特許第5656268号(P5656268)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5656268
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】産業ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20141225BHJP
   B23Q 1/50 20060101ALI20141225BHJP
   B23Q 1/62 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
   B25J13/00 Z
   B23Q1/50 A
   B23Q1/62 B
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-52645(P2013-52645)
(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公開番号】特開2014-176930(P2014-176930A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2013年12月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506329292
【氏名又は名称】スターテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081466
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 研一
(72)【発明者】
【氏名】菱川 辰巳
【審査官】 佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−041992(JP,A)
【文献】 特開平07−060541(JP,A)
【文献】 特開昭62−063043(JP,A)
【文献】 特開2009−166204(JP,A)
【文献】 特開2010−069573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00−21/02
B23Q 1/50
B23Q 1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台に対して基端部が搖動及び回動するように設けられた第1ロボットアームと、
上記第1ロボットアームの先端部に対して基端部が搖動及び回動するように設けられた第2ロボットアームと、
該第2ロボットアームの先端部に設けられ、加工具が取り付けられる加工ヘッドと、
を備えた少なくとも2本のアーム構造からなる産業ロボットにおいて、
上記加工ヘッドは、
第2アームの軸線と一致する方向及び直交する方向のいずれか一方へ延出する第1フレームに対してその延出方向へ移動可能に支持される第1可動体と、
第1フレームに対して第1可動体を第1フレームの延出方向へ往復移動する数値制御可能な電動モータと、
上記第1可動体に対して第1フレームの延出方向と直交する方向へ延出して設けられる第2フレームにその延出方向へ往復移動可能に支持される第2可動体と、
第2フレームに対して上記第2可動体を第2フレームの延出方向へ往復移動する数値制御可能な電動モータと、
からなり、
第1及び第2ロボットアームを搖動及び回動して上記加工ヘッドを被加工物における予め設定された加工位置へ移動した状態で各電動モータの駆動に伴ってそれぞれの方向へ移動する第1及び第2可動体により加工具を二次元方向へ移動して被加工物を加工する産業ロボット。
【請求項2】
請求項1において、
加工具は、切削具、切断具、穿孔具、レーザ光出力ヘッド、超音波出力ヘッドの少なくともいずれかとした産業ロボット。
【請求項3】
請求項1において、
第2可動体には、加工具の周囲を覆い、排気手段に接続される集塵部材を設けた産業ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットアームに取り付けられて被加工物に所要の加工を施す産業ロボット、詳しくは加工ヘッドが被加工物の加工ホームポジションに位置するようにロボットアームを移動した状態で該ロボットアームを移動することなく加工具を二次元移動して被加工物に所要の加工を実行する産業ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に示す産業ロボットは、支持装置に位置出しされた状態で保持された被加工物に対し、予め記憶された加工位置データに基づいてロボットアームを搖動及び回動制御して先端部に取り付けられた加工ヘッドを加工位置へ移動した後に予め記憶された加工パターンデータ等に基づいてロボットアームを搖動及び回動制御して加工ヘッドを移動しながら加工具を駆動して被加工物の周縁を切削してトリミングしたり、所定の箇所を穴開けしたりして所要の加工を行っている。
