(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カーボンブラックとして、ファーネスブラック、ガスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、プラズマブラック、Si含有ブラック、金属含有ブラック、アークカーボン、又はインバージョンブラックを使用することを特徴とする、請求項1に記載のカーボンブラックの後処理方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンブラックの後処理方法に関する。
【0002】
工業用カーボンブラックは、自動車のタイヤ、工業的なゴム製品、塗料、トナー、印刷インキ、プラスチック、インク、及び多くのさらなる領域で使用することができる。とりわけ顔料としてカーボンブラックを使用する場合、カーボンブラックの後処理によって特定の特徴が改善される。
【0003】
カーボンブラックの後処理は例えば、酸化(JP2000248196)、化学的な基による表面被覆(JP09067528,DE10242875,EP655516B1,JP09124312)、乾燥(CN1858531)、抽出(DE3118907,JP2000−290529)、温度又は反応性ガスによる活性化(TW394749B,WO2005/028978)、CVDプロセスAdv.Mater.12(3)(2000),16〜20)、他の粉末との混合、粉砕(DE200700373)、及びこれらに類似のものを含むことができる。
【0004】
カーボンブラックの後処理は、様々な装置で、そして多様な方法で行うことができる。この後処理は例えば、カーボンブラックと液体との反応(EP982379,JP2000248118)、固体との反応(EP1134261A2)、又は気体との反応(JP05078110A)によって行うことができる。
【0005】
後処理は、反応物質をフィルター、輸送路(JP2000248196)、又は液滴化(US4075160)に入れることによって、製造プロセスに統合されていてもよい。
【0006】
後処理はまた、別個の装置内で行うこともできる。
【0007】
カーボンブラックを後処理するための手法は、流動層の使用である(GB895990)。流動層は例えば、カーボンブラックと気体状成分との非常に強力な接触を可能にし、付加的に冷却又は加熱することができ、激しく完全混合し、そしてバッチ式でも連続式でも稼働させることができる。
【0008】
カーボンブラックを有する流動層の生成は、自身の特別な特性、例えば充填密度、表面、構造、又は一次粒径が原因で、容易に舞い上がる(流動化する)ことができるカーボンブラックに限定される。
【0009】
多くのファーニスブラック、及び特に目の粗いファーニスブラックは、安定的な流動層を形成しない。こうしたカーボンブラックは例えばしばしば、キャリアガスが流れる流路を形成する。それゆえしばしば、ファーニスブラックには他の後処理技術が使用され(JP07−258578,JP2001−040240)、とりわけ前接続された粉砕を有する反応器内での反応により行われる(JP2004−075985)。
【0010】
EP1347018から、後処理されたカーボンブラックの製造方法は公知であり、この際にカーボンブラックは流動層で流動化剤を添加しながら流動化し、そして後処理剤と接触させる。
【0011】
さらにDE3041188から、カーボンブラック床を撹拌する一方で、カーボンブラックを気体で処理することは公知である。
【0012】
さらに、振動によって粒子を流動化すること(JP03124772)、又は外部領域を改善すること(WO2005022667)は公知である。
【0013】
特に分子量が僅かな気体を添加混合することによって流動化を改善させることは、公知である(WO00/009254)。
【0014】
さらには、流動化の問題をガス流のパルス出力化により部分的に克服可能なことが、公知である(Wang,Chemical Engineering Science 60(2005)5177〜5181)。
【0015】
これに加えて、WO2005/028978からは、ガス流を流動層内に水平に導入し、微細な粒子が充分に流動化される流動層が公知である。
