(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5656271
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】ネットワーク管理システムにおいてエネルギー節約を管理するための方法、デバイス、およびシステム
(51)【国際特許分類】
H04W 52/02 20090101AFI20141225BHJP
H04W 92/20 20090101ALI20141225BHJP
H04W 16/08 20090101ALI20141225BHJP
【FI】
H04W52/02
H04W92/20
H04W16/08
【請求項の数】19
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-506479(P2013-506479)
(86)(22)【出願日】2011年4月29日
(65)【公表番号】特表2013-527692(P2013-527692A)
(43)【公表日】2013年6月27日
(86)【国際出願番号】CN2011073497
(87)【国際公開番号】WO2011134419
(87)【国際公開日】20111103
【審査請求日】2012年12月7日
(31)【優先権主張番号】201010169426.1
(32)【優先日】2010年4月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】504277388
【氏名又は名称】▲ホア▼▲ウェイ▼技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】夏 海▲タオ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲ジャオ▼ ▲東▼
(72)【発明者】
【氏名】▲鄒▼ ▲蘭▼
【審査官】
古市 徹
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−170566(JP,A)
【文献】
特開平10−145842(JP,A)
【文献】
特開2009−124461(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/035577(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク管理システムにおけるエネルギー節約管理のための方法であって、
統合化基準ポイントマネージャにより、エネルギー節約ポリシーを構成する段階と、
前記統合化基準ポイントマネージャにより、前記エネルギー節約ポリシーを、統合化基準ポイントエージェントに送信する段階と
を有し、
前記エネルギー節約ポリシーは、エネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティの識別子を含み、エネルギー節約有効化のポリシー情報および/またはエネルギー節約無効化のポリシー情報をさらに含み、
前記エネルギー節約ポリシーは、基地局上でエネルギー節約管理を実行するために使用され、
エネルギー節約のための前記カバレッジバックアップエンティティの前記識別子は、エネルギー節約エンティティにカバレッジバックアップを提供するエンティティの識別子であることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記エネルギー節約有効化のポリシー情報は、
エネルギー節約有効化に関する負荷しきい値を含むか、または、
エネルギー節約有効化に関する負荷しきい値と、エネルギー節約の動作タイプとを含むことを特徴とする請求項1に記載のエネルギー節約管理のための方法。
【請求項3】
前記エネルギー節約有効化に関する負荷しきい値は、エネルギー節約有効化に関するローカル負荷しきい値と、エネルギー節約有効化に関するバックアップ負荷しきい値とを含み、
前記エネルギー節約有効化に関するローカル負荷しきい値は、エネルギー節約有効化をトリガすることに関するローカルエンティティの負荷しきい値であり、
前記エネルギー節約有効化に関するバックアップ負荷しきい値は、エネルギー節約有効化をトリガすることに関するカバレッジバックアップエンティティの負荷しきい値であることを特徴とする請求項2に記載のエネルギー節約管理のための方法。
【請求項4】
前記エネルギー節約無効化のポリシー情報は、エネルギー節約無効化に関する負荷しきい値、X2リンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化の遅延、およびX2リンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化までのX2接続再確立の再試行カウントのうちの1つまたは複数を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のエネルギー節約管理のための方法。
【請求項5】
前記エネルギー節約無効化に関する負荷しきい値は、エネルギー節約無効化に関するバックアップ負荷しきい値を含み、
前記エネルギー節約無効化に関するバックアップ負荷しきい値は、エネルギー節約無効化をトリガすることに関するカバレッジバックアップエンティティの負荷しきい値であることを特徴とする請求項4に記載のエネルギー節約管理のための方法。
【請求項6】
前記エネルギー節約有効化のポリシー情報は、エネルギー節約の動作タイプおよびエネルギー節約有効化の遅延を含み、エネルギー節約有効化の時間またはエネルギー節約有効化のイネーブラ情報をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のエネルギー節約管理のための方法。
【請求項7】
前記エネルギー節約無効化のポリシー情報は、エネルギー節約無効化のイネーブラ情報および/またはエネルギー節約無効化の時間を含み、OAMリンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化の遅延および/またはOAMリンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化までのOAM接続再確立の再試行カウントをさらに含むことを特徴とする請求項1または6に記載のエネルギー節約管理のための方法。
【請求項8】
前記エネルギー節約ポリシーは、エネルギー節約目標値の情報をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のエネルギー節約管理のための方法。
【請求項9】
前記エネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティの識別子は、
エネルギーを節約するエンティティにカバレッジバックアップを提供するセルまたは基地局の識別子、またはエネルギーを節約するエンティティにカバレッジバックアップを提供する複数のセルまたは複数の基地局のグループ識別子を含むか、または、
地理的区域識別子、追跡区域識別子、複数の地理的区域のグループ識別子、または複数の追跡区域のグループ識別子を含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のエネルギー節約管理のための方法。
【請求項10】
エネルギー節約ポリシーを構成するように構成された構成ユニットと、
前記エネルギー節約ポリシーを統合化基準ポイントエージェントに送信するように構成された送信ユニットと
を具備し、
前記エネルギー節約ポリシーは、エネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティの識別子を含み、エネルギー節約有効化のポリシー情報および/またはエネルギー節約無効化のポリシー情報をさらに含み、
前記エネルギー節約ポリシーは、基地局上でエネルギー節約管理を実行するために使用され、
