(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の導電層が、タングステン、チタン、アルミニウム、銅、又は、これらのうちいずれか複数の材料の合金からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
前記第2の導電層が、タングステン、チタン、アルミニウム、銅、又は、これらのうちいずれか複数の材料の合金からなり、前記ビアホールの形成時にエッチングストッパとなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
前記半導体シリコン層の第1の主面上に絶縁層を形成する工程の前に、前記半導体シリコン層内の前記貫通電極の形成領域を囲むと共に前記第1の主面から所定深さまで伸長する筒状絶縁体を形成する工程と、
前記ビアホールを形成する工程の前に、前記半導体シリコン層の第2の主面側から研削して半導体シリコン層を薄くすることにより、前記筒状絶縁体を露出させる工程と、
を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
前記第1のコンタクトパッドが導電性ポリシリコンからなり、前記第1のコンタクトパッドとメモリアレイのセルコンタクトとを同一工程で形成することを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
前記第1の導電層が、タングステン、チタン、アルミニウム、銅、又は、これらのうちいずれか複数の材料の合金からなることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の半導体装置。
前記第2の導電層が、タングステン、チタン、アルミニウム、銅、又は、これらのうちいずれか複数の材料の合金からなり、前記ビアホールの形成時のエッチングストッパであることを特徴とする請求項12〜16のいずれか1項に記載の半導体装置。
前記半導体シリコン層の第1の主面側に、前記第1の導電層との接触部を含むように形成された導通防止用不純物領域を備えることを特徴とする請求項12〜17のいずれか1項に記載の半導体装置。
前記貫通電極の形成領域を囲むと共に前記半導体シリコン層を厚み方向に貫通する筒状絶縁体を備えることを特徴とする請求項12〜17のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
1.半導体装置の製造方法
本発明の半導体装置の製造方法には、大きく2つの方法があり、その第一の製造方法及び第二の製造方法について説明する。
【0041】
1−1 第一の製造方法
本発明の第一の製造方法は、以下の工程を有する。
(1)第1の面側に導通防止用不純物領域を有する半導体シリコン層を準備する工程と、
(2)半導体シリコン層の第1の面上に順に、第1絶縁層と、第2絶縁層と、を有し、
第1絶縁層は、導電性ポリシリコンから構成されると共に第1絶縁層を厚み方向に貫通し、導通防止用不純物領域内に接する第1コンタクトパッドを有し、
第2絶縁層は、第1コンタクトパッドに対応する位置に第2絶縁層を厚み方向に貫通する第2コンタクトパッドを有する、構造体を形成する工程と、
(3)第2絶縁層上に、第2コンタクトパッドに対応する位置に配線層を有する第3絶縁層を形成する工程と、
(4)半導体シリコン層の第1絶縁層が設けられた側の面と対向する反対側の面を研削して、半導体シリコン層の膜厚を薄くする工程と、
(5)半導体シリコン層の第1絶縁層が設けられた側と反対側から、全面に第4絶縁層を設ける工程と、
(6)第4絶縁層内の第2コンタクトパッドに対応する位置を貫通するようにビアホールを設ける工程と、
(7)ビアホールを、半導体シリコン層および第1コンタクトパッド内を伸長させて、少なくとも第2コンタクトパッドにまで到達させる工程と、
(8)半導体シリコン層の第1絶縁層が設けられた側と反対側から、全面に第5絶縁層を設ける工程と、
(9)エッチバックを行うことにより、ビアホール底面の第5絶縁層を除去する工程と、
(10)ビアホール内を埋め込むように貫通電極を形成する工程。
【0042】
1−2 第二の製造方法
本発明の第二の製造方法は、以下の工程を有する。
(1)第1の面側から所定深さまで伸長すると共に貫通電極の形成領域を囲むように形成された筒状絶縁体を備えた半導体シリコン層を準備する工程と、
(2)半導体シリコン層の第1の面上に順に、第1絶縁層と、第2絶縁層と、を有し、
第1絶縁層は、導電性ポリシリコンから構成されると共に第1絶縁層を厚み方向に貫通して半導体シリコン層の筒状絶縁体で囲まれた領域の第1の面まで到達する第1コンタクトパッドを有し、
第2絶縁層は、第1コンタクトパッドに対応する位置に第2絶縁層を厚み方向に貫通する第2コンタクトパッドを有する、構造体を形成する工程と、
(3)第2絶縁層上に、第2コンタクトパッドに対応する位置に配線層を有する第3絶縁層を形成する工程と、
(4)半導体シリコン層の第1の面と対向する反対側の面を研削して半導体シリコン層の膜厚を薄くすることにより、筒状絶縁体を露出させる工程と、
(5)半導体シリコン層の第1絶縁層が設けられた側と反対側から、全面に第4絶縁層を設ける工程と、
(6)第4絶縁層内の第2コンタクトパッドに対応する位置を貫通するようにビアホールを設ける工程と、
(7)ビアホールを、半導体シリコン層および第1コンタクトパッド内を伸長させて、少なくとも第2コンタクトパッドにまで到達させる工程と、
(8)ビアホール内を埋め込むように貫通電極を形成する工程。
【0043】
上記第一の製造方法では、工程(5)、(8)で貫通電極と半導体シリコン層との間に第4および5絶縁層を設けることにより貫通電極と半導体シリコン層を絶縁している。これに対して、第二の製造方法では、工程(1)、(5)で半導体シリコン層中に筒状絶縁体と、第4絶縁層を設けることにより貫通電極と半導体シリコン層を絶縁している点が異なる。
【0044】
1−3 第一および第二の製造方法の作用効果
第一および第二の製造方法によれば、少なくとも、工程(2)において、半導体シリコン層上に設けた第1絶縁層内に、導電性ポリシリコンから構成される第1コンタクトパッドを形成する。このため、工程(7)において、半導体シリコン層の裏面側から貫通電極用のビアホールを形成する際、半導体シリコン層と第1コンタクトパッドを1回のフォトレジスト露光工程で除去することができ、貫通電極用のビアホールを容易かつ高精度に形成できる。このように、第一および第二の製造方法では、別工程として層間絶縁膜のエッチングが不要なため、特許文献1における問題を一挙に解決できるものである。
【0045】
また、貫通電極を形成する前に既に第1および2コンタクトパッドや配線層を形成しているため、半導体シリコン層の裏面側から貫通電極を形成する際、半導体シリコン層の表面側に新たに金属配線層を形成する必要がない。つまり、本発明は、半導体シリコン層の表面側の製造工程を工夫することにより、裏面側からの簡便な貫通電極形成工程を可能とするものである。そして、第一および第二の製造方法は、特許文献1の問題を解決し、高信頼性で、かつ高い製造歩留での貫通電極形成を可能とする具体的手段を提供するものである。
【0046】
なお、この本発明の製造方法は、貫通電極を備えた半導体装置全般、例えば、ロジック回路を備えたLSIを搭載した半導体装置、記憶回路を備えたLSIを搭載した半導体装置、これらのLSIの二種以上を積層したLSIを搭載した半導体装置等の他、インターポーザ等を用いた半導体装置等の製造方法に広く応用することができる。
【0047】
また、第一および第二の製造方法では、第1絶縁層と第2絶縁層を同一の材料から構成し、第1絶縁層と第2絶縁層の形成を同時に行っても良い。また、第1および第2コンタクトパッドを同一の材料から構成し、第1および第2コンタクトパッドの形成を同時に行っても良い。更に、第3絶縁層は第1および第2絶縁層と同じ材料から構成されていても良い。
【0048】
第一の製造方法では、
工程(1)において、第1の面側にn型の導通防止用不純物領域を有するp型半導体シリコン層、または第1の面側にp型の導通防止用不純物領域を有するn型半導体シリコン層を準備する。工程(1)と(2)の間に、更に(11)半導体シリコン層の第1の面側の導通防止用不純物領域以外の所定領域に電界効果型トランジスタを形成する工程を有し、工程(2)において第1絶縁層を第1の面上に設け、第1コンタクトパッドを導通防止用不純物領域内に接するように設け、更に第1絶縁層内に電界効果型トランジスタのソース/ドレイン領域に電気接続されたコンタクトプラグを設ける工程を有することができる。この半導体装置では、所定領域にソース/ドレイン、ゲート絶縁膜およびゲート電極が形成されて電界効果型トランジスタを構成することができる。そして、この電界効果型トランジスタを配線によって他の電界効果型トランジスタ又は貫通電極等と電気的に接続することができる。この構成によって、貫通電極を備えた半導体装置(例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)デバイス)全体を小型軽量化しつつ、半導体装置の処理速度等の能力を高めることができる。
【0049】
