(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5656465
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】作業車両や建設機械の運転室の補強構造
(51)【国際特許分類】
E02F 9/16 20060101AFI20141225BHJP
B62D 25/08 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
E02F9/16 A
B62D25/08 A
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-135726(P2010-135726)
(22)【出願日】2010年6月15日
(65)【公開番号】特開2012-1911(P2012-1911A)
(43)【公開日】2012年1月5日
【審査請求日】2013年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198293
【氏名又は名称】IHI建機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390001579
【氏名又は名称】プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087527
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100157853
【弁理士】
【氏名又は名称】浅尾 英晴
(72)【発明者】
【氏名】大川 聰
(72)【発明者】
【氏名】尾形 淳
(72)【発明者】
【氏名】有地 毅成
【審査官】
▲高▼橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−056139(JP,A)
【文献】
特開2002−248943(JP,A)
【文献】
特開2009−056930(JP,A)
【文献】
実開昭57−091675(JP,U)
【文献】
実開昭58−064583(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/16
B62D 25/00 − 25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前向き及び後向きに着座することができる運転室の左右の前部ピラーと、左右の後部ピラーが、該運転室の前端部と後端部よりも前後方向の中央寄りに位置していると共に、前向きに着座する際に運転席から前方の上部視界を確保するため、及び後向きに着座する際に運転席から後方の上部視界を確保するために運転室の天井部の前部寄り部分や後部寄り部分に天窓を形成している形式の作業車両や建設機械の運転室における左右の同じ側の前部と後部のピラーの上端部同士を、運転室の天井部の左右両側位置に沿って前後方向に延びる左右のサイドメンバーを介してそれぞれ連結し、更に、平面形状をX字状としてなるX字梁を、上記運転席から前方及び後方の上部視界を確保するため天井部の前部寄り部分の天窓及び後部寄り部分の天窓と干渉しない位置に配置すると共に、上記左右の各前部ピラー及び上記左右の各後部ピラーの対角に位置するもの同士の慣性主軸を結ぶように配置して、該X字梁の4つの端部を、上記左右の各前部ピラーの上端部及び上記左右の各後部ピラーの上端部に連結した構成を有することを特徴とする作業車両や建設機械の運転室の補強構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両や建設機械の運転室の補強構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
作業車両や建設機械の運転室(キャブ)は、転倒時保護構造(Roll-Over Protective Structures:ROPS)を備えることが求められる。
【0003】
そのため、
