特許第5656198号(P5656198)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5656198プラスチック複合木材薄板のカール成形装置、プラスチック複合木材薄板のカール成形方法、及びカール部を備えたプラスチック複合木材薄板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5656198
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】プラスチック複合木材薄板のカール成形装置、プラスチック複合木材薄板のカール成形方法、及びカール部を備えたプラスチック複合木材薄板
(51)【国際特許分類】
   B27K 5/00 20060101AFI20141225BHJP
   B27M 1/02 20060101ALI20141225BHJP
   B27M 3/00 20060101ALI20141225BHJP
   B27N 5/00 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
   B27K5/00 F
   B27K5/00 G
   B27M1/02
   B27M3/00 R
   B27N5/00 E
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-44149(P2012-44149)
(22)【出願日】2012年2月29日
(65)【公開番号】特開2013-180427(P2013-180427A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2012年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】592102940
【氏名又は名称】新潟県
(74)【代理人】
【識別番号】100091694
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 守
(72)【発明者】
【氏名】内山 雅彦
【審査官】 松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−225903(JP,A)
【文献】 特開2003−231101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27K1/00−9/00
B27H1/00−7/00
B27M1/00−3/38
B27N1/00−9/00
B27D1/00−3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック複合木材薄板を湾曲成形する成形装置であって、該成形装置の成形金型は曲線状に連続した貫通孔を備えており、該成形金型を加熱しながら曲線状の貫通孔に成形すべきプラスチック複合木材薄板を連続的に押し込むことにより、挿通させたプラスチック複合木材薄板を前記曲線状の貫通孔の曲線に沿って湾曲成形するために、成形すべきプラスチック複合木材薄板の外面を前記成形金型の前記曲線状の貫通孔の内面に当接させながら押し込むことにより、プラスチック複合木材薄板の進行方向とは逆方向に押し込み抵抗を発生させ、該押し込み抵抗によりプラスチック複合木材薄板の曲げ成形時に生じる引張応力を抑制しながら、前記成形金型の前記曲線状の貫通孔の形状に対応してプラスチック複合木材薄板を湾曲成形するようにしたプラスチック複合木材薄板のカール成形装置であって、
前記成形装置の成形金型は、薄板状のプラスチック複合木材薄板が挿通される直線状の貫通孔が形成された加熱軟化ブロックと、該加熱軟化ブロックに形成された直線状の貫通孔と連通した前記曲線状の貫通孔が形成された加熱成型ブロックと、前記曲線状の貫通孔と連通した貫通孔が形成された冷却固定化ブロックと、を備え、
搬送装置によってプラスチック複合木材薄板を押圧することにより、前記加熱軟化ブロックに形成された直線状の貫通孔に挿通させ、該プラスチック複合木材薄板に含浸された熱可塑性樹脂を軟化点以上に加熱し、
該軟化点以上になった熱可塑性樹脂が含浸されたプラスチック複合木材薄板を、前記加熱成型ブロックに形成された曲線状の貫通孔に導き、該加熱成型ブロックに形成された貫通孔の曲線形状になるよう加熱成形し、
該加熱成形されたプラスチック複合木材薄板が前記加熱成型ブロックの曲線状の貫通孔から前記冷却固定化ブロックの貫通孔に導かれると該プラスチック複合木材薄板が冷却され、
