(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可動部材が前記第3構成位置に向かって動くと、その動きに応じて前記従動部が動き、該従動部を介して前記車軸にステアリング力が伝えられ、それによって該車軸が第2方向に回転する、請求項2に記載の着陸装置。
前記可動部材および前記従動部は、該従動部の軌跡がトロコイド、サイクロイド、内サイクロイド、外サイクロイド、内トロコイド、外トロコイドのいずれかの経路をたどるように構成された歯車装置の一部である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の着陸装置。
【背景技術】
【0001】
大型飛行機は、多数の多軸軸着陸装置を備えることが多い。そのような着陸装置は、例えば、3つの車軸を支持するボギービームを備え、各車軸が複数の車輪を支持している。通常は、車軸の1つ、一般的には後輪車軸がステアリング可能で、それによって飛行機の滑走中におけるタイヤの磨耗を低減することができる。ステアリング可能な車軸は一般的にボギービームに枢動自在に接続される。ボギービームとステアリング可能な車軸との間に設けられるアクチュエータによって、ボギービームに対する車軸の向きを制御することができる。
【0002】
着陸装置のステアリング可能な車軸を、所定の向きにおいてロックすることが望ましい場合があることが理解されよう。例えば、離陸中および着陸中には、ステアリング可能な車軸がボギービームに対して略垂直、かつボギービーム上の車軸に対して平行な向きにおいてロックされることが望ましい。したがって、このような着陸装置には、ステアリング可能な車軸のボギービームに対する向きをロックするためのロック装置が備えられる。
【0003】
ロックアクチュエータを備えることが、ロック装置を設ける方法として知られている。例えば、ステアリングアクチュエータが、車軸を所望されるロック方向に向けるために必要な伸張状態に対応する所定の伸張状態であるときに、ステアリングアクチュエータがロックするように構成されていてもよい。
【0004】
さらには、車軸の長手方向軸線に対して略垂直に、ステアリング可能な車軸内に延びるスロットを備えるロック装置が知られている。ロック装置にはくさびが備えられている。このくさびは、くさびがスロット内に収容されて、ステアリング可能な車軸がボギーを中心に枢動するのを防ぐ第1位置と、くさびがスロットから出て、車軸の枢動を許容する第2位置との間を動くことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の種類のロック装置はいずれも、ロックが機能するためにはロック要素が嵌合凹部内に移動しなければならず、また、ロックを解除するためには嵌合凹部から出るように動かなければならない、という問題点を有する。このような動作は、引っかかってしまう可能性があり、したがって動作中にノイズを生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、枢動自在にボギービームとロック装置とに接続された車軸を備える飛行機用の着陸装置であって、ロック装置が車軸をボギービームに結合するよう構成され、ロック装置が可動部材と従動部とを備え、可動部材が第1構成位置と第2構成位置との間をアクチュエータによって動かされるように構成され、可動部材が第1構成位置から第2構成位置へと動くと、それに応じて従動部が動き、従動部を介してステアリング力が車軸に伝えられ、それによって車軸を第1方向に回転させるように、ロック装置が構成され、可動部材が第1構成位置にあるとき、従動部がロック構成位置になるようにロック装置が構成され、ロック構成位置においては、車軸に加わる外力によって可動部材が反対側に動かされることが阻止され、可動部材が第2構成位置にあるとき、従動部が受動構成位置になるようにロック装置が構成され、受動構成位置においては、車軸に加わる外力によって可動部材が反対側に動かされることが許容される着陸装置が提供される。
【0007】
したがって、本発明の本態様による着陸装置は、車軸をボギービームに結合させるロック装置を有する。ロック装置の可動部材が動くと従動部が動き、結果として車軸をステアリングする(動作させる)。可動部材が第1構成位置にあるとき、ロック装置は車軸をロックするように構成される。この構成によれば、可動部材の動きによって車軸がステアリングされ、かつ、車軸がロック構成位置から非ロック構成位置に変えられることになる。
【0008】
