特許第5656309号(P5656309)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アシックスの特許一覧

<>
  • 特許5656309-歩行に適した靴底 図000002
  • 特許5656309-歩行に適した靴底 図000003
  • 特許5656309-歩行に適した靴底 図000004
  • 特許5656309-歩行に適した靴底 図000005
  • 特許5656309-歩行に適した靴底 図000006
  • 特許5656309-歩行に適した靴底 図000007
  • 特許5656309-歩行に適した靴底 図000008
  • 特許5656309-歩行に適した靴底 図000009
  • 特許5656309-歩行に適した靴底 図000010
  • 特許5656309-歩行に適した靴底 図000011
  • 特許5656309-歩行に適した靴底 図000012
  • 特許5656309-歩行に適した靴底 図000013
  • 特許5656309-歩行に適した靴底 図000014
  • 特許5656309-歩行に適した靴底 図000015
  • 特許5656309-歩行に適した靴底 図000016
  • 特許5656309-歩行に適した靴底 図000017
  • 特許5656309-歩行に適した靴底 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5656309
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】歩行に適した靴底
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/14 20060101AFI20141225BHJP
【FI】
   A43B13/14 A
【請求項の数】15
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-507184(P2014-507184)
(86)(22)【出願日】2012年3月29日
(86)【国際出願番号】JP2012058396
(87)【国際公開番号】WO2013145218
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2014年7月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001265
【氏名又は名称】特許業務法人山村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100102060
【弁理士】
【氏名又は名称】山村 喜信
(72)【発明者】
【氏名】市川 将
(72)【発明者】
【氏名】礒部 真志
(72)【発明者】
【氏名】西脇 剛史
【審査官】 青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−152311(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/017358(WO,A2)
【文献】 特開2000−333707(JP,A)
【文献】 特開昭58−190401(JP,A)
【文献】 特開平7−125107(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0036740(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0055845(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前足部、後足部及びこれらの間において無負荷の状態で接地しないアーチ部を有する靴底であって、
路面に接地するゴムの発泡体又は非発泡体のアウトソールと、
前記前足部、前記後足部および前記アーチ部を有し、前記アウトソールよりも厚く、前記アウトソールの上方に配置された樹脂の発泡体で形成されたミッドソールと、
前記アーチ部に設けられ、前記ゴムの発泡体又は非発泡体の前記アウトソールの一部を形成する可動部とを有し、前記可動部は前記アーチ部が無負荷の状態では前記路面に接地せず、かつ、前記無負荷の状態から前記アーチ部に歩行時の負荷がかかると下方に向かって変位して前記路面に接地する、靴底。
【請求項2】
請求項1において、前記可動部の前端又は後端には前記アウトソールが欠損した露出部又は前記アウトソールが薄肉化されて前記路面に接地しない薄肉部が連なって配置されている。
【請求項3】
請求項2において、前記アーチ部の前部において前記アウトソールが欠損して前記前部に前記露出部が設けられ、かつ、前記可動部が前記アーチ部の少なくとも後部に設けられている。
【請求項4】