当該冷却されたプラスチック複合木材薄板を、該プラスチック複合木材薄板の巾方向にスライド移動させることによって、前記成形金型から成形されたプラスチック複合木材薄板が取り出されることを特徴とするプラスチック複合木材薄板のカール成形装置。
【請求項2】
前記搬送装置は、前記プラスチック複合木材薄板の一端を押圧して該プラスチック複合木材薄板を一定速度で搬送するものであることを特徴とする請求項に記載のプラスチック複合木材薄板のカール成形装置。
【請求項3】
プラスチック複合木薄板を湾曲成形する成形金型は曲線状に連続した貫通孔を備えており、該成形金型を加熱しながら曲線状の貫通孔に成形すべきプラスチック複合木材薄板を連続的に押し込むことにより、挿通させたプラスチック複合木材薄板を前記曲線状の貫通孔の曲線に沿って湾曲成形するプラスチック複合木材薄板のカール成形方法であって、
前記成形金型は、薄板状のプラスチック複合木材薄板が挿通される直線状の貫通孔が形成された加熱軟化ブロックと、該加熱軟化ブロックに形成された直線状の貫通孔と連通した前記曲線状の貫通孔が形成された加熱成型ブロックと、前記曲線状の貫通孔と連通した貫通孔が形成された冷却固定化ブロックと、を備えており、
プラスチック複合木材薄板を湾曲成形するに際し、プラスチック複合木材薄板が、前記加熱軟化ブロックの貫通孔から、前記加熱成型ブロックの貫通孔へ、そして前記冷却固定化ブロックの貫通孔に搬送されるとき、
前記成形金型に具備される加熱ヒータをオンにして所定温度に加熱した状態で、搬送装置によりプラスチック複合木材薄板を押圧して、プラスチック複合木材薄板を前記加熱軟化ブロックの挿通孔から挿入し、当該プラスチック複合木材薄板に含浸された熱可塑性樹脂を軟化点以上に加熱する加熱軟化工程と、
該加熱軟化工程により軟化点以上になった熱可塑性樹脂が含浸されたプラスチック複合木材薄板を前記加熱成型ブロックの曲線状の貫通孔に搬送し、前記加熱ヒータにより加熱されているプラスチック複合木材薄板が搬送されてゆくのに伴い、当該プラスチック複合木材薄板を前記加熱成型ブロックの曲線状の貫通孔の曲線に沿って加熱成形する加熱成型工程と、
プラスチック複合木材薄板が前記冷却固定化ブロックの貫通孔に導かれた状態で、前記加熱ヒータがオンからオフへと切り替えられ、かつ当該冷却固定化ブロックの冷却手段により冷却されることで、前記熱可塑性樹脂の含浸されたプラスチック複合木材薄板が冷却されることにより固定化する冷却固定化工程と、
該冷却固定化工程により冷却されたプラスチック複合木材薄板を、該プラスチック複合木材薄板の巾方向にスライド移動させることによって、前記成形金型から前記プラスチック複合木材薄板を取り出す工程と、を備えることを特徴とするプラスチック複合木材薄板のカール成形方法。
【請求項4】
成形すべきプラスチック複合木材薄板の外面を、前記成形金型の加熱成型ブロックの曲線状の貫通孔の内面に当接させながら押し込むことにより、プラスチック複合木材薄板の進行方向とは逆方向に押し込み抵抗を発生させ、該押し込み抵抗によりプラスチック複合木材薄板の曲げ成形時に生じる引張応力を抑制しながら、前記加熱成型ブロックの曲線状の貫通孔の形状に対応してプラスチック複合木材薄板を湾曲成形することを特徴とする請求項に記載のプラスチック複合木材薄板のカール成形方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のプラスチック複合木材薄板のカール成形装置により曲げ成形されたことを特徴とするカール部を備えたプラスチック複合木材薄板
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック複合木材薄板のカール成形装置及びプラスチック複合木材薄板のカール成形方法、それにより加工されたプラスチック複合木材薄板に関し、詳しくは、木材に熱可塑性樹脂を含浸させたプラスチック複合材(Wood Plastic Combination)からなる板状の薄板を曲げ加工するのに適したプラスチック複合木材薄板のカール成形装置及びプラスチック複合木材薄板のカール成形方法、それにより加工された加工品に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のハンドルや携帯端末の筐体等には、意匠性を高めたり高級感をだすだめに、その一部などに木材を施したものがある。インストルメントパネルやハンドルの一部に木材を施す場合には、その形状に対応するよう3次元的な複雑な形状の加工が要求されており、従来においては、職人による無垢材の削りだし加工により作りだされていた。
【0003】
