(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0014】
図1は、HEMT100の平面図の一例を概略的に示す。HEMT100は、半導体装置の一例であってよい。
図1は、基板102に形成されたHEMT100を拡大して示す。
図1に示すとおり、HEMT100は、配列電極群110と、ゲート電極引出配線120と、ゲート電極122と、ゲート電極接続部124と、ソース電極引出配線130と、ソース電極接続部132と、プラグ134と、ドレイン電極引出配線140と、ドレイン電極接続部142と、プラグ144とを備えてよい。
【0015】
配列電極群110は、ソース電極112およびソース電極114と、ドレイン電極116およびドレイン電極118とを有してよい。配列電極群110は、少なくとも一部が基板102の非素子分離領域150の上に形成される。基板102は、半導体基板の一例であってよい。
【0016】
図1に示すとおり、本実施形態において、配列電極群110を構成する電極が配列される方向(配列方向Cと称する場合がある。)に沿って、ソース電極引出配線130と、配列電極群110と、ドレイン電極引出配線140とが配される。これにより、ソース電極引出配線130と、配列電極群110と、ドレイン電極引出配線140とが、配列方向Cと垂直な方向に配される場合と比較して、配列電極群110に含まれる各電極と、ソース電極引出配線130またはドレイン電極引出配線140との距離が長くなる。その結果、リーク電流を低減できる。
【0017】
なお、本実施形態において、ソース電極接続部132、ドレイン電極接続部142、プラグ134およびプラグ144と、配列電極群110、ゲート電極122、ゲート電極接続部124、ソース電極引出配線130およびドレイン電極引出配線140とは、同一平面上に形成されていない。そこで、
図1において、ソース電極接続部132、ドレイン電極接続部142、プラグ134およびプラグ144を点線で示す。また、
図1において、配列電極群110を、ソース電極112、ソース電極114、ドレイン電極116およびドレイン電極118を囲む二重鎖線で示す。
【0018】
図2は、HEMT100の断面図の一例を概略的に示す。
図2は、
図1におけるA−A'断面の一例を概略的に示す。
図2に示すとおり、HEMT100は、基板102と、絶縁層222と、絶縁層224と、保護層226とを備えてよい。
【0019】
基板102は、支持基板212と、チャネル層214と、スペーサー層215と、キャリア供給層216と、キャップ層218とを有してよい。基板102は、HEMT100と他の電子素子要素とを電気的に分離する素子分離領域240を有してよい。電子素子要素は、トランジスタ等の能動素子、または、コンデンサ、抵抗、コイル等の受動素子であってよい。キャップ層218は、一部がエッチング等によりパターニングされてよい。
【0020】
図2に示すとおり、ドレイン電極116、ドレイン電極118およびドレイン電極引出配線140は、プラグ144を介してドレイン電極接続部142と電気的に結合されてよい。これにより、ドレイン電極116、ドレイン電極118およびドレイン電極引出配線140が、ドレイン電極接続部142およびプラグ144を介して、電気的に結合される。
【0021】
図3は、HEMT100の断面図の一例を概略的に示す。
図3は、
図1におけるB−B'断面の一例を概略的に示す。
図3に示すとおり、ソース電極112、ソース電極114およびソース電極引出配線130は、プラグ134を介してソース電極接続部132と電気的に結合されてよい。これにより、ソース電極112、ソース電極114およびソース電極引出配線130が、ソース電極接続部132およびプラグ134を介して、電気的に結合される。
【0022】
なお、
図1は、
図2におけるD−D'断面または
図3におけるE−E'断面を概略的に示す。説明の都合上、
図1において、絶縁層222、絶縁層224および保護層226は図示していない。また、キャリア供給層216とキャップ層218とを合わせて基板102として図示している。説明の都合上、
図3において、ドレイン電極接続部142は図示していない。
図1から
図3を用いて、HEMT100の詳細について説明する。
【0023】
配列電極群110は、基板102の上に形成される。配列電極群110は、配列電極部の一例であってよい。配列電極群110は、ソース電極引出配線130に近接する側から順に、ソース電極112、ドレイン電極118、ソース電極114およびドレイン電極116を有してよい。ソース電極112、ドレイン電極118、ソース電極114およびドレイン電極116は、等間隔に配されてよい。基板102の上に交互に配列されたソース電極とドレイン電極との間隔は、例えば、2μm〜5μmであってよい。ソース電極およびドレイン電極の平面形状は、例えば、チャネル幅方向の長さが100μm〜500μmで、チャネル長方向の長さが10〜20μmの長方形であってよい。
