特許第5656469号(P5656469)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジクラの特許一覧

<>
  • 特許5656469-ガラス母材の製造装置および製造方法 図000002
  • 特許5656469-ガラス母材の製造装置および製造方法 図000003
  • 特許5656469-ガラス母材の製造装置および製造方法 図000004
  • 特許5656469-ガラス母材の製造装置および製造方法 図000005
  • 特許5656469-ガラス母材の製造装置および製造方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5656469
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】ガラス母材の製造装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 37/018 20060101AFI20141225BHJP
【FI】
   C03B37/018 B
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2010-142837(P2010-142837)
(22)【出願日】2010年6月23日
(65)【公開番号】特開2012-6779(P2012-6779A)
(43)【公開日】2012年1月12日
【審査請求日】2012年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(72)【発明者】
【氏名】北村 隆之
【審査官】 山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−537210(JP,A)
【文献】 特表2007−504080(JP,A)
【文献】 特表2002−528379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 37/00−37/16
C03B 8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素を含む乾燥ガスが導入される一端と、第一熱源により加熱されるアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物が載置されるリザーバ部とを有するダミー管部と、
前記ダミー管部の他端に設けられ、前記ダミー管部から流入してきた前記アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物の微粒子が、トラバースさせる第二熱源により、加熱されて、それらの酸化物が内壁に堆積されると共に内部に拡散されるガラス管部と、
を備えたガラス母材の製造装置であって、
前記ダミー管部は、前記リザーバ部と前記他端の間に、前記第一熱源の加熱により発生した前記アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物の蒸気が、流通する前記乾燥ガスにより融点以下に冷却され、凝結し、前記微粒子となる冷却部を有することを特徴とするガラス母材の製造装置。
【請求項2】
前記微粒子の粒径は、100μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のガラス母材の製造装置。
【請求項3】
前記ガラス管部は、前記ダミー管部の他端に接続部材を介して設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガラス母材の製造装置。
【請求項4】
前記ガラス管は、その内面にある比屈折率を有するクラッド層と、該クラッド層に接しかつ内周側に、該クラッド層よりも高い比屈折率を有するコア層が形成されたものである、請求項1に記載のガラス母材の製造装置。
【請求項5】
ガラス母材の製造方法であって、
ダミー管部内のアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を、第一熱源により所定温度で加熱して蒸気化させる一方で、前記ダミー管部の一端から、酸素を含む乾燥ガスを流入させることにより、前記ダミー管部内において、前記アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物の蒸気を、前記乾燥ガスの移動に伴って融点以下に冷却して、凝結させ、微粒子化する工程と、
前記乾燥ガスの移動に伴って、前記ダミー管部の他端に接続されたガラス管部に搬送された前記アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物の微粒子を、トラバースさせる第二熱源により、加熱し、それらの酸化物を前記ガラス管部の内壁に堆積させると共に内部に拡散させる工程と、
を少なくとも順に含むことを特徴とするガラス母材の製造方法。
【請求項6】