【0016】
さらには、(流動化の流れに対して)水平な高速ノズルの組み込みと稼働によって、流動層内のアグロメレートが破壊されて粒子を微細化できることが公知である(McMillan,Powder Technology,175(2007),133〜141)。
【0017】
50〜1000μmの範囲のアグリゲートサイズのナノ粒子の流動化が外部領域により事前に可能になっていれば、流動化された状態のナノ粒子を被覆すること、又は反応させることは公知である(WO05/02267)。
【0018】
公知の方法の欠点は、不充分な流動化が原因でカーボンブラックの後処理のための可能性がしばしば限定されていること、付加的に流動化剤を使用する場合のカーボンブラックの不純物、技術的なコスト、とりわけ撹拌機と振動生成器を使用する際の気密装置、外部領域の適用可能性が電気を帯びない、又は非磁性的な粒子に限定されていること、部分的に不所望の粒状体若しくは撹拌による他の緻密化の形成である。
【0019】
本発明の課題は、カーボンブラックが通常安定的な流動層を形成しないものであっても、撹拌機、流動化剤、及び/又は外部領域無しで安定的な流動層にし、そしてその層内で後処理可能な後処理方法を提供することである。
【0020】
本発明の対象は、カーボンブラックが、流動層装置内で装置の下部領域でキャリアガスによって吹き込まれ、付加的なガス流を流動層装置内に導入し、そしてカーボンブラックを、生成した流動層で後処理することを特徴とする、カーボンブラックの後処理方法である。
【0021】
流動層内でのカーボンブラックの後処理の際、カーボンブラックはキャリアガスによって装置の下部領域で吹き込まれる。流動層は、ガス流によって流動状態に移行する粒子から成り、これによって当該粒子はガスによって吹き込まれ、かつ流動化する。好適にはこのガスの吹き上げ力と粒子の重力を、ほぼ平衡に保つことができ、その結果流動層は定義された上端を有する。しかしながら流動層はまた、上方に運ばれた粒子が、フィルター、サイクロン、又は他の適切な分離器で分離され、そして流動床に返送されるように稼働させることもできる。流動層はまた、流動床として稼働させることもできる。
【0022】
後処理のためには、反応性成分を流動層に導入することができる。
【0023】
この反応性成分はキャリアガスと混合されて、又は個別に給送することができる。
【0024】
キャリアガス流の供給は、相応するガス透過性の床、例えば焼結金属、網状プラスチック、スクリュー若しくはコニドゥアー床(Conidurboden)を有する床から、ノズルを介して、又は接線方向の流入開口部を介して、装置の下部領域で行うことができる。
【0025】
キャリアガスとしては例えば、空気、窒素、アルゴン、又は燃焼プロセスからの排ガスを使用することができる。
【0026】
キャリアガスは−20〜500℃の、好適には10〜400℃の温度を有していてよい。
【0027】
本発明によれば付加的なガス流は、キャリアガスと同一の、又は異なる組成を有することができる。
【0028】
付加的なガス流は、気体状の反応性成分、不活性ガス、又はこれらの混合物であってよい。不活性ガスとしては、窒素、二酸化炭素、又はアルゴンを使用することができる。気体状の反応性成分としては例えば、水素、酸素、ハロゲン、酸化窒素、シラン、ギ酸、硫黄酸化物、及び蒸発された液体を使用することができる。気体状の反応性成分は同時に、カーボンブラックの後処理に用いることができる。
【0029】
付加的なガス流は、流動層の主ガス流の方向に対して91゜〜180゜の角度、好適には120゜〜180゜、特に好ましくは160〜180゜、極めて特に好ましくは180゜の角度で導入することができる。流動層の主ガス流の方向は、キャリアガスの入口範囲から出口範囲に向けられている。
図1は、流動層装置の可能な実施例を示しており、かつそこで主ガス流の方向も説明している。
【0030】
付加的なガス流は−20〜500℃、好適には10〜400℃の温度を有していてよい。
【0031】
付加的なガス流は、流動床中にある全ガス流の5〜60体積%、好適には25〜35体積%であってよい。
【0032】
