特許第5656240号(P5656240)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5656240
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】部品の統合生産システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20141225BHJP
   G06F 17/30 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
   G06Q50/04
   G06F17/30 110C
   G06F17/30 170Z
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2009-89112(P2009-89112)
(22)【出願日】2009年4月1日
(65)【公開番号】特開2010-244118(P2010-244118A)
(43)【公開日】2010年10月28日
【審査請求日】2012年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】593176276
【氏名又は名称】株式会社田中
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100084858
【弁理士】
【氏名又は名称】東尾 正博
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由
(72)【発明者】
【氏名】田中 弘一
(72)【発明者】
【氏名】田中 信一
【審査官】 青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−234220(JP,A)
【文献】 特開2002−288465(JP,A)
【文献】 特開2008−139995(JP,A)
【文献】 特開2002−202996(JP,A)
【文献】 特開2002−269403(JP,A)
【文献】 特開2002−342554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−50/34
G06F 17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品の構成部分である部材をそれぞれ製造する多数の生産拠点の前記部材の製造履歴に関するデータを集積したサーバと、このサーバにアクセスして、発注された部品の部材を前記生産拠点へ割振り、部品製造のために統合するプログラムがロードされたパーソナルコンピュータより成る部品の統合生産システムにおいて、
前記サーバは、各生産拠点名とその拠点が製造する部材の少なくとも名称、材質、製造工程、検査方法を登録したデータベースを有し、前記コンピュータには、発注された部品の少なくとも設計図面及び仕様書から構成している部材に分解した各構成部材の少なくとも名称と材質を入力した部材テーブルが記憶され、前記プログラムは、前記部材テーブルの一部材ずつのデータを順に引き出し前記データベースを検索して同一部材をサーチする手段と、前記データベースに同一部材が存在したときに少なくともその拠点名と部材の製造工程及び検査方法を抽出して前記テーブルの当該部材に対応させて記憶する手段と、前記テーブルの全ての部材について検索が完了したときに前記テーブルとその各部材に対応させて記憶した全てのデータを前記発注された部品の製造履歴データファイルとして出力する手段を含むことを特徴とする部品の統合生産システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生産拠点である多数の企業を統合して一つの製品を生産できるようにし、かつ各々の企業が担当して製作した各部材の製造履歴を一括して容易にトレースできるようにした統合生産システムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機のような極めて多数の部品を要する大形製造物は、航空機メーカからピラミッド状に分岐した多数の企業の協力体によって完成される。一方またそれぞれの部品には、極めて高度の信頼性が要求される。
【0003】
そのため従来は、各部品を製造した企業がそれぞれ独自に書類やコンピュータの記憶装置にその部品の製造過程や品質検査方法等の所謂製造履歴を保存していたが、緊急を要する場合に、直ちに全ての製造履歴を提供するのはほとんど不可能であり、しかも一貫性、連続性を有するデータとして提供することも不可能であった。
【0004】
また、特に中小企業は、部品の中のさらに小さい一部分あるいはエレメントを製造するだけであり、親企業からの指示に従って部品の一部分を受動的に製造するだけであって、自らが部品の提案を行なうなど、積極的に製造に参画することはなかった。
【0005】
