(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るハイブリット型洗浄水浄化装置の実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態のハイブリット型洗浄水浄化装置1を示す平面図である。また、
図2は
図1におけるA2−A2の縦断面図であり、
図3は
図1におけるA3−A3の縦断面図である。
【0017】
図1から
図3に示すように、本実施形態のハイブリット型洗浄水浄化装置1は、屎尿を固液に分離させずに、バチルス菌等の微生物による生分解処理と、石炭や貝化石等の無機物質による濾過処理とのハイブリット式で処理することにより洗浄水を浄化するためのものであり、主として、生分解処理槽2と、それぞれ複数の濾過材を使用して積層状および/または並置状に構成された濾過処理手段3と、貯水槽4と、便器洗浄手段5とから構成される。以下、各構成について詳細に説明する。
【0018】
生分解処理槽2は、便器51を洗浄した後の洗浄水を溜めて微生物により屎尿を分解処理するためのものである。本実施形態における生分解処理槽2は、第1処理槽21と第2処理槽22とからなり、それぞれは床下に並べて設けられている。
【0019】
本実施形態における第1処理槽21は、便器51の真下に設けられている。第1処理槽21の内部には、洗浄水の曝気を行うための曝気パイプ6が設けられているとともに、バチルス菌等の微生物と、このバチルス菌の繁殖を高めるための牡蠣の貝殻が投入されている。なお、生分解処理のために用いる微生物はバチルス菌に限定されるものでなく、例えばアシドロ菌等、適宜好適な微生物を選択してよい。
【0020】
また、本実施形態における生分解処理槽2の第2処理槽22は、前記第1処理槽21に併設されており、その境界は仕切堰23が設けられている。従って、第1処理槽21で生分解処理された洗浄水は仕切堰23を越えて第2処理槽22に流れ込むようになっている。第2処理槽22には、第1処理槽21と同様に、生分解処理のために内部に曝気パイプ6が設けられているとともに、バチルス菌と、牡蠣の貝殻と、石炭を破砕したものが投入されている。また、当該第2処理槽22の中には、処理後の洗浄水を次の処理工程である濾過処理手段3へ汲み上げるための汲み上げポンプ24が設けられている。
【0021】
つぎに、濾過処理手段3は、複数種の濾過材を上下に層状ないし左右に並列に配置し、洗浄水をそれらの複数種の濾過材に順次透過させることによって一種類の濾過材では得られない不純物の除去、脱臭および脱色の作用効果を図っている。本実施形態における濾過処理手段3は、複数種の濾過材を上下に積層させた積層形濾過槽31と、複数種の濾過材をそれぞれ個別に収容して並置した並置形濾過槽32とを有している。
【0022】
このうち、積層形濾過槽31は、生分解処理槽2で処理された洗浄水を上方から順に各濾過材を透過させて残渣等の比較的大きなもの濾過し、洗浄水の浄化を促進するものである。本実施形態における積層形濾過槽31は、上下二段で構成されており、上段に配置された上段側積層形濾過槽311と、下段に配置された下段側積層形濾過槽312とから構成されている。
【0023】
本実施形態における上段側積層形濾過槽311は、上面が開放された箱形に形成されており、底面の略中央には濾過した洗浄水を下方の下段側積層形濾過槽312へ流出する流出口33が形成されている。前記上段側積層形濾過槽311には、濾過材として上層に不織布、中層にゼオライト、下層に石炭がそれぞれ積層されている。上層の不織布には繊維同士の間にペレット状の活性炭が混ぜ込ませてある。また、中層のゼオライトおよび下層の石炭は、粒状または紛状に砕かれたものが用いられている。なお、中層のゼオライトと下層の石炭との境界には互いが混ざり合わないための混合防止網34が敷設されている。
【0024】
本実施形態における下段側積層形濾過槽312は、上段側積層形濾過槽311と同一形状の箱形に形成されており、次行程である並置形濾過槽32へ流出させる流出口33が