可動部材が、第3構成位置へと、および、第3構成位置から動かされるように構成されてもよい。可動部材がこの第3構成位置にあるとき、従動部が第3構成位置にあるようにロック装置が構成され、この第3構成位置においては、可動部材が車軸に加わる外力によって動かされることが許容される。可動部材が第3構成位置に向かって動くと、それに応じて従動部が動くことができ、従動部を介して車軸にステアリング力が伝えられ、それによって車軸が第2方向に回転する。
【0009】
こうして、いくつかの実施形態では、可動部材の動きによって車軸を両方向にステアリングすることができる。
【0010】
可動部材が第2構成位置と第3構成位置との間を通るとき、可動部材は第1構成位置に入ってもよい。
【0011】
可動部材が、従動部を支持する支持平面を概して画定してもよく、可動部材が第1構成位置にあるとき、車軸に加わる外力によって従動部を介して可動部材に加わる力は、可動部材によって画定される支持平面に対して略垂直である。
【0012】
従動部は、強固にまたは枢動自在に車軸に接続される連結部を介して車軸に接続されてもよい。
【0013】
可動部材は、ボギービームに対して枢動自在に設けられていてもよい。
【0014】
可動部材がカム面を画定してもよい。従動部が、可動部材の動きに従ってカム面に従動するカム従動部となるように、ロック装置が構成される。カム面は、可動部材を貫通して形成されるスロットによって画定されてもよく、スロット内にカム従動部が構成されている。
【0015】
したがって、いくつかの実施形態では、カム面が可動部材を貫通して形成されるスロットによって画定されるという事実は、実質的には、ロック機能と、車軸を両方のステアリング方向に駆動する機能と、を提供する2つの対向するカム面が形成されていることを意味する。スロットは、カム従動部がカム面から離れるように動くのを防ぐように構成されてもよい。
【0016】
可動部材および従動部は、従動部の軌跡がトロコイド経路をたどる歯車装置の一部であってもよい。
【0017】
着陸装置は、可動部材を動かすように構成されたアクチュエータを含んでもよい。アクチュエータは、可動部材と車軸との間に接続されてもよい。これによって、機械的な利点が得られる。
【0018】
着陸装置は、可動部材を第1構成位置に向かって付勢するように構成された可動部材付勢装置をさらに備えてもよい。
【0019】
したがって、このような実施形態では、可動部材がそのロック構成位置に向かって付勢される。すなわち、カム従動部がカム面のロック領域に、またはロック領域内に配置される。これによって、車軸をステアリングするように構成されたアクチュエータと、可動部材を動かして車軸を所望のロック方向に動かすよう構成されたアクチュエータとのいずれかを補助することができる。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、枢動自在にボギービームとロック部材とカム従動部とに接続された車軸を備える飛行機用の着陸装置であって、ロック部材およびカム従動部の一方が車軸に結合され、他方がボギービームに結合され、ロック部材がカム面を含み、カム従動部がカム面に従動するように構成され、カム面がロック領域を含み、カム従動部がカム面のロック領域にあるときに、車軸がボギービームに対して実質的に固定された向きに維持されるようにロック領域が構成される、着陸装置が提供される。
【0021】
上述した好ましい機能は、必要に応じて、本発明の第2の態様に係る着陸装置にも同様に設けられる。
【0022】
本発明の第3の態様によれば、枢動自在にボギービームとロック装置とに接続された車軸を備える飛行機用の着陸装置であって、ロック装置が、従動部をトロコイド経路に沿って動かすように構成された機構を備え、トロコイド経路がロック領域を含むようにこの機構が構成され、従動部がトロコイド経路のロック領域にあるとき車軸がボギービームに対して実質的に固定された向きに維持される、着陸装置が提供される。
【0023】
上述した好ましい機能は、必要に応じて、本発明の第3の態様に係る着陸装置にも同様に設けられる。
【0024】