【0024】
隣接して配される一対のソース電極およびドレイン電極の間には、HEMT100のチャネルが形成される。例えば、ソース電極112およびドレイン電極118の間、ドレイン電極118およびソース電極114の間、ならびに、ソース電極114およびドレイン電極116の間には、それぞれ、チャネル長L、チャネル幅Wのチャネル領域が形成される。配列電極群110を構成する電極の配列方向Cは、上記チャネル領域のチャネル長方向と平行であってよい。
【0025】
本実施形態において、配列電極群110、ソース電極引出配線130およびドレイン電極引出配線140は、キャリア供給層216に接する。このように、配列電極群110、ソース電極引出配線130およびドレイン電極引出配線140が基板102に接して形成される場合には、配列電極群110は、ソース電極引出配線130とドレイン電極引出配線140との間に形成されてよい。
【0026】
なお、配列電極群110と、ソース電極引出配線130およびドレイン電極引出配線140との位置関係は、これに限定されない。例えば、ソース電極引出配線130およびドレイン電極引出配線140と、基板102および配列電極群110との間に絶縁層が配される場合には、ソース電極引出配線130およびドレイン電極引出配線140は、当該絶縁層を介して配列電極群110を覆うように、配列電極群110の上方に形成されてもよい。
【0027】
ソース電極112、ソース電極114、ドレイン電極116およびドレイン電極118は、HEMT100の入出力電極を構成する。ソース電極112およびソース電極114は、接地側電極の一例であってよい。ドレイン電極116およびドレイン電極118は、信号側電極の一例であってよい。ソース電極112、ソース電極114、ドレイン電極116およびドレイン電極118は、キャリア供給層216に接してよい。ソース電極112、ソース電極114、ドレイン電極116およびドレイン電極118は、キャリア供給層216とオーミック接触してよい。
【0028】
ソース電極112、ソース電極114、ドレイン電極116およびドレイン電極118は、Ni、Au、Ti、W、Al等の遷移金属を含んでよい。ソース電極112、ソース電極114、ドレイン電極116およびドレイン電極118は、上記金属を含む合金、または、上記金属もしくは当該合金を含む層を有する積層体であってよい。
【0029】
ゲート電極引出配線120は、HEMT100の外部と接続される端子の少なくとも一部であってよい。ゲート電極引出配線120は、外部電源と電気的に結合されてよい。ゲート電極引出配線120は、ゲート電極122と電気的に結合される。ゲート電極引出配線120は、Au、Ni、Pt、Wを含んでよい。ゲート電極引出配線120は上記金属を含む合金、または、上記金属もしくは当該合金を含む層を有する積層体であってよい。
【0030】
ゲート電極122は、ソース電極112およびドレイン電極118の間、ドレイン電極118およびソース電極114の間、ならびに、ソース電極114およびドレイン電極116の間に、それぞれ設けられてよい。ゲート電極122は、制御電極の一例であってよい。ゲート電極122のそれぞれは、ゲート電極引出配線120と電気的に結合される。これにより、例えば、ソース電極112およびドレイン電極118の間に配されたゲート電極122は、電圧を印加され、ソース電極112およびドレイン電極118の間の電流を制御できる。
【0031】
ゲート電極122の平面形状は、例えば、チャネル幅方向の長さ(ゲート幅と称する場合がある。)が100μm〜500μmで、チャネル長方向の長さ(ゲート長と称する場合がある。)が0.5〜1.5μmの長方形であってよい。ゲート電極122として、ゲート電極引出配線120と同様の材料を用いてよい。
【0032】
ゲート電極接続部124は、ゲート電極引出配線120と、ゲート電極122とを電気的に結合する。ゲート電極接続部124として、ゲート電極引出配線120と同様の材料を用いてよい。ゲート電極引出配線120、ゲート電極122およびゲート電極接続部124は、一体的に形成されてよい。
【0033】
ソース電極引出配線130は、HEMT100の外部と接続される端子の少なくとも一部であってよい。ソース電極引出配線130は、電極パッドであってもよく、電極パッドに接続された引出配線であってもよい。ソース電極引出配線130は、HEMT100の基準電圧が印加されてよい。ソース電極引出配線130は、ソース電極112およびソース電極114と電気的に結合される。ソース電極引出配線130として、ソース電極112またはソース電極114と同様の材料を用いてよい。
【0034】
