特許第5656471号(P5656471)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5656471
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】部品供給装置及び部品供給方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20141225BHJP
【FI】
   B65G47/14 103
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-143308(P2010-143308)
(22)【出願日】2010年6月24日
(65)【公開番号】特開2012-6701(P2012-6701A)
(43)【公開日】2012年1月12日
【審査請求日】2013年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227537
【氏名又は名称】日特エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121234
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 利明
(72)【発明者】
【氏名】菊地 伸治
【審査官】 中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−095882(JP,A)
【文献】 特開平11−292253(JP,A)
【文献】 特開2009−035338(JP,A)
【文献】 特開平06−013552(JP,A)
【文献】 特開2001−031233(JP,A)
【文献】 特開平08−164368(JP,A)
【文献】 特開平09−124135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/14
B65G 47/90 − 47/91
H05K 13/02
B25J 1/00 − 21/02
B23P 19/00 − 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品(11)を収容して前記部品(11)を掻き上げるように回転する回転容器(12)と、
掻き上げられて落下する前記部品(11)を受け止める受け具(16)と、
前記受け具(16)を前記回転容器(12)の内部から前記回転容器(12)の外部に引き出す受け具移動手段(20)とを備えた部品供給装置であって、
前記受け具移動手段(20)が、
受け具(16)が先端に設けられた棒状のハンドル(17)と、
前記ハンドル(17)を長手方向に移動させる軸方向移動機構(21)と、
前記ハンドル(17)の基端を中心に前記ハンドル(17)を揺動させる揺動機構(22)と、
前記ハンドル(17)の長手方向に伸びる中心軸を中心に前記ハンドル(17)を回転させるハンドル回転機構(23)とを備えた
ことを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
受け具(16)に吸引孔(16d)が形成され、前記吸引孔(16d)を介してエアを吸引して前記受け具(16)が受け止めた部品(11)を前記受け具(16)に吸着させる吸引機を備えた請求項1記載の部品供給装置。
【請求項3】
受け具(16)に部品(11)が吸着したときに吸引器が吸引する吸引圧力の変動を検出する吸引圧センサ(26)と、前記吸引圧センサ(26)の検出出力により受け具移動手段(20)を制御するコントローラ(27)とを備え、
前記吸引圧センサ(26)が吸引圧力の変動を検出すると、前記コントローラ(27)は、前記受け具(16)を回転容器(12)の内部から前記回転容器(12)の外部に引き出すように前記受け具移動手段(20)を制御し、
前記吸引圧センサ(26)が吸引圧力の変動を検出しない間、前記コントローラ(27)は、前記受け具(16)に吸着されない前記部品(11)を前記受け具(16)から落下させるように前記受け具(16)をハンドル(17)の軸心を回転中心として回転させた後に復元させることを所定時間毎に繰り返すように前記受け具移動手段(20)を制御する請求項2記載の部品供給装置。
【請求項4】
コントローラ(27)は、吸引圧センサ(26)が吸引圧力の変動を検出して、部品(11)を受け止めた受け具(16)を回転容器(12)から引き出す以前に、前記受け具(16)をハンドル(17)の軸心を回転中心として回転させて前記受け具(16)に吸着させた前記部品(11)以外の部品(11)を前記受け具(16)から落下させて分離するように受け具移動手段(20)を制御する請求項3記載の部品供給装置。