図3の底面における左端に配置されている。なお、この下段側積層形濾過槽312に積層されている濾過材は、上段側積層形濾過槽311に積層されている構成とは異なり、上層に粒状または紛状のゼオライト、中層に粒状または紛状の石炭、下層に粒状または紛状の貝化石がそれぞれ積層されている。
【0025】
なお、上層のゼオライトと中層の石炭との境界および中層の石炭と下層の貝化石との境界には、上段側積層形濾過槽311と同様の混合防止網34が敷設されている。
【0026】
一方、並置形濾過槽32は、複数種の濾過材に洗浄水を連続的に透過させ、濾過材との接触時間を長くすることで洗浄水の浄化を促進させるためのものであり、
図4に示すように、並置形濾過槽32内に、複数種の濾過材をそれぞれ個別に収容して並置される各濾過収容部35と、隣接する各濾過収容部35の間を仕切る仕切壁36と、並置形濾過槽32内の水を抜くための水抜きドレンパイプ37とを有する。
【0027】
濾過収容部35は、それぞれ濾過材を個別に収容し、端から洗浄水を順に透過させることにより濾過処理するためのものである。本実施形態では、第1濾過収容部ないし第5濾過収容部351,352,353,354,355からなる5つの濾過収容部35を有し、各濾過収容部35は網目状の容器で構成されている。また、第5濾過収容部355の底面には、濾過した洗浄水を貯水槽4へ排水するための排水口38が設けられている。
【0028】
本実施形態における仕切壁36は、交互に配置される下部流通仕切壁361と、上部流通仕切壁362との2種類を使い分けている。下部流通仕切壁361は、上部を閉じて下部を開放することにより隣接する濾過収容部35に洗浄水を流通可能にしたものであり、第1濾過収容部351と第2濾過収容部352との間および第3濾過収容部353と第4濾過収容部354との間に配置されている。つまり、下部流通仕切壁361では、洗浄水が下部に開放した流通路を流れて隣の濾過収容部35に下から溜まっていくようになっている。また、上部流通仕切壁362は下部を閉じて上部を開放することにより隣接する濾過収容部35に洗浄水を流通可能にしたものであり、第2濾過収容部352と第3濾過収容部353との間および第4濾過収容部354と第5濾過収容部355との間に配置されている。つまり、上部流通仕切壁362では、洗浄水が壁の上部を堰越えして隣の濾過収容部35に上から流れ込んで溜まっていくようになっている。
【0029】
なお、本実施形態では各濾過収容部35の仕切壁36を、下部流通仕切壁361および上部流通仕切壁362として構成し、小スペースでありながら各濾過材をゆっくり長く通過する仕組みを採用しているが、その他の濾過のシステムを採用することも可能である。例えば、上部流通仕切壁362のみで構成し、当該上部流通仕切壁362の上端部の高さが下流になるほど下り階段状に次第に低くなるような構成にして連続的に各濾過収容部35を通過させるようにしてもよい。また、各仕切壁36に下流になるほど高さが次第に低くなる流通孔が形成されるようにしてもよい。但し、これらの場合、各濾過収容部35の高さを十分に取るか、下流の濾過収容部35をより下方に配置する必要が生じる。
【0030】
また、前記並置形濾過槽32の第1濾過収容部351には、濾過材が入れられていない。これは、前記積層形濾過槽31から供給される洗浄水の水量の急激な増減に対して並置形濾過槽32内の洗浄水の水位を安定させるためである。また、本実施形態における第2濾過収容部ないし第5濾過収容部352,353,354,355には、順に、粒状の石炭、粒状の貝化石、粒状のゼオライトおよび粒状の木炭を個別に収容させている。なお、各濾過収容部35に収容させる濾過材の種類や濾過材を収容する順序は本実施形態のものが好ましいが、目的や洗浄水の状況に応じて適宜変更してもよい。
【0031】
上記のように、本実施形態における積層形濾過槽31および並置形濾過槽32に用いられる濾過材は、主に鉱物を砕いたもの等の固形状のものを採用している。なお、各濾過材の素材や大きさ、積層させる厚さや収容させる量は、洗浄水の状況や処理条件に応じて適宜選択されるものである。
【0032】
