(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態(第1〜3発明群)について説明する。
【0027】
(第1発明群)
本発明の被覆材は、2種以上の異色の着色粒状物が水性媒体中に分散したものである。この着色粒状物には、透明着色材の粒状化物(透明着色粒状物)が、少なくとも1種以上含まれる。
【0028】
(透明着色材)
透明着色材は、水性樹脂(a)、並びに有彩色粉粒体及び/または黒色粉粒体(b)を含む。そして、この透明着色材は、隠蔽率80%以下(好ましくは5〜70%、より好ましくは10〜60%、さらに好ましくは15〜50%)の透明着色被膜を形成するものである。このような特性は、透明感、深み感等の付与に寄与するものである。透明着色材の隠蔽率が大きすぎる場合は、十分な透明感、深み感等が得られ難くなる。
【0029】
なお、隠蔽率は、試料を、隠蔽率試験紙にフィルムアプリケータ(隙間300μm)で塗付し、温度23℃・湿度50%環境下(以下「標準状態」という)で48時間乾燥させて得た試験片について、視感反射率を測定した後、下記式によって算出される値である。
<式>隠蔽率(%)=(黒地上の塗膜の視感反射率)/(白地上の塗膜の視感反射率)×100
【0030】
透明着色材中の水性樹脂(以下「(a)成分)」ともいう)は展色剤としての機能を有するものであり、透明な被膜が形成可能なものが好適である。(a)成分における樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、アクリル酢酸ビニル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。(a)成分の形態としては、水分散性樹脂(樹脂エマルション)が好適である。また、(a)成分は、架橋反応性を有するものであってもよい。
透明着色材中の(a)成分の比率は、固形分換算で、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。
【0031】
透明着色材における(b)成分は、有彩色粉粒体及び/または黒色粉粒体(以下「(b)成分」ともいう)である。このうち、有彩色粉粒体は、黄色、橙色、赤色、緑色、青色、紫色等の有彩色を呈する粉粒体である。このような有彩色粉粒体としては、例えば、酸化第二鉄、黄色酸化鉄、酸化鉄、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン等の無機質のもの、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機質のもの等が挙げられる。
一方、黒色粉粒体は、黒色を呈する粉粒体であり、例えば、鉄黒、鉄‐マンガン複合酸化物、鉄‐銅‐マンガン複合酸化物、鉄‐クロム‐コバルト複合酸化物、銅‐クロム複合酸化物、銅‐マンガン‐クロム複合酸化物等の無機質のもの、その他カーボンブラック等が挙げられる。
(b)成分としては、無機質のものが好適であり、特に無機酸化物が好適である。
【0032】
本発明では、このような有彩色粉粒体及び黒色粉粒体から選ばれる1種または2種以上を使用することにより、透明着色材(透明着色粒状物)を所望の色調に調製できる。
透明着色材中の(b)成分の比率は、好ましくは0.001〜5重量%、より好ましくは0.005〜3重量%、さらに好ましくは0.01〜2重量%である。このような比率であれば、本発明における意匠的効果が得られやすくなる。
【0033】
透明着色材中の(b)成分としては、平均粒子径0.4μm以上(より好ましくは0.4〜5μm、さらに好ましくは0.5〜2μm)のものが好適である。透明着色材にこのような(b)成分が含まれることにより、透明感、深み感等の美観性が表出されやすくなり、温度上昇抑制等の点でも有利となる。また、被覆材を長期保存した後であっても、このような効果が安定して得られる。
上記平均粒子径を有する(b)成分は、(b)成分の全量中、20重量%以上(より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上)含まれることが望ましい。(b)成分が、上記平均粒子径を有する(b)成分のみからなる態様も好適である。なお(b)成分の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置によって測定される。
【0034】
本発明では、透明着色材中に、平均粒子径0.4μm以上、屈折率1.4〜2.0の無彩色粉粒体(c)(以下「(c)成分」ともいう)が含まれることが望ましい。このような物性値を有する(c)成分は、透明感、深み感等を高め、本発明の意匠的効果に寄与するものである。このような意匠的効果は、透明着色粒状物の表面ないし内部に散在する(c)成分が、透過、反射、屈折等の作用を生じることによって奏されるものと考えられる。さらに、このような(c)成分は、形成被膜の乾燥性、密着性、耐水性、温度上昇抑制性、非粘着性、防火性、強度等の物性向上にも寄与できる成分である。なお(c)成分に、黒色粉粒体は含まれない。
【0035】
一般的な着色材では、白色粉粒体として二酸化チタンが用いられているが、二酸化チタンを主成分とする着色材では、透明感、深み感等の美観性は得られ難い。これに対し、本発明では(c)成分を必須成分とすることによって、従来とは異なる特有の意匠的効果が得られる。
【0036】
(c)成分の平均粒子径は、通常0.4μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上である。(c)成分の平均粒子径の上限は、好ましくは500μm以下、より好ましくは200μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。なお(c)成分の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置によって測定される。
(c)成分の屈折率は、通常1.4〜2.0、好ましくは1.45〜1.7である。なお、屈折率はアッベ屈折計を用いて測定できる。
【0037】
(c)成分は、空気中で白色を呈するものであるが、透明な水性樹脂の被膜中で透明性を示すものが好適である。具体的には、水性樹脂と(c)成分とを固形分比7:3で混合し、固形分を25重量%に調製した混合物において、その被膜の隠蔽率が好ましくは20%以下、より好ましくは3〜10%、さらに好ましくは4〜8%となるものが好適である。なお、この隠蔽率は、上記混合物を、隠蔽率試験紙にフィルムアプリケータ(隙間300μm)で塗付し、標準状態で48時間乾燥させて得た試験片について、前述の式を用いて算出される値である。
【0038】