請求項2もしくは3において、前記可動部は前記アーチ部における足の内側に設けられ、かつ、前記アーチ部における足の外側には設けられていない。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、前記可動部の接地面は前方に向かうに従い路面からの距離が大きい傾斜面を有する。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、前記アーチ部において前記ミッドソールの下面と前記可動部の上面との間には、前記ミッドソールおよびアウトソールのヤング率よりも大きいヤング率を有する強化部材が挟まれており、
前記強化部材は前記アーチ部において少なくとも前記足の内側に配置されている。
【請求項7】
請求項6において、前記強化部材は前記アーチ部において足の外側を覆うことなく前記アーチ部の内側の全長にわたって設けられている。
【請求項8】
請求項1において、前記可動部は前記アーチ部における足の内側に配置され、前記靴底は前記アーチ部における足の外側において前記アウトソールが欠損して歩行時の全ての状態において前記路面に接地しない露出部を更に備える。
【請求項9】
請求項8において、前記可動部は前記アーチ部における足の内側に設けられ、かつ、前記アーチ部における足の外側には設けられていない。
【請求項10】
請求項8もしくは9において、前記可動部の接地面は前方に向かうに従い路面からの距離が大きい傾斜面を有する。
【請求項11】
請求項8もしくは9においてミッドソールの下面と前記可動部の上面との間には、前記ミッドソールおよびアウトソールのヤング率よりも大きいヤング率を有する強化部材が挟まれており、
前記強化部材は前記アーチ部において少なくとも前記足の内側に配置されている。
【請求項12】
請求項11において、前記強化部材は前記アーチ部において足の外側を覆うことなく前記アーチ部の内側の全長にわたって設けられている。
【請求項13】
請求項1において、前記可動部は前記アーチ部の内側および外側に設けられ、前記外側の可動部よりも前記内側の可動部の方が接地し易い。
【請求項14】
請求項13において、前記外側の可動部よりも前記内側の可動部の方が路面からの距離が小さい。
【請求項15】
請求項13において、前記アーチ部の外側よりも前記アーチ部の内側の方が前後方向の長さが小さい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歩行に適した靴底の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、種々の靴底の構造が提案され、商品化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】JP2000−201706 A1(要約)
【特許文献2】JP2010−253128 A1(要約)
【発明の概要】
【0004】
歩行時に足のアーチに負荷される荷重は、ランニング時のそれに比べ小さく、そのため、アーチの変形量も小さいだろう。したがって、ウォーキングシューズの設計をランニングシューズと同一とするのは好ましくないだろう。
【0005】
歩行とランニングでは、すなわち、接地状態が異なる。すなわち、ランニングでは、片脚支持の局面が存在するのに対し、歩行では、常に片脚だけでなく両脚で支持する。その為、両者で、シューズにかかる荷重パターンが大きく異なる。
【0006】
FIG15AおよびFIG15Bは、それぞれ、同じ速度(7.4Km/h)で歩行時およびランニング時において、ソールにかかる荷重Wiを測定し、接地期の10%毎の荷重Wiをベクトルで示す。
【0007】
図15Bに示す、ランニングのフットフラット時に中足部にかかる荷重W2〜W5は、段々大きくなるのに対し、図15Aに示す、歩行時のそれは段々小さくなる。したがって、歩行において、重心(COP、荷重中心軌跡)を滞留させずに前に移動させる為には、図17A図17Bの101〜103で示すように、踵部よりも中足部、中足部の踵側よりも前足側を低剛性にし、前足側が踵側よりも荷重をかけ易くする必要があると考えられる。
【0008】
一般に、人間が自然で正しい歩行をする為には、あおり運動(ローリング運動)と呼ばれる踵から小趾球を経て母趾球へと移る足の重心移動が必要である事が知られている。一方、中足部の外側が内側に比べ低剛性である場合で、外側に荷重がかかり易く、踵から小趾球への重心移動がスムースであろう。
【0009】
さらに、歩行のフットフラット時のソール変形状態において、中足部の踵側のソール高さは、前足側よりも低くならない様にソールの剛性分布が設定される事で、重心が中足部に滞留することなく前に移動するだろう。
【0010】
本発明はこれらの仮説を検証するために、図16A図16Gに示すサンプルシューズを作製し、以下のようなテストを行った。図16Aに示すNormalのソールに対し図16B図16Eは中足部に空隙領域100が設けられている。図16Fおよび図16Gは空隙領域100を設けた部位を示す断面図である。
【0011】
FIG16A〜FIG16Eに示すソールを持つシューズを着用し、歩行時のフットフラット時における重心の移動速度を以下の方法で比較した。すなわちソールにかかる荷重中心の位置を算出し、図15Aの荷重W2が極大になった点から荷重W5が極小になった点までの前記移動速度とした。