配列電極群110とソース電極引出配線130とは、配列電極群110の内部に形成されるチャネル領域のチャネル長方向に配されてよい。例えば、ソース電極引出配線130は、配列電極群110の配列方向Cにおける一端の側から、配列電極群110の外部に向かって延伸してよい。ソース電極引出配線130は、少なくとも一部において、配列方向Cと実質的に平行な方向に延伸してよい。これにより、配列電極群110とソース電極引出配線130とが上記チャネル領域のチャネル幅方向に配される場合と比較して、配列電極群110とソース電極引出配線130との間のリーク電流を低減できる。
【0035】
ソース電極引出配線130は、ソース電極112に隣接して配されてよい。これにより、ソース電極引出配線130が、複数のソース電極のうち最もソース電極引出配線130に近接しているソース電極に隣接して配される。その結果、ソース電極引出配線130が、配列電極群110に含まれるドレイン電極と隣接して配された場合と比較して、配列電極群110とソース電極引出配線130との間のリーク電流を低減できる。
【0036】
ソース電極接続部132は、ソース電極112、ソース電極114およびソース電極引出配線130を電気的に結合する。ソース電極接続部132は、プラグ134を介して、ソース電極112、ソース電極114またはソース電極引出配線130と電気的に結合されてよい。これにより、複数のソース電極が相互に接続される。ソース電極接続部132として、ソース電極112またはソース電極114と同様の材料を用いてよい。
【0037】
ソース電極接続部132は、ソース電極112、ソース電極114、ドレイン電極116、ドレイン電極118またはゲート電極122の上方に形成されてよい。これにより、ゲート電極122への電界の集中を緩和できる。また、基準電圧を印加されたソース電極接続部132をフィールドプレートとして利用できる。
【0038】
ソース電極接続部132は、ゲート電極122の幅方向における上記電極の端部の上方に形成されてよい。ソース電極接続部132は、ゲート電極122の幅方向における上記電極の両端部の上方にそれぞれ形成されてよい。ここで、ゲート電極122の幅方向は、チャネル幅方向と実質的に平行であってよい。ソース電極接続部132は、少なくとも一対のソース電極およびドレイン電極の上方に形成されてよい。
【0039】
ソース電極接続部132の幅W
Sは、ドレイン電極接続部142の幅W
Dより大きくてよい。ソース電極接続部132により覆われるゲート電極122の面積の和は、ドレイン電極接続部142により覆われるゲート電極122の面積の和より大きくてよい。ソース電極接続部132により覆われる配列電極群110の面積の和は、ドレイン電極接続部142により覆われる配列電極群110の面積の和より大きくてよい。
【0040】
プラグ134は、ソース電極接続部132と、ソース電極112、ソース電極114またはソース電極引出配線130とを電気的に結合する。プラグ134は、絶縁層222、絶縁層224および保護層226を貫通して、ソース電極接続部132と、ソース電極112、ソース電極114またはソース電極引出配線130とを電気的に結合してよい。プラグ134として、ソース電極112またはソース電極114と同様の材料を用いてよい。
【0041】
ドレイン電極引出配線140は、HEMT100の外部と接続される端子の少なくとも一部であってよい。ドレイン電極引出配線140は、電極パッドであってもよく、電極パッドに接続された引出配線であってもよい。ドレイン電極引出配線140は、HEMT100の信号電圧が印加されてよい。ドレイン電極引出配線140は、ドレイン電極116およびドレイン電極118と電気的に結合される。ドレイン電極引出配線140として、ドレイン電極116またはドレイン電極118と同様の材料を用いてよい。
【0042】
配列電極群110とドレイン電極引出配線140とは、配列電極群110の内部に形成されるチャネル領域のチャネル長方向に配されてよい。例えば、ドレイン電極引出配線140は、配列電極群110の配列方向Cにおける一端の側から、配列電極群110の外部に向かって延伸してよい。ドレイン電極引出配線140は、少なくとも一部において、配列方向Cと実質的に平行な方向に延伸してよい。これにより、配列電極群110とドレイン電極引出配線140とが上記チャネル領域のチャネル幅方向に配される場合と比較して、配列電極群110とドレイン電極引出配線140との間のリーク電流を低減できる。
【0043】
ドレイン電極引出配線140は、ドレイン電極116に隣接して配されてよい。これにより、ドレイン電極引出配線140が、複数のドレイン電極のうち最もドレイン電極引出配線140に近接しているドレイン電極に隣接して配される。その結果、ドレイン電極引出配線140が、配列電極群110に含まれるソース電極と隣接して配された場合と比較して、配列電極群110とドレイン電極引出配線140との間のリーク電流を低減できる。