図2に示す如く、平面形状が略矩形としてある運転室1では、運転室1の前端部の左右両側位置に、上下方向に延びる左右一対の前部ピラー2L,2Rを設け、運転室1の後端部の左右両側位置に、上下方向に延びる左右一対の後部ピラー3L,3Rを設け、左右の同じ側の前部と後部のピラー2Lと3L,2Rと3Rの上端部同士を、運転室1の天井部の左右両側位置に沿って前後方向に延びる左サイドメンバー4L、及び、右サイドメンバー4Rを介してそれぞれ連結し、更に、上記左右の前部ピラー2Lと2Rの上端部同士と、上記左右の後部ピラー3Lと3Rの上端部同士を、運転室1の天井部の前端縁部と後端縁部に沿って左右方向に延びる前部と後部の梁部材5と6でそれぞれ連結してなる補強構造が一般的に採用されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、作業車両や建設機械では、視界の確保等のために、
図3に示す如く、運転室1Aの前面側に設けるフロントガラス7として、該運転室1Aの前後方向に直交する方向に配置した前面ガラス(ガラス本体)8と、該前面ガラス8の右端辺及び左端辺の位置からそれぞれ斜め後方に向けて延びる斜め方向のガラス(ガラス斜部)9とからなるフロントガラス7を採用する場合がある。
【0005】
この種のフロントガラス7を採用した運転室1Aは、該フロントガラス7を左右の前部ピラー2L,2Rよりも前側に備えることにより、該運転室1Aの平面形状が、上記左右の前部ピラー2L,2Rよりも前側へ台形状に突出した部分を有する略六角形状となる。
図3における3L,3Rは後部ピラーであり、該後部ピラー3L,3Rを、運転室1Aの後端部よりも該運転室1Aの前後方向の中央寄り位置に設けた構成としてある。(たとえば、特許文献2参照)。
【0006】
ところで、高性能林業機械の一種であるフォワーダは、運転室の後部側に作業機としてのグラップルを備えた構成としてあり、該グラップルを操作することにより、車両後部に設けた荷台(デッキ)への木材の積み降ろしを行うようにしてある。
【0007】
上記フォワーダのように、運転室の後部側に作業機を備えた作業車両や、建設機械では、運転室内に、前後方向に旋回可能なシート、又は、後向きのシートを設けて、作業機による作業を行うときに、オペレータが運転室内で後向きに着座できるようにした形式とすることがある。
【0008】
又、上記フォワーダは、森林内を走行することがあり、又、上記グラップルを使用した作業も森林内で行う場合があるため、運転室の前方及び後方の上方視界が重要になる。
【0009】
よって、上記フォワーダのように、運転室の前方及び後方の上部視界が求められる作業車両や建設機械では、運転室の天井部の前寄りと後寄りの部分に天窓を最大限、大きく設けることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−43412号公報
【特許文献2】特開2008−56139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、上記
図3に示した平面形状が矩形よりも多角の形状としてある運転室1Aのように、左右の前部ピラー2L,2Rと、左右の後部ピラー3L,3Rが、運転室1Aの前端部や後端部よりも前後方向の中央寄りに位置している形式では、
図2に示されたものと同様に、上記左右の前部ピラー2Lと2Rの上端部同士、及び、左右の後部ピラー3Lと3Rの上端部同士を、左右方向に延びる前部と後部の梁部材5と6を介して効率よく連結する構成を採用しようとすると、
図4に示す如く、左右方向に延びて上記左右の前部ピラー2Lと2Rの上端部同士を連結する前部梁部材5と、左右方向に延びて上記左右の後部ピラー3Lと3Rの上端部同士を連結する後部梁部材6が、運転室1Aの天井部の前端部(前端縁)や後端部(後端縁)よりも前後方向の中央寄りの部分に配置されるようになる。なお、
図4では図示する便宜上、上記梁部材5,6の上側に取り付けて運転室1Aの天井を構成するための天井パネルの記載は省略してある(後述する
図1も同様)。
【0012】
そのため、上記運転室1Aの前方の上方視界や後方の上方視界を確保するために、
図4に二点鎖線で示すように、該運転室1Aの天井部の前部寄り部分や、後部寄り部分に天窓10,11を設けようとすると、上記前部梁部材5や後部梁部材6との干渉が生じてしまう。
【0013】
上記のような前部と後部の各梁部材5,6と、運転室1Aの天井部の前部寄り部分や、後部寄り部分に設ける天窓10,11との干渉を防止するための手段としては、上記前部梁部材5及び後部梁部材6を、
図4に実線で示した上記前部ピラー2L,2Rや後部ピラー3L,3Rの上端部と対応する位置から、
図4に一点鎖線で示すように、