導入される付加的なガス流は、パルス出力式であってよい。パルスは、半湾曲状、矩形状、又は三角形状に行うことができる。パルス持続時間は、0.1秒〜1時間、好適には1〜15分、特に好ましくは10秒〜1分であってよい。パルス間隔の時間は、0.1秒〜1時間、好適には1秒〜15分、特に好ましくは10秒〜1分であってよい。
【0033】
付加的なガス流は、中心で、又は中心から離れて導入することができる。
【0034】
付加的なガス流は、ノズルによって導入することができる。付加的なガス流のノズルとしては、開口角度が0゜〜140゜、好適には0゜〜90゜のノズルを使用することができる。使用されるノズル開口部の直径は、0.05mm〜5mm、好ましくは0.07mm〜1mm、及び特に好ましくは0.1mm〜0.75mmの間で変わってよい。
【0035】
ノズルとしては、単物質用の、又は複数物質用のノズルを使用することができる。
【0036】
ノズルとしては、完全円錐形ノズル、中空円錐形ノズル、平面噴射ノズル、及び潤滑噴射ノズルを使用することができる。
【0037】
ノズルは、カーボンブラック床に様々な深さで浸すことができる。キャリアガスを流入させる床の上方にあるノズルの距離は、2〜1500mmの間で変えることができる。キャリアガスを流入させる床の上方にあるノズルの距離は、反応器直径の5%〜120%であってよい。
【0038】
導入される付加的なガス流は、複数の出口箇所に配置されていてよい。
【0039】
付加的なガス流は好適には、流動層の主ガス流に対向する方向であってよい。キャリアガスもとりわけ付加的なガス流も、例えば回転、逆流、又は剪断流をもたらすように方向付けられていてよい。
【0040】
付加的なガス流の量によって、難流動化性のカーボンブラックのために完全な流動床の形成を調整することができる。付加的なガス流の遮断は、流動床の崩壊をもたらすことがある。
【0041】
カーボンブラックとしては例えば、DE19521565号から知られたファーネスブラック、ガスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、プラズマブラック(Plasmaruss)、インバージョンブラック(Inversionsruss)、WO98/45361号又はDE19613796号から知られたSi含有カーボンブラック、又はWO98/42778号から知られた金属含有カーボンブラック、アークカーボン及び化学的な製造方法の副産物であるカーボンブラックを使用することができる。カーボンブラックは、事前の反応によって変性されていてよい。
【0042】
ゴム混合物中で補強性充填剤として使用されるカーボンブラックを使用することができる。
【0043】
ピグメントブラックを使用することができる。
【0044】
更なるカーボンブラックは:導電性カーボンブラック、UV安定化用カーボンブラック、ゴム以外の系、例えばアスファルト又はプラスチックにおける充填剤としてのカーボンブラック、冶金における還元剤としてのカーボンブラックであってよい。
【0045】
好適にはカーボンブラックとしてファーネスブラック、又はガスブラックを使用することができ、本発明のために特別に好ましくはファーネスブラックを使用することができる。
【0046】
カーボンブラックはDBP値(ASTM D 2414)が30〜425ml/100g、好ましくは35〜250ml/100g、特に好ましくは40〜150ml/100g、極めて特に好ましくは45〜110ml/100gであり得る。カーボンブラックはBET表面(ASTM D 4820)が、20〜1200m
2/g、好ましくは22〜600m
2/g、特に好ましくは29〜300m
2/g、極めて特に好ましくは30〜150m
2/gであり得る。カーボンブラックは、平均アグリゲート直径が20nm〜2000nm、好適には22nm〜620nm、特に好適には40nm〜300nmであり得る。
【0047】
アグリゲートの大きさは、一連のアグリゲートサイズ分布測定で測る。このアグリゲートサイズ分布はISO規格 15825、第1版、2004年11月1日に従って決定され、その際、次の変更が適用される:
ISO規格 15825の4.6.3項の補足:最頻値は質量分布曲線(mass distribution curve)に関する。
【0048】
ISO規格 15825の5.1項の補足:Brookhaven Instruments Corporation,750 Blue Point Rd.,Holtsville,NY,11742にて全て入手可能な装置BI−DCP Particle Sizer及び関連評価ソフトウェアdcplw32,Version3.81が使用される。
【0049】
ISO規格 15825の5.2項の補足:超音波制御装置GM2200、音響変換器UW2200、並びにソノトロードDH13Gが使用される。超音波制御装置、音響変換器及びソノトロードは、Bandelin electronic GmbH & Co.KG,Heinrichstrasse 3−4,D−12207 Berlinにて入手可能である。その際、超音波制御装置により次の値が調整される:パワー(%)=50、サイクル=8。これは100ワットの調整された定格電力及び80%の調整されたパルスに相当する。
【0050】
ISO規格 15825の5.2.1項の補足:超音波時間は4.5分に定められる。
【0051】
ISO規格 15825の6.3項に記載された定義とは異なり"界面活性剤(Surfactant)"は次のように定義される:"界面活性剤"は、Sigma−Aldrich Chemie GmbH,Industriestrasse 25,CH−9471 Buchs SG,Switzerlandにて入手可能である、Fluka社のNonident P40 Substitute型のアニオン性界面活性剤である。
【0052】
ISO規格 15825の6.5項に記載されたスピン液(Spinfluessigkeit)の定義とは異なり、スピン液は次のように定義される:該スピン液の製造のために、Fluka社の界面活性剤Nonident P40 Substitute0.25g(6.3項)が脱イオン水(6.1項)により1000mlに補充される。引き続き、該溶液のpH値はNaOH溶液0.1モル/lで9〜10に調整される。このスピン液は、その製造後に最大1週間使用することができる。
【0053】
ISO規格 15825の6.6項に記載された分散液の定義とは異なり、分散液は次のように定義される:該分散液の製造のために、エタノール200ml(6.2項)、及びFluka社の界面活性剤Nonident P40 Substitute0.5g(6.3項)が脱イオン水(6.1項)により1000mlに補充される。引き続き、該溶液のpH値はNaOH溶液0.1モル/lで9〜10に調整される。この分散液は、その製造後に最大1週間使用することができる。
【0054】
非常に難分散性のカーボンブラックに対しては、上記の処方とは異なり、界面活性剤2.5gを使用する。
【0055】
ISO規格 15825の9項の補足:入力されるべきカーボンブラックの密度の値は1.86g/cm
3である。入力されるべき温度の温度は、10.11項に従って決定される。このスピン液のタイプについては、オプション"水性"が選択される。それに伴ってこのスピン液の密度については0.997(g/cc)の値、該スピン液の粘度については0.917(cP)の値が生じる。光散乱補正は、ソフトウェアdcplw32において選択可能なオプションにより行われる:ファイル:carbon.prm;Mie-Correction。
【0056】
ISO規格 15825の10.1項の補足:遠心分離機速度は11000r/分に定められている。
【0057】
ISO規格 15825の10.2項の補足:エタノール0.2cm
3(6.2項)の代わりに、エタノール0.85cm
3(6.2項)が注入される。
【0058】
ISO規格 15825の10.3項の補足:正確に15cm
3のスピン液(6.5項)が注入される。引き続き、エタノール0.15cm
3(6.2項)が注入される。
【0059】
ISO規格 15825の10.4項の指示書は完全に省かれる。
【0060】
ISO規格 15825の10.7項の補足:データ記録の開始直後に、遠心分離機中のこのスピン液をドデカン0.1cm
3の層で覆う(6.4項)。
【0061】