さらに、航空機のような高度の技術を要求されるレベルを有し、かつその技術分野に参入を望みながら、ある種のコネクションを持たないため、部品製造に参加できない企業も多かった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明の課題は、どのような企業でも自由に参加でき、製品に応じて任意に企業を組合せて一貫して生産することが可能で、その完全な製造履歴を迅速かつ容易にトレースできるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、この発明は、部品の構成部分である部材をそれぞれ製造する多数の生産拠点の前記部材の製造履歴に関するデータを集積したサーバと、このサーバにアクセスして、発注された部品の部材を前記生産拠点へ割振り、部品製造のために統合するプログラムを有するパーソナルコンピュータより成る部品の統合生産システムにおいて、
前記サーバは、個々の生産拠点名とその拠点が製造する部材の少なくとも名称、材質、製造工程、検査方法を登録したデータベースを有し、前記コンピュータには、発注された部品の少なくとも設計図面及び仕様書から構成している部材に分解した各構成部材の少なくとも名称と材質を入力した部材テーブルが記憶され、前記プログラムは、このテーブルの一部材ずつのデータを順に引き出し、前記データベースを検索して同一部材をサーチする手段と、前記データベースに同一部材が存在したときに少なくともその拠点名と部材の製造工程及び検査方法を抽出して前記テーブルの各部材に対応させて記憶する手段と、前記テーブルの全ての部材について検索が完了したときに前記テーブルとその各部材に対応させて記憶した全てのデータを製造履歴データファイルとして出力する手段を含むことを特徴とする。
【0008】
前記テーブルの全ての部材について検索が完了した後、このテーブルに挙げられた部材を製造すべき生産拠点に対して確認を行なう手段を設けることができる。また、前記部材を製造する企業群は任意に参加可能である。さらに、前記製造履歴データファイルは少なくとも発注がアクセス可能になっている。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、発注された部品の設計図面や仕様書等から部品の構成部分である部材テーブルを作成し、このテーブルに基づいて様々な部材を製造する生産拠点群のデータベースを検索し、発注部品を生産できる複の生産拠点の組合せを抽出し、かつそれらの部材の製造工程や検査方法なども前記部材テーブルに付属させて製造履歴データファイルとして出力したので、異なった様々な発注部品に応じて統合された生産体制を作り上げることができ、かつ発注部品の製造履歴を前記ファイルにアクセスするだけで完成品全体として一括して容易かつ確実に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の複数企業による統合生産システムの概要を示すダイアグラムである。
図2】発注された部品である油圧ポンプを示す縦断面図である。
図3】この発明のシステムにおいて、コンピュータ処理を示すフローチャートである。
図4】部材テーブルのデータ様式を示す図表である。
図5】データベースの登録データ様式を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1に示すように、統合生産システムは、任意の、主として中小企業群から形成され、生産拠点となる参加企業A1…An社と、部品を発注する発注企業30との間に介在して、発注された部品を分析し、前記参加企業A1…An社を適宜連携させ一貫して生産できるように統合管理する連携統合センタ10の3者を結ぶネットワークから成る。
【0012】
参加企業A1…An社は、任意に参加可能であり、メーカに限らずソフトウェアに関する企業であってもよい。それぞれ参加企業An社は、製造する製品をセンタ10に登録する
図5に示すように、登録事項は、企業名は勿論のこと、製品名、材質、製造工程、検査方法、品質管理方法などである。このうち、製品名は、統一名称で登録する。例えば航空機業界では航空機メーカが統一名称の規格を作製しており、その辞書に従って製品名を使用するようになっている。勿論、他の統一名称、例えばJIS規格に則った名称を用いてもよい。登録方法は、参加企業An社が有するパーソナルコンピュータや携帯電話等の通信手段を用いてもよく、或いは書類をセンタ10に送付してもよい。
【0013】
センタ10はサーバ20を有し、参加企業An社からのデータをデータベース21に保存する。また、センタ10は、発注企業30からの製品(部品)の発注を受けたり、新製品(部品)の提案を行なったりする。その際、センタ10が保有するコンピュータプログラムによって、製品の分析、参加企業群A1…Anへの割振りなどを行なう。
【0014】
上記プログラムは、センタ10で操作されるパーソナルコンピュータなどにロードされている。
【0015】
いま、例えば航空機部品として図2に示すような油圧ポンプ40がセンタ10に発注されたものとする。この油圧ポンプ40は、ハウジング41内に、複数のピストン42を所定の間隔で保持するシリンダブロック43がドライブシャフト44によって回転駆動されるように収納され、それぞれのピストン42の先端には、ピストンシュー45が全方向に揺動自在に取り付けられ、このシュー45はヨーク(斜板)46に摺動可能に接続されている。そして、ドライブシャフト44によって回転駆動されたシリンダブロック43の回動と共に、複数のピストンシュー45はヨーク(斜板)46に密着しながら摺動するため、各ピストン42はその軸方向に移動し、シリンダブロック43の各シリンダの容積を変動させ、シリンダ内の油を排出または吸引するポンピング作用を行なう。
