(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記張力付与ステップは、前記ウエブを巻取る巻取リールに接続してある巻取装置によって前記ウエブへ張力を付与する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の塗工紙の製造方法。
前記塗工紙は、塗工ステップで燃焼抑制剤をウエブに塗工して形成されるシガレット用の低延焼性巻紙である、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の塗工紙の製造方法。
前記張力付与ステップでは、前記後処理を受けた後の前記ウエブ上のバンドピッチを検出し、その検出結果に基づいて、前記ウエブに付与する張力を調整するフィードバック制御を実行する、ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の塗工紙の製造方法。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、低延焼性巻紙の製造工程においては、上記バンドを形成するために塗工液を塗工した後、前述したように乾燥など、所定の処理(後処理、と称する)が施されるので、製造工程中においてウエブが収縮することになる。これにより、帯状であるウエブの長手方向での長さは変化している。また、低延焼性巻紙に用いるウエブや燃焼抑制剤は多種多様なものがあり、これらの種類も収縮の大きさに影響を与える。
上記のようにウエブには収縮に影響する色々な要素が作用しているので、設計バンドピッチを有する巻紙を得ることは容易ではない。
なお、ここで指摘したような製造中におけるウエブの収縮や、この収縮によって設計バンドピッチを備えた低延焼性巻紙が得難いことについて、前述した特許文献1、2ではその問題につての指摘もされていない。
【0006】
本発明は前述したような状況を鑑みてなされたもので、その目的は、製造工程中においてウエブが収縮しても、最終的に設計バンドピッチと同等のバンドピッチを備えた塗工紙が得られる製造方法を提案すること、そして、これを実施するのに好適な塗工紙の製造装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的は、紙製で帯状であるウエブの幅方向に塗工液を塗工してバンドを形成し、該バンドを前記ウエブの長手方向に間隔を存して複数形成してある塗工紙の製造方法であって、
前記塗工紙での標準として規定された設計バンドピッチよりも狭い塗工時の塗工バンドピッチにより、前記塗工液をウエブに塗工して前記バンドを形成する塗工ステップと、
前記塗工ステップの後、前記ウエブに乾燥処理を施す後処理ステップと、
前記後処理ステップの後、前記ウエブ上のバンドピッチを、前記設計バンドピッチに近づけるために前記ウエブに張力を付与して前記ウエブ上のバンドピッチを拡張する張力付与ステップとを含んでいる、
ことを特徴とする塗工紙の製造方法により達成される。
尚、前記後処理ステップは、皺伸ばし処理を更に含んでいる場合もある。
【0008】
そして、前記張力付与ステップは、前記ウエブを巻取る巻取リールに接続してある巻取装置によって前記ウエブへ張力を付与するようにできる。
【0009】
また、前記塗工紙は、塗工ステップで燃焼抑制剤をウエブに塗工して形成されるシガレット用の低延焼性巻紙とすることができる。
【0010】
そして、前記張力付与ステップでは、前記後処理を受けた後の前記ウエブ上のバンドピッチを検出し、その検出結果に基づいて、前記ウエブに付与する張力を調整するフィードバック制御を実行するのが好ましい。
【0011】
そして、上述の目的は、紙製で帯状であるウエブの幅方向に塗工液を塗工したバンドを有し、該バンドが前記ウエブの長手方向に間隔を存して複数形成してある塗工紙の製造装置であって、
前記ウエブに前記塗工液を、前記塗工紙での標準として規定された設計バンドピッチよりも狭い塗工時の塗工バンドピッチで塗工して前記バンドを形成する塗工手段と、