【0012】
その結果、中足部を低剛性にした図16EのシューズAllは、剛性分布が一様なFIG16AのシューズNormalに比べ、重心移動速度が大きく、重心が滞留することなく前に移動している事が確認された。また、中足部の外側を低剛性にした図16DのシューズLateralは、中足部の内側及び中央部を低剛性にさせた図16BおよびCのシューズMedialおよびCenterよりも重心の移動速度が大きいことが確認された。
【0013】
以上から、従来のソールの欠点が明らかになったであろう。
すなわち、本発明の目的は、歩行時の中足部における重心が前方に移動し易く、更に、ローリング運動に沿って前記重心が移動し易いソールを提供することである。
【0014】
本発明は1つの局面において、前足部、後足部及びこれらの間において無負荷の状態で接地しないアーチ部を有する靴底であって、
路面に接地するアウトソールと、
前記アウトソールの上方に配置されたミッドソールと、
前記アーチ部に設けられ、前記アーチ部が無負荷の状態では接地せず、かつ、前記無負荷の状態から前記アーチ部に負荷がかかると下方に向かって変位して接地する前記アウトソールの可動部とを有する。
【0015】
この局面において、アーチ部に負荷がかかると、アーチ部において可動部が下方に変位する。そのため、重心の前方へのスムースな移動により歩行し易いかもしれない。一方、前記可動部はアーチ部においてミッドソールを支え、足のアーチの大きな低下を抑制し得ると共に、前記下方への変位量が所期の変位量に近くなるだろう。
なお、「アーチ部」とは、靴底における前足部と後足部との間であって、無負荷の状態で接地しない部位を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は本発明の実施例1を示す靴底の斜視図である。
図2】アウトソールを取り除いた状態の同靴底を示す斜視図である。
図3図3Aおよび図3Bはミッドソールにアウトソールを貼り付ける前の靴底を 示す内側面図および底面図である。
図4図4Aは無負荷の状態の靴底を一部省略して示す側面図、図4Bはアーチ部 に負荷がかかった状態の同側面図である。
図5図5Aおよび図5Bはミッドソールにアウトソールを貼り付ける前の靴底を示す断面図および外側面図である。
図6図6Aおよび図6Bは、それぞれ、図3のVIA−VIA線およびVIB− VIB線断面図、図6C図7のVIC−VIC線断面図である。
図7図7は本発明の実施例2を示す靴底の斜視図である。
図8】アウトソールを取り除いた状態の同靴底を示す斜視図である。
図9図9は本発明の実施例3を示す靴底の斜視図である。
図10】アウトソールを取り除いた状態の同靴底を示す斜視図である。
図11図11A図11Dは実施例4の靴底を示し、図11Aおよび図11Bは 、それぞれ、同靴底の外側および内側の縦断面図、図11Cおよび図11Dは、それぞ れ、同靴底の前部および後部の横断面図である。
図12図12A図12Cは実施例5の靴底を示し、図12Aおよび図12Bは 、それぞれ、同靴底の外側および内側の側面図、図12Cは同靴底の底面図である。
図13図13A図13Cは実施例6の靴底を示し、図13Aおよび図13Bは 、それぞれ、同靴底の外側および内側の側面図、図13Cは同靴底を底面から見た概念 的な斜視図である。
図14図14Aおよび図14Bは実施例7の靴底を示し、図14Aおよび図14 Bは、それぞれ、同靴底の外側および内側の側面図、図14Cは実施例8の靴底の縦横 断面図である。
図15図15Aおよび図15Bは、それぞれ、ランニング時および歩行時にソー ルに生じる荷重の変化を靴と共に示す側面図である。
図16図16A図16Eは、それぞれ、ソールのテストサンプルの空隙の部位 を示す平面断面図、図16Fおよび図16Gは、それぞれ、同サンプルのソールの縦断 面図および横断面図である。
図17図17Aはソールを示す底面図、図17Bはソールの剛性分布を示す図表 である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好ましくは、前記可動部の前端又は後端には前記アウトソールが欠損した露出部又は前記アウトソールが薄肉化されて接地しない薄肉部が前記可動部に連なって配置されている。
この場合、露出部や薄肉部により可動部は下方へ変化し易い。
【0018】
更に好ましくは、前記アーチ部において前記アウトソールは前部が欠損して前記前部に前記露出部が設けられ、かつ、前記可動部が前記アーチ部の少なくとも後部に設けられている。
この場合、アーチ部に負荷がかかると、アーチ部の後部より好ましくは後半部が接地し足裏の低下が抑制され、かつ、アーチ部の前部はアウトソールが欠損しており、歩行において重心が滞留せずに前に移動し、したがって、歩行し易いであろう。
【0019】
好ましくは、前記可動部は前記アーチ部における足の内側に設けられ、かつ、前記アーチ部における足の外側には設けられていない。すなわち、前記アーチ部の外側には前記可動部が設けられておらず、前記アーチ部の外側には前記露出部または前記薄肉部が設けられている。