【請求項5】
複数の部品(11)を収容した回転容器(12)を回転させて前記回転容器(12)の内部において前記部品(11)を掻き上げ、
掻き上げられて落下する前記部品(11)を受け具(16)により受け止め、
前記受け具(16)を前記回転容器(12)から引き出して前記受け具(16)とともに前記回転容器(12)の内部から引き出された前記部品(11)を供給する部品供給方法であって、
前記受け具(16)に吸引孔(16d)を形成し、前記吸引孔(16d)を介してエアを吸引し前記受け具(16)が受け止めた前記部品(11)を前記受け具(16)に吸着させ、
前記部品(11)を受け止めた前記受け具(16)を前記回転容器(12)から引き出す以前に前記受け具(16)を回転させて前記受け具(16)に吸着させた前記部品(11)以外の部品(11)を前記受け具(16)から落下させて分離する
ことを特徴とする部品供給方法。
【請求項6】
部品(11)が受け具(16)に吸着しない間、前記受け具(16)に吸着されない前記部品(11)を前記受け具(16)から落下させるように前記受け具(16)を回転させた後に復元させることを所定時間毎に繰り返す請求項5記載の部品供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の部品を収容した容器からその部品を引き出して供給する部品供給装置及び部品供給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、製品の組立工程において、その製品を構成する各種部品を、順次、組立ステーションに送り出す部品供給装置として、搬送路面を振動させるパーツフィーダが広く使用されている(例えば、特許文献1参照。)。このパーツフィーダでは、例えば、複数の部品を搬送路面上に配置し、その搬送路面を振動させることによりその部品を順次整列させて組立ステーションまで搬送するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−342912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、搬送路面を振動させるこの種のパーツフィーダでは、搬送路面と部品とが互いに接触してその摩擦により搬送されるため、例えば、搬送しようとする部品が1グラムに達しないような軽量部品である場合には、搬送路面と部品との間に生じる摩擦力が小さいため、搬送路面が振動してもその部品は浮遊するに留まり、振動により搬送しようとする方向にその部品が搬送され難いという不具合があった。即ち、搬送路面を振動させる従来のパーツフィーダでは、搬送対象が極軽量な部品である場合には、その部品の搬送不良が発生し、良好な部品供給が遂行されないという不具合がある。
【0005】
本発明の目的は、搬送対象が比較的軽量な部品であっても、良好な部品供給を遂行し得る部品供給装置及び部品供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における部品供給装置は、複数の部品を収容して部品を掻き上げるように回転する回転容器と、掻き上げられて落下する部品を受け止める受け具と、受け具を回転容器の内部から回転容器の外部に引き出す受け具移動手段とを備える。
【0007】
受け具移動手段が、受け具が先端に設けられた棒状のハンドルと、ハンドルを長手方向に移動させる軸方向移動機構と、ハンドルの基端を中心にハンドルを揺動させる揺動機構と、ハンドルの長手方向に伸びる中心軸を中心にハンドルを回転させるハンドル回転機構とを備えることが好ましく、受け具に吸引孔を形成し、吸引孔を介してエアを吸引して受け具が受け止めた部品を受け具に吸着させる吸引機を備えることもできる。
【0008】
受け具に部品が吸着したときに吸引器が吸引する吸引圧力の変動を検出する吸引圧センサと、吸引圧センサの検出出力により受け具移動手段を制御するコントローラとを備え、吸引圧センサが吸引圧力の変動を検出すると、コントローラは、受け具を回転容器の内部から回転容器の外部に引き出すように受け具移動手段を制御し、吸引圧センサが吸引圧力の変動を検出しない間、コントローラは、受け具に吸着されない部品を受け具から落下させるように受け具をハンドルの軸心を回転中心として回転させた後に復元させることを所定時間毎に繰り返すように受け具移動手段を制御することも好ましい。この場合、コントローラは、受け具を回転容器から引き出す以前に、受け具をハンドルの軸心を回転中心として回転させて受け具に吸着させた部品以外の部品を受け具から落下させて分離するように受け具移動手段を制御することもできる。
【0009】