なお、この「導通防止用不純物領域」とは、第1絶縁層が設けられた側の半導体シリコン層表面(第1の面)において、第1コンタクトパッドが半導体シリコン層に接する部分を全て覆うように形成された領域である。例えば、p型半導体シリコン層表面にn型の導通防止用不純物領域を設け、pnジャンクションを形成することによって、第1コンタクトパッドを介して伝達される信号(例えば、+1.5ボルトとグランド電位との間で振幅)と半導体シリコン層(例えば、グランド電位)との間の導通を防止することができる。
【0050】
第二の製造方法では、
工程(1)と(2)の間に更に、(9)半導体シリコン層の筒状絶縁体で囲まれた領域以外の所定領域に、電界効果型トランジスタを形成する工程を有し、工程(2)において更に第1絶縁層内に電界効果型トランジスタのソース/ドレイン領域に電気接続されたコンタクトプラグを設ける工程を有することができる。この半導体装置では、所定領域にソース/ドレイン、ゲート絶縁膜およびゲート電極が形成されて電界効果型トランジスタを構成することができる。そして、この電界効果型トランジスタを配線によって他の電界効果型トランジスタ又は貫通電極等と電気的に接続することができる。この構成によって、貫通電極を備えた半導体装置(例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)デバイス)全体を小型軽量化しつつ、半導体装置の処理速度等の能力を高めることができる。
【0051】
また、第一および第二の製造方法では、工程(2)において金属または合金から構成される第2コンタクトパッドを形成し、工程(7)において第2コンタクトパッドをエッチングストッパに用いて異方性エッチングを行うことにより、半導体シリコン層および第1コンタクトパッド内を貫通するようにビアホールを伸長させることもできる。
【0052】
このように、工程(7)において、第2コンタクトパッドをエッチングストッパに用いて異方性エッチングを行うことにより、たとえ第1コンタクトパッドや半導体シリコン層に膜厚のばらつき等があったとしても、エッチング不良やエッチング過多を原因とするビアホールの開口不良が発生しない。この結果、製品歩留を向上してコスト低減を図ることができる。
【0053】
また、第一および第二の製造方法では、工程(2)において導電性ポリシリコンから構成される第2コンタクトパッドを形成し、工程(7)において配線層をエッチングストッパに用いて異方性エッチングを行うことにより、半導体シリコン層、第1コンタクトパッド、および第2コンタクトパッドを貫通するようにビアホールを伸長させることもできる。
【0054】
このように、工程(7)において、配線層をエッチングストッパに用いて異方性エッチングを行うことにより、たとえ第1および第2コンタクトパッドや半導体シリコン層に膜厚のばらつき等があったとしても、エッチング不良やエッチング過多を原因とするビアホールの開口不良が発生しない。この結果、製品歩留を向上してコスト低減を図ることができる。
【0055】
この工程(7)の異方性エッチングは反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)であることが好ましい。このように、工程(7)において異方性エッチングとして反応性イオンエッチングを用いることにより、シリコンと、第2コンタクトパッドを構成する金属・合金または配線層を構成する材料との間で高いエッチング選択比を取ることができ、より効果的にエッチング時の開口不良を防止することができる。
【0056】
この第2コンタクトパッド又は配線層を構成する材料として、タングステン、アルミニウム、チタン、銅、又は、これらのうちいずれか複数の材料の合金を用いたり、更に、これら金属と、窒化チタン、窒化タングステン又は窒化タンタル等との多層構造を用いることができる。
【0057】
2.半導体装置
本発明の半導体装置は、下記第一の半導体装置、および第二の半導体装置から構成される。
【0058】
2−1 第一の半導体装置
本発明の第一の半導体装置は、
順に設けられた、第4絶縁層、半導体シリコン層、第1絶縁層、第2絶縁層、第3絶縁層と、
第1絶縁層内をその厚み方向に貫通すると共に、導電性ポリシリコンから構成された第1コンタクトパッドと、
第2絶縁層および第3絶縁層内の第1コンタクトパッドに対応する位置を、それぞれ、その厚み方向に貫通するように設けられた第2コンタクトパッドおよび配線層と、
少なくとも、第4絶縁層、半導体シリコン層および第1コンタクトパッド内を貫通して第2コンタクトパッドに到達するように設けられた貫通電極と、
少なくとも貫通電極と半導体シリコン層間に設けられた第5絶縁層と、
第1コンタクトパッドとの接触部を含むように半導体シリコン層に設けられた導通防止用不純物領域と、
を有する。
【0059】
2−2 第二の半導体装置
本発明の第二の半導体装置は、
順に設けられた第4絶縁層、半導体シリコン層、第1絶縁層、第2絶縁層、第3絶縁層と、
第1絶縁層内をその厚み方向に貫通すると共に、導電性ポリシリコンから構成された第1コンタクトパッドと、
第2絶縁層および第3絶縁層内の第1コンタクトパッドに対応する位置を、それぞれ、その厚み方向に貫通するように設けられた第2コンタクトパッドおよび配線層と、
少なくとも、第4絶縁層、半導体シリコン層および第1コンタクトパッド内を貫通して第2コンタクトパッドに到達するように設けられた貫通電極と、
貫通電極を囲むと共に半導体シリコン層を厚み方向に貫通する筒状絶縁体と、
を有する。
【0060】
2−3 第一および二の半導体装置の作用効果
第一および第二の半導体装置は、内部に貫通電極を容易に形成することができ、製造歩留を向上させることができる。また、電子・電気分野、通信分野、制御分野等の半導体装置として好適に使用され、産業用、民生用の各種コンピュータ、各種制御機器、各種通信機器、各種家電製品等に広く使用することができる。
【0061】
なお、第一および第二の半導体装置では、第1絶縁層、第2絶縁層、第3絶縁層は同一の材料から構成されていても、異なる材料から構成されていても良い。また、第1および第2コンタクトパッドは、同一の材料から構成されていても、異なる材料から構成されていても良い。
【0062】
また、第一の半導体装置において、半導体シリコン層は、第1コンタクトパッドに接するn型の導通防止用不純物領域を有するp型の半導体シリコン層、または第1コンタクトパッドに接するp型の導通防止用不純物領域を有するn型の半導体シリコン層であることが好ましい。更に、半導体シリコン層の第1絶縁層が設けられた面側の導通防止用不純物領域以外の所定領域には、電界効果型トランジスタと、第1絶縁層内に、電界効果型トランジスタのソース/ドレイン領域に電気接続されたコンタクトプラグと、を備えた構成とすることができる。
第二の半導体装置は、更に半導体シリコン層の筒状絶縁体で囲まれた領域以外の所定領域に、電界効果型トランジスタと、第1絶縁層内に、電界効果型トランジスタのソース/ドレイン領域に電気接続されたコンタクトプラグと、を備えた構成とすることができる。
【0063】
このように、所定領域に電界効果型トランジスタを設け、この電界効果型トランジスタを配線によって他の電界効果型トランジスタ又は貫通電極等と電気的に接続する。この構成によって、小型軽量化されると共に処理速度等が早い高性能な半導体装置(例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)デバイス)とすることができる。
【0064】
第一の半導体装置は、第1コンタクトパッドが導電性ポリシリコンから構成され、貫通電極は第4絶縁層、半導体シリコン層および第1コンタクトパッド内を貫通して第2コンタクトパッドまで到達し、貫通電極と半導体シリコン層間に更に第5絶縁層が設けられている。このように、貫通電極を第2コンタクトパッドまで到達させることにより、たとえ第1コンタクトパッドや半導体シリコン層に膜厚のばらつき等があったとしても、ビアホールの開口不良の発生を防止して、製品歩留を向上させてコスト低減を図ることができる。
【0065】
第二の半導体装置は、貫通電極を囲むと共に半導体シリコン層を厚み方向に貫通する筒状絶縁体を有している。このように、筒状絶縁体が貫通電極を囲むように形成されているため、筒状絶縁体および第1絶縁層により、貫通電極及び第1コンタクトパッドを、この筒状絶縁体の外部となる半導体シリコン層から電気的に完全に絶縁することが可能となる。この筒状絶縁体の外部となる半導体シリコン層には、メモリアレイや周辺回路等の半導体素子が形成される。
【0066】
第一および第二の半導体装置は、第2コンタクトパッドが金属または合金から構成され、貫通電極が第4絶縁層、半導体シリコン層および第1コンタクトパッド内を貫通して第2コンタクトパッドまで到達していることが好ましい。このように、貫通電極を第2コンタクトパッドまで到達させることにより、たとえ第1コンタクトパッドや半導体シリコン層に膜厚のばらつき等があったとしても、ビアホールの開口不良の発生を防止して、製品歩留を向上させてコスト低減を図ることができる。なお、上記第一の半導体装置では貫通電極と半導体シリコン層間に更に、第5絶縁層が設けられているのに対して、上記第二の半導体装置では筒状絶縁体を有するため、このような第5絶縁層が設けられていない点が異なる。
【0067】
この第一および第二の半導体装置における第2コンタクトパッド又は配線層を構成する材料として、タングステン、アルミニウム、チタン、銅、又は、これらのうちいずれか複数材料の合金を用いたり、更に、これらの金属又は合金と、窒化チタン、窒化タングステン又は窒化タンタル等との多層構造を用いることができる。
