(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、車体の中心に対する荷物の左右の偏心状態を求めて表示するのみであって、高さ方向、すなわち、鉛直方向についての荷物の重心位置は全く考慮されていない。
【0006】
フォークリフトでは、フォークに載せた荷物を高く持ち上げた状態で走行する場合があり、かかる場合に、荷物の鉛直方向の重心位置が上方に偏心しているときには、バランスを失って横転する危険性が高くなる。
【0007】
また、荷物が積載されるトラックや船舶等の輸送機械の運行においても、荷物の鉛直方向の重心位置が不明であるために、荷物の積載状態によっては、重心がアンバランスとなって、運行中に、輸送機械が傾いたり、積荷が倒壊して安全運行に支障を来たす場合もある。
【0008】
本発明は、上述のような点に鑑みてなされたものであって、フォークリフトによって運搬される荷物の鉛直方向の重心位置を求めることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明では、次のように構成している。
【0010】
(1)本発明のフォークリフトは、前後方向に傾動されるマストと、該マストに昇降可能に支持されたフォークとを備えるフォークリフトであって、前記フォークに設けられて、該フォークに載せられる荷物の荷重を検出する少なくとも2個の荷重センサと、前記荷重センサの検出出力および前記マストの傾動に伴う前記フォークの傾斜角度に基づいて、前記荷物の鉛直方向の重心位置を演算する演算手段と
を備え、前記フォークを左右一対備え、各フォークには、前後方向に沿って2個の前記荷重センサがそれぞれ設けられ、少なくとも一方の前記フォークには、該フォークの傾斜角度を検出する傾斜センサが設けられ、前記演算手段は、前記荷重センサの検出出力および前記傾斜センサの検出出力に基づいて、前記荷物の水平方向の重心位置および前記鉛直方向の重心位置をそれぞれ演算する。
【0011】
荷物とは、フォークリフトで運搬する物品、例えば、コンテナなどをいう。
【0012】
演算手段で演算された荷物の鉛直方向の重心位置は、外部の表示器やプリンタなどで表示や印字するようにしてもよいし、当該フォークリフトに表示器やプリンタを備える構成としてもよい。
【0013】
本発明のフォークリフトによると、フォークに設けられた荷重センサによって検出される荷物の荷重とフォークの傾斜角度とに基づいて、荷物の鉛直方向の重心位置を演算するので、荷物の鉛直方向の重心位置を把握することが可能となる。これによって、荷物を当該フォークリフトで運搬する際に、荷物の鉛直方向の偏心状態に応じた安全な走行を行うことが可能となり、横転事故などを防止することができる。また、当該フォークリフトによって荷物を、トラックや船舶等の輸送機械に積載する際に、荷物の重心のバランスを考慮して積載することが可能となり、輸送機械の安全運行を図ることができる。
【0015】
左右一対の各フォークには、それぞれ2個の荷重センサが設けられるので、合計4個の荷重センサによって荷物を支持してその荷重を検出することができ、これら4個の荷重センサの検出出力および傾斜センサの検出出力に基づいて、荷物の水平方向の重心位置および鉛直方向の重心位置を演算するので、荷物の水平方向および鉛直方向の重心位置を把握することが可能となる。これによって、荷物を当該フォークリフトで運搬する際に、荷物の鉛直方向および水平方向の偏心状態に応じた一層安全な走行を行うことが可能となる。
【0016】
(
2)本発明のフォークリフトの好ましい実施態様では、前記演算手段は、前記荷物が載せられた前記フォークが水平状態および傾斜状態の各状態にあるときの前記荷重センサの検出出力および前記傾斜状態にあるときの傾斜角度に基づいて、前記荷物の鉛直方向の重心位置を演算する。
【0017】
この実施態様によると、荷物が載せられたフォークが水平状態にあるときの荷重センサの検出出力、荷物が載せられたフォークが傾斜状態にあるときの荷重センサの検出出力および傾斜センサの検出出力に基づいて、荷物の鉛直方向の重心位置を演算することができる。