エネルギー節約のための前記カバレッジバックアップエンティティの前記識別子は、エネルギー節約エンティティにカバレッジバックアップを提供するエンティティの識別子であることを特徴とする統合化基準ポイントマネージャ。
【請求項11】
前記エネルギー節約有効化のポリシー情報は、
エネルギー節約有効化に関する負荷しきい値を含むか、または、
エネルギー節約有効化に関する負荷しきい値と、エネルギー節約の動作タイプとを含むことを特徴とする請求項10に記載の統合化基準ポイントマネージャ。
【請求項12】
前記エネルギー節約有効化に関する負荷しきい値は、エネルギー節約有効化に関するローカル負荷しきい値と、エネルギー節約有効化に関するバックアップ負荷しきい値とを含み、
前記エネルギー節約有効化に関するローカル負荷しきい値は、エネルギー節約有効化をトリガすることに関するローカルエンティティの負荷しきい値であり、
前記エネルギー節約有効化に関するバックアップ負荷しきい値は、エネルギー節約有効化をトリガすることに関するカバレッジバックアップエンティティの負荷しきい値であることを特徴とする請求項11に記載の統合化基準ポイントマネージャ。
【請求項13】
前記エネルギー節約無効化のポリシー情報は、エネルギー節約無効化に関する負荷しきい値、X2リンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化の遅延、およびX2リンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化までのX2接続再確立の再試行カウントのうちの1つまたは複数を含むことを特徴とする請求項10ないし12のいずれか1項に記載の統合化基準ポイントマネージャ。
【請求項14】
前記エネルギー節約無効化に関する負荷しきい値は、エネルギー節約無効化に関するバックアップ負荷しきい値を含み、
前記エネルギー節約無効化に関するバックアップ負荷しきい値は、エネルギー節約無効化をトリガすることに関するカバレッジバックアップエンティティの負荷しきい値であることを特徴とする請求項13に記載の統合化基準ポイントマネージャ。
【請求項15】
前記エネルギー節約有効化のポリシー情報は、エネルギー節約の動作タイプおよびエネルギー節約有効化の遅延を含み、エネルギー節約有効化の時間またはエネルギー節約有効化のイネーブラ情報をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の統合化基準ポイントマネージャ。
【請求項16】
前記エネルギー節約無効化のポリシー情報は、エネルギー節約無効化のイネーブラ情報および/またはエネルギー節約無効化の時間を含み、OAMリンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化の遅延および/またはOAMリンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化までのOAM接続再確立の再試行カウントをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の統合化基準ポイントマネージャ。
【請求項17】
前記構成ユニットは、前記エネルギー節約ポリシー中でエネルギー節約目標値の情報を構成するようにさらに構成されることを特徴とする請求項10ないし16のいずれか1項に記載の統合化基準ポイントマネージャ。
【請求項18】
前記エネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティの識別子は、
エネルギーを節約するエンティティにカバレッジバックアップを提供するセルまたは基地局の識別子、またはエネルギーを節約するエンティティにカバレッジバックアップを提供する複数のセルまたは複数の基地局のグループ識別子を含むか、または、
地理的区域識別子、追跡区域識別子、複数の地理的区域のグループ識別子、または複数の追跡区域のグループ識別子を含むことを特徴とする請求項10ないし17のいずれか1項に記載の統合化基準ポイントマネージャ。
【請求項19】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年4月30日に中国特許庁に出願した「METHOD, APPARATUS, AND SYSTEM FOR ENERGY SAVING MANAGEMENT IN NETWORK MANAGEMENT SYSTEM」と題する中国特許出願第201010169426.1号の優先権を主張するものである。引用により、上記中国特許出願の全内容が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、モバイル通信の分野に関し、詳細には、ネットワーク管理システムにおけるエネルギー節約管理技術に関する。
【背景技術】
【0003】
今日、従来のリソースは、ますます不足しており、かつエネルギー価格は、絶えず上昇し続けている。したがって、事業者は、通信デバイスのエネルギー節約や通信量削減によって事業者の運営費用を低減する必要がある。基地局に関する既存のエネルギー節約方法は、主に、以下の動作モードを使用することである。すなわち、基地局が、基地局のエネルギー節約アルゴリズムに従ってセルターンオフをトリガし、隣接する基地局が、X2インターフェースを介してセルターンオンをトリガする。エネルギー節約ステータス変更通知が、X2インターフェース上で送信される。
【0004】
しかしながら、従来のエネルギー節約動作モードには、統一されたエネルギー節約ポリシーによる運用が欠けている。したがって、基地局内のエネルギー節約アルゴリズムは、動作実行の孤立した島となる可能性があり、必要な実行環境(またはコンテキスト)およびアルゴリズム入力を欠くとともに、様々なネットワーク展開シナリオにおけるエネルギー節約管理要件が満たされない可能性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP TS32.762
【非特許文献2】3GPP TS36.314
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、本発明は、ネットワーク管理システムにおけるエネルギー節約管理のための方法を提供する。この方法は、統合化基準ポイントマネージャ(IRPManager)により、エネルギー節約ポリシーを構成するステップであって、エネルギー節約ポリシーは、エネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティの識別子を含み、エネルギー節約有効化のポリシー情報および/またはエネルギー節約無効化のポリシー情報をさらに含む、ステップと、IRPManagerにより、統合化基準ポイントエージェント(IRPAgent)にエネルギー節約ポリシーを送信するステップであって、エネルギー節約ポリシーは、基地局上でエネルギー節約管理を実行するのに使用される、ステップとを有する。
【0007】
別の態様において、本発明は、ネットワーク管理システムにおけるエネルギー節約管理のための方法を提供する。この方法は、集中エネルギー節約管理において、統合化基準ポイントマネージャIRPManagerにより、統合化基準ポイントエージェントIRPAgentに、エネルギーを節約する1つまたは複数のエンティティ上でエネルギー節約有効化プロセスを開始するようIRPAgentに要求するエネルギー節約有効化コマンドを送信するステップであって、エネルギー節約有効化コマンドは、エネルギーを節約するエンティティの識別子を含み、エネルギー節約動作タイプ、エネルギー節約有効化の遅延、運用・管理・メンテナンス(Operation Administration and Maintenance)リンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化の遅延、およびOAMリンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化までのOAM接続再確立の再試行カウントのうちの1つまたは複数をさらに含む、ステップと、IRPManagerにより、IRPAgentによって送信されたエネルギー節約有効化結果を受信するステップとを有する。