つぎに、貯水槽4は、前述した濾過処理手段3で濾過された洗浄水を貯留するための水槽である。本実施形態における貯水槽4には、不織布と曝気パイプ6が設けられている。不織布は、前記上段側積層形濾過槽311の濾過材として用いたものと同じものであり、活性炭が織り込まれている。また、当該不織布は、積層形濾過槽31および並置形濾過槽32で濾過しきれなかった固形物を濾過するために、並置形濾過槽32の底面全体に対応する大きさに張設されている。また、貯留槽には、洗浄水を便器51のロータンク52に供給するための洗浄水供給ポンプ41が設けられている。さらに、貯水槽4の中には、ブラックシリカが投入されて浄化を維持させている。洗浄水供給ポンプ41の吸い込み口にも不織布が設けられており、最終的な固形物の濾過を行っている。
【0033】
なお、貯水槽4、第1処理槽21および第2処理槽22内の曝気パイプ6には、それぞれ曝気用の空気を供給するエアーポンプ61が接続されている。
【0034】
本実施形態における便器洗浄手段5は、便器51と、この便器51の洗浄水を貯留しておくロータンク52とから構成されている。
【0035】
なお、本実施形態における便器51は、洋式のものを用いているが、特に限定されるものではなく和式のものや男性用小便器であってもよい。
【0036】
また、本実施形態のハイブリット型洗浄水浄化装置1には補助水槽7、手洗い用給水タンク8および手洗い器9が備え付けられている。補助水槽7内の水は、通常は手洗い用に使用され、便器51の洗浄水が蒸発等により少なくなると洗浄水として補給されるものである。
【0037】
図5に示す、本実施形態のハイブリット型洗浄水浄化装置1の洗浄水および手洗い用の水の流れを示すブロック図を用いて、これら補助水槽7、手洗い用給水タンク8および手洗い器9の構成について説明する。
【0038】
本実施形態の補助水槽7は、洗浄水とは別に手洗い用の水を貯留するための水槽であり、手洗い用給水タンク8に供給するための手洗水供給ポンプ71が設けられている。なお、前記補助水槽7の設置場所は特に限定されるものではなく、適宜選択されるものである。また、手洗い用給水タンク8は、手洗い器9に接続されているとともに、便器51にも接続されている。さらに、本実施形態における手洗い器9は、蛇口(図示しない)と、手洗い台91と、排水管92とから構成されており、前記蛇口の下には手洗い台91があり、この手洗い台91の排水管92は第1処理槽21に連通されている。
【0039】
つぎに、本実施形態のハイブリット型洗浄水浄化装置1における各構成の作用について説明する。
【0040】
図5に示すように、ロータンク52内の洗浄水を便器51に流すと、便器51が洗浄される。この洗浄後の洗浄水は屎尿を含んでおり、便器51の下に設けられた生分解処理槽2へと排水される。
【0041】
屎尿が含まれた洗浄水は、生分解処理槽2に貯留され、生分解処理される。本実施形態においては、まず、第1処理槽21でバチルス菌により生分解処理が行われる。曝気パイプ6は、エアーポンプ61から供給された空気を洗浄水内に送り込み、バチルス菌を活性化させる。
図2に示すように、第1処理槽21内の水位が仕切堰23よりも上昇すると、処理された洗浄水は第2処理槽22に流れ込む。
【0042】
第2処理槽22では、第1処理槽21で処理された洗浄水をバチルス菌によりさらに生分解処理を行う。また、石炭を破砕したものは、洗浄水の脱臭および脱色を行う。第2処理槽22内の水位が上昇すると汲み上げポンプ24が作動して、第2処理槽22内の洗浄水を濾過処理手段3へと汲み上げる。
【0043】
汲み上げポンプ24で汲み上げられた洗浄水は、上方から積層形濾過槽31、並置形濾過槽32の順に透過し、濾過される。
【0044】
上段側積層形濾過槽311では、まず上層の不織布により、大きなゴミが取り除かれる。特に、生分解処理されにくいトイレットペーパーは、ここで取り除かれる。また、不織布に混入されている活性炭の吸着性によりゴミを取り除くとともに、浸透する洗浄水の脱臭および脱色も行う。前記不織布は、所定期間や所定の使用回数に応じてゴミを取り除くため、交換や洗浄が行われる。
【0045】