【0018】
(
3)本発明のフォークリフトの別の実施態様では、前記演算手段によって演算された重心位置のデータを出力する出力手段を備えている。
【0019】
出力手段は、荷物の重心位置のデータを、表示、音、あるいは、印字の少なくともいずれか一つで出力するのが好ましい。重心位置のデータとしては、重心位置そのものであってもよいし、重心位置のずれ量、すなわち、偏心量などであってもよい。
【0020】
この実施態様によると、演算手段で演算された荷物の重心位置のデータが、出力手段によって出力されるので、運転者は、荷物の重心位置を容易に把握して安全な走行を行なうことが可能となる。
【0021】
(
4)本発明の重心位置測定装置は、前後方向に傾動されるマストと、該マストに昇降可能に支持されたフォークとを備えるフォークリフトに装備される重心位置測定装置であって、前記フォークに着脱自在に取付けられ、かつ、前記フォークに載せられる荷物の荷重を検出する少なくとも2個の荷重センサおよび前記フォークの傾斜角度を検出する傾斜センサを有するフォークアタッチメントと、前記荷重センサの検出出力および前記傾斜センサの検出出力に基づいて、前記荷物の水平方向の重心位置および前記鉛直方向の重心位置をそれぞれ演算する演算手段とを備えている。
【0022】
本発明の重心位置測定装置によると、フォークアタッチメントの荷重センサおよび傾斜センサによってそれぞれ検出される荷物の荷重とフォークの傾斜角度とに基づいて、荷物の鉛直方向の重心位置を演算するので、荷物の鉛直方向の重心位置を把握することが可能となる。また、既存のフォークリフトのフォークに、フォークアタッチメントを取付け、車体に演算手段を搭載することによって、荷物の鉛直方向の重心位置を求めることができ、既存のフォークリフトに重心位置測定機能を持たせることができる。
【発明の効果】
【0023】
このように本発明によれば、フォークに設けられた荷重センサによって検出される荷物の荷重とフォークの傾斜角度とに基づいて、荷物の鉛直方向の重心位置を演算するようにしているので、荷物の鉛直方向の重心位置を把握することが可能となる。これによって、荷物を当該フォークリフトで運搬する際に、荷物の偏心状態に応じた安全な走行を行うことが可能となり、横転事故などを防止することができる。また、当該フォークリフトによって荷物をトラックや船舶等の輸送機械に積載する際に、荷物の重心のバランスを考慮して積載することが可能となり、輸送機械の安全運行を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るフォークリフトの側面図である。
【
図2】
図2は、重心位置測定装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1の一対のフォーク部分の概略構成を示す平面図である。
【
図4】
図4は、
図1の一対のフォーク部分の概略構成を示す側面図である。
【
図5】
図5は、
図1の一対のフォーク部分の概略構成を示す正面図である。
【
図6】
図6は、前後方向の重心位置を示すフォーク部分の概略平面図である。
【
図7】
図7は、左右方向の重心位置を示すフォーク部分の概略平面図である。
【
図8】
図8は、荷物の鉛直方向の重心位置を求める原理を説明するためのフォークが水平状態のときの力の作用を示す図である。
【
図9】
図9は、荷物の鉛直方向の重心位置を求める原理を説明するためのフォークが傾斜した状態のときの力の作用を示す図である。
【
図10】
図10は、フォークが角度θ傾斜した状態でロードセルによって検出される支持反力と本来検出すべき鉛直方向の支持反力との関係を示す図である。
【
図12】
図12は、既存のフォークリフトに重心位置測定装置を装備した状態を示す側面図である。
【
図13】
