(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5656405
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】スライディング手法を用いるウェーハの仮接合のための、高温およびスピンオン接合用組成物
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20141225BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20141225BHJP
B81C 3/00 20060101ALI20141225BHJP
B81B 7/02 20060101ALI20141225BHJP
H01L 27/12 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/304 631
B81C3/00
B81B7/02
H01L27/12 B
【請求項の数】46
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2009-531520(P2009-531520)
(86)(22)【出願日】2007年9月21日
(65)【公表番号】特表2010-506406(P2010-506406A)
(43)【公表日】2010年2月25日
(86)【国際出願番号】US2007079204
(87)【国際公開番号】WO2008045669
(87)【国際公開日】20080417
【審査請求日】2010年8月24日
(31)【優先権主張番号】60/828,572
(32)【優先日】2006年10月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】11/763,253
(32)【優先日】2007年6月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500499508
【氏名又は名称】ブルーワー サイエンス アイ エヌ シー.
(74)【代理人】
【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(72)【発明者】
【氏名】ピララマッリ スニル ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】リ チェンホン
【審査官】
外山 毅
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−216223(JP,A)
【文献】
特開平06−268051(JP,A)
【文献】
特開昭62−219954(JP,A)
【文献】
特開2004−273723(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0199353(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
B81B 7/02
B81C 3/00
H01L 21/304
H01L 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒系に溶解または分散されたポリマーを含有する接合用組成物で形成される接合層を介して接合された、第1の基板と第2の基板とを含むスタックを提供し、前記接合層が粘着付与剤およびゴム、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、ハロゲン化ブチルゴムおよびこれらの混合物からなる群から選択される化合物を含む接合用組成物を含み、前記組成物は溶媒系に分散または溶解され、前記組成物の全質量を100質量%として30質量%以上の溶媒系を含有する、前記スタックを少なくとも190℃の温度に曝して前記接合層を軟化させ、
前記第1の基板および前記第2の基板の少なくとも一方に力を印加すると同時に、前記第1の基板および前記第2の基板の他方を、前記力に耐えられるようにすることを含み、前記力は、前記第1の基板と前記第2の基板とを分離するに足る十分な量で印加され、
前記第1の基板が、第1の面と、前記第1の面から離れており、かつ、少なくとも1つの活性部位および/または複数の凹凸形状を含む第2の面とを有し、前記接合層が、前記第2の面に接合されるウェーハの接合方法。
【請求項2】
前記スタックが、前記第1の基板および前記第2の基板の両方を通る軸を有し、前記力が、前記軸に対して横方向に印加される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記力を印加することが、前記第1の基板および前記第2の基板の少なくとも一方を、前記第1の基板および前記第2の基板の他方から離れる方向に持ち上げることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
更に、前記スタックを少なくとも190℃の温度に曝す前に、前記基板の一方を薄化することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
更に、前記スタックを少なくとも190℃の温度に曝す前に、前記スタックに、裏面研削、金属被覆、パターニングおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される処理を施すことを含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記化合物の少なくとも95質量%が、非極性溶媒に可溶である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が、更に、接着促進剤、酸化防止剤、界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選択される成分を含有する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の基板が、前記接合層に接合される接合面を含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記凹凸形状が、前記第1の基板の前記第1の面から離れている各端面を成し、前記端面の少なくとも1つが、前記端面の他の面よりも、前記第1の基板の前記第1の面から更に離れており、前記更に離れている端面が、前記第1の面に平行な平面を規定しており、