しかし、無垢材から削りだす加工方法では、削りだしにともなう材料のロスが生じたり、職人による高度な技術が要求されることから、コストの上昇を招くという問題があった。
【0004】
そこで、近年においては、木材の3次元的な構造を、削りだし加工で行わずに曲げ加工で行う方法が普及してきており、こうした技術に関連するものとして、例えば特許文献1には、樹脂を含浸した0.1〜1mm程度の薄板状の木材に対し、熱プレス加工を行うことにより曲げ加工を行い、曲げ加工と同時又はその後に、木材に対して硬化溶液を塗布及び/又は含浸することにより、硬化させて木質成形体を製造する方法が開示されている。また、特許文献2には、合成樹脂を含浸した木材を金型で曲面加工及び打ち抜き加工し、当該曲面加工及び打ち抜き加工を行うと同時に、木材に含浸された合成樹脂を一時柔軟にしてから硬化させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−44353号公報
【特許文献2】特開平10−113906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、樹脂を含浸した木材を単に加熱した状態でプレス加工して所望の形状に曲げ加工を行おうという技術であり、プレス加工で樹脂含浸部材の端部を僅かに曲げたり、全体をゆるやかな円弧状に形成することは可能であると思われるが、回り込みのきつい円弧型や複雑な3次元形状などに成形することは実質困難であると言わざるを得ない。しかも、曲げ加工された木材を固定化(硬化)する場合には、木材に対して硬化溶液を供給しなければならないことから、煩雑な作業が必要となる。
【0007】
また、特許文献2には、合成樹脂を含浸した木材としての複合材を、金型で挟み込むことにより略円筒形に形成することが記載されているが、その円弧の半径が大きい場合には形成することが可能であるかもしれないが、半径が小さい場合には、金型で挟み込んだときに複合材が破損することが考えられる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、プラスチック複合木材薄板を、短時間で破断することなく曲げ加工することができるプラスチック複合木材薄板のカール成形装置、プラスチック複合木材薄板のカール成形方法、及びカール部を備えたプラスチック複合木材薄板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係るプラスチック複合木材薄板のカール成形装置の発明は、
プラスチック複合木材薄板を湾曲成形する成形装置であって、該成形装置の成形金型は曲線状に連続した貫通孔を備えており、該成形金型を加熱しながら曲線状の貫通孔に成形すべきプラスチック複合木材薄板を連続的に押し込むことにより、挿通させたプラスチック複合木材薄板を前記曲線状の貫通孔の曲線に沿って湾曲成形するために、成形すべきプラスチック複合木材薄板の外面を前記成形金型の前記曲線状の貫通孔の内面に当接させながら押し込むことにより、プラスチック複合木材薄板の進行方向とは逆方向に押し込み抵抗を発生させ、該押し込み抵抗によりプラスチック複合木材薄板の曲げ成形時に生じる引張応力を抑制しながら、前記成形金型の前記曲線状の貫通孔の形状に対応してプラスチック複合木材薄板を湾曲成形するようにしたプラスチック複合木材薄板のカール成形装置であって、
前記成形装置の成形金型は、薄板状のプラスチック複合木材薄板が挿通される直線状の貫通孔が形成された加熱軟化ブロックと、該加熱軟化ブロックに形成された直線状の貫通孔と連通した前記曲線状の貫通孔が形成された加熱成型ブロックと、前記曲線状の貫通孔と連通した貫通孔が形成された冷却固定化ブロックと、を備え、
搬送装置によってプラスチック複合木材薄板を押圧することにより、前記加熱軟化ブロックに形成された直線状の貫通孔に挿通させ、該プラスチック複合木材薄板に含浸された熱可塑性樹脂を軟化点以上に加熱し、
該軟化点以上になった熱可塑性樹脂が含浸されたプラスチック複合木材薄板を、前記加熱成型ブロックに形成された曲線状の貫通孔に導き、該加熱成型ブロックに形成された貫通孔の曲線形状になるよう加熱成形し、
該加熱成形されたプラスチック複合木材薄板が前記加熱成型ブロックの曲線状の貫通孔から前記冷却固定化ブロックの貫通孔に導かれると該プラスチック複合木材薄板が冷却され、
当該冷却されたプラスチック複合木材薄板を、該プラスチック複合木材薄板の巾方向にスライド移動させることによって、前記成形金型から成形されたプラスチック複合木材薄板が取り出されることを特徴とする。
【0010】
請求項に係るプラスチック複合木材薄板のカール成形装置の発明は、請求項において、