【0003】
しかし、上記の産業ロボットにあっては、被加工物を高精度で加工するには、ロボットアームを高い位置精度(高分解能)で搖動及び回動制御する必要があり、加工位置データ及び加工パターンデータが大容量化し、ロボットアームを高速度で搖動及び回動制御することが困難であった。特に、これらの加工位置データ及び加工パターンデータを高分解能で教示入力する際には、教示入力作業に手間と時間がかかり、データの設定作業性が悪い問題を有している。
【0004】
また、作業に被加工物の加工態様を変更する際には、被加工物の加工態様ごとに全部の加工位置データ及び加工パターンデータを設定し直す必要があり、これらデータの設定作業に時間や手間が掛かり、作業性が悪く、加工作業を効率的に実行できない問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−68272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、被加工物を高精度で加工するには、加工位置データ及び加工パターンデータが大容量化してデータの設定作業に時間と手間が掛かり、設定作業効率が悪い点にある。
【0007】
また、被加工物の加工態様を変更する際には、加工態様ごとに全部の加工位置データ及び加工パターンデータを設定し直す必要があり、これらデータの設定作業に時間や手間が掛かって作業性が悪く、加工作業を効率的に実行できない点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、基台に対して基端部が搖動及び回動するように設けられた第1ロボットアームと、上記第1ロボットアームの先端部に対して基端部が搖動及び回動するように設けられた第2ロボットアームと、該第2ロボットアームの先端部に設けられ、加工具が取り付けられる加工ヘッドと、を備えた少なくとも2本のアーム構造からなる産業ロボットにおいて、上記加工ヘッドは、第2アームの軸線と一致する方向及び直交する方向のいずれか一方へ延出する第1フレームに対してその延出方向へ移動可能に支持される第1可動体と、第1フレームに対して第1可動体を第1フレームの延出方向へ往復移動する数値制御可能な電動モータと、上記第1可動体に対して第1フレームの延出方向と直交する方向へ延出して設けられる第2フレームにその延出方向へ往復移動可能に支持される第2可動体と、第2フレームに対して上記第2可動体を第2フレームの延出方向へ往復移動する数値制御可能な電動モータと、
からなり、第1及び第2ロボットアームを搖動及び回動して上記加工ヘッドを被加工物における予め設定された加工位置へ移動した状態で各電動モータの駆動に伴ってそれぞれの方向へ移動する第1及び第2可動体により加工具を二次元方向へ移動して被加工物を加工することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、被加工物を高精度で加工する場合であって、産業ロボットの記憶手段に記憶されるデータを小容量化してロボットアームを高速度で搖動及び回動制御することができる。また、被加工物の加工態様を変更する場合であっても、簡易にデータを設定変更して加工作業を効率的に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】産業ロボットの概略を示す全体斜視図である。
図2】加工ヘッドの概略を示す斜視図である。
図3】加工ヘッドを図2に示す矢示A方向から視た側面図である。
図4】加工ヘッドを図2に示す矢示B方向から視た側面図である。
図5】加工ヘッドを加工開始位置へ移動した状態を示す説明図である。
図6】加工ヘッドを二次元方向へ移動しながらバリ取り加工する状態を示す説明図である。
図7】バリ取り加工時における切削屑の吸引状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1及び第2ロボットアームを搖動及び回動して上記加工ヘッドを被加工物における予め設定された加工位置へ移動した状態で各電動モータの駆動に伴ってそれぞれの方向へ移動する第1及び第2可動体により加工具を二次元方向へ移動して被加工物を加工することを最良の実施形態とする。
【実施例1】
【0013】
以下、本発明の実施例を図に従って説明する。