(c)成分の具体例としては、例えば珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、硫酸バリウム、二酸化珪素、炭酸カルシウム等の無機質の物質、樹脂粒子等の有機質の物質等が挙げられる。また、これらは通常、無着色品である。またこれらは、中実体であることが望ましい。本発明中の(c)成分としては、無機質粉粒体が好適であり、特に二酸化珪素、または硫酸バリウムが好ましい。このような粉粒体が(c)成分に含まれることにより、本発明効果が得られやすくなる。
透明着色材中の(c)成分の比率は、好ましくは0.5〜50重量%、より好ましくは1〜25重量%、さらに好ましくは2〜10重量%である。このような比率であれば、意匠的効果、被膜物性向上効果等の点で好適である。
【0039】
透明着色材は、上記成分に加え、水溶性高分子化合物を含むことが望ましい。このような水溶性高分子化合物は、透明着色粒状物の生成安定化に寄与するものである。水溶性高分子化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリエチレンオキサイド、水溶性ウレタン、バイオガム、ガラクトマンナン誘導体、アルギン酸もしくはその誘導体、セルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、アルブミン等、あるいはこれらを酸化、メチル化、カルボキシメチル化、ヒドロキシエチル化、ヒドロキシプロピル化、硫酸化、リン酸化、カチオン化等によって化学変性したもの等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。なお、この水溶性高分子は、前記水分散性樹脂とは別異の物質である。
透明着色材中の水溶性高分子化合物の比率は、固形分換算で、好ましくは0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜5重量部である。
【0040】
透明着色材では、媒体として水性媒体を含むことが望ましい。水性媒体は、水を主成分とするもので、必要に応じ水溶性溶剤を含む。通常、水性媒体中の80重量%以上(好ましくは90重量%以上)は水で構成される。
【0041】
透明着色材は、上記成分に加え、疎水性溶剤を含むことが望ましい。この疎水性溶剤は、形成被膜の乾燥性向上、耐水性向上等に有利に作用し、特に造膜初期段階におけるこれら物性の向上に有効である。疎水性溶剤は、水への溶解度(20℃における)が好ましくは5g/100g以下、好ましくは1g/100g以下、さらに好ましくは0.1g/100g以下、最も好ましくは0.08g/100g以下である。
疎水性溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、2−エチル−1−ヘキサノール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート等が挙げられる。
透明着色材中の疎水性溶剤の比率は、好ましくは0.5〜15重量%、より好ましくは1〜10重量%である。
【0042】
透明着色材は、本発明効果を著しく阻害しない限り、各種添加剤、例えば、粘性調整剤、湿潤剤、分散剤、可塑剤、造膜助剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、消泡剤、光安定剤、香料、紫外線吸収剤、触媒、架橋剤、難燃剤等を含むものであってもよい。一般的な白色粉粒体である酸化チタンの比率は、小さくすることが望ましく、透明着色材中に好ましくは3重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、最も好ましくは0.5重量%以下である。
透明着色材は、上記各成分を常法により均一に混合することで製造できる。
【0043】
(水性媒体)
本発明の被覆材中の水性媒体は、着色粒状物の媒体となるものである。この水性媒体としては、上記透明着色材で述べたものと同様のものが使用できる。水性媒体中に水溶性溶剤を含む場合、水溶性溶剤の比率は、水と水溶性溶剤の総量中に好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下とすればよい。
【0044】
このような水性媒体は、ゲル化剤を含むことが望ましい。このゲル化剤は、上記水溶性高分子化合物との作用により、着色粒状物の生成安定化に寄与する成分である。
ゲル化剤としては、上記水溶性高分子化合物をゲル化できる物質が使用できる。具体的に、ゲル化剤としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄、ジルコニウム、クロム、錫、銀、銅等の金属の硫酸塩、酢酸塩、有機酸塩、珪酸塩、硼酸塩、硝酸塩、塩化物、水酸化物等が挙げられる。この他、塩酸、硫酸、硝酸、硼酸等の無機塩またはそれらの塩、クエン酸、乳酸、タンニン酸等の有機酸またはそれらの塩、等が挙げられる。ゲル化剤としては、これらの1種または2種以上が使用できる。
水性媒体中のゲル化剤の比率は、好ましくは0.01〜1.5重量%、より好ましくは0.03〜1.0重量%、さらに好ましくは0.05〜0.5重量%である。
【0045】
本発明の被覆材中の水性媒体は、水性樹脂を含むものでもよい。この水性樹脂は、形成被膜における着色粒状物の固定化、保護作用等を高め、耐水性、耐候性等の物性向上にも寄与する。水性樹脂としては、上記透明着色材と同様のものが使用でき、水分散性樹脂(樹脂エマルション)が好適である。
本発明における水性媒体は、水分散性樹脂と疎水性溶剤を含むものがより好適である。この疎水性溶剤は、形成被膜の乾燥性向上、耐水性向上等に有利に作用し、特に造膜初期段階におけるこれら物性の向上に有効である。疎水性溶剤としては、上記透明着色材で述べたものが使用できる。疎水性溶剤の水への溶解度(20℃における)は、好ましくは5g/100g以下、好ましくは1g/100g以下、さらに好ましくは0.1g/100g以下、最も好ましくは0.08g/100g以下である。
水性媒体中における水性樹脂の比率は、固形分換算で、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。
また、水性媒体中の疎水性溶剤の混合割合は、好ましくは0.5〜30重量%、より好ましく、1〜25重量%である。
【0046】
水性媒体は、本発明効果を著しく阻害しない限り、各種添加剤(上記透明着色材と同様のもの)を含むものであってもよい。また水性媒体は、上記(c)成分を含むものであってもよい。
水性媒体は、以上に述べたような成分を常法により均一に混合することで製造できる。
【0047】
(被覆材の製造方法)