図13は、フォークおよびフォークアタッチメントを示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の他の実施形態の重心位置測定装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施形態に係るフォークリフトの側面図である。
【0027】
この実施形態のフォークリフト1は、前後に車輪2,3が取付けられた車体4を備え、この車体4上には、運転者が着座する座席5が設けられると共に、ハンドル6や操作レバー7等が配置され、それらを取り囲むようにヘッドガード8が設けられている。
【0028】
車体4の前部には、チルトシリンダ9の伸縮によって前後方向に傾動するマスト10が立設され、該マスト10には、荷物を載せるための左右一対のフォーク(爪)11が支持されている。このフォーク11は、マスト10に沿って設けられたリフトシリンダ12によって上下に昇降される。
【0029】
かかる構成のフォークリフト1では、荷役作業を行う場合には、フォーク11を下降させ荷物を載せた後、フォーク11を水平状態、若しくは、後側に傾斜させた状態にし、車体4を走行させて荷物を所定位置まで搬送する。
【0030】
この実施形態のフォークリフト1は、一対のフォーク11に載せられる荷物の水平方向の重心位置および鉛直方向の重心位置を測定する重心位置測定装置を備えている。
【0031】
図2は、フォークリフト1に備えられている重心位置測定装置の構成を示すブロック図である。
【0032】
この実施形態の重心位置測定装置25は、フォーク11に載せられる荷物の荷重を検出する4個の荷重センサとしてのロードセル14
1〜14
4と、フォーク11の傾斜角度を検出する傾斜センサ15と、各ロードセル14
1〜14
4の検出出力及び傾斜センサ15の検出出力をそれぞれA/D変換するA/D変換器16と、入出力(I/O)回路19を介して入力される前記A/D変換器16からのデジタル出力に基づいて、後述のようにして荷物の水平方向の重心位置及び鉛直方向の重心位置を演算する演算手段17と、演算結果である重心位置のデータを表示する表示部18とを備えている。演算手段17は、例えば、CPU20及びメモリ21等を備えるマイクロコンピュータによって構成されている。各ロードセンサ14
1〜14
4および傾斜センサ15は、後述のようにフォーク11に設けられている。重心位置のデータを表示する表示部18は、運転者が目視できる位置に設置されている。
【0033】
図3は、
図1の一対のフォーク11部分の概略構成を示す平面図であり、
図4は、その側面図、
図5は、その正面図であり、各図には、荷物としてのコンテナ13を併せて示している。なお、各図において、Gはコンテナ13の重心位置を示している。
【0034】
一対のフォーク11は、右側の第1フォーク11
Rと、左側の第2フォーク11
Lとからなる。各フォーク11
R,11
Lは、上述のマスト10が傾斜していない水平状態において、水平方向に延びる水平部11
Rh,11
Lhと、鉛直方向に延びる鉛直部11
Rv,11
Lvとを備え、L字状に構成されている。
【0035】
各フォーク11
L,11
Rの水平部11
Lh,11
Rhには、前後方向(
図3,
図4の左右方向)に間隔をあけてそれぞれ2個の上述のロードセル14
1〜14
4が設けられている。具体的には、右側の第1フォーク11
Rには、第1,第2ロードセル14
1,14
2が設けられる一方、左側の第2フォーク11
Lには、第3,第4ロードセル14
3,14
4が設けられる。フォーク11
R,11
Lに載せられるコンテナ13の荷重を、4個の各ロードセル14
1〜14
4で支持するように構成されている。
【0036】
また、第1フォーク11
Rの屈曲部付近には、フォーク11
R,11
Lの傾斜角度を検出する上述の傾斜センサ15が設けられている。
【0037】
次に、上述の
図2の重心位置測定装置25の演算手段17による重心位置の演算処理の手順について説明する。
【0038】
先ず、コンテナ13の水平方向の重心位置を求める手順について説明する。水平方向の重心位置は、フォーク11
L,11
Rが水平状態で、各ロードセル14