前記搬送装置は、前記プラスチック複合木材薄板の一端を押圧して該プラスチック複合木材薄板を一定速度で搬送するものであることを特徴とする。
【0011】
請求項に係るプラスチック複合木材薄板のカール成形方法の発明は、
プラスチック複合木薄板を湾曲成形する成形金型は曲線状に連続した貫通孔を備えており、該成形金型を加熱しながら曲線状の貫通孔に成形すべきプラスチック複合木材薄板を連続的に押し込むことにより、挿通させたプラスチック複合木材薄板を前記曲線状の貫通孔の曲線に沿って湾曲成形するプラスチック複合木材薄板のカール成形方法であって、
前記成形金型は、薄板状のプラスチック複合木材薄板が挿通される直線状の貫通孔が形成された加熱軟化ブロックと、該加熱軟化ブロックに形成された直線状の貫通孔と連通した前記曲線状の貫通孔が形成された加熱成型ブロックと、前記曲線状の貫通孔と連通した貫通孔が形成された冷却固定化ブロックと、を備えており、
プラスチック複合木材薄板を湾曲成形するに際し、プラスチック複合木材薄板が、前記加熱軟化ブロックの貫通孔から、前記加熱成型ブロックの貫通孔へ、そして前記冷却固定化ブロックの貫通孔に搬送されるとき、
前記成形金型に具備される加熱ヒータをオンにして所定温度に加熱した状態で、搬送装置によりプラスチック複合木材薄板を押圧して、プラスチック複合木材薄板を前記加熱軟化ブロックの挿通孔から挿入し、当該プラスチック複合木材薄板に含浸された熱可塑性樹脂を軟化点以上に加熱する加熱軟化工程と、
該加熱軟化工程により軟化点以上になった熱可塑性樹脂が含浸されたプラスチック複合木材薄板を前記加熱成型ブロックの曲線状の貫通孔に搬送し、前記加熱ヒータにより加熱されているプラスチック複合木材薄板が搬送されてゆくのに伴い、当該プラスチック複合木材薄板を前記加熱成型ブロックの曲線状の貫通孔の曲線に沿って加熱成形する加熱成型工程と、
プラスチック複合木材薄板が前記冷却固定化ブロックの貫通孔に導かれた状態で、前記加熱ヒータがオンからオフへと切り替えられ、かつ当該冷却固定化ブロックの冷却手段により冷却されることで、前記熱可塑性樹脂の含浸されたプラスチック複合木材薄板が冷却されることにより固定化する冷却固定化工程と、
該冷却固定化工程により冷却されたプラスチック複合木材薄板を、該プラスチック複合木材薄板の巾方向にスライド移動させることによって、前記成形金型から前記プラスチック複合木材薄板を取り出す工程と、を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項に係るプラスチック複合木材薄板のカール成形方法の発明は、請求項において、
成形すべきプラスチック複合木材薄板の外面を、前記成形金型の加熱成型ブロックの曲線状の貫通孔の内面に当接させながら押し込むことにより、プラスチック複合木材薄板の進行方向とは逆方向に押し込み抵抗を発生させ、該押し込み抵抗によりプラスチック複合木材薄板の曲げ成形時に生じる引張応力を抑制しながら、前記加熱成型ブロックの曲線状の貫通孔の形状に対応してプラスチック複合木材薄板を湾曲成形することを特徴とする。
【0013】
請求項に係るカール部を備えたプラスチック複合木材薄板の発明は、
請求項1又は2に記載のプラスチック複合木材薄板のカール成形装置により曲げ成形されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、加熱軟化ブロックの貫通孔からプラスチック複合木材薄板が一定速度で挿通されてゆくと、プラスチック複合木材薄板の外面が加熱軟化ブロックの貫通孔の内面に当接しながら進行していくことにより、プラスチック複合木材薄板の進行方向の逆方向には押し込み抵抗が発生する。そして、押し込み抵抗が発生した状態で曲線状に形成された加熱成型ブロックの貫通孔へプラスチック複合木材薄板が導かれてゆくと、押し込み抵抗によりプラスチック複合木材薄板に対する引張応力が抑制されながら、加熱成型ブロックの曲線状の貫通孔の形状に対応してプラスチック複合木材薄板が曲げられてゆく。よって、当該押し込み抵抗の作用によって、プラスチック複合木材薄板が破損することなく曲げ加工することができる。
【0015】
また、加熱成型工程として、プラスチック複合木材薄板が加熱成型ブロックに導かれることにより曲げ加工された後、冷却固定化工程として、プラスチック複合木材薄板が冷却固定化ブロックに設けられた送風手段等の冷却手段により冷却されることで、プラスチック複合木材薄板を速やかに固定化することができる。しかも、従来、木材の曲げ加工を行うに際しては、蒸気や熱湯により十分に加熱処理をすることで木材を柔らかくしてから、所望の形状に曲げ加工を行っていたりしていたが、そのような場合、水分が木材に浸透してしまうため、乾燥等の作業に多くの時間を費やさなければならなかったが、本発明では、こうした煩雑な乾燥作業を解消でき、短時間で曲げ加工されたプラスチック複合木材薄板を得ることが可能となる。