本発明の被覆材は、着色粒状物として、少なくとも1種以上の透明着色粒状物を含むものである。このような透明着色粒状物は、上記透明着色材を上記水性媒体中で粒状に分散させることによって、製造できる。透明着色粒状物の粒子径は、好ましくは0.1〜15mm、より好ましくは0.5〜12mm、さらに好ましくは1〜10mmである。透明着色粒状物の粒子径や形状は、攪拌羽根の種類、攪拌羽根の回転速度、透明着色材の粘性や添加方法、水性媒体の粘性や組成等を適宜選択・調整することによって設定できる。
【0048】
透明着色粒状物以外の着色粒状物は、(a)成分、(b)成分等を含む着色材を水性媒体中で粒状に分散させることによって、製造できる。この着色材は、被膜の隠蔽率が80%を超えるものである。このような条件を考慮すれば、着色材は、上記透明着色材と同様の処方で得ることができる。また、着色材の粒状化についても、上記透明着色材と同様の方法が採用できる。
【0049】
本発明の被覆材は、少なくとも1種の透明着色粒状物を含むものであるが、色調の異なる2種以上(好ましくは3種以上)の透明着色粒状物を含むことが望ましい。すなわち、2色以上(好ましくは3色以上)の異色の透明着色粒状物が混在することが望ましい。また、着色粒状物中に占める透明着色粒状物の比率は、好ましくは20〜100重量%、より好ましくは50〜95重量%である。
色調が異なる2種以上の着色粒状物を含む被覆材を得るためには、例えば、
単色の着色粒状物(透明着色粒状物)が分散した分散液をそれぞれ製造した後、これらを混合する方法、あるいは、
色調が異なる2種以上の着色材(透明着色材)を、同時または順に水性媒体に添加し分散させる方法、等の方法を採用すればよい。
水性媒体中の着色粒状物の比率は、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは40〜80重量%である。
【0050】
(被覆方法)
本発明の被覆材は、建築物、土木構造物等の表面被覆に適用することができる。具体的には、例えば、コンクリート、モルタル、サイディングボード、押出成形板、石膏ボード、パーライト板、合板、煉瓦、プラスチック板、金属板、ガラス、磁器タイル等の各種基材の表面被覆材として使用できる。これら基材の表面は、何らかの表面処理(例えば、シーラー、サーフェーサー、フィラー、パテ等)が施されたものでもよく、既に被膜が形成されたものや、壁紙が貼り付けられたもの等であってもよい。例えば、基材表面の被膜は、本発明の被覆材の塗装前に、着色下塗材を塗装することで形成できる。このような着色下塗材は、基材全面に均一に塗装すればよい。
また基材表面は、平坦であっても、凹凸を有するものであってもよい。
【0051】
上記着色下塗材としては、樹脂に各色粉粒体を混合したものが使用できる。このうち樹脂としては、前記透明着色材と同様の水性樹脂が好適である。各色粉粒体としては、前述の有彩色粉粒体、黒色粉粒体、無彩色粉粒体等が使用できる。着色下塗材の色調は、これら粉粒体の種類及び比率を適宜設定することによって調製できる。着色下塗材の隠蔽率は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
着色下塗材の塗装時には、スプレー、ローラー、刷毛等の各種塗装器具が使用できる。塗付け量は、好ましくは0.05〜0.8kg/m
2、より好ましくは0.1〜0.5kg/m
2である。
【0052】
本発明では、このような基材に対し、上記被覆材を塗装することにより、被膜が形成できる。塗装時には、スプレー、ローラー、刷毛等の各種塗装器具が使用できる。本発明の被覆材の塗付け量は、好ましくは0.1〜1kg/m
2、より好ましくは0.2〜0.8kg/m
2である。また、塗装後の乾燥は通常、常温で行えばよいが、加熱することも可能である。
本発明の被覆材の被膜は、多少の凹凸を有するものとなるが、その凸部の乾燥膜厚は、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上、更に好ましくは300μm以上、特に好ましくは500μm以上である。凸部の乾燥膜厚の上限は、好ましくは2000μm以下、より好ましくは1800μm以下、さらに好ましくは1500μm以下である。本発明の被覆材は、このように比較的厚膜であっても、透明感、深み感等において十分な意匠的効果を得ることができる。なお、凸部の乾燥膜厚とは、被覆材の乾燥被膜(被覆材層)を指し、「凸部を含む被覆材層」の膜厚の平均値を算出したものである。具体的には、被覆材層の凸部を有する10箇所を測定対象とし、マイクロメータを用いて、「凸部を含む被覆材層」、更に「基材等」を含む場合には、「基材等」を含む「合計厚み」を測定した後、前記「合計厚み」から、前記「基材等」の厚みを差し引いた値を算出し、その平均値から求めることができる。
本発明の被覆材の塗装後、必要に応じ透明被覆材等を塗装することもできる。透明被覆材として、親水性被膜が形成できるものを使用すれば、耐汚染性を高めることもできる。
【0053】
本発明では、上記被覆材を用いた種々の被覆(積層)構造体が得られる。例えば、着色下塗材、本発明の被覆材を塗装した場合は、着色下塗材層を有する基材上に、本発明の被覆材による被覆材層を有する被覆(積層)構造体が得られる。さらに透明被覆材を塗装した場合は、本発明の被覆材による被覆材層の上に、透明被覆材層を有する被覆(積層)構造体が得られる。
【0054】
(第2発明群)
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
図1に、本発明の被覆(積層)構造体の一例を示す。
図1は被覆(積層)構造体の断面図である。
【0055】
本発明は、建築物、土木構造物等の表面被覆に適用することができる。
本発明における基材1としては、例えば、コンクリート、モルタル、サイディングボード、押出成形板、石膏ボード、パーライト板、合板、煉瓦、プラスチック板、金属板、ガラス、磁器タイル等が挙げられる。これら基材1の表面は、何らかの表面処理(例えば、シーラー、サーフェーサー、フィラー、パテ等)が施されたものでもよく、既に被膜が形成されたものや、壁紙が貼り付けられたもの等であってもよい。また基材1は、平坦であっても、凹凸を有するものであってもよい。
【0056】
基材1の表面には、着色下塗材層2が設けられる。着色下塗材層2は、基材1に対し、着色下塗材を塗装することで形成できる。このような着色下塗材は、基材全面に均一に塗装すればよい。
【0057】
上記着色下塗材としては、樹脂に各色粉粒体を混合したものが使用できる。このうち樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、アクリル酢酸ビニル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。樹脂の形態は特に限定されないが、水分散性樹脂(樹脂エマルション)が好適である。
【0058】