【0068】
以下、本発明の基本的な製造方法について、実施態様を例に挙げて以下に図面を参照しつつ説明する。
図1は、半導体シリコン層の表面に接して導電パッド(第1および第2コンタクトパッド)を形成する工程を説明するための模式要部断面図である。なお、この実施態様は、本発明の導電パッドおよび貫通電極の基本的な製造方法について説明するためのものであり、導電パッドと半導体シリコン層1とを絶縁するための導通防止用不純物領域や筒状絶縁体については、その図および説明を省略している。
【0069】
まず、半導体シリコン層1を準備し、この半導体シリコン層1上に層間絶縁膜10を形成する。この層間絶縁膜10は、例えば、酸化シリコン等からなるものである。この層間絶縁膜10は、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法等により形成することができる。なお、本発明で使用する半導体シリコン層1は特に限定はなく、例えば、ホウ素等のp型不純物を含有する半導体シリコンウエハ等の市販品を使用することができる。
【0070】
次に、層間絶縁膜10の上面をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等により平坦化した後、層間絶縁膜10の上面にフォトレジスト層24を形成する。このフォトレジスト層24に対して、公知のリソグラフィー法により開口パターンを形成し、この開口パターンをマスクとして層間絶縁膜10内に開口部30を形成する。
【0071】
図2は、層間絶縁膜10に加えて層間絶縁膜12を形成し、これら層間絶縁膜10および12に形成された開口部30に導電パッド(第1および第2コンタクトパッド)40を形成する工程を説明するための模式要部断面図である。この導電パッド40としては、例えば、リンやヒ素等の不純物がドープされたポリシリコンからなるもの、ポリシリコンとタングステン等の金属とからなるもの、または、これらの二種以上が積層されてなるもの等を挙げることができる。
【0072】
ここでは、導電パッド40がポリシリコンコンタクトパッド(第1コンタクトパッド)2とメタルコンタクトパッド(第2コンタクトパッド)3とからなる場合を例に説明する。
【0073】
まず、フォトレジスト層24をアッシング工程等により除去する。この後、この開口部にCVD法(化学気相成長法;Chemical Vapor Deposition)によりポリシリコンを堆積させ、CMP法によって不要部分を除去することにより、導電パッド40の一部としてポリシリコンコンタクトパッド2を形成することができる。また、CMP法に代えて異方性エッチングを用いてエッチバックすることにより不要部分を除去しても良い。
【0074】
なお、CVD法を実施する際にリンやヒ素等の不純物を併せて導入することにより、ポリシリコンに対して、リンやヒ素等の不純物をドープする。これによりポリシリコンコンタクトパッド2に対して導電性を付与することができる。
【0075】
ポリシリコンコンタクトパッド2を形成した後、CMP法等により、ポリシリコンコンタクトパッド2および層間絶縁膜10の上面の不要部を除去して平坦化させた後、ポリシリコンコンタクトパッド2および層間絶縁膜10の上部に層間絶縁膜12を形成する。なお、この不要部の除去は、CMP法に代えて異方性エッチングを用いてエッチバックすることによって行っても良い。この層間絶縁膜12は、例えば、酸化シリコン等からなるものである。層間絶縁膜12は、例えばプラズマCVD法等により形成することができる。
【0076】
続いて、層間絶縁膜12の上面をCMP法等により平坦化した後、層間絶縁膜12の上面にフォトレジスト層を形成する。このフォトレジスト層に対して公知のリソグラフィー法により開口パターンを形成した後、この開口パターンをマスクとして層間絶縁膜12に開口部を形成する。
【0077】
続いて、フォトレジスト層をアッシング工程等により除去した後、この開口部の内部に対して、MOCVD法によりタングステン等の金属を堆積させることにより、
図2に示したメタルコンタクトパッド3を形成することができる。
【0078】
また、ポリシリコンコンタクトパッド2上に、タングステン等からなるメタルコンタクトパッド3を直接、形成すると、製造工程中の熱処理によりポリシリコンコンタクトパッド2およびメタルコンタクトパッド3の界面にシリサイド化合物が形成されることがある。このため、ポリシリコンコンタクトパッド2とメタルコンタクトパッド3との界面に窒化チタン膜等の金属バリア膜を形成することが好ましい。この窒化チタン膜は、例えば、スパッタリング法によりチタン薄膜を形成した後、窒素雰囲気下にチタン薄膜をアニーリングする方法等により形成することができる。
【0079】
なお、本実施形態では、導電パッド40を形成する工程について、ポリシリコンコンタクトパッド2およびメタルコンタクトパッド3を段階的に形成する方法を説明したが、導電パッド40を形成する工程はこの方法に限定されるものではない。例えば、導電パッド40を形成する工程の変形例として次の工程を挙げることができる。
【0080】
例えば、半導体シリコン層1の上面全体にCVD法によりポリシリコンを堆積させた後、必要に応じて窒化チタン膜等の金属バリア膜を形成してから、さらにMOCVD法によりタングステン等の金属を堆積させることにより、半導体シリコン層1の上面にポリシリコン層および金属層を形成する。
【0081】
続いて公知のリソグラフィー法を用いて、ポリシリコン層および金属層をパターニングしてから、プラズマCVD法等により半導体シリコン層1の上面全体に酸化シリコン等の層間絶縁膜を堆積させることにより、
図2に例示した導電パッド40を含む構造を得ることもできる。
【0082】
この変形例の場合は、
図2に例示された層間絶縁膜10および12は酸化シリコン等の同一材料により形成されていて、実際には層間絶縁膜10と12との境界は存在しない。
【0083】
図3は、半導体シリコン層1の表面上部に導電パッド40と電気的に接続する金属配線層4を形成する工程を説明するための模式要部断面図である。
まず、導電パッド40および層間絶縁膜12の上面をCMP法等により平坦化した後、例えば、酸化シリコン等からなる層間絶縁膜14を形成する。層間絶縁膜14を形成する方法は、先の層間絶縁膜10、12を形成する場合と同様、プラズマCVD法を用いた方法等により実施することができる。
【0084】
層間絶縁膜14の上面をCMP法等により平坦化した後、層間絶縁膜14の上面にフォトレジスト層(図示せず)を形成する。このフォトレジスト層に対して公知のリソグラフィー法により開口パターンを形成し、この開口パターンをマスクとして層間絶縁膜14に開口部を形成する。この開口部内部に対し、例えば、MOCVD法によりタングステン等の金属を堆積させることにより、導電パッド40と電気的に接続する金属配線層4を形成することができる。
【0085】
また、金属配線層4を形成する工程の変形例として、例えば、先にMOCVD法によりタングステン等の金属を導電パッド40および層間絶縁膜12の上面全体に堆積して金属層を形成し、公知のリソグラフィー法を用いて金属層をパターニングした後、プラズマCVD法等により酸化シリコン等の層間絶縁膜を堆積させることにより、
図3に例示した金属配線層4を含む構造を得ることもできる。
【0086】
上記に説明した様に、層間絶縁膜を形成する工程と、層間絶縁膜に開口部を形成する工程と、開口部に金属を堆積させる工程とを適宜、組み合わせることにより、半導体シリコン層1上部に自在に上部配線構造を形成することができる。
【0087】
ここで、第2コンタクトパッド、金属配線層4又は上層配線構造の金属配線層を構成する材料として、タングステン、アルミニウム、チタン、銅、又は、これらのうちいずれか複数材料の合金を用いたり、更に、これら金属又は合金と、窒化チタン、窒化タングステン又は窒化タンタル等との多層構造を用いることができる。
【0088】
さらに、導電パッド40上の金属配線層4の表面に接してバンプ230を形成した構成とすることができる。この場合、バンプ230は、例えば、錫−銀−銅合金等からなるはんだを用いて形成する。バンプ230を形成する材料は、はんだに限定されるものではなく、例えば、導電ペースト等により形成しても良い。なお、ここでは、金属配線層4上にバンプ230が形成される構成としたが、金属配線層4の上部に上部配線構造を形成し、その最上層の金属配線層(例えば、アルミニウムパッド)の上にバンプを形成するようにしても良い。
【0089】
上部配線構造としては特に限定はなく、例えば、論理回路、記憶回路等の各種回路の信号の入出力等の目的に併せて適宜、構成することができる。一般的に、金属配線層4の上部に上部配線構造およびバンプを形成するが、ここでは、金属配線層4の上にバンプ230を形成し、続いて半導体シリコン層1の裏面を加工する場合を例に説明する。
【0090】
まず、バンプ230、金属配線層4等の上面を保護するために、
図4に例示した様に、石英からなる支持体58を、層間絶縁膜14上に接着剤59を用いて貼付する。この支持体58を貼付することにより、以下に説明する半導体シリコン層1の裏面を加工する工程等の際に、バンプ230、金属配線層4等の上面に損傷等が生じることを防止することができる。なお、支持体58は通常、裏面加工工程等が終了した後に取り外される。
【0091】