この場合、アウトソールはアーチ部において、足の外側が接地せずに足の内側の可動部が接地し、そのため、アーチ部において足の内側の後部ないし後半部が接地した後に、スムースに足の外側の前部ないし前半部に向かって重心が移動し、したがって、中足から小趾球に向かう重心の移動がスムースだろう。
【0020】
概念上、アーチ部は前部、中部、後部に分けられる。前半部はアーチ部の1/2の領域で前部よりも広い領域をいい、後半部はアーチ部の1/2の領域で後部よりも広い領域をいう。
「可動部が外側に設けられていない」ということは、無負荷の状態では接地せず、かつ、負荷がアーチ部にかかると接地する、アウトソールの部分が外側に設けられていないことを意味する。
【0021】
好ましくは、前記可動部の接地面は前方に向かうに従い路面からの距離が大きい傾斜面を有する。
この場合、アーチ部に負荷が加わると、前記接地面と路面とがなす傾斜角が小さくなって接地面が路面に接地し、そのため、足裏に対する突き上げ感を感じにくいだろう。
【0022】
好ましくは、前記アーチ部においてミッドソールの下面と前記可動部の上面との間には、前記ミッドソールおよびアウトソールのヤング率よりも大きいヤング率を有する強化部材が挟まれており、
前記強化部材は前記アーチ部において少なくとも前記足の内側に配置されている。
この場合、足の内側の後半部においてアウトソールが接地すると、足の内側の前半分のミッドソール上面が沈下しにくく、足の外側の前半部に向かって重心が移動し易い。
【0023】
好ましくは、前記強化部材は前記アーチ部において足の外側を覆うことなく前記アーチ部の内側の全長にわたって設けられている。
この場合、足の外側の前半部に向って重心が更に移動し易く、前記重心の移動が更にスムースである。
【0024】
別の好ましい実施例においては、前記可動部は前記アーチ部における足の内側に配置され、前記アーチ部における足の外側において前記アウトソールが欠損している露出部を更に備える。前記露出部の存在はアウトソールの軽量化とアーチ部の変形のし易さに役立つ。この場合、前記露出部に代えて、あるいは、前記露出部に加え、前記アウトソールが薄肉化された薄肉部が前記アーチ部における足の外側に設けられてもよい。前記薄肉部は接地面の部位に比べアウトソールの厚さが薄いので、露出部程ではないが、前記アウトソールの軽量化等が図られる。
【0025】
更に好ましくは、前記可動部は足の内側に設けられ、かつ、足の外側には設けられていない。
この場合、アウトソールはアーチ部において、足の外側が接地せずに足の内側の可動部が接地し、そのため、アーチ部において足の内側が接地した後に、スムースに足の外側の前半部に向かって重心が移動し、したがって、中足から小趾球に向かう重心の移動がスムースだろう。
【0026】
好ましくは、前記可動部の接地面は前方に向かうに従い路面からの距離が大きい傾斜面を有する。
この場合、アーチ部に負荷が加わると、前記接地面の傾斜角が小さくなって接地面が路面に接地し、そのため、足裏に対する突き上げ感を感じにくいだろう。
【0027】
好ましくは、ミッドソールの下面と前記可動部の上面との間には、前記ミッドソールおよびアウトソールのヤング率よりも大きいヤング率を有する強化部材が挟まれており、
前記強化部材は前記アーチ部において少なくとも前記足の内側に配置されている。
この場合、足の内側の後半分においてアウトソールが接地すると、足の内側の前半分のミッドソール上面が沈下しにくく、足の外側の前半部に向かって重心が移動し易い。
【0028】
好ましくは、前記強化部材は前記アーチ部において足の外側を覆うことなく前記アーチ部の内側の全長にわたって設けられている。
この場合、足の外側の前半部に向って重心が更に移動し易く、前記重心の移動が更にスムースである。
【0029】
別の好ましい実施例においては、前記可動部は前記アーチ部の内側および外側に設けられ、前記外側の可動部よりも前記内側の可動部の方が接地し易い。
【0030】
更に好ましくは、前記外側の可動部よりも前記内側の可動部の方が路面からの距離が小さい。この場合、内側のミッドソールの方が外側のミッドソールよりも沈下量が小さいだろう。
【0031】
好ましくは、前記アーチ部の外側よりも前記アーチ部の内側の方が前後方向の長さが小さい。この場合、内側のミッドソールの方が外側のミッドソールよりも沈下量が小さいだろう。
【0032】
本発明は別の局面において、前足部、後足部及びこれらの間の中足部を有する靴底であって、
路面に接地するアウトソールと、
前記アウトソールの上方に配置されたミッドソールと、
前記中足部において、前記ミッドソールは高硬度の第1層の上面の上に前記第1層よりも低硬度の第2層が配置され、
前記第1層の前記上面が前記中足部の内側から外側に向かって下方に傾いており、
前記第1層の前記上面が前記中足部の後半から前半に向かって下方に傾いている。
なお、中足部は少なくともアーチ部を含むが、ソールにアーチが形成されていない場合やアーチの領域が前後に短い場合は、楔状骨および舟状骨の部位を含む。