【0044】
ドレイン電極接続部142は、ドレイン電極116、ドレイン電極118およびドレイン電極引出配線140を電気的に結合する。ドレイン電極接続部142は、プラグ144を介して、ドレイン電極116、ドレイン電極118またはドレイン電極引出配線140と電気的に結合されてよい。これにより、複数のドレイン電極が相互に接続される。ドレイン電極接続部142として、ドレイン電極116またはドレイン電極118と同様の材料を用いてよい。
【0045】
プラグ144は、ドレイン電極接続部142と、ドレイン電極116、ドレイン電極118またはドレイン電極引出配線140とを電気的に結合する。プラグ144は、絶縁層222、絶縁層224および保護層226を貫通して、ドレイン電極接続部142と、ドレイン電極116、ドレイン電極118またはドレイン電極引出配線140とを電気的に結合してよい。プラグ144として、ドレイン電極116またはドレイン電極118と同様の材料を用いてよい。
【0046】
非素子分離領域150は、基板102において素子分離されていない領域を示す。非素子分離領域150の上には、例えば、ソース電極112、ソース電極114、ドレイン電極116、ドレイン電極118およびゲート電極122の、少なくとも一部が形成される。非素子分離領域150の少なくとも一部には、HEMT100のチャネル領域が形成される。非素子分離領域150は、例えば、素子分離領域240を形成する工程において、非素子分離領域150に相当する領域をマスクで保護することで形成できる。
【0047】
支持基板212は、基板102の上に形成される半導体薄膜を支持する。支持基板212は、半導体基板を構成する材料の一例であってもよく、半導体基板の一例であってもよい。支持基板212は、SiC基板、サファイア基板、Si基板であってよい。
【0048】
チャネル層214は、HEMT100のチャネルを構成する。チャネル層214とスペーサー層215との界面に2次元電子ガスが形成される。上記2次元電子ガスは、ソース電極とドレイン電極との間の電流チャネルを形成する。チャネル層214は、GaNであってよい。チャネル層214は、i型のGaNであってよい。
【0049】
スペーサー層215は、チャネル層214とキャリア供給層216との間に配される。これにより、キャリア供給層216から離れた位置に、2次元電子ガスを形成できる。スペーサー層215は、AlGaNであってよい。スペーサー層215は、i型のAlGaNであってよい。
【0050】
キャリア供給層216は、チャネル層214にキャリアを供給する。キャリア供給層は、AlGaNであってよい。キャリア供給層216は、n型のAlGaNであってよい。AlGaNに添加するn型不純物は、Siであってよい。
【0051】
キャップ層218は、キャップ層218と支持基板212との間に形成される層のストレスを調整できる。キャップ層218は、チャネル層214と同じ材料であってよい。キャップ層218は、n型のGaNであってよい。GaNに添加するn型不純物は、Siであってよい。
【0052】
絶縁層222は、基板102と、保護層226との間に配される。これにより、基板102の表面の半導体に、ドナーまたはアクセプタとなる不純物が浸入することを抑制できる。その結果、HEMT100のリーク電流を低減できる。例えば、保護層226として、窒化シリコン、窒化酸化シリコン等のSiを含む材料を用いた場合、保護層226に含まれるSiが基板102の表面の半導体にドーピングされて、HEMT100のリーク電流が増加する場合がある。
【0053】
例えば、本実施形態の場合、ソース電極112およびソース電極引出配線130の間、ならびに、ドレイン電極116およびドレイン電極引出配線140の間において、基板102の表面にはキャリア供給層216が配される。キャリア供給層216としてn型のAlGaN等の化合物半導体を用いた場合、保護層226に含まれるSiがキャリア供給層216にドーピングされると、ソース電極112およびソース電極引出配線130の間、または、ドレイン電極116およびドレイン電極引出配線140の間のリーク電流が増加する。
【0054】
同様に、本実施形態では、ソース電極およびドレイン電極の間のそれぞれにおいて、基板102の表面にはキャップ層218が配される。キャップ層218としてn型のGaN等の化合物半導体を用いた場合、保護層226に含まれるSiがキャップ層218にドーピングされると、上記ソース電極およびドレイン電極間のリーク電流が増加する。
【0055】