前記微粒子の粒径は、100μm以下であることを特徴とする請求項に記載のガラス母材の製造方法。
【請求項7】
前記アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物は、ハロゲン化物であることを特徴とする請求項に記載のガラス母材の製造方法。
【請求項8】
前記ハロゲン化物は、塩化物および臭化物のいずれかであることを特徴とする請求項に記載のガラス母材の製造方法。
【請求項9】
前記塩化物は、塩化カリウムおよび塩化ナトリウムのいずれかであることを特徴とする請求項に記載のガラス母材の製造方法。
【請求項10】
前記臭化物は、臭化カリウムであることを特徴とする請求項に記載のガラス母材の製造方法。
【請求項11】
前記アルカリ金属化合物は、塩化カリウムであり、80℃乃至120℃で加熱した乾燥ガスを流入させ、前記所定温度は、前記塩化カリウムの融点より略100℃高いものであり、前記微粒子を、1100℃以上1850℃以下で加熱することを特徴とする請求項に記載のガラス母材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス母材の製造装置および製造方法に関し、低消費エネルギーで添加物濃度を精密に制御でき、特に低損失な光ファイバを製作するのに適したガラス母材の製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルカリ金属酸化物、あるいはアルカリ土類金属酸化物がドープされたシリカガラスを用いて作製した光ファイバは、伝送損失が低下することがこれまで多くの先人により示されてきたが、これを工業的に大量生産する技術は未完成である。既存の光ファイバの製造方法においては気相での加水分解反応、もしくは酸素による熱酸化反応を用いるため、例えば四塩化ケイ素(SiCl)、四塩化ゲルマニウム(GeCl)など、ガス状の原料を使用する必要がある。
【0003】
しかしながら、いわゆる硬いカチオンであるアルカリ金属イオン、あるいはアルカリ土類金属イオンは、非常に強いイオン結合を形成するため、それらの化合物(塩)は常温かつ常圧付近では固体となることがほとんどである。従って、ガスとなる化合物をほとんど形成しないため、光ファイバの製造には適用が困難だった。そのため、アルカリ金属酸化物、あるいはアルカリ土類金属酸化物がドープされた光ファイバを商用生産するためには、従来この分野で確立された方法とは異なる製造方法を開発しなければならない。
【0004】
このような課題に対して、これまで様々な取り組みがなされてきた。例えばアルカリ金属化合物、あるいはアルカリ土類金属化合物が易水溶性であることを利用して、アルカリ金属化合物の水溶液を霧状にして原料ガス中に混合して酸水素火炎に導入し、他の原料と同時に加水分解してガラスを形成する方法が試された(例えば、特許文献1および2参照)。また、特許文献3には、プラズマ化学気相成長法と同時にアルカリ金属化合物を水溶液としてオーバークラッドに噴霧する技術が開示されている。
【0005】
また、ある種のアルカリ金属塩と他の金属塩とを反応させて得られる複合塩は、元のアルカリ金属塩よりも蒸気圧が高くなることが知られており、この複合塩を原料として利用する試みもなされた(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
更に最近では、アルカリ金属、あるいはアルカリ土類金属ハロゲン化物を強加熱してアルカリ金属蒸気とし、光ファイバ前駆体ガラスをこれに曝してドープする方法が試された(例えば、特許文献5乃至7参照)。
【0007】
ところで、上述のアルカリ金属化合物、あるいはアルカリ土類金属化合物の水溶液を用いる方法は、本来光ファイバの製造においては損失増加の原因となる水分の混入を避けるべきである、という観点とは逆行する製造方法である。
【0008】
また、上述の蒸気圧の大きな複合塩を形成させて蒸気として導入する方法では、蒸気圧の上昇の程度が小さく効果は非常に限定的で、しかも本来光ファイバの機能に不必要な化学種を加えることになるため、伝送損失の上昇をもたらすことが懸念される。
更に、一方アルカリ金属化合物、あるいはアルカリ土類金属化合物を強加熱してアルカリ金属蒸気を得る方法は、その還元反応の反応機構が不明確であり、現実性に乏しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特公昭59−13453号公報
【特許文献2】特公昭59−14412号公報
【特許文献3】国際公開2009/034413号パンフレット
【特許文献4】特許第1787027号公報
【特許文献5】特表2007−516829号公報
【特許文献6】特表2007−513862号公報
【特許文献7】国際公開2006/068941号パンフレット
