(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5656172
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】スラグからの有価金属回収方法
(51)【国際特許分類】
F27D 15/00 20060101AFI20141225BHJP
C22B 7/04 20060101ALI20141225BHJP
C22B 5/04 20060101ALI20141225BHJP
C22B 5/10 20060101ALI20141225BHJP
C22B 5/12 20060101ALI20141225BHJP
F27D 15/02 20060101ALI20141225BHJP
C21C 5/28 20060101ALN20141225BHJP
C21C 5/52 20060101ALN20141225BHJP
【FI】
F27D15/00 C
F27D15/00 B
C22B7/04 A
C22B5/04
C22B5/10
C22B5/12
F27D15/02 A
!C21C5/28 C
!C21C5/28 D
!C21C5/52
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-513883(P2012-513883)
(86)(22)【出願日】2010年6月25日
(65)【公表番号】特表2012-529003(P2012-529003A)
(43)【公表日】2012年11月15日
(86)【国際出願番号】KR2010004127
(87)【国際公開番号】WO2011081265
(87)【国際公開日】20110707
【審査請求日】2011年12月1日
(31)【優先権主張番号】10-2009-0133771
(32)【優先日】2009年12月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】510307299
【氏名又は名称】ヒュンダイ スチール カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キ、ジョンセオン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ジンイル
【審査官】
増田 健司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−041874(JP,A)
【文献】
特開昭59−154147(JP,A)
【文献】
特開昭61−099638(JP,A)
【文献】
特開昭58−027917(JP,A)
【文献】
特開2005−329400(JP,A)
【文献】
特開平11−218388(JP,A)
【文献】
特表2009−507636(JP,A)
【文献】
特開2001−323327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27D 15/00
C22B 5/04
C22B 5/10
C22B 5/12
C22B 7/04
F27D 15/02
C21C 5/28
C21C 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラグ粒子を提供する段階と、
前記スラグ粒子に第1磁場を印加し、前記スラグ粒子から金属として鉄を含有するスラグ粒子を分離する段階と、
前記第1磁場の印加後、前記第1磁場より大きい強度を有する第2磁場を前記スラグ粒子に印加し、前記金属の1種以上の酸化物としてFeO、Fe2O3、およびFe3O4からなる群より選ばれた1種以上を含有するスラグ粒子を分離する段階と、
前記鉄を含有するスラグ粒子および前記FeO、Fe2O3、およびFe3O4からなる群より選ばれた1種以上を含有するスラグ粒子を処理し、前記鉄を回収する処理段階と
を含み、
前記スラグ粒子を提供する段階は、
前記第1磁場の印加前に、溶融スラグを還元剤と反応させ、前記溶融スラグから鉄を分離する反応段階と、
前記反応段階の後、前記溶融スラグを冷却させて固相スラグを得る冷却段階と、
前記固相スラグを破砕してスラグ粒子を得る段階と
を含み、
前記冷却段階は、スチームを含むガス混合物を前記溶融スラグに供給する段階を含む、スラグからの金属回収方法。
【請求項2】
前記金属は鉄であり、前記金属の1種以上の酸化物はFeOであり、
前記第2磁場の印加後、前記第2磁場より大きい強度を有する第3磁場を前記スラグ粒子に印加し、Fe2O3およびFe3O4の1種以上を含有するスラグ粒子を分離する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のスラグからの金属回収方法。
【請求項3】
前記第1磁場及び前記第2磁場の各々の強度は、0.01T〜0.1Tの範囲であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のスラグからの金属回収方法。
【請求項4】
前記第1磁場及び前記第2磁場の各々の強度は、0.01T〜0.034Tの範囲であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のスラグからの金属回収方法。
【請求項5】
前記処理段階は、
前記金属の1種以上の酸化物を含有する、分離されたスラグ粒子を溶融させる段階と、