1〜14
4で検出されるコンテナ13の重量に基づいて算出される。
【0039】
図6は、コンテナ13の前後方向(
図6の左右方向)の重心位置を示す上述の
図3に対応する概略平面図である。
【0040】
この
図6に示すように、前側の第2,第4ロードセル14
2,14
4と後側の第1,第3ロードセル14
1,14
3との前後方向の間隔をD1、前側の第2,第4ロードセル14
2,14
4でそれぞれ検出される重量の合計をW
F 、後側の第1,第3ロードセル14
1,14
3でそれぞれ検出される重量の合計をW
B 、後側の第1,第3ロードセル14
1,14
3からコンテナ13の重心Gまでの距離をX
G とすると、モーメントの釣り合いから、
X
G×W
B =(D1−X
G)×W
F
の関係が成立する。
【0041】
従って、以下の式、
X
G =D1×W
F /(W
F +W
B )
によってコンテナ13の前後方向の重心位置X
Gを求めることができる。
【0042】
図7は、コンテナ13の左右方向(
図7の上下方向)の重心位置を示す上述の
図3に対応する概略平面図である。
【0043】
この
図7に示すように、左側の第3,第4ロードセル14
3,14
4と右側の第1,第2ロードセル14
1,14
2の左右方向の間隔をD2、左側の第3,第4ロードセル14
3,14
4でそれぞれ検出される重量の合計をW
L 、右側の第1,第2ロードセル14
1,14
2でそれぞれ検出される重量の合計をW
R 、右側の第1,第2ロードセル14
1,14
2から重心Gまでの距離をY
Gとすると、モーメントの釣り合いから、
Y
G×W
R =(D2−Y
G)×W
L
の関係が成立する。
【0044】
従って、Y
G =D2×W
L /(W
L +W
R )が得られる。ここで、コンテナ13の重量W
R +W
L =W
B +W
Fであるから、
Y
G =D2×W
L /(W
B +W
F )
となり、左右方向の重心位置Y
Gを求めることができる。
【0045】
以上のようにして演算手段17では、フォーク11
L,11
Rが水平状態で、各ロードセル14
1〜14
4でそれぞれ検出される重量に基づいて、コンテナ13の前後方向および左右方向、すなわち、水平方向の重心位置を演算算出する。
【0046】
次に、コンテナ13の鉛直方法の重心位置を求める原理を、
図8及び
図9に基づいて説明する。
【0047】
図8は、コンテナ13をフォーク11
L,11
Rに載せて水平にしているときの力の作用を示す図である。mgはコンテナ13の重量を、F
1は、後側の第1,第3ロードセル14
1,14
3による支持反力を、F
2は、前側の第2,第4ロードセル14
2,14
4による支持反力を、X
Gは、後側の第1,第3ロードセル14
1,14
3とコンテナ13の重心Gとの前後方向(
図8の左右方向)の間隔を、D1は、後側の第1,第3ロードセル14
1,14
3と前側の第2,第4ロードセル14
2,14
4との前後方向の間隔をそれぞれ示している。支持反力F
1は、後側の第1,第3ロードセル14
1,14
3でそれぞれ検出される重量の合計に等しく、作用する向きが逆であり、支持反力F
2は、前側の第2,第4ロードセル14
2,14
4でそれぞれ検出される重量の合計に等しく、作用する向きが逆である。
【0048】
図8の力の釣り合いから、次式が成立する。
【0049】
F
1+F
2=mg ……(1)
また、モーメントの釣り合いから、次式が成立する。
【0050】
mg×X
G=F
2×D1 ……(2)
図9は、コンテナ13をフォーク11
L,11
Rに載せて角度θ傾斜させたときの力の作用を示す図である。F
1’は、後側の第1,第3ロードセル14
1,14
3による鉛直方向の支持反力を、F
2’は、前側の第2,第4ロードセル14
2,14
4による垂直方向の支持反力を、X
G’は、後側の第1,第3ロードセル14
1,14
3とコンテナ13の重心Gとの前後方向の間隔を、X
1は、後側の第1,第3ロードセル14
1,14