次に、半導体シリコン層1の裏面を加工する。
図5は、半導体シリコン層1の裏面を研削する工程を説明する模式要部断面図である。
図5に示すように、半導体シリコン層1の裏面を研削工程により研削することにより、半導体シリコン層1の厚みを10〜150μmの範囲とする。なお、半導体シリコン層1の裏面研削を実施した後に、ウエットポリッシュやドライポリッシュ等の研磨工程を実施してもよい。
【0092】
図6は、半導体シリコン層1の裏面に絶縁層を形成する工程を説明する模式要部断面図である。
図6に示すように、半導体シリコン層1の裏面にプラズマCVD法により酸化シリコンを堆積させることにより、半導体シリコン層1の裏面に絶縁層60を形成する。
【0093】
図7は、絶縁層60、半導体シリコン層1およびポリシリコンコンタクトパッド2を貫いて、メタルコンタクトパッド3に達するビアホール70を半導体シリコン層1の裏面側から形成する工程を説明する模式要部断面図である。
図7に示すように、まず、絶縁層60の表面、すなわち半導体シリコン層1の裏面側にフォトレジスト層を形成する(図示せず)。
【0094】
このフォトレジスト層に対して公知のリソグラフィー法により開口パターンを形成し、この開口パターンをマスクに用いて絶縁層60、半導体シリコン層1およびポリシリコンコンタクトパッド2を順次、RIE法(反応性イオンエッチング;Reactive Ion Etching)等の異方性エッチングにより除去し、ビアホール70を形成する。
【0095】
このRIE法を行う際、フッ素を含むガス等(例えば、SF
6等)を使用して異方性エッチングを行うと、メタルコンタクトパッド3がエッチングストッパとして働き、メタルコンタクトパッド3が露呈した段階で異方性エッチングの進行が遅くなるので、ここでエッチングを止める。また、この工程では、半導体シリコン層1およびポリシリコンパッド2が共にシリコン材料から構成されているため、一段階の工程で除去することができ、簡便にビアホール70を形成することができる。
【0096】
図8は、ビアホール70内部に絶縁層62を形成する工程を説明する模式要部断面図である。絶縁層62としては、例えば、窒化シリコンから形成されたものを挙げることができる。この窒化シリコンからなる絶縁層62は、例えば、プラズマCVD法を用いて、絶縁層60を覆って半導体シリコン層1の裏面側全面に堆積する。この原料ガスとして、例えば、シランとアンモニアを用いることにより形成することができる。この窒化シリコンの膜厚は通常は1.0〜5.0μmの範囲である。
【0097】
図9は、ビアホール70内部に貫通電極を形成する工程を説明する模式要部断面図である。
図9に示すように、絶縁層62をエッチバックすることによりビアホール70底面の絶縁層62を除去して、ビアホール70(
図8参照)底部のメタルコンタクトパッド3の部分を露呈させる。
【0098】
続いて、ビアホール70内部に貫通電極200を形成する。この貫通電極200は、内部貫通電極222および電極パッド210を含むものである。この内部貫通電極222は、銅、アルミニウム、チタン、タングステン等の金属、チタンシリサイド、タングステンシリサイド等の金属シリサイド、窒化チタン等の導電無機物、リン等のn型不純物やホウ素等のp型不純物を含有するポリシリコン等の一種もしくは二種以上からなるものである。内部貫通電極222は、チタン、銅等の金属からなるものであることが好ましい。
【0099】
この内部貫通電極222下部に形成されている電極パッド210の金属材料は、半導体シリコン層を多層実装する時に、この電極パッドに接続されるバンプ230の金属材料に応じて決定される。例えば、接続されるバンプ230が前述の錫−銀−銅合金の金属材料である場合は、電極パッド210として、ニッケル−金合金、又は銅−金合金の金属材料が使用される。また、接続されるバンプ230が錫−銀−ニッケル−銅合金の金属材料である場合は、電極パッド210として、ニッケル−金合金の金属材料が使用される。なお、電極パッド210とバンプ230の上記金属材料は互いに交換可能である。そして、この電極パッド210は、リソグラフィー法により形成することができる。
【0100】
以下に、貫通電極200を形成する工程について、内部貫通電極222が銅からなる場合を例に挙げて説明する。まず、最初に絶縁層62の表面、すなわち半導体シリコン層1の裏面側に、めっき用シード膜220として、スパッタ法またはMOCVD法によりチタン、および銅を順次形成する。
【0101】
その後、フォトレジスト層を形成する(図示せず)。このフォトレジスト層に対して公知のリソグラフィー法により開口パターンを形成し、この開口パターンをマスクとして、ビアホール70内部に電気めっき法により銅を埋設する。
【0102】
その後、例えば、アセトン等の有機溶剤等を用いてフォトレジスト層を剥離除去し、その後、余剰のめっき用シード膜の銅およびチタンを、硫酸やフッ酸を用いたウェットエッチング工程により除去する。上記工程を経て、
図9に示す様に、内部貫通電極222および電極パッド210を含む貫通電極200を形成することができる。
【0103】
次に、電極パッド210を含む半導体シリコン層1の裏面にダイシングシート(図示せず)を貼付する。続いて、石英からなる支持体58を除去した後、公知のダイシング工程により上記の工程を経て得られた加工済み半導体シリコンウエハを切断し、ダイシングシートを除去する。
以上のように、上記工程により、支持体58及び接着剤59を除去した半導体装置400を得ることができる。
【0104】
次に、以下に示す実施例により、本発明の製造方法をDRAM(Dynamic Random Access Memory)デバイスに適用した場合をさらに詳細に説明するが、本発明の製造方法はDRAMデバイスに適用する場合に限定されるものでないことはいうまでもない。
【0105】
(第1実施例)
本実施例は、基本的に第一の製造方法を用いて半導体装置を製造するものである。
図10は、本発明の第一の実施態様であるDRAMデバイスとして使用される半導体装置の製造工程を説明するための模式要部断面図である。
【0106】
図10に示す様に、まず、半導体シリコン層1の表面領域にSTI(shallow trench isolation)と呼ばれる素子分離領域80を形成する。続いて、公知のリソグラフィー工程、エッチング工程等により、半導体シリコン層1の表面に半導体素子として電界効果型トランジスタ300、301を形成する。
【0107】
ここで、半導体シリコン層1としてホウ素等のp型不純物を含有する半導体シリコン層を使用する場合に、電界効果型トランジスタ300、301の形成と共に、このp型半導体シリコン層1の表面にn型導通防止用不純物領域5(例えば、高濃度のAsイオン注入による)を形成する。このn型導通防止用不純物領域5は、p型半導体シリコン層1の表面とポリシリコンコンタクトパッド2(後に形成される)との接触部分を含むように形成される。このn型導通防止用不純物領域5は、p型半導体シリコン層1との間にpnジャンクションを形成し、後に形成される導電パッド40を介して伝達される信号(例えば、+1.5ボルトとグランド電位との間で振幅)と半導体シリコン層1(例えば、グランド電位)との間の導通を防止するために設けられるものである。
【0108】
なお、n型導通防止用不純物領域5は、電界効果型トランジスタ300、301のソース、ドレインと同時に形成することが工程上好ましいが、電界効果型トランジスタ300、301のソース、ドレインとは別工程で形成することも可能である。
【0109】
また、半導体シリコン層1としてリン等のn型不純物を含有する半導体シリコン層を使用する場合には、n型半導体シリコン層1の表面に形成される導通防止用不純物領域5はp型導通防止用不純物領域とされる。
【0110】
通常、DRAMデバイスには、数十万〜数千万のメモリセルが整然と配置されたメモリアレイが形成されている。さらにメモリアレイを取り囲む様に配置され、それぞれのメモリセルへ信号を入出力するための周辺回路等が形成されている。電界効果型トランジスタ300は、このメモリセルを構成するものであり、また電界効果型トランジスタ301は周辺回路を構成するものである。これらのメモリアレイおよび周辺回路の構成や製造方法は公知であり、これらの公知の製造方法に従って電界効果型トランジスタ300、301を形成することができる。
【0111】
続いて、
図11に示す様に、半導体シリコン層1および電界効果型トランジスタ300、301上に、例えば、オゾン(O
3)とテトラエトキシシラン(TEOS)とを原料ガスに用いたプラズマCVD法により、酸化シリコンからなる層間絶縁膜10を形成する。
【0112】
続いて、層間絶縁膜10の表面にフォトレジスト層を形成する(図示せず)。このフォトレジスト層に対して公知のリソグラフィー法により開口パターンを形成し、この開口パターンをマスクとして、層間絶縁膜10に開口部を形成する。次に、フォトレジスト層をアッシング工程等により除去した後、この開口部を含む層間絶縁膜10の全面に、例えばCVD法によりポリシリコンを堆積させる。このポリシリコンの膜厚の範囲は通常は0.5〜1.5μmの範囲である。このポリシリコンの堆積は、例えば低圧CVD装置を用いて行う。原料ガスとしてモノシランに加えてホスフィン(PH
3)を同時に供給し、ポリシリコンに不純物としてリンを含有させる。580℃以上の温度で形成されたポリシリコンは多結晶状態であり、十分にリンがドープされているため導電性を示す。