このような場合であっても、本実施形態では、基板102と保護層226との間に絶縁層222が配されているので、保護層226に含まれる物質が基板102の表面に配された半導体にドーピングされることを抑制できる。その結果、基板102の表面に配された半導体に対して、ドナーまたはアクセプタとなりうる不純物が、保護層226に含まれている場合であっても、HEMT100のリーク電流を低減できる。
【0056】
絶縁層222は、基板102と、保護層226とを電気的に分離してよい。絶縁層222は、HEMT100のゲート絶縁膜の一部を構成してよい。絶縁層222は、タンタルオキサイド、ジルコニウムオキサイド、ハフニウムオキサイド、ランタンオキサイド、イットリウムオキサイド、チタンオキサイド、バリウムストロンチウムチタンオキサイド(BST)、ストロンチウムチタンオキサイド(STO)、チタン酸ジルコン酸塩(PZT)またはストロンチウムビスマスタンタルオキサイド(SBT)を含んでよい。絶縁層222は、上記材料を含む層を有する積層体であってよい。絶縁層222は、10以上の比誘電率を有してよい。絶縁層222の膜厚は、10〜20nmであってよい。
【0057】
なお、本実施形態において、一対のソース電極およびドレイン電極の間に配されたキャップ層218の上に、絶縁層222が全体的に配される場合について説明したが、絶縁層222は、これに限定されない。例えば、絶縁層222は、ゲート電極122の直下に配された絶縁層222を残して除去されてもよい。これにより、絶縁層222が全体的に配される場合と比較して、HEMT100のオン抵抗を低減できる。
【0058】
絶縁層224は、ゲート電極引出配線120、ゲート電極122およびゲート電極接続部124と、保護層226との間に配される。絶縁層224は、配列電極群110を構成する電極と保護層226との間に配されてもよい。これにより、ゲート電極引出配線120、ゲート電極122およびゲート電極接続部124と、配列電極群110を構成する電極との間のリーク電流を低減できる。絶縁層224として、絶縁層222と同様の材料を用いてよい。絶縁層224の膜厚は、5〜100nmであってよい。
【0059】
例えば、保護層226として、窒化シリコン、窒化酸化シリコン等のSiを含む材料を用いた場合、配列電極群110を構成する電極、ゲート電極引出配線120、ゲート電極122またはゲート電極接続部124に含まれる金属により、保護層226がシリサイド化される場合がある。このような場合であっても、上記の構成を採用することにより、上記リーク電流を低減できる。
【0060】
保護層226は、HEMT100を湿気、不純物等から保護する。保護層226は、絶縁性を有してよい。保護層226は、Siを含んでよい。保護層226は、Siおよび窒素を含んでよい。保護層226は、窒化シリコン、窒化酸化シリコンを含んでよい。保護層226の膜厚は、100〜200nmであってよい。
【0061】
保護層226は、260℃以下、好ましくは100℃以下で形成されてよい。これにより、HEMT100のリーク電流を低減できる。保護層226は、例えば、プラズマCVD法、リモートプラズマCVD法等のCVD法により形成できる。リモートプラズマCVD法は、他のCVD法と比較して低い温度で製膜できるので、保護層226は、リモートプラズマCVD法により形成されることが好ましい。
【0062】
素子分離領域240は、HEMT100と他の電子素子要素とを電気的に分離する。基板102において、配列電極群110を構成する各電極が形成される領域、および、HEMT100のチャネル領域が形成される領域以外の部分は、素子分離領域240であってよい。素子分離領域240は、支持基板212に達してよい。素子分離領域240は、例えば、基板102の非素子分離領域150以外の部分に、例えば、Bをイオン注入することで形成できる。なお、Bの代わりにArをイオン注入してもよい。素子分離領域240の上には、例えば、ゲート電極引出配線120、ゲート電極接続部124、ソース電極引出配線130およびドレイン電極引出配線140の、少なくとも一部が形成される。
【0063】
以上の構成により、半導体装置のリーク電流を低減できる。また、半導体装置のオン抵抗の増加を抑制しつつ、リーク電流を低減できる。以上の構成を採用したHEMT100は、ゲート幅1mmあたりのリーク電流が500pA以下であり、オン抵抗が2Ωmm以下であってよい。上記リーク電流の値は、より好ましくは250pA/mmであってよく、更に好ましくは100pA/mmであってよく、更に好ましくは50pA/mmであってよい。ここで、HEMT100のリーク電流とは、ゲート電極引出配線120、ゲート電極122およびゲート電極接続部124と、配列電極群110を構成する電極との間のリーク電流と、配列電極群110を構成する電極同士の間のリーク電流の和を意味する。
【0064】