中層のゼオライトは、吸着性および陽イオン交換機能により洗浄水の脱臭および脱色を行う。また、ゼオライトは、吸湿性を有する物質であるため、濾過材の乾燥を防ぎ、バチルス菌の住みやすい環境を作り出す。
【0046】
下層の石炭は、ゼオライトと同様に、吸着性により脱臭および脱色を行う。また、石炭は、他の濾過材と比べ、硬くて破砕されにくい。そのため、一定の密度を保持させやすく、処理速度を安定させられる。また、石炭が不純物等で汚染されても、洗浄して繰り返し使用することができる。
【0047】
上段側積層形濾過槽311の各濾過材を透過した洗浄水は、上段側積層形濾過槽311の流出口33から下段側積層形濾過槽312へと供給される。
【0048】
下段側積層形濾過槽312では、上層のゼオライトが、洗浄水の脱臭および脱色および保湿を行う。中層の石炭は、ゼオライトと同様に、吸着性により脱臭および脱色を行う。
【0049】
下層の貝化石は、洗浄水を中性にし、かつ洗浄水中の酸素濃度を増やす作用によってバチルス菌を活発にする。そのため洗浄水を貝化石と接触させることにより、バチルス菌が活性化し、より生分解処理が効果的に行われる。
【0050】
なお、上段側積層形濾過槽311および下段側積層形濾過槽312に設けられた混合防止網34は、各濾過材が混ざり合わないようにし、長時間使用しても各濾過材の密度が一定に保たれる。
【0051】
つぎに、下段側積層形濾過槽312を透過した洗浄水は、流出口33から並置形濾過槽32へと供給される。
【0052】
並置形濾過槽32は、洗浄水を第1濾過収容部ないし第5濾過収容部351,352,353,354,355の順に、連続して透過させることにより浄化を行う。
【0053】
第1濾過収容部351に供給された洗浄水は、下部流通仕切壁361の開放されている下部を通って第2濾過収容部352へと流入する。第1濾過収容部351では、第1濾過収容部351内に溜まっている洗浄水がクッションの役割を果たして、積層形濾過槽31から供給される洗浄水の水量の急激な増減に対して並置形濾過槽32内の水位の変化を抑制する。
【0054】
第2濾過収容部352では、洗浄水が濾過材である石炭を下方から上昇しながら透過し、水位が上部流通仕切壁362よりも高くなると開放されている上部を越えて第3濾過収容部353へ流入する。第3濾過収容部353に流入した洗浄水は、濾過材である貝化石を上方から下降しながら透過して下部流通仕切壁361の下部から第4濾過収容部354へと流入する。第4濾過収容部354へと流入した洗浄水は、濾過材であるゼオライトを下方から上昇しながら透過して、上部流通仕切壁362を越えて第5濾過収容部355に流入する。第5濾過収容部355に流入した洗浄水は、濾過材である木炭を上方から下降しながら透過して、排水口38から貯水槽4へと排出される。
【0055】
このように、下部流通仕切壁361と上部流通仕切壁362とを交互に配置することにより、段差を設けることなく複数種の濾過材に透過させることができ、並置形濾過槽32の高さやスペースを低く設定することができる。また、収容されている濾過材の交換や洗浄等のメンテナンスもし易くなる。通常、バイオトイレは移動式や設置式であるため、省スペースに納められるメリットは大きいし、メンテナンスのし易さは衛生面の保持の観点からニーズが高い。
【0056】
一方、水抜きドレンパイプ37は、第1濾過収容部ないし第5濾過収容部351,352,353,354,355内の水を抜き取り貯水槽4に排水することができる。これにより、並置形濾過槽32内の水を抜き取り、収容されている濾過材の交換や洗浄等のメンテナンス時の作業が容易に行うことができる。
【0057】
つぎに、貯水槽4は、濾過槽で処理された洗浄水のゴミを不織布により取り除き、曝気しながら貯留している。この貯留槽内の洗浄水は生分解処理がほぼ終了しており、臭気や着色などが殆どなくなっている。なお、貯水槽4内の活性炭は、脱臭や脱色を行うとともに、着色を抑える。また、貯水槽4内のブラックシリカは、脱臭および脱色を行うとともに、貯水槽4内に水垢で汚れるのを防いでいる。さらに、蓄熱性により洗浄水が凍るのを防いでいる。
【0058】
