特許第5656415号(P5656415)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5656415
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】二次電池の状態判定装置及び制御装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/36 20060101AFI20141225BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
   G01R31/36 A
   H01M10/48 P
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2010-19013(P2010-19013)
(22)【出願日】2010年1月29日
(65)【公開番号】特開2010-249797(P2010-249797A)
(43)【公開日】2010年11月4日
【審査請求日】2012年7月19日
(31)【優先権主張番号】特願2009-77459(P2009-77459)
(32)【優先日】2009年3月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二
(74)【代理人】
【識別番号】100096976
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 純
(72)【発明者】
【氏名】奥村 素宜
(72)【発明者】
【氏名】前川 活徳
【審査官】 柳 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−117277(JP,A)
【文献】 特開平09−257887(JP,A)
【文献】 特開2000−030753(JP,A)
【文献】 特開2000−040528(JP,A)
【文献】 特開2002−050410(JP,A)
【文献】 特開2003−308885(JP,A)
【文献】 特開2004−301783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/36
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の電圧を測定する手段と、
前記二次電池の電流を測定する手段と、
前記電圧と前記電流とに基づき、前記二次電池の内部抵抗を算出する手段と、
前記内部抵抗のSOC依存性の初期状態からの変化に基づいて、前記二次電池の正極と負極の容量バランスの変化を判定する手段と、
を備え、
前記判定する手段は、少なくとも相対的に低SOC域と相対的に高SOC域のいずれかにおける前記内部抵抗の、相対的に中間SOC域における前記内部抵抗に対する変化に基づいて、前記二次電池の正極と負極の容量バランスの変化を判定することを特徴とする二次電池の状態判定装置。
【請求項2】
二次電池の電圧を測定する手段と、
前記二次電池の電流を測定する手段と、
前記電圧と前記電流とに基づき、前記二次電池の内部抵抗を算出する手段と、
前記内部抵抗のSOC依存性の初期状態からの変化に基づいて、前記二次電池の正極と負極の容量バランスの変化を判定する手段と、
を備え、
前記判定する手段は、少なくとも相対的に低SOC域と相対的に高SOC域のいずれかにおける前記内部抵抗の、初期状態に対する変化量あるいは変化率が既定値以上であり、かつ、相対的に中間SOC域における前記内部抵抗の、初期状態に対する変化量あるいは変化率が前記既定値より小さいか否かにより、前記二次電池の正極と負極の容量バランスの変化を判定することを特徴とする二次電池の状態判定装置。
【請求項3】
請求項1、2のいずれかに記載の装置において、
前記二次電池の温度を検出する手段
を備え、
前記判定する手段は、前記温度が規定温度以下の場合に前記二次電池の正極と負極の容量バランスの変化を判定することを特徴とする二次電池の状態判定装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の状態判定装置と、
前記状態判定装置での判定結果に基づき、前記二次電池の正極と負極の容量バランスに変化があると判定した場合に、前記二次電池の充放電の制御態様を変化させる手段と、
を備えることを特徴とする二次電池の制御装置。
【請求項5】
請求項4記載の装置において、