【0016】
また、加熱軟化ブロックの貫通孔に挿通される熱可塑性樹脂を含浸したプラスチック複合木材薄板、カール成形装置の外部で加熱されることにより軟化されるのではなく、加熱軟化ブロックの貫通孔に導かれることで、熱可塑性樹脂が軟化点以上になるまで加熱されることにより木材自体も柔らかく軟化されるものである。よって、仮に加熱軟化ブロックの貫通孔から軟化状態にあるプラスチック複合木材薄板を挿入しようとすると、プラスチック複合木材薄板の軟化により挿入作業が困難になるのに対し、本願発明では、固化されたプラスチック複合木材薄板を加熱軟化ブロックの貫通孔へ挿入するため、そのような問題も解消することができる。
【0017】
また、本発明では、軟化されたプラスチック複合木材薄板が加熱軟化ブロックに供給されるのではなく、固化されたプラスチック複合木材薄板が加熱軟化ブロックの貫通孔内に挿通されてから徐々に高温に加熱されることで軟化されてゆくため、軟化状態にある木材が加熱軟化ブロックに供給される場合とは相違し、加熱成型工程において、プラスチック複合木材薄板が導かれてゆくときの押し込み抵抗を比較的大きくすることが可能となる。よって、比較的大きい押し込み抵抗により、プラスチック複合木材薄板に対する引張応力を効果的に抑制することができ、プラスチック複合木材薄板の破損を効果的に抑止しながら曲げ加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一例のプラスチック複合木材薄板のカール成形装置を示す概略構成図である。
図2プラスチック複合木材薄板を固定化した状態を示すカール部を備えたプラスチック複合木材薄板の斜視図である。
図3】本発明を理解するうえで参考となるプラスチック複合木材薄板の曲げ加工の一例を示す説明図である。
図4種をオニグルミとして板厚を3mm、曲率半径を10mm、搬送速度を100mm/min、加熱軟化ブロック及び加熱成型ブロックの加熱ヒータの加熱温度を210℃としたときのプラスチック複合木材薄板の曲げ加工の実験結果を示す説明図である。
図5種をオニグルミとして板厚を3mm、曲率半径を10mm、搬送速度を50mm/min、加熱軟化ブロック及び加熱成型ブロックの加熱ヒータの加熱温度を210℃としたときのプラスチック複合木材薄板の曲げ加工の実験結果を示す説明図である。
図6種をオニグルミとして板厚を1.5mm、曲率半径を3mm、搬送速度を100mm/min、加熱軟化ブロック及び加熱成型ブロックの加熱ヒータの加熱温度を210℃としたときのプラスチック複合木材薄板の曲げ加工の実験結果を示す説明図である。
図7種をオニグルミとして板厚を1.5mm、曲率半径を3mm、搬送速度を50mm/min、加熱軟化ブロック及び加熱成型ブロックの加熱ヒータの加熱温度を210℃としたときのプラスチック複合木材薄板の曲げ加工の実験結果を示す説明図である。
図8種をオニグルミとして板厚を1.5mm、曲率半径を3mm、搬送速度を30mm/min、加熱軟化ブロック及び加熱成型ブロックの加熱ヒータの加熱温度を210℃としたときのプラスチック複合木材薄板の曲げ加工の実験結果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図1図8により以下に説明する。もちろん、本発明は、その発明の趣旨に反しない範囲で、実施形態において説明した以外の構成のものに対しても容易に適用可能なことは説明を要するまでもない。
【0020】
本発明の一例のカール成形装置1は、プラスチック複合木材薄板を曲げ加工するものであり、具体的には、アクリル系樹脂などの熱可塑性樹脂が含浸された比較的肉厚の薄い(例えば、1mm〜3mm程度)直線状の木材、すなわち、プラスチック複合木材薄板2を円弧状などに曲げ加工する装置である。
【0021】
図1に示すように、カール成形装置1には、成形金型として、熱可塑性樹脂が含浸済みの固化されたプラスチック複合木材薄板2を加熱して軟化させる加熱軟化ブロック3と、加熱軟化ブロック3で軟化されたプラスチック複合木材薄板2を加熱しながら曲げる加熱成型ブロック4と、プラスチック複合木材薄板2を冷却して固定化する冷却固定化ブロック5とを備え、左右に隣接するようにして設けられた加熱軟化ブロック3と冷却固定化ブロック5は、加熱成型ブロック4上に載置するようにして配設され、これら3つのブロック3,4,5は一体に結合して設けられている。