【0016】
上記のような油圧ポンプ40の図面や仕様書を見ながら図3に示すように、ステップS1で油圧ポンプ40を構成している部材に分解し、パーソナルコンピュータに入力して図4に示すような部材テーブルを作成しメモリに記憶させる。このとき、設計図面や仕様書には、部品の各部が機能的に表現されていることが多い(例えばハウジングやカバー等)ので、入力時に前述した統一名称に変更する必要が生じる。これは操作者の入力による以外は困難であろうと思われる。その他は、例えばオプティカルリーダで入力可能である。また、発注企業30から設計図面や仕様書等のデータがディスクやメモリスティック等の記憶装置形式やインターネットを介して送信されてくれば、それをそのまま入力して部材テーブルを作成し、足らない部分を人手入力で補完することができる。なお、部材テーブルにおける部材の最小単位は、例えばJISの機械要素と同じレベルにしておくのがよい。さらに部材の図面も入力できればなおよい。
【0017】
上記の部材テーブルが完成すると、ステップS2でこの部材テーブル一部材ずつのデータを順に引き出し、データベース21を検索する。検索キーは、部材の統一名称及び材質とするのがよい。そして全てのデータベースを検索するのが好ましい。この検索によって同一部材同一材質のものが見つかれば(ステップS3)、ステップS4図4の下段に示すように、対応する企業名及びその企業のデータベース21に登録されている製品工程、検査方法、品質管理方法などの全てのデータを取り出して部材テーブルの対応欄に付属させ記憶させる。なお、同一部材を製造可能な企業は複数あってもよい。その場合も同様にそれぞれの企業について製造工程などのデータを取り出し、対応する部材に付属させる。
【0018】
当初のステップS1で作成したテーブルの全ての部材について検索が終了すると(ステップS5)、必要に応じてテーブルに挙げられた各企業にメールでテーブルの内容を通知し、製造の可否について各企業からの許諾を得ることができる。勿論この操作は、各企業のメールアドレスさえ登録しておけばプログラムで自動的に行なうことができる。そして製造不可の回答があれば部材テーブルから削除するかフラッグを立てておけばよい。
【0019】
こうして完成した最終部材テーブルを、ステップS7でハードディスク等の記憶装置から成る製造履歴データファイル22に書き込む。勿論プリントアウトしておくこともできる。なお、データファイル22に書き込む際のヘッダーは、言うまでもなく発注部品名や発注番号、設計図面、仕様書などである。
【0020】
前記ステップS3でデータベース21を検索したとき、部材が見つからない場合には、部材の統一名称と材質のいずれかまたは両方を多少変更した類似品で再検索することができる。それで見つけることができれば、部材テーブルに登録しておき、ステップS6で確認すればよい。再検索によっても見つけることができなければ、参加企業以外に外注することも考えなければならないが、いずれにしてもこれは極めて例外的なことであり、この発明では、あくまで参加企業内で部材を調達できることを前提としている。
【0021】
前述の処理ステップS1〜S8は、部品の発注があったことを前提に説明したが、連携統合センタ10が新製品として部品を開発し、それを企業30に提案することができる。この場合も、企業30から発注があった場合と同様に、予め設計図面や仕様書に基づいて、ステップS1〜S8の処理を行なっておくことができる。
【0022】
上述のようにして作成されたデータファイル22に基づいて指定された企業が指定された部材を製造することにより、発注された部品の一貫した生産が可能になるがそれぞれの部材をアセンブルして一つの部品に仕上げるためには、別途アセンブルラインと集配ヤードを有する企業を設立してもよい。連携統合センタ10の本来の目的は、多数の任意参加企業群から、特定の企業を選択して特定の部品を一貫した生産により完成させ、その品質を保持するための製造履歴を迅速かつ確実に得られるようにすることである。
【0023】
このように、データファイル22に基づいて、指定された企業がそれぞれ指定された部材を製造することにより、そのデータファイル22に登録された材質、仕様書、製造工程、検査方法、品質管理方法等が即ち製造履歴となる。従ってこのデータファイル22にアクセスすることによって、ある部品の製造履歴を一してトレースできることになる。
【符号の説明】
【0024】
10 連携統合センタ
20 サーバ
21 参加企業データベース
22 製造履歴データファイル
30 発注企業
40 油圧ポンプ
41 ハウジング
42 ピストン
43 シリンダブロック
44 ドライブシャフト
45 ピストンシュー
46 ヨーク
1〜An 参加企業
1〜S8 処理ステップ
図1
図2
図3
図4
図5