チャンバ(44)と第3チャンバ(32)との間に壁を形成し、
バルブ部材(50)は、ダイアフラム(52)に装着されかつバルブ部材(50)はオリフィス(46)を介して延在し、かつ、第1チャンバ(42)、第2チャンバ(44)及び第3チャンバ(32)の少なくとも一つの内部の圧力の変化に基づいて、オリフィス(46)に対し移動可能とされ、
ソレノイドバルブ(22)は、第1チャンバ(42)及び第3チャンバ(32)に流体接続されており、
ハウジング(40)の壁(48)はオリフィス(46)において角度付きのエッジを形成し、かつ該角度付きのエッジはバルブ部材(50)の弁座を形成し、
制御バルブ(20)を通る流量を変化させることは、
第1チャンバ(42)と第2チャンバ(44)との間に配置されている弁座に対しバルブ部材(50)を移動させることによって、制御バルブ(20)の内部の流体を第1圧力の第1チャンバから第2圧力の第2チャンバに向けることと、
ソレノイドバルブ(22)を起動させ、第1チャンバ(42)と第3チャンバ(32)とを流体接続し、バルブ部材(50)を前記弁座から離れるように第1方向に移動させて、第2圧力を第1レベルに増加させ、前記少なくとも一つのエンジン部品(16A)を第1位置に駆動させるために、第1レベルに第2圧力を増加させるように制御バルブ(20)を通る流量を増加させることと、
第2圧力が第1レベルよりも低い第2レベルにありかつ第1位置に少なくとも一つのエンジン部品(16A)を維持するのに十分なように、制御バルブ(20)を通る流量を維持することと、
ソレノイドバルブ(22)を停止させ、第1チャンバ(42)を第3チャンバ(32)から流体非接続にし、バルブ部材(50)を前記弁座に向かうように第2方向に移動させて第2圧力を第3レベルに減少させ、前記少なくとも一つのエンジン部品(16A)を第2位置に駆動させるために、第2圧力を第3レベルに減少させるように制御弁(20)を通る流量を減少することと、
第2圧力は、第2レベルよりも低い第4レベルにあるが、第3レベルよりも高く、かつ前記少なくとも一つのエンジン部品(16A)を第2位置で維持するのに十分なように制御弁(20)を通る流量を維持することと、を含み、
ソレノイドバルブ(22)を停止させ、第1チャンバ(42)を第3チャンバ(32)から流体非接続にするとき、第1、第2、第3チャンバのうちの第3チャンバ(32)のみが、流体リザーバ(12)に連通する排出ギャラリに流体接続されることを特徴とするバルブトレインの内部のオイルフローを制御する方法。
【請求項9】
さらに、第1チャンバ(42)と第2チャンバ(44)との間の圧力変化に起因するバルブ部材(50)の振動を減衰することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第2圧力が前記少なくとも一つのエンジン部品(16A)を第1位置に維持するための第2レベルにあるように制御バルブ(20)を通る流量を維持することがさらに、通常は係合されているラッシュアクチュエータを非係合位置に維持することを含み、かつ、第2圧力が前記少なくとも一つのエンジン部品を第2位置に維持するための第4レベルにあるように制御バルブ(20)を通過する流量を維持することがさらに、前記通常は係合されているラッシュアクチュエータを係合の位置に維持することを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブトレインのオイル制御システム、さらに詳細にはバルブトレインによるオイルの消費を減少させるための構成及び方法に関する。
【0002】
[関連する出願に対するクロスリファレンス]
この出願は、2008年7月22日に出願された米国仮出願61/082,575の利益を得、かつ、当該出願の全体は、参照することによってここに組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