前記平面から前記第2の基板上の前記接合面までの距離が、前記平面および第2の基板の接合面の全域で、10%未満、変化する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の基板が、
第1の面と、前記第1の面から離れている第2の面とを有し、
前記第2の面上に、少なくとも1つの活性部位と複数の凹凸形状とを含み、
微小電気機械システム装置、表示装置、フレキシブル基板、化合物半導体、低誘電率の誘電体層、誘電体層、イオン注入層、およびシリコン、アルミニウム、タングステン、ケイ化タングステン、ヒ化ガリウム、ゲルマニウム、タンタル、亜硝酸タンタル、SiGe、およびそれらの混合物を含む基板からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の基板が、サファイア、セラミック、ガラス、石英、アルミニウム、銀およびシリコンからなる群から選択される材料を含むキャリアウェーハを含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記スタックを提供することが、 前記接合用組成物を、前記第1の基板および前記第2の基板の一方に塗布して、接合用組成物で被覆された基板と、接合用組成物を含まない基板とを形成することと、 前記接合用組成物を含まない基板を、前記接合用組成物で被覆された基板と接触させて、それらの基板を接合することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記塗布することが、前記接合用組成物を、前記第1の基板および前記第2の基板の一方にスピンコーティングすることを含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記接触させることが、前記基板に加圧することを含む請求項12に記載の方法。
【請求項15】
裏面と、少なくとも1つの活性部位および複数の凹凸形状を含む活性面とを有する第1の基板と、
接合面を有する第2の基板と、
前記活性面と前記接合面とに接合される熱可塑性接合層とを含む物品であって、
前記熱可塑性接合層が粘着付与剤およびゴム、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、ハロゲン化ブチルゴムおよびこれらの混合物からなる群から選択される化合物を含む接合用組成物を含み、粘着付与剤および前記化合物は溶媒系に溶解または分散していて、組成物の全量を100質量%として接合組成物は30質量%以上の溶媒系を含み、
前記第1の基板が、第1の面と、前記第1の面から離れており、かつ、少なくとも1つの活性部位および/または複数の凹凸形状を含む第2の面とを有し、前記接合層が、前記第2の面に接合されるウェーハ、
前記凹凸形状は、前記第1の基板の前記裏面から離れている各端面を成し、前記端面の少なくとも1つは、前記端面の他の面よりも、前記第1の基板の前記裏面から更に離れており、前記更に離れている端面は、前記第1の面に平行な平面を規定しており、
前記平面から前記第2の基板上の前記接合面までの距離は、前記平面および第2の基板の接合面に沿って、5%未満、変化する物品。
【請求項16】
前記接合層が、
前記活性面から前記接合面までの距離として規定される厚さを有し、
前記厚さの全域にわたって同一の組成物を含有する請求項15に記載の物品。
【請求項17】
前記化合物の少なくとも95質量%が、非極性溶媒に可溶である請求項16に記載の物品。
【請求項18】
前記組成物が、更に、粘着付与剤、接着促進剤、酸化防止剤、界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選択される成分を含有する請求項16に記載の物品。
【請求項19】
前記第1の基板が、微小電気機械システム装置、表示装置、フレキシブル基板、化合物半導体、低誘電率の誘電体層、誘電体層、イオン注入層、およびシリコン、アルミニウム、タングステン、ケイ化タングステン、ヒ化ガリウム、ゲルマニウム、タンタル、亜硝酸タンタル、SiGe、およびそれらの混合物を含む基板からなる群から選択される請求項15に記載の物品。
【請求項20】
前記第2の基板が、サファイア、セラミック、ガラス、石英、アルミニウム、銀およびシリコンからなる群から選択される材料を含む請求項15に記載の物品。
【請求項21】
前記接合層が、少なくとも190℃の軟化温度を有する請求項15に記載の物品。
【請求項22】
溶媒系に溶解または分散された、ポリマーとポリ(ピネン)とを含有し、前記ポリマーが、シクロオレフィン類を有する繰り返しモノマーを含む組成物。
【請求項23】
前記組成物が、該組成物の総質量を100質量%として、5質量%から50質量%の前記ポリマーと、50質量%から95質量%の前記ピネンとを含有する請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記ピネンが、α‐ピネンおよびβ‐ピネンからなる群から選択される請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
前記溶媒系が、リモネンを含有し、前記組成物が、更に、接着促進剤を含有する請求項22に記載の組成物。
【請求項26】
粘着付与剤と、シクロオレフィン類を有する繰り返しモノマーを含むポリマーとを含有する、流動性を有する接合用組成物であって、前記粘着付与剤および前記ポリマーは、溶媒系に分散または溶解され、前記組成物は、該組成物の総質量を100質量%として、少なくとも30質量%の溶媒系を含む、流動性を有する接合用組成物。