【0022】
また、加熱軟化ブロック3と冷却固定化ブロック5には、直線状の貫通孔3a,5が縦方向に形成されており、加熱軟化ブロック3の貫通孔3aと冷却固定化ブロック5の貫通孔5aは、加熱成型ブロック4に形成された円弧状(曲線状)の貫通孔4aにより連通されている。なお、加熱軟化ブロック3、加熱成型ブロック4、及び冷却固定化ブロック5の貫通孔3a,4a,5の断面形状は、同形状・同サイズとなっていて、また、加熱軟化ブロック3と加熱成型ブロック4の各々には、加熱ヒータ6が設けられている。
【0023】
加熱軟化ブロック3の上方には、加熱軟化ブロック3の貫通孔3aに挿通されたプラスチック複合木材薄板2の一端を押圧して、当該プラスチック複合木材薄板2を、加熱軟化ブロック3の貫通孔3a、加熱成型ブロック4の貫通孔4a、冷却固定化ブロック5の貫通孔5aの順に一定速度で搬送する搬送装置7を備えており、また、冷却固定化ブロック5には、図示しないが送風手段等の冷却手段が設けられている。
【0024】
次に、カール成形装置1により、熱可塑性樹脂が含浸されている固化したプラスチック複合木材薄板2を曲げ加工するときの動作について説明する。先ず、加熱軟化ブロック3と加熱成型ブロック4に具備される加熱ヒータ6をオンにして所定温度(本実施形態では、210℃)に加熱した状態において、肉厚の薄い固化されているプラスチック複合木材薄板2の先端(一方端)を加熱軟化ブロック3の開口部8から挿入し、搬送装置7によりプラスチック複合木材薄板2の後端(他方端)を押圧し、プラスチック複合木材薄板2を一定速度で搬送してゆくと(図1に示す状態)、プラスチック複合木材薄板2が加熱軟化ブロック3の貫通孔3aに位置するときには、当該プラスチック複合木材薄板2は搬送されながら、プラスチック複合木材薄板2に含浸された熱可塑性樹脂が軟化点以上に加熱される(加熱軟化工程)。
【0025】
続いて、軟化点以上になった熱可塑性樹脂が含浸されたプラスチック複合木材薄板2が、加熱成型ブロック4の貫通孔4aに搬送されると、加熱成型ブロック4の加熱ヒータ6で加熱されているプラスチック複合木材薄板2が搬送されてゆくのに伴い、加熱成型ブロック4の円弧状の貫通孔4aの形状に対応した形状に順次曲げ加工されてゆく(加熱成型工程)。
【0026】
そして、図2に示すような略U字型のものを成形する場合には、プラスチック複合木材薄板2の先端側が冷却固定化ブロック5の貫通孔5aに導かれた状態で当該冷却固定化ブロック5の冷却手段により冷却されると共に、加熱軟化ブロック3と加熱成型ブロック4の加熱ヒータ6がオンからオフへと切り替えられることで、熱可塑性樹脂の含浸された木材たるプラスチック複合木材薄板2の全体が冷却され固定化される(冷却固定化工程)。
【0027】
そして、冷却固定化工程後には、加熱軟化ブロック3、加熱成型ブロック4、及び冷却固定化ブロック5からなる3つのブロック、或いは、プラスチック複合木材薄板2を、図1の手前側、つまり、図2のプラスチック複合木材薄板2の巾方向にスライド移動させることによって、カール成形装置1から、図2に示す略U字型の固定化されたプラスチック複合木材薄板2が取り出される。
【0028】
ここで、図3に基づき、プラスチック複合木材薄板2の曲げ加工について説明する。図3(a)は、熱可塑性樹脂を含浸した直線状の木材たるプラスチック複合木材薄板2を、単に曲げたときの山折り部と谷折り部の応力の分布を模式的に表し、図3(b)は、熱可塑性樹脂を含浸した直線状の木材たるプラスチック複合木材薄板2の山折りされる側と両端に対し、コ字型の鉄帯を装着した状態で曲げたときの山折り部と谷折り部の応力の分布を模式的に表したものである。
【0029】
図3(a)に示すように、鉄帯を装着せずにプラスチック複合木材薄板2を曲げたときには、山折り部の引張応力と谷折り部の圧縮応力はほぼ均等に生じるのに対し、図3(b)に示すように、プラスチック複合木材薄板2の山折り側と両端とを鉄帯で保持し、鉄帯と共にプラスチック複合木材薄板2を曲げるときには(所謂、トーネット法)、山折り側の引張応力は小さくなり、谷折り側の圧縮応力は大きくなる。そして、プラスチック複合木材薄板2は、圧縮応力の数値が引張応力の数値よりも大きくても破壊がされ難いということが知られており、また、プラスチック複合木材薄板2に含浸された熱可塑性樹脂を軟化点以上になるまで加熱したプラスチック複合木材薄板2においては、当該プラスチック複合木材薄板2のひずみ量が、引張りで1%程度、圧縮で5%程度に達したときにプラスチック複合木材薄板2が破壊することが知られている。そこで、本発明では、貫通孔3a,4a,5aの内壁面でプラスチック複合木材薄板2を密着させた状態で保持すると共に、プラスチック複合木材薄板2の他方端を搬送装置7で押圧して、プラスチック複合木材薄板2に対し搬送に伴う押し込み抵抗を与えることでプラスチック複合木材薄板2が曲げ加工されるときの破壊を防止する。