前記変化させる手段は、前記二次電池のSOCを算出するために予め記憶手段に記憶された無負荷電圧とSOCとの関係を規定するマップの適用範囲を変化させることで前記二次電池の充放電の制御態様を変化させることを特徴とする二次電池の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二次電池の状態判定装置及び制御装置、特に正極または負極のいずれかの容量が規制された二次電池の容量バランス変化を判定する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の二次電池は、電気自動車やハイブリッド自動車の駆動モータ等に電力を供給する電源として用いられている。
【0003】
ニッケル水素電池においては、電池内圧の増加を回避しつつ電池の体格、重量、費用を低減するために、充電時において正極の容量より所定の余裕容量分だけ負極の容量を大きくしたものが知られている。
【0004】
また、下記の特許文献1には、正極活物質として水酸化ニッケルを含む正極と、負極活物質として水素吸蔵合金を含み、正極が充電を終えた際に未充電状態にある予め設けられた過剰容量分である充電リザーブCR、及び正極が放電を終えた際に充電状態にある予め設けられた過剰容量分である放電リザーブDRを持ち、正極の理論容量より大きな容量を備えた負極を有する密閉型ニッケル水素二次電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−273295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、二次電池の設計時において上記特許文献1のように正極の理論容量より大きな容量を備えた負極としても、二次電池の経年劣化により正極と負極の容量バランスは変化し得るが、従来においてはこのような経年劣化に伴う正極と負極の容量バランスを考慮することは行われておらず、二次電池の容量バランスに関する内部状態は、二次電池を破壊して単極で検査(容量測定)する他なかった。
【0007】
そして、初期状態において正極より負極の容量が大きくても、経年劣化により容量バランスが変化する結果、製造時とは逆に負極より正極の容量が大きくなってしまう場合もあり、この場合には容量(SOC)−電圧曲線も変化してしまうため、二次電池の電圧に基づくSOC推定値に誤差が生じてしまい、二次電池を正確に充放電制御することが困難となる。
【0008】
本発明は、正極または負極のいずれかの容量が規制された二次電池における正極と負極の容量バランス変化を簡易に判定できる装置、及び二次電池の制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の二次電池の状態判定装置は、二次電池の電圧を測定する手段と、前記二次電池の電流を測定する手段と、前記電圧と前記電流とに基づき、前記二次電池の内部抵抗を算出する手段と、前記内部抵抗のSOC依存性の初期状態からの変化に基づいて、前記二次電池の正極と負極の容量バランスの変化を判定する手段とを備え、前記判定する手段は、少なくとも相対的に低SOC域と相対的に高SOC域のいずれかにおける前記内部抵抗の、相対的に中間SOC域における前記内部抵抗に対する変化に基づいて、前記二次電池の正極と負極の容量バランスの変化を判定することを特徴とする
【0010】
また、本発明の二次電池の状態判定装置は、二次電池の電圧を測定する手段と、前記二次電池の電流を測定する手段と、前記電圧と前記電流とに基づき、前記二次電池の内部抵抗を算出する手段と、前記内部抵抗のSOC依存性の初期状態からの変化に基づいて、前記二次電池の正極と負極の容量バランスの変化を判定する手段とを備え、前記判定する手段は、少なくとも相対的に低SOC域と相対的に高SOC域のいずれかにおける前記内部抵抗の、初期状態に対する変化量あるいは変化率が既定値以上であり、かつ、相対的に中間SOC域における前記内部抵抗の、初期状態に対する変化量あるいは変化率が前記既定値より小さいか否かにより、前記二次電池の正極と負極の容量バランスの変化を判定することを特徴とする
【0011】
本発明の1つの実施形態では、前記二次電池の温度を検出する手段を備え、前記判定する手段は、前記温度が規定温度以下の場合に前記二次電池の正極と負極の容量バランスの変化を判定することを特徴とする
【0012】
本発明の他の実施形態では、前記状態判定装置での判定結果に基づき、前記二次電池の正極と負極の容量バランスに変化があると判定した場合に、前記二次電池の充放電の制御態様を変化させる手段とを備えることを特徴とする
【0013】
本発明のさらに他の実施形態では、前記変化させる手段は、前記二次電池のSOCを算出するために予め記憶手段に記憶された無負荷電圧とSOCとの関係を規定するマップの適用範囲を変化させることで前記二次電池の充放電の制御態様を変化させることを特徴とする