【0113】
次に、CMP法等の工程により層間絶縁膜10の上面の不要なポリシリコンを除去するとともに平坦化する。この工程により、
図12に示す様に、メモリセルアレイに形成される容量素子等と電気的に接続される第一のコンタクト(セルコンタクトとも言う)90およびポリシリコンコンタクトパッド(第1コンタクトパッド)2を形成することができる。
【0114】
なお、第一のコンタクト90およびポリシリコンコンタクトパッド2を形成する工程について、フォトレジスト層を形成してからCMP法等の工程に至る一段階の処理に基づいて説明したが、これらの工程は一段階の処理に限定されず、多段階の処理として実施することもできる。
【0115】
例えば、先に説明したフォトレジスト層を形成してからCMP法等の工程に至る処理を実施した後、再度、層間絶縁膜10の上面に酸化シリコン等からなる層間絶縁膜を形成し、続いて先に説明したフォトレジスト層を形成してからCMP法等の工程に至る処理を繰り返すことにより、多層のポリシリコンからなるセルコンタクトおよびポリシリコンコンタクトパッドを順次形成することもできる(図示せず)。この工程により形成されたポリシリコンコンタクトパッド2は、第一のコンタクト90を形成する工程と同時に形成することができる。
【0116】
図13は、周辺回路に接続される第二のコンタクト100を半導体シリコン層1の上面に形成する工程を説明するための模式要部断面図である。層間絶縁膜10の上面に、プラズマCVD法等により、酸化シリコン等からなる層間絶縁膜12をおよそ0.1〜1.0μmの範囲の膜厚で形成した後、層間絶縁膜12の表面にフォトレジスト層を形成する(図示せず)。
【0117】
このフォトレジスト層に対して公知のリソグラフィー法により開口パターンを形成し、この開口パターンをマスクとして、層間絶縁膜12に第二のコンタクト100及びメタルコンタクトパッド3用の開口部を形成する。ここで、第二のコンタクト100用の開口部は層間絶縁膜10にまで延伸して形成される。フォトレジスト層をアッシング工程等により除去した後、この開口部内部に対しMOCVD法によりタングステン等の金属を堆積させる。このタングステンの膜厚は、通常は0.2〜1.0μmの範囲である。
【0118】
次に、CMP法等の工程により層間絶縁膜12の上面の不要なタングステンを除去するとともに平坦化する。この工程により、
図13に示す様に、周辺回路に接続される第二のコンタクト100およびメタルコンタクトパッド(第2コンタクトパッド)3を形成することができる。
【0119】
この工程により形成されたメタルコンタクトパッド3は、周辺回路に接続される第二のコンタクト100を埋設するための導電材料プラグを形成する工程と同時に形成される。
【0120】
図14は、メタルコンタクトパッド3の上面に金属配線層4を形成する工程を説明するための模式要部断面図である。まず、層間絶縁膜12、導電材料プラグにより埋め込まれた第二のコンタクト100およびメタルコンタクトパッド3を含む全面にMOCVD法によりタングステン等の金属を堆積させる。次に公知のリソグラフィ法を用いて、タングステン膜をパターニングして金属配線層4および金属パッド110を形成する。
【0121】
ここで、導電パッド40上の金属配線層4の表面に接してバンプ230を形成した構成とすることができる。この場合、バンプ230は、例えば、錫−銀−銅合金等からなるはんだを用いて形成する。
【0122】
しかし、ここでは、金属配線層4の上部に上部配線構造及びバンプ230を形成する場合について説明する。
図15は、金属配線層4の上部に上部配線構造及びバンプ230を形成する工程を説明するための模式要部断面図である。
【0123】
まず、金属配線層4の上部に、例えば、プラズマCVD法を用いた方法により酸化シリコン等からなる層間絶縁膜14を形成した後、CMP法等により、平坦化を行う。
【0124】
次に、層間絶縁膜14の上部に、プラズマCVD法を用いた方法により酸化シリコン等からなる層間絶縁膜16を形成した後、CMP法等により、層間絶縁膜16の上面を平坦化する。この後、層間絶縁膜16の上面にフォトレジスト層(図示せず)を形成する。このフォトレジスト層に対し公知のリソグラフィー法により開口パターンを形成し、この開口パターンをマスクとして層間絶縁膜16に開口部を形成する。この開口部内部に対し、例えば、MOCVD法によりタングステン等の金属を堆積させることにより、金属配線層4と電気的に接続する第一の外部接続用コンタクト50を形成することができる。
【0125】
この第一の外部接続用コンタクト50を形成する工程の変形例では、先にMOCVD法によりタングステン等の金属を堆積させることにより金属層を形成してから公知のリソグラフィ法を用いて金属層をパターニングする。この後、プラズマCVD法等により酸化シリコン等の層間絶縁膜を堆積させることにより、第一の外部接続用コンタクト50を形成することもできる。以下に説明する第二の外部接続用コンタクト等の場合も同様である。
【0126】
続いて、CMP法等により、第一の外部接続用コンタクト50および層間絶縁膜16の上面を平坦化した後、第一の外部接続用コンタクト50および層間絶縁膜16の上部に、例えば、プラズマCVD法を用いた方法により酸化シリコン等からなる層間絶縁膜18を形成する。
【0127】
続いて層間絶縁膜18の上面にフォトレジスト層(図示せず)を形成する。このフォトレジスト層に対して公知のリソグラフィー法により開口パターンを形成し、この開口パターンをマスクとして層間絶縁膜18に開口部を形成する。この開口部内部に対し、例えば、窒化チタンからなる金属バリア膜をスパッタリング法等により形成した後(図示せず)、その上に例えば、アルミニウム、またはアルミニウム−シリコン−銅合金等のアルミニウム合金をスパッタリング法等によって形成し、さらにその上に、例えば、窒化チタン等からなる金属バリア膜をスパッタリング法等によって形成することにより、第一のアルミニウム配線52を形成する。
【0128】
さらに先に説明した第一の外部接続用コンタクト50を形成する方法と同様の方法により、第二の外部接続用コンタクト54を形成した後、先に説明した第一のアルミ配線52を形成する方法と同様の方法により、第二のアルミニウム配線56を形成する。
上記に説明した工程により、
図15に示した金属配線層4の上部に第二のアルミニウム配線56の一部からなる外部接続用電極を形成することができる。
【0129】
なお、酸化シリコン等からなる層間絶縁膜18、20および22は、先に説明した層間絶縁膜10等と同様の操作により形成することができる。また、
図15には特段、示していないが、層間絶縁膜内部に容量コンタクト、キャパシタ等が形成されている。次に、バンプ230は、例えば、錫−銀−銅合金等からなるはんだを用いて形成される。
【0130】
第二のアルミニウム配線56の一部からなる外部接続用電極の表面に接してバンプ230を形成した構成とする。この場合、バンプ230は、例えば、錫−銀−銅合金等からなるはんだを用いて形成する。バンプ230を形成する材料は、はんだに限定されるものではなく、例えば、導電ペースト等により形成しても良い。
【0131】
さらに、バンプ230等を含む最外面を保護するため、
図15に示した様に、層間絶縁膜22上に接着剤59を用いて石英からなる支持体58を貼付する。この支持体58を貼付することにより、以下に説明する半導体シリコン層1の裏面を加工する工程の際、半導体シリコン層1の表面側に損傷が生じることを防止することができる。
【0132】
次に、半導体シリコン層1の裏面を加工する工程について説明する。
図16は、半導体シリコン層1の裏面を研削する工程を説明するための模式要部断面図である。
【0133】
この工程では、半導体シリコン層1の裏面を研削することにより、半導体シリコン層1の厚みを10〜150μmの範囲とする。この研削工程に限定はなく、公知の方法を適宜、選択して実施することができる。
【0134】
図17は、半導体シリコン層1の裏面に絶縁層を形成する工程を説明するための模式要部断面図である。
図17に示す様に、プラズマCVD法により、半導体シリコン層1の裏面に酸化シリコンを堆積させることにより絶縁層60を形成することができる。この絶縁膜60の膜厚は通常は0.1〜1μmの範囲である。
【0135】
図18は、絶縁層60、半導体シリコン層1(一部がn型導通防止用不純物領域5)およびポリシリコンコンタクトパッド2を貫いて、メタルコンタクトパッド3に達するビアホール70を、半導体シリコン層1の裏面側から形成する工程を説明するための模式要部断面図である。まず、絶縁層60の表面、すなわち半導体シリコン層1の裏面側にフォトレジスト層を形成する(図示せず)。
【0136】
次に、このフォトレジスト層に対して公知のリソグラフィー法により開口パターンを形成し、この開口パターンをマスクとして、絶縁層60、半導体シリコン層1(一部がn型導通防止用不純物領域5)、およびポリシリコンコンタクトパッド2を順次、エッチング除去してビアホール70を形成する。このビアホール70は反応性イオンエッチング等の異方性エッチングにより形成することができる。
【0137】
より具体的には、絶縁層60は、例えばCHF