次に本発明の実施形態を、添付の図面を参照しつつ単なる例として説明する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1を参照すると、着陸装置10の部分平面図が本発明の一実施形態に従って示されている。着陸装置10は細長いボギービーム12を備え、ボギービーム12は枢支点16において車軸14に枢動自在に接続されている。図示された例における車軸14は、ステアリング可能な後輪車軸である。着陸装置10はボギービーム12と車軸14との間に設けられたロック装置11aを備え、それによってボギービーム12と車軸14とが結合されている。この結合によってロック装置11aは、通常状態では常に車軸のステアリングを許容するが、車軸をロックする構成になることもできる。車軸がロックされる構成では、車軸14に加わる外力によって車軸が動かされることをロック装置11aが阻止する。本実施形態におけるロック装置11aは概して可動部材30を備える。この可動部材30はボギービーム12上に設けられ、車軸14に連結された従動部22に対して動くよう構成されている。
【0027】
可動部材30は、ボギービーム12に対して可動に設けられている。本実施形態では、可動部材30はボギービーム12に対して直線的に可動に設けられる。可動部材30は略板状で、細長いスロット32を有する。このスロット32内には一対の取付けピン28がある。一対の取付けピン28はボギービームに固定され、可動部材30を特定の方向に向けて支持するように互いから離れて配置されている。スロット32は、可動部材30のボギービーム14に対する直線運動を許容するように形成されている。可動部材30を動かすために設けられているアクチュエータ36は、接続部38において可動部材30に接続され、アクチュエータ36の反対側の端部において、ボギービーム12から突出している支持アーム42に接続点40で接続されている。
【0028】
剛性の細長い連結部18は、枢支点20において車軸14に枢動自在に接続されている。連結部18が従動部22を備える。本実施形態における従動部22は、可動部材30のカム面34に従動するように構成されたカム従動部22である。また、本実施形態の着陸装置はカム従動部付勢装置を備える。このカム従動部付勢装置は、複数のローラー26の形態であって、可動部材30の遠位側と係合するように設けられ、一対の引張ばね24を介して連結部18に接続されており、それによってカム従動部22をカム面34に対して付勢する。当業者には、カム従動部付勢装置を設けるための他の種々の方法(例えば水圧による方法)が明らかであろう。
【0029】
図2は、
図1の着陸装置であって可動部材30の位置が異なる状態を示す。アクチュエータ36が短くなっているので、可動部材30は直線的にアクチュエータ36に向かって移動している。その結果、カム従動部22がカム面34の異なる部分に移動し、それによって連結部18の位置が変更されている。連結部18は車軸14に枢動自在に接続されているので、車軸14が枢支点16を中心にボギービーム12に対して枢動する。こうして、可動部材30が動くことによって、ロック装置11aが従動部22を介してステアリング力を車軸14に伝える。可動部材30の動きに対応するため、支持ピン28がスロット32内において可動部材30に対して移動している。複数のローラー26は、カム従動部22との直線の関係を保つために可動部材30の遠位側に移動している。カム従動部22と複数のローラー26との間の距離が長くなったので、引張ばね24がさらに伸張していることが理解されよう。
【0030】
図3は、
図1可動部材30の部分平面図を示す。図からわかるように、カム面34はロック領域34aを含み、このロック領域34aは、車軸14がそのロック方向、またはロック方向の近くを向いているとき、ロック領域34aの表面によって画定される略平面が連結部18の長手方向軸線に対して略垂直になるように構成されている。そのため、カム従動部22がカム面34のロック領域34aに、またはロック領域34a内にあるとき、連結部18と可動部材30とが協働して、車軸14に加わる回転力に応じて車軸14がボギービーム12を中心に枢動するのを防ぐ。
【0031】
図1に戻り、
図3と共に参照すると、車軸14に加わる回転力は車軸を時計回りに枢動させようとするが、カム面34のロック領域34aに対して圧縮状態で作用する連結部18によって対抗される。その結果、回転力は、連結部18を介して可動部材30に加わる軸方向の力となる。ロック領域34aの略平面は連結部18の長手方向軸線に対して略垂直なので、連結部18を介して加わる力はロック領域34aによって画定される支持平面に垂直となる。そのため、ロック領域34aの表面に対して平行に働き、カム従動部22をカム面34に対して動かし得る力成分はほとんどない。その結果、ロック領域34aは、車軸14に加わる回転力が結果として可動部材60をほとんど動かさず、したがって車軸14をほとんど動かさない「不動帯(dead band)」を画定することになる。