前記溶融されたスラグを還元剤と反応させる段階と
を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1つに記載のスラグからの金属回収方法。
【請求項6】
前記還元剤は、炭素(C)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、および一酸化炭素(CO)ガスから選ばれた1種以上を含むことを特徴とする、請求項5に記載のスラグからの金属回収方法。
【請求項7】
前記固相スラグは、多孔質構造を有することを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1つに記載のスラグからの金属回収方法。
【請求項8】
前記溶融スラグは、5〜50℃/secの冷却速度で冷却されることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか1つに記載のスラグからの金属回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラグからの有価金属回収方法に係り、さらに詳しくは、転炉または電気炉などの製鋼工程で発生するスラグに含まれた有価金属を磁性によって回収する、スラグからの有価金属回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スラグは、鉄鋼製錬工程で必然的に発生する生成物である。スラグは、製銑過程では鉄鉱石やコークス中の脈石成分により生成され、製鋼過程では溶銑または溶鋼の酸化と脱酸の際に発生する酸化物や精錬を目的として添加される副原料などにより必然的に生成される。
【0003】
スラグは、SiO
2とCaOを基本系とし、精錬反応の種類に応じてSiO
2、Al
2O
3、FeO、MgO、P
2O
5およびCaSなどを含む。
【0004】
製銑スラグはCaO−SiO
2−Al
2O
3を基本系とし、溶銑または溶鋼の酸化反応に基づく製鋼スラグはCaO−SiO
2−FeOを基本系としている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、磁性の特性を用いて、鉄鋼精錬工程で必然的に発生する生成物としてのスラグに含まれた鉄などの有価金属を効率よく分離することができるようにした、スラグからの有価金属回収方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のある観点によれば、破砕したスラグに磁場を段階的に付与し、スラグに含まれた磁性体を分離する段階と、前記分離された磁性体に還元剤を投入して有価金属を回収する段階とを含んでなる、スラグからの有価金属回収方法を提供する。
【0007】
本発明の他の観点によれば、還元期における操業の前に、転炉または電気炉の溶融スラグをスラグポート内に排出し、還元剤を投入して、前記溶融スラグに含まれた有価金属を回収する段階と、前記有価金属の回収された溶融スラグを冷却して固相スラグに形成した後、破砕する段階と、破砕したスラグに磁場を段階的に付与し、スラグに含まれた磁性体を分離する段階と、前記分離された磁性体に還元剤を投入して有価金属を回収する段階とを含んでなる、スラグからの有価金属回収方法を提供する。
【0008】
前記磁性体はFe、FeO、Fe
2O
3、およびFe
3O
4を含む。
【0009】
前記磁場は
0.01T〜0.1Tの範囲で付与する。
【0010】
前記還元剤は炭素、アルミニウム、シリコン、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびCOガスの中から選ばれた少なくとも1種である。
【0011】
前記破砕したスラグの粒度は100mm以下である。
【0012】
前記冷却は5〜50℃/secの冷却速度で行う。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、破砕したスラグに磁場を付与してFe、FeO、Fe
2O
3、およびFe
3O
4を段階的に分離し回収することにより、有価金属Feを回収する。これは、埋め立てにより廃棄されるスラグ中の有価金属を効率よく回収することができるという効果がある。
【0014】
特に、回収されたFeは、純度が95%以上なので、再使用の際に製鋼原料としてリサイクル可能である。よって、費用の面においても効率的であり、自然環境を保全するという効果もある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0016】
本発明に係るスラグからの有価金属回収方法は、破砕したスラグに磁場を段階的に付与し、スラグに含まれた磁性体を分離した後、分離された磁性体に還元剤を投入して有価金属を回収する方法である。
【0017】
転炉または電気炉などで生成されるスラグは、FeOなどの有価金属酸化物を多量含有している。
【0018】
製鋼工程中に分析した製鋼スラグの化学組成は、下記表1のとおりである。
【表1】
【0019】
転炉または電気炉で発生する製鋼スラグには20%以上の有価金属酸化物が含有されており、特に、電気炉の初期スラグには30%以上の有価金属酸化物が含有されている。
【0020】
それにも拘らず、現在まで、スラグは、別途の再利用用途を探すことが難しいため、単純に埋め立てるか、或いは道路用路盤材などの低付加価値製品としてのみ活用されている。
