【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題の解決を目的に鋭意研究した結果、本発明者等は、1,10−フェナントロリン構造を有する特定の化合物が、高い電子輸送性能を有し、耐久性に優れていることを初めて発見し、本発明の完成に至ったものである。
【0010】
本発明の第1は、下記一般式(1)
で示される1,10−フェナントロリン誘導体に関する。
【化4】
(式中、R
1〜R
7は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基よりなる群から選ばれた基であり、Aは
フェニレン基であり、nは2または3である)
すなわち、本発明は、フェナントロリンの3位でAと結合していることが大切である。
本発明の第2は、
請求項1記載の一般式(1)で表される1,10−フェナントロリン誘導体よりなる電子輸送材料に関する。
本発明の第3は、
請求項1記載の一般式(1)で表される1,10−フェナントロリン誘導体よりなる電子注入材料に関する。
本発明の第4は、一対の電極間に
請求項1記載の一般式(1)で表される1,10−フェナントロリン誘導体を少なくとも一種含有する層を含む有機電界発光素子に関する。
【0011】
前記炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−ブチルヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
【0012】
前記置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−フェニル−1−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、10−フェニル−9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、2−ペリレニル基、3−ペリレニル基、1−フルオランテニル基、2−フルオランテニル基、3−フルオランテニル基、8−フルオランテニル基、2−トリフェニレニル基、9,9−ジメチルフルオレン−2−イル基、9,9−ジブチルフルオレン−2−イル基、9,9−ジヘキシルフルオレン−2−イル基、9,9−ジオクチルフルオレン−2−イル基、9,9−ジフェニルフルオレン−2−イル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、p−テルフェニル−3−イル基、p−テルフェニル−4−イル基、m−テルフェニル−3−イル基、m−テルフェニル−4−イル基、o−テルフェニル−3−イル基、o−テルフェニル−4−イル基、4−(1−ナフチル)−1−ナフチル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−フェニル−1−ナフチル基、10−メチル−9−アントリル基、4−フェニル−8−フルオランテニル基等が挙げられる。
【0013】
本発明の一般式(1)で表される新規な1,10−フェナントロリン化合物の好ましい具体例を下記に示すが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0014】
【化5】
【0015】
【化6】
【0016】
【化7】
【0017】
【化8】
【0018】
【化9】
【0019】
本発明
の新規な1,10−フェナントロリン化合物は以下の方法により製造することができるが、特に限定されるものではない。
【0020】
本発明
の新規な1,10−フェナントロリン化合物は、ハロゲン化物とアリールボロン酸誘導体のカップリング反応(Suzuki反応)により製造することができる[Chem.Rev.,vol.102,1359(2002).Tetrahedron,58,9633(2002).]。具体的には、下式に示すような一般式(2)で示されるアリールボロン酸誘導体と一般式(3)で示される3−ブロモ−1,10−フェナントロリン誘導体をカップリングする方法が好ましい。
【化10】
【0021】
本発明
の新規な1,10−フェナントロリン誘導体の製造に用いられる一般式(2)で示される3−ブロモ−1,10−フェナントロリン誘導体は、公知の製造方法により製造することができる[Tetrahedron Lett.,36,3489(1995).]。
一般式(3)で示されるアリールボロン酸誘導体は、対応するハロゲン化アリールなどから公知の製造方法により製造することができる[Tetrahedron,58,9633(2002).]。
本発明
の新規な1,10−フェナントロリン誘導体の製造は、通常、塩基の存在下で遷移金属錯体を触媒として用いたカップリング反応で行う。
塩基の例としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸セシウム、リン酸三カリウムなどが挙げられるが、とくに炭酸ナトリウムが好ましい。
【0022】
遷移金属錯体は、あらかじめ合成したものを使用しても良く、遷移金属錯体の前駆化合物と配位子を同時に使用して反応系内で発生させても良い。遷移金属錯体としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)が好ましい。遷移金属錯体の前駆化合物の例としては、例えば、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、パラジウム−炭素などが挙げられるが、とくに酢酸パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)が好ましい。また、配位子の例としては、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、亜リン酸トリメチルなどが挙げられるが、とくにトリフェニルホスフィンが好ましい。