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、内部抵抗あるいは無負荷電圧を用いて二次電池の正極と負極の容量バランスの変化を判定できる。したがって、二次電池を破壊することなく経年劣化に伴う容量バランスの変化を判定でき、二次電池の劣化判定や二次電池の充放電制御に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態のシステム構成図である。
図2図1における電池ECUの構成図である。
図3】初期状態での内部抵抗(DCIR)を示すグラフ図である。
図4】経年劣化後の内部抵抗(DCIR)を示すグラフ図である。
図5】経年劣化後の他の内部抵抗(DCIR)を示すグラフ図である。
図6】初期状態でのSOC−電圧の関係を示すグラフ図である。
図7】経年劣化後のSOC−電圧の関係を示すグラフ図である。
図8】経年劣化後の電池温度、内圧、ガス量、ガス成分を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0020】
図1に、本実施形態における二次電池の制御装置を搭載したハイブリッド自動車のシステム構成図を示す。ハイブリッド自動車は、ドライブシャフト28に動力を伝達する動力源として、エンジン24とモータ26を備える。ドライブシャフト28は車輪に接続される。ハイブリッド自動車は、モータ26への電力供給源として二次電池10を備えている。二次電池10の電力は、リレーユニット29及びインバータ22を介してモータ26に供給される。インバータ22は、二次電池10からの直流電力を交流電力に変換してモータ26に供給する。
【0021】
エンジン24は、動力分割機構25、減速機27及びドライブシャフト28を介して車輪に動力を伝達する。モータ26は、減速機27及びドライブシャフト28を介して車輪に動力を伝達する。二次電池10の充電が必要な場合、エンジン24の動力の一部が動力分割機構25を介して発電機23に伝達される。
【0022】
発電機23により生じた電力は、インバータ22及びリレーユニット29を介して二次電池10に供給される。また、ハイブリッド自動車の減速時や制動時においては、モータ26が発電機として利用される(回生制動)。モータ26により生じた電力も、インバータ22及びリレーユニット29を介して二次電池10に供給される。
【0023】
リレーユニット29は、リレー30〜32と、抵抗33を備える。リレー31は、二次電池10の正極端子とインバータ22の高電位入力端子との間に接続される。リレー32は、二次電池10の負極端子とインバータ22の低電位入力端子との間に接続される。リレー30は、抵抗33に対して直列に接続され、リレー31に対して並列に接続される。リレー30は、抵抗33とともに車両の起動時にインバータ22の平滑コンデンサをプリチャージする。
【0024】
エンジンECU21は、エンジン24の点火時期や燃料噴射量等を制御する。
【0025】
電池ECU1は、二次電池10の電圧や電流を検出し、さらにこれらの検出値に基づいて二次電池10のSOC(State of Charge:充電状態)を推定する。
【0026】
車両ECU20は、電池ECU1やエンジンECU21等から供給される情報に基づいてインバータ22を制御し、モータ26の動作を制御する。エンジンECU21から供給される情報は、エンジン24の運転状態やクランクシャフトの回転角等である。電池ECU1から供給される情報は、二次電池10のSOC等である。また、アクセルペダル37の操作量、ブレーキペダル36の操作量、シフトレバー35で選択されたシフトレンジの各情報も車両ECU20に供給される。
【0027】
二次電池10は、電池ブロックB1〜B20を直列に接続して構成される。電池ブロックB1〜B20は、電池ケース12に収容される。電池ブロックB1〜B20のそれぞれは、複数の電池モジュールを電気的に直列接続して構成され、各電池モジュールは、複数(例えば6個)の単電池11を電気的に直列に接続して構成される。各単電池11は、ニッケル水素電池であり、設計時、すなわち初期状態において正極あるいは負極のいずれかの容量を他方よりも大きくした電池である。本実施形態では、単電池11は正極活物質として水酸化ニッケルを含む正極と、負極活物質として水素吸蔵合金を含み、正極が充電を終えた際に未充電状態にある予め設けられた過剰容量分である充電リザーブ、及び正極が放電を終えた際に充電状態にある予め設けられた過剰容量分である放電リザーブを持ち、正極の理論容量より大きな容量を備えた負極を有する。電池ケース12内には、複数の温度センサ13が配置される。
【0028】
図2に、図1における電池ECU1の構成を示す。電池ECU1は、電流測定部2と、電圧測定部4と、温度測定部3と、演算部5と、記憶部6とを備える。
【0029】