前記塗工後の前記ウエブに乾燥処理を施す後処理手段と、
前記後処理を受けた後の前記ウエブに張力を付与して前記ウエブ上のバンドピッチを拡張する張力付与手段と、
を含む、ことを特徴とする塗工紙の製造装置によっても達成できる。
尚、前記後処理手段は、皺伸ばし処理を更に施す場合もある。
【0012】
前記塗工手段は前記塗工液を塗布するグラビアローラを備えた塗工装置を含み、
前記グラビアローラは、回転方向において前記塗工液を塗布するために加工した塗工領域と加工しない非塗工領域とを有し、前記塗工領域と前記非塗工領域とによって規定される塗工バンドピッチが前記非塗工領域の寸法を縮小させることにより前記設計バンドピッチよりも狭いバンドピッチとしてあるのが好ましい。
【0013】
前記塗工紙は、燃焼抑制剤をウエブに塗工して形成されるシガレット用の低延焼性巻紙を含むことができる。
【0014】
そして、前記後処理を受けた後の前記バンドピッチを検出するピッチ検出手段と、前記ピッチ検出手段の検出結果に基づいて、前記ウエブに付与する張力を決定する様に前記張力付与手段をフィードバック制御する制御手段と、を含むものがより好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の塗工紙の製造方法によれば、設計バンドピッチよりも狭い塗工バンドピッチで塗工液のバンドを形成し、これに続く後処理を受けた後、更にウエブ上の処理後のバンドピッチを、設計バンドピッチに近づけるためにウエブに張力を付与する張力付与ステップを備えるので、設計バンドピッチと同等のバンドピッチを備えた塗工紙を得ることができる。
また、本発明の塗工紙の製造装置によれば、前記塗工紙での標準として規定された設計バンドピッチよりも狭い塗工時の塗工バンドピッチで塗工して前記バンドを形成し、更に後処理を受けた後に、更に前記ウエブに張力を付与する張力付与手段と、ウエブ上の処理後のバンドピッチを塗工紙での標準として規定された設計バンドピッチに近づけるように、前記張力付与手段を制御する制御手段を備えるので、設計バンドピッチと同等のバンドピッチを備えた塗工紙を製造する製造装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の好適な一実施形態に係る塗工紙の製造装置として低延焼性巻紙を製造する装置を示した図である。
図1で、巻紙製造装置1は、低延焼シガレットの巻紙となるウエブWが繰出リール2から繰り出されて、種々の処理を受けながら走行経路3を下流に向けて走行する。この走行経路3には複数のガイドローラ4、4・・が配置され、紙製で帯状であるウエブWの長手方向に沿って燃焼抑制剤がバンド状に設けられた低延焼性巻紙Pは巻取リール5に巻き取られる。
【0018】
走行経路3の上流側には塗工装置10が配置されており、この塗工装置10は走行経路3上のウエブWを挟んで配置されたグラビアローラ12及びピンチローラ13を備えている。ウエブWがグラビアローラ12とピンチローラ13間を通過する際、グラビアローラ12はウエブWの片面、即ち、その表面に塗工液として液状の燃焼抑制剤を塗工する。この燃焼抑制剤はウエブWの走行方向に所定の間隔を存して塗工される。
【0019】
具体的には、グラビアローラ12の表面は、
図2でその一部を拡大して示すように、回転方向RDに沿って、ローラ表面12FA上には燃焼抑制剤が塗工できるよう彫刻加工などを施して凹凸面にしたバンド状の塗工領域12WKが一定間隔をもって繰り返し配置されている。
より詳細には、グラビアローラ12の回転方向RDで、塗工領域12WKと加工しない平坦なローラ表面(以下、非塗工領域12NW)とが繰り返し形成してある。ここで例えば塗工領域12WKは寸法A、非塗工領域12NWは寸法Bである。本明細書ではこの(A+B)をバンドピッチと称している。
図2は、グラビアローラ12のバンドピッチ(塗工時のバンドピッチ、と称する)を示している。