ISO規格 15825の10.10項の補足:測定曲線が基準線に1時間以内に再び達しない場合、測定は測定曲線がベースラインに再び到達するまで続ける。しかしながらこの測定曲線がベースラインにしっかりとくっついてベースラインに平行に推移する場合、測定は10分後に測定曲線とベースラインの平行推移で終わらせる。
【0062】
ISO規格 15825の10.11項の補足:測定温度を算出するための、この指示書に記載された方法の代わりに、コンピュータープログラムに入れるべき測定温度Tを、以下のように算出する:
T=2/3(Te−Ta)+Ta
この式中、Taは測定前の測定チャンバの温度であり、かつTeは測定後の測定チャンバの温度である。温度差は4℃を超えるべきではない。
【0063】
カーボンブラックは、事前に圧縮されていてよい。この際、カーボンブラック充填密度(DIN 53600)は、0.03〜1kg/l、好ましくは0.05〜0.5kg/lの間で変化してよい。
【0064】
カーボンブラックは、顆粒化されていてよい。顆粒化されたカーボンブラックは、湿式、乾式、油及び/又はワックスで顆粒化されていてよい。
【0065】
顆粒化液体としては、水、シラン、又は炭化水素、例えばベンジン若しくはシクロヘキサンを、結合剤、例えば糖蜜、砂糖、リグニンスルホン酸塩の添加有り、又は無しで、並びに他の多数の物質を単独で、又は相互に組み合わせて使用することができる。
【0066】
当該顆粒は、0.1μm〜5mm、好適には50μm〜5mmの粒子直径範囲(ASTM D 1511)にあり得る。
【0067】
カーボンブラックとしてはまた、カーボンブラック混合体を使用することもできる。
【0068】
本発明による方法は、振動発生源無しで行うことができる。
【0069】
本発明による方法は、撹拌機無しで行うことができる。
【0070】
本発明による方法は、流動化剤無しで行うことができる。
【0071】
本発明による方法は、流動化剤を用いて行うことができる。流動化剤としては、熱分解法シリカ、疎水化された熱分解法シリカ、焼成混合酸化物、又は焼成酸化アルミニウムを使用することができる。
【0072】
熱分解法シリカとしては、Aerosil 90、Aerosil 200、Aerosil OX 50、又はAerosil 300を、疎水化された熱分解法シリカとしては、Aerosil R 8200、Aerosil R 202、又はAerosil R 972を、焼成混合酸化物としては、Aerosil MOX 80、又はAerosil MOX 170を、そして焼成酸化アルミニウムとしては、Evonik Degussa GmbH社の酸化アルミニウムCを使用することができる。
【0073】
流動化剤はカーボンブラックに対して0.1〜10質量%、好適には0.5〜2質量%の量で使用することができる。
【0074】
流動化剤は流動層内でカーボンブラックと混合するか、又は事前に混合されて流動層に投入することができる。
【0075】
本発明による方法は、流動化剤、振動発生源、及び撹拌機無しで行うことができる。
【0076】
後処理剤は、酸化剤、乾燥剤、又は抽出剤であってよい。
【0077】
酸化剤としては、空気、酸素、オゾン、酸化窒素、過酸化水素、及び他の酸化性ガス又は蒸気を使用することができる。
【0078】
抽出剤としては、空気、不活性ガス、例えば窒素、水蒸気、又は空気/水蒸気混合物を使用することができる。抽出剤は吸着された化合物として、カーボンブラックから除去することができる。
【0079】
後処理剤は、反応性ガス、例えばアンモニア、三酸化硫黄、ホスフィン、塩素、又は青酸であってよい。
【0080】
後処理は、乾燥であり得る。
【0081】
乾燥は、事前に乾燥させたガスによって行うことができる。事前に乾燥させたガスは、加熱されていてよい。事前に乾燥させたガスは、空気、窒素、アルゴン、又は燃焼排ガス、例えばカーボンブラック工程からの焼却されたテールガスであってよい。
【0082】
乾燥のために使用される装置は、外部加熱されていてよい。
【0083】
後処理は、温度による表面の活性化、又は温度と例えば水蒸気とからの組み合わせであってよい。
【0084】