【0023】
本発明
の新規な1,10−フェナントロリン誘導体の製造は、遷移金属錯体触媒を使用するので、通常、窒素、アルゴンなどの酸素を含まない不活性雰囲気下で行われる。
【0024】
また、本発明
の新規な1,10−フェナントロリン誘導体の製造に使用される溶媒は、通常、塩基を溶かすための水と混合して用いることが多いが、単独で用いても良い。その例としては、メタノール、エタノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。好ましくは、エタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンである。また、水−エタノール−トルエン系のような三種類の混合溶媒も良く用いる。溶媒の使用量は、一般式(2)で示される化合物に対して、3〜100重量倍が一般的であるが、好ましくは3〜50重量倍である。反応温度は、20℃から200℃の範囲であるが、好ましくは50℃から120℃である。反応時間は、1〜100時間程度である。
【0025】
本発明
の新規な1,10−フェナントロリン誘導体は、反応終了後、冷却し、析出してきた結晶をろ過し、メタノール、水で洗浄し、乾燥すれば得られる。また、冷却しても、結晶が析出しない場合には、反応液をメタノールまたは水に注ぎ、析出してきた結晶をろ過し、メタノールまたは水で洗浄し、乾燥すると目的生成物が得られる。反応液をメタノールまたは水に注いでも結晶が析出しない場合には、トルエン、酢酸エチル等の溶媒で抽出し、洗浄、乾燥、濃縮すると目的生成物が得られる。
【0026】
本発明
の新規な1,10−フェナントロリン誘導体は、カラムクロマトグラフィー、再結晶、昇華により精製することができる。また、必要に応じて、前記3つの精製方法を組み合わせてもよい。カラムクロマトグラフィーでは、充填剤としてシリカゲル、アルミナ、フロリジルなどを用いて、適切な溶媒で溶離することにより精製することができる。精製溶媒の例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、酢酸エチルなどが挙げられる。
【0027】
本発明
の新規な1,10−フェナントロリン誘導体に置換基を導入する場合、一般式(2)で示される3−ブロモ−1,10−フェナントロリン誘導体にあらかじめ所望の置換基を導入しておいて、次いで、一般式(3)で示されるアリールボロン酸誘導体とカップリングする方法で合成できる。
【0028】
次に本発明の有機電界発光素子について説明する。本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極間に一層もしくは多層の有機化合物層を積層した素子であり、該有機化合物層の少なくとも一層が本発明の
新規な1,10−フェナントロリン化合物を含有する。有機電界発光素子が一層型の場合、陽極と陰極間に発光層を設けている。発光層は、発光材料を含有し、それに加えて陽極から注入した正孔もしくは陰極から注入した電子を発光材料まで輸送する目的で、正孔輸送材料もしくは電子輸送材料を含有してもよい。正孔輸送層、電子輸送層、および発光層のそれぞれの層は、一層構造であっても、多層構造であってもよい。また、正孔輸送層、電子輸送層は、それぞれの層で、注入機能を受け持つ層(正孔注入層および電子注入層)と輸送機能を受け持つ層(正孔輸送層および電子輸送層)を別々に設けることもできる。また、複数の発光材料を混合してもよい。多層型の有機電界発光素子の構成例としては、例えば、陽極/正孔輸送層/発光層/陰極、陽極/発光層/電子輸送層/陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極等の多層構成で積層したものが挙げられる。また、必要により陰極上に封止層を有していてもよい。
【0029】
本発明の有機電界発光素子は、上記構成例に限らず、種々の構成とすることができる。必要に応じて、正孔輸送層成分と発光層成分、あるいは電子輸送層成分と発光層成分を混合した層を設けても良い。
【0030】
以下、本発明の有機電界発光素子の構成要素に関し、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極からなる素子構成を例として取り上げて詳細に説明する。本発明の有機電界発光素子は、基板に支持されていることが好ましい。基板の素材については特に制限はなく、従来の有機電界発光素子に慣用されているものであればよく、例えば、ガラス、透明プラスチック、石英ガラスなどからなるものを用いることができる。本発明の有機電界発光素子の陽極としては、その金属の持つ仕事関数の大きな(4eV以上)金属、その合金の持つ仕事関数の大きな(4eV以上)合金または導電性物質およびこれらの混合物を電極材料とすることが好ましい。このような電極材料の具体例としては、例えば、金、銀、銅などの金属、ITO(インジウム・チン・オキサイド)、酸化スズ(SnO