本発明の部品供給方法は、複数の部品を収容した回転容器を回転させて回転容器の内部において部品を掻き上げ、掻き上げられて落下する部品を受け具により受け止め、受け具を回転容器から引き出して受け具とともに回転容器の内部から引き出された部品を供給する部品供給方法であって、受け具に吸引孔を形成し、吸引孔を介してエアを吸引し受け具が受け止めた部品を前記受け具に吸着させ、部品を受け止めた受け具を回転容器から引き出す以前に受け具を回転させて受け具に吸着させた部品以外の部品を受け具から落下させて分離することを特徴とする。
【0010】
品が受け具に吸着しない間、受け具に吸着されない部品を受け具から落下させるようにその受け具を回転させた後に復元させることを所定時間毎に繰り返すことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明における部品供給装置及び部品供給方法では、掻き上げられて落下する部品を受け具により受け止めるので、搬送対象が比較的軽量な部品であっても、確実にその部品を受け具により受け止めることができる。そして、その受け止められた部品を受け具とともに回転容器から引き出して次の工程にその部品を供給するので、良好な部品供給を遂行することができる。
【0012】
この場合、部品を受け具に吸着させれば、その受け具の移動時にその受け具から部品が離脱するような事態を回避することができ、部品を受け止めた受け具を回転容器から引き出す以前に受け具を反転させて受け具に吸着させた部品以外の部品を受け具から落下させて分離することにより、その吸着された部品以外の部品が回転容器から引き出される事態を回避することができる。そして、部品が受け具に吸着しない間、受け具の鉛直方向の上下を反転させた後に復元させることを所定時間毎に繰り返すことにより、受け具に落下したけれども受け具に吸着されない部品をその受け具から所定時間毎に落下させることができ、その後に受け具に落下する部品をその受け具に効率よく吸着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明実施形態における部品供給装置を示す正面図である。
図2】その部品供給装置の上面図である。
図3図2のA−A線断面図である。
図4】その受け具の構成を示す断面図である。
図5図4のB−B線断面図である。
図6】回転容器の回転により掻き上げられて落下する部品が受け具に受け止められる状態を示す図である。
図7】部品を受け止めた受け具が反転した状態を示す図6に対応する図である。
図8】部品が正規でない状態で受け止められた受け具を示す図6に対応する図である。
図9】部品が受け具に吸着される以前の吸引圧力と受け具の動きとの関係を示す図である。
図10】部品が受け具に吸着された場合の吸引圧力と受け具の動きとの関係を示す図9に対応する図である。
図11】本発明の別の受け具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1及び図2に、本発明における部品供給装置10を示す。各図において、互いに直交するX、Y及びZの3軸を設定し、X軸が略水平前後方向、Y軸が略水平横方向、Z軸が鉛直方向に延びるものとし、この部品供給装置10の構成について説明する。この部品供給装置10は、供給する部品11を比較的沢山収容してその複数の部品11を掻き上げるように回転する回転容器12を備える。この供給の対象である部品11は、例えば、1グラムに満たないような極めて軽量なものであり、この実施の形態における部品11は紙から成るリング状部材である場合を例示する。
【0016】
回転容器12は、複数の上記軽量な部品11を収容可能なものであり、この実施の形態では、アクリル等の透明樹脂からなる筒体12aの両側を同じく透明樹脂から成る円板12b,12cにより封止することにより作られたものが例示される。この部品供給装置10が設置される基台9には鉛直板13が設けられ、この鉛直板13の上部にはその容器12を回転させる容器用サーボモータ14がその回転軸14aをX軸方向に向けて水平になるように取付けられる。回転軸14aの先端には回転容器12における筒体12aの中心軸を回転軸14aの中心軸に合わせるように一方の円板12bの中央が固定され、容器用サーボモータ14が駆動してその回転軸14aが回転すると、回転容器12は筒体12aの水平な中心軸を回転中心として回転するように構成される。
【0017】
図2に示すように、回転容器12の筒体12aには、その周囲の一部に複数の部品11を容器12の内部に投入可能な投入孔12dが形成され、この投入孔12dを封止する蓋板12eが、その蓋板12eの一端に設けられた蝶番12fを介して筒体12aに開閉可能に取付けられる。また、この蓋板12eの他端には作業者が把持して蓋板12eを開閉させる作業用つまみ12gが設けられ、筒体12aに螺着する図示しない雄ねじがその作業用つまみ12gに連結される。そして、蓋板12eにより投入孔12dを封止し、その状態で作業用つまみ12gを回転させることにより雄ねじが筒体12aに螺着され、これにより蓋板12eの開放が禁止されるように構成される。