エンジン用の油圧制御システムは、様々なエンジン部品にオイルを供給し、かつ、加圧下にあるオイルを制御するためのオイル制御バルブも含む。このオイル制御バルブは、例えばエンジンのバルブトレインシステムの、スイッチングリフタ、スイッチングロッカーアーム及びスイッチングラッシュアジャスタの、ラッチピンを切り替えるために使用される。バルブ駆動方法は、限られないがバルブ動作の停止することや可変バルブをリフトするシステムを含む。
【0004】
バルブリフターは、エンジンの排気バルブ及び吸気バルブを開閉することを制御するカムの動き伝達させるエンジン部品である。ラッシュアジャスタ及びロッカーアームは、またエンジンの排気バルブ及び吸気バルブにおけるリフトプロファイルを変更するために使用可能である。バルブリフトを変更することに加え、可変バルブ駆動システムがエンジンバルブを選択的に起動又は停止させたりすることが可能である。エンジンバルブは、エンジンのパワーの要求が減少されると、エンジンのいくつかのシリンダの動作を無効にするために停止されるか又はロックアウトされる。シリンダを停止することにより、エンジンの燃料効率は向上しうる。
【0005】
エンジンオイル制御バルブは、エンジンの効率を最大化しかつエンジンの耐久性を増加させる最小の応答時間で動作させなければならない。ラッチピンのスイッチングのための応答時間は、ラッチピンの起動応答時間及び停止応答時間を含む。可変バルブ駆動システムでは、バルブ駆動のための制限時間枠は、臨界的にし、かつ、最小化されなければならない。さらに、システム内部の流量及び圧力がバルブを駆動するための温度及びエンジン速度により変化するので、すべてのシステムの部品へのオイル流量は同様にして影響を受ける。
【発明の概要】
【0006】
油圧制御システムは、エンジンバルブトレインのオイル消費を減少させるために提供される。油圧制御システムは、リザーバから少なくとも1つのエンジン部品にオイルをポンプ引きするための、オイルリザーバと、このオイルリザーバに流体接続されたオイルポンプとを含む。
【0007】
オイル制御バルブはオイルリザーバに流体接続され、かつ、オイルポンプは第1チャンバ、第2チャンバ及び第3チャンバを形成するハウジングを含む。ハウジングの壁は、第1チャンバと第2チャンバとの間に配置される。壁は弁座を形成するために角度付きエッジを持つオリフィスを形成する。ダイアフラムはハウジングに装着され、かつ第2チャンバと第3チャンバとの間に壁を形成する。ポペットはダイアフラムに装着される。ポペットはオリフィスを介して延びており、かつ第1チャンバ、第2チャンバ及び第3チャンバの内部の圧力の変化に基づき弁座に対し移動することが可能である。さらに、ソレノイドバルブは、第1チャンバと第3チャンバとを選択的に流体接続する。
【0008】
バルブトレインの内部のオイルフローを制御する方法は、流体が第1圧力で制御バルブに入りかつ第2圧力で制御バルブから流れるように、流体リザーバから制御バルブに流体をポンプ引きし、かつ制御バルブを通る流量を変更することを含む。制御バルブからの流体は、バルブトレインの少なくとも1つのエンジン部品に向けられる。エンジン部品は、制御バルブから第2圧力に基づき第1位置から第2位置に流体駆動される。
【0009】
制御バルブを通る流量を変更することは、制御バルブを通る流量を増加させエンジン部品を、第1位置に駆動させる第1レベルに第2圧力を増加させることを含む。エンジン部品の駆動後に制御バルブを通る流量は、第2圧力が第1圧力未満の第2レベルにあり、かつ第1位置のエンジン部品を維持するのに十分なように維持される。エンジン部品を第2位置に駆動させるために、それから、制御バルブを通る流量が減少され、第2圧力を第3レベルに減少させる。そのとき、制御バルブを通る流量は、第2圧力が第2レベル未満の第4レベルにあり、かつ第2位置の少なくとも1つのエンジン部品を維持するのに十分なように維持される。
【0010】