3等のフルオロカーボンを主成分とするガスを用いたRIE法(反応性イオンエッチング;Reactive Ion Etching)によりエッチング除去することができる。また、半導体シリコン層1(一部がn型導通防止用不純物領域5)およびポリシリコンコンタクトパッド2は、フッ素を含むガス(例えば、SF
6等)の存在下に、温度−50〜+25℃、圧力0.1〜10mmTorr、高周波パワー500〜2000Wおよびバイアスを100〜500WとしてRIE法によるエッチングを行うことにより除去することができる。
【0138】
この際、先に形成したメタルコンタクトパッド3(タングステン)がエッチングストッパとして機能するため、半導体シリコン層1の裏面側からのエッチングにより、このメタルコンタクトパッド3が露呈した段階で異方性エッチングの進行が遅くなるので、ここでエッチングを止める。これによりビアホール70を形成することができる。この様にして得られたビアホール70の外径は通常5〜100μmの範囲である。
【0139】
本実施例は、第1コンタクトパッド2が、ポリシリコンからなるポリシリコンコンタクトパッドである。このため、半導体シリコン層1とポリシリコンコンタクトパッドは、エッチング条件を変更することなく連続的に1工程でエッチングが可能となる。このように、第1コンタクトパッド2を半導体シリコン層1と同様の材料とすることで、エッチングストッパである第2コンタクトパッド3の金属が露出するまで、特許文献1のような複雑な工程を経ることなく、容易にビアホールを開口することが可能となる。
【0140】
図19は、ビアホール70内部に絶縁層62を形成する工程を説明するための模式要部断面図である。この絶縁層62は窒化シリコンから形成されており、絶縁層60を覆って半導体シリコン層1の裏面全体に堆積される。この窒化シリコンからなる絶縁層62は、通常、プラズマCVD法を用いて堆積する。原料ガスとして、例えば、シランとアンモニアを用いることにより、
図19に示す様に、窒化シリコンからなる絶縁層62を形成することができる。この窒化シリコンの膜厚は通常は1.0〜5.0μmの範囲である。
【0141】
図20はビアホール70内部に貫通電極200を形成する工程を説明するための模式要部断面図である。次に絶縁層62をエッチバックすることにより、ビアホール70底面の絶縁層62を除去して、メタルコンタクトパッド3の部分を露呈させる。
【0142】
続いて、絶縁層62の表面、すなわち半導体シリコン層1の裏面側に、めっき用シード膜220として、スパッタ法またはMOCVD法により0.1〜0.5μm程度のチタン、および0.2μm〜1.0μm程度の銅を順次形成する。このめっき用シード膜220は、後の工程で、電気めっき法による銅の成膜時に給電膜として作用する。
【0143】
この後、フォトレジスト層を形成する(図示せず)。このフォトレジスト層に対して公知のリソグラフィー法により開口パターンを形成し、この開口パターンをマスクとして、ビアホール70内部に電気めっき法により、内部貫通電極222としての銅を埋設する。
【0144】
このめっきによる銅の埋設は、銅イオン、または銅錯イオンを含む電解質に直流またはパルス電流を流して、陰極上に銅を析出させることによって行うことができる。なお、本実施例では、硫酸銅溶液を電解液として用い、めっき用シード膜を陰極とし、硫酸銅溶液に陽極電極を設置して、直流電流を流す。この銅の膜厚は通常は10〜50μmである。
【0145】
この後、アセトンを用いてフォトレジスト層を剥離除去し、その後、余剰のめっき用シード膜の銅およびチタンを硫酸やフッ酸を用いたウェットエッチング工程で除去する。そして、例えばリソグラフィー法により、内部貫通電極222の下部に、上述した金属材料の電極パッド210を形成する。
【0146】
以上の工程により
図20に示す貫通電極200を有する半導体装置を得ることができる。
図20に示す様に、このようにして形成した貫通電極200は、内部貫通電極222および電極パッド210により形成されている。
【0147】
図21は、第1実施例により得られた半導体装置401の模式要部断面図である。まず、電極パッド210を含む半導体シリコン層1の裏面にダイシングシート(図示せず)を貼付する。続いて、石英からなる支持体58および接着剤59(
図20参照)を除去した後、公知のダイシング工程により上記の工程を経て得られた加工済み半導体シリコンウエハを切断し、ダイシングシートを除去する。
上記の工程により半導体装置401を製造することができる。
【0148】
(第2実施例)
本実施例は、基本的に第二の製造方法を用いて半導体装置を製造するものである。
図22は、本発明の第二の実施態様である半導体装置の製造工程を説明するための模式要部断面図である。
図22に示す様に、最初に半導体シリコン層1の表面側から円筒状の電極−基板分離用孔240を形成する。
【0149】
すなわち、まず、半導体シリコン層1の表面側にフォトレジスト層を形成する(図示せず)。このフォトレジスト層に対して公知のリソグラフィー法により開口パターンを形成し、この開口パターンをマスクとして、半導体シリコン層1の貫通電極の形成領域を囲むように 円筒状の電極−基板分離用孔240を形成する。例えば、円筒状の電極−基板分離用孔240は反応性イオンエッチング等の異方性エッチングにより形成することができる。この異方性エッチングを実施する際の条件は、第1実施例の場合でビアホール70を形成する際に実施した反応性イオンエッチングの場合と同様とすることができる。
【0150】
図23は、円筒状の電極−基板分離用孔240に絶縁材を埋設することにより外周筒状絶縁体250を形成する工程を説明するための模式要部断面図である。
図23に示す様に、円筒状の電極−基板分離用孔240に絶縁材を埋設する。この絶縁材としては、例えば、酸化シリコン等を挙げることができる。この酸化シリコンは、CVD法等の方法により円筒状の電極−基板分離用孔240の内部に埋設することができる。そしてこの絶縁材を埋設することにより、外周筒状絶縁体250を形成することができる。この絶縁膜の膜厚は通常は1.0〜3.0μmの範囲である。また、この際、CVD法等の方法により、同時に半導体シリコン層1の表面にも酸化シリコンからなる絶縁層64が形成される。
【0151】
図24は半導体シリコン層1の表面に形成された酸化シリコンからなる絶縁層64を除去する工程を説明するための模式要部断面図である。
図24に示す様に、フッ酸を用いたウエットエッチング工程と、CMP工程により絶縁層64を除去することにより、半導体シリコン層1の表面を平坦化することができる。また、この工程により、半導体シリコン層1の表面を露呈させることができる。このようにして、半導体シリコン層1に形成された外周筒状絶縁体250は、後の工程で形成される貫通電極の形成領域を囲むと共に、次工程で形成される層間絶縁膜10に接するように形成される。
【0152】
図25は、半導体シリコン層1の表面に電界効果型トランジスタ302、303を形成する工程を説明するための模式要部断面図である。第1実施例の場合と同様、まず、半導体シリコン層1の表面領域にSTIと呼ばれる素子分離領域80を形成する。続いて、公知のリソグラフィー工程、エッチング工程等により、
図25に示す様に、半導体シリコン層1の表面に電界効果型トランジスタ302、303を形成する。電界効果型トランジスタ302は、第1実施例の電界効果型トランジスタ300と同様にメモリセルを構成するものであり、また、電界効果型トランジスタ303は、第1実施例の電界効果型トランジスタ301と同様に周辺回路を構成するものである。
【0153】
なお、第1実施例では電界効果型トランジスタ300、301を形成する際に合わせてn型導通防止用不純物領域5を形成したが、この第2実施例では外周筒状絶縁体250を形成するため、n型導通防止用不純物領域5を形成する必要がない。
【0154】
続いて、先の第1実施例の場合で
図11〜
図15に基づいて説明した工程と同様の工程を経て、
図26に示す構造を得ることができる。
【0155】
図26は、半導体シリコン層1の裏面を研削する工程を説明するための模式要部断面図である。第1実施例の場合と同様、
図26では半導体シリコン層1の表面の最外面の第二のアルミニウム配線56の一部からなる外部接続用電極にはバンプ230が形成され、この最外面を保護するために石英からなる支持体58が接着剤59を用いて貼付されている。なお、金属配線層4の上部に、
図26のような上部配線構造を形成せず、導電パッド40上の金属配線層4の表面に接してバンプ230を形成した構成とすることができる。なお、上部配線構造は、本実施例に限定されるものではなく、より少ない数の配線層とすることもできるし、より多い数の配線層とすることもできる。バンプ230は、例えば、錫−銀−銅合金等からなるはんだを用いて形成する。バンプ230を形成する材料は、はんだに限定されるものではなく、例えば、導電ペースト等により形成しても良い。
【0156】
次に、
図26に示されるように、半導体シリコン層1の裏面を研削工程により研削することにより、半導体シリコン層1の厚みを10〜150μmの範囲とする。この研削工程に限定はなく、公知の方法を適宜選択して実施することができる。この研削工程により、先に半導体シリコン層1内部に埋設しておいた外周筒状絶縁体250の底面を露呈させることができる。この研削工程により、半導体シリコン層1内部に、外周筒状絶縁体250によって囲まれ、他の半導体シリコン層1から電気的に絶縁された領域を形成することができる。
【0157】