図1に示すように、産業ロボット1は、搖動及び回動する複数本(図示の例では2本とするが、これに限定されるものではない。)のロボットアーム3,5を備えた多関節型のロボットで構成される。具体的には、産業ロボット1の基台7には、上下方向に軸線を有した電動モータ(図示せず)の出力軸が連結された回動軸受台9が回動するように支持され、該回動軸受台9には、第1ロボットアーム3の基端部が搖動するように軸支される。該第1ロボットアーム3の基端部には、水平方向に軸線を有した電動モータ11の出力軸が連結され、水平方向軸線周りに回動可能に支持され、図示しない電動モータ及び図示する電動モータ11の駆動により第1ロボットアーム3が水平回動及び搖動される。
【0014】
上記第1ロボットアーム3の先端部には、内蔵された電動モータ(図示せず)の出力軸に連結された回動軸受部材(図示せず)が第1ロボットアーム3の延出軸線周りに回動するように支持され、該回動軸受部材には、第2ロボットアーム5の基端部が搖動するように支持される。該第2ロボットアーム5の基端部には、水平方向に軸線を有して回動軸受部材に連結された電動モータ15の出力軸が連結され、上記した図示しない電動モータ及び図示する電動モータ15の駆動により回動及び搖動される。
【0015】
上記第2ロボットアーム5の先端部には、内蔵された電動モータ(図示せず)の出力軸に連結された回動軸受部材17が第2ロボットアーム3の延出軸線周りに回動するように支持され、該回動軸受部材17には、加工ヘッド19が搖動するように支持される。該加工ヘッド19は、上記した図示しない電動モータの駆動により回動される。
【0016】
上記した図示しない電動モータ及び図示する電動モータ11,15は、数値制御可能なサーボモータ等により構成され、産業ロボット1におけるロボット制御ユニットの記憶手段(図示せず)に記憶された加工開始位置データに基づいて駆動制御されることにより基台7に対して第1ロボットアーム3を、また第1ロボットアーム3の先端部に対して第2ロボットアーム5をそれぞれ搖動及び回動して加工ヘッド19を被加工部材21における加工開始位置へ移動させる。
【0017】
図2図4に示すように、上記加工ヘッド19の第1フレーム23は、第2ロボットアーム5の延出直交方向(以下においては、左右方向とも称する。)へ所要の長さで延出するように形成され、該第1フレーム23には、上記左右方向へ延出するガイドレール25が取り付けられる。また、該第1フレーム23における上記左右方向両端部には、上記左右方向に軸線を有した第1送りねじ27の軸線両端部がそれぞれ回転するように軸支され、一方の軸端部には、第1フレーム23に取り付けられた数値制御可能なサーボモータ等の第1電動モータ29が駆動連結される。
【0018】
上記ガイドレール25には、第1可動体31が上記左右方向へ往復移動するように支持されると共にそのナット部(図示せず)には、上記第1送りねじ27が噛合わされ、上記第1電動モータ29の駆動に伴って回転する第1送りねじ27により第1可動体31が往復移動される。上記第1電動モータ29、ナット部、第1送りねじ27は、第1駆動部材を構成する。
【0019】
上記第1可動体31には、上記延出方向(以下においては、前後方向とも称する。)へ所要の長さで延出する第2フレーム33が取付けフレーム35を介して設けられ、該第2フレーム33には、前後方向へ延出するガイドレール36が取り付けられる。また、該第2フレーム33における上記前後方向の両端部には、上記前後方向に軸線を有した第2送りねじ37の軸線両端部が回転するように軸支され、一方の軸端部には、第2フレーム33に取り付けられた数値制御可能なサーボモータ等の第2電動モータ39が駆動連結される。
【0020】
上記ガイドレール36には、第2可動体41が上記前後方向へ往復移動するように支持されると共にそのナット部(図示せず)には、上記第2送りねじ37が噛合わされ、上記第2電動モータ39の駆動に伴って回転する第2送りねじ37により第2可動体41が往復移動される。上記第2電動モータ39、ナット部、第2送りねじ37は、第2駆動部材を構成する。
【0021】
上記第1及び第2電動モータ29,39は、加工ヘッド制御ユニットの記憶手段(図示せず)に記憶された切削パターンデータに基づいて駆動制御され、第1可動体31を左右方向、第2可動体41を前後方向へそれぞれ移動してエンドミル45を被加工物21の周縁に沿って移動することにより切削加工を行う。
【0022】
上記第2可動体41の一部は、側方へ突出し、該突出部には、上記第2可動体41の移動方向と直交する方向に軸線を有した加工具として被加工物21の端縁において外側へ突出する、例えばバリ21aを切削除去するエンドミル45が設けられる。
【0023】
該エンドミル45は、上記突出部に設けられた加工駆動部材としての電動モータ47の出力軸に交換可能に取り付けられ、該電動モータ47の駆動に伴って所要の方向へ回転して上記バリ21aを切削して除去する。