【0008】
さらに別の態様において、本発明は、統合化基準ポイントマネージャ(IRPManager)を提供する。このIRPManagerは、構成ユニットと、送信ユニットとを具備する。構成ユニットは、エネルギー節約ポリシーを構成する。エネルギー節約ポリシーは、エネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティの識別子を含み、エネルギー節約有効化のポリシー情報および/またはエネルギー節約無効化のポリシー情報をさらに含む。送信ユニットは、エネルギー節約ポリシーを統合化基準ポイントエージェント(IRPAgent)に送信する。エネルギー節約ポリシーは、基地局上でエネルギー節約管理を実行するのに使用される。さらに別の態様において、本発明は、上記の
統合化基準ポイントマネージャIRPManagerと、統合化基準ポイントエージェントIRPAgentとを具備するエネルギー節約管理のためのシステムを提供する。
【0009】
さらに別の態様において、本発明は、統合化基準ポイントマネージャ(IRPManager)を提供する。このIRPManagerは、送信ユニットと、受信ユニットとを具備する。集中エネルギー節約管理において、送信ユニットは、統合化基準ポイントエージェント(IRPAgent)に、エネルギーを節約する1つまたは複数のエンティティ上でエネルギー節約有効化プロセスを開始するようIRPAgentに要求するエネルギー節約有効化コマンドを送信する。エネルギー節約有効化コマンドは、エネルギーを節約するエンティティの識別子を含み、エネルギー節約動作タイプ、エネルギー節約有効化の遅延、OAMリンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化の遅延、およびOAMリンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化までのOAM接続再確立の再試行カウントのうちの1つまたは複数をさらに含む。受信ユニットは、IRPAgentによって送信されたエネルギー節約有効化結果を受信する。さらに別の態様において、本発明は、上記の
統合化基準ポイントマネージャIRPManagerと、統合化基準ポイントエージェントIRPAgentとを具備するエネルギー節約管理のためのシステムを提供する。
【0010】
上記の技術的解決策において、IRPManagerは、基地局上で実行されるエネルギー節約管理に必要とされる情報をIR
PAgentに提供して、様々なネットワーク展開シナリオにおけるエネルギー節約管理要件を満たすようにする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態によるシステムを示す概略構造図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるエネルギー節約管理のための方法を示す概略図である。
【
図3】本発明の別の実施形態によるエネルギー節約管理のための方法を示す概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるエネルギー節約管理のためのシステムを示す概略構造図である。
【
図5】本発明の一実施形態による統合化基準ポイントマネージャを示す概略構造図である。
【
図6】本発明の別の実施形態による統合化基準ポイントマネージャを示す概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態が、添付の図面を参照して以下に説明される。
【0013】
最初に、動作・管理・メンテナンス(Operations Administration and Maintenance, OAM)システムの関連する内容を説明する。
図1に示されるとおり、OAMシステムにおいて、統合化基準ポイントマネージャ(Integrated Reference Point Manager, IRPManager)と統合化基準ポイントエージェント(Integrated Reference Point Agent, IRPAgent)が、ノースバウンドインターフェースItf-Nを介して接続される。IRPManagerは、ネットワークマネージャの均等物であり、ネットワーク全体の運用、メンテナンス、および管理を担い、IRPAgentは、ネットワーク要素マネージャの均等物であり、ネットワークにおける所定タイプのデバイス(例えば、基地局)の運用、メンテナンス、および管理を担う。本発明の一実施形態において、IRPManagerは、IRPAgentに関するエネルギー節約ポリシーを構成し、エネルギー節約ポリシーは、IRPAgentの範囲内の指定された基地局のエネルギー節約機能管理プロセスを制御するのに使用される。特定の実施形態において、IRPAgentは、受信したエネルギー節約ポリシーを基地局に送信する。例えば、IRPAgentは、そのポリシーをトランスペアレントに送信する。本発明の実施形態におけるエネルギー節約無効化は、エネルギー節約回復とも称され、換言すれば、エネルギーを節約するエンティティ(基地局またはセル)が、エネルギー節約状態を終了させ、エネルギー節約状態から非エネルギー節約状態に回復することを指す。
【0014】
図2に示されるとおり、一実施形態によるエネルギー節約管理のための方法は、以下の内容を含む。
【0015】
ステップ201: IRPManagerが、エネルギー節約ポリシー(Energy Saving Policy, ESPolicy)を構成する。エネルギー節約ポリシーは、エネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティの識別子(esOverlaidBackupEntityID)を含み、エネルギー節約有効化のポリシー情報および/またはエネルギー節約無効化のポリシー情報をさらに含む。
【0016】
ステップ202: IRPManagerが、IRPAgentにエネルギー節約ポリシーを送信する。エネルギー節約ポリシーは、基地局上でエネルギー節約管理を実行するのに使用される。特定の実施形態において、IRPAgentは、エネルギー節約ポリシーを受信した後、IRPAgentの範囲内の指定された基地局のエネルギー節約機能管理を制御する。
【0017】
具体的には、エネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティのカバレッジ識別子(esOverlaidBackupEntityID)は、エネルギーを節約するエンティティ(基地局またはセル)にカバレッジバックアップを提供するエンティティの識別子である。エネルギーを節約するエンティティが基地局である場合、エネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティは、その基地局にカバレッジバックアップを提供する基地局であり、エネルギーを節約するエンティティがセルである場合、エネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティは、そのセルにカバレッジバックアップを提供するセルである。オプションとして、エネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティの識別子は、エネルギーを節約するエンティティにカバレッジバックアップを提供する複数の基地局または複数のセルのグループ識別子であることも可能である。特定の実施形態において、IRPAgentは、受信したグループ識別子を解析して、エネルギーを節約するエンティティにカバレッジバックアップを提供する基地局またはセルの識別子を獲得する。例えば、エネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティは、セルA1、セルA2、およびセルA3であり、IRPManagerは、IRPAgentに、セル識別子A1、A2、およびA3を直接に提供しても、セルA1、セルA2、およびセルA3のグループ識別子としてAという印を付けて、Aを提供してもよく、その場合、IRPAgentは、グループ識別子Aを解析して、エネルギー節約のための特定のカバレッジバックアップセルA1、セルA2、およびセルA3を獲得する。オプションとして、エネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティの識別子は、地理的区域識別子、追跡区域識別子、複数の地理的区域のグループ識別子、または複数の追跡区域のグループ識別子をさらに含んでもよい。