図4に二点鎖線で示した運転室1Aの天井部の前部寄り部分や後部寄り部分に設ける天窓10,11と干渉が生じなくなる位置まで運転室1Aの前後方向中央寄りにオフセットさせて配置し、この状態で、上記前部ピラー2L,2Rや後部ピラー3L,3Rに対しオフセットさせた上記前部梁部材5と後部梁部材6の両端部を、それぞれ上記運転室1Aの天井部の左右両側位置でそれぞれ前部と後部のピラー2Lと3L,2Rと3Rの上端部同士を連結している左右の各サイドメンバー4L,4Rの対応する個所に連結するようにすることが考えられる。
【0014】
しかし、上記のように前部と後部の梁部材5,6を、前部ピラー2L,2Rや後部ピラー3L,3Rの上端部に対してオフセット配置させた場合は、横荷重を負荷した場合に、ねじれが発生し、変形が大きくなり易いため、転倒時保護構造のような目標品質を満足させることが難しく、又、左右の良好な荷重分散を図ることが難しいというのが実状である。
【0015】
したがって、変形を防止して目標品質を満足させるためには、上記前部ピラー2L,2Rや後部ピラー3L,3Rと、左右の各サイドメンバー4L,4Rとの連結部分、及び、上記左右の各サイドメンバー4L,4Rと、前部と後部の各梁部材5,6との連結部分に、図示しないガセットを継ぎ手として追加して補強する必要が生じるため、コストアップに繋がると共に、構造が複雑化してしまう。
【0016】
そこで、本発明は、作業車両や建設機械における平面形状が矩形よりも多角の形状としてあって、左右の前部ピラーや、左右の後部ピラーが、運転室の前端部や後端部よりも前後方向の中央寄りに設けてある形式の運転室にて、上記左右の前部ピラーと左右の後部ピラーの上端部同士を梁部材で連結して良好な荷重分散を図ることができるようにすると共に、梁部材の干渉を防止した状態で、該運転室の天井部における前部寄り部分と後部寄り部分に天窓を設けることができるようにするための運転室の補強構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、
前向き及び後向きに着座することができる運転室の左右の前部ピラーと、左右の後部ピラーが、該運転室の前端部と後端部よりも前後方向の中央寄りに位置していると共に、
前向きに着座する際に運転席から前方の上部視界を確保するため、及び後向きに着座する際に運転席から後方の上部視界を確保するために運転室の天井部の前部寄り部分や後部寄り部分に天窓を形成している形式の
作業車両や建設機械の運転室における左右の同じ側の前部と後部のピラーの上端部同士を、運転室の天井部の左右両側位置に沿って前後方向に延びる左右のサイドメンバーを介してそれぞれ連結し、更に、平面形状をX字状としてなるX字梁を、上記
運転席から前方及び後方の上部視界を確保するため天井部の前部寄り部分の天窓及び後部寄り部分の天窓と干渉しない位置に配置すると共に、上記左右の各前部ピラー及び上記左右の各後部ピラーの対角に位置するもの同士の慣性主軸を結ぶように配置して、該X字梁の4つの端部を、上記左右の各前部ピラーの上端部及び上記左右の各後部ピラーの上端部に連結した構成とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の運転室の補強構造によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)
前向き及び後向きに着座することができる運転室の左右の前部ピラーと、左右の後部ピラーが、該運転室の前端部と後端部よりも前後方向の中央寄りに位置していると共に、
前向きに着座する際に運転席から前方の上部視界を確保するため、及び後向きに着座する際に運転席から後方の上部視界を確保するために運転室の天井部の前部寄り部分や後部寄り部分に天窓を形成している形式の
作業車両や建設機械の運転室における左右の同じ側の前部と後部のピラーの上端部同士を、運転室の天井部の左右両側位置に沿って前後方向に延びる左右のサイドメンバーを介してそれぞれ連結し、更に、平面形状をX字状としてなるX字梁を、上記
運転席から前方及び後方の上部視界を確保するため天井部の前部寄り部分の天窓及び後部寄り部分の天窓と干渉しない位置に配置すると共に、上記左右の各前部ピラー及び上記左右の各後部ピラーの対角に位置するもの同士の慣性主軸を結ぶように配置して、該X字梁の4つの端部を、上記左右の各前部ピラーの上端部及び上記左右の各後部ピラーの上端部に連結した構成としてあるので、