【0020】
図3は、燃焼抑制剤が塗工されたときのウエブW表面の様子を示した図である。
図3に示されるように、ウエブWには燃焼抑制剤が塗工されたバンド部BDと未塗布部NDとが繰り返し形成される。バンド部BDはウエブWの略幅方向WDの全域に亘って延びると共に、ウエブWの走行方向LDに互いに所定の間隔(ピッチ)となるように配置される。なお、ウエブWの走行方向LDはグラビアローラ12の回転方向RDと平行である。
図3に示すウエブWでは、走行方向LDでのバンド部BDの寸法A、未塗布部NDの寸法Bのそれぞれが、
図2で示したグラビアローラ12のバンドピッチに対応する。
塗工直後のバンドピッチBPは、グラビアローラ12に準じたものであるが、前述したように低延焼性巻紙Pとして巻取リール5に巻き取られるときには、バンドピッチが変化してしまう。この点については、後に詳述する。
【0021】
再度、
図1を参照する。上記走行経路3には塗工装置10の下流にはウエブW上の燃焼抑制剤を乾燥させるための乾燥装置14が配置されており、塗工後のウエブWはこの乾燥装置14を通過する。乾燥装置14の内部には複数の熱風ノズル(図示しない)が設けられており、これら熱風ノズルは乾燥装置14内に熱風を噴射する。従って、ウエブWが乾燥装置14を通過する過程にて、乾燥装置14はウエブWに塗工された燃焼抑制剤、即ち、バンド部BDを乾燥させることができる。この乾燥する過程においてウエブWが収縮する。
【0022】
更に、走行経路3には乾燥装置14の下流に皺伸ばし装置16が配置されており、乾燥後のウエブWはこの皺伸ばし装置16を通過する。皺伸ばし装置16は、ウエブWに発生した皺を取る装置であれば特に限定はないが、例えば図示しない水塗工ユニットと、その下流側にウエブWに張力と熱を掛けながら回転するヒータローラ(例えば、ヤンキードライヤ)などを含み、ウエブWに発生した皺を伸ばすことが可能な装置である。この様に乾燥の後に皺伸ばしを行う場合もあり、皺伸ばしの過程においてウエブWが伸長する。従って後処理に皺伸ばしを含む場合は、設計バンドピッチを変化させる要因が増えるのでさらに本発明が好適に適用される。
【0023】
以上のような処理を受けるウエブWは、紙製で例えば坪量が20〜70g/m
2であるので、走行経路3上を走行しながら処理を受けることで伸縮し易い。したがって、ウエブWの走行方向で塗工時に所定バンドピッチ(例えば、設計バンドピッチ)に設定しておいても、その後に変化する。そして、その変化の予測は困難で、巻取リール5に巻き取る際の低延焼性巻紙Pにおけるバンドピッチ(製品としてのバンドピッチ)が設計バンドピッチに一致することは殆どないというのが実情であった。
【0024】
本発明に係る巻紙製造装置1は、下記の構成により、後処理を受けた後のバンドピッチを、前記設計バンドピッチに近づけた低延焼性巻紙Pを得ることができる。
この巻紙製造装置1は、塗工装置10(塗工手段)で前述した設計バンドピッチよりも狭い塗工バンドピッチで塗工し、前述した乾燥装置14や皺伸ばし装置16など(後処理手段)の後処理を受けた後、巻取リール5へ巻取られる前においてウエブWに張力を付与する張力付与手段を備えている。そして、制御手段(後述する監視システム50)がウエブ上のバンドピッチを、前述した設計バンドピッチに近づけるように、張力付与手段を制御するものように構成したものである。
【0025】
なお、
図2、
図3を参照すると、設計バンドピッチよりも狭い塗工時のバンドピッチBPを設定する場合、
図2で示したグラビアローラ12の塗工領域12WKの寸法Aは変更せず(設計バンドピッチと同じとして)、非塗工領域12NWの寸法Bを縮小するのが好ましい。これにより塗工時の塗工バンドピッチBPを縮めてもウエブWに塗工する燃焼抑制剤の塗工量は変化しないので燃焼抑制の機能を維持することができる。