【0021】
そこで、転炉または電気炉などで発生するスラグから有価金属を回収する方法を提供する。
【0022】
説明の便宜のために、電気炉で生成されるスラグを例として説明する。
【0023】
電気炉のスラグの排出は、酸化精錬が完了し還元精錬が行われる前、すなわち還元期における操業の前に、電極を上昇させて通電を中止してから行う。スラグは、電気炉を傾けることにより、或いはドアがある場合にはドアを開放することにより、スラグポート内に排出する。
【0024】
還元精錬が行われると、スラグ中の金属酸化物が減少しながらスラグの流動性が悪化するので、スラグの排出が困る。よって、スラグ排出時期の選択が重要である。
【0025】
スラグポート内に排出されたスラグは、露天の積み場で水冷または空冷処理して固相のスラグに作った後、破砕する。破砕は、太い粒子から細い粒子へ段階的に破砕する。
【0026】
破砕したスラグは、粒度が小さいほど磁選が容易であるが、費用問題を考慮して粒度の範囲を決定しなければならない。選別されたスラグに磁場を段階的に付与する。磁場は
0.01T〜0.1Tの範囲で付与する。
T(テスラ)は磁場の強さを示す単位である。
【0027】
磁場は、スラグに含まれた磁性体たるFe、FeO、Fe
2O
3、Fe
3O
4を段階的に分離するためのものである。
【0028】
Feの場合、
0.01Tの磁場に回収され、磁場の強さを漸次増加させるとFeO、Fe
2O
3およびFe
3O
4の金属化合物が段階的に回収される。しかし、磁場がさらに強くなると、上述した磁性体以外にもCaAl
2SiO
7、CaMgSiO
4などの化合物の混入が多くなるので、回収された磁性体の品位を落とす。これにより、磁場が
0.1Tを超過しないようにする。そして、
0.01Tは磁性体を分離することが可能な最小の磁場強さに該当する。
【0029】
この際、回収された磁性体は、粒度が100mm以下なので、一部の非磁性体元素が含まれても大きい問題にはならない。
【0030】
回収された磁性体(Fe、FeO、Fe
2O
3、Fe
3O
4)は、それぞれ溶融させた後、還元剤を投入して有価金属、すなわちFeを回収する。還元剤は、炭素、アルミニウム、シリコン、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムおよびCOガスの中から選ばれた少なくとも1種であってもよい。還元剤は移動ガス(空気)を用いて投入できる。
【0031】
Alの場合、スラグ1ton当たり10〜50kgが投入できる。Alの投入量は、操業条件に応じてAlの実収率を50〜100%に設定した値である。
【0032】
Alの投入量は下記の反応式によって算出することができる。
<反応式>3FeO+2Al→3Fe+Al
2O
3-----187.1kcal
【0033】
溶融磁性体(Fe
2O
3)の反応は、<反応式>Fe
2O
3+2Al→2Fe+Al
2O
3によってAlの投入量を算出することができる。
【0034】
一方、本発明の他の実施例に係るスラグからの有価金属回収方法を提供する。
【0035】
これは、スラグはFeの含量が高ければ粒子が粗粒であっても強度と展性が大きくて破砕が容易でないことを補完するためのものである。
【0036】
スラグからの有価金属回収方法は、還元期における操業の前に転炉または電気炉の溶融スラグをスラグポート内に排出し、還元剤を投入して、前記溶融スラグに含まれた有価金属を回収した後、有価金属の回収された溶融スラグを冷却して固相スラグに形成した後、破砕する。
【0037】
その後、破砕したスラグに磁場を段階的に付与し、スラグに含まれた磁性体を分離する。分離された磁性体に還元剤を投入して有価金属を回収する。
【0038】
スラグポート内に投入される還元剤は、溶融スラグの有価金属酸化物のうち、特にFe酸化物を還元させるためのものである。
【0039】
還元剤としては、酸素との親和力の大きいCやAlなどが使用される。Cはスラグポートから供給され、Alはスラグポート内の溶融スラグに直接投入される。Alは反応力を高めるためにガスと共に投入されてもよい。
【0040】
ガスは空気、または不活性気体、すなわち窒素とアルゴンガスであってもよい。スラグポートの内皮は熱伝導率の高い銅板または鉄板からなる。
【0041】
C、AlはFe酸化物の強力な還元のために投入される。
【0042】
溶融スラグに含有されたFeの還元は、溶融スラグの温度が高く反応速度が高いほど有利である。ところが、CによるFeの還元反応は、吸熱反応なので、溶融スラグの温度を低める。
【0043】
溶融スラグは、排出時の温度が1600℃程度であるが、CによるFeの還元反応と熱放散などの要因により排出された後は、溶融スラグの温度が1時間当たり200〜300℃程度降温する。
【0044】
溶融スラグを高温に維持するために、Alが投入される。AlによるFeの還元反応式は、3FeO→2Al→3Fe+Al
2O
3-----187.1kcalで、発熱反応である。この反応は、還元されながら熱を発生するので、テルミット反応(thermit reaction)ともいう。
【0045】
Alの投入量は、溶融スラグの温度を1300〜1600℃に維持する範囲で制御する。溶融スラグの温度は、高ければ高いほどFeの還元に有利であるが、1600℃超過であればスラグポートの過度な浸食が発生し、1300℃未満であれば還元反応が急激に低下する。