【請求項27】
前記粘着付与剤が、炭化水素樹脂である請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記溶媒系が、リモネン、メシチレン、キシレン、ドデセン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルイソアミルケトン、エチルアセトアセテートおよびそれらの混合物からなる群から選択される溶媒を含有する請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
前記組成物が、更に、酸化防止剤、界面活性剤、接着促進剤およびそれらの混合物からなる群から選択される成分を含有する請求項26に記載の組成物。
【請求項30】
前記成分が、酸化防止剤を含有し、前記酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤およびホスファイト系酸化防止剤からなる群から選択される請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記組成物が、本質的に、発泡剤および起泡剤を含有しない請求項26に記載の組成物。
【請求項32】
前記組成物が、本質的に、架橋剤を含有しない請求項26に記載の組成物。
【請求項33】
前記組成物が、35MU未満のムーニー粘度を有する請求項26に記載の組成物。
【請求項34】
前記組成物が、250℃で1,000ポアズ未満の粘度を有する請求項26に記載の組成物。
【請求項35】
粘着付与剤と、
ゴム類、スチレン‐イソプレン‐スチレン、スチレン‐ブタジエン‐スチレン、ハロゲン化ブチルゴムおよびそれらの混合物からなる群から選択される化合物とを含有する、流動性を有する接合用組成物であって、
前記粘着付与剤および化合物は、溶媒系に分散または溶解され、前記組成物は、該組成物の総質量を100質量%として、少なくとも30質量%の溶媒系を含有する、流動性を有する接合用組成物。
【請求項36】
前記組成物が、更に、シクロオレフィン類を有する繰り返しモノマーを含むポリマーを含有する請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
前記化合物が、エチレンプロピレンターポリマー、エチレンプロピレンジエンモノマーおよびそれらの混合物からなる群から選択されるゴムである請求項35に記載の組成物。
【請求項38】
前記粘着付与剤が、炭化水素樹脂である請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記溶媒系が、リモネン、メシチレン、キシレン、ドデセン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルイソアミルケトン、エチルアセトアセテートおよびそれらの混合物からなる群から選択される溶媒を含有する請求項35に記載の組成物。
【請求項40】
前記組成物が、更に、酸化防止剤、界面活性剤、接着促進剤およびそれらの混合物からなる群から選択される成分を含有する請求項35に記載の組成物。
【請求項41】
前記成分が、酸化防止剤を含有し、前記酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤およびホスファイト系酸化防止剤からなる群から選択される請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
前記組成物が、本質的に、発泡剤および起泡剤を含有しない請求項35に記載の組成物。
【請求項43】
前記組成物が、本質的に、架橋剤を含有しない請求項35に記載の組成物。
【請求項44】
前記組成物が、35MU未満のムーニー粘度を有する請求項35に記載の組成物。
【請求項45】
前記組成物が、250℃で1,000ポアズ未満の粘度を有する請求項35に記載の組成物。
【請求項46】
前記接合用組成物がさらにシクロオレフィンを有する繰り返しモノマーを含むポリマーを含有する請求項1〜14のいずれか1項に記載のウェーハの接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(政府資金援助)
本発明は、米陸軍研究開発技術司令部によって与えられた契約番号W911SR‐05‐C‐0019に基づく政府の支援の下でなされた。米国政府は、本発明において特定の権利を有する。
【0002】
(関連出願)
本出願は、2006年10月6日に出願された、スライディング手法を用いるウェーハの仮接合用の、高温およびスピンオン接着剤と題する米国仮特許出願第60/828,572号の優先権の利益を主張するものであり、上記仮特許出願の開示全体を、参照により本明細書に組み込む。
【0003】
本発明は、広義には、新規な組成物、並びに、ウェーハの薄化および他の処理の間、キャリアウェーハ(carrier wafer)または基板上に、アクティブウェーハ(active wafer)を支持することができる接合用組成物を形成するための、上記組成物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0004】
ウェーハ(基板)の薄化は、熱を放散し、集積回路(IC)の電気的動作を支援するために利用されてきた。厚い基板は、キャパシタンスの増加をもたらすので、より太い伝送路を必要とし、ICの実装面積(IC footprint)の増大を招く。キャパシタンスは、インピーダンスを減少させるが、基板の薄化は、インピーダンスを増加させるので、伝送路の太さを細くし、IC寸法の縮小をもたらす。したがって、基板の薄化は、ICの小型化を促す。
【0005】