【0018】
オプションとして、エネルギー節約ポリシーは、エネルギー節約目標値の情報をさらに含み得る。エネルギー節約目標値は、エネルギー消費量を削減することの効果であり、この効果は、エネルギーを節約するエンティティ(基地局またはセル)がエネルギー節約プロセス(エネルギー節約有効化またはエネルギー節約無効化)を適用した後に得られる。IRPManagerが、IRPAgentのために、エネルギーを節約するエンティティ(基地局またはセル)のエネルギー節約目標値の評価期間(例えば、週当り、または月当りで計算される)と、エネルギー消費量削減のパーセンテージ(エネルギー節約効果の相対値)またはエネルギー消費量削減の絶対値とを構成して、エネルギー節約プロセスを適用することによって得られたエネルギー節約効果を算出するようにする。
【0019】
この実施形態によって提供されるエネルギー節約管理方法において、IRPManagerは、IRPAgentのためのエネルギー節約ポリシーを構成し、IRPAgentに、基地局上のエネルギー節約管理のために必要とされる制御方法情報を提供する。制御方法情報は、エネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティの識別子を含み、エネルギー節約有効化のポリシー情報および/またはエネルギー節約無効化のポリシー情報をさらに含む。それにより、様々なネットワーク展開シナリオにおけるエネルギー節約管理要件を満たすようになる。
【0020】
限定的でない特定の実施形態によれば、エネルギー節約ポリシーは、集中エネルギー節約ポリシー(CentralizedESPolicies)と、ハイブリッドエネルギー節約ポリシー(HybridESPolicies)とに分類され得る。
【0021】
表1は、エネルギー節約ポリシーの属性および関連する内容、例えば、集中エネルギー節約ポリシー(CentralizedESPolicies)の属性、を示す。集中エネルギー節約ポリシーは、集中管理アーキテクチャにおけるエネルギー節約管理のために使用されることが可能であり、換言すれば、基地局のエネルギー節約動作は、運用・管理・メンテナンスシステムによってトリガされる。集中エネルギー節約アーキテクチャにおいて、エネルギー節約動作は、セルレベルまたは基地局レベルで実行され得る。したがって、この実施形態におけるエネルギーを節約するエンティティは、エネルギー節約セルまたはエネルギー節約基地局である。エネルギー節約ポリシーは、エネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティの識別子を含み、エネルギー節約有効化のポリシー情報および/またはエネルギー節約無効化のポリシー情報をさらに含む。エネルギー節約有効化のポリシー情報は、エネルギー節約の動作タイプおよびエネルギー節約有効化の遅延を含み、エネルギー節約有効化の時間およびエネルギー節約有効化のイネーブラ情報をさらに含む。エネルギー節約無効化のポリシー情報は、エネルギー節約無効化のイネーブラ情報および/またはエネルギー節約無効化の時間を含み、OAMリンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化の遅延およびOAMリンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化までのOAM接続再確立の再試行カウントをさらに含む。
【0023】
表1において、エネルギー節約動作タイプ、エネルギー節約有効化のイネーブラタイプ、エネルギー節約有効化の遅延、およびエネルギー節約有効化の時間はすべて、エネルギー節約有効化(esActivation)と関係するポリシー情報であり、ひとまとめにして、エネルギー節約有効化のポリシー情報と称することが可能であり、エネルギー節約無効化のイネーブラ情報、エネルギー節約無効化の時間、OAMリンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化の遅延、およびOAMリンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化までのOAM接続再確立の再試行カウントはすべて、エネルギー節約無効化(esDeactivation)と関係するポリシー情報であり、ひとまとめにして、エネルギー節約無効化のポリシー情報と称することが可能である。
【0024】
以下に、IRPManagerが表1に示されるとおりに構成する集中エネルギー節約ポリシー(CentralizedESPolicies)の関連する内容を具体的に説明する。
【0025】
(1)エネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティの識別子(esOverlaidBackupEntityID): IRPManagerが、IRPAgentに、エネルギーを節約する基地局またはセルに基本的なカバレッジバックアップを提供する、隣接する基地局またはセルの識別子を送信して、IRPAgentによって管理される基地局が、エネルギー節約有効化動作を実行する前に、エネルギーを節約する基地局またはセルにおけるアクティブユーザをカバレッジバックアップの基地局またはセルにハンドオーバするようにする。
【0026】
(2)エネルギー節約の動作タイプ(esOperationType): IRPManagerが、基地局のエネルギー節約の動作タイプを構成し、エネルギー節約有効化動作の際に基地局によって実行される特定のエネルギー節約動作のタイプをIRPAgentに送信する。ネットワーク管理ノースバウンドインターフェースItf-N上で、IRPManagerによって構成されるエネルギー節約の動作タイプは、基地局オン/オフ、またはセルオン/オフを含む。ポリシー属性の値は、拡張可能であり、例えば、動作タイプは、セル電力増幅器の電圧の動的調整に構成されることも可能である。
【0027】
(3)エネルギー節約有効化の遅延(esActivationDelay): エネルギー節約有効化をトリガするための条件が満たされると、IRPManagerは、IRPAgentのためにエネルギー節約有効化の遅延、すなわち、IRPAgentが、基地局がエネルギー節約有効化プロセスにおいて非同期で応答するのを待つ場合に存在する遅延を構成する。IRPAgentが、IRPManagerによって構成されたエネルギー節約有効化の遅延を基地局に送信した後、エネルギーを節約する基地局またはセル(すなわち、エネルギー節約状態に入ることになる基地局またはセル)におけるアクティブユーザが、その遅延時間内に、カバレッジバックアップを提供する基地局またはセルに移され、その後、基地局は、エネルギー節約動作を実行する、換言すれば、エネルギー節約有効化に対する応答が、非同期で行われる。ポリシー属性の目的は、エネルギー節約動作が、ネットワークパフォーマンスおよびサービス品質に対して強いジッタの影響を生じさせることを防止すること、ならびにピンポンエネルギー節約効果を回避することである。エネルギー節約有効化の遅延が終了し(例えば、タイマが満了し)、かつエネルギーを節約する基地局またはセルにおけるアクティブユーザが、依然として、カバレッジバックアップを提供する基地局またはセルにハンドオーバされていない場合、換言すれば、IRPManagerが、指定された非同期の応答待機遅延内にIRPAgentの動作応答を受信しない場合、IRPManagerは、そのエネルギー節約有効化動作の実行が失敗したとみなす。esActivationDelayポリシー属性が0に構成されている場合、このことは、エネルギー節約有効化動作が即時に実行される必要があること、換言すれば、エネルギーを節約する基地局またはセルにおけるアクティブユーザがハンドオーバされなくてもよいことを示す。