前向き及び後向きに着座することができる作業車両や建設機械の運転室の前端部と後端部よりも前後方向の中央寄りに位置している左右の前部ピラーと、左右の後部ピラーの上端部同士を、X字梁により一体に連結することができる。このため、左右いずれか一方の前部と後部のピラーに負荷される横荷重を、上記X字梁のみを介して左右いずれか他方の前部と後部のピラーへ直接伝えることができる。よって、ねじれによる変形を抑制することができると共に、左右の良好な荷重分散を図ることができる。
(2)前部と後部の各ピラー、及び、左右のサイドメンバーの構造は、従来のものと特に変更を加える必要はないため、本発明の
作業車両や建設機械の運転室の補強構造を備えた運転室では、転倒時側方荷重、後方荷重、上方荷重に対して効率的な荷重分散を図ることが可能になる。したがって、転倒時保護構造のような目標品質を満足させるのに有利な構成とすることができる。更には、上記運転室では、平面形状をX字状としてある上記X字梁の交差部分が、天井部の中央付近に配置されるようになるため、上記運転室について、天井部の中央付近の強度を高めることができて、落下物保護構造の目標品質を満足させるのに有利な構成とする効果も期待できる。
(3)上記X字梁の各端部は、上記各前部ピラーと各後部ピラーの上端部に連結することができるため、継手部の強度部材となるガセットを効率的に配置することができる。又、その数を抑制することができて、コストの低減化を図ることができる。
(4)上記X字梁は、その前側と後側に、隣接する部材同士の間に挟まれた空間を備えているため、この空間を利用することで、運転室の天井部における前部寄り部分と後部寄り部分の限られたスペースに、上記X字梁と干渉することなく大きな天窓を設けることができる。
(5)よって、運転室の前方及び後方の上部視界が求められる作業車両や建設機械の運転室の天井部の前寄りの部分と後寄りの部分に天窓を設ける場合に適したものとすることができる。
(6)
更に、X字梁を、左右の各前部ピラー及び左右の各後部ピラーの対角に位置するもの同士の慣性主軸を結ぶように配置するようにした構成と
してあるので、左右いずれか一方の前部と後部のピラーと、左右いずれか他方の前部と後部のピラーとの間での上記X字梁を介した荷重の伝達を、より良好に且つより確実に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の運転室の補強構造の実施の一形態を示す概略平面図である。
【
図2】従来提案されている平面形状が略矩形の運転室における補強構造を示す概略斜視図である。
【
図3】従来提案されている平面形状を矩形よりも多角な形状としてある形式の運転室の例を示す概略斜視図である。
【
図4】平面形状を矩形よりも多角な形状としてある形式の運転室に補強構造を備える場合の前部と後部の梁部材の配置を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0022】
図1は本発明の運転室の補強構造の実施の一形態として、矩形よりも多角の平面形状としての略八角形状の平面形状を有する運転室1Bに適用する場合の例を示すもので、以下のようにしてある。
【0023】
すなわち、上記運転室1Bは、その平面形状を、左右の前部ピラー2L,2Rよりも前側へ台形状に突出した部分と、左右の後部ピラー3L,3Rよりも後側へ台形状に突出した部分を備えた略八角形状としてある。
【0024】
左右で対応する側の前部と後部のピラー2Lと3L,2Rと3Rの上端部同士は、運転室1の天井部の左右両側位置に沿って前後方向に延びる左サイドメンバー4L、及び、右サイドメンバー4Rを介してそれぞれ連結する。
【0025】
更に、平面形状をX字状としたX字梁12を形成して、該X字梁12の4つの端部を、上記左右の各前部ピラー2L,2Rの上端部及び各後部ピラー3L,3Rの上端部に連結する。
【0026】
詳述すると、上記X字梁12は、左右いずれか一方の前部ピラー2L又は2Rと、左右いずれか他方の後部ピラー3R又は3Lを繋ぐ長さ寸法を備えた長尺の梁部材12aの長手方向中間部に、該梁部材12aの長さ寸法の約半分の長さ寸法としてある短い梁部材12b,12cを、同一平面内で一体に連結した構成としてある。
【0027】