幾何学的制約は、基板の薄化の付加的な動機である。ビアホールは、基板の裏面でエッチングされて、表面でのコンタクトを容易にする。慣用のドライエッチング技術を用いてビアホールを形成するために、幾何学的制約が適用される。基板の厚さが100μm未満である場合には、30〜70μmの直径を有するビアホールが、許容時間内に最小量のポストエッチング残留物を生成するドライエッチング法を用いて形成される。厚い基板では、より大きい直径のビアホールが必要となる。これにより、ドライエッチングの時間をより長くする必要があり、ポストエッチング残留物がより多量に生じるため、スループットが著しく減少する。又、ビアホールが大きくなるほど、より多量の金属被覆(metallization)が必要となり、コストが高くなる。したがって、裏面処理の際に、薄い基板は、より迅速に、かつ低コストで処理されうる。
【0006】
また、薄い基板は、より容易に切断され、ICにスクライブされる。基板が薄いほど、貫通および切断する材料の量が少なくなるため、必要な労力も少なくなる。いかなる方法(鋸引き、スクライビングおよびブレーキング、またはレーザーアブレーション)が用いられようと、ICは、基板が薄くなるほど切断し易い。大抵の半導体ウェーハは、表面側の工程の後に薄化される。ウェーハは、容易に取り扱えるように、例えば、600〜700μm等の、標準的なフルサイズの厚さで加工される(すなわち、表面デバイス)。上記ウェーハは、完成した時点で、100〜150μmの厚さに薄化される。場合によっては(例えば、ヒ化ガリウム(GaAs)等のハイブリッド基板が高出力デバイスに用いられる場合)、厚さを25μmまで減らしてもよい。
【0007】
基板の機械的な薄化は、ウェーハ表面を、スラリー液を含む、硬質で平らな水平回転盤と接触させることにより行われる。上記スラリーは、アンモニア、フッ化物、またはそれらの組み合わせ等の化学的エッチング液に加えて研磨材を含んでもよい。エッチング液の化学的性質がサブミクロンレベルで「艶出し」を促す一方、上記研磨材は、「巨視的な」基板除去、すなわち薄化を施す。ウェーハは、一定量の基板が除去されて目標の厚さとなるまで、上記研磨材と接触した状態に保たれる。
【0008】
300μm以上の厚さのウェーハは、真空チャックまたはある種の機械的連結手段を利用した装具で適所に保たれる。ウェーハの厚さが300μm未満まで減少すると、その後の薄化と処理の間、ウェーハの連結およびハンドリングに関してコントロールし続けることが困難または不可能となる。場合によっては、機械装置は、薄化されたウェーハに連結および保持されるように構成されてもよいが、特に、プロセスが変化する場合に、多くの問題にさらされる。このため、ウェーハ(「アクティブ」ウェーハ)は、別の硬い(キャリア)基板またはウェーハ上にマウントされる。この基板は、その後の薄化および薄化後の処理のための保持用プラットフォーム(platform)となる。キャリア基板は、サファイア、石英、ある種のガラスおよびシリコン等の材料から成り、通常、その厚さは1000μmである。基板の選択は、熱膨張率(CTE)が各材料間でどれくらい近く合わせられるかに依存する。
【0009】
アクティブウェーハをキャリア基板にマウントするのに用いられてきた1つの方法は、硬化した接合用組成物の使用を含む。この手法の主な欠点は、上記組成物を、典型的には溶剤に溶解させることにより、化学的に除去しなければならないことである。このことは、多大な時間を要するため、スループットを減少させる。さらに、溶剤の使用は、コストを増加させ、かつ、プロセスを複雑にし、接合用組成物を溶解するのに必要となる溶剤によっては有害になりうる。
【0010】
アクティブウェーハをキャリア基板にマウントするための別の方法は、熱放出性接着テープによるものである。このプロセスには、2つの主な欠点がある。第1に、上記テープは、アクティブウェーハ/キャリア基板の接合面の全面にわたって、厚さの均一性が不十分であり、この不十分な均一性は、多くの場合、超薄型ウェーハのハンドリングに適さない。第2に、上記の熱放出性接着テープは、非常に低温で軟化するため、接合されたウェーハ/キャリア基板のスタック(stack)は、より高温で行われる、多くの典型的なウェーハの処理工程に耐えることができない。
【0011】
新規な組成物、およびアクティブウェーハをキャリア基板に接着する方法であって、高い処理温度に耐えることができ、かつ、プロセスの適切な段階で、上記ウェーハと基板とを即座に分離することを可能にする、組成物および方法が求められる。
【発明の概要】
【0012】
一つの実施形態では、本発明は、接合層を介して接合された、第1の基板と第2の基板とを含むスタックに、好ましくは、様々な処理工程(例えば、ウェーハの薄化)を施す、ウェーハの接合方法である。処理を施されたスタックは、少なくとも約190℃の温度に加熱され、それらの基板の少なくとも一方にスライディング力(滑り力)(sliding force)を印加すると同時に、例えば、それらの基板のもう一方を、固定する、または拮抗する力にさらすことによって、上記力に耐えられるようにする。上記力は、それらの基板を分離できるように、十分な量で印加される。
【0013】
別の実施形態では、本発明は、裏面と活性面とを有する第1の基板と、接合面を有する第2の基板と、上記活性面と上記接合面とに接合される接合層とを含む物品(article)を提供する。
【0014】
一つの実施形態では、接合層は、溶媒系に溶解または分散された、ポリマー(またはポリマーブレンド)と、ピネンまたはポリ(ピネン)等の粘着付与剤(tackifier)とを含有する組成物で形成され、上記ポリマーは、シクロオレフィン類を有する繰り返しモノマーを含む。
【0015】
別の実施形態では、本発明は、粘着付与剤と、シクロオレフィン類を有する繰り返しモノマーを含むポリマーとを含有する、流動性を有する接合用組成物を提供する。上記の粘着付与剤およびポリマーは、上記組成物の総重量を100重量%として、上記組成物の少なくとも約30重量%を占める溶媒系に分散または溶解される。
【0016】