そして、塗工装置10で採用するグラビアローラ12に設けるバンドピッチは、設計バンドピッチよりも0.05〜0.30mm短いピッチ、すなわち非塗工領域12NWの寸法Bを0.05〜0.30mm縮小するのが好ましく、より好ましくは設計バンドピッチよりも0.15mm程度短いピッチとするのがよい。
【0026】
図1で、ウエブWが通過した長さを測定する測長する測長ローラ30が設けてある。この測長ローラ30にはセットでピンチローラ31が設けてあり、ウエブWを測長ローラ30とピンチローラ31で挟持しており、移動したウエブWの長さに応じて測長ローラ30が回転する。測長ローラ30には、図示しないロータリエンコーダなどの回転検出デバイスがセットされている。よって、測長ローラは所定時間(例えば1秒間)に移動したウエブWの走行量(長さ)を確認できる。
この測長ローラ30で検出されるウエブWの走行量(長さ)の出力信号は、後述する制御手段としての監視システム50に送信されている。
【0027】
また、前記測長ローラ30の下流側にバンドセンサ35が配置してある。このバンドセンサ35は、移動するウエブWに設けられたバンドBD部を検出できる検出デバイスであれば特に限定なく、公知のものを適宜に採用できる。バンドセンサ35として、例えば移動するウエブWに対して赤外線光を照射する発光部と、ウエブWからの反射光を受光部とを備えるものを採用できる。受光部で受ける反射光は、燃焼抑制剤が塗工されたバンドBD部と燃焼抑制剤が塗工されていない未塗布部NDとで異なる。よって、バンドセンサ35は移動するウエブW上でのバンドBD部と未塗布部NDとを区別して検出する。
このバンドセンサ35は、測長ローラ30がウエブWを測長している所定時間に同期して起動するように設定される。
図3で説明したように、バンド部BDと未塗布部NDとの1セットの寸法がバンドピッチBPである。よって、バンドセンサ35が検出したバンドピッチBP数と、そのときに測長ローラ30が計測したウエブ移動量(長さ)とから、1個分のバンドピッチBP長さを求めることができる。すなわち、塗工装置10の下流側において後処理を受けた後で巻取りリール5に巻取られる前のウエブW上のバンドピッチBPを確認できる。
なお、バンドセンサ35からの出力信号も監視システム50に送信され、前述したようなバンドピッチBPを求める演算処理は監視システム50によって実行される。上記測長ローラ30とバンドセンサ35とによりピッチ検出手段が構成される。
【0028】
また、上記バンドセンサ35の下流には、ウエブWに作用している張力を検出する張力検出装置37を更に配置してもよい。このような張力検出装置37は図示しないバネ材などを内在し、ウエブWに接するローラ38を一定圧にて所定方向(
図1では右方向)へ付勢しており、ウエブWに強い張力が作用したときその大きさに応じてローラ38が反対側(左側)に移動する構造とすることができる。張力検出装置37が検出する張力も参照し、ウエブWに作用させる張力を制御するようにしてもよい。
【0029】
そして、この製造装置1には、必要に応じてウエブWに作用する張力を増加させる張力付与手段が設けてある。張力付与手段は走行するウエブWに適宜に張力を付与できる装置であれば特に限定はないが、例えば巻取リール5の巻取りに用いるためのモータ6を張力付与手段として流用できる。すなわち、モータ6による巻取張力を増加させる(巻取り速度を上げる)側に変更することで、ウエブWに作用する張力を増加させることができる。この張力の付与によってウエブWのバンドピッチを拡張する。ここで説明したモータ6(巻取装置)は、監視システム50によって、駆動が制御されている。
【0030】
なお、この製造装置1には、巻取リール5で巻き取るウエブW(巻紙)の巻硬さが変動するのを抑制する巻硬さ調整装置40を設けておくのが望ましい。このような巻硬さ調整装置40としては、