電圧測定部4は、二次電池10の電圧を測定する。具体的には、電圧測定部4は、電池ブロックB1〜B20それぞれの電圧を測定する。また、電圧測定部4は、電池ブロック毎の電圧をデジタル信号に変換し、電池ブロック毎の電圧を特定する電圧データを生成する。電圧測定部4は、電圧データを演算部5に出力する。電圧測定部4による演算部5への電圧データの出力は、予め設定された周期で行われる。
【0030】
電流測定部2は、電流センサ9が出力した信号に基づいて、二次電池10の充放電時における電流値Iを測定する。電流測定部2は、電流センサ9が出力したアナログ信号をデジタル信号に変換し、電流データとして演算部5に出力する。電流測定部2による演算部5への電流データの出力も、予め設定された周期で行われる。電圧データの検出タイミングと電流データの検出タイミングは同一である。
【0031】
温度測定部3は、二次電池10の温度を測定する。温度測定部3は、電池ケース12内にグループ毎に設置された各温度センサ13が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換して温度データを作成し、演算部5に出力する。
【0032】
演算部5は、判定部7と、DCIR,OCV算出部8と、SOC算出部14とを備える。
【0033】
DCIR,OCV算出部8は、電圧測定部4からの電圧データと、電流測定部2からの電流データとに基づいて、二次電池10の内部抵抗(DCIR)を算出する。すなわち、DCIR,OCV算出部8は、電圧測定部4からの電圧データと、電流測定部2からの電流データから、電池ブロック毎に、端子電圧の電圧値と充放電時の電流値のペアデータを複数個取得し、取得されたペアデータを記憶部6に格納する。そして、記憶部6に格納した複数個のペアデータの変化率、すなわち、横軸に電流値、縦軸に電圧値とした場合に複数のペアデータの1次の近似直線(V−I近似直線)の傾きから内部抵抗(DCIR)を算出する。また、上記のV−I近似直線のV切片を無負荷電圧(OCV)として算出する。
【0034】
SOC算出部14は、予め記憶部6に格納された無負荷電圧とSOCの関係を規定する2次元マップを参照して、算出された無負荷電圧OCVに対応するSOCを算出する。
【0035】
判定部7は、算出された内部抵抗DCIRあるいは無負荷電圧OCVとSOCの関係に基づいて、二次電池10の正極と負極の容量バランスに変化(劣化)が生じたか否かを判定する。容量バランスの変化には、正極と負極の容量の大小関係が逆転する場合、例えば、初期状態では(正極の容量)<(負極の容量)であるところ、この関係が変化して(正極の容量)≧(負極の容量)となる場合の他、大小関係は変化しないものの両極の容量差が既定値以上に小さくなってしまう場合も含まれる。判定部7で二次電池10の容量バランスに変化(劣化)が生じたと判定した場合に、電池ECU1は、二次電池10の制御態様を変化させる。
【0036】
以下、初期状態及び経年劣化時の二次電池10の正極と負極の容量バランスについて説明する。
【0037】
図3に、初期状態における二次電池10を構成する電池ブロックに属する単電池11の内部抵抗DCIRを示す。図3(a)は正極側、図3(b)は負極側、図3(c)は単電池1全体(セル)の内部抵抗DCIRである。
【0038】
これらの図3(a)、図3(b)、図3(c)は例えば以下のようにして測定される。初期状態の二次電池10を構成する電池ブロック(B1〜B20)に属する単電池11を準備する。単電池の上部に孔を開け電解液を補充する。孔にHg/HgO参照極を浸漬して参照極に対する正極電位、負極電位、及びセル端子電圧を測定できるようにセットする。
【0039】
まず、SOC80%まで充電した後、所定時間放置する。その後、25℃の恒温環境下において、「所定の電流値で5秒間だけ放電させ、次いで、60秒間放置した後、所定の電流値で5秒間だけ充電し、その後60秒間放置する」充放電サイクルを5サイクル行う。本実施形態では、所定の電流値を、1C、2C、5C、10C、15Cの順に、1サイクル毎に異ならせて計5サイクルの充放電を行う。各充放電サイクルにおいて、5秒間充電した直後の正極電位、負極電位、及びセル端子電圧を測定する。
【0040】
その後、各測定値を、横軸に電流値を設定し、縦軸に正極電位、負極電位、及びセル端子電圧の何れかを設定したグラフにプロットする。次いで、最小二乗法を用いてこれらのプロットデータに応じた直線の傾きを算出し、この算出した傾きからSOC80%における正極DCIR(a)、負極DCIR(b)、及びセルDCIR(c)を算出する。
【0041】
その後、段階的にSOCを20%まで低下させ、各段階のSOCにおいて上記80%の場合と同様に正極DCIR(a)、負極DCIR(b)、及びセルDCIR(c)を算出する。セルDCIR(c)は、ハイブリッド自動車における演算部5のDCIR,OCV算出部8で算出される初期状態の電池ブロックのDCIR(単電池当たり)にほぼ相当する。
【0042】