一つの実施形態では、粘着付与剤と、ゴム類、スチレン‐イソプレン‐スチレン、スチレン‐ブタジエン‐スチレン、ハロゲン化ブチルゴムおよびそれらの混合物からなる群から選択される化合物とを含有する、流動性を有する接合用組成物を提供する。上記の粘着付与剤および化合物は、上記組成物の総重量を100重量%として、上記組成物の少なくとも約30重量%を占める溶媒系に分散または溶解される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の2つのウェーハを薄化および剥離する、本発明の方法を示す。
【
図2】
図2は、下記実施例で従う処理工程を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、実施例1に記載される接合用組成物のレオロジー解析の結果を示すグラフである。
【
図4】
図4は、実施例2に記載される接合用組成物のレオロジー解析の結果を示すグラフである。
【
図5】
図5は、実施例3に記載される接合用組成物のレオロジー解析の結果を示すグラフである。
【
図6】
図6は、実施例4に記載される接合用組成物のレオロジー解析の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
より詳細には、本発明の組成物は、溶媒系に分散または溶解されたポリマー(ポリマー混合物を含む)
を含む化合物を含有する。上記ポリマーは、該組成物中の固体の総重量
(総質量)を100重量
(質量)%として、該組成物中に、約5重量%〜約50重量%存在するのが好ましく、約5重量%〜約35重量%存在するのがより好ましく、約10重量%〜約35重量%存在するのが更に好ましい。
【0019】
好ましいポリマーは、熱可塑性を有し、好ましくは約500ダルトン〜約1,000,000ダルトンの重量平均分子量を有し、より好ましくは約1,000ダルトン〜約500,000ダルトンの重量平均分子量を有する。好ましいポリマーは、好ましくは少なくとも約50℃、より好ましくは少なくとも約100℃、更に好ましくは約100℃〜約200℃の軟化点(環球式軟化点)を有する。
【0020】
好ましいポリマーは、リモネン、メシチレン、キシレン、メチルイソアミルケトン、エチルアセトアセテート、および/またはドデセン等の溶媒中で、約1〜24時間、室温に置かれた場合、少なくとも約95重量%、好ましくは少なくとも約98重量%、更に好ましくは約100重量%が溶解されるだろう。
【0021】
本発明で機能する、いくつかの好ましいポリマーとして、セルロースポリマー類(例えば、セルロースアセテートポリマー類)、シクロオレフィンポリマー類(例えば、Zeonex
(R)という名称で市販されているシクロオレフィンポリマー類)、ゴム類(例えば、エチレンプロピレンターポリマー(EPM)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM))、スチレン‐イソプレン‐スチレン、スチレン‐ブタジエン‐スチレン、ポリオレフィン類、エチレンビニルアセテート、ハロゲン化ブチルゴムおよびそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーが含まれる。
【0022】
上記組成物は、該組成物の総重量を100重量%として、少なくとも約30重量%の溶媒系、好ましくは約50〜約95重量%の溶媒系、より好ましくは約65〜95重量%の溶媒系、更に好ましくは約65〜90重量%の溶媒系を含有するべきである。上記溶媒系は、約100〜200℃、好ましくは約120〜180℃の沸点を有するべきである。
【0023】
適する溶媒として、リモネン(特に、D‐リモネン)、メシチレン、キシレン、ドデセン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルイソアミルケトン、エチルアセトアセテートおよびそれらの混合物からなる群から選択される溶媒が含まれる。
【0024】
別の実施形態では、上記組成物は、界面活性剤、接着促進剤、粘着付与剤、可塑剤および酸化防止剤を含むいくつかの任意成分を含みうる。
【0025】
界面活性剤を用いる場合、該界面活性剤は、上記組成物中の固体の総重量を100重量%として、上記組成物中に、約0.1重量%〜約3重量%存在するのが好ましく、約0.1重量%〜約1重量%存在するのがより好ましい。適する界面活性剤の例として、オクチルフェノールエトキシレート(Triton X‐100
(R)という名称で市販されている)等のアルコールエトキシレート類が含まれる。
【0026】
接着促進剤を用いる場合、該接着促進剤は、上記組成物中の固体の総重量を100重量%として、上記組成物中に、約0.1重量%〜約3重量%存在するのが好ましく、約0.1重量%〜約1重量%存在するのが好ましい。適する接着促進剤の例として、ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、アミノプロピルトリ(アルコキシシラン)類(例えば、アミノプロピルトリ(メトキシシラン)、アミノプロピルトリ(エトキシシラン)、N‐フェニルアミノプロピルトリ(エトキシシラン))および他のシランカップリング剤からなる群から選択される接着促進剤が含まれる。
【0027】
粘着付与剤を用いる場合、該粘着付与剤は、上記組成物中の固体の総重量を100重量%として、上記組成物中に、約50重量%〜約95重量%存在するのが好ましく、約75重量%〜約95重量%存在するのが好ましい。上記粘着付与剤は、好ましくは、炭化水素樹脂(重合体および/または単量体)であり、好ましくは約300〜10,000ダルトンのM
Wを有し、より好ましくは約500〜5,000ダルトンのM