【0018】
また、図3に示すように、この回転容器12は回転することにより内部に収容された複数の部品11を掻き上げるものであり、筒体12aの内周には、部品11を掻き上げるための複数のフィン部材12hが設けられる。この実施の形態では8枚のフィン部材12hが放射状に設けられる場合を例示する。そして、回転容器12を構成する他方の円板12cには、その中央に、容器12内部の部品11をその内部から外部に取り出すための取出孔12jが形成され、この実施の形態では、比較的大きな丸孔から成る取出孔12jが形成される場合を示す。
【0019】
図1に戻って、この部品供給装置10は、回転容器12の回転により掻き上げられて落下する部品11を回転容器12の内部において受け止める受け具16を備える。この受け具16は、ハンドル17の先端に設けられる。この実施の形態におけるハンドル17は棒状物であって、その棒状物の長手方向に伸びる中心軸が容器用サーボモータ14における回転軸14aの中心軸と平行になるように設けられる。そして、この部品供給装置10は、ハンドル17を移動させてその先端に設けられた受け具16を回転容器12の内部から回転容器12の外部に引き出す受け具移動手段20を更に備える。
【0020】
図1及び図2に示すように、この実施の形態における受け具移動手段20は、上述したハンドル17と、そのハンドル17を長手方向に移動させる軸方向移動機構21と、ハンドル17の基端を中心にハンドル17を揺動させる揺動機構22と、ハンドル17の長手方向に伸びる中心軸を中心にハンドル17を回転させるハンドル回転機構23とを備える。図におけるハンドル回転機構23は回転用サーボモータであってその回転軸23aにハンドル17の基端が互いの軸心を一致させるように連結される。また、軸方向移動機構21は、圧縮エアの供給又は排出により本体21aに対してスライダ21bが往復移動する流体圧シリンダ21であって、そのスライダ21bにハンドル回転機構である回転用サーボモータ23が取付けられる。更に、揺動機構22は、圧縮エアの供給又は排出により鉛直軸を回転中心として回転するテーブル22aを備えたロータリテーブル装置であって、そのテーブル22aに流体圧シリンダ21の本体21aが固定される。
【0021】
そして、ハンドル回転機構である回転用サーボモータ23を駆動するとハンドル17がその軸心を回転中心として回転し、図6及び図7に示すように、その先端に設けられた受け具16を回転可能に構成される。また、軸方向移動機構である流体圧シリンダ21は、そのスライダ21bとともに回転用サーボモータ23を図1の一点鎖線矢印で示すように回転容器12に近づけることにより、取出孔12jを介してハンドル17の先端に設けられた受け具16を容器12の内部に進入させ、逆に、実線矢印で示すように、そのスライダ21bを回転用サーボモータ23とともに回転容器12から遠ざけることにより、受け具16を回転容器12の内部から回転容器12の外部に引き出すように構成される。更に、揺動機構であるロータリテーブル装置22は、圧縮エアの供給又は排出により流体圧シリンダ21及び回転用サーボモータ23の双方を水平面において回転させ、回転用サーボモータ23に基端が連結されたハンドル17を、図2の一点鎖線矢印及び実線矢印で示ように、揺動させるように構成される。
【0022】
図2の拡大図及び図4図6に示すように、棒状ハンドル17の先端に設けられた受け具16は落下する部品11を受け止めるものであって、リング状を成す部品11を受け止めるこの実施の形態における受け具16は、ハンドル17の先端に嵌入して固定される固定部16aと、その固定部16aからハンドル17に直交する方向に伸びて設けられそのリング状の部品11を載置可能な載置部16bと、部品11の厚さに相当する所定の間隔を空けてその載置部16bと平行に設けられた覆い部16cとを有する。固定部16aからの載置部16bの突出量に比較して固定部16aからの覆い部16cの突出量が短くなるように形成され、図6に示すように、覆い部16cの先端近傍を通過して落下する部品11が載置部16bに載置可能に構成される。そして、この受け具16における固定部16aには吸引孔16dが、その端部が載置部16bと覆い部16cの間に開口するように形成される。
【0023】