2)、酸化亜鉛(ZnO)などの導電性透明材料、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子材料が挙げられる。陽極はこれらの電極材料を、例えば、蒸着、スパッタリング、塗布などの方法により基板上に形成することができる。陽極のシート電気抵抗は数百Ω/cm
2以下が好ましい。陽極の膜厚は材料にもよるが、一般に5〜1,000nm程度、好ましくは10〜500nmである。
【0031】
陰極としては、その金属の持つ仕事関数の小さな(4eV以下)金属、その合金の持つ仕事関数の小さな(4eV以下)合金または導電性物質およびこれらの混合物を電極材料とすることが好ましい。このような電極材料の具体例としては、リチウム、リチウム−インジウム合金、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−マグネシウム合金などが挙げられる。陰極はこれらの電極材料を例えば、蒸着法、スパッタリング法などの方法により、薄膜を形成させることにより、作製することができる。陰極のシート電気抵抗は数百Ω/cm
2以下が好ましい。陰極の膜厚は材料にもよるが、一般に5〜1,000nm程度、好ましくは10〜500nmである。本発明の有機電界発光素子の発光を効率よく取り出すために、陽極または陰極の少なくとも一方の電極は、透明または半透明であることが好ましい。
【0032】
本発明の有機電界発光素子の正孔輸送層は、正孔伝達化合物からなるもので、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有している。電界が与えられた2つの電極間に正孔伝達化合物が配置されて陽極から正孔が注入された場合、少なくとも10
−6cm
2/V・秒以上の正孔移動度を有する正孔伝達化合物が好ましい。本発明の有機電界発光素子の正孔輸送層に使用する正孔伝達化合物は、前記の好ましい性質を有するものであれば特に制限はない。従来から光導電材料において正孔の電荷注入輸送材料として慣用されているものや有機電界発光素子の正孔輸送層に使用されている公知の材料の中から任意のものを選択して用いることができる。
【0033】
前記の正孔伝達物質としては、例えば、銅フタロシアニンなどのフタロシアニン誘導体、N,N,N′,N′−テトラフェニル−1,4−フェニレンジアミン、N,N′−ジ(m−トリル)−N,N′−ジフェニル−4,4′−ジアミノビフェニル(TPD)、N,N′−ジ(1−ナフチル)−N,N′−ジフェニル−4,4′−ジアミノビフェニル(α−NPD)などのトリアリールアミン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、および水溶性のPEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)−PSS(ポリスチレンスルホン酸)が挙げられる。正孔輸送層は、これらの正孔伝達化合物一種または二種以上からなる一層で構成されてもよく、前記の正孔伝達化合物とは別の化合物からなる正孔輸送層を積層したものでもよい。
【0034】
本発明の有機電界発光素子の発光層に用いられる発光材料については特に制限されることはなく、従来の公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
発光材料としては、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体(例えば、クマリン1、クマリン6、クマリン110、クマリン153)、ピラン誘導体(例えば、DCM1,DCM2)、オキサゾン誘導体(例えば、ナイルレッド)、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、縮合多環式芳香族炭化水素およびその誘導体(例えば、ピレン、ペリレン、クリセン)、トリアリールアミン誘導体、有機金属錯体[例えば、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq
3)]などを挙げることができる。
【0035】
発光層は、ホスト材料とゲスト材料(ドーパント)から形成することもできる[Appl.Phys.Lett.,65,3610(1989)]。発光層に使用する発光材料は、ホスト材料のみでも、ホスト材料とドーパント材料の組合せでもよい。
有機電界発光素子において、発光層のホスト材料と電子輸送層の材料が異なるとき、発光層にホスト材料とドーパン材料(ゲスト材料)の混合物、その上層の電子輸送層に電子輸送材料が積層した構造となる。この場合、ホスト材料の全般にドーパント材料が含まれていることになる。一方、発光層のホスト材料と電子輸送層の材料に同じ材料を使用した場合、発光層にホスト材料とドーパント材料の混合物、その上層の電子輸送層にホスト材料が積層した構造となる。この場合、ホスト材料の一部にドーパント材料が含まれていることになる。いいかえれば、「ドーパント材料はホスト材料の全般に含まれていても、部分的に含まれていても良い。」ということになる。
【0036】
ドーパント材料は、ホスト材料に対して、好ましくは、0.01〜40重量%であり、より好ましくは、0.1〜20重量%である。ドーパント材料は、単独で使用しても、複数の材料を併用してもよい。
【0037】