【0028】
(4)OAMリンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化の遅延(esOAMLossDeactivationDelay): IRPManagerが、OAMリンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化待機遅延を構成する。IRPManagerが、IRPAgentのために或る基地局の1つのエネルギー節約無効化待機遅延を構成し(例えば、タイマを構成し)、IRPAgentが、この遅延をその基地局にトランスペアレントに送信する。OAMリンク障害が生じた場合、基地局とOAMシステムとの間のリンクが切れるとともに、通信が実行され得ない。基地局は、待機遅延が終了する(例えば、タイマが満了する)まで待ち、その後、例外事例においてエネルギー節約無効化プロセスを開始して、OAMリンク切断に起因する間断的なアラームによってもたらされる無効なエネルギー節約無効化動作が回避され得るようにする。ポリシー属性の値が0である場合、このことは、エネルギー節約無効化動作が即時に実行されることを示す。
【0029】
(5)OAMリンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化までのOAM接続再確立の再試行カウント(esOAMConnectionRetries): IRPManagerが、OAMリンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化までのOAM接続再確立の再試行カウントを構成する。具体的には、IRPManagerが、IRPAgentのために、或る基地局によるOAM接続再確立の再試行カウントを構成し、IRPAgentが、この再試行カウントを、エネルギー節約動作を実行する基地局にトランスペアレントに送信する。OAMリンク障害が生じた場合、基地局とOAMシステムとの間のリンクが切れるとともに、通信が実行され得ない。エネルギー節約無効化より前に、基地局は、OAMリンクを確立するプロセスを実行することが可能であり、再試行カウントに達した後、基地局によるOAMリンクを再確立することが依然として失敗した場合、基地局は、エネルギー節約無効化プロセスを直接に実行する。
【0030】
(6)エネルギー節約有効化のイネーブラ情報(esActivationEnabler): IRPManagerが、IRPAgentのために、ノースバウンドインターフェースItf-N上のエネルギー節約有効化機能(Energy Saving Activation function)がイネーブルにされる(enabled)かどうかを示すポリシー属性を構成する。ポリシー属性の値は、ブーリアン{はい,いいえ}に構成され得る。
【0031】
(7)エネルギー節約無効化のイネーブラ情報(esDeactivationEnabler): IRPManagerが、IRPAgentのために、ノースバウンドインターフェースItf-N上のエネルギー節約無効化機能(Energy Saving Deactivation function)がイネーブルにされる(enabled)かどうかを示すポリシー属性を構成する。ポリシー属性の値は、ブーリアン{はい,いいえ}に構成され得る。
【0032】
(8)エネルギー節約無効化の時間(esDeactivationTime): IRPManagerが、IRPAgentのための、エネルギー節約無効化を実行するための時間を示すポリシー属性を構成する。このポリシー属性の値は、或る特定の時点であり得る。
【0033】
(9)エネルギー節約有効化の時間(esActivationTime): IRPManagerが、IRPAgentのための、エネルギー節約有効化を実行するための時間を示すポリシー属性を構成する。このポリシー属性の値は、或る特定の時点であり得る。
【0034】
表2は、別のエネルギー節約ポリシーの、例えば、ハイブリッドエネルギー節約ポリシー(HybridESPolicies)の属性、および関連する内容を示す。ハイブリッドエネルギー節約ポリシーは、ハイブリッド管理アーキテクチャにおけるエネルギー節約管理のために使用されることが可能であり、換言すれば、基地局のエネルギー節約動作は、基地局自体によってだけでなく、OAMシステムによってもトリガされることが可能である。ただし、基地局のトリガ条件は、OAMシステムと基地局との間で交換されるトリガ条件情報によって決定される。ハイブリッドエネルギー節約アーキテクチャにおいて、エネルギー節約動作は、セルレベルで行われる。したがって、この実施形態におけるエネルギーを節約するエンティティは、エネルギーを節約するセルである。エネルギー節約ポリシーは、エネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティの識別子を含み、エネルギー節約有効化のポリシー情報、および/またはエネルギー節約無効化のポリシー情報をさらに含み、エネルギー節約有効化のポリシー情報は、エネルギー節約有効化に関する負荷しきい値を含む、またはエネルギー節約有効化に関する負荷しきい値と、エネルギー節約の動作タイプとを含む(このポリシー属性の特定の内容については、表1の内容を参照することができる)。エネルギー節約無効化のポリシー情報は、以下の情報、すなわち、エネルギー節約無効化に関する負荷しきい値、X2リンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化の遅延、およびX2リンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化までのX2接続再確立の再試行カウントのうちの1つまたは複数を含む。
【0036】
表2において、エネルギー節約有効化に関する負荷しきい値(エネルギー節約有効化に関するローカル負荷しきい値、およびエネルギー節約有効化に関するバックアップ負荷しきい値を含む)は、エネルギー節約有効化(esActivation)と関係するポリシー情報であり、エネルギー節約有効化のポリシー情報と称することも可能であり、エネルギー節約無効化に関する負荷しきい値(例えば、エネルギー節約無効化に関するバックアップ負荷しきい値)、X2リンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化の遅延、およびX2リンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化までのX2接続再確立の再試行カウントはすべて、エネルギー節約無効化(esDeactivation)と関係するポリシー情報であり、エネルギー節約無効化のポリシー情報と称することも可能である。
【0037】
以下に、IRPManagerが表2に示されるとおり構成するハイブリッドエネルギー節約ポリシー(HybridESPolicies)の関連する内容を具体的に説明する。
【0038】
(1)エネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティの識別子(esOverlaidBackupEntityID)。IRPManagerが、エネルギーを節約するセルに基本的なカバレッジバックアップを提供する、隣接するセルの識別子をIRPAgentに送信して、IRPAgentによって管理される基地局(すなわち、エネルギーを節約するセルが属する基地局)が、エネルギー節約有効化動作を実行する前に、エネルギーを節約するセルにおけるアクティブユーザをカバレッジバックアップセルにハンドオーバするようにする。