【0030】
ここで、カール成形装置1において、プラスチック複合木材薄板2を各種条件で曲げ加工したときの実験結果について図4図8により説明する。
【0031】
図4においては、プラスチック複合木材薄板2の材の樹種をオニグルミとし、プラスチック複合木材薄板2の厚さTを3mm、当該プラスチック複合木材薄板2の曲率半径を10mm、搬送速度を100mm/min、加熱軟化ブロック3及び加熱成型ブロック4の加熱温度を加熱ヒータ6で210℃とした場合において、貫通孔3a,4a,5aの幅寸法Wを、3mm(クリアランス:0mm)、3.1mm(クリアランス:0.1mm)、又は、3.2mm(クリアランス:0.2mm)の条件で、カール成形装置1で曲げ加工を行ったときの実験結果であり、縦軸には、押し込み抵抗の数値を「押し込み力(kgf)」、プラスチック複合木材薄板2の曲げ加工後の成形の状態を「評価」として表し、横軸には、貫通孔3a,4a,5aの幅寸法Wとプラスチック複合木材薄板2の厚さTとの差(W−T)を「クリアランス(mm)」として表している。また、図5においては、搬送速度を50mm/minとした点を除いて、図4の条件と同じ条件としている。
【0032】
また、図6においては、プラスチック複合木材薄板2の材の樹種をオニグルミとし、プラスチック複合木材薄板2の厚さTを1.5mm、当該プラスチック複合木材薄板2の曲率半径を3mm、搬送速度を100mm/min、加熱軟化ブロック3及び加熱成型ブロック4の加熱温度を加熱ヒータ6で210℃とした場合において、貫通孔3a,4a,5aの幅寸法Wを、1.5mm(クリアランス:0mm)、1.6mm(クリアランス:0.1mm)、又は、1.7mm(クリアランス:0.2mm)の条件で、カール成形装置1で曲げ加工を行ったときの実験結果であり、縦軸には、押し込み抵抗の数値を「押し込み力(kgf)」、プラスチック複合木材薄板2の曲げ加工後の成形の状態を「評価」として表し、横軸には、貫通孔3a,4a,5aの幅寸法Wとプラスチック複合木材薄板2の厚さTとの差(W−T)を「クリアランス(mm)」として表している。また、図7においては、搬送速度を50mm/minとした点を除いて、図6の条件と同じ条件であり、図8においては、搬送速度を30mm/minとした点を除いて、図6の条件と同じ条件としている。
【0033】
図4図8における「評価」においては、これらの図に示されているように、「0」は「完全な割れ」、「1」は「修正不可能なヒビ(大きなヒビ)」、「2」は「修正可能なヒビ(僅かなヒビ)」、「3」は「割れなし」を表しており、「評価」の結果から明らかなように、搬送速度の相違によって成形の状態に差異が生じるものの、プラスチック複合木材薄板2の曲げ加工後において成形状態が最も優れているのは、クリアランスが「0」であることが最も好ましいことがわかった。すなわち、クリアランスを「0」にして(プラスチック複合木材薄板2の厚さT=貫通孔の幅寸法W)、前述した押し込み抵抗の数値を大きくすると、プラスチック複合木材薄板2の曲げ成形時に生じる引張応力を抑制でき、プラスチック複合木材薄板2を曲げ加工したときに発生する恐れのある割れやヒビを回避することができる、という結論を見出した。そして、さらに申し添えると、この実験結果に基づけば、押し込み抵抗をさらに増加させるため、例えばプラスチック複合木材薄板2の厚さTを貫通孔3a,4a,5aの幅寸法Wよりも僅かに大きくしてもよいとの結果を導き出すことができた(プラスチック複合木材薄板2の厚さT>貫通孔の幅寸法W)。
【0034】