3と、コンテナ13の重心Gを通る鉛直線とコンテナ13の底面との交点との傾斜した底面に沿う間隔を、X
2は、前記交点と、コンテナ13の重心Gを通る底面に垂直な線と底面との交点との傾斜した底面に沿う間隔をそれぞれ示している。
【0051】
フォーク11
L,11
Rの傾斜角度θは、コンテナ13が傾斜によって後方側へずれない程度の角度であり、例えば、数度以内であるのが好ましい。
【0052】
図9において、モーメントの釣り合いから、
mg×X
G’=F
2’×D1cosθ ……(3)
ここで、フォーク11
L,11
Rの傾斜時には、ロードセル14
1〜14
4を取り付けている面が傾斜してしまうので、ロードセル14
1〜14
4で検出される重量に等しい支持反力F
1’’,F
2’’は、ロードセル14
1〜14
4自身の傾斜分だけ誤差を含んだものとなっている。
【0053】
すなわち、
図10に示されるように、ロードセル14
1〜14
4が角度θ傾斜した状態で検出される重量に等しい支持反力F
1’’,F
2’’は、本来、検出すべき鉛直方向の支持反力F
1’,F
2’に対して、
F
1’’=F
1’cosθ
F
2’’=F
2’cosθ
となる。
【0054】
したがって、本来、検出すべき支持反力F
1’,F
2’は、ロードセル14
1〜14
4で検出される出力F
1’’,F
2’’から次式で算出できる。すなわち、ロードセル14
1〜14
4で検出される重量の誤差を次式で補正することができる。
【0055】
F
1’=F
1’’/cosθ
F
2’=F
2’’/cosθ
また、
図9において、フォーク11
L,11
Rの傾斜時の幾何学的関係より、以下の式が成り立つ。
【0056】
X
G=X
1+X
2=(X
G’/cosθ)+Z
Gtanθ ……(4)
上記(1)〜(4)式からZ
Gを求めると、
Z
G=[D1/{(F
1+F
2)tanθ}](F
2−F
2’cosθ)……(5)
上式において、後側の第1,第3ロードセル14
1,14
3と前側の第2,第4ロードセル14
2,14
4との間の前後方向の間隔D1は既知であり、傾斜角度θは傾斜センサ15によって測定可能である。F
1、F
2、F
2’は、ロードセル14
1〜14
4の検出出力から得られるので、コンテナ13の鉛直方向の重心位置、すなわち、重心高さZ
Gを求めることが可能である。
【0057】
以上のようにして、上述の演算手段17では、コンテナ13の水平方向の重心位置(水平面上における重心位置)及び鉛直方向の重心位置(鉛直面上における重心位置)、すなわち、三次元的な重心位置を演算算出する。
【0058】
この実施形態では、水平方向における重心位置の車幅の中心からの偏心量を、表示部18に表示すると共に、鉛直方向における重心位置のコンテナ13の上下方向の中心からの偏心量を表示するようにしている。
【0059】
例えば、
図11に示すように、表示部18では、複数のLED等からなる表示灯によって重心位置を点灯表示するようにしている。すなわち、重心位置が中心付近の許容範囲内にあるときには、中心の矩形の表示灯18aが点灯し、重心位置が許容範囲を外れて左右方向に偏心しているときには、左右の対応する矢印状の表示灯18b,18cが点灯し、重心位置が許容範囲を外れて上下方向に偏心しているときには、上下の対応する矢印状の表示灯18d,18eが点灯する。
【0060】
なお、コンテナ13の重心位置が、上方に偏心しているときには、その偏心量に応じて、フオーク11の昇降高さを制限するようにしてもよい。また、偏心量が所定値を越えるときには、警告音などで報知するようにしてもよい。
【0061】
表示部18は、表示灯に限らず、液晶表示部で構成してもよい。また、表示灯による点灯表示に代えて、偏心量を数値やバーグラフで表示したり、重心位置を図形やグラフ等で表示するようにしてもよい。また、演算手段17をI/O回路19を介してプリンタに接続し、重心位置のデータを印字出力できるようにしてもよい。あるいは、演算手段17とパソコンとを接続できるようにして重心位置のデータをパソコンで集計管理できるようにしてもよい。