洗浄水供給ポンプ41は、便器51の洗浄によりロータンク52内の洗浄水が少なくなると、貯水槽4内の洗浄水をロータンク52に供給し、洗浄水として再利用することが可能である。以上のように、本実施形態では、洗浄水を繰り返し循環させて再利用することができる。
【0059】
また、本実施形態における補助水層7、手洗い用給水タンク8および手洗い器9によって、手洗いをするとともに、循環している洗浄水が蒸発などによって少なくなった場合に、補給することができる。
【0060】
補助水層7内の水は、手洗い用の水として使用され、手洗水供給ポンプ71によって手洗い用給水タンク8に供給される。手洗い用給水タンク8に供給された水は、図示しないが蛇口を開けることにより水が流れ、手を洗うことができる。また、その水は手洗い台91で受けて排水管92により第1処理槽21へ排水される。したがって、手洗いをした排水を外部に捨てることはない。
【0061】
一方、洗浄水として補給する場合は、手洗い用給水タンク8から直接便器51に手洗い用の水を供給して補うことができる。これにより、洗浄水を約一定の水量にすることにより、バチルス菌が生息しやすい環境を維持することができる。
【0062】
以上のような本実施形態のハイブリット型洗浄水浄化装置1によれば、以下の効果を得ることができる。
1.洗浄水の循環利用により、水源の乏しい場所や地域でも使用できる。
2.濾過材の経年変化等が少なく、処理能力を維持することができる。
3.上から下へと重力により透過させるため、洗浄水を循環させるエネルギーが非常に少なくてすむ。
4.外部に排水しないため環境汚染を抑えられる。
5.複数種の濾過材を適宜、透過させるため脱臭と脱色の効果が極めて高い。
6.仮に洗浄水が少なくなっても、補助水層7から水を補給することができる。
【0063】
なお、本発明に係るハイブリット型洗浄水浄化装置1は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0064】
例えば、寒冷地において使用される場合は、冬期間に洗浄水が氷らないように別途、ヒーターを設けてもよい。
【実施例1】
【0065】
実施例1として、生分解処理槽2、濾過処理手段3、貯水槽4および便洗浄手段からなるハイブリット型洗浄水浄化装置1による実証試験を行った。本実施例1のハイブリット型洗浄水浄化装置1における濾過処理手段3としては、積層形濾過槽31のみを配置した。当該積層形濾過槽31は、上下2段に構成されており、上段側積層形濾過槽311には、上層に不織布、中層に繊維同士の間にペレット状の石炭を混入している不織布、下層に粒状のゼオライトが積層されている。また、下段側積層形濾過槽312には、上層に繊維同士の間にペレット状の木炭を混入している不織布、中層に粒状のゼオライト、下層に粒状の貝化石が積層されている。
【0066】
試験は、8日間、毎日午前8時頃から午後7時頃まで便器51を使用し、午後7時頃から翌朝の午前8時頃まではエアレーションを行った。
【0067】
本試験では、目視と嗅覚により洗浄水に着色や悪臭の有無を調べた。なお、この期間中に本実施例1のハイブリット型洗浄水浄化装置1を使用した延べ人数は568人、1日平均71人であった。使用回数に関する詳細を
図6に示す。
【0068】
以下に、試験結果を示す。1日目〜6日目の間では、1日平均64人が使用したが、洗浄水の着色および悪臭はなかった。この人数であれば問題なく脱臭および脱色が可能である。しかし、7日目には平均よりも約50人多い、延べ112人に使用されたところ、洗浄水に汚物色の着色が残った。但し、翌日の8日目には、77名が使用したが、洗浄水の着色および悪臭は除去できた。
【0069】
したがって、本実施例1のハイブリット型洗浄水浄化装置1のように、積層形濾過槽31だけを配置した濾過処理手段3によると、一日65名程度の使用に対する洗浄水の脱色および脱臭は確実に行えることがわかった。但し、112名程度の人数の使用に対しては、若干、着色が残ることがわかる。よって、本実施例1のハイブリット型洗浄水浄化装置1の試験を踏まえると、使用頻度によっては、濾過処理手段として並置形濾過槽32を併存させることが好ましい。