各色粉粒体としては、前述の有彩色粉粒体、黒色粉粒体、無彩色粉粒体等が使用できる。着色下塗材の色調は、これら粉粒体の種類及び比率を適宜設定することによって調製できる。粉粒体の比率は、樹脂固形分100重量部に対し、好ましくは5〜500重量部、より好ましくは10〜400重量部である。着色下塗材の隠蔽率は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
着色下塗材の塗装時には、スプレー、ローラー、刷毛等の各種塗装器具が使用できる。塗付け量は、好ましくは0.05〜0.8kg/m
2、より好ましくは0.1〜0.5kg/m
2である。
【0059】
本発明の被覆(積層)構造体は、着色下塗材層2の上に被覆材層3を有する。この被覆材層3は、2種以上の異色の着色粒状物で構成され、着色粒状物として、着色下塗材層と同色の透明着色粒状物を含む。被覆材層3は、不連続被膜であってもよい。透明着色粒状物の粒子径は、好ましくは0.1〜15mm、より好ましくは0.5〜12mm、さらに好ましくは1〜10mmである。
【0060】
なお、本発明における「同色」とは、視覚的に略同じ色として認識できることを意味する。具体的には、相互の色差が、通常5以下(好ましくは4以下、より好ましくは3以下)であればよい。この色差(△E)は、対象物(着色下塗材層の表面部分と、着色下塗材層上に透明着色粒状物が存在する部分)の色データ(L
*、a
*、b
*)を測定することにより、算出することができる。色差は、色差計を用いて測定することができる。
これに対し「異色」とは、視覚的に異なる色として認識できることを意味し、その色差は、通常5を超える(好ましくは6以上、より好ましくは8以上)ものである。
【0061】
本発明では、被覆材層3に上記透明着色粒状物が含まれることにより、透明感、深み感等が付与され、さらに大柄の模様が得られる。このような効果は、着色粒状物が透明性を有し、且つ着色下塗材層と同色である視覚的作用によって奏されるものと考えられる。
【0062】
被覆材層3は、以下の(1)または(2)の方法によって形成できる。
(1)少なくとも2種以上の異色の着色粒状物(当該着色粒状物の少なくとも1種以上は、透明着色材が粒状化された透明着色粒状物である)が水性媒体中に分散した被覆材を塗付する。
(2)少なくとも2種以上の異色の着色材(当該着色材として、少なくとも1種以上の透明着色材を含む)を粒状に塗付する。
【0063】
上記(1)、(2)における透明着色材としては、水性樹脂(a)、有彩色粉粒体及び/または黒色粉粒体(b)を含むものが好適である。さらに透明着色材としては、隠蔽率80%以下(好ましくは5〜70%、より好ましくは10〜60%、さらに好ましくは15〜50%)の透明着色被膜を形成するものが好適である。このような特性は、透明感、深み感、大柄感等の付与に寄与するものである。透明着色材の透明性が不十分な場合は、このような効果が得られ難くなる。
なお、前記透明着色材としては、上記第1発明群における透明着色材と同様のものが使用できる。
【0064】
透明着色粒状物以外の着色粒状物としては、上記透明着色材に比べ不透明な着色材が粒状化されたものが使用できる。このような着色材は、(a)成分、(b)成分等を構成成分とすることができるが、その被膜の隠蔽率は、好ましくは80%を超える(より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上)ものである。このような条件を考慮すれば、着色材は、上記透明着色材と同様の処方で得ることができる。
【0065】
上記(1)の被覆材は、着色粒状物として、少なくとも1種以上の透明着色粒状物を含むものである。このような着色粒状物は、上記着色材(透明着色材)を水性媒体中で粒状に分散させることによって、製造できる。水性媒体としては、上記透明着色材で述べたものと同様のものが使用でき、必要に応じゲル化剤、水性樹脂、その他添加剤等を含むものであってもよい。
水性媒体中の着色粒状物の比率は、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは40〜80重量%である。着色粒状物の粒子径は、好ましくは0.1〜15mm、より好ましくは0.5〜12mm、さらに好ましくは1〜10mmである。
【0066】
上記(1)では、1回の塗装で効率的に被覆材層3が形成できる。塗装時には、スプレー、ローラー、刷毛等の各種塗装器具が使用できる。被覆材の塗付け量は、好ましくは0.1〜1kg/m
2、より好ましくは0.2〜0.8kg/m
2である。また、塗装後の乾燥は通常、常温で行えばよいが、加熱することも可能である。
【0067】
上記(2)では、塗装時に着色材(透明着色材)が粒状化できる塗装方法を採用することができ、特に吹付け塗装が好適である。これら着色材は同時に、または順に塗装すればよい。複数種の着色材を同時に塗装する場合には、塗装器具として多頭型吹付け塗装機等を使用することができる。着色材の塗付け量は、好ましくは0.01〜0.8kg/m
2である。
【0068】
被覆材層3は、多少の凹凸を有するものとなるが、その凸部の乾燥膜厚は、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上、更に好ましくは300μm以上、特に好ましくは500μm以上である。凸部の乾燥膜厚の上限は、好ましくは2000μm以下、より好ましくは1800μm以下、さらに好ましくは1500μm以下である。本発明では、被覆材層3が比較的厚膜であっても、透明感、深み感等において十分な意匠的効果を得ることができる。なお、凸部の乾燥膜厚は、上記第1発明群と同様の方法にて、測定した。
【0069】
被覆材層3は、少なくとも1種の透明着色粒状物を含むものであるが、色調の異なる2種以上(好ましくは3種以上)の透明着色粒状物を含むことが望ましい。すなわち、2色以上(好ましくは3色以上)の異色の透明着色粒状物が混在することが望ましい。また、着色粒状物中に占める透明着色粒状物の比率は、好ましくは20〜100重量%、より好ましくは50〜95重量%である。
【0070】
被覆材層3の上には、必要に応じ透明層を設けることができる。この透明層は、透明被覆材の塗装によって形成できる。透明被覆材として、親水性被膜が形成できるものを使用すれば、耐汚染性を高めることもできる。
【0071】
(第3発明群)
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0072】
本発明は、建築物、土木構造物等の表面被覆に適用することができる。
図1に、本発明の適用例の一例を示す。
図1は、基材1の上に、本発明の積層構造体を積層した断面図である。このような積層構造体は、例えば、基材1に対し、各層の構成材料を塗装することによって形成できる。
【0073】