一方、ハンドル17の先端には取付用のボス17aが延長して設けられ、受け具16の固定部16aにはそのボス17aが進入可能であって、吸引孔16dに連通する取付孔16eが形成される。ハンドル17にはそのボス17aを貫通する延長孔17bが軸方向に伸びて形成され、ボス17aを取付孔16eに装着することにより受け具16がハンドル17の先端に固定される。なお、図面における符号17cは、ボス17aの周囲に設けられ、そのボス17aが挿入された取付孔16eとの密着性を確保するOリングであり、図面における符号16fは取付孔16eに挿入されたボス17aをその取付孔16eに固定する固定ねじ16fを示す。そして、図面における符号16gは固定部16aに形成された吸引孔16dの他端を封止する封止用ねじ16gを示す。
【0024】
また、ハンドル17の中間部分には延長孔17bに連通するカプラ18が設けられ、このカプラ18にはエアチューブ19の一端が連結される。エアチューブ19の他端には図示しない吸引器が連結され、この図示しない吸引器は、エアチューブ19、延長孔17b及び吸引孔16dを介してエアを吸引して受け具16が受け止めた部品11をその受け具16に吸着させるように構成される。
【0025】
図1に戻って、この部品供給装置10には、受け具16に部品11が吸着したときに吸引器が吸引する吸引圧力の変動を検出する吸引圧センサ26と、その吸引圧センサ26の検出出力により受け具移動手段20を制御するコントローラ27とを備える。即ち、吸引圧センサ26の検出出力はコントローラ27の制御入力に接続され、コントローラ27の制御出力は、容器用サーボモータ14、並びに受け具移動手段20を構成する回転用サーボモータ23、流体圧シリンダ21、及びロータリテーブル装置22にそれぞれ接続される。そして、このコントローラ27は、吸引圧センサ26が吸引圧力の変動を検出すると、図10に示すように、受け具移動手段20を制御してその受け具16を回転容器12の内部から回転容器12の外部に引き出し、吸引圧センサ26が吸引圧力の変動を検出しない間にあっては、受け具移動手段20を制御して、図9に示すように、受け具16の鉛直方向の上下を反転させた後に復元させることを所定時間毎に繰り返すように構成される。
【0026】
次に、本発明における部品供給方法について説明する。
【0027】
本発明の部品供給方法は、複数の部品11を収容した回転容器12を回転させて回転容器12の内部において部品11を掻き上げ、その掻き上げられて落下する部品11をハンドル17の先端に設けられた受け具16により受け止め、ハンドル17を移動させて受け具16を回転容器12から引き出して受け具16とともに回転容器12の内部から引き出された部品11を図示しない組立ステーションに供給することを特徴とする。これらの各動作を以下に詳説するけれども、以下に示す操作は、部品11の回転容器12への収容を除き、コントローラ27により自動的に操作されるものである。
【0028】
複数の部品11の回転容器12への収容は作業者により行われ、蝶番12fにより蓋板12eを開いて筒体12aに形成された投入孔12dを開放し、その開放された投入孔12dから複数の部品11を回転容器12の内部に投入する。その後、蓋板12eによりその投入孔12dを封止し、その状態で作業用つまみ12gを回転させてそこに連結された図示しない雄ねじを筒体12aに螺着する。これにより蓋板12eの開放を禁止する。その後、回転容器12を回転させるけれども、この回転容器12の回転は、容器用サーボモータ14を駆動させてその回転軸14aを回転させ、それにより回転容器12を筒体12aの水平な中心軸を回転中心として回転させる。
【0029】
この回転容器12の回転に際して、軸方向移動機構である流体圧シリンダ21により、回転用サーボモータ23を図1の一点鎖線矢印で示すように回転容器12に近づけ、取出孔12jを介してハンドル17の先端に設けられた受け具16を容器12の内部に進入させておく。また、図示しない吸引器を駆動して、エアチューブ19、延長孔17b及び吸引孔16dを介してエアを吸引しておく。
【0030】
そして、回転容器12が回転すると、その回転容器12の内部に収容された複数の部品11は、筒体12aの内周に放射状に形成され、その回転容器12とともに回転する複数のフィン部材12hにより掻き上げられる。このフィン部材12hは回転中心を中心として放射状に設けられているので、容器12の下部に位置するフィン部材12hが容器12の上方に向かうと複数の部品11はそのフィン部材12hにより掻き上げられ、図6に示すように、そのフィン部材12hが上方に達した段階で掻き上げられた部品11はその自重により落下することになる。このように、掻き上げられて落下する部品11をハンドル17の先端に設けられた受け具16により受け止める。
【0031】