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】J. Schroeder, J. Non-Cryst., Solids, Vol.40, p.549 (1980)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて考案されたものであり、添加物濃度を精密に制御できるガラス母材の製造装置を提供することを第一の目的とする。
また、本発明は、添加物濃度が精密に制御されたガラス母材を低消費エネルギーで形成できるガラス母材の製造方法を提供することを第二の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載のガラス母材の製造装置は、酸素を含む乾燥ガスが導入される一端と、第一熱源により加熱されるアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物が載置されるリザーバ部とを有するダミー管部と、前記ダミー管部の他端に設けられ、前記ダミー管部から流入してきた前記アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物の微粒子が、トラバースさせる第二熱源により、加熱されて、それらの酸化物が内壁に堆積されると共に内部に拡散されるガラス管部と、を備えたガラス母材の製造装置であって、前記ダミー管部は、前記リザーバ部と前記他端の間に、前記第一熱源の加熱により発生した前記アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物の蒸気が、流通する前記乾燥ガスにより融点以下に冷却され、凝結し、前記微粒子となる冷却部を有することを特徴とする。
請求項に記載のガラス母材の製造装置は、請求項1において、前記微粒子の粒径は、100μm以下であることを特徴とする。
請求項に記載のガラス母材の製造装置は、請求項1において、前記ガラス管部は、前記ダミー管部の他端に接続部材を介して設けられていることを特徴とする。
請求項に記載のガラス母材の製造装置は、請求項1において、前記ガラス管は、その内面にある比屈折率を有するクラッド層と、該クラッド層に接しかつ内周側に、該クラッド層よりも高い比屈折率を有するコア層が形成されたものであることを特徴とする。
請求項に記載のガラス母材の製造方法は、ガラス母材の製造方法であって、ダミー管部内のアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を、所定温度で加熱して蒸気化させる一方で、前記ダミー管部の一端から、酸素を含む乾燥ガスを流入させることにより、前記ダミー管部内において、前記アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物の蒸気を、前記乾燥ガスの移動に伴って融点以下に冷却して、凝結させ、微粒子化する工程と、前記乾燥ガスの移動に伴って、前記ダミー管部の他端に接続されたガラス管部に前記アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物の微粒子を搬送する工程と、搬送された前記微粒子を、トラバースさせる熱源により、加熱し、それらの酸化物を前記ガラス管部の内壁に堆積させると共に内部に拡散させる工程と、を少なくとも順に含むことを特徴とする。
請求項に記載のガラス母材の製造方法は、請求項において、前記微粒子の粒径は、100μm以下であることを特徴とする。
請求項に記載のガラス母材の製造方法は、請求項において、前記アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物は、ハロゲン化物であることを特徴とする。
請求項に記載のガラス母材の製造方法は、請求項において、前記ハロゲン化物は、塩化物および臭化物のいずれかであることを特徴とする。
請求項に記載のガラス母材の製造方法は、請求項において、前記塩化物は、塩化カリウムおよび塩化ナトリウムのいずれかであることを特徴とする。
請求項1に記載のガラス母材の製造方法は、請求項において、前記臭化物は、臭化カリウムであることを特徴とする。
請求項1に記載のガラス母材の製造方法は、請求項において、前記アルカリ金属化合物は、塩化カリウムであり、80℃乃至120℃で加熱した乾燥ガスを流入させ、前記所定温度は、前記塩化カリウムの融点より略100℃高いものであり、前記微粒子を、1100℃以上1850℃以下で加熱することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載のガラス母材の製造装置においては、ダミー管部は、リザーバ部とダミー管部の他端の間に、第一熱源の加熱により発生したアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物の蒸気が、流通する乾燥ガスにより冷却され、凝結し、微粒子となる冷却部を有する。これにより、本発明の製造装置では、冷却部を通してリザーバ部からガラス管部へ向けて、微粒子化された原料が安定して供給される。ゆえに、本発明のガラス母材の製造装置は、添加物濃度が精密に制御されたガラス母材を製造することに寄与する。