前記高硬度の第1層の上面は、内側から外側に向って、かつ、中足部の後半から前半に向って下方に傾いており、そのため、中足部の後半の内側においてミッドソールの上面が比較的沈下しにくく、一方、中足部の前半の外側においてミッドソールの上面が比較的沈下し易い。したがって、前述と同様に、前記重心の移動がスムースであろう。
この局面においては、前記第1層と前記第2層とは、前記上面において互いに接着または溶着されていてもよい。この場合、前記硬い第1層と前記柔らかい第2層との界面の設定が容易になり、製造が容易かもしれない。
【0033】
本発明は更に別の局面において、
前足部、後足部及びこれらの間の中足部を有する靴底であって、
路面に接地するアウトソールと、
前記アウトソールの上方に配置されたミッドソールとを備え、
前記ミッドソールの前記中足部は互いに硬度の異なる下層とその上の上層とを包含し、
前記2つの層の一方が高硬度の第1層で、前記2つの層の他方が前記第1層よりも低硬度の第2層であり、
前記中足部の内側の後半領域α1、内側の前半領域α2、前記中足部の外側の後半領域α3および外側の前半領域α4における、前記高硬度層の体積を低硬度層の体積で除算した値V1,V2,V3およびV4が下記の(1)及び(2)式を満たす
V1>V2>V4 …(1)
V1>V3>V4 …(2)。
【0034】
好ましくは、前記アーチ部における前記ミッドソールの上面の沈下しにくさが下記の(3)および(4)式を満たす
内側の後半>外側の後半>外側の前半 …(3)
内側の後半>内側の前半>外側の前半 …(4)。
【0035】
好ましくは、前記アーチ部における前記ミッドソールの上面の沈下しにくさが、前記アーチ部の後端から前端に向かうに従い小さい。
この場合、前記重心の移動がスムースである。
【0036】
本発明は更に別の局面において、
前足部、後足部及びこれらの間のアーチ部を有する靴底であって、
路面に接地するアウトソールと、
前記アウトソールの上方に配置されたミッドソールと、
前記アーチ部における前記ミッドソールの上面の沈下しにくさが下記の(3)式および(4)式となるような制御手段とを備える
内側の後半>外側の後半>外側の前半 …(3)
内側の後半>内側の前半>外側の前半 …(4)。
【0037】
本発明は更に別の局面において、
前足部、後足部及びこれらの間のアーチ部を有する靴底であって、
路面に接地するアウトソールと、
前記アウトソールの上方に配置されたミッドソールと、
前記アーチ部における前記ミッドソールの上面の沈下しにくさが、前記アーチ部の後端から前端に向かうに従い小さい。
【実施例】
【0038】
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施例の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲によってのみ定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0039】
以下、本発明の第1実施例が図面にしたがって説明される。図1図6Bは実施例1を示す。なお、図1図2および図6A〜Bは右足用の靴底が図示されており、図3図5は左足用の靴底が図示されている。
【0040】
図1および図2に示すように、靴底はアウトソール1およびミッドソール2を備えている。なお、図1および図2においてはアウトソール1の接地面に形成された微細な溝(いわゆる意匠)は、省略されている。
【0041】
図3Aおよび図3Bに示すように、靴底は前足部F、後足部R及びこれらの間のアーチ部Mを有する。図3Aに示すように、アウトソール1は例えばゴムの発泡体または非発泡体で形成され、路面9と接する接地面1sを有している。なお、図3Aにおいて、アウトソール1はミッドソール2に貼り合わされる前の状態が描かれている。
【0042】
ミッドソール2は、例えばEVAなどの樹脂の発泡体で形成され、図3Aに示すように、アウトソール1の上に配置され、着地の衝撃を緩和するものである。そのため、ミッドソール2はアウトソール1よりも厚く形成されている。
図1図2および図4Aにおいて、ミッドソール2の下面2u(底面)には、複数個のパーツに分離されたアウトソール1が設けられている。
【0043】
図4Aおよび図4Bに示すように、アウトソール1は可動部10を有する。前記可動部10は前記アーチ部Mに設けられ、図4Aのように、前記アーチ部Mが無負荷の状態では接地せず、かつ、図4Aの前記無負荷の状態から前記アーチ部Mに歩行時の負荷がかかると、図4Bのように、下方に向かって変位して接地する。
【0044】
図4Aに示すように、前記可動部10の接地面1sは前方に向かうに従い路面9からの距離が大きい傾斜面11を有する。すなわち、前記接地面1sは前記路面9に対し所定の傾斜角をなす。前記可動部10の後端10rには前記アウトソール1が薄肉化されて接地しない薄肉部1aが連なって配置されている。なお、前記アウトソール1において前記薄肉部1aは接地面1sに比べ厚さが薄く、かつ、路面9に接地しない。
【0045】