上記に説明した通り、この第2実施例では、半導体シリコン層1内部に、半導体シリコン層の表面側から円筒状の電極−基板分離用孔を形成し、この円筒状の電極−基板分離用孔に絶縁材を埋設することにより、外周筒状絶縁体を形成する。そして、半導体シリコン層の裏面を研削することにより、外周筒状絶縁体の底部を露呈させて半導体シリコン層内部に絶縁構造を形成する点に特徴を有する。
【0158】
図27は、半導体シリコン層1の裏面に絶縁層を形成する工程を説明するための模式要部断面図である。
図27に示す様に、半導体シリコン層1の裏面にプラズマCVD法により酸化シリコンを堆積させることにより、絶縁層60を形成することができる。この絶縁層60の膜厚は通常は0.1〜1μmの範囲である。
【0159】
図28は、半導体シリコン層1の裏面側から、絶縁層60、半導体シリコン層1およびポリシリコンコンタクトパッド(第1コンタクトパッド)2を貫いて、メタルコンタクトパッド(第2コンタクトパッド)3に達するビアホール70を形成する工程を説明するための模式要部断面図である。まず、絶縁層60の表面、すなわち半導体シリコン層1の裏面側にフォトレジスト層を形成する(図示せず)。
【0160】
このフォトレジスト層に対して公知のリソグラフィー法により開口パターンを形成し、この開口パターンをマスクとして、絶縁層60、半導体シリコン層1およびポリシリコンコンタクトパッド2を貫通して、外周筒状絶縁体250の内側にビアホール70を形成する。このビアホール70は、先の第1実施例の場合と同様に、メタルコンタクトパッド3をエッチングストッパに用いて異方性エッチングを行うことにより形成することができる。この様にして得られたビアホール70の外径は通常5〜100μmの範囲である。
【0161】
本実施例においても、第1コンタクトパッド2が、ポリシリコンからなるポリシリコンコンタクトパッドである。このため、半導体シリコン層1とポリシリコンコンタクトパッドとは、エッチング条件を変更することなく連続的に1工程でエッチングが可能となる。このように、第1コンタクトパッド2を半導体シリコン層1と同様の材料とすることで、エッチングストッパである第2コンタクトパッド3の金属に達するまで、特許文献1のような複雑な工程を経ることなく、容易にビアホールを開口することが可能となる。
【0162】
図29は、ビアホール70内部に内部貫通電極224を形成する工程を説明するための模式要部断面図である。まず、ビアホール70内部の表面に、めっき用シード膜220として、スパッタ法またはMOCVD法により、0.1〜0.5μm程度のチタン、および0.2μm〜1.0μm程度の銅を順次形成する。このめっき用シード膜220は、後の工程で、電気めっき法による銅の成膜時に給電膜として作用する。
【0163】
この後、フォトレジスト層を形成する(図示せず)。このフォトレジスト層に対して公知のリソグラフィー法により開口パターンを形成し、この開口パターンをマスクとして、ビアホール70内部に電気めっき法により、内部貫通電極224としての銅を埋設する。この銅の膜厚は通常は10〜50μmの範囲である。
【0164】
この後、アセトンを用いてレジスト層を剥離除去し、さらに、硫酸やフッ酸を用いたウェットエッチング法によって、余剰のめっき用シード膜220の銅およびチタンを除去する。そして、例えばリソグラフィー法により、内部貫通電極224の下部に、上述した第1実施例の電極パッド210と同様の金属材料からなる電極パッド212を形成する。この工程により、
図29に示す様に、シード膜220、内部貫通電極224、筒状半導体シリコン226、外周筒状絶縁体250、電極パッド212を備えた貫通電極202を有する半導体装置を得ることができる。
【0165】
続いて、電極パッド212を含む半導体シリコン層1の裏面にダイシングシート(図示せず)を貼付する。続いて、石英からなる支持体58および接着剤59(
図20参照)を除去した後、公知のダイシング工程により上記の工程を経て得られた加工済み半導体シリコンウエハを切断し、ダイシングシートを除去する。上記の工程により半導体装置402を製造することができる。
【0166】
第1実施例により説明した半導体装置401に含まれる貫通電極200の場合、ビアホール70内部に接して絶縁層62が配置され、さらに、ポリシリコンコンタクトパッド2と接する半導体シリコン層1の表面部にはn型導通防止用不純物領域5が形成されている。そして、貫通電極200からバンプ230までの部分が半導体シリコン層1から電気的に絶縁されている。
【0167】
これに対し、第2実施例の半導体装置402の場合、シード膜220、内部貫通電極224、筒状半導体シリコン226、外周筒状絶縁体250、電極パッド212によって貫通電極202が形成されていて、外周筒状絶縁体250により、貫通電極202が半導体シリコン層1から電気的に絶縁されている点が異なる。
【0168】
図30は、第2実施例の半導体装置に使用する貫通電極202の部分を例示した、模式要部斜視図である。
図30では、貫通電極202に含まれる内部貫通電極224が実線で示されている。内部貫通電極224は直径がおよそ20μmのビアホール内部にめっき用シード膜としてチタンを150nm、銅を600nmスパッタリング法により成長させた後、このシード膜に銅をめっきにより埋設することにより形成されている。
図30に例示される様に、筒状半導体シリコン226は、内部貫通電極224を取り囲む様に配置されていて、さらにその外側を取り囲む様にして外周筒状絶縁体250が配置されている。
【0169】
また筒状半導体シリコン226は、対応する位置にある半導体シリコン層1の部分からなるものである。また、外周筒状絶縁体250は、酸化シリコン、窒化シリコン等の絶縁材からなるものである。この絶縁材が埋め込まれる半導体シリコン層1内の円筒状の電極−基板分離用孔240(外部筒状絶縁体250と図が重なるため図示省略)の幅(
図30の横方向)はおよそ2μmであり、この円筒状の電極−基板分離用孔240に埋め込まれる外周筒状絶縁体250の直径はおよそ30μmであり、膜厚(
図30の横方向厚さ)は1〜2μmの範囲である。
【0170】
さらに内部貫通電極224は、ポリシリコンコンタクトパッド2を貫通して形成されている。このポリシリコンコンタクトパッド2の直径はおよそ26μmであり、膜厚(
図30の縦方向)は1〜2μmの範囲である。
【0171】
ポリシリコンコンタクトパッド2上部にはメタルコンタクトパッド3に電気的に接続された金属配線層4が形成されている。このメタルコンタクトパッド3の直径はおよそ26μmであり、膜厚(
図30の縦方向)はおよそ0.5μm程度である。
【0172】
また、第1実施例および第2実施例により説明した通り、本発明の半導体装置に含まれる貫通電極200、202は、半導体シリコン層1およびポリシリコンコンタクトパッド2を貫通したビアホール70内部に埋設されている。
【0173】
第2実施例では、先に説明した貫通電極の製造工程に関し、半導体シリコン層1の裏面から貫通電極を形成する前に、(a)貫通電極が半導体シリコン層の裏面側から接する導電パッドを設け、かつ(b)半導体シリコン層の貫通電極形成領域を囲むように、表面側から外周筒状絶縁体250を形成するものである。なお、外周筒状絶縁体250は、平面形状、つまり、半導体シリコン層1の主面から見た形状が、円形、矩形等いずれの形状であっても良く、外周筒状絶縁体250がビアホール70を囲むように形成されていれば良い。そして、半導体シリコン層1の表面側の層間絶縁膜10及び裏面側の絶縁層60に接するように形成されていることが好ましい。
【0174】
これらの製造工程を有することにより、半導体シリコン層1を裏面からエッチングするだけでビアホールを形成することができ、半導体シリコン層1の裏面側から外周筒状絶縁体を形成する場合に比較して外周筒状絶縁体等を形成する際の条件選択の幅が広がる。つまり、前処理工程にて半導体シリコン層1の表面側から外周筒状絶縁体を埋め込むので、通常の半導体素子形成工程の一部として外周筒状絶縁体(酸化シリコン)を形成できることになり、この酸化シリコン成長法として、熱酸化やLPCVD法等各種の方法が選択できる。これに対して、半導体シリコン層1の裏面側から外周筒状絶縁体を形成する場合には、前処理工程にて既に半導体素子が形成されているため、外周筒状絶縁体を形成するときの熱による半導体素子の劣化や動作不良の問題から、熱酸化やLPCVD法を使用することが出来なくなる。
【0175】
さらに、半導体シリコン層の裏面からビアホールを形成するエッチング工程、半導体シリコン層から貫通電極や導電パッド等を電気的に絶縁する工程、ビアホールに銅等の金属を埋設する工程等を含む、貫通電極を形成する工程の難易度を容易にすることができる。つまり、第1実施例で必要であった、第1コンタクトパッド2と半導体シリコン層1との導通を防止するための導通防止用不純物領域5が不要となる。その上、貫通電極200と半導体シリコン層1との導通を防止するための絶縁層62の形成が不要となり、半導体シリコン層1の裏面からの工程を簡単化できる。
また、貫通電極と半導体シリコン層とを電気的に完全に分離できる。
【0176】
(第3実施例)
第3実施例の製造方法は、先の第1実施例の第2コンタクトパッド3をメタルコンタクトパッドではなくポリシリコンコンタクトパッドとすること、金属配線層4をエッチングストッパに用いてビアホールが金属配線層4に到達するまで異方性エッチングを行うこと以外は第1実施例の製造方法と全く同様である。