これらの図において、横軸はSOCであり、縦軸は内部抵抗DCIRを示す。正極側及び負極側とも、SOCが過度に高い領域、及びSOCが過度に低い領域において内部抵抗DCIRは増大する。SOCが過度に高い領域と過度に低い領域の中間領域において内部抵抗DCIRはほぼ一定の値となる。通常、二次電池10は内部抵抗DCIRがほぼ一定となるSOC域で使用される。この内部抵抗DCIRがほぼ一定となるSOC域(通常、20%〜80%領域)を、さらに相対的に中間SOC域(中心SOC域:例えば40%〜60%)、相対的に高SOC域(例えば60%〜80%)、相対的に低SOC域(例えば20%〜40%)とする。図3(a)に示す正極DCIR及び図3(b)に示す負極DCIRとも、初期状態においては中間SOC域、高SOC域、低SOC域のいずれにおいても内部抵抗DCIRはほぼ一定である。なお、二次電池10の単電池11は、上記のように正極の理論容量より大きな容量を備えた負極を有するため、図3(a)と図3(b)とを比較すると、図3(b)の方がSOC域が拡大している。すなわち、本実施形態の単電池は正極規制である。正極側及び負極側ともに、中間SOC域、高SOC域及び低SOC域のいずれにおいても内部抵抗DCIRが一定であるため、単電池11全体としても図3(c)に示すように中間SOC域、高SOC域及び低SOC域のいずれにおいても内部抵抗DCIRが一定である。すなわち、演算部5のDCIR,OCV算出部8で算出される内部抵抗(DCIR)は、SOC算出部14で算出されるSOCの値によらずにほぼ一定の値となる。
【0043】
図4に、経年劣化した単電池11の内部抵抗DCIRを示す。これらの図4(a)、図4(b)、図4(c)は初期状態の場合と同じように、経年劣化した単電池を準備し、正極電位、負極電位、及びセル端子電圧の値から、種々のSOCにおける正極DCIR(a)、負極DCIR(b)、及びセルDCIR(c)を算出する。セルDCIR(c)は、ハイブリッド自動車における演算部5のDCIR,OCV算出部8で算出される経年劣化した電池ブロックのDCIR(単電池当たり)にほぼ相当する。図4(a)は正極側、図4(b)は負極側、図4(c)は単電池11全体の内部抵抗DCIRである。図4(a)に示すように、正極側の内部抵抗(DCIR)は初期状態とほとんど変化しないものの、図4(b)に示すように、負極側の内部抵抗DCIRの特性が高SOC側にシフトしていく。図中、破線は初期状態の特性であり、実線は経年劣化後の特性を示す。なお、これは一例であり、二次電池10の使用状況によっては負極側の内部抵抗DCIRの特性が低SOC側にシフトする場合もある。単電池11全体(セル)では、図4(c)に示すような特性となり、中間SOC域及び高SOC域では内部抵抗DCIRはほぼ一定であるが、低SOC域においては負極側の内部抵抗DCIRの増大が影響して中間SOC域あるいは高SOC域の内部抵抗DCIRよりも増大することになる。したがって、演算部5のDCIR,OCV算出部8で算出される内部抵抗DCIRは、SOC算出部14で算出されるSOCの値に依存して変化し、低SOCにおいて算出された内部抵抗DCIRは、中間SOCあるいは高SOCにおいて算出された内部抵抗DCIRよりも増大することになる。演算部5の判定部7は、このような内部抵抗DCIRのSOC依存性の有無、より具体的には低SOC域における内部抵抗DCIRが中間SOC域あるいは高SOC域における内部抵抗DCIRより増大しているか否かにより、単電池11の正極と負極の容量バランスが変化しているか否かを判定することができる。具体的には、判定部7は、低SOC域(例えば30%程度)における内部抵抗DCIRを規定値と大小比較し、低SOC域における内部抵抗DCIRが規定値以上となった場合に容量バランスが変化したと判定する。また、判定部7は、低SOC域における内部抵抗DCIRと中間SOC域(例えば50%)における内部抵抗DCIRとの差分をしきい値と大小比較し、差分がしきい値以上となった場合に容量バランスが変化したと判定してもよい。また、判定部7は、低SOC域における初期状態の内部抵抗DCIRを記憶部6に記憶しておき、低SOC域における現在の内部抵抗DCIRと初期状態における内部抵抗DCIRとの差分をしきい値と比較し、差分がしきい値以上となった場合に容量バランスが変化したと判定してもよい。また、判定部7は、低SOC域における内部抵抗DCIRの変化率をしきい値と大小比較してもよい。例えば、低SOC域にあるSOC20%の内部抵抗DCIRとSOC30%の内部抵抗DCIRの変化率を算出し、変化率がしきい値以上である場合に容量バランスが変化したと判定してもよい。
【0044】