以上のように、本実施形態のカール成形装置1によれば、熱可塑性樹脂を含浸した板状のプラスチック複合木材薄板2が挿通される直線状の貫通孔3aが形成された加熱軟化ブロック3と、加熱軟化ブロック3に形成された直線状の貫通孔3aと連通した曲線状の貫通孔4aが形成された加熱成型ブロック4と、加熱軟化ブロック3に形成した直線状の貫通孔3aに挿通したプラスチック複合木材薄板2を押圧し、加熱軟化ブロック3の直線状の貫通孔3aに挿通された前記プラスチック複合木材薄板2を加熱成型ブロック4の曲線状の貫通孔4aへと一定速度で移動させる搬送装置7とを備え、前記プラスチック複合木材薄板2が加熱軟化ブロック3の貫通孔3aに挿通されているときに、該プラスチック複合木材薄板2に含浸された熱可塑性樹脂を軟化点以上に加熱し、該軟化点以上になった熱可塑性樹脂が含浸されたプラスチック複合木材薄板2を、加熱成型ブロック4の貫通孔4aに導いて、所定の曲線形状になるよう加熱成形するものである。そして、プラスチック複合木材薄板2が加熱軟化ブロック3の貫通孔3aから一定速度で挿通されてゆき、プラスチック複合木材薄板2の外面が加熱軟化ブロック3の貫通孔(及び加熱成型ブロック4の貫通孔4a、冷却固定化ブロック5の貫通孔5a)の内面に当接しながら進行していくことによって、プラスチック複合木材薄板2の進行方向の逆方向に押し込み抵抗を発生させ、押し込み抵抗が発生した状態で曲線状に形成された加熱成型ブロック4の貫通孔4aへプラスチック複合木材薄板2が導かれてゆくことで、当該押し込み抵抗によりプラスチック複合木材薄板2に対する引張応力を抑制しながら、加熱成型ブロック4の曲線状の貫通孔4aの形状に対応してプラスチック複合木材薄板2を曲げることができる。よって、押し込み抵抗の作用によって、プラスチック複合木材薄板2を破損することなく効果的に曲げ加工することが可能となる。
【0035】
さらに、加熱成型工程として、木材にアクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂を含浸したプラスチック複合木材薄板2が加熱成型ブロック4に導かれることにより曲げ加工された後、冷却固定化工程として、プラスチック複合木材薄板2が冷却固定化ブロック5に設けられた送風手段等の冷却手段により冷却されることで、プラスチック複合木材薄板2を速やかに固定化することができる。しかも、従来、木材の曲げ加工を行うに際しては、蒸気や熱湯により十分に加熱処理をすることで木材を柔らかくしてから、所望の形状に曲げ加工を行っていたが、そのような場合、水分が木材に浸透してしまうため、乾燥等の作業に多くの時間を費やさなければならなかったのに対し、本発明ではこうした煩雑な乾燥作業を解消でき、短時間で曲げ加工のなされた固定化されたプラスチック複合木材薄板2を得ることが可能となる。
【0036】
さらに、加熱軟化ブロック3の貫通孔3aに挿通される熱可塑性樹脂を含浸したプラスチック複合木材薄板2は、カール成形装置1の外部で加熱されることにより軟化されるのではなく、加熱軟化ブロック3の貫通孔3aに導かれることで、熱可塑性樹脂が軟化点以上になるまで加熱されることにより木材自体も柔らかく軟化されるものである。よって、仮に加熱軟化ブロック3の貫通孔3aから軟化状態にあるプラスチック複合木材薄板2を挿入しようとすると、プラスチック複合木材薄板2の軟化により加熱軟化ブロック3に対する挿入作業が困難になるのに対し、本願発明では、固化されたプラスチック複合木材薄板2を加熱軟化ブロック2の開口部8から挿入するため、そのような問題も解消することができる。
【0037】
さらに、本発明では、軟化されたプラスチック複合木材薄板2が加熱軟化ブロック3の開口部8から挿通されるのではなく、固化されたプラスチック複合木材薄板2が加熱軟化ブロック3の貫通孔内に挿通されてから徐々に高温に加熱されることで軟化されてゆくため、軟化状態にある木材が加熱軟化ブロック3の開口部8から挿通される場合とは相違し、加熱成型工程において、プラスチック複合木材薄板2が導かれてゆくときの押し込み抵抗を比較的大きくすることが可能となる。よって、比較的大きい押し込み抵抗により、プラスチック複合木材薄板2に対する引張応力を効果的に抑制することができ、プラスチック複合木材薄板2の破損を効果的に抑止し容易に曲げ加工することができる。
【0038】
以上、本実施形態の一例を詳述したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、プラスチック複合木材薄板2において、木材に含浸される熱可塑性樹脂は、メチルメタクリレートやスチレンなどの樹脂原料をモノマー状態で含浸してもよい。また、前記熱可塑性樹脂としてはアクリル系樹脂に限らず、それ以外のものであってもよく、適宜選定するようにしてもよい。また、熱可塑性樹脂を含浸した木材に限らず熱可塑性樹脂を含浸しない木材にも適用可能である。
【符号の説明】
【0039】
ール成形装置
プラスチック複合木材薄板
3 加熱軟化ブロック
3a 加熱軟化ブロックの貫通孔
4 加熱成型ブロック
4a 加熱成型ブロックの貫通孔
5 冷却固定化ブロック
5a 冷却固定化ブロックの貫通孔
7 搬送装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8