本発明の上記の特徴、利点その他の特徴、利点は、添付の図面に関連して引用されるときにの発明を実施するための、後述の最良の形態の説明から直ぐに明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図2は、
図1の油圧制御システムのための、供給制御ギャラリの内部の圧力対時間のプロットである。
【
図3】
図3は、
図1及び2の油圧制御システムを用いた用途のための可変フローバルブの概念的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
同様の参照番号は複数の図面を通じて同一又は同様な要素を指すが、
図1を参照すると、油圧制御システム10が示されている。油圧制御システム10は、オイルリザーバ12及びオイルポンプ14を含む。オイルポンプ14は、オイルリザーバ12からのオイルを様々なエンジン部品16にポンプ引きする。エンジン部品16は、係合位置と非係合位置との間で、少なくとも1つのエンジン部品16Aの駆動のためのラッチピン18を含む少なくとも1つのエンジン部品16Aを含む。少なくとも1つのエンジン部品16Aは、ラッシュアジャスタ、バルブリフタ又はロッカアームであることが可能であろう。下記の実施形態は、1つのラッチピン18を参照しているが、複数のラッチピン18が一度に駆動されるようにしてもよい。エンジン部品16はまた、ベアリングのような他のバルブトレインの部品を含む。
【0013】
少なくとも1つのエンジン部品16Aの内部のラッチピン18の係合及び非係合は、下に述べられるように油圧制御システム10によって駆動される。例えば、少なくとも一つのエンジン部品16Aはラッシュアジャスタである。このラッシュアジャスタは当業者に知られているように、エンジンの吸気バルブと排気バルブのためのリフト特性を変える。オイルポンプ14からのオイルは、オイル制御バルブアセンブリ20を介してオイルリザーバ12に戻る前に、少なくとも1つのエンジン部品16Aを含むエンジン部品まで通過する。
【0014】
オイル制御バルブアセンブリ20は、ソレノイドバルブ22及び可変フローバルブ24を含む。オイル制御バルブアセンブリ20は、制御ギャラリ28の内部の圧力を変更するために、オイル供給ギャラリ26から制御ギャラリ28までの流量を変更する。制御ギャラリ28の内部の圧力の変更は、ラッチピン18を係合又は非係合にするであろう。制御ギャラリ28からのオイルフローはさらに、オイルリザーバ12に戻る前にその他のエンジン部品に流れる。
【0015】
図1及び2を参照し、オイル制御システム10を動作させる方法がさらに詳細に説明される。オイルが第1圧力P
1で供給ギャラリ26から可変フローバルブ24に入る。オイルフローは、可変フローバルブ24を介して第2圧力P
2の制御ギャラリ28へ向けられている。制御ギャラリ28の第2圧力P
2は、エンジン部品16を潤滑するために十分な圧力である。エンジン部品16の潤滑性能と確認性能のための実施例の維持圧力は、制御ギャラリ28の内部で5〜12psiである。オイルがP
2でエンジン部品16に入るので、可変フローバルブ24は、可変フローバルブ24の内部の圧力バランスのつり合う状態を達成しようとすることにより、フローを増加又は減少させる。
【0016】
ソレノイドバルブ22は電磁コイル23を含む。ソレノイドバルブ22のための電磁コイル23が励磁されると、ソレノイドバルブ22へのバイパス30が開かれる。供給ギャラリ26からのオイルは、可変フローバルブ24の内部でソレノイドバルブ22を介してチャンバ32に流れる。チャンバ32の増加した内部の圧力は、可変フローバルブ24の内部の圧力がバランスのつり合いを大きく付勢しかつ供給ギャラリ26から制御ギャラリ28への流量を増加するために、可変フローバルブ24を調整する。制御ギャラリ28への流量の突然の増加は、制御ギャラリ28の内部の圧力を増加させ、その結果、ラッチピン18の駆動に作用する十分な圧力を得る。ラッチピン18の駆動は、第1位置から第2位置にラッチピン18を移動させる。図示されている実施形態では、ラッチピン18は、通常は係合されているピンであり、そして、第1位置から第2位置へのラッチピン18の駆動が係合位置から非係合位置に上記ピンを移動させる。図示されている実施形態のためのラッチピン18の非係合圧力P