後処理は、流動層内で行う化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition)であってもよい。
【0085】
後処理剤はキャリアガス流を介して、付加的なガス流を介して、又はこの両方から成る組み合わせを介して流動層に導入することができる。後処理剤は、付加的な供給箇所を介して導入することができる。
【0086】
後処理は0℃〜1200℃の温度で行うことができる。
【0087】
後処理剤としてオゾンを使用する場合、温度は好適には10℃〜100℃であり得る。
【0088】
後処理剤としてNO
xを使用する場合、温度は好適には100℃〜300℃であり得る。
【0089】
後処理剤として空気/水蒸気を使用する場合、温度は好適には300℃〜600℃であり得る。
【0090】
後処理剤として水蒸気を使用する場合、温度は好適には800℃〜1100℃であり得る。
【0091】
流動層装置内でのカーボンブラックの平均滞留時間は、1分〜10時間、好適には1〜5時間であり得る。後処理剤の量は、カーボンブラック1gあたり1mg〜10mgであり得る。
【0092】
後処理剤は予備加熱して流動層に導入することができる。
【0093】
流動層は非連続的に、又は連続的に稼働させることができる。
【0094】
本発明による方法で製造されたカーボンブラックに、引き続き例えば空気又は窒素を吹き付け、余剰の後処理剤を除去することができる。この吹き付けは、流動層内で、又は外部で行うことができる。吹き付け時間は5分間〜10時間、好適には30分〜2時間であり得る。吹き付け温度は20℃〜300℃、好適には50℃〜200℃であり得る。
【0095】
本発明による方法で製造される、後処理されたカーボンブラックは、充填剤、補強充填剤、UV安定剤、導電性カーボンブラック又は顔料として使用することができる。本発明による方法で製造される、後処理されたカーボンブラックは、ゴム、プラスチック、印刷用インキ、インキ、インクジェットインキ、トナー、塗料、着色剤、紙、アスファルト、コンクリート及びその他の建築材料で使用され得る。本発明の方法で製造される、後処理されたカーボンブラックは、冶金における還元剤として適用することができる。
【0096】
本発明による方法で製造される、後処理されたカーボンブラックは、好適にはピグメントブラックとして使用することができる。
【0097】
図2は、流動層装置の可能な限り図式的な構成を示す。
【0098】
本発明による方法の利点は、流動化するのが困難なカーボンブラック、例えばファーネスブラックを、流動化剤、撹拌機、振動ユニット、外部領域などを加えることなく、流動層内で良好に後処理可能なことである。付加的なガス流の使用により、安定的な流動層を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【0100】
実施例
実施例には、表1に記載するカーボンブラックを使用する。カーボンブラックAはXPB 171という名称で、カーボンブラックBはPrintex 60という名称で、そしてカーボンブラックCはPrintex 55という名称でEvonik Degussa GmbH社から得られる。
【0101】
【表1】
【0102】
実施例1(比較例)
カーボンブラックB600gを、直径15cm、高さ150cmの流動層装置に充填する。充填物の高さは、23cmである。カーボンブラックに500若しくは1000l/hの空気を、焼結金属床を介して吹き込む。安定的な流動層は形成されず、その代わり、カーボンブラック床に1つ又は複数の流路が生じ、その流路を通じて空気が流れ、かつカーボンブラック粒子は火山のように一箇所に巻き上げられる。均質な後処理を起こすことはできない。
【0103】
実施例2
カーボンブラックB600gを、直径15cm、高さ150cmの流動層装置に充填する。充填物の高さは、23cmである。カーボンブラックの充填密度(DIN 53600)は、148g/lである。カーボンブラックに500l/hの空気を、焼結金属床を介して吹き込む。付加的に空気500l/hをノズルによって導入し、このノズルは中心部(主ガス流の方向に対向)、充填物中の焼結金属床の上方11cmにある。
【0104】