図6に示すように、部品11を受け止める受け具16は、その載置部16bの先端がその基端が連結された固定部16aより高い位置になるように、その載置部16bを傾斜させた状態で待機させる。このように載置部16bを傾斜させることにより、その載置部16bに落下したリング状の部品11は、実線矢印で示すように、その傾斜に沿って載置部16bと覆い部16cの間に入り込み、その外周を固定部16aに当接させることができる。一方、載置部16bと覆い部16cの間の固定部16aには吸引孔16dの端部が開口して設けられるので、載置部16bと覆い部16cの間に入り込んで外周が固定部16aに当接した部品11は、その吸引孔16dから吸引されるエアにより、その受け具16に吸着する。
【0032】
部品11が受け具16に吸着しない間は、コントローラ27は受け具移動手段20を制御し、図9に示すように、受け具16の鉛直方向の上下を反転させた後に再び復元させることを所定時間毎に繰り返す。即ち、載置部16bを傾斜させて待機させるけれども、受け具16に部品11が吸着しなければ、図示しない吸引器が吸引する吸引圧力は上昇せずに、図9の下段における吸引圧力に示すように、吸引圧センサ26により検出される吸引圧力は低い値を示す。この吸引圧力が低い状態が所定時間経過すると、図9の上端における受け具の動きに示すように、受け具16を反転させた後に再び復元させる。更に、吸引圧力が低い状態が所定時間経過すると、再び受け具16を反転させた後に再び復元させる。これを繰り返す。これにより、図8に示すように、受け具16における載置部16bに落下したけれども、載置部16bと覆い部16cの間に入り込んでいないリング状の部品11をその受け具16から所定時間毎に落下させて、その載置部16bと覆い部16cの間に入り込まない部品11がその載置部16bと覆い部16cの間を塞いで、別のリング状の部品11がその載置部16bと覆い部16cの間に入り込むことを防止するような事態を所定時間毎に解消することができる。ここで、その所定時間とは3〜10秒程度であることが好ましく、3〜6秒程度であることが更に好ましい。
【0033】
一方、図6に示すように、掻き上げられて落下する部品11が載置部16bと覆い部16cの間に入り込み、その外周が固定部16aに当接すると、その部品11は吸引孔16dから吸引されるエアにより受け具16に吸着する。このように部品11が吸着すると、その部品11により吸引孔16dは塞がれ、図示しない吸引器が吸引する吸引圧力は上昇する。この圧力の変動は吸引圧センサ26により検出され、このセンサ26の検出出力により、コントローラ27は受け具16に部品11が吸着された事実を認識する。そして、コントローラ27は、その受け具16を回転容器12の内部から回転容器12の外部に引き出すように受け具移動手段20を制御する。
【0034】
具体的には、図10に示すように、受け具16に部品11が吸着すると、吸引圧センサ26により検出される吸引圧力は低い値から高い値に変動する。この吸引圧力が低い値から高い値に変動したことでコントローラ27は受け具16に部品11が吸着された事実を認識する。すると、コントローラ27は、部品11を受け止めた受け具16を回転容器12から引き出す以前に、図6に示す待機状態から図7に示すように受け具16を反転させ、その受け具16に吸着させた部品11以外の部品11を受け具16から落下させる。これにより、受け具16に吸着された部品11以外の部品11が、その吸着された部品11とともに、回転容器12から引き出されることを防止する。図10では、反転させた受け具16を再び復元させた後に回転容器12から引き出す場合を示すけれども、部品11が受け具16に吸着して落下しない限り、受け具16を反転させた図7に示す状態で回転容器12から引き出しても良い。この受け具16の反転は、受け具移動手段20における回転用サーボモータ23を駆動することにより行われ、ハンドル17をその軸心を回転中心として回転させることにより、その先端に設けられた受け具16を反転させる。
【0035】
その後、コントローラ27は受け具移動手段20を制御してハンドル17を移動させ、受け具16を回転容器12から引き出して受け具16とともにその受け具16に吸着された部品11を回転容器12の内部から引き出す。この引き出しは、受け具移動手段20における流体圧シリンダ21により行われ、そのスライダ21bを回転用サーボモータ23及びハンドル17とともに回転容器12から遠ざける。すると、ハンドル17の先端に設けられた受け具16は回転容器12の内部から回転容器12の外部に引き出され、これにより、受け具16とともに部品11を回転容器12の内部から引き出すことができる。そして、このように引き出された部品11を次工程に供給するけれども、受け具移動手段20が、そのハンドル17を揺動させるハンドル17揺動機構22を備えるので、図2の一点鎖線で示すように、回転用サーボモータ23に基端が連結されたハンドル17を揺動させることにより、ハンドル17の先端における受け具16を回転容器12から引き出した部品11とともに円弧状に移動させて、その部品11を次工程に供給することができる。