Wを有する。好ましい炭化水素樹脂は、少なくとも約80℃、より好ましくは約120〜200℃の軟化点(環球式軟化点)を有する。更に、上記炭化水素樹脂は、190℃で約2,500〜3,500cP、好ましくは約2,800〜3,200cP、更に好ましくは約2,900〜3,100cPのブルックフィールド粘度(Brookfield viscosity)を有することが好ましい。適する粘着付与剤として、脂肪族炭化水素樹脂類、芳香族炭化水素樹脂類、および脂肪族/芳香族炭化水素樹脂類の全て、およびロジン類(例えば、テルペンロジン類)、ポリ(α‐ピネン)、ポリ(β‐ピネン)およびそれらの混合物からなる群から選択される粘着付与剤が含まれる。特に好ましい炭化水素樹脂は、EASTOTAC、PICCOTACおよびREGALREZという名称で市販されており、それらの全ては、イーストマンケミカル社(Eastman Chemical Company)から入手可能である。
【0028】
酸化防止剤を用いる場合、該酸化防止剤は、上記組成物中の固体の総重量を100重量%として、上記組成物中に、約0.01重量%〜約3重量%存在するのが好ましく、約0.01重量%〜約1.5重量%存在するのがより好ましく、約0.01重量%〜約0.1重量%存在するのが更に好ましい。適する酸化防止剤の例として、フェノール系酸化防止剤(例えば、Irganox
(R) 1010の名称で、チバ(Ciba)から市販されているペンタエリスリトールテトラキス(3‐(3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート)およびホスファイト系酸化防止剤(例えば、Irgafos
(R) 168の名称で、チバ(Ciba)から市販されているトリス(2,4‐ジtert‐ブチルフェニル)ホスファイト)からなる群から選択される酸化防止剤が含まれる。
【0029】
本発明の組成物は、単に、好ましくは約20〜80℃の温度で、約1〜24時間、上記ポリマーおよび他の成分を溶媒系と混合することによって形成される。最終組成物は、熱可塑性(即ち、非架橋性)を有するべきである。したがって、上記組成物は、本質的に、架橋剤を含んでいないだろう(約0.1重量%未満、好ましくは約0重量%)。
【0030】
更に、上記最終組成物は、種々の温度に曝されている間、容積の増加または変化をほとんど、あるいは、全く起こさない(即ち、約3%未満)ことが好ましい。このことを達成するために、上記組成物は、好ましくは、発泡剤および起泡剤を本質的に含まない(約0.1重量%未満、好ましくは約0重量%)。発泡剤および起泡剤は、特定の条件下(例えば、高温に曝すこと)で分解して多量のガスを放出する化合物である。
【0031】
上記最終組成物は、好ましくは約35MU未満、好ましくは約30MU未満、更に好ましくは約5〜約25MUのムーニー粘度(Mooney Viscosity)(ML(1+4) 125℃;ISO289/ASTMD 1646で測定)を有するだろう。
【0032】
上記最終組成物の粘度は、約1,000ポアズ未満が好ましく、約500未満がより好ましく、約30〜約100ポアズが更に好ましいだろう。これらの測定を目的として、上記粘度は、レオロジーに関する動的解析(ティー エイ インスツルメント(TA Instruments)、AR‐2000、直径25mmの2つのパラレルプレートによる構成)により測定される。更に、上記粘度は250℃で測定され、上記組成物の減少は、約3重量%未満であることが好ましく、約2重量%未満であることがより好ましい。つまり、熱重量分析(TGA)で測定した場合、上記組成物において、熱分解が、上記温度でほとんど起こらないか、または全く起こらない。
【0033】
上記組成物は、キャリア基板かアクティブウェーハのいずれか一方に最初に塗布されうるが、アクティブウェーハに最初に塗布されることが好ましい。好ましい塗布方法として、上記組成物を、約300〜3,500rpm(より好ましくは約500〜1,500rpm)の回転速度で、約500〜15,000rpm/秒の加速度で、約30〜300秒の回転時間、スピンコーティングすることが含まれる。上記塗布工程は、特定の厚さが得られるように変更されうることが好ましいだろう。
【0034】
コーティングの後、上記基板を(例えば、ホットプレート上で)ベークして、溶媒を蒸発させることができる。典型的なベーキングでは、温度が、約150〜275℃、好ましくは約150〜225℃であり、時間が、約2〜15分、より好ましくは約3〜10分であるだろう。ベークした後の膜厚(凹凸の最上部)は、典型的には、少なくとも約5μm、より好ましくは約5〜50μmであるだろう。
【0035】
ベーキングの後、所望のキャリアウェーハを、本発明の組成物の層に接触させ、その層に対して押し付ける。上記キャリアウェーハは、約150〜250℃、好ましくは約180〜220℃の温度で加熱することにより本発明の上記組成物に接合される。この加熱は、好ましくは、真空下で、約1〜10分間、約1〜約15キロニュートンの接合力で行われる。
【0036】
図1(a)は、アクティブウェーハ12と、キャリアウェーハまたは基板14とを含む例示的なスタック10を示す。アクティブウェーハ12は、裏面16と活性面18とを含む。活性面18は、1つ以上の活性部位(図示せず)、および例えば20a〜dとして表わされている形状のような複数の凹凸形状(topographical features)(隆起形状または隆起線およびホール、トレンチ、または空間)を含みうる。形状20dは、活性面18上で「最も高さのある」形状を表す。即ち、端部または面21は、ウェーハ12上の他のいかなる凹凸形状の各端部よりも、ウェーハ12の裏面16から離れている。
【0037】
典型的なアクティブウェーハ12は、あらゆる超小型電子基板を含みうる。いくつかの可能なアクティブウェーハ12の例として、微小電気機械システム(MEMS)装置、表示装置、フレキシブル基板(例えば、硬化エポキシ基板、マップの作成に用いることができるロールアップ基板(roll‐up substrate))、化合物半導体、低誘電率(low k)の誘電体層、誘電体層(例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素)、イオン注入層、およびシリコン、アルミニウム、タングステン、ケイ化タングステン、ヒ化ガリウム、ゲルマニウム、タンタル、亜硝酸タンタル、SiGe、およびそれらの混合物を含む基板からなる群から選択されるアクティブウェーハが含まれる。