基材1は、建築物、土木構造物等の表面を構成するものである。このような基材1としては、上記第2発明群における基材1と同様のものが使用できる。
【0074】
本発明の積層構造体は、着色下塗材層2の上に被覆材層3を有する。
図1の態様において、着色下塗材層2は、基材1に対し着色下塗材を塗装することで形成できる。このような着色下塗材は、基材全面に均一に塗装すればよい。
【0075】
着色下塗材層2は、温度上昇抑制効果に寄与するものである。本発明では、着色下塗材層2に赤外線反射性を付与するため、上記着色下塗材として、樹脂、赤外線反射性粉体等を含むものを使用する。このうち樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、アクリル酢酸ビニル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。樹脂の形態は特に限定されないが、水分散性樹脂(樹脂エマルション)が好適である。
【0076】
赤外線反射性粉体としては、例えば、アルミニウムフレーク、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化インジウム、アルミナ、鉄クロム複合酸化物、マンガンビスマス複合酸化物、マンガンイットリウム複合酸化物等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
赤外線反射性粉体の比率は、樹脂固形分100重量部に対し、好ましくは5〜800重量部、より好ましくは10〜600重量部である。
【0077】
着色下塗材は、さらに赤外線透過性粉体を含むものであってもよい。これら赤外線透過性粉体を適宜組み合わせることにより、幅広い様々な色調が表出できる。赤外線透過性粉体としては、例えば、ペリレン顔料、アゾ顔料、黄鉛、弁柄、朱、チタニウムレッド、カドミウムレッド、キナクリドンレッド、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、コバルトブルー、インダスレンブルー、群青、紺青等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
赤外線透過性粉体の比率は、樹脂固形分100重量部に対し、好ましくは1〜200重量部、より好ましくは2〜100重量部である。
【0078】
着色下塗材は、必要に応じ各種添加剤、例えば、粘性調整剤、湿潤剤、分散剤、可塑剤、造膜助剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、消泡剤、光安定剤、香料、中空体、紫外線吸収剤、触媒、架橋剤、難燃剤等を含むものであってもよい。
着色下塗材の塗装時には、スプレー、コーター、ローラー、刷毛等の各種塗装器具が使用できる。塗付け量は、好ましくは0.05〜1kg/m
2、より好ましくは0.1〜0.8kg/m
2である。
【0079】
本発明の積層構造体は、着色下塗材層2の上に被覆材層3を有する。この被覆材層3は、2種以上の異色の着色粒状物で構成され、着色粒状物として透明着色粒状物を含む。被覆材層3は、不連続被膜であってもよい。透明着色粒状物の粒子径は、好ましくは0.1〜15mm、より好ましくは0.5〜12mm、さらに好ましくは1〜10mmである。本発明では、被覆材層3に透明着色粒状物が含まれることにより、透明感、深み感等が得られる。
【0080】
被覆材層3は、以下の(1)または(2)の方法によって形成できる。
(1)少なくとも2種以上の異色の着色粒状物(当該着色粒状物の少なくとも1種以上は、透明着色材が粒状化された透明着色粒状物である)が水性媒体中に分散した被覆材を塗付する。
(2)少なくとも2種以上の異色の着色材(当該着色材として、少なくとも1種以上の透明着色材を含む)を粒状に塗付する。
【0081】
上記(1)、(2)における透明着色材としては、水性樹脂(a)、有彩色粉粒体及び/または黒色粉粒体(b)を含むものが好適である。さらに透明着色材としては、隠蔽率80%以下(好ましくは5〜70%、より好ましくは10〜60%、さらに好ましくは15〜50%)の透明着色被膜を形成するものが好適である。このような特性は、透明感、深み感等の付与に寄与するものである。透明着色材の透明性が不十分な場合は、このような効果が得られ難くなる。なお、前記透明着色材としては、上記第1発明群における透明着色材と同様のものが使用できる。
【0082】
被覆材層3は、着色下塗材層2と同色の透明着色粒状物を含むことが望ましい。このような態様では、透明感、深み感等に加え、模様の大柄感が得られる。このような効果は、着色粒状物が透明性を有し、且つ着色下塗材層と同色である視覚的作用によって奏されるものと考えられる。
【0083】
なお、本発明における「同色」とは、視覚的に略同じ色として認識できることを意味する。具体的には、第2発明群で述べた通りである。
【0084】
透明着色粒状物以外の着色粒状物としては、上記透明着色材に比べ不透明な着色材が粒状化されたものが使用できる。このような着色材は、(a)成分、(b)成分等を構成成分とすることができるが、その被膜の隠蔽率は、好ましくは80%を超える(より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上)ものである。このような条件を考慮すれば、着色材は、上記透明着色材と同様の処方で得ることができる。
【0085】
上記(1)の被覆材は、着色粒状物として、少なくとも1種以上の透明着色粒状物を含むものである。このような着色粒状物は、上記着色材(透明着色材)を水性媒体中で粒状に分散させることによって、製造できる。水性媒体としては、上記透明着色材で述べたものと同様のものが使用でき、必要に応じゲル化剤、水性樹脂、その他添加剤等を含むものであってもよい。
被覆材中の着色粒状物の比率は、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは40〜80重量%である。着色粒状物の粒子径は、好ましくは0.1〜15mm、より好ましくは0.5〜12mm、さらに好ましくは1〜10mmである。
【0086】
上記(1)の被覆材は、着色粒状物以外の成分として、上記(c)を含むことが望ましい。このような被覆材では、着色粒状物と(c)成分とが水性媒体中に分散しており、被覆材層3は、これらが混在した被膜となる。被覆材中の(c)成分の比率(着色粒状物中の(c)成分を除く)は、好ましくは2〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%である。
着色粒状物と(c)成分とが混在する被覆材層3では、透明感、深み感等の意匠的効果、さらには形成被膜の乾燥性、密着性、耐水性、温度上昇抑制性、非粘着性、防火性、強度等を一層高めることができる。