DISの実施例は、15〜20psiである。これは、
図2の鎖線によって示されている。供給ギャラリ26からの制御ギャラリ28への流量の突然の増加に起因して、制御ギャラリ28の圧力P
2は、ラッチピン18が非係合圧力P
DISにされた後、この実施形態では係合位置である第1レベルまで良好に増加するであろう。制御ギャラリ28の内部の圧力増加の量は、
図2においてP
2の傾斜部によって図示されている。圧力の過剰上昇は、非係合の圧力P
DISまでの上昇のため、制御ギャラリ28のために費やされる時間を減少させる。すなわち、圧力増加(P2の傾斜)の量がより険しくなるにつれ、より迅速に非係合圧力P
DISに到達しかつより迅速にラッチピン18を駆動させる。このようにして、ラッチピン18を駆動する移動時間が減少される。
【0017】
ラッチピン18が一たん非係合にされると、制御ギャラリ28の高めの圧力P
2を維持する供給ギャラリ26から制御ギャラリ28への増加された流量は必ずしも必要がない。この高めの圧力はエンジン部品16を通過しかつリザーバ12に戻るオイルフローを増加させ、そして、このことがエンジン効率を減少させる。しかし、制御ギャラリ28の圧力P2は、普通に係合されたラッチピン18が、この実施形態では非係合位置である第2位置に維持されるようにラッチピン18のために係合圧力P
DISを超えて維持されなければならない。制御ギャラリ28の圧力P
2が増加するので、可変フローバルブ24は、減少された負荷下のスプリング58と、ダイアフラム52に対するチャンバ32内の圧力と、ダイアフラム52に対するチャンバ24内の圧力と、の間のつり合う力を再設定する。圧力はさらに、第1チャンバ42及び第2チャンバ44からポペット50に作用する。供給ギャラリ26から制御ギャラリ28の流量は、第2レベルの制御ギャラリの圧力P
2によって安定する。流量は、ソレノイドバルブ22がオフにされかつバイパス30が閉鎖されるときの流量よりも多い。しかし、可変フローバルブ24はまた、第2レベルの制御ギャラリ28の圧力P
2が第2位置でラッチピン18を維持するのに要求される圧力をほんの僅かに超えるように流量を安定させる。図示された実施形態では、制御ギャラリ28は約30psiの圧力下にあり、かつ、ラッチピン18のための第2位置を維持するための圧力は25psiの圧力下にある。この圧力を作り出す流量は、ピン18を、この実施形態では係合位置である、第1位置に戻すときまで維持されうる。可変フローバルブ24は、制御ギャラリ28への流量を、より低い流量に安定させる。その結果、制御ギャラリ28でより低い圧力を得ることになる。それゆえに、ラッチピン18が第2位置に移動完了後であって、ラッチピン18が第1位置に戻される前に、エンジン部品16のオイル消費を減少させながら、すべてのエンジン部品16を通過するオイルフローが減少させられる。
【0018】
ラッチピン18を一たん再係合させると、ソレノイドバルブ22の磁気コイル23は非励磁にされる。ソレノイドバルブ22は排
出位置に切り換わる。供給ギャラリ26からチャンバ32へのバイパス30が閉じられる。しかし、このとき、チャンバ32は、ソレノイドバルブ22を介して排
出ギャラリ
34に向けて開かれる。チャンバ32の内部のオイルは、オイルリザーバ12に戻って排出する。チャンバ32の内部の突然の圧力損失は、可変バルブ24の内部の力のつり合いを生じさせて、ポペット50を第2チャンバ44及び制御ギャラリ28までのフローを遮断する弁座46の方へ付勢する。このようにして、制御ギャラリ28の内部の圧力は第3レベルに落ちる。ラッチピン18が非係合とされるときと同様に、制御ギャラリ28の圧力変化はラッチピン18を移動させるのに必要なすべてのものよりも多い。そして、ラッチピン18を再係合するための駆動時間が減少される。さらに、前に、可変フローバルブ24は制御ギャラリ28の内部の圧力P