図4Bに示すように、前記アーチ部Mにフットフラット時の負荷がかかると、前記可動部10が下方に変位して、前記可動部10の傾斜面11が路面9に接地する。これにより、図5Aのミッドソール2の上面2sがアーチ部Mにおいて下方に沈下し、そのため、前方へのスムースな重心の移動が実現される。
【0046】
なお、薄肉部1aに代えてアウトソール1が欠損した露出部Maとしてもよい。
この場合、アウトソール1のパーツの数が増える。
【0047】
図1に示すように、前記アーチ部Mにおいて前記アウトソール1は前部Mfの少なくとも一部が欠損して前記前部Mfに前記露出部Maが設けられ、かつ、前記可動部10が前記アーチ部Mの少なくとも後部Mrに設けられている。前記露出部Maは前記フットフラット時を含む歩行時の全ての状態において路面9(図4A)に接地しない。そのため、前記露出部Maの上方のミッドソール2の上面2sは前記可動部10のそれよりも更に下方に沈下し易い。したがって、前方への重心の移動が更に容易である。
【0048】
図1に明示するように、本実施例の場合、前記可動部10は足の内側INにのみ設けられ、かつ、足の外側OUTには設けられていない。つまり、アーチ部Mの外側はアウトソール1が設けられていない露出部Maとなっている。そのため、重心がアーチ部Mにおいて外側OUTに移動し易いだろう。
図1に示すように、本実施例の場合、前記露出部Maは前記可動部10の前方および前記アーチ部Mの外側に設けられている。
【0049】
なお、一般に、前記アウトソール1は例えばゴムの発泡体や非発泡体などの耐摩耗性の高い素材が採用され、一方、前記ミッドソール2は例えばEVAのような樹脂の発泡体などが採用される。
【0050】
本実施例の場合、図2に示すように、ミッドソール2の下面2uには強化部材3が付着されている。前記強化部材3は前記ミッドソール2およびアウトソール1のヤング率よりも大きいヤング率を有しており、図1に示すように、前記アーチ部Mにおいてミッドソール2の下面2uと前記可動部10の上面10sとの間に挟まれている。
前記強化部材3は前記アーチ部Mにおいて少なくとも前記足の内側INに配置されていてもよい。
【0051】
なお、図1図2図9および図10において、前記強化部材3の部位には、網点が施されている。
【0052】
つぎに、前記靴底を有する靴を着用した場合の前記靴底の挙動について説明する。
【0053】
一方の足のみが接地し、かつ、他方の足が接地していない状態から同他方の足の後足部Rが接地し、前足部Fが接地した瞬間までの間においては、当該他方の足のアーチ部Mは無負荷の状態である。
この無負荷の状態においては、図3A図5Bおよび図6Bのように、後足部Rは路面9に接地し、一方、図6Aおよび図4Aに示すように、可動部10を含むアーチ部Mは路面9に接地していない。
この際、図15Aの踵における荷重W1が大きいだろう。
【0054】
つづいて、前記他方の足の後足部Rが接地し、かつ、前足部Fが接地し、重心が図15AのベクトルW2からベクトルW5に移行するフットフラットの前半期には、まず、アーチ部Mの内側の後部の負荷が大きくなるだろう。
【0055】
この際、前記負荷の移動に伴い、図4Aの可動部10が下方に向かって変位するように接地すると共に、図6Aのミッドソール2の上面2sが下方に沈下する。
【0056】
更に、フットフラットの後半期に入ると、重心は図15AのベクトルW4、W5で表されるように、前方に移動する。
この際、図1のアーチ部Mの後部Mrの外側OUTや前部Mfにはアウトソールを設けていないので、各々、後部Mrの内側INに比べミッドソール2の上面が沈下し易い。したがって、アーチ部Mから小趾球への重心のスムースな移動が期待できる。
【0057】
図6C図8は実施例2を示す。なお、本実施例2では右足用の靴底が図示されている。
図8に明示するように、本実施例2においては、前記強化部材3が靴底のアーチ部Mに設けられていない。
【0058】
一方、本実施例2においては、図7に示すように、可動部10がアーチ部Mの内側の前部Mfおよび後部Mrに設けられていると共に、アーチ部Mの外側の後部Mrに設けられている。これらの3つの可動部10、10、10は互いに前後又は内外に分離して配置されている。
【0059】
前記アーチ部Mの後部Mrの可動部10には、その後端MErに薄肉部1aが連なっており、一方、アーチ部Mの前部Mfの可動部10には、その前端MEfに薄肉部1aが連なっている。
これにより、各可動部10が変位し易い。
【0060】
本実施例において、前記可動部10は前記アーチ部Mにおける足の内側INおよび外側OUTに配置され、前記アーチ部Mにおける足の内側INおよび外側OUTにおいて前記アウトソール1が欠損している露出部Maを更に備える。
【0061】
前記内外の可動部10,10は互いに内外に分離されており、前記内外の可動部10,10の間には露出部Maが設けられている。一方、前記前後の可動部10,10は互いに前後に分離されており、前記前後の可動部10,10の間には露出部Maが設けられている。
【0062】