図1で示すように、例えば巻取リール5に巻取られて行くウエブWを巻取リール5上に押付けるタッチローラ41を備えている。巻硬さ調整装置40は、ウエブWに作用する張力に反比例するようにタッチローラ41の押圧力を増減する。これにより、例えばウエブWに作用していた張力が減少して、巻硬さが弱くなり緩くなるときにタッチローラ41の押圧力を増すことで巻取リール5に巻取る製品としての巻硬さを補償できるこの巻硬さ調整装置40も監視システム50によって、駆動を制御するようにすればよい。
【0031】
そして、前述したように、この巻紙製造装置1には監視システム50を備えている。この監視システム50は、例えば装置全体を制御するマイコンであり、前述した塗工装置10、乾燥装置14、皺伸ばし装置16などの駆動を制御する他、設計バンドピッチと同等のバンドピッチを備えた巻紙が得られるようにウエブに採用する張力を制御する制御手段として機能する。
【0032】
図4は、監視システム50が上記制御手段として機能したときに、起動される基本制御を示したフローチャートであり、
図4を参照して説明する。
監視システム50は、まず、塗工ステップ(S1)を実行する。この塗工ステップでは、塗工装置10を駆動する。このステップ(S1)では、低延焼性巻紙の標準として規定された設計バンドピッチよりも狭くしてある塗工時の塗工バンドピッチにより、燃焼抑制剤(塗工液)をウエブWに塗工してバンド部BDを形成する(
図2、
図3参照)。
【0033】
次に、監視システム50は後処理ステップ(S2)を実行する。すなわち、塗工ステップ(S2)の後、ウエブWを乾燥装置14による乾燥処理や皺伸ばし装置16により発生した皺を伸ばす処理等の後処理を施してウエブWの形状を整える工程を実行する。
【0034】
そして、監視システム50は、最後に張力付与ステップ(S3)を実行する。この張力付与ステップ(S3)は、前記後処理ステップ(S2)の後、ウエブW上の処理後のバンドピッチBPを、目標となる設計バンドピッチに近づけるため、ウエブWに張力を付与して前記ウエブ上のバンドピッチを拡張する工程である。なお、前述のステップはウエブWの所定の箇所に着目した場合に順次処理が行われていくことを説明しているが、実際には連続してウエブWを処理するので各ステップは同時にウエブWのそれぞれの箇所に行われている。
【0035】
上記張力付与ステップ(S3)では、前述した測長ローラ30およびバンドセンサ35の出力(バンドピッチの検出結果に基づいて)、ウエブW上の実際のバンドピットBPを検出しながらウエブWに張力を付与するフィードバック制御するのが好ましい。このようにすれば、検出しているウエブWの状態に応じて張力を好適にしてウエブW上のバンドピッチを設計バンドピッチに近づけることができる。
以上のように、監視システム50の制御により、当初は塗工バンドピッチを設計バンドピッチよりも狭く設定しておき、その後にウエブWに張力を作用させることで低延焼性巻紙を巻取りリール5で巻き取る前にて、ウエブW上の処理後のバンドピッチを設計バンドピッチBPと同一あるいは極めて近いものとすることができる。
【0036】
図5は、監視システム50が張力付与ステップ(S3)で実行することが好適である制御の一例を示したフローチャートである。
このフローチャートは所定の時間間隔で起動され、監視システム50はピッチ検出手段となる測長ローラおよびバンドセンサ35から検出信号を取得し(S31)、ウエブW上での実際のバンドピッチRPを算出する(S32)。そして、このバンドピッチRPを、標準として規定された設計バンドピッチAPと比較する(S33)。監視システム50は、この結果に基づいてウエブWに付与する張力を決定する。
ウエブW上のバンドピッチRPが設計バンドピッチAPと一致していれば張力の調整の必要が無いで、監視システム50は張力維持との判断をして(S34)、張力設定装置にその旨の信号を供給する(S38)。これにより張力設定装置はその時にウエブWに付与している張力を維持することになる。ここでの張力設定装置には、
図2で説明したウエブWに張力を付与する巻紙リール5のモータ6が相当する。
【0037】