請求項に記載のガラス母材の製造方法では、リザーバ部とダミー管部の他端の間に設けた冷却部において、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物の蒸気をそれらの微粒子に変換し、乾燥ガスと共にエアロゾルとして通過させ、ガラス管部へ送り届ける。
したがって、本発明によれば、添加物濃度が精密に制御された雰囲気下において、ガラス母材の安定した成長を促すことが可能なガラス母材の製造方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態によるガラス母材製造装置の構成を示す図。
図2】本発明の一実施形態によるガラス母材の製造方法を実行した場合の、放射温度計で測定した、複合ガラス管外表面の長手方向に沿った温度プロファイルを示す図。
図3】第二酸水素バーナをトラバースさせて加熱するガラス管部の外表面温度を変化させた場合の各実施例の結果を示す図。
図4】第二酸水素バーナのトラバース回数を変化させた場合の各実施例の結果を示す図。
図5】各種物質の融点および沸点を表として示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるガラス母材製造装置の構成を示す図である。同図に示すように、ガラス母材製造装置は、実質的に遷移金属などの不純物を含有しない純粋合成シリカ(SiO)ガラス製のガラス管部1(長さは例えば、800mm)、と、その両端に融着接続された第一および第二ダミー管部2、3(長さは例えば、500mm)とを備えている。なお、このようにガラス管部1と、第一および第二ダミー管部2、3とが一体となったものをこれ以降、「複合ガラス管」と称し、その両端部は、図示しない一般的な改良型化学気相成長(MCVD)ガラス形成用旋盤に取り付けられているものとする。なお、ガラス管部と、第一および第二ダミー管部は、接続部材を介して接続されていてもよく、当初から、一体として製造されたガラス管部の両端の部分を、便宜上、ダミー管部としてもよい。
【0016】
また、原料ガスを流通させる第一ダミー管部2の一部であって、ガラス管部1との接合部から所定距離(例えば、300mm)上流側を加熱して縮管し、所定幅(例えば、10mm)の第一窪み部21を形成し、第一窪み部21から所定間間隔(例えば、50mm)あけて、同様に、所定幅の第二窪み部22が設けられている。その結果、第一窪み部21と第二窪み部22の間の第一ダミー管部2の内部がリザーバ部23として画定されることとなる。このリザーバ部23に、所定量(例えば、3グラム)の例えば塩化カリウム(KCl)4(融点776℃)を固体のまま載置する。なお、前述のガラス管部1との接合部から第一窪み部21までの第一ダミー管部2の区間が、冷却部24となっている。また、第一ダミー管部2の上記接合部と反対側の端部からは、管の内部に乾燥酸素を流入させることができるようになっている。
【0017】
また、図示のガラス母材製造装置は、リザーバ部23を外部から加熱するための第一酸水素バーナ5と、ガラス管部1の全長に渡ってトラバースしながらガラス管部1の内部をその外部から加熱するための第二酸水素バーナ6とを備えている。
【0018】
図2は、本発明の一実施形態によるガラス母材の製造方法を実行した場合の、放射温度計で測定した、複合ガラス管外表面の長手方向に沿った温度プロファイルを示す図である。以下、図1および2を参照しながら、本発明の一実施形態によるガラス母材の製造方法を説明する。
【0019】
まず、複合ガラス管を回転させながら、第一ダミー管部2の前述の端部からその内部に、80℃〜120℃のある温度に加熱した乾燥酸素を所定の流速(例えば、1.65SLM(標準体積L/min))で流入させる一方、第一酸水素バーナ5を熱源として、リザーバ部23を略780℃で加熱し、塩化カリウム(KCl)4を溶融させる。塩化カリウム4を融解させたまま、加熱した乾燥酸素を所定の流速で更に10分以上流通させることで、塩化カリウム4を乾燥させる。
【0020】
次に、リザーバ部23を冷却し、実質的に塩化カリウムの蒸気が発生しないようにした後、通常のMCVD法により、ガラス管部1の内壁に、純粋シリカガラスを形成する。
【0021】
次に、80℃〜120℃のある温度に加熱した乾燥酸素を複合ガラス管内に所定の流速(例えば、1.65SLM)で流通させながら、再度、第一酸水素バーナ5により、リザーバ部23のガラス外表面を780℃〜950℃のある温度で加熱すると、リザーバ部23内の塩化カリウム4は溶融し、その一部は、加熱温度における蒸気圧に従って蒸気となる。融点以下の加熱では実質的に塩化カリウムの蒸気が発生しないため、融点以上までの加熱が必要である。なお、後述の実施例が示す通り、このときの加熱温度は、塩化カリウムの融点以上で、かつおよそ100℃程度高い温度範囲、すなわち780℃〜900℃が、より好適である。
【0022】