はっきりと視認可能な境界を有する、時々容易に沸騰する安定的な流動層が上方に形成される。
【0105】
カーボンブラック充填物はもともとの高さ23cmから、高さ123cmの流動層に拡大する。
【0106】
使用されるノズルは、Schlick 121型のものである。
【0107】
充填されたカーボンブラックは、揮発性成分の含有率が950℃で1.1%である。
【0108】
流動層は150℃で電気的な加熱により加熱し、そして供給されるキャリアガスにNO
2を30l/h添加する。これにより、カーボンブラックを酸化する。酸化は70分間行う。残りのNO
2の除去のために、カーボンブラックは酸化後に1時間、吹き付けられる。
【0109】
後処理の間、とりわけ高められた温度での後処理の間は、カーボンブラックが装置から排出されないように、ガス流を断続的に減少させる。180℃では、250l/hのキャリアガス、及び150l/hの付加的なガス流が必要となるだけである。
【0110】
酸化後にカーボンブラックは充填密度が52g/lであり、酸化度は、950℃で揮発性成分の3.6%である。
【0111】
実施例3(比較例)
カーボンブラックA650gを、直径15cm、高さ150cmの流動層装置に充填する。充填物の高さは、41cmである。カーボンブラックに450若しくは900l/hの空気を、焼結金属床を介して吹き込む。安定的な流動層は形成されず、その代わりに不規則な粉塵が急上昇する。均質な後処理を起こすことはできない。
【0112】
実施例4
カーボンブラックA650gを、直径15cm、高さ150cmの流動層装置に充填する。充填密度は、90g/lである。充填物の高さは、41cmである。カーボンブラックに450l/hの空気を、焼結金属床を介して吹き込む。付加的に空気450l/hをノズルによって導入し、このノズルは中心部(主ガス流の方向に対向)、充填物中の床の上方11cmにある。
【0113】
安定的な流動層が平滑な表面で形成される。
【0114】
カーボンブラック充填物はもともとの高さ41cmから、高さ130cmの流動層に拡大する。
【0115】
使用されるノズルは、Schlick 121型のものである。
【0116】
充填されたカーボンブラックは、揮発性成分の含有率が950℃で2%である。
【0117】
全ガス流0.45m
3/h中で、50g/m
3のオゾンが発生し、このオゾンをカーボンブラックの酸化のために導入する。6.5時間後にカーボンブラックは、950℃で酸化度が揮発性成分の7.5%である。
【0118】
反応時間が増加するにつれてカーボンブラックは加熱され、付加的なガス流は断続的に最大250l/hまで減少させることができる。
【0119】
酸化後にカーボンブラックの充填密度は、45g/lである。
【0120】
付加的なガス流を遮断すると(後処理の最後に)、カーボンブラックの流動化は崩壊する。
【0121】
実施例5(比較例)
カーボンブラックC60gを、直径8cm、高さ70cmの流動層装置に充填する。充填物の高さは、10cmである。カーボンブラックを600若しくは900l/hで網状プラスチック床を介して吹き込む。安定的な流動層は形成されず、その代わり、カーボンブラック床に1つ又は複数の流路が生じ、その流路を通じて空気が流れ、かつカーボンブラック粒子は火山のように一箇所に巻き上げられる。
【0122】
実施例6
カーボンブラックC60gを、直径8cm、高さ70cmの流動層装置に充填する。充填物の高さは、10cmである。カーボンブラックに600l/hの乾燥された空気を、網状プラスチック床を介して吹き込む。付加的に空気300l/hをノズルによって導入し、このノズルは中心部(主ガス流の方向に対向)、充填物中の吹き込み床の上方5cmにある。はっきりと視認可能な境界を有する、時々容易に泡が立つ安定的な流動層が上方に形成される。カーボンブラック充填物はもともとの高さ10cmから、高さ34cmの流動層に拡大する。使用されるノズルは、Lechler 212 124型のものである。
【0123】
カーボンブラックは当初、湿度(ASTM D 1509)が1.6%である。24時間上記の空気で貫流させ、そして流動層装置を外部から加熱する。
【0124】
乾燥後、カーボンブラックは湿度が0.7%である。