なお、図4(c)には、低温時における内部抵抗DCIRの特性も併せて一点鎖線で示す。低温時には、負極側の内部抵抗DCIRがより増大するため、低SOC域における内部抵抗DCIRの増大の傾向がより顕著となる。したがって、低温時においてはより明確に正極と負極の容量バランスの変化を判定することができる。
【0045】
図5に、経年劣化した単電池11の内部抵抗DCIRの他の変化を示す。これらの図5(a)、図5(b)、図5(c)は初期状態の場合と同じように、別の経年劣化した単電池を準備し、正極電位、負極電位、及びセル端子電圧の値から、種々のSOCにおける正極DCIR(a)、負極DCIR(b)、及びセルDCIR(c)を算出する。セルDCIR(c)は、ハイブリッド自動車における演算部5のDCIR,OCV算出部8で算出される経年劣化した電池ブロックのDCIR(単電池当たり)にほぼ相当する。図5(a)は正極側、図5(b)は負極側、図5(c)は単電池11全体の内部抵抗DCIRである。図5(a)に示すように、正極側の内部抵抗(DCIR)は初期状態とほとんど変化しないものの、図5(b)に示すように、負極側の内部抵抗DCIRの特性が容量減少により変化する。図中、破線は初期状態の特性であり、実線は経年劣化後の特性を示す。すると、単電池11全体(セル)では、図5(c)に示すような特性となり、中間SOC域では内部抵抗DCIRはほぼ一定であるが、低SOC域及び高SOC域においては負極側の内部抵抗DCIRの増大が影響して中間SOC域の内部抵抗DCIRよりも増大することになる。したがって、演算部5のDCIR,OCV算出部8で算出される内部抵抗DCIRは、SOC算出部14で算出されるSOCの値に依存して変化し、低SOC域あるいは高SOC域において算出された内部抵抗DCIRは、中間SOC域において算出された内部抵抗DCIRよりも増大することになる。演算部5の判定部7は、このような内部抵抗DCIRのSOC依存性の有無、より具体的には低SOC域あるいは高SOC域における内部抵抗DCIRが中間SOC域における内部抵抗DCIRより増大しているか否かにより、単電池11の正極と負極の容量バランスが変化しているか否かを判定することができる。また、判定部7は、低SOC域あるいは高SOC域における内部抵抗DCIRと中間SOC域(例えば50%)における内部抵抗DCIRとの差分をしきい値と大小比較し、差分がしきい値以上となった場合に容量バランスが変化したと判定してもよい。また、判定部7は、低SOC域あるいは高SOC域における初期状態の内部抵抗DCIRを記憶部6に記憶しておき、低SOC域あるいは高SOC域における現在の内部抵抗DCIRと初期状態における内部抵抗DCIRとの差分をしきい値と比較し、差分がしきい値以上となった場合に容量バランスが変化したと判定してもよい。また、判定部7は、低SOC域あるいは高SOC域における内部抵抗DCIRの変化率をしきい値と大小比較してもよい。例えば、低SOC域内にあるSOC20%の内部抵抗DCIRとSOC30%の内部抵抗DCIRの変化率を算出し、変化率がしきい値以上である場合に容量バランスが変化したと判定してもよい。また、判定部7は、低SOC域あるいは高SOC域における初期状態からの変化率、及び中間SOC域における初期状態からの変化率をそれぞれ算出し、低SOC域あるいは高SOC域における初期状態からの変化率が既定値以上であり、かつ、中間SOC域における初期状態からの変化率が既定値より小さい場合に容量バランスが変化したと判定してもよい。変化率ではなく初期状態からの変化量を用いてもよい。
【0046】
このように、ハイブリッド自動車の演算部5のDCIR,OCV算出部8で算出される電池ブロックの内部抵抗DCIRを用いることで正極と負極の容量バランスの変化を検出することができるが、内部抵抗DCIRに代えて無負荷電圧OCVを用いることもできる。
【0047】
図6に、初期状態における無負荷電圧OCVとSOCの関係を示す。これらの図6(a)、図6(b)、図6(c)は例えば以下のようにして測定される。
【0048】
初期状態の二次電池10を構成する電池ブロック(B1〜B20)に属する単電池11を準備する。単電池の上部に孔を開け電解液を補充する。孔にHg/HgO参照極を浸清して参照極に対する正極電位、負極電位、及びセル端子電圧を測定できるようにセットする。
【0049】
まずSOC80%まで充電した後、所定時間放置する。その後、25℃の恒温環境下において「所定の電流値で5秒間だけ放電させ、次いで、60秒間放置した後、所定の電流値で5秒間だけ充電し、その後60秒間放置する」充放電サイクルを5サイクル行う。本実施形態では、所定の電流値を、1C、2C、5C、10C、15Cの順に、1サイクル毎に異ならせて計5サイクルの充放電を行う。各充放電サイクルにおいて、5秒間充電した直後の正極電位、負極電位、及びセル端子電圧を測定する。
【0050】