【0062】
演算手段17では、上述のように、重心位置に限らず、コンテナ13の重量を算出できるので、重心位置のデータに加えてコンテナ13の重量データを表示や印字できるようにしてもよい。
【0063】
このようにコンテナ13の水平方向の重心位置および鉛直方向の重心位置が、表示部18に表示されるので、運転者は、水平及び垂直方向の偏心状態を確認することができる。これによって、運転者は、コンテナ13をフォークリフト1で運搬する際に、偏心状態に応じた安全な走行を行うことが可能となり、横転事故などを防止することができる。また、フォークリフト1でトラックや船舶等の輸送機械にコンテナ13を、積載する際に、重心のバランスを考慮して積載することによって、輸送機械の安全運行を図ることができる。
【0065】
ロードセルには、傾斜センサを有し、傾斜による誤差を補正する機能を備えたものがあるので、かかるロードセルを使用して傾斜センサ15を省略してもよい。
【0066】
(実施形態2)
上述の実施形態では、フォークリフト1は、コンテナ13の重心位置を測定する重心位置測定装置25を備えていたけれども、本発明の他の実施形態として、コンテナ13の重心位置を測定する機能を備えていない既存のフォークリフトに、コンテナ13の重心を測定する重心位置測定装置を装備するようにしてもよい。
【0067】
図12は、既存のフォークリフト1aに、重心位置測定装置のロードセル等を装備した状態を示す側面図である。この実施形態では、既存のフォークリフト1aの左右一対のフォーク11
Ra,11
Laを、
図13に示されるロードセンサ14
1〜14
4及び傾斜センサ15が設けられ、かつ、一端が差込口として開放された鞘状のフォークアタッチメント22
R,22
Lにそれぞれ差し込んで装着する。更に、これらフォークアタッチメント22
R,22
Lの各ロードセンサ14
1〜14
4及び傾斜センサ15と接続された図示しない上述の演算手段17等および表示部18をフォークリフト1aの車体4の適宜箇所に搭載する。
【0068】
フオークアタッチメント22
R,22
Lは、既存のフォークリフト1aのフォーク11
Ra,11
Laにそれぞれ差し込んで抜け止めピン及びネジ等によって取付けられる。
【0069】
このようにして、既存のフォークリフト1aに対して、荷物の重心位置を測定する機能を持たせることが可能となる。
【0070】
その他の構成は、上述の実施形態と同様である。
【0071】
(実施形態3)
上述の実施形態では、演算手段17で算出されたコンテナ13の水平方向および鉛直方向の重心位置を、表示部18に表示したり、プリンタで印字出力するようにしたけれども、本発明の他の実施形態として、上述の
図2に対応する
図14に示すように、演算手段17で算出された重心位置のデータを、無線によって非接触でRFIDタグ24に書込むRFIDライタ23を設ける一方、RFIDタグ24を、コンテナ13に取付けるようにしてもよい。
【0072】
かかる構成によって、フォークリフト1では、コンテナ13の重心位置を上述のようにして算出した後、RFIDライタ23によって、該コンテナ13に取り付けられたRFIDタグ24に重心位置のデータを書込む。
【0073】
このようにコンテナ13のRFIDタグ24には、その重心位置のデータが書込まれているので、トラックや船舶等の輸送機械に積載する際に、RFIDリーダによってコンテナ13の重心位置のデータを読出し、重心が安定するように積載するといったことが可能となり、輸送機械の安全運行が可能となる。
【0074】
本発明の他の実施形態として、コンテナ13にバーコードで重心位置に関するデータを添付するようにし、バーコードリーダで読み取れるようにしてもよい。
【0075】
(その他の実施形態)
上述の各実施形態では、荷物としてコンテナ13に適用して説明したけれども、コンテナに限らず、フォークリフトによって運搬される各種の物品に適用できるものであり、荷物には、運搬される物品及び該物品を載せるパレットを含んでもよい。