本発明の有機電界発光素子の発光層に用いられるホスト材料については特に制限されることはなく、前記発光材料の中から任意のものを選択して用いることができる。その具体例としては、ペンタセン、ルブレンなどの縮合多環式芳香族炭化水素誘導体、ベンズトリアゾール誘導体、スチルベン誘導体、ビスチリルアントラセンなどのビスチリル誘導体、イソベンゾフラン誘導体、クマリン誘導体、ローダミン誘導体、アクリジン誘導体、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロメテン誘導体などの蛍光性材料が挙げられる。
また、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム、トリス〔2−(2−ベンゾチオフェニル)ピリジン〕イリジウム、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム、ビス(1−フェニルイソキノリン)(アセチルアセトナト)イリジウムなどがリン光性材料として挙げられる。
【0038】
本発明の有機電界発光素子の電子輸送層および/または電子注入層の材料としては、本発明
の新規な1,10−フェナントロリン誘導体が好ましい。
【0039】
本発明の有機電界発光素子は、電子注入性をさらに向上させる目的で、陰極と有機層の間に絶縁体で構成される電子注入層をさらに設けてもよい。ここで使用される絶縁体としては、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、8−キノリノール誘導体のアルカリ金属塩から選択される少なくとも一つの金属化合物を使用することが好しい。アルカリ金属ハロゲン化物としては、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、等が挙げられる。アルカリ土類金属ハロゲン化物としては、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、等が挙げられる。8−キノリノール誘導体のアルカリ金属塩としては、8−キノリノラトリチウム(Liq)が挙げられる。
【0040】
正孔輸送層、発光層、電子輸送層の形成方法については、特に限定されるものではない。例えば、真空蒸着法、イオン化蒸着法、溶液塗布法(例えば、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法)を使用することができる。また、真空蒸着法と溶液塗布法を併用してもよい。
【0041】
真空蒸着法により正孔輸送層、発光層、電子輸送層等の各層を形成する場合、真空蒸着条件は、特に限定されるものではない。通常、10
−5Torr程度以下の真空下で、50〜500℃程度のボート温度(蒸着源温度)、−50〜300℃程度の基板温度で、0.01〜50nm/秒程度の蒸着速度で蒸着するのが好ましい。また、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の各層を真空下で連続して形成することが好ましい。正孔輸送層、発光層、電子輸送層の各層を複数の化合物を使用して形成する場合、化合物を入れた各ボートをそれぞれ温度制御しながら共蒸着することが好ましい。
【0042】
溶液塗布法により各層を形成する場合、各層を構成する成分を溶媒に溶解または分散させて塗布液とする。溶媒としては、炭化水素系溶媒(例えば、ヘプタン、トルエン、キシレン等)、ケトン系溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、ハロゲン系溶媒(例えば、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等)、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、エーテル系溶媒(ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等)、非プロトン性溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等)、水等が挙げられる。溶媒は単独で使用してもよく、複数の溶媒を併用してもよい。
【0043】
正孔輸送層、発光層、電子輸送層等の各層の膜厚は、特に限定されるものではないが、通常、1〜1,000nmになるようにする。
【0044】
本発明の有機電界発光素子は、酸素や水分等との接触を遮断する目的で保護層(封止層)を設けたり、不活性物質中に素子を封入して保護することができる。不活性物質としては、パラフィン、シリコンオイル、フルオロカーボン等が挙げられる。保護層に使用する材料としては、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、光硬化性樹脂等が挙げられる。
【0045】
本発明の有機電界発光素子は、通常、直流駆動型の素子として使用できる。直流電圧を印加する場合、陽極を+、陰極を−の極性として電圧を通常、1.5〜20V程度印加すると発光が観測される。また、本発明の有機電界発光素子は、交流駆動型の素子としても使用できる。交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になった時に発光する。本発明の有機電界発光素子は、例えば、電子写真感光体、フラットパネルディスプレイ等の平面発光体、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト、計器類等の光源、各種発光素子、各種表示素子、各種標識、各種センサー、各種アクセサリーなどに使用することができる。