そして、監視システム50はバンドピッチRPが設計バンドピッチAPより小さいことを確認したとき(S35)、監視システム50は張力増加との判断をして(S36)、張力設定装置にその旨の信号を供給する(S38)。この場合には、張力設定装置はウエブWに付与する張力を増加させることになる。
また、上記とは、逆にバンドピッチRPが設計バンドピッチAPより大きいとを確認したとき(S35)、監視システム50は張力減少との判断をして(S37)、張力設定装置にその旨の信号を供給する(S38)。この場合には、張力設定装置はウエブWに付与する張力を減少させることになる。
【0038】
本発明に係る巻紙製造装置1では、監視システム50は、
図5で示したフローチャートを繰り返して行うことでフィードバック制御して、検出されるバンドピッチRPを設計バンドピッチAPに近づけることができる。よって、ウエブW上のバンドピッチが設計バンドピッチと一致、あるいは極めて近い状態に形成された低延焼性巻紙を製造できる。
【0039】
図1で示した巻紙製造装置1の構成は、巻取リール5を駆動するモータ6によりウエブWに付与する張力を与えるので、巻取リール5でウエブWを巻取りながら、ウエブWに張力を付与するものである。本発明が適用される巻紙製造装置の形態はこれに限らない。
図6は、巻紙製造装置の変形例で、ウエブWをシガレット製造装置で用いる製品幅にカットするスリット工程を下流側に備えている。
前述した
図1の巻紙製造装置1で示した皺伸ばし装置16までの構成は同じであるが、その下流側が変更されている。これについて説明する。
【0040】
図6では、皺伸ばし装置16を出たウエブWは、終端のスリッタ装置60で製品幅にカットされてからシガレット製造装置用の巻取リールなどに巻き取られる。本実施形態では説明の都合上元のウエブWが3本分の幅広に形成されていた場合を例として示しているが、実際はウエブWを大体100本〜20本分にカットする。本実施形態のカット工程ではスリッタ装置60により2箇所がカットされて3本のシガレット用の巻紙Paとされる。
【0041】
図6で示す例では、皺伸ばし装置16とスリッタ装置60との間に、上流側から張力調整ローラ装置61、張力付与ローラ装置63、バンドピッチ検出装置65が配置してある。張力調整ローラ装置61、張力付与ローラ装置63はそれぞれウエブの張力(テンション)をカットできるテンションカットローラーとして機能する。本実施形態ではウエブWを挟み込むタイプのニップローラで説明しているが、サクションローラーなど他の形態でも良い。
張力調整ローラ装置61の下流に配置される張力付与ローラ装置63には、モータ64などを備えて必要によりウエブWに張力を備える。つまり、前述した巻紙リール5のモータ6の機能をモータ64が果たし、張力調整ローラ装置61のウエブWの送り速度に対して張力付与ローラ装置63のウエブWの送り速度を相対的に高めることによって張力を付与する。相対差を調整することで張力の大きさの調整もできる。
そして、バンドピッチ検出装置65はバンドピッチを検出できるデバイスであればよい。例えば前述した測長ローラ30とバンドセンサ35とを採用してもよい。
【0042】
そして、前述したのと同様に、バンドピッチ検出装置65が検出するバンドピッチに基づいて、監視システム(図示せず)が張力付与ローラ装置63を制御して、検出されるバンドピッチRPを設計バンドピッチAPに近づけることができる。よって、ウエブW上のバンドピッチが設計バンドピッチと一致、あるいは極めて近い状態に形成された低延焼性巻紙を製造できる。
なお、
図6ではバンドピッチ検出装置65が張力付与ローラ装置63の下流側であるが、バンドピッチ検出装置65を上流側としてもよい。
【0043】
本発明は上述した実施例に制約されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、前述した実施例は塗工液として燃焼抑制剤を塗工して、低延焼性巻紙を製造する場合を例に説明したが、液体をバンド状に塗工して製造される他の塗工紙にも本発明適用できる。