【0032】
車軸14に加わる回転力は車軸14を反時計回りに枢動させ得るものであるが、本実施形態ではカム従動部付勢装置24、26によって対抗される。カム従動部付勢装置が設けられるすべての実施形態において、カム従動部付勢装置は、カム従動部が実質的にカム面と接触し続けることを確実にするように構成されることが望ましい。
【0033】
ロック領域34aの両端部から、第1非ロック領域34bおよび第2非ロック領域34cが伸びている。非ロック領域34b、34cは、カム従動部22が一方の非ロック領域34b、34cに、すなわち一方の非ロック領域34b、34c内にあるときに車軸14がボギービームを中心に枢動することを許容するように構成されている。各非ロック領域34b、34cはロック領域34aに対する傾きがゼロではなく、図示された例ではロック領域のいずれかの端部から単調に伸びている。したがって、カム従動部22がいずれかの非ロック領域34b、34c内にある間は、車軸14に回転力が加わる。連結部18を介して非ロック領域34b、34cに加わる力は連結部18の軸線に対して垂直な成分なので、カム従動部22をカム面34の非ロック領域34b、34cに沿って動かす。それと同時に、可動部材30の動きに応じて車軸14が動く。
【0034】
図3に示すカム面34bを横から見ると、非ロック領域34bはロック領域34aから正の傾きを持って伸びており、一方、非ロック領域34cはロック領域34aから負の傾きを持って伸びている。そのため、可動部材30の動きを介して、車軸14をいずれかの方向に回転させることができる。
【0035】
図4は、本発明の別の実施形態に係る可動部材40の部分平面図を示している。この可動部材は可動部材30と同様であり、明確にするため、同様の部分については詳細に述べない。本実施形態におけるカム面44は、可動部材40を貫通して形成されるスロット45の壁部によって画定されている。スロット45は、対向するロック領域44a、44a’と、対向する第1非ロック領域44b、44b’と、第2非ロック領域44c、44c’とを画定する。本実施形態では、カム従動部22がスロット45内に配置されている。カム面44がスロットによって画定されるので、スロット内においてカム従動部22が摺動自在に係合し、カム従動部付勢装置は不要となる。
【0036】
図5は、本発明のさらに別の実施形態に係る着陸装置50の部分平面図を示す。着陸装置50は着陸装置10と同様であり、明確にするため、同様の部分については詳細に述べない。
【0037】
図示された着陸装置50のロック装置11bは可動部材60を備え、可動部材60はピン62によってボギービーム12に枢動自在に接続され、したがって可動部材60はピン62を中心に枢動できる。可動部材60はカム面64を画定するスロットであって、
図4に示すのと同様の形態のものを含む。しかし、スロットの形状が
図4に示されたものと若干異なっていることが当業者には理解されよう。これは、図示された実施形態における可動部材60が、
図4に示された可動部材40のように直線的に動くように構成されているのではなく、回転するように構成されていることによるものである。連結部18は、スロットを画定する表面によって画定されたカム面64に従動するように構成されたカム従動部22を備える。
【0038】
図示された実施形態における連結部18は、連結部18を貫通して形成されるスロット19内に配置されたピン62によってボギービーム12に摺動自在に結合されている。スロット19は、車軸14が必要とされる角度全体にわたって動けるように構成される。図示された実施形態では、連結部18はスロット19によって安定化されているが、揺動連結等の別の方法が本発明の別の実施形態において用いられてもよい。
【0039】
ロック装置11bは、さらにアクチュエータ36を備える。アクチュエータ36の第1端部は枢支点56によって可動部材60に枢動自在に接続されており、第2端部は枢支点54において支持アーム52に接続されている。支持技術52は、強固にボギービーム14に接続されている。
【0040】
着陸装置50の使用中は、アクチュエータ36の伸縮によって、着陸装置50の車軸14が枢動する。これによって、可動部材60が枢支点62を中心に枢動することになる。さらに、これによって、スロットのカム面64がカム従動部22に対して動くことになる。先に述べた複数の実施形態では、カム面64が1つのロック領域と2つの非ロック領域とを含むように形成されていた。車軸14が望ましいロック方向(例えば、ボギービーム12の長手方向軸線に対して略垂直)を向いているときに、連結部18がカム面64のロック領域によって画定される略平面に対して略垂直となり、したがって「不動帯」内にあるように、可動部材60および連結部18が構成される。図示された実施形態では、連結部18の作用線は、車軸取付け位置20と、カム従動部22と、カム枢動軸62とを通る。