【0039】
(2)IRPManagerが、負荷しきい値ポリシー属性を構成する。換言すれば、エネルギー節約有効化をトリガするために使用される負荷しきい値(すなわち、エネルギー節約有効化に関する負荷しきい値)と、エネルギー節約無効化をトリガするために使用される負荷しきい値(すなわち、エネルギー節約無効化に関する負荷しきい値)とを構成する。
【0040】
具体的には、エネルギー節約有効化に関する負荷しきい値は、エネルギー節約有効化に関するローカル負荷しきい値(esActivationLocalLoadThreshold)と、エネルギー節約有効化に関するバックアップ負荷しきい値(esActivationBackupLoadThreshold)とを含む。エネルギー節約有効化に関するローカル負荷しきい値(esActivationLocalLoadThreshold)は、エネルギー節約有効化をトリガすることに関するローカルエンティティの負荷しきい値であり、エネルギー節約有効化に関するバックアップ負荷しきい値(esActivationBackupLoadThreshold)は、エネルギー節約有効化をトリガすることに関するカバレッジバックアップエンティティ(セル)の負荷しきい値である。エネルギー節約無効化に関する負荷しきい値は、エネルギー節約無効化に関するバックアップ負荷しきい値(esDeactivationBackupLoadThreshold)を含み、エネルギー節約無効化に関するバックアップ負荷しきい値は、エネルギー節約無効化をトリガすることに関するカバレッジバックアップエンティティの負荷しきい値である。
【0041】
IRPAgentが、負荷しきい値ポリシー属性を、エネルギー節約セルが属する基地局に転送した後、基地局は、エネルギー節約有効化プロセスにおいてエネルギー節約有効化に関するローカル負荷しきい値(esActivationLocalLoadThreshold)と、エネルギー節約有効化に関するバックアップ負荷しきい値(esActivationBackupLoadThreshold)とを使用することによって、基地局自らのエネルギー節約アルゴリズムに従ってエネルギー節約有効化判定を行う。例えば、基地局が、エネルギー節約セルのローカル負荷が、ローカル負荷しきい値より低く、かつエネルギー節約のためのカバレッジバックアップセルの負荷もやはり、エネルギー節約カバレッジに関するバックアップ負荷しきい値より低いと判定した場合、基地局は、エネルギーを節約するセルの負荷を、エネルギー節約のためのカバレッジバックアップセルにハンドオーバして、エネルギー節約有効化を実行することが可能である。エネルギー節約無効化プロセスにおいて、エネルギー節約無効化に関するバックアップ負荷しきい値(esDeactivationBackupLoadThreshold)が、エネルギー節約無効化判定を行うのに使用される。さらに、IRPManagerによって構成されたエネルギー節約有効化に関するローカル負荷しきい値に応じて、IRPAgentが、エネルギーを節約するセルのローカル負荷をリアルタイムで監視して、エネルギーを節約するセルの低負荷周期(Low-Load Period)を計算し、この低負荷周期(Low-Load Period)をIRPManagerに定期的に報告することが可能である。IRPManagerは、エネルギーを節約するセルの低負荷周期に応じて、エネルギーを節約するセルのエネルギー節約有効周期を構成することが可能であり、換言すれば、この周期中に、エネルギーを節約する基地局は、エネルギーを節約するセル上でエネルギー節約動作を実行することを許される。
【0042】
(3)X2リンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化の遅延(esX2LossDeactivationDelay)。IRPManagerが、X2リンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化待機遅延を構成する。具体的には、IRPManagerが、IRPAgentのためにX2リンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化の遅延を構成し(例えば、タイマを構成し)、IRPAgentが、この遅延を、エネルギー節約を実行する基地局(すなわち、エネルギーを節約するセルが属する基地局)にトランスペアレントに送信する。X2リンク障害が生じた場合、X2インターフェースに最初に接続されていた基地局は、通信することができない。エネルギー節約ポリシーを受信した基地局は、この遅延が終了する(例えば、タイマが満了する)まで待ち、その後、基地局は、例外事例においてエネルギー節約無効化プロセスを開始して、X2リンクのリンク切断に起因する間断的なアラームによってもたらされる無効なエネルギー節約無効化動作が回避され得るようにする。ポリシー属性の値が0である場合、このことは、即時の実行を示す。
【0043】
(4)X2リンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化までのX2接続再確立の再試行カウント(esX2ConnectionRetries)。IRPManagerが、X2リンク障害が生じた場合のエネルギー節約無効化までのX2接続再確立の再試行カウントを構成する。具体的には、IRPManagerが、IRPAgentのためのX2接続再確立の再試行カウントを構成し、IRPAgentが、この再試行カウントを、エネルギー節約動作を実行する基地局にトランスペアレントに送信する。X2リンク障害が生じた場合、その基地局と、X2インターフェースに最初に接続されていた基地局は切断され、通信は実施され得ない。この場合、エネルギー節約無効化より前に、基地局は、X2リンク再確立プロセスを実行することが可能である。X2リンク再確立が、再試行カウントに達した後にもまだ成功しなかった場合、エネルギー節約を実行している基地局は、エネルギー節約無効化プロセスを直接に実行する。
【0044】
エネルギー節約ポリシーの内容を、以上に詳細に説明した。以下に、IRPManagerが上記のエネルギー節約ポリシーを構成する具体的な方法を詳細に説明する。
【0045】
一実施形態によれば、エネルギー節約ポリシーは、ネットワークリソース管理オブジェクトクラスのエネルギー節約ポリシーの専用のサブクラスの中に含められる。具体的には、IRPManagerが、ネットワークリソース管理オブジェクトクラスのエネルギー節約ポリシーの専用のサブクラスの中に入るようにエネルギー節約ポリシーを構成することが可能である。具体的な実施方法は、既存のネットワークリソース管理オブジェクトクラスに新たなサブクラスを追加することであることが可能であり、この新たなサブクラスは、エネルギー節約ポリシーを構成するために特別に使用される。例えば、既存のE-UTRANのネットワークリソースモデルにおいて、新たなエネルギー節約ポリシーサブクラス(ESPolicies)が、基地局機能クラス(eNBFunction)および一般的なセルクラス(EUtranGenericCell)に追加される。表1または表2の中のポリシー属性は、エネルギー節約ポリシーサブクラスの中で構成される。
【0046】