その後、各測定値を、横軸に電流値を設定し、縦軸に正極電位、負極電位、及びセル端子電圧の何れかを設定したグラフにプロットする。次いで、最小二乗法を用いてこれらのプロットデータに応じた直線の電流ゼロの時の切片を算出し、この算出した切片を、SOC80%における正極OCV(a)、負極OCV(b)、及びセルOCV(c)として算出する。
【0051】
その後、段階的にSOCを20%まで低下させ、各段階のSOCにおいて上記80%の場合と同様に正極OCV(a)、負極OCV(b)、及びセルOCV(c)を算出する。セルOCV(c)は、ハイブリッド自動車における演算部5のDCIR,OCV算出部8で算出される初期状態の電池ブロックのOCV(単電池当たり)にほぼ相当する。
【0052】
図6(a)は正極側、図6(b)は負極側、図6(c)は単電池11全体(セル)の関係である。図において、横軸はSOC、縦軸は無負荷電圧OCVを示す。演算部5のDCIR,OCV算出部8で算出される無負荷電圧OCVは、上記したように電圧データと電流データのペアデータを回帰分析して得られるV−I近似直線のV切片として算出される。図6(c)に示すように、初期状態においては中間SOC域、高SOC域、低SOC域のいずれにおいても単電池11全体の無負荷電圧OCVはSOCに対して穏やかに増加する。
【0053】
図7に、経年劣化した単電池11の無負荷電圧OCVとSOCの関係を示す。これらの図7(a)、図7(b)、図7(c)は初期状態の場合と同じように、経年劣化した単電池を準備し、正極無負荷電位、負極無負荷電位、及びセル無負荷電圧の値から、種々のSOCにおける正極OCV(a)、負極OCV(b)、及びセルOCV(c)を算出する。セルOCV(c)は、ハイブリッド自動車における演算部5のDCIR,OCV算出部8で算出される経年劣化した電池ブロックのOCV(単電池当たり)にほぼ相当する。図7(a)は正極側、図7(b)は負極側、図7(c)は単電池11全体(セル)の関係である。正極側の関係は変化しないものの、負極側において容量変化に伴い無負荷電圧とSOCの関係も変化する。図において、破線が初期状態、実線が経年劣化後の特性を示す。したがって、単電池11全体の特性も、図7(c)に示すように変化し、特に低SOC域において無負荷電圧OCVが低下する。判定部7は、低SOC域における初期状態からの変化率と中間SOC域における初期状態からの変化率を算出し、低SOC域における初期状態からの変化率が既定値以上であり、かつ、中間SOC域における初期状態からの変化率が既定値より小さい場合に容量バランスが変化したと判定する。変化率ではなく、変化量を用いてもよい。なお、経年劣化により無負荷電圧OCVが変化するため、低SOC域での無負荷電圧や中間SOC域での無負荷電圧を算出する際に、記憶部6に予め格納された無負荷電圧とSOCとの関係を規定する2次元マップを用いてSOCを算出することはできないので、他の公知の方法、例えば二次電池10の電流を積算してSOCを推定する。
【0054】
このように、単電池11の経年劣化による正極と負極の容量バランスの変化は、ハイブリッド自動車の演算部5で算出されるSOCに対する内部抵抗DCIRの変化、あるいは無負荷電圧OCVの変化として検出することができる。判定部7は、内部抵抗DCIRあるいは無負荷電圧OCVに基づいて二次電池10の電池ブロック毎に正極と負極の容量バランスに変化が生じたか否かを判定する。そして、容量バランスに変化が生じていない場合には問題ないが、容量バランスに変化が生じている場合には二次電池10の充放電制御の精度に影響を与え、過放電による劣化促進等を引き起こすおそれがあるため、二次電池10の充放電制御を容量バランスの変化に応じて適応的に変化させる。
【0055】
例えば、電池ECU1は、記憶部6に格納された無負荷電圧OCVとSOCの2次元マップを参照することで二次電池10の現在のSOCを算出し、算出されたSOCに基づいて二次電池10の充放電を制御するが、この2次元マップは二次電池10の容量バランスが初期状態、つまり設計時における状態であることを前提としたマップであるから、経年劣化により容量バランスが変化すると、2次元マップを用いて算出したSOCは実際のSOCと乖離することとなる。すると、算出されたSOCに基づいて二次電池10を充放電制御すると、本来のSOCに基づいた制御でないことから、過放電等の異常な状態を生じ得る。
【0056】