このように発生した塩化カリウム4の蒸気は、流通させているより低温の酸素により直ちに冷却されて凝結、微粒子状の固体となり、酸素ガスによりガラス管部1内にエアロゾルとして搬送される。図2の温度プロファイルは、リザーバ部23、冷却部24、およびガラス管部1の長さが、それぞれ、50mm、300mm、および800mmの場合を示しているが、同図に示すように、長さ300mm程度の冷却部24を設けていれば、100℃以下まで十分に冷却されることが分かる。但し、これは、十分な値であり、塩化カリウム4の融点以下まで冷却すれば、本発明の効果を得るに必要な粒子化現象は発生する。なお、このとき、室内光の散乱が観察されれば、およそ200nm以上の粒径の微粒子を含むことは明らかであるが、概ね100μm程度よりも大きな粗大粒子は、ガラス管部1まで到達せず、直ちに沈降してリザーバ部23の溶融塩化カリウム4に溶解するか、又は第一ダミー管部2の内壁に堆積する。
【0023】
塩化カリウム4の微粒子の搬送が定常状態となった後、熱源として第二酸水素バーナ6をガス流の上流側から下流側へ所定の速度(例えば、およそ100mm/min)でトラバースさせつつ、ガラス管部1の外表面を1100℃〜1850℃のある温度に加熱する。なお、後述の実施例が示す通り、1300℃〜1850℃に加熱することが、より好適である。図2は、1300℃に加熱する場合を示している。
【0024】
この段階において、塩化カリウム4の微粒子は気相中で酸素により熱酸化され、酸化カリウム (KO)としてガラス管部1の内壁に堆積されると同時にガラス管部1の内部に拡散するものと考えられる。
【0025】
なお、第二酸水素バーナ6のトラバースによる加熱は、1回とは限らず、後述のように、所望の濃度まで酸化カリウムがシリカガラスにドープされるよう、複数回行ってもよい。かかる第二酸水素バーナ6によるトラバース加熱の後、リザーバ部23の加熱をやめて冷却し、塩化カリウム蒸気の発生を停止する。
最後に、このようにして作製したガラス管部1を、従来の技法を用いて縮管し、中実のガラス棒にコラプスする。
【0026】
以上のように、本発明のガラス母材の製造装置および製造方法の一実施形態においては、第一酸水素バーナ5による加熱で発生した塩化カリウム4の高温の蒸気は、冷却部24の部分で、複合ガラス管内を流通させているより低温の酸素により直ちに冷却されて凝結し、微粒子状の固体となり、さらに酸素ガスによりガラス管部1内にエアロゾルとして搬送させている。
【0027】
このとき、塩化カリウム4に対する加熱温度を調整することにより、塩化カリウム4の蒸気の蒸気圧、すなわち発生量を制御でき、また、キャリアガス、すなわち酸素ガスの温度と流量および流速を調整することにより、凝集速度を制御できることから、エアロゾル中の塩化カリウム微粒子の濃度、粒径などは容易に制御可能である。ゆえに、エアロゾル中の微粒子の粒径等が事実上制御できるのであれば、しかして、ガラス管部1の内部への酸化カリウムの添加(ドープ)濃度を精密に制御できる。またこの方法によれば、水や水素原子を含む化合物を用いないため、合成するガラス内の水酸(OH)基の生成を抑制できることとなる。更に、強加熱によるカリウム金属蒸気の発生なしに酸化カリウムがドープされたシリカガラスを製造することが可能になり、より低消費エネルギーで光ファイバを製造することが可能となる。よって、かかる製造装置および製造方法により製造されたガラス母材を利用して光ファイバを作製すれば、低損失な光ファイバがより安価に作製できる。
【0028】
なお、以上の実施形態においては、化合物(塩)として塩化カリウムを採用し、添加物は酸化カリウムとしたが、これに限られることはない。すなわち、金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属や、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属が採用できる。また、化合物としては、ハロゲン化物(塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物)、硫化物、炭酸塩、炭酸水素塩などを採用できる。原料としていずれを採用するかの観点は、それらの融点、各温度における蒸気圧、蒸気の熱容量などの物質固有の物性により適宜選択される。エアロゾル中での微粒子の分散は、分子量よりもその微粒子が占める体積が決定的な影響を持つため、ここで挙げたような方法で生じる微粒子の粒径を精密に制御することがより重要である。
【0029】
なお、化合物として、水酸化物、水素化物、有機酸の塩なども使用することが可能である。これらの化合物は分子内に水素を含んでおり、ガラス内のOH基生成の原因となる可能性があるため、必ずしも好適ではないが、追加の脱水工程を加えることで同様の効果が期待できる。
また、上述の実施形態においては、乾燥酸素を流入させたが、純粋な酸素である必要はなく、酸素を含む乾燥した気体であればよい。