【0087】
上記(1)では、1回の塗装で効率的に被覆材層3が形成できる。塗装時には、スプレー、コーター、ローラー、刷毛等の各種塗装器具が使用できる。被覆材の塗付け量は、好ましくは0.1〜1kg/m
2、より好ましくは0.2〜0.8kg/m
2である。また、塗装後の乾燥は通常、常温で行えばよいが、加熱することも可能である。被覆材の乾燥前に、被覆材層3の表面をローラー等で押さえることも可能である。
【0088】
上記(2)では、塗装時に着色材(透明着色材)が粒状化できる塗装方法を採用することができ、特に吹付け塗装が好適である。これら着色材は同時に、または順に塗装すればよい。複数種の着色材を同時に塗装する場合には、塗装器具として多頭型吹付け塗装機等を使用することができる。着色材の塗付け量は、好ましくは0.01〜0.8kg/m
2である。
【0089】
被覆材層3は、多少の凹凸を有するものとなるが、その凸部の乾燥膜厚は、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上、更に好ましくは300μm以上、特に好ましくは500μm以上である。凸部の乾燥膜厚の上限は、好ましくは2000μm以下、より好ましくは1800μm以下、さらに好ましくは1500μm以下である。本発明では、被覆材層3が比較的厚膜であっても、透明感、深み感等において十分な意匠的効果を得ることができる。なお、凸部の乾燥膜厚は、上記第1発明群と同様の方法にて、測定した。
【0090】
被覆材層3は、少なくとも1種の透明着色粒状物を含むものであるが、色調の異なる2種以上(好ましくは3種以上)の透明着色粒状物を含むことが望ましい。すなわち、2色以上(好ましくは3色以上)の異色の透明着色粒状物が混在することが望ましい。また、着色粒状物中に占める透明着色粒状物の比率は、好ましくは20〜100重量%、より好ましくは50〜95重量%である。
【0091】
被覆材層3の上には、必要に応じ透明層4を設けることができる。この透明層4は、透明被覆材の塗装によって形成できる。透明被覆材として、親水性被膜が形成できるものを使用すれば、耐汚染性を高めることもできる。透明被覆材の塗付け量は、好ましくは0.01〜0.5kg/m
2、より好ましくは0.05〜0.3kg/m
2である。
【0092】
透明層4としては、特に、アクリル成分とシリコン成分を含むものが好適である。アクリル成分とシリコン成分の重量比率は、固形分換算で100:10〜100:90であることが好ましく、より好ましくは100:20〜100:70である。このような透明層4は、温度上昇抑制効果の向上等に有効に作用する。
【0093】
アクリル成分は、各種(メタ)アクリルモノマーを重合、あるいは各種(メタ)アクリルモノマーとその他のモノマーを共重合することにより得ることができる。
シリコン成分としては、シリカ、シリコーン等が挙げられ、中でもシリカが好適である。シリカは、例えば、珪酸ソーダ、珪酸リチウム、珪酸カリウム、シリケート化合物を原料として製造することができる。シリカの粒子径は、好ましくは1〜200nm、より好ましくは5〜100nmである。
【0094】
このような透明層4を形成する透明被覆材としては、アクリル樹脂エマルション及びシリカを含むものが好適である。特にアクリル樹脂エマルションとしては、シリカと反応可能なものが好適である。具体的には、水酸基、加水分解性シリル基等の官能基(好ましくは加水分解性シリル基)を有するものが好ましい。
【0095】
本発明では、着色下塗材層2、被覆材層3等を有する積層構造体を予めシート状に成形することができる。本発明の積層構造体を予めシート状に成形する方法としては、公知の方法を採用すればよい。例えば、支持層5に対し、着色下塗材層2、被覆材層3、必要に応じ透明層4等を上述の方法によって塗装すればよい。各層においては、上述の各材料が使用できる。
図2では、支持層5の上に、着色下塗材層2、及び被覆材層3が積層されたシート状積層構造体が用いられている。
【0096】
支持層5としては、例えば織布、不織布、セラミックペーパー、合成紙、ガラスクロス、メッシュ、石膏ボード、合板、スレート板、金属板等が挙げられる。支持層5は、2種以上の材料からなるものでもよい。支持層5として、赤外線反射性、断熱性等を有するものも使用できる。
【0097】
シート状積層構造体は、流通時にはシート状成形体として取り扱い、これを建築物や土木構造物等の施工現場に搬入した後、各種基材1に固定化すればよい。シート状積層構造体を基材1に固定化する際には、接着剤、粘着剤、粘着テープ、釘、鋲、ピン、ファスナー、レール等が使用できる。
本発明では、シート状積層構造体を用いることにより、施工現場での作業が軽減される。また、予め被膜化することで、厚み等の管理が容易となり、安定した被膜性能が発揮できる。
シート状積層構造体の厚みは特に限定されないが、好ましくは0.5〜8mm程度である。
図2は、接着剤層6を介して、シート状積層構造体を基材1に貼り付けた適用例を示すものである。
【実施例】
【0098】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0099】
(着色材の製造)
○製造例A(着色材A1〜A6の製造)
容器内にアクリル樹脂エマルション1(固形分40重量%、水60重量%)を100重量部仕込み、溶剤1(プロピレングリコールモノブチルエーテル、水への溶解度6.0g/100g)を6重量部、ゲル形成物質1(ガラクトマンナン3重量%水溶液)を80重量部、消泡剤1(鉱物油系)を2重量部混合し、さらに各種粉粒体を混合して、各着色材を製造した。粉粒体の種類と比率(着色材中の重量%)、及び着色材の隠蔽率は表1の通りである。着色材の隠蔽率は、着色材を、隠蔽率試験紙にフィルムアプリケータ(隙間300μm)で塗付し、標準状態で48時間乾燥させて得た試験片について、視感反射率を測定して算出した。
各粉粒体は以下の通りである。
・黄色粉粒体1:黄色酸化鉄(平均粒子径0.5μm)
・赤色粉粒体1:赤色酸化鉄(平均粒子径0.6μm)
・黒色粉粒体1:鉄‐マンガン複合酸化物(平均粒子径0.6μm)
・黒色粉粒体2:カーボンブラック(平均粒子径0.1μm)
・無彩色粉粒体1:酸化チタン(屈折率2.71、平均粒子径0.3μm)
・無彩色粉粒体2:二酸化珪素(屈折率1.55、平均粒子径4μm)
・無彩色粉粒体3:硫酸バリウム(屈折率1.64、平均粒子径28μm)
・無彩色粉粒体4:二酸化珪素(屈折率1.55、平均粒子径120μm)
【0100】
【表1】
【0101】
○製造例B(着色材B1〜B4の製造)
○製造例C(着色材C1〜C4の製造)
○製造例D(着色材D1〜D4の製造)