そこで、二次電池10の容量バランスに変化が生じたと判定した場合、SOC算出部14は、記憶部6に格納された無負荷電圧OCVとSOCの2次元マップの適用範囲を変化させることで容量バランスの変化に対応する。すなわち、図7(c)に示すように、2次元マップを適用できるSOC範囲を図中破線の矢印範囲から図中実線の矢印範囲に限定する。容量バランスが変化すると特に低SOC域において初期状態におけるSOCと経年劣化後のSOCとの間に乖離が生じるから、2次元マップの適用範囲から低SOC域を除外し、中間SOC域及び高SOC域のみに限定する。なお、低SOC域については、2次元マップを用いることなく公知の他の方法によりSOCを算出する。記憶部6に記憶された2次元マップの適用範囲を中間SOC域及び高SOC域に限定することで、精度を大きく低下させることなくSOCを算出することが可能となり、二次電池10の充放電制御の精度を維持して過充電や過放電を防止し、二次電池10の使用期間を延ばすことができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の変更が可能である。
【0058】
例えば、本実施形態では、判定部7において低SOC域での内部抵抗DCIRあるいは高SOC域での内部抵抗DCIRの増大を判定することで容量バランスの変化があると判定しているが、低SOC域での内部抵抗DCIR及び高SOC域での内部抵抗DCIRの増大を判定した場合に容量バランスの変化があると判定してもよい。要するに、少なくとも低SOC域での内部抵抗DCIRと高SOC域での内部抵抗DCIRのいずれかの増大を判定した場合に容量バランスの変化があると判定すればよい。
【0059】
また、本実施形態では、任意のタイミングで容量バランスの変化があるか否かを判定しているが、図4(c)に示すように低温時では特に低SOC域あるいは高SOC域での内部抵抗DCIRの増大が顕著となるから、温度センサ13からの温度が規定温度以下(例えば0℃)である場合において低SOC域での内部抵抗DCIRあるいは高SOC域での内部抵抗DCIRの増大を判定することで容量バランスの変化を判定することもできる。無負荷電圧を用いて容量バランスの変化を判定する場合も同様である。
【0060】
また、本実施形態において、初期状態からの内部抵抗DCIRの変化、あるいは初期状態からの無負荷電圧の変化により容量バランスの変化を判定しているが、これらに加えて、初期状態からの二次電池10の温度変化、初期状態からの二次電池10の内圧変化、初期状態からの二次電池10のガス成分変化、初期状態からの二次電池10のガス量変化を用いて容量バランスの変化を判定してもよい。図8に、これらの変化の一例を示す。図8(a)は初期状態からの二次電池10の温度変化を示し、図8(b)は初期状態からの二次電池10の内圧変化を示し、図8(c)は初期状態からの二次電池10のガス量変化を示し、図8(d)は初期状態からの二次電池10のガス成分変化を示す。それぞれの図において、初期状態、劣化後の状態を示す。なお、本実施形態では、初期状態において正極規制の電池について説明したが、負極規制の電池についても正極規制電池と同様な考えに基づいて正極、負極の容量バランスの変化を判定できる。
【0061】
また、本実施形態では、二次電池10の容量バランスに変化があると判定した場合に、2次元マップの適用範囲を中間SOC域及び高SOC域に限定するように制御を変更しているが、容量バランスに変化があると判定した時点で二次電池10が劣化したと判定してもよい。二次電池10が劣化したとの判定結果は、判定部7から車両ECU20に供給される。車両ECU20は、判定結果に応じてウォーニングランプ等を点灯させる等して車両乗員あるいはディーラーのメンテナンス者に報知する。
【0062】
また、本実施形態では、二次電池10の容量バランスに変化があると判定した場合に、2次元マップの適用範囲を限定しているが、これに代えて、あるいはこれと共に、二次電池10の制御中心を変更する、あるいはSOCの制御の上下限を変更することも可能である。例えば、二次電池10の制御中心を50%から60%に変更する等である。
【0063】
さらに、本実施形態では電池ブロック毎に容量バランスが変化したか否かを判定することができるから、二次電池10を車両から取り出して分解し、再び再構成して新たな二次電池として再利用する場合において、各電池ブロック毎の容量バランスの変化を把握し、同程度の容量バランス変化を有する電池ブロック同士を集めて再構成することも可能である。すなわち、本実施形態における容量バランス変化の判定結果を、二次電池10を再構成する際の判断基準として用いることもできる。本実施形態では、電池ブロック毎に容量バランスの変化を判定しているが、二次電池10を構成する電池モジュール毎に電圧と電流を測定し、電池モジュール毎に容量バランスの変化を判定してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 電池ECU、2 電流測定部、3 温度測定部、4 電圧測定部、5 演算部、6記憶部、7 判定部、8 DCIR,OCV算出部、10 二次電池、11 単電池、20 車両ECU。
図1
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図8