また、上述の実施形態においては、一般的なMCVD法を採用して、二つの加熱手段として共に酸水素バーナを用いているが、加熱の手段として酸水素バーナによる火炎を用いる代わりに電気炉、プラズマ加熱などの加熱手段に変更しても、あるいはこれらを組み合わせて用いてもよい。
【0030】
このようにして作製したアルカリ金属酸化物、もしくはアルカリ土類金属酸化物添加シリカガラスは、前述のように、光ファイバにすることで低損失となることが期待される。このガラス母材を光ファイバとするためには、従来の一般的な方法、例えば、複合ガラス管内にSiClを含む原料ガスを流通し、ガラス管1の部分を所望の温度で熱源をトラバースしつつ加熱して二酸化ケイ素(SiO)を堆積させ、次いでSiClに加えてGeClを含む原料ガスを流通し、ガラス管1の部分を所望の温度で熱源をトラバースしつつ加熱して二酸化ゲルマニウム(GeO)が添加されたSiOを、先に堆積したSiOの内側に接して堆積して、あるいは、複合管ガラス管内にSiClに加えて四フッ化ケイ素(SiF)を含む原料ガスを流通し、ガラス管1の部分を所望の温度で熱源をトラバースしつつ加熱してフッ素が添加されたSiOを堆積させ、次いでSiClを含む原料ガスを流通し、ガラス管1の部分を所望の温度で熱源をトラバースしつつ加熱してSiOを、先に堆積したフッ素が添加されたSiOの内側に接して堆積して、後に光ファイバとしたときにそれぞれクラッドとコアの機能を発揮するに適切な比屈折率分布を有するガラス管1をあらかじめ用意する。これに本願で開示した製造装置、あるいは製造方法にてアルカリ金属酸化物、もしくはアルカリ土類金属酸化物を添加すればよい。
【0031】
このようにして作製したアルカリ金属酸化物、もしくはアルカリ土類金属酸化物添加シリカガラスは、従来の一般的な方法、例えば、外付け法、ロッドインシリンダ(RIC)法などを適用して、外形が所望のコア/クラッド比となるように、更に外周部にガラスを付け加えることもできる。あるいは従来の一般的な方法、例えば、機械的な切削、研磨、フッ酸による溶解などを適用して、外形が所望のコア/クラッド比となるように、外周部のガラスを削り取ることもできる。次いで従来の方法により所望の太さに延伸し、更に従来の方法により紡糸を行えばよい。これらの方法は当業者が自由に選択することができる。
以下、各種の具体値によるいくつかの実施例を示す。
【0032】
(実施例1)
ガラス管部1として、1ppm未満の水酸基を含有し、かつ鉄イオンが0.005ppm未満、アルミニウムイオンが0.05ppm未満であって、外径32mm、肉厚2.5mm、長さ800mmの純粋合成シリカガラス製のガラス管(信越石英製、Suprasil-F300) を採用した。また、第一および第二ダミー管部2、3として、長さおよそ500mmで、ガラス管部1と同じ外径、肉厚の純粋合成シリカガラス製のダミー管を採用した。
【0033】
また、第一窪み部21は、ガラス管部1との接合部から略300mm上流側に、略10mm幅で設けられており、第二窪み部22は、第一窪み部21から略50mm上流側に、略10mm幅で設けた。また、リザーバ部23に置かれる塩化カリウム4は、トリケミカル製で、純度99.999%以上であり、量は、およそ3グラムとした。
【0034】
乾燥酸素の加熱温度は、100℃とし、その流速を1.65SLM(標準体積L/min)とした。また、第一酸水素バーナ5により塩化カリウム4を一旦蒸気化するための温度を、およそ850℃〜900℃(融点より100℃程度高い)とした。
【0035】
また、第二酸水素バーナ6をトラバースさせて、回転させつつ加熱するガラス管部1の外表面温度を1300℃とし、そのトラバース速度を、およそ100mm/minとした。更に、トラバースを3回行って酸化カリウムをドープした。
【0036】
(実施例2)
第二酸水素バーナ6をトラバースさせて加熱するガラス管部1の外表面温度を1500℃として行った以外は、実施例1と同様に行った。
【0037】
(実施例3)
第二酸水素バーナ6をトラバースさせて加熱するガラス管部1の外表面温度を1700℃として行った以外は、実施例1と同様に行った。
【0038】
(実施例4)
第二酸水素バーナ6をトラバースさせて加熱するガラス管部1の外表面温度を1850℃として行った以外は、実施例1と同様に行った。
【0039】
(比較例1)
一方、上記実施例1乃至4に対する比較例として、第二酸水素バーナ6をトラバースさせて加熱するガラス管部1の外表面温度を1000℃としても行った。このとき、ガラス管部1の内壁には結晶状の微粒子が堆積したが、これは塩化カリウムの微結晶であったことから、塩化カリウムはほとんど酸化カリウムに酸化されていないことが考えられた。実施例1と同様にリザーバ部23を冷却し、その後ガラス管部1内に堆積した未反応の塩化カリウムを除去するため、ガラス管部1を第二酸水素バーナ6で1000℃に加熱し、トラバースを1回行った。このようにして作製したガラス管部1を、同様に縮管、コラプスを行い、中実のガラス棒とした。
【0040】
(比較例2)