容器内にアクリル樹脂エマルション1を100重量部仕込み、溶剤2(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、水への溶解度0.04g/100g)を6重量部、ゲル形成物質1を80重量部、消泡剤1を2重量部混合し、さらに各種粉粒体を混合して、各着色材を製造した。粉粒体の種類と比率、及び着色材の隠蔽率は表2の通りである。
【0102】
○製造例E(着色材E1〜E4の製造)
○製造例F(着色材F1〜F4の製造)
容器内にアクリル樹脂エマルション1を100重量部仕込み、溶剤3(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、水への溶解度0.09g/100g)を6重量部、ゲル形成物質1を80重量部、消泡剤1を2重量部混合し、さらに各種粉粒体を混合して、各着色材を製造した。粉粒体の種類と比率、及び着色材の隠蔽率は表2の通りである。
【0103】
【表2】
【0104】
○製造例G(着色材G1〜G4の製造)
○製造例H(着色材H1〜H4の製造)
○製造例I(着色材I1〜I4の製造)
容器内にアクリル樹脂エマルション1を100重量部仕込み、溶剤3(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、水への溶解度0.09g/100g)を6重量部、ゲル形成物質1を80重量部、消泡剤1を2重量部混合し、さらに各種粉粒体を混合して、各着色材を製造した。粉粒体の種類と比率、及び着色材の隠蔽率は表3の通りである。
【0105】
○製造例J(着色材J1〜J4の製造)
容器内にアクリル樹脂エマルション1を100重量部仕込み、溶剤2(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、水への溶解度0.04g/100g)を13重量部、ゲル形成物質1を80重量部、消泡剤1を2重量部混合し、さらに各種粉粒体を混合して、各着色材を製造した。粉粒体の種類と比率、及び着色材の隠蔽率は表3の通りである。
【0106】
○製造例K(着色材K1〜K4の製造)
容器内にアクリル樹脂エマルション1を100重量部仕込み、溶剤2(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、水への溶解度0.04g/100g)を3重量部、ゲル形成物質1を80重量部、消泡剤1を2重量部混合し、さらに各種粉粒体を混合して、各着色材を製造した。粉粒体の種類と比率、及び着色材の隠蔽率は表3の通りである。
【0107】
【表3】
【0108】
○製造例L(着色材L1〜L4の製造)
容器内にアクリル樹脂エマルション1を100重量部仕込み、溶剤3(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、水への溶解度0.09g/100g)を6重量部、ゲル形成物質1を80重量部、消泡剤1を2重量部混合し、さらに各種粉粒体を混合して、各着色材を製造した。粉粒体の種類と比率、及び着色材の隠蔽率は表4の通りである。
【0109】
【表4】
【0110】
○製造例M(着色材M1〜M4の製造)
粉粒体の種類と比率を表5の通りとした以外は、製造例Lと同様の方法で各着色材を製造した。
【0111】
【表5】
【0112】
○製造例N(着色材N1〜N4の製造)
粉粒体の種類と比率を表6の通りとした以外は、製造例Lと同様の方法で各着色材を製造した。
【0113】
【表6】
【0114】
○製造例O(着色材O1〜O4の製造)
粉粒体の種類と比率を表7の通りとした以外は、製造例Lと同様の方法で各着色材を製造した。
【0115】
【表7】
【0116】
○製造例P(着色材P1〜P4の製造)
粉粒体の種類と比率を表8の通りとした以外は、製造例Lと同様の方法で各着色材を製造した。
【0117】
○製造例Q(着色材Q1〜Q4の製造)
粉粒体の種類と比率を表8の通りとした以外は、製造例Bと同様の方法で各着色材を製造した。
【0118】
○製造例R(着色材R1〜R4の製造)
粉粒体の種類と比率を表8の通りとした以外は、製造例Aと同様の方法で各着色材を製造した。
【0119】
【表8】
【0120】
○製造例S(着色材S1〜S4の製造)
粉粒体の種類と比率を表9の通りとした以外は、製造例Aと同様の方法で各着色材を製造した。
【0121】
【表9】
【0122】
○製造例T(着色材T1〜T6の製造)
粉粒体の種類と比率を表10の通りとした以外は、製造例Aと同様の方法で各着色材を製造した。
【0123】
【表10】
【0124】
(水性媒体の製造)
○水性媒体1の製造
容器内にアクリル樹脂エマルション1(固形分40重量%、水60重量%)を75重量部仕込み、溶剤1(プロピレングリコールモノブチルエーテル、水への溶解度6.0g/100g)を4重量部、水を10重量部、ゲル化剤1(ホウ酸アンモニウム5重量%水溶液)を10重量部、消泡剤1を1重量部均一に混合して、水性媒体1を製造した。
【0125】
○水性媒体2の製造
容器内にアクリル樹脂エマルション1を75重量部仕込み、溶剤2(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、水への溶解度0.04g/100g)を4重量部、水を10重量部、ゲル化剤1を10重量部、消泡剤1を1重量部均一に混合して、水性媒体2を製造した。
【0126】
○水性媒体3の製造
容器内にアクリル樹脂エマルション1を75重量部仕込み、溶剤2を12重量部、水を2重量部、ゲル化剤1を10重量部、消泡剤1を1重量部均一に混合して、水性媒体3を製造した。
【0127】
○水性媒体4の製造
容器内にアクリル樹脂エマルション1を75重量部仕込み、溶剤2を2重量部、水を12重量部、ゲル化剤1を10重量部、消泡剤1を1重量部均一に混合して、水性媒体4を製造した。
【0128】
○水性媒体5の製造
容器内にアクリル樹脂エマルション1を75重量部仕込み、溶剤3(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、水への溶解度0.09g/100g)を4重量部、水を10重量部、ゲル化剤1を10重量部、消泡剤1を1重量部均一に混合して、水性媒体5を製造した。
【0129】
(分散液の製造)
○分散液A1の製造
上記水性媒体1に対し、上記着色材A1を1:2で加えて攪拌・分散することにより、粒子径約3〜8mmの着色粒状物の分散液A1を製造した。
【0130】
○分散液A2〜T6の製造
水性媒体と着色材の組合せを表11に示す通りにした以外は、上記分散液A1と同様の方法で各分散液を製造した。これにより、着色材A2〜T6にそれぞれ対応する分散液(分散液A2〜T6)を得た。
【0131】
(被覆材の製造)
○被覆材AAの製造
分散液A1、A2、A3、及びA4を等量で混合し、被覆材AAを得た。
【0132】
○被覆材BA〜TAの製造