更に、上記X字梁12は、上記左右の各前部ピラー2L,2R及び各後部ピラー3L,3Rの対角に位置するもの同士の慣性主軸を結ぶように配置して、該各ピラー2L,2R,3L,3Rの上端部に連結してあるものとする。
【0028】
13は上記X字梁12の上側に取り付ける図示しない天井パネルの前端部分を取り付けて支持させるために左右の前部ピラー2L,2Rよりも前側に取り付けた平面視台形状の補助メンバー、14は上記図示しない天井パネルの後端部分を取り付けて支持させるために左右の後部ピラー3L,3Rよりも後側に取り付けた平面視略台形状の補助メンバーである。
【0029】
その他、
図4に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
【0030】
以上の構成としてある本発明の運転室の補強構造によれば、上記平面形状を略八角形状としてある運転室1Bにおける左右の各前部ピラー2L,2Rと各後部ピラー3L,3Rの上端部同士を、上記X字梁12により一体に連結することができ、左右いずれか一方より横荷重を負荷した場合に、左右いずれか一方の前部と後部のピラー2Lと3L又は2Rと3Rに作用する荷重を、上記X字梁12のみを介して左右いずれか他方の前部と後部のピラー2Rと3R又は2Lと3Lへ直接伝えることができる。
【0031】
よって、ねじれによる変形を抑制することができると共に、左右の良好な荷重分散を図ることができる。
【0032】
しかも、前部と後部の各ピラー2L,2Rと3L,3R、及び、左右のサイドメンバー4L,4Rの構造には特に変更を加える必要はないため、本発明の運転室の補強構造を備えた運転室1Bによれば、転倒時側方荷重、後方荷重、上方荷重に対して効率的な荷重分散を図ることが可能になる。したがって、転倒時保護構造のような目標品質を満足させるのに有利な構成とすることができる。更に、上記運転室1Bでは、平面形状をX字状としてある上記X字梁12における交差部分が、該運転室1Bの天井部の中央付近に配置されるようになることから、上記運転室1Bについて、天井部の中央付近の強度を高めることができ、よって、落下物保護構造(Falling-Object Protective Structures:FOPS)の目標品質を満足させるのに有利な構成とする効果も期待できる。
【0033】
又、上記X字梁12の各端部は、上記前部ピラー2L,2Rと、後部ピラー3L,3Rの上端部に連結することができるため、継手部の強度部材となるガセットを効率的に配置することができるため、その数を抑制することができて、コストの低減化を図ることができる。
【0034】
しかも、上記X字梁12は、その前側と後側に、隣接する梁部材12aと12b又は12aと12c同士の間に挟まれた空間を備えているため、
図1に示すように、該各空間を利用することで、運転室1Bの天井部における前部寄り部分と後部寄り部分の限られたスペースに、上記X字梁12と干渉することなく大きな天窓10,11を設けることができる。
【0035】
よって、上記運転室の前方及び後方の上部視界が求められる作業車両や建設機械の運転室の天井部の前寄りの部分と後寄りの部分に天窓を設ける場合に適したものとすることができる。
【0036】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、前部ピラー2L,2Rと、後部ピラー3L,3Rが、運転室1Bの前端部や後端部よりも前後方向の中央寄りに位置している形式の作業車両や建設機械の運転室であれば、
図1に示した如き平面形状が八角形状以外の運転室に適用してもよい。
【0037】
更には、前部ピラー2L,2Rと、後部ピラー3L,3Rの一方のみが、運転室1Bの前端部や後端部よりも前後方向の中央寄りに位置している形式の作業車両や建設機械の運転室に適用してもよい。
【0038】
天窓10,11は、上記X字梁12と干渉が生じないようにしてあれば、図示した以外のいかなる形状を採用してもよい。
【0039】
上記運転室1Bの天井部における前部寄り部分と後部寄り部分のいずれか一方にのみ天窓10又は11を設ける場合に適用してもよい。
【0040】
フォワーダ以外のいかなる種類の作業車両、建設機械の運転室に適用してもよい。
【0041】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0042】
1B 運転室
2L,2R 前部ピラー
3L,3R 後部ピラー
4L 左サイドメンバー
4R 右サイドメンバー
12 X字梁