実施例1に用いたガラス複合管にリザーバ部23を設けず、塩化カリウムの添加も行わずに、その他の工程を経てガラス棒を作製した。
【0041】
以上のように作製したガラス棒の比屈折率分布を、プリフォームアナライザにより測定した。比較例2で作製したガラス棒の中心部の純粋シリカの比屈折率に対する、実施例1乃至4および比較例1で作製したガラス棒の中心部の比屈折率変化の割合を、ガラス管部1の加熱温度の関数としてプロットしたところ図3のグラフを得た。
【0042】
ところで、一般に、シリカガラスへの添加物濃度が低濃度の場合、その比屈折率変化は添加物濃度に比例することが知られている。酸化カリウムの添加による屈折率変化の比例定数は、非特許文献1によると+1.8×10−3[Δ/mol%]と報告されており、これを用いて換算した酸化カリウムの添加濃度を右軸に示してある。
【0043】
図3に示すように、温度の逆数に対して比屈折率変化の割合をプロットすると、ガラス管部1の加熱温度1300℃以上の範囲でよい直線性が得られた。加熱温度1000℃の場合、比屈折率変化の割合の値は0(ゼロ)とはならなかった。図3に補助線で示したように、加熱温度1100℃以上の範囲では、加熱温度から、比屈折率、ひいては酸化カリウムのガラスへの添加濃度を正確に予測できることが分かる。また、加熱温度1100℃以下では、塩化カリウムの酸化カリウムへの気相での酸化反応が進行していないと思われるが、ガラス表面に未反応のまま堆積した塩化カリウムの一部がガラス中に拡散して取り込まれたために比屈折率変化として現れたと思われる。
【0044】
(実施例5)
リザーバ部23の加熱温度を900〜950℃程度(融点より100℃以上高い)で行った以外は、実施例2と同様に1500℃でガラス管部1をトラバースしながら加熱した。このとき、複合ガラス管内で室内光の散乱が観察されたことから、およそ200nm以上の粒径の微粒子を含むことは明らかだが、堆積後のガラス管部1の内壁には実施例1乃至4で観測されなかった1mm以下、それらの多くは10〜100μm程度の粒状に堆積した様態が確認されたことから、粒径のより大きな塩化カリウム微粒子が搬送されたものと思われる。なお、この実施例では、トラバースを3回行った後、従来の技法を用いて中実のガラス棒にコラプスした。
【0045】
コラプス工程における加熱により、粒状堆積物の多くは消失したが、一部は結晶様の欠陥としてガラス内に残った。すなわちこの粒状堆積物は、リザーバ部23の加熱温度が高く、発生した塩化カリウム蒸気の濃度が高かったために生成された粗大な塩化カリウム微粒子が、加熱されたガラス管部1に搬送されたため、表面だけが酸化され内部が未反応の、酸化カリウムで覆われた塩化カリウム粗大粒子となり、これがガラス管部1の内壁に堆積して生じたものと推察できる。ガラス管部1の内壁に堆積した比較的小さな粒径の塩化カリウム粒子は、コラプス工程の加熱によりガラス中を拡散しつつ酸化されて酸化カリウムとなるが、粒径の大きな塩化カリウム粒子がそのまま結晶として残存したと推察される。
【0046】
次に、第二酸水素バーナ6のトラバース回数を重ねることで、任意の濃度まで酸化カリウムを添加することが可能と思われることから、以下の実施例を行った。
(実施例6)
リザーバ部23の加熱温度を780〜850℃程度(融点より100℃以下程度高い)で行った以外は、実施例1と同様に1300℃でガラス管部1をトラバースしながら加熱した。トラバース回数を3、7、10回と変化させて行った後、従来の技法を用いて中実のガラス棒にコラプスした。
以上のように作製したガラス棒の比屈折率分布を、プリフォームアナライザにより測定した。比較例2で作製したガラス棒の中心部の純粋シリカの比屈折率に対する、実施例6で作製したガラス棒の中心部の比屈折率変化の割合を、トラバース回数の関数としてプロットしたところ図4のグラフを得た。
【0047】
上述の実施例1乃至4および比較例1では、トラバース回数を3回としてガラス管部1の加熱温度を変えてガラスを作製したが、本実施例では加熱温度を1300℃に固定し、トラバース回数を変えてガラスを作製した。また、リザーバ部23の温度を下げ、発生させる塩化カリウム微粒子の濃度を低下させて行ったため、複合ガラス管内を流通するガスに光の散乱はほとんど認められず、塩化カリウムは概ね100nm以下の粒径の微粒子として搬送されていると考えられる。一般的にエアロゾル中では、粒径が小さくなることで分散性が向上することから、より粒径の小さな塩化カリウム微粒子が搬送されることで空間的により均一な塩化カリウムの分布が期待され、結果的により均一な酸化カリウムの添加が期待できる。また、粒径が小さくなることで粒子の比表面積が増加するので、酸素による気相熱酸化反応が効率よく進行することが期待されるため、微粒子の粒径が小さいことに科学的な制限はない。しかし、粒径の小さな微粒子を得るためには蒸気の濃度を低下せざるを得ず、酸化物の添加速度、すなわち作製速度の面で劣る可能性がある。実際に実施例6のトラバース回数が3回の場合の酸化カリウムの添加量は、ガラス管部1の加熱温度が同じでリザーバ部23の加熱温度が高い実施例1の場合から半減している。しかし、添加濃度を精密に制御しなければならない光ファイバの設計においては、トラバースごとに微量の酸化カリウムを添加できるため、リザーバ部23の加熱温度が低く、少量の酸化カリウムしか添加できないことが逆に優位な点ともなる。