【0024】
また、上記エンドミル45側の突出部には、円筒状の集塵部材49が下方へ突出して上記エンドミル45を覆うように取り付けられる。該集塵部材49には、ブロアー等の排気手段(図示せず)に接続された集塵ホース51が接続され、回転するエンドミル45により切削される切削屑を排出するように構成される。
【0025】
なお、上記集塵部材49内に位置するエンドミル45は、その刃先が下面から所要の長さで突出し、被加工物21を切削可能に構成される。なお、図中の符号50は、集塵部材49の下端部に取り付けられて被加工物21の表面に当接する弾性パッドである。
【0026】
上記第1及び第2フレーム23,33における第1及び第2可動体31,41の両側には、伸縮カバー(図示せず)を取り付け、それぞれの送りねじ27,37に切削屑が付着するのを防止する。
【0027】
上記した産業ロボット1の図示する前方には、被加工物21の被加工物保持手段53が配置される。該被加工物保持手段53としては、中心部及び両側の全部及び後部にそれぞれ立設された支持柱53aの上部にセットされた被加工物21を位置出しした状態で吸引部材により吸着したり、クランプ部材により把持したりして固定するものである。
【0028】
なお、被加工物保持手段53としては、例えば本出願人の出願に係る特願2012-155113号に記載されたワーク支持装置としてもよい。該ワーク支持装置は、被加工物21における中心部の下面を支持する基準支持部材に対してワークの一方側にて互いに近接する方向及び離間する方向へ移動可能に支持されると共に高さ方向へそれぞれ移動可能に設けられ、ワークの両側に位置する各支持箇所を支持する2個の支持部材を備え、ワークの中心部に対して基準支持部材を位置させると共に支持されるワークの支持箇所に応じて各支持部材を互いに離間する方向及び近接する方向と上下方向へ移動し、これら基準支持部材と2個の支持部材によりワークを安定した状態で支持することができる。
【0029】
次に、上記のように構成された産業ロボット1及び加工ヘッド19により被加工物21としての車輛用樹脂製バンパー(以下、バンパーと称し、符号21を付す。)の周縁に形成されたバリ21aをエンドミル45により切削除去する加工作用を例に説明する。
【0030】
先ず、被加工物保持手段53に周縁のバリ21aが切除された図示しない教示入力用バンパーを位置決めした状態でセットした後に産業ロボット1の各電動モータ11,15をそれぞれ駆動して第1及び第2ロボットアーム3,5をそれぞれ搖動及び回動して加工ヘッド19をセットされた教示入力用バンパー周縁における複数の加工開始位置へそれぞれ移動する。そして加工ヘッド19がそれぞれの加工開始位置に位置した際に制御手段の設定ボタンをON操作すると、産業ロボット1の各電動モータ11,15に設けられた位置検出器(エンコーダ)からの信号を読み込んで各加工開始位置の三次元位置データをロボット制御ユニットの記憶手段に記憶することにより教示設定する。
【0031】
なお、教示入力用バンパーの周縁に設定される複数の加工開始位置は、相互の間隔が第1及び第2可動体31,41の最大移動距離の範囲内になるように設定される。また、上記教示入力の代わりに各加工開始位置データを直接数値入力して設定する方法であってもよい。
【0032】
次に、上記作業により記憶された各加工開始位置データに基づいて産業ロボット1の各電動モータ11,15をそれぞれ駆動して加工ヘッド19を教示入力用バンパーの加工開始位置へ移動した後に、第1及び第2電動モータ29,39をそれぞれ駆動して第1可動体31を図示する左右方向、また第2可動体41を図示する前後方向の二次元方向へそれぞれ移動して教示入力用バンパーの周縁に沿って加工ヘッド19のエンドミル45を移動しながら第1及び第2電動モータ29,39にそれぞれ設けられた位置検出器(エンコーダ)からの信号を読み込んで加工ヘッド制御ユニットの記憶出段に記憶することによりエンドミル45の移動データを切削パターンデータとして教示設定する。
【0033】
上記した切削パターンデータの教示設定作業を加工開始位置毎に行い、教示入力用バンパーの周縁全体の切削パターンデータを設定する。上記切削パターンデータの設定は、各加工開始位置を起点とする二次元位置を直接、数値入力する方法としてもよい。
【0034】
そして周縁にバリ21aが形成されたバンパー21のバリ取り加工作用を説明すると、被加工物保持手段53に上記バンパーを位置決めした状態でセットして加工開始ボタンがON操作されると、産業ロボット1は、図示しない電動モータ及び図示する電動モータ11,15をロボット制御ユニットの記憶手段に記憶された加工開始位置データに基づいてそれぞれ駆動制御して第1及び第2ロボットアーム3,5をそれぞれ搖動及び回動して加工ヘッド19をバンパー21における第1番目の加工開始位置へ移動させる。(図5参照)