図6Cに示すように、前記外側OUTの可動部10よりも前記内側INの可動部10の方が路面9からの距離が小さい。そのため、前記外側OUTの可動部10よりも前記内側INの可動部10の方が接地し易い。
なお、本実施例においても可動部10の数は1個以上であればよい。
【0063】
図9および図10は実施例3を示す。
図10に明示するように、本実施例の強化部材3は、アーチ部Mの一部を覆っており、かつ、アーチ部Mの全域を覆っていない。
【0064】
前記強化部材3は前記アーチ部Mの内側INにおいて後端から前端に向かって延び、かつ、ミッドソール2の下面2uに付着された内側部31を有し、かつ、前記アーチ部Mの外側OUTにおいて少なくとも前記アーチ部Mの前半部M2を覆っていない。より詳しくは、前記強化部材3は前記アーチ部Mにおいて足の外側OUTを覆うことなく前記アーチ部Mの内側INの全長にわたって設けられている。
すなわち、前記アーチ部Mの外側OUTにおいて、前記ミッドソール2の下面2uは露出している。
【0065】
前記強化部材3は前記アーチ部Mの内側から前足の爪先に向かって延び、かつ、アーチ部Mの内側から後足の内外に向かって延びる。更に、前記強化部材3は前記アーチ部Mの内側から前記外側の後半部M1の一部を覆う。
【0066】
強化部材3で強化されたアーチ部Mの内側においてミッドソール2の上面は沈下しにくく、一方、アーチ部Mの外側の前半部M2において沈下し易い。したがって、中足から小趾球に向かう重心の移動がスムースであろう。
【0067】
図9の前記可動部10はアーチ部Mの内側の後部Mrにおいて前記強化部材3の底面に付着されている。すなわち、前記実施例1と同様に、前記アーチ部Mにおいて、前記アウトソール1は前記強化部材3の下面に付着され、アーチ部Mの前記内側INの前部Mfを覆う事なく前記内側INの後半部M1(図11B)を覆う部分を有する。
【0068】
本実施例の場合、前記アーチ部Mの外側OUTよりも前記アーチ部Mの内側INの方が前後方向Yの長さが小さい。すなわち、図1の例において設けられていた前足部Fの外側OUTの後端の部位のアウトソール1が図9のように切欠されて、外側OUTのアーチ部Mが前後に長くなっている。
【0069】
換言すれば、前足部Fのアウトソール1の後端は、内側INよりも外側OUTの方が前方に配置されている。すなわち、無負荷の状態で接地しないアーチ部Mの面積は、内側よりも外側の方が大きい。
【0070】
そのため、フットフラット時にアーチ部Mの可動部10が接地した後に、重心は内側INの後部Mrから外側OUTの前部Mfないし小趾球に向かって移動し易いだろう。
また、アウトソール1の欠損による軽量化が図られるであろう。
【0071】
なお、本実施例および図1の実施例において強化部材3を設けなくてもよいし、逆に図7の実施例において強化部材3が設けられてもよい。
【0072】
図11A図11Dは実施例4を示す。
本実施例ではミッドソール2のアーチ部Mのヤング率つまり硬度と厚さが前後および内外について異なっていることで、ミッドソール2の上面2sの沈下し易さが前後および内外において異なっている。
【0073】
前記ミッドソール2の前記中足部Mは互いに硬度の異なる下層21とその上の上層22とを包含する。前記2つの層の一方が高硬度の第1層21で、前記2つの層の他方が前記第1層21よりも低硬度の第2層22である。
【0074】
すなわち、図11Cおよび図11Dに示すように、前記中足部Mにおいて、前記ミッドソール1は高硬度の前記第1層21の上面21sの上に前記第1層21よりも低硬度の前記第2層22が配置されている。本実施例の場合、前記第1層21の前記上面21sが前記中足部Mの内側INから外側OUTに向かって下方に傾いている。また、図11Aおよび図11Bに示すように、前記第1層21の前記上面21sが前記中足部Mの後半部M1から前半部M2に向かって下方に傾いている。
【0075】
ミッドソール2の前記樹脂の発泡体の硬度は、実用上、JIS K 7312に規定される硬度(以下、「C硬度」という。)で0度よりも大きく75度以下が好ましいだろう。
前記ミッドソール2の発泡体の硬度差は、C硬度で2度以上が好ましく、2度〜30度程度がより好ましく、5度〜15度程度が特に好ましいだろう。硬度差が小さいと重心の移動し易さの効果が小さく、硬度差が大きすぎると前記実用的な硬度範囲から外れ易くなる。
【0076】
かかる観点から、前記第1層21の硬度は、C硬度で55度〜65度程度が更に好ましく、58度〜63度程度が最も好ましいだろう。
一方、第2層22の発泡体の硬度は、C硬度で、50度〜60度が更に好ましく、53度〜58度程度が最も好ましいだろう。
【0077】
こうして、図11Bの前記中足部Mの内側の後半領域α1、内側の前半領域α2、図11Aの前記中足部Mの外側の後半領域α3および外側の前半領域α4における、前記高硬度層21の体積を低硬度層22の体積で除算した値V1,V2,V3およびV4が下記の(1)及び(2)式を満たすように設定されている。
V1>V2>V4 …(1)
V1>V3>V4 …(2)
【0078】