【0041】
アクチュエータ36が通常の中心の構成位置を超えて伸びると、可動部材60が枢支点62を中心に時計回りに枢動し、それによって車軸14が反時計回りに枢動する。逆に、アクチュエータ36が短くなることによって、可動部材60が反時計回りに回転し、それによって、また、カム面64の形状に従動するカム従動部によって、車軸が時計回りに回転する。
【0042】
図6は、本発明のさらに別の実施形態に係る着陸装置70の部分平面図を示す。この着陸装置70は、ロック装置11cを備える。着陸装置70は、ロック装置11cのアクチュエータ36が枢支点56において可動部材60に枢動自在に接続されているだけでなく、アクチュエータ36の第2端部が枢支点72において車軸に枢動自在に接続されていることを除き、着陸50と同様である。当業者には理解されるであろうが、この構成によれば、連結部18の動きによって発生するトルクに加えて、車軸枢動軸16を中心とするトルクが得られる。したがって、アクチュエータ36は、車軸14を同じ角度だけ動かすために、
図5に示されるように、アクチュエータ36の構成よりも長い距離を移動しなければならないが、負荷はより少ない。
【0043】
このように、上記した本発明の実施形態のそれぞれでは、連結部18のカム従動部22がロック領域内にあるときに車軸14が回転に対抗してロックされるように、ロック領域34a、44a、44a’を含むカム面34、44、64を含む可動部材30、40、60が設けられている。したがって、このロック構成位置にあるとき、本機構は車軸14に加わる外部負荷に対抗してロックされる。
【0044】
可動部材30、40、60を動かすように設けられているアクチュエータ36を備える実施形態において、車軸14が望ましいロック方向を向いていない場合には、後輪車軸14が望ましいロック方向に向いた状態で後輪車軸14をロックすることが望ましい。例えば、トレイル効果(trail effect)が車軸を望ましい方向(ボギービーム12に対して垂直)に向けるように動かすのに十分ではない場合に、アクチュエータ36が、カム面34、44、64に対するカム従動部22の動きを介して可動部材30、40、60を動かし、車軸をロック方向に向ける。
【0045】
図示された実施形態では、連結部18が車軸14に結合され、可動部材30、40、60が車軸12に連結されるか、または車軸12に対して可動に設けられているものとして示されている。しかし、いくつかの実施形態においては、これらが逆になり、連結部18がボギービーム12に結合され、可動部材30、40、60 が車軸14に連結されるか、車軸14に対して可動に設けられていてもよい。
【0046】
また、連結部は略直線であるとして説明してきたが、他の実施形態では「L」字型等、異なる形状であってもよい。このような場合には、連結部の長手方向軸線に対して略垂直な、ロック領域の略平面に関する上記の記述は、カム従動部と、連結部が車軸14およびボギービーム12のいずれかに枢動自在に接続される点と、の両方を通る直線によって画定される軸線に対して略垂直なロック領域の略平面によって置き換えられる。任意の適切な連結アームを備えることができる。
【0047】
さらに、本発明のいくつかの実施形態では、カム面は異なる形状に形成されてもよく、例えば、螺旋状にシャフトの回りに巻きつけられてもよい。この螺旋のピッチは変動し、ロック領域として作用するためにピッチがゼロとなる領域も含まれている。
【0048】
図7および
図8は、本発明のさらに別の実施形態に係る着陸装置90の部分平面図を示す。この着陸装置90は、ロック装置11dを備える。着陸装置90は、着陸装置50と同様であり、同様の部分には同じ参照番号が付されている。本実施形態のロック装置11dは、カム面104を有する可動部材100を備える。このカム面104は、ボギービーム12のいずれかの側面に圧縮カム面を含むダブルカム(double cam)形状を画定する。車軸14は、その軸線のいずれかの側面上または回転16上に配置された一対のカム従動部22a、22bを支持している。これにより、車軸の回転が両方の方向において制限される。
【0049】