【0036】
受け具16とともに引き出されて移動した部品11は、その受け具16から離脱して直接的に、又は図示しない別の搬送手段を介して次工程である図示しない組立ステーションに送り出される。部品11を無事に組立ステーションに送り出した後には、部品11が離脱した受け具16を再び回転容器12の内部に進入させ、再び同様の操作が繰り返され、順次部品11が回転容器12から引き出されて図示しない組立ステーションに送り出されることになる。
【0037】
以上述べたように、本発明における部品供給装置10及び部品供給方法では、掻き上げられて落下する部品11を受け具16により受け止めるので、搬送対象が比較的軽量な部品11であっても、確実にその部品11を受け具16により受け止めることができる。リング状を成す部品11を例示するこの実施の形態では、受け具16に載置部16bと覆い部16cを形成し、載置部16bと覆い部16cの間にリング状の部品11が入り込むようにしたので、載置部16bと覆い部16cの間に入り込んだ部品11のみがその受け具16に吸着されることになり、その部品11を受け具16の所定の位置に所定の形状で吸着させることができる。
【0038】
部品11が吸着された受け具16はその後に回転容器12から引き出されるけれども、部品11を受け具16に吸着させているので、その受け具16の移動時にその受け具16から部品11が離脱するような事態を回避することができる。そして、部品11を受け止めた受け具16を回転容器12から引き出す以前に受け具16を反転させて受け具16に吸着させた部品11以外の部品11を受け具16から落下させて分離するので、その吸着された部品11以外の部品11が回転容器12から引き出される事態を回避することができる。このように受け具16に所定の形状で吸着されて引き出された部品11を次の工程、即ち、図示しない組立ステーションに供給するので、搬送対象が比較的軽量な部品11であっても、良好な部品11の供給を遂行することができる。
【0039】
なお、上述した実施の形態では、部品11が紙から成るリング状部材である場合を説明したけれども、この部品11は紙からなるものに限定されるものではなく、樹脂や金属からなるものであっても良く、樹脂フィルムが捲かれたリング状のものであっても良い。例えば、樹脂からなる部品11は、ポリイミドフィルム(商標名;カプトン)から成るリング状部材であっても良い。また、部品11は従来のパーツフィーダにおける搬送路面の振動によってはその搬送が困難なほどに軽量なものであり、その形状はリング状のものに限るものではない。
【0040】
また、上述した実施の形態では、載置部16bと覆い部16cを有する受け具16を例示し、載置部16bと覆い部16cの間にリング状の部品11が入り込むようにしたけれども、部品11を受け具16の所定の位置に所定の形状で受け止めることができる限り、この載置部16bや覆い部16cは必ずしも必要としない。即ち、受け具16の形状は、供給対象である部品11の形状によって適宜変更されるものである。例えば、部品がOリングのようなものである場合には、図11に示すように、その受け具66は、ハンドル17の先端に設けられた本体部66aと、その本体部66aの上面から上方に向かって突出するように設けられその部品61が嵌入可能な円錐台形状の嵌入部66bとを有するようなものであっても良い。この場合、嵌入部66bを包囲するように本体部66aに複数の吸引孔66dを形成することにより、嵌入部66bに嵌入した部品61のみをこの受け具66に吸着することができる。そして、受け具66をハンドル17に着脱自在に構成すれば、受け具66を取り替えるだけで、他の形状の部品に用いられてその他の部品を供給する供給装置に比較的容易に切り替えることが可能となる。
【0041】
更に、上述した実施の形態では、筒体12aの両側を円板12b,12cにより封止した円柱状の回転容器12を用いて説明したが、この回転容器12は、複数の部品11を収容してその部品11を掻き上げるように回転するものである限り、4角形や5角形や6角形のような角柱状のものであっても良い。
【符号の説明】
【0042】
10 部品供給装置
11 部品
12 回転容器
16 受け具
16d 吸引孔
17 ハンドル
20 受け具移動手段
21 軸方向移動機構
22 揺動機構
23 ハンドル回転機構
26 吸引圧センサ
27 コントローラ
図1
図2
図3
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図5
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図11