【0038】
キャリア基板14は、接合面22を有する。典型的なキャリア基板14は、サファイア、セラミック、ガラス、石英、アルミニウム、銀およびシリコンからなる群から選択される材料を含む。
【0039】
ウェーハ12およびキャリア基板14は、接合用組成物層24を介して接合される。接合層24は、上記ポリマー組成物で形成され、上述のように、塗布および乾燥されたものである。
図1(a)に示すように、接合層24は、ウェーハ12の活性面18と、基板14の接合面22とに接合される。従来技術のテープとは異なり、接合層24は、その厚さの全域で均一な(化学的に同一の)材料である。つまり、接合層24の全体は、同一の組成物で形成される。
【0040】
接合層24は、スピンコーティングにより活性面18に設けられるので、上記接合用組成物は、様々な凹凸形状に流れ込み、かつ、それらの形状を超えて流れることが好ましい。更に、接合層24は、活性面18の凹凸上に均一層を形成する。この点を図示すると、
図1は、破線26で表わされる、端部21における平面を示し、この平面は、裏面16に実質的に平行である。この平面から接合面22までの距離は、厚さ「T」によって表わされる。上記厚さTは、厚さの総変化量であり、平面26および基板14の全長にわたって約8%未満、好ましくは約5%未満、より好ましくは約2%未満、更に好ましくは約1%未満、変化する。
【0041】
図1(b)に示すように、上記のウェーハパッケージ(wafer package)に、引き続き、基板の薄化(または他の処理)を施すことができ、12’は、薄化後のウェーハ12を示す。上記基板は、約100μm未満、好ましくは約50μm未満、より好ましくは約25μm未満の厚さに薄化されうることが好ましい。薄化後、フォトリソグラフィー、ビアエッチングおよび金属被覆を含む典型的な裏面処理を行ってもよい。
【0042】
有利には、本発明の組成物の乾燥層は、多くの非常に望ましい特性を有する。例えば、上記層は、真空エッチングプロセスにおけるガス放出が少ないだろう。即ち、厚さが15μmの上記組成物の膜が、200℃で2分間ベークされると、溶媒が該組成物から追い出され、その後、200℃での60分間のベーキングにより、膜厚が、約5%未満、好ましくは約2%未満、更に好ましくは約1%未満または更には0%、変化する(「膜収縮試験」と称される)。よって、上記乾燥層は、層中で、物理変化または化学反応を起こすことなく、最高で約190℃までの温度、好ましくは最高で約200℃までの温度、より好ましくは最高で約220℃までの温度、更に好ましくは最高で約240℃までの温度に加熱されうる。例えば、上記層は、これらの温度以下では軟化しないだろう。いくつかの実施形態では、上記層を、85℃の温度で90分間、反応させることなく極性溶媒(例えば、NMP、PGME)と接触させることができる。
【0043】
上記乾燥層の接合の完全性(bond integrity)は、酸または塩基に接触した状態でも維持されうる。即ち、約15μmの厚さを有する上記組成物の乾燥層を、接合の完全性を維持した状態で、酸性溶剤(例えば、濃硫酸)または塩基(例えば、30重量%のKOH)に85℃で約45分間浸すことができる。接合の完全性は、ガラスキャリア基板を用いて、上記接合用組成物層をこのガラスキャリア基板を通して視覚的に観察して、気泡、ボイド等を確認することによって評価されうる。また、上記アクティブウェーハおよびキャリア基板を手動で分離できない場合には、接合の完全性は維持されている。
【0044】
また、上記接合用組成物は、熱的に安定である。本明細書に記載されている熱重量分析(TGA)試験を行った場合、上記接合用組成物は、約4%未満、好ましくは約2%未満、更に好ましくは約1%未満のうちのa%の重量減少(200℃で60分後)を示すだろう。
【0045】
所望の処理が行われた後、アクティブウェーハまたは基板は、少なくとも約190℃、好ましくは少なくとも約200℃、より好ましくは少なくとも約220℃、更に好ましくは少なくとも約240℃の温度に加熱することによって、キャリア基板から分離されうる。これらの温度範囲は、上記接合用組成物層の好ましい軟化点を示す。この加熱により、上記接合用組成物層が、軟化して、
図1(c)に示すように、軟化した接合用組成物層24’を形成し、その時点で、上記の2つの基板を、離すようにスライドさせることによって分離することができる。また、
図1(c)は、ウェーハ12および基板14の両方を通る軸28を示しており、スライディング力は、概して、軸28に対して横方向に印加されるだろう。または、スライドさせることを必要としなくてもよく、代わりに、ウェーハ12または基板14を上方に(即ち、概して、ウェーハ12または基板14の他方から離れる方向に)持ち上げて、ウェーハ12を基板14から分離することができる。
【0046】
分離は、単に、ウェーハ12または基板14の一方を、スライドさせる、および/または持ち上げると同時に、その他方を、上記スライディング力またはリフティング力(持ち上げ力)(lifting force)に耐えられるように、実質的に固定された位置に保つことによって(例えば、ウェーハ12および基板14に、拮抗するスライディング力を同時に印加することによって)達成されることが好ましい。このことは、全て、慣用の機器により達成されうる。
【0047】
デバイス領域に残存する、いかなる接合用組成物も、乾燥前に上記組成物の一部であった最初の溶媒、または、キシレン、ベンゼン、リモネン等の溶媒を用いて、容易に除去することができる。残存するいかなる組成物も、5〜15分間、溶媒に接触させると完全に溶解するだろう(少なくとも約98%、好ましくは少なくとも約99%、より好ましくは約100%)。また、残存するいかなる接合用組成物も、プラズマエッチングを、単独で、または溶媒除去プロセスと組み合わせて用いることによって除去してもよい。この工程の後、接合用組成物を含まないクリーンなウェーハ12’およびキャリア基板14(クリーンな状態で図示せず)が残るだろう。