2をピン18の非係合圧力P
DISよりほんの僅かに超えるように維持させていたので、駆動時間をさらに減少させるラッチピン18の係合圧力P
ENGは迅速に到達される。
【0019】
ラッチピン18が一たん係合されることを許容したため、可変フローバルブ24は、増加された負荷下のスプリング58と、第3チャンバ32における低めの圧力がダイアフラム52に対抗する作用と、第2チャンバ44の圧力P
2がさらにダイアフラム52に対抗する作用と間で、つり合う力を再設定する。圧力はまた、第1チャンバ42及び第2チャンバ44からポペット50に作用している。流量は、エンジンの性能を維持しかつエンジン部品16に注油するのに十分な圧力を維持する第4レベルで安定する。上述のように、
図2に示された実施形態では、流量の一例は制御ギャラリ28の内部の圧力P
2は約10psiである。
【0020】
上記の実施形態は、オイル制御バルブ20と一たん非係合になりうるが、通常は係合されているラッチピン18を備えた少なくとも一つのエンジン部品16Aを持つように記載されている。しかし、少なくとも1つのエンジン部品16Aはオイル制御バルブ20と係合されるが、通常は係合されていないピン18でもよい。当業者は、その構成のために使用されるエンジン及びオイル制御システム10に基づいた少なくとも一つのエンジン部品16A及びラッチピン18のために適当な構成を知るであろう。
【0021】
図3を参照すると、可変フローバルブ24の実施形態が示されている。可変フローバルブ24は、第1チャンバ42と第2チャンバ44とを形成するハウジング40を含む。オリフィス46は壁48によって形成される。壁48は第1チャンバ42を第2チャンバ44から分離する。オイルは、第1圧力P
1で供給ギャラリ26から第1チャンバ42に入り、かつ、オリフィスを介して第2圧力P
2で制御ギャラリ28に接続される第2チャンバ44に流れる。示された実施形態では、オリフィス46は、ポペット50のための座部として作用する壁48によって形成される角度付きエッジを持つ。弁座を形成するためのオリフィス46用の他の構成もまた利用される。例えば壁48であり、これは、平坦でよく或いは弁座を形成するために形づくられる他の形状でもよい。当業者は、可変フローバルブ24の応用や仕様が付与された弁座のための適当な構造を知るであろう。
【0022】
ポペット50はダイアフラム52に装着される。ダイアフラム52は第2チャンバ44と第3チャンバ32との間に配置される。ダイアフラム52は、第3チャンバ32から第2チャンバ44を密閉し、かつ、ポペット50を軸Aに沿って移動させることを許容する。ダンパー56は,ポペット50の対向端部に配置されかつ第1チャンバ42、第2チャンバ44及び第3チャンバ32の間の圧力の変化の結果として起こるであろうポペット50の振動を減衰する。示されている実施形態では、ダンパー56は流体ダンパー56として示されている。しかし、当業者に知られているような他の型のダンパーが使用可能である。スプリング58は、第3チャンバ32に配置されかつポペット50を
図3に示されているような中立の開位置に向けて付勢する。ダイアフラム52に固定されかつダイアフラム52を保護する支持体60に作用する。
【0023】
上述のように、