別の実施形態によれば、エネルギー節約ポリシーの中のエネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティの識別子は、ネットワークリソース管理オブジェクトクラスの属性の中に含められ、エネルギー節約ポリシーの中のエネルギー節約有効化のポリシー情報および/またはエネルギー節約無効化のポリシー情報は、ネットワークリソース管理オブジェクトクラスの専用のサブクラスの中に含められる。具体的には、IRPManagerが、ネットワークリソース管理オブジェクトクラスの属性の中に入るようにエネルギー節約ポリシーの中のエネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティの識別子を構成し、ネットワークリソース管理オブジェクトクラスの専用のサブクラスの中に入るようにエネルギー節約ポリシーの中のエネルギー節約有効化のポリシー情報、および/またはエネルギー節約無効化のポリシー情報を構成することが可能である。具体的な実施方法は、既存の基地局機能クラス(eNBFunction)、および一般的なセルクラス(EUtranGenericCell)の属性の中に入るように表1または表2の中のエネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティの識別子を直接に構成すること、既存の基地局機能クラス(eNBFunction)、および一般的なセルクラス(EUtranGenericCell)の中で新たなサブクラスを構成すること、およびこの新たな構成されたサブクラスの中に入るように表1または表2の中の他のポリシー属性を構成することであり得る。
【0047】
この実施形態は、集中エネルギー節約管理アーキテクチャにおいて使用されるエネルギー節約管理方法、およびハイブリッドエネルギー節約管理アーキテクチャにおいて使用されるエネルギー節約管理方法を提供し、IRPManagerが、IRPAgentのための集中エネルギー節約ポリシーまたはハイブリッドエネルギー節約ポリシーを構成することによって、基地局上でエネルギー節約管理を実行するために必要とされる情報をIRPAgentに提供して、様々なネットワーク展開シナリオにおけるエネルギー節約管理要件を満たすようにする。さらに、IRPAgentは、エネルギー節約ポリシーを基地局にトランスペアレントに送信することが可能であるため、基地局のエネルギー節約アルゴリズムの有効な入力が強化される。
【0048】
IRPManagerによりエネルギー節約ポリシーを構成することによって実施されるエネルギー節約管理を以上に説明した。以下に、明示的なコマンドを使用することによってIRPManagerによって実行されるエネルギー節約管理を説明する。
【0049】
集中管理アーキテクチャにおけるエネルギー節約管理は、IRPManagerにより、IRPAgentに明示的なエネルギー節約有効化コマンドを送信することによって実施され得る。
【0050】
エネルギー節約有効化の、このプロセスが、
図3に示され、以下の内容を含む。
【0051】
ステップ301: IRPManagerが、IRPAgentに、エネルギーを節約する1つまたは複数のエンティティ(基地局またはセル)上でエネルギー節約有効化プロセスを開始するようIRPAgentに要求するエネルギー節約有効化コマンドを送信する。エネルギー節約有効化コマンドは、エネルギーを節約するエンティティの識別子を含み、エネルギー節約動作タイプ、エネルギー節約有効化の遅延、OAMリンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化の遅延、およびOAMリンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化までのOAM接続再確立の再試行カウントのうちの1つまたは複数をさらに含む。具体的には、エネルギーを節約するエンティティの識別子は、エネルギーを節約する基地局の識別子もしくはエネルギーを節約するセルの識別子、または、エネルギーを節約する複数の基地局のグループ識別子もしくはエネルギーを節約する複数のセルのグループ識別子を含む。エネルギーを節約するエンティティの識別子が、エネルギーを節約する複数の基地局のグループ識別子またはエネルギーを節約する複数のセルのグループ識別子である場合、IRPAgentは、エネルギーを節約する複数の基地局のグループ識別子を解析して、それらのエネルギーを節約する基地局の識別子を獲得するか、またはエネルギーを節約する複数のセルのグループ識別子を解析して、それらのエネルギーを節約するセルの識別子を獲得する。オプションとして、エネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティの識別子は、地理的区域識別子、追跡区域識別子、複数の地理的区域のグループ識別子、または複数の追跡区域のグループ識別子をさらに含んでもよい。
【0052】
表3が、エネルギー節約有効化コマンド、activateESの具体的な内容を示す。
【0053】
エネルギー節約有効化コマンドの中でエネルギー節約有効化の遅延を構成することにより、エネルギー節約動作が、ネットワークパフォーマンスおよびサービス品質に対して強いジッタの影響を生じさせることが防止されること、ならびにピンポンエネルギー節約効果が回避されることが可能である。エネルギー節約有効化コマンドの中でOAMリンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化の遅延を構成することにより、OAMリンク切断に起因する間断的なアラームによってもたらされる無効なエネルギー節約無効化動作が回避され得る。
【0055】
ステップ302: IRPManagerが、IRPAgentによって送信されたエネルギー節約有効化結果を受信する。エネルギー節約有効化結果は、エネルギーを節約するエンティティの識別子と、エネルギー節約有効化の実行結果とを含む。具体的な内容が、表4に示される。
【0057】
この実施形態によって提供されるアプリケーションでは、IRPManagerが、IRPAgentにエネルギー節約有効化コマンドを送信するとともに、コマンドパラメータの中でエネルギー節約ポリシー情報を伝送して、集中アーキテクチャにおいてエネルギー節約管理を実施し、このことが、エネルギー節約管理プロセスをより直接的で、より単純にする。
【0058】
図4に示されるとおり、本発明の一実施形態は、エネルギー節約管理システムを提供し、エネルギー節約管理システム40は、統合化基準ポイントマネージャIRPManager400と、統合化基準ポイントエージェントIRPAgent500とを含む。特定の実施プロセスにおいて、このエネルギー節約管理システムは、運用・管理・メンテナンスシステム(例えば、OAMシステム)であることが可能である。
【0059】
図5に示される一実施形態によれば、IRPManager400は、具体的には、構成ユニット410と、送信ユニット420とを含むIRPManager400'であることが可能である。
【0060】
具体的には、構成ユニット410は、エネルギー節約ポリシーを構成し、エネルギー節約ポリシーは、エネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティの識別子を含み、エネルギー節約有効化のポリシー情報および/またはエネルギー節約無効化のポリシー情報をさらに含み、送信ユニット420は、エネルギー節約ポリシーを統合化基準ポイントエージェントIRPAgent500に送信し、エネルギー節約ポリシーは、基地局上でエネルギー節約管理を実行するのに使用される。
【0061】
エネルギー節約ポリシーの中で、エネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティの識別子は、エネルギーを節約するエンティティにカバレッジバックアップを提供するエンティティの識別子、またはエネルギーを節約するエンティティにカバレッジバックアップを提供する複数の基地局もしくは複数のセルのグループ識別子を含む。例えば、エネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティが、基地局B1および基地局B2であり、IRPManager400(またはIRPManager400')が、IRPAgent500に、