【実施例】
【0048】
以下の実施例により、本発明による好適な方法を説明する。ただし、これらの実施例は例示のために記載するものであり、そのいかなる内容も、本発明の範囲全体を限定するものとして解釈してはならない。
【0049】
(実施例1)
各種セルロース誘導体(イーストマンケミカル社、テネシー州、キングズポート(Eastman Chemical Company,Kingsport,TN)から入手)を、適した溶媒に溶解することにより配合物を調製した。使用した正確な物質および量を表Iに示す。
【0050】
【表1】
【0051】
(実施例2)
シクロオレフィン樹脂およびポリ(α‐ピネン)の混合物
D‐リモネン(フロリダケミカル社(Florida Chemical Company)から入手)に、Zeonex 480R樹脂(ゼオンケミカルズ、ケンタッキー州、ルーイビル(Zeon Chemicals,Louisville,KY)から入手)および/またはポリ(α‐ピネン)(アルドリッチ、ウィスコンシン州、ミルウォーキー(Aldrich,Milwaukee,WI)から入手)および/またはポリ(β‐ピネン)(アルドリッチ、ウィスコンシン州、ミルウォーキー(Aldrich,Milwaukee,WI)から入手)を溶解することにより配合物を調製した。ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン(アルドリッチ、ウィスコンシン州、ミルウォーキー(Aldrich,Milwaukee,WI)から入手)を接着促進剤として加えた。上記配合物の正確な組成を表IIに示す。
【0052】
【表2】
【0053】
(実施例3)
シクロオレフィン樹脂およびロジンエステルの混合物
Zeonex 480R樹脂およびEastotac H142W(イーストマンケミカル社、テネシー州、キングズポート(Eastman Chemicals,Kingsport,TN)から入手)を適した溶媒に溶解することにより、配合物を調製した。高温での熱酸化を防ぐために、Irganox
(R)1010およびIrgafos
(R)168(チバ スペシャルティ ケミカルズ、ニューヨーク州、タリタウン(Ciba Specialty Chemicals,Tarrytown,NY)から入手)を、上記配合物のうちの1つに加えた。ディウェッティング(脱濡れ)(de‐wetting)の問題を軽減するために、Triton X‐100
(R)(アルドリッチ、ウィスコンシン州、ミルウォーキー(Aldrich,Milwaukee,WI)から入手)を加えた。また、接着を促進するために、ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼンを加えた。上記配合物の正確な組成を表IIIに示す。
【0054】
【表3】
【0055】
(実施例4)
EPDMゴムおよびロジンエステルの混合物
異なるグレード(grade)のエチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDMゴム:ランクセス株式会社、ペンシルベニア州、ピッツバーグ(Lanxess,Inc.,Pittsburgh,PA)から入手されるBuna EP T6250、およびVistalon 2504、エクソンモービル ケミカル、テキサス州、ヒューストン(Exxon‐Mobil Chemical,Houston,TX))およびEastotac H142Wを、適した溶媒に溶解することにより配合物を調製した。4つの配合物のうちの3つに、酸化防止剤であるIrganox
(R)1010を加えた。上記配合物の正確な組成を表IVに示す。
【0056】
【表4】
【0057】
(実施例5)
塗布、接合および剥離
実施例1〜4の配合物について、様々な基板ウェーハ上へのスピンコーティングを行った。ベーキングを行い、溶媒を蒸発させて、上記接合用組成物をリフローさせた後、第2のウェーハを、加圧することにより、コーティングされた各ウェーハに接合した。これらの接合用組成物を用いたウェーハの仮接合の手順を、
図2のフローチャートに示す。接合されたウェーハについて、機械的強度、熱安定性、耐薬品性の試験を行った。上記ウェーハについて、許容範囲内の温度で、それらのウェーハを離すように手動でスライドさせることによって剥離試験を行った。
【0058】
(実施例6)
接合用組成物の解析
試料1.4、2.2、3.4および4.4の組成物は、レオロジー解析により、ウェーハの仮接合のための好適な材料であると確認された。試料1.4、2.4、3.4および4.4に関するこれらの結果を、それぞれ、
図3、4、5および6に示す。これらの材料の粘度値およびモジュラス値を表Vに示す。これらの材料は、剥離試験に成功した。上記の4つの組成物について、以下に記載するように、熱安定性および耐薬品性を更に検討した。
【0059】
ティー エイ インスツルメント(TA Instruments)の熱重量分析計で熱重量分析(TGA)を行った。スピンコーティングおよびベーキングを施した、上記実施例の接合用組成物の試料を分解することによりTGAの試料を得た。それらの試料を、10℃/分の割合で200℃まで加熱し、長時間、常に200℃で保ち、特定の接合用組成物の熱安定性を測定した。これらの組成物は、全て、200℃で所要の熱安定性を有し、ガス放出が最少量であった(表VIを参照)。
【0060】
耐薬品性を測定するために、試験用の特定の接合用組成物を用いて、2つのシリコンウェーハを接合した。接合したウェーハを、85℃に保たれたNMPの薬浴または30重量%のKOHの薬浴および室温に保たれた濃硫酸の薬浴に入れて、耐薬品性を測定した。45分後に、接合の完全性を視覚的に観察して、上記接合用組成物について、各化学薬品に対する安定性を測定した。試料1.4を除く全ての接合用組成物は、接合を完全に保った。
【0061】
【表5】
【0062】
【表6】