表11に示す組合せにて各分散液を等量で混合し、被覆材BA〜TAを得た。
【0133】
○被覆材AB、被覆材TBの製造
分散液A1、A5、及びA6を等量で混合し、被覆材ABを得た。
また、分散液T1、T5、及びT6を等量で混合し、被覆材TBを得た。
【0134】
【表11】
【0135】
(試験例1)
○試験例1−1
灰色の下塗材が塗装されたスレート板(150×70mm)に、被覆材AA、TAをそれぞれ塗付け量0.6kg/m
2でスプレー塗装し、標準状態で24時間乾燥した。被膜凸部の乾燥膜厚は約900μmであった。
以上の方法で得られた試験板の外観を観察し、意匠性(透明感、深み感等)を評価した。その結果、意匠性は被覆材AAのほうが格段に優れていた。
【0136】
○試験例1−2
被覆材AB、TBにつき、試験例1−1と同様の方法で試験板を作製し、得られた被膜(被膜凸部の乾燥膜厚約900μm)の意匠性を評価した。その結果、意匠性は被覆材ABのほうが格段に優れていた。
【0137】
○試験例1−3
被覆材AA〜SAにつき、試験例1−1と同様の方法で試験板を作製し、意匠性を評価した。その結果、意匠性はいずれも良好であったが、特に被覆材AA〜MAが優れていた。
【0138】
○試験例1−4
次に、被覆材AA〜SAについて、以下の試験を実施した。試験結果を表12に示した。なお、被覆材TA、AB、及びTBについては、評価を行っていない。
【0139】
(保存安定性)
上記意匠性評価の後、被覆材を容器に密封し50℃環境下で7日間保存し、再度、同様の方法で試験板を作製した。以上の方法により、保存前後での意匠性の変化を観察した。評価は、意匠性に変化が認められなかったものを「A」、著しい変化が認められたものを「C」とする3段階(A>B>C)で行った。
【0140】
(耐水性1)
試験例1−1と同様の方法で被覆材を塗装した後、試験板を5℃環境下で24時間乾燥した。次に、試験板を水に90分間浸漬した後、被膜の外観を観察した。評価は、被膜に異常が認められなかったものを「A」、著しい異常が認められたものを「C」とする3段階(A>B>C)で行った。
【0141】
(耐水性2)
試験例1−1と同様の方法で被覆材を塗装した後、試験板を5℃環境下で6時間乾燥した。次に、試験板を水に90分間浸漬した後、被膜の外観を観察した。評価は、被膜に異常が認められなかったものを「A」、著しい異常が認められたものを「C」とする3段階(A>B>C)で行った。なお、上記耐水性1の評価において、B、及びC評価の被覆材AA、QA、RA、及びSAについては、評価を行っていない。
【0142】
(温度上昇抑制性)
試験例1−1と同様の方法で被覆材を塗装した後、試験板を標準状態で14日間養生した。次に、この試験板の被膜面に対し、赤外線ランプ(出力250W)を25cmの距離から照射し、試験板表面の温度を測定した。評価は、温度が60℃未満であったものを「A」、60℃以上65℃未満であったものを「B」、65℃以上であったものを「C」とした。
【0143】
【表12】
【0144】
(試験例2)
○試験例2−1
灰色の着色下塗材が塗装されたスレート板(150×70mm)に対し、被覆材AAを塗装したものを試験板A、被覆材BAを塗装したものを試験板B、被覆材RAを塗装したものを試験板R、被覆材SAを塗装したものを試験板S、被覆材TAを塗装したものを試験板T、とした。また、白色の着色下塗材が塗装されたスレート板(150×70mm)に対し、被覆材AAを塗装したものを試験板A’とした。なお試験板作製において、塗装はスプレー(塗付け量0.6kg/m
2)で行い、乾燥は標準状態で24時間とした。被膜凸部の乾燥膜厚は約900μmであった。
試験板A、B、R、及びSは、着色下塗材層と同色(△E≦3)の透明着色粒状物を有するものであった。試験板Tは、被覆材中の着色粒状物が全て不透明なものであった。試験板A’は、被覆材中の着色粒状物が全て着色下塗材層とは異色(△E>5)であった。
以上の方法で得られた試験板の外観を観察し、意匠性(透明感、深み感、大柄感等)を評価した。その結果、意匠性は試験板A、B、R、及びSが良好であり、特に試験板A及びBが最も優れていた。
【0145】
(試験例3)
○試験例3−1
赤外線反射性黒色下塗材(アクリル樹脂、鉄クロム複合酸化物を含む)が塗装されたスレート板(150×70mm)に対し、被覆材AAを塗装したものを試験板AA、被覆材TAを塗装したものを試験板TAとした。また、赤外線吸収性黒色下塗材(アクリル樹脂、カーボンブラックを含む)が塗装されたスレート板(150×70mm)に対し、被覆材AAを塗装したものを試験板AA’とした。なお試験板作製において、塗装はスプレー(塗付け量0.6kg/m
2)で行い、乾燥は標準状態で24時間とした。被膜凸部の乾燥膜厚は約900μmであった。
試験板AA及びAA’は、着色下塗材層と同色(△E≦3)の透明着色粒状物を有するものであった。試験板TAは、被覆材中の着色粒状物が全て不透明なものであった。
以上の方法で得られた試験板の外観を観察し、意匠性(透明感、深み感、大柄感等)を評価した。その結果、試験板AA及びAA’が優れていた。
次に、試験板AA及びAA’を標準状態で14日間養生後、試験板の被膜面に対し、赤外線ランプ(出力250W)を25cmの距離から照射し、試験板表面の温度を測定した。その結果、試験板AAは60℃未満、試験板AA’は65℃以上を示した。
【0146】
○試験例3−2
赤外線反射性灰色下塗材(アクリル樹脂、酸化チタン、鉄クロム複合酸化物を含む)が塗装されたスレート板(150×70mm)に対し、被覆材ABを塗装したものを試験板AB、被覆材TBを塗装したものを試験板TBとした。試験板作製時の塗装条件は、上記試験例3−1と同様である。
試験板ABは、着色下塗材層と同色(△E≦3)の透明着色粒状物を有するものであった。試験板TBは、被覆材中の着色粒状物が全て不透明なものであった。
以上の方法で得られた試験板の外観を観察し、意匠性を評価した。その結果、試験板ABが優れていた。
【0147】
○試験例3−3
被覆材AAと無彩色粉粒体4とを重量比85:15で混合し、被覆材VAを得た。また、被覆材BAと無彩色粉粒体4とを重量比85:15で混合し、被覆材WAを得た。被覆材QAと無彩色粉粒体4とを重量比85:15で混合し、被覆材XAを得た。
【0148】
上記試験板AAにおける被覆材AAに替えて、被覆材BA〜SA、VA、WA、XAを使用し、それぞれ試験板を得た(試験板BA〜SA、VA、WA、XA)。
以上の方法で得られた試験板の外観を観察し、意匠性を評価した。その結果、意匠性はいずれも良好であったが、特に被覆材AA〜MA、VA、WA、XAが優れていた。
【0149】
○試験例3−4
次に、試験例1−4と同様の方法で、各試験を実施した。試験結果を表13に示した。
【0150】
【表13】