【0035】
この状態で第1及び第2電動モータ29,39を加工ヘッド制御ユニットの記憶手段に記憶された第1番目の加工開始位置に対応する切削パターンデータに基づいて駆動制御して第1可動体31を左右方向、第2可動体41を前後方向へそれぞれ移動することにより電動モータ47の駆動により回転するエンドミル45を第1番目と第2番目の加工開始位置間におけるバンパー21の周縁の曲線や傾斜に沿って二次元方向へ移動し、突出するバリ21aを切削して除去する。(図6参照)
【0036】
この切削時においては、駆動される排気手段により集塵部材49内が負圧形成されるため、エンドミル45により切削されるバリ21aの切削屑は、集塵部材49内から集塵ホースを介して外部に排出されて回収される。このため、バリ21aの切削屑が飛散してバンパー21や加工ヘッド19等に付着して加工環境を汚染するのを防止する。(図7参照)
【0037】
上記作用により第1番目の加工開始位置から第2番目の加工開始位置に至るバンパー21周縁のバリ取りが終了すると、上記と同様にロボット制御ユニットの記憶手段に記憶された加工開始位置データに基づいて図示しない電動モータ及び図示する電動モータ11,15をそれぞれ駆動制御して産業ロボット1の第1及び第2ロボットアーム3,5をそれぞれ搖動及び回動して加工ヘッド19をバンパー21における第2番目の加工開始位置へ移動させた後、加工ヘッド制御ユニットの記憶手段に記憶された第2番目の加工開始位置に対応する切削パターンデータに基づいて第1及び第2電動モータ29,39を駆動制御して第1可動体31を左右方向、第2可動体41を前後方向へそれぞれ移動しながら電動モータ47の駆動により回転するエンドミル45を第2番目と第3番目の加工開始位置間におけるバンパー21の周縁に沿って移動し、突出するバリ21aを切削して除去する。
【0038】
産業ロボット1により加工ヘッド19をそれぞれの加工開始位置へ順に移動した後に、移動した加工開始位置を起点としてエンドミル45をバンパー21の周縁に沿って二次元移動することによりバリ21aを切削して除去加工する。
【0039】
本実施例は、産業ロボット1により加工ヘッド19をバンパー21の周縁に適宜の間隔をおいて設定されたそれぞれの加工開始位置に移動した後に、移動した各加工開始位置を起点としてエンドミル45を二次元方向へ移動して切削加工することができるため、産業ロボット1における第1及び第2ロボットアーム3,5の搖動及び回動によりエンドミル45を直接二次元又は三次元移動して加工を行う場合に比べてエンドミル45を微細移動してバンパー21を高精度に加工することができる。
【0040】
また、ロボット制御ユニットの記憶手段に記憶される位置データやパターンデータ量を低減して加工時間を短縮することができる。
【0041】
上記説明は、被加工物21をバンパーとすると共に加工具をエンドミル45とし、バンパー周縁のバリ21aを切削して除去する加工態様に基づいて説明したが、被加工物21は、上記バンパーに限定されるものではないことは勿論である。
【0042】
エンドミルによる加工態様しては、被加工物の周縁を切削して所望の形状に形成するトリミング加工であってもよく、また加工具としては、穿孔加工するドリル、切断加工する切断刃、レーザ光の熱エネルギーにより穿孔加工及び切断加工するレーザ光出力ヘッドや超音波振動の共鳴による振動エネルギーにより切断加工する超音波出力ヘッド等のいずれであってもよい。
【0043】
上記説明は、第1可動体31及び第2可動体41をそれぞれの方向へ移動する往復移動機構として送りねじ機構としたが、ラック・ピニオン機構、リニアモータ機構としてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 産業ロボット
3 第1ロボットアーム
5 第2ロボットアーム
7 基台
9 回動軸受台
11 電動モータ
15 電動モータ
17 回動軸受部材
19 加工ヘッド
21 被加工部材
21a バリ
23 第1フレーム
25 ガイドレール
27 第1送りねじ
29 第1電動モータ
31 第1可動体
33 第2フレーム
36 ガイドレール
35 取付けフレーム
37 第2送りねじ
39 第2電動モータ
41 第2可動体
45 加工具としてのエンドミル
47 電動モータ
49 集塵部材
50 弾性パッド
51 集塵ホース
53 被加工物保持手段
53a 支持柱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7