【0048】
当業者であれば、トラバース回数に比例して酸化カリウムの添加濃度を制御できると容易に想像できるとおり、図4の直線関係が得られた。また、リザーバ部23の加熱温度は、粒径に影響する一方で、無論、微粒子濃度にも影響するので、より高い温度、例えば900℃前後で行えば、トラバース回数の増加に応じて、図4の直線より傾きの大きな直線となることが容易に予想できる。しかし、その切片は0(ゼロ)とはならなかった。またこのときの切片は、図3に補助線で示したとおり、上述の実施例1乃至4および比較例1における比屈折率変化の割合の最低値にほぼ等しい。この事実は、加熱温度1100℃以下では、塩化カリウムの酸化カリウムへの気相熱酸化反応が進行していないとした先の比較例1における考察と矛盾しない。すなわち1100℃以下の加熱では、塩化カリウムは気相で酸化されずにガラス管1の内壁の面積に比例して堆積、吸着し、一定量の塩化カリウムが、後のコラプス工程での加熱により酸化カリウムへと酸化されつつガラス中に拡散して比屈折率の変化を与えるのに対して、1300℃以上の加熱では気相中で塩化カリウム微粒子が酸化カリウムに酸化され、一般的なMCVD法における熱酸化分解と酸化物の堆積の機構にほぼ則って反応が進行していると思われる。
【0049】
(実施例7)
ガラス管部1内に流通する乾燥酸素の温度を80℃にし、リザーバ部23の温度を780〜850℃程度(融点より100℃以下程度高い)で行った以外は、実施例1と同様に行った。
【0050】
(実施例8)
ガラス管部1内に流通する乾燥酸素の温度を120℃にした以外は、実施例7と同様に行った。
リザーバ部23の温度を下げ、かつ加熱して発生させた塩化カリウム蒸気の冷却を行う乾燥酸素の温度を変化させて実験を行ったところ、実施例6と同様に複合ガラス管内を流通するガスに光の散乱はほとんど認められず、塩化カリウムは、概ね100nm以下の粒径の微粒子として搬送されていると考えられる。また、酸化カリウムがドープされたガラスの比屈折率変化は、図3に示したプロットのばらつきの範囲内で実施例6のトラバース回数3回の場合の結果と一致した。第一酸水素バーナ5による加熱で生成した塩化カリウム蒸気の温度に比べて十分に低い温度の乾燥酸素により冷却することで、粒径100nm以下の塩化カリウム微粒子が形成されているものと思われる。
【0051】
(実施例9)
塩化カリウムに代えて臭化カリウム(KBr)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。
【0052】
(実施例10)
塩化カリウムに代えて塩化ナトリウム(NaCl)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。
図5に示すように、臭化カリウムおよび塩化ナトリウムの融点は、塩化カリウムとほぼ同程度であり、化学的性質も似ているため、実施例1と同じ条件で行い、作製したガラス棒の比屈折率分布を、プリフォームアナライザにより測定した。比較例2で作製したガラス棒の中心部の純粋シリカの比屈折率に対する比屈折率変化の割合は、それぞれ0.012±0.003%、0.010±0.003%程度となり、非特許文献1に示されている酸化カリウム、酸化ナトリウムの添加による屈折率変化の比例定数、+1.8×10−3、+1.5×10−3[Δ/mol%]を用いて算出される酸化カリウム、酸化ナトリウムの添加濃度は、それぞれ0.009±0.003[mol%]、0.009±0.003[mol%]となり、いずれも塩化カリウムを用いて作製した実施例1の結果と同程度であった。
【0053】
上述した実施例や比較例では、純粋合成シリカからなるガラス管を用いてアルカリ金属酸化物を添加した棒状のガラスを製造するための製造装置、および製造方法について詳細に述べたが、ガラス管に代えて所望の比屈折率分布を持つガラス管を用いるならば、アルカリ金属酸化物を添加したコア母材が製造できるため、本発明は光ファイバ母材の製造方法に適用することが可能である。また、ガラス管に代えて所望の形状とされたガラス材を用いれば、種々のガラス製品、たとえばレンズや窓硝子などの製造にも利用できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の製造装置および製造方法は、特に低損失な光ファイバを製作するのに適したガラス母材の製造に適用できる。
【符号の説明】
【0055】
1 ガラス管部、2 第一ダミー管部、21 第一窪み部、22 第二窪み部、23 リザーバ部、24 冷却部、3 第二ダミー管部、4 塩化カリウム、5 第一酸水素バーナ、6 第二酸水素バーナ。
図1
図2
図3
図4
図5