図9に示されるように、カム面104の形状は概して、丸みを帯びて下側に突き出た一対の山部と、その間の丸みを帯びた谷部とからなる。可動部材100をボギービーム12に接続する枢支点62が、この一対の山部に対して可動部材100の反対側において一対の山部の間に備えられる。それぞれの山部は、互いに対向する面と、外側の面とを有する。
【0050】
ロック装置は、車軸14が垂直向きであるとき、カム従動部22a、22bがカム面104のそれぞれの山部の外側の面とロック領域104aにおいて係合するように構成される。それぞれのロック領域104aの部分は、カム枢支点62から一定の半径、すなわちカム枢動中心を通る法線に対して直角をなす円周面である。そのため、カム従動部22a、22bのいずれかがロック領域にあるとき、そのカム従動部22a、22bの回転軸と、枢支点62の回転軸とを通る線は対応するロック領域104aのカム面に対して略垂直である。したがって、可動部材110のロック領域にカム従動部22a、22bが位置するようにロック装置11dが構成されるとき、車軸14は動きに対してロックされる。なぜなら、この位置では、車軸14に加わる力(モーメント)はカム従動部22a、22bのいずれかに対する負荷となるが結果的に可動部材100に加わるモーメントはなく、ロック装置11dはロックされたままとなるためである。
【0051】
上記の実施形態では、アクチュエータ36によって可動部材100が適切に動かされると可動部材100が回転し、それによってカム面104が従動部22a、22bに対して動いて従動部22a、22bが非ロック領域104b、104cのいずれかに入るようにする。その際、可動部材100が車軸14をステアリングする。なぜなら、可動部材100が一定の角度を超えて回転すると、従動部22a、22bが半径一定の面に位置しなくなり、したがって車軸14を回転させる力をかけるように、可動部材100のカム面104が成形されているためである。
図8の例示を参照されたい。枢動中心62からのカム半径は、車軸14およびカム従動部22a、22bの表面形状と適合する関係性で、カム従動部22a、22bが接触する側面では増加し、他方の側面では減少する。
【0052】
上記の本発明の実施形態では、「不動帯」位置が設けられるようにカム面を画定する可動部材がこのように用いられる。「不動帯」位置では、車軸14がアクチュエータ36による駆動に対抗することはできないが、アクチュエータ36は指示されれば車軸14を駆動することができる。「不動帯」位置の外側では、アクチュエータ36が車軸14を駆動することはできるが、アクチュエータが減圧された際等には車軸14もアクチュエータ36による駆動に対抗することができる。
【0053】
図10〜12は、本発明のさらに別の実施形態に係る着陸装置110の部分平面図を示す。この着陸装置110は、ロック装置11eを備える。ロック装置11eは、上記の実施形態と類似した態様で「不動帯」と可動帯とを設けるための外サイクロイド歯車装置を含む。
【0054】
ロック装置11eは、ボギービーム14に対して可動部材120で固定された歯車要素112を備える。可動部材120は、歯車112の幾何学的中心を中心として枢動する。可動部材120は概して細長く、歯車112中心に関する第1枢支点122と、小歯車114を支持する第2枢支点124と、アクチュエータ36に取り付けるための第3枢支点126と、の3つの枢支点を有する。
【0055】
小歯車114は、その枢動軸124に対して可動部材120上で回転自在であるが、歯車112とかみ合っている。ピン128は、好ましくは小歯車中心からの半径が、歯車の歯がかみ合う中心(ピッチ円半径)とほぼ同じかそれより若干長い距離の位置において小歯車114に対して固定されている。ピン128は、このように可動部材120の動きに従って動く従動部を画定する。連結部116は、ピン128を車軸14の一方の側面に接続する。
【0056】
図示された実施形態において、歯を有する大歯車112と小歯車114とは完全な円周の歯車として示されているが、実際には、より小さくして、互いにかみ合う円弧要素、すなわち、接触する領域をカバーするのに十分なだけのものでもよい。
【0057】
アクチュエータ36が作動すると、
図11に示されるように、可動部材120が歯車112に対して揺動する。歯車112とかみ合う小歯車114は歯車112の円周の回りを転がり、取り付けられたピン128は、図示されるように外サイクロイド軌跡L上を動く。したがって、取り付けられた連結部116が車軸14を揺動させ、それによってステアリングする。
【0058】