【0177】
図31は、第3実施例の半導体装置の製造工程を説明するための模式要部断面図である。前もって、半導体シリコン層1の表面に接して、ポリシリコンコンタクトパッド2(第1実施例の第1コンタクトパッド2および第2コンタクトパッド3を合わせたものに相当)が導電パッドとして形成されているため、半導体シリコン層1の裏面側から貫通電極200を容易に形成することができる。この半導体装置403を製造するための各工程としては、上記第1実施例と同様の工程を用いることができる。
【0178】
(第4実施例)
第4実施例の製造方法は、先の第2実施例の第2コンタクトパッド3をメタルコンタクトパッドではなくポリシリコンコンタクトパッドとすること、金属配線層4をエッチングストッパに用いビアホールが金属配線層4に到達するまで異方性エッチングを行うこと以外は第2実施例の製造方法と全く同様である。
【0179】
図32は、第4実施例の半導体装置の製造工程を説明するための模式要部断面図である。前もって、半導体シリコン層1の表面に接して、ポリシリコンコンタクトパッド2(第2実施例の第1コンタクトパッド2および第2コンタクトパッド3を合わせたものに相当)が導電パッドとして形成されているため、半導体シリコン層1の裏面側から貫通電極202を容易に形成することができる。この半導体装置404を製造するための各工程としては、上記第2実施例と同様の工程を用いることができる。
【0180】
第3実施例および第4実施例の製造方法によれば、半導体シリコン層1の表面に接してポリシリコンコンタクトパッド2からなる導電パッドが予め形成されていて、この導電パッドと金属配線層4とは既に電気的に接続されている。このため、半導体シリコン層1の裏面側から金属配線層4に達する貫通電極200、202をそれぞれ形成する際、半導体シリコン層1の表面側に新たに金属配線層を形成する必要がない。
【0181】
上記第3実施例および第4実施例により説明した通り、第2コンタクトパッド3のメタルコンタクトパッドに代えてポリシリコンコンタクトパッドを使用した場合、半導体シリコン層1の裏面からビアホールを形成するための異方性エッチングを実施した際に金属配線層4がエッチングストッパとして機能する。このため、異方性エッチングは、金属配線層4が露呈した段階でエッチングの進行が遅くなるので、ここでエッチングを止める。このように、第3実施例および第4実施例の場合も、本発明の技術思想をそれぞれ具現化した一実施例であり、本発明の思想は実現されており、発明の効果を奏することができる。
【0182】
ところで、第1実施例および第2実施例の場合はそれぞれ半導体装置401、402としてDRAMデバイスを例に挙げて説明した。このDRAMデバイスにおいては、前述のように、メモリセルアレイにおけるセルコンタクト等の埋設材料としてポリシリコンが使用されているため、本発明のポリシリコンパッド2(第1コンタクトパッド)とセルコンタクト90(第一のコンタクト)を同一工程で形成できる。さらに、メタルコンタクトパッド3(第2コンタクトパッド)についても、周辺回路に接続される第二のコンタクト100を埋設する導電材料プラグと同一のタングステンを使用することで、これらを同一工程で形成することができる。
【0183】
従って、第1実施例および第2実施例の場合は、ポリシリコンパッド2(第1コンタクトパッド)及びメタルコンタクトパッド3(第2コンタクトパッド)を形成するための工程を、別工程として追加する必要を無くすことができる。しかも、半導体シリコン層1とポリシリコンパッド2とをエッチング条件を変更することなく連続的にエッチングできるため、生産時のスループット及びコスト的に非常に有利である。
【0184】
(実施例の変形例1)
変形例1は、上記第1実施例又は第2実施例とは、第1コンタクトパッド2が、ポリシリコンの代わりに、例えばタングステンから形成され、第2コンタクトパッド3が、例えばアルミニウム又は銅から形成される点が異なる。この場合、金属配線層4として、アルミニウム又は銅を使用しても良い。このため、この変形例の製造方法では、第1実施例又は第2実施例と同様の方法により、半導体シリコン層1の裏面側から、絶縁層60、半導体シリコン層1を貫いてビアホール70を形成することができる。第1コンタクトパッド2がタングステンであり、ビアホール70がこのタングステンに達したところでエッチングを終了することもできる。
【0185】
また、第1実施例と同様にフッ素を含むガス(例えば、SF
6等)の存在下では、半導体シリコン層1のエッチングに引き続き、第1コンタクトパッド2であるタングステンをエッチングすることが可能である。そこで、第2コンタクトパッド3(アルミニウム又は銅等)に達するまでビアホール70を形成することが好ましい。なぜなら、第2コンタクトパッド3に達するまでビアホール70を形成することにより、ビアホール70内に形成される貫通電極と第1コンタクトパッド2との接触面積を大きくすることができ、接触部の電気抵抗を低減できるからである。
【0186】
この変形例では、第1コンタクトパッド2をタングステンとし、第2コンタクトパッド3をアルミニウム又は銅とすることで、アルミニウム又は銅をエッチングストッパとしてタングステンをRIEエッチングし、第2コンタクトパッド3が露出するまで第1コンタクトパッド2をエッチングしてビアホール70を形成することができる。
【0187】
なお、第1コンタクトパッド2としてのタングステンのエッチングを途中で中止し、第1コンタクトパッド2の途中までビアホール70を形成することも可能であるが、貫通電極と第1コンタクトパッド2との接触面積が小さくなり、接触部の電気抵抗が大きくなることを配慮する必要がある。
【0188】
(実施例の変形例2)
変形例2は、上記第1実施例又は第2実施例において、第1コンタクトパッド2が、ポリシリコンコンタクトパッドの代わりにタングステンから形成される点が異なる。つまり第1実施例又は第2実施例において、第1コンタクトパッド2と第2コンタクトパッド3とが同じ材料のメタルコンタクトパッドとなる。このため、この変形例の製造方法では、第1実施例又は第2実施例と同様の方法により、半導体シリコン層1の裏面側から、絶縁層60、半導体シリコン層1を貫いてビアホール70を形成することができる。第1コンタクトパッド2がタングステンであり、ビアホール70のエッチングがこのタングステンに達したところでエッチングを終了することができる。
【0189】
また、この変形例の場合も、第1実施例と同様にフッ素を含むガス(例えば、SF
6等)の存在下では、半導体シリコン層1のエッチングに引き続き、第1コンタクトパッド2及び第2コンタクトパッド3としてのタングステンを、半導体シリコン層1と同一工程でエッチングすることが可能である。そこで、金属配線層4としてアルミニウム又は銅等を使用し、これをエッチングストッパとして、第1コンタクトパッド2及び第2コンタクトパッド3を貫通して金属配線層4に達するビアホール70を形成することが好ましい。これにより、ビアホール70に形成される貫通電極と抵抗の低いメタルコンタクトパッド(タングステン)との接触面積を大きくすることができ、接触部の電気抵抗を大幅に低減できるからである。この変形例の場合も、第1コンタクトパッド2及び第2コンタクトパッド3としてのタングステンのエッチングを途中で中止し、タングステンの途中までビアホール70を形成することも可能であるが、当然、貫通電極と第1及び第2コンタクトパッドとの接触面積が小さくなるため、接触部の電気抵抗が大きくなることを配慮する必要がある。
【0190】
なお、第1コンタクトパッド2としてのタングステンは、第2コンタクトパッド3のタングステンと同一の工程で形成されても良いし、または、夫々、別工程で形成されても良い。
【0191】
本発明の第1実施例、第2実施例、第3実施例、第4実施例及び変形例1、2において、第1コンタクトパッド2、第2コンタクトパッド3又は金属配線層4の金属材料として、タングステンを用いた場合について述べたが、これら金属材料として、夫々、タングステン以外に、アルミニウム、チタン、銅、及び、これらのうちいずれか複数材料の合金を用いたり、更に、これらの金属又は合金と、窒化チタン、窒化タングステン又は窒化タンタル等との多層構造を用いることができる。
【0192】
また、変形例1、2において、第1コンタクトパッド2、第2コンタクトパッド3、金属配線層4として、いずれの金属材料を使用するかは、ビアホールを形成するに当たり、これら構成物のうち、どの構成物をエッチングし、どの構成物をエッチングストッパにするかに依存して、適宜決定することができる。ここで、エッチングされる構造物とエッチングストッパとなる構造物では、使用されるエッチング条件において、実用的な範囲でのエッチング選択比が取れる必要がある。
【0193】
なお、本発明の第1実施例、第2実施例、第3実施例、第4実施例及び変形例1、2の各半導体装置において、1つの貫通電極の形成について説明した。しかし、本発明の半導体装置に複数の貫通電極を設け、当該半導体装置を単に通過する信号用の貫通電極と当該半導体装置の素子に金属配線層を介して接続される貫通電極とを混在した構成とすることができることは当然である。または、これら2種類の貫通電極の一方のみとすることもできる。さらに、本願発明を、半導体素子を形成せずに貫通電極のみ有する半導体基板へ適用し、この半導体基板をインターポーザとして利用することもできる。