基地局識別子B1およびB2を直接に提供しても、基地局B1および基地局B2のグループ識別子としてBという印を付けて、Bを提供してもよく、その場合、IRPAgent500は、グループ識別子Bを解析して、グループ識別子
Bによるエネルギー節約のための特定のカバレッジバックアップ基地局B1およびB2を獲得する。エネルギーを節約するエンティティの識別子が、エネルギーを節約する複数の基地局のグループ識別子またはエネルギーを節約する複数のセルのグループ識別子である場合、IRPAgent500は、エネルギーを節約する複数の基地局のグループ識別子を解析して、それらのエネルギーを節約する基地局の識別子を獲得するか、またはエネルギーを節約する複数のセルのグループ識別子を解析して、エネルギーを節約する複数のセルの識別子を獲得する。
【0062】
具体的には、エネルギー節約有効化のポリシー情報は、エネルギー節約の動作タイプおよびエネルギー節約有効化の遅延を含み、エネルギー節約有効化の時間およびエネルギー節約有効化のイネーブラ情報をさらに含む。エネルギー節約無効化のポリシー情報は、エネルギー節約無効化のイネーブラ情報および/またはエネルギー節約無効化の時間を含み、オプションとして、OAMリンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化の遅延および/またはOAMリンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化までのOAM接続再確立の再試行カウントをさらに含んでもよい。具体的なポリシー属性の内容については、表1を参照することができる。
【0063】
別の実施形態によれば、エネルギー節約有効化のポリシー情報は、エネルギー節約有効化に関する負荷しきい値を含む。オプションとして、エネルギー節約有効化のポリシー情報は、エネルギー節約動作タイプをさらに含んでもよい。エネルギー節約無効化のポリシー情報は、エネルギー節約無効化に関する負荷しきい値、X2リンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化の遅延、およびX2リンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化までのX2接続再確立の再試行カウントのうちの1つまたは複数を含む。エネルギー節約有効化に関する負荷しきい値は、エネルギー節約有効化に関するローカル負荷しきい値およびエネルギー節約有効化に関するバックアップ負荷しきい値を含み、エネルギー節約有効化に関するローカル負荷しきい値は、エネルギー節約有効化をトリガすることに関するローカルエンティティの負荷しきい値であり、エネルギー節約有効化に関するバックアップ負荷しきい値は、エネルギー節約有効化をトリガすることに関するカバレッジバックアップエンティティの負荷しきい値であり、エネルギー節約無効化に関する負荷しきい値は、エネルギー節約無効化に関するバックアップ負荷しきい値を含み、エネルギー節約無効化に関するバックアップ負荷しきい値は、エネルギー節約無効化をトリガすることに関するカバレッジバックアップエンティティの負荷しきい値である。具体的なポリシー属性の内容については、表2を参照することができる。
【0064】
オプションとして、構成ユニット410は、エネルギー節約ポリシーの中でエネルギー節約目標値の情報を構成するようにさらに構成される。
【0065】
特定の実施形態において、エネルギー節約ポリシーは、ネットワークリソース管理オブジェクトクラスのエネルギー節約ポリシーの専用のサブクラスの中に含められることが可能であり、例えば、構成ユニット410が、ネットワークリソース管理オブジェクトクラスのエネルギー節約ポリシーの専用のサブクラスの中に入るようにエネルギー節約ポリシーを構成することが可能である。代替として、エネルギー節約ポリシーの中のエネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティの識別子は、ネットワークリソース管理オブジェクトクラスの属性の中に含められ、エネルギー節約ポリシーの中のエネルギー節約有効化のポリシー情報および/またはエネルギー節約無効化のポリシー情報は、ネットワークリソース管理オブジェクトクラスの専用のサブクラスの中に含められる。例えば、構成ユニット410が、ネットワークリソース管理オブジェクトクラスの属性の中に入るようにエネルギー節約ポリシーの中のエネルギー節約のためのカバレッジバックアップエンティティのカバレッジ識別子を構成し、ネットワークリソース管理オブジェクトクラスの専用のサブクラスの中に入るようにエネルギー節約ポリシーの中のエネルギー節約有効化のポリシー情報および/またはエネルギー節約無効化のポリシー情報を構成する。
【0066】
図6に示される別の実施形態によれば、IRPManager400は、具体的には、送信ユニット610と、受信ユニット620とを含むIRPManager400"であることが可能である。
【0067】
集中エネルギー節約管理において、送信ユニット610は、IRPAgent500に、エネルギーを節約する1つまたは複数のエンティティ上でエネルギー節約有効化プロセスを開始するようIRPAgent500に要求するエネルギー節約有効化コマンドを送信し、エネルギー節約有効化コマンドは、エネルギーを節約するエンティティの識別子を含み、エネルギー節約動作タイプ、エネルギー節約有効化の遅延、OAMリンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化の遅延、およびOAMリンク切断が生じた場合のエネルギー節約無効化までのOAM接続再確立の再試行カウントのうちの1つまたは複数をさらに含み、受信ユニット620は、IRPAgent500によって送信されたエネルギー節約有効化結果を受信する。具体的なポリシー属性の内容については、表3を参照することができる。
【0068】
エネルギーを節約するエンティティの識別子は、エネルギーを節約する基地局の識別子もしくはエネルギーを節約するセルの識別子、または、エネルギーを節約する複数の基地局のグループ識別子もしくはエネルギーを節約する複数のセルのグループ識別子を含む。エネルギーを節約するエンティティの識別子が、エネルギーを節約する複数の基地局のグループ識別子、またはエネルギーを節約する複数のセルのグループ識別子である場合、IRPAgent500は、エネルギーを節約する複数の基地局のグループ識別子を解析して、それらのエネルギーを節約する基地局の識別子を獲得するか、またはエネルギーを節約する複数のセルのグループ識別子を解析して、エネルギーを節約する複数のセルの識別子を獲得する。
【0069】
本発明の任意の実施形態において規定される方法のステップのすべてまたは一部が、適切なハードウェアに命令するプログラムによって実施され得るということが当業者には理解されよう。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納され得る。プログラムは、実行されたとき、上記の任意の実施形態において規定される方法のステップを実行する。記録媒体は、ROM、RAM、磁気ディスク、またはCD-ROMなどの、プログラムコードを格納することができる任意の媒体であり得る。
【0070】
上記の実施形態は、本発明の技術的解決策を説明するために提供されているに過ぎず、本発明を限定的に解釈することを意図していないことに留意されたい。本発明は、例示的な実施形態に関連して詳細に説明されるものの、本発明の技術的解決策の範囲を逸脱することなく、本発明の技術的解決策に変形または均等な置換が行われ得るということが当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0071】
40 エネルギー節約管理システム
400,400',400" 統合化基準ポイントマネージャIRPManager
410 構成ユニット
420 送信ユニット
500 統合化基準ポイントエージェントIRPAgent
610 送信ユニット
620 受信ユニット