図1及び2を参照すると、供給ギャラリ26からの流体は第1チャンバ42に入り、かつ、オリフィス46を介して第2チャンバ44に流れる。そのとき、その流体は、フロー制御バルブ24を介して制御ギャラリ28に出て行く。ソレノイドバルブ22ための電磁コイル23が励磁されると、バイパス30が開かれかつ流体も供給ギャラリ26から、第1チャンバ42を介してバイパス30に流れ、かつ、ソレノイドバルブ22を介して第3チャンバ32に流れる。第3チャンバ32の内部の圧力は増加し、かつ、第2チャンバ44と第3チャンバ32の間に結果として得られる圧力差が力がつり合う式を非バランスにしかつダイアフラム52において付勢力を作り出す。それゆえに、第3チャンバ32に流れるオイルは、ダイアフラムに撓ませる力をかけ、かつ、より大きな幅までオリフィス46を開けるために軸Aに沿って軸方向にポペット50を移動し、かつ、第1チャンバ42から第2チャンバ44への流量を増加させる。このようにして、ソレノイドバルブ22が起動されると、供給ギャラリ26から制御ギャラリ28までのフローが増加される。さらに、ソレノイドバルブ22の内部で弁座(不図示)よりもオリフィス46はその直径が大きいので、より小さな磁気コイル23は、ソレノイ
ドバルブを励磁させるのに十分である。その結果、磁気コイル23により必要とされる銅の量、ソレノイドバルブ22への電流、及びソレノイドバルブ22を開けるのに必要とされるオイルの圧力の量を減少させる。オリフィス46の寸法は、制御ギャラリ28に対する流体が増加された流量を許容するので、この寸法はまた、ラッチピン18の動作の比率を増加させ、かつ制御ギャラリ28に対し、より少ない流量を持つシステム上の、オイル制御システム10におけるP
DISからP
ENGまでの圧力上昇(P
2の傾斜部)を増加させる。
【0024】
流体の初期のフローが第3チャンバ32に入った後、ダイアフラム52に与えられる力はバランスを取るであろう。可変バルブ24は、ソレノイドバルブ22が励磁されないときよりも、第1チャンバ42から第2チャンバ44への増加されたフローを許容する点で安定化するであろう。つり合う点における圧力の増加は、力のつり合いの式に基づく。力のつり合いの式は、スプリング58の力+(ダイアフラム52の面積に第3チャンバ32の内部の圧力を乗算した値−オリフィス46の面積に制御ギャラリ28の圧力P
2を乗算した値)である。これは、オリフィス46の面積に供給ギャラリ26の圧力P
1を乗算したことによる力にダイアフラム52の面積に制御ギャラリ28の圧力P
2を乗算したことによる力を加えたものに等しい。
これは、次の力のつり合い式によって表現される。
F(スプリング58)+F((ダイアフラム52の面積)×P(チャンバ32))−F((オリフィス46の面積)×P
2)=F((オリフィス46の面積)×P
1)+F((ダイアフラム52の面積)×P
2)
【0025】
ソレノイドバルブが非励磁にされると、バイ
パス30は第3チャンバ32から流体非接続にされる。第3チャンバ32の内部の流体は、排
出ギャラリ34(
図1に図示されている)を介してオイルリザーバ12に向けて
流出する。第3チャンバ32から出るオイルのフローは、オリフィス46を通過するフローを減少させて軸Aに沿って軸方向にポペット50を移動させるために、第3チャンバ32の内部の流体圧力及び第2チャンバ44の内部の圧力P
2を減少させる。ダイアフラム52の両面における特別なデルタ圧力と、力のつり合い式の非バランス状態に起因して、ポペットは瞬時にオリフィス46を閉鎖するだろう。第2チャンバ44における圧力P
2が下降するにつれて、ポペットが、力のつり合い式がつり合う状態に戻るまで、再度開き始める。スプリング58は、第1チャンバ42における流体圧力P
1を、オリフィス46が閉鎖したままに維持されることを妨げる。以前より減少された量だが、流体は第1チャンバ42から第2チャンバ44に流れ続ける。ポペット50はさらに
図3に示された位置にあるが、このポペット50はエンジン部品16に注油することが必要とされる最小圧力P
2を維持するのに十分な量で、流体を制御ギャラリ28へと流すことを許容する。
【0026】
本発明を実施するための最良の形態が詳細に述べられてきたが、この発明に関係する技術に精通する者は、添付の請求の範囲内で、発明を実行する代替の設計や実施形態を理解するであろう。