この場合、前記アーチ部つまり中足部Mにおける前記ミッドソール2の上面2sの沈下しにくさが、前記アーチ部Mの後端から前端に向かうに従い小さい。
より詳しくは、前記アーチ部Mにおける前記ミッドソール2の上面2sの沈下しにくさは下記の(3)および(4)式を満たす。
内側の後半>外側の後半>外側の前半 …(3)
内側の後半>内側の前半>外側の前半 …(4)
そのため、前記重心のスムースな移動が期待できる。
【0079】
前記領域α1〜α4は以下のように定義付けられてもよい。
図11Cおよび図11Dのミッドソール2の内外の縁の巻上部分は、前記沈下しにくさに寄与する度合が前記ミッドソール2の内外の中央部分に比べ小さい。したがって、前記巻上部分を除く中央部分のみが4つの領域α1〜α4に設定されてもよい。
【0080】
前記(3)、(4)式等で示されるアーチ部Mの上面2sの沈下しにくさは、前述の他の実施例および後述の他の実施例においても備えているのが好ましい。
すなわち、前記アーチ部Mにおける前記ミッドソール2の上面2sの沈下しにくさが上記の(3)および(4)式となるような制御手段を備えているのが好ましい。
かかる制御手段は、図1の前述の可動部10、強化部材3、ミッドソール2の硬度差、あるいは、アーチ部Mの内外の長さの相違により得られる。
【0081】
前記第1層21と前記第2層22とは、たとえば、互いに硬度の異なる一次成型された第1層21と第2層22とが二次成型されて互いに溶着されて形成されたり、あるいは、互いに接着されて形成されたりしてもよい。この場合、第1層21と第2層22との界面は明確で前記界面は第1層21の上面21sとなる。
【0082】
一方、前記第1層21と第2層22との間に明確な界面がなくてもよい。
たとえば、第1層21と第2層22とを同時に一次成型する場合、前記明確な界面は表れにくいだろう。
【0083】
かかるミッドソール1の製造方法としては、金型において第1層21の下側に対応する箇所と第2層22の上側に対応する箇所とに各々溶解樹脂の導入口を設け、2つの導入口から同時に溶解樹脂を同金型内に供給することにより形成されてもよい。
あるいは、第1層21を構成する溶解樹脂と第2層22を構成する溶解樹脂とを上下に積み重ね圧縮成型してもよい。
【0084】
第1層21と第2層22との間に明確な界面がない場合、たとえば、明確な硬度差を有する面がない場合、前記第1層21の上面21sは、第1層21および第2層22のミッドソール1の硬度範囲のうち中間の硬度を持つ面に設定されてもよい。
【0085】
図12A図12Cは実施例5を示す。
これらの図に示されるように、前記アーチ部Mの外側OUTよりも前記アーチ部Mの内側INの方が前後方向Yの長さが小さい。
【0086】
本実施例の場合、例えば5個の可動部10、10Aを有する。図12Aの前記外側の可動部10、10、10Aよりも図12Bの前記内側の可動部10、10の方が路面9からの距離が小さい。
【0087】
前記可動部10の接地面1sは前方に向かうに従い路面9からの距離が大きい傾斜面11を有する。一方、外側の最前端の可動部10Aの接地面1sは後方に向かうに従い路面9からの距離が大きい傾斜面11を有する。
【0088】
前記制御手段は図13A図13Cに示される棒状のパーツ40で形成されてもよい。この棒状のパーツ40はミッドソール2よりも硬い樹脂素材で形成されており、ミッドソール2に埋設されている。一般に、内側のパーツ40の数が外側のパーツ40の数よりも大きい。
【0089】
また、前記制御手段は図14Aおよび図14Bの破線で示される空隙41で構成されてもよい。空隙41はミッドソール2の内側INの方がミッドソール2の外側OUTよりも小さい。
【0090】
また、前記制御手段は図14Cの強化部材3で構成されてもよい。この強化部材3は前方に行くに従い下方に傾斜しており、ミッドソール2における厚さが前方に行くに従い厚い。
【0091】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、ミッドソールは樹脂の発泡体に凹所などを設けて樹脂の発泡体以外の緩衝要素が充填されていてもよい。
なお、本発明のミッドソールについての技術思想を中敷について採用することも可能である。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は歩行に適した靴の靴底に適用できる。
【符号の説明】
【0093】
1:アウトソール 1a:薄肉部 1s:接地面
10:可動部 10f:前端 10r:後端 10s:上面
11:傾斜面
2:ミッドソール 2s:上面 2u:下面 21:第1層(下層) 21s:上面
22:第2層(上層)
3:強化部材 30:外側部 31:内側部
40:棒状のパーツ 41:空隙
9:路面
100:空隙領域
IN:内側 OUT:外側
F:前足部
R:後足部
M:アーチ部(中足部)Mf:前部 Mr:後部
Ma:露出部 M1:後半部 M2:前半部 MEf:前端 MEr:後端
Y:前後方向
i:荷重
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17