【0046】
具体的にその過程について考察すると、電気炉の溶融スラグがスラグポート内に排出されると、スラグポートの孔を介して供給されたCが還元剤の役目をしてFeO+C→Fe+COの還元反応が行われる。
【0047】
この過程で溶融スラグの温度が低くなることもあるが、後でAlを投入すると、3FeO+2Al→3Fe+Al
2O
3-----187.1kcalの発熱反応によって溶融スラグの温度が高温に維持されて還元反応が促進される。
【0048】
溶融スラグの温度を1300℃〜1600℃に維持するためのAlの投入量はスラグ1ton当たり10〜50kgである。
【0049】
Alの投入量は、操業条件に応じてAl実収率を50〜100%に設定した値である。
【0050】
還元剤を投入するための溶融スラグ中のFeO含量の測定は、分光計(spectro meter)を用いるか或いは湿式などの方法を用いることができる。
【0051】
還元が完了すると、比重の高いFeがスラグポートの下部に分離され、その上部には溶融スラグが位置する。すると、上部の溶融スラグを別途のポートに排出し、スラグポートに残ったFeは回収する。
【0052】
これにより、破砕し難いFeが一次的に回収され、回収率はスラグ重量の20%レベルと高い。
【0053】
その後、ポートに排出された溶融スラグを制御冷却して多孔質構造の固相スラグ
を作る。多孔質構造の固相スラグは、Feの含量が低いため、その構造上大きい力を加えなくても破砕し易い。
【0054】
制御冷却は、溶融スラグ内にスチームとガスとの混合気体を噴射して行われる。ガスとしては空気を使用してもよい。
【0055】
比重と融点が低くなったスラグ内にスチームとガスとの混合気体を噴射すると、溶融スラグは内部に気泡が生成された状態で冷却されて多孔質構造の固相スラグになる。
【0056】
スチームはスラグの冷却のために注入され、ガスはスチームのスラグ内への噴射のために注入される。スチームは、スラグの温度を低めるとともに、膨張力が少なくて冷却効率にも優れる。参考として、水は膨張力が大きくて爆発の危険があるので、高温の溶融スラグの冷却に適用しないようにする。
【0057】
冷却は、常温となるまで1〜50℃/secの冷却速度で行うことができる。冷却速度は、常温のガスおよびスチームの注入量や圧力調節によって最大値または最小値を有する。この冷却速度によって固相スラグの形状、強度および組織緻密度が異なる。
【0058】
よって、冷却速度が5〜50℃/secに維持されるように、常温のガスおよびスチームの注入量や圧力を調節する。これは固相スラグの破砕効率を高めるためのものである。冷却速度が5℃/sec以上の場合、スラグの平均粒度が50mm以下で破砕効率が高い。そして、冷却速度の上限値は常温のガスおよび注入量と圧力調節による最大値を適用する。
【0059】
制御冷却によって溶融スラグが多孔質構造の固相スラグになると、破砕、粉砕を行う。多孔質構造の固相スラグは、有価金属Feの含量が低く、多孔質構造により破砕および粉砕が容易である。
【0060】
破砕および粉砕された固相スラグの平均粒度は50mm以下と均一である。
【0061】
破砕および粉砕された固相スラグは、粒度100mm以下のもののみを分離して磁場を段階的に付与する。磁場は
0.01T〜
0.1Tの範囲で付与する。
【0062】
磁場の強度に応じて、スラグに含まれた磁性体たるFe、FeO、Fe
2O
3、Fe
2O
4が段階的に分離される。分離回収された磁性体は、粒度が100mm以下なので、一部の非磁性体元素が含まれても大きい問題にはならない。
【0063】
回収された磁性体(Fe、FeO、Fe
2O
3、Fe
3O
4)は、還元剤を投入してFeなどの有価金属を回収する。還元剤は、炭素、アルミニウム、シリコン、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムおよびCOガスの中から選ばれた少なくとも1種であってもよい。
【0064】
上述した方法は、転炉から排出されたスラグにも同様に適用できる。
【0065】
下記表2はスラグからの有価金属回収方法によるFeの回収率を示す。
【表2】
表2より、破砕したスラグに磁場を段階的に付与する場合、有価金属Feの回収率が50%を上回ることが分かる。
【0066】
ところが、磁場の強さが0.1T超過の場合にはFeの純度が低くなった。これはCaAl
2SiO
7、Ca
MgSiO
4などの化合物の混入が多くなったためと見られる。これに対し、磁場の強度が0.01T未満の場合にはFeを回収することができなかった。
【0067】
還元を介して1次的にFeを回収し、制御冷却を介して多孔質の固相スラグに作った後、破砕を行い、磁場を段階的に付与する場合には、有価金属Feの回収率がさらに高くなることが分かる。
【0068】
これにより、埋め立てにより廃棄されるスラグ中の有価金属を、磁場を用いる場合に効率よく回収することができることが分かる。
【0069】
本発明の権利は、前述した実施例に限定されず、請求の範囲によって定められるべきである。本発明の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された権利範囲内で様々な変形と改作を加え得るのは自明である。