図6を参照して説明される実施形態では、アクチュエータ36は他方の端部において車軸14に取り付けられて示されている。これは、利便性と機械効率との両方を目的とするものである。しかし、アクチュエータ36の他方の端部は、
図5および
図7に示すように例えばボギービーム12に取り付けられてもよい。
【0059】
図12は、反対方向にステアリングされた車軸14を備えるロック装置11eを示している。ピンの軌跡L、すなわち外サイクロイドを考慮すると、
図10においてピンが歯車112の中心に最も近く、ピンの(いずれかの方向に動く)瞬間的な経路は実質的に歯車112に対する法線となっていることが明らかである。
【0060】
図10において、連結部は、ピン128の瞬間的な経路に対して略垂直となるような位置にある。これにより、連結部116における負荷がロック装置11eの可動部材120の駆動に対抗しないが、アクチュエータ36がこの位置から可動部材120に動力を与えられるような構成に、ピン(ただし従動部ともなり得る)128が配置されるように、ロック装置11eが構成される。ピンの位置が大きくずれると、可動部材120の駆動が対抗される。
【0061】
このように、本発明の実施形態では、外サイクロイド機構は、前述したカムと同様の機能を行うことができる。
【0062】
別の実施形態では、ロック装置11eは、可動部材と、従動部とを含んでもよく、その場合、これらは従動部を別の種類のトロコロイド軌跡で動かす歯車機構の一部として設けられる。当業者には、用語「トロコイド」が、サイクロイド(直線経路を動く小歯車114の円周上のピン128の軌跡)と、外サイクロイド(円の外側の回りを動く小歯車114の円周上のピン128の軌跡)と、内サイクロイド(円の内側の周りを動く小歯車114の円周上のピン128の軌跡)と、を含むことが理解されよう。これらの軌跡のそれぞれは、「一般的な」トロコイドである。すなわち、ピン128が、実質的に小歯車114の円周上、すなわちピッチ円半径上にある。
【0063】
別の実施形態では、ピン128の小歯車114中心からの距離を大きくして、ピッチ円半径よりも長い距離にしてもよい。これによって、ピン軌跡Lに小さな「ループ」が生じ、ロック領域の範囲が改善される。これによって、拡張サイクロイド、扁長の外トロコイド、または扁長の内トロコイドの歯車装置が画定されるが、これは、小歯車114がそれぞれ直線経路、円の外側、または円の内側のいずれに沿って動くように構成されたかに応じて定まる。これらの軌跡のそれぞれは「扁長」トロコイドであり、すなわち、ピン128が小歯車114の円周、すなわちピッチ円半径を超えて配置される。
【0064】
いくつかの実施形態では、ピンの距離は小歯車114の円周、すなわちピッチ円半径より若干短くてもよい。それによって、幾何学的にロックするのではなく摩擦によってロックする「短縮」トロコイドが得られる。
【0065】
明確にするため、図示された実施形態に示された部分が、互いを見過ごして不明瞭にされることがなかったことに留意すべきである。当業者には、カンチレバーピン支持部または湾曲連結部を適宜用いて、歯車サイズと小歯車サイズと選択して垂直方向に離すことによって、大きな移動を強いるような雑然性なく上述のよう接続されるように、図示された実施形態を変形できることが明らかであろう。
【0066】
本発明のそれぞれの実施形態に係る着陸装置10、50、70はさらに、車軸をステアリングするためのアクチュエータ(不図示)を備えてもよい。このとき、アクチュエータ36は、カム面をカム従動部に対して動かし、カム従動部がロック領域から出るように動かすように構成される。それによって、ステアリング用アクチュエータが車軸14の向きを変更することが許容される。カム従動部22がカム面の非ロック領域に存在する一方で、アクチュエータ36は受動的に作用してもよいし、作動して車軸14に加わる回転負荷を補ってもよい。
【0067】
あるいは、すべての後輪車軸14のステアリングが可動部材30、40、60および連結部18を介して行われてもよい。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態では、従動部22、22a、22bが、ロック領域、すなわち不動帯内に存在するような位置に向かうように、可動部材30、40、60、100、120をばね等の可動部材付勢装置(不図示)によって付勢してもよい。本発明の各実施形態に係る着陸装置10、50、70、90、110のロック装置11a〜ロック装置11eにおいては、表面が離間することがないので、ロック装置11a〜ロック装置11eは静かに動作することができる。