なお、本実施形態において、半導体装置の一例としてHEMT100について説明したが、半導体装置はHEMT(High Electron Mobility Transistor)に限定されない。半導体装置は、例えば、複数のソース領域および複数のドレイン領域が交互に配置されたMISFET(Metal−Insulator−Semiconductor Field Effect Transistor)であってよい。この場合、MISFETのソース領域およびドレイン領域は、それぞれ、接地側電極および信号側電極の一例であってよい。また、ゲート電極として、不純物濃度の高い半導体またはシリサイドを用いてよい。MISFETは、MOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field Effect Transistor)であってよい。
【0065】
図4から
図13を用いて、HEMT100の製造方法の一例について説明する。
図4から
図13は、
図1のB−B'断面に相当する断面を示す。
図4は、HEMT100の製造過程における断面図の一例を概略的に示す。
図4に示すとおり、本実施形態においては、まず、基板102を準備する。この段階では、基板102は、支持基板212と、チャネル層214と、スペーサー層215と、キャリア供給層216と、キャップ層218とをこの順に備える。なお、基板102は、支持基板212とチャネル層214との間に、バッファ層を有してよい。バッファ層は、支持基板212の表面の結晶性または当該表面に存在する不純物が、チャネル層214の結晶性または電気的特性に与える影響を抑制する。次に、準備した基板102の上にフォトレジストを塗布した後、フォトレジストをパターニングして、マスク460を形成する。
【0066】
マスク460は、後の工程において、少なくとも、配列電極群110が形成される領域のキャップ層418が除去されるようにパターニングされる。マスク460は、素子分離領域240のキャップ層418が残存するようにパターニングされてよい。マスク460は、後の工程において、素子分離領域240のうち、ソース電極112とソース電極引出配線130との間のキャップ層418、および、ドレイン電極116とドレイン電極引出配線140との間のキャップ層418が除去されるようにパターニングされてよい。
【0067】
図5は、HEMT100の製造過程における断面図の一例を概略的に示す。
図5に示すとおり、マスク460を利用して、ドライエッチング等によりキャップ層418をパターニングする。これにより、キャップ層218が形成される。
【0068】
図6は、HEMT100の製造過程における断面図の一例を概略的に示す。
図6に示すとおり、キャップ層218が形成された基板102の上に、ソース電極112、ソース電極114、ソース電極引出配線130、ドレイン電極116、ドレイン電極118およびドレイン電極引出配線140を形成する。上記部材は、例えば、真空蒸着法等の蒸着法、スパッタ法により形成できる。その後、マスク460を除去する。また、上記部材が形成された基板102をアニール処理してよい。アニール処理は、窒素雰囲気下で実施してよい。
【0069】
図7は、HEMT100の製造過程における断面図の一例を概略的に示す。
図7に示すとおり、基板102に素子分離領域240を形成する。素子分離領域240は、例えば、基板102の非素子分離領域150を覆うマスク760を形成した後、基板102に、例えば、Bをイオン注入することで形成できる。なお、Bの代わりにArをイオン注入してもよい。
【0070】
図8は、HEMT100の製造過程における断面図の一例を概略的に示す。
図8に示すとおり、基板102の表面に絶縁層222が形成される。絶縁層222は、基板102の上に全体的に形成されてよい。これにより、基板102の表面のソース電極112、ソース電極114、ソース電極引出配線130、ドレイン電極116、ドレイン電極118、ドレイン電極引出配線140、キャリア供給層216およびキャップ層218が絶縁層222に覆われる。絶縁層222は、例えば、真空蒸着法等の蒸着法、スパッタ法、CVD法、塗布法により形成できる。
【0071】
図9は、HEMT100の製造過程における断面図の一例を概略的に示す。
図9に示すとおり、ソース電極112およびドレイン電極118の間、ドレイン電極118およびソース電極114の間、ならびに、ソース電極114およびドレイン電極116の間に、それぞれ、ゲート電極122が形成される。ゲート電極122は、例えば、真空蒸着法等の蒸着法、スパッタ法により形成できる。
【0072】
ゲート電極122の直下以外の絶縁層222を除去する場合には、この段階で、絶縁層222を除去してよい。絶縁層222は、例えば、塩素ガス等の塩素系ガスを用いて、ドライエッチングにより除去してよい。ドライエッチングにより絶縁層222を除去する場合には、絶縁層222を除去した後、アニール処理を施すことが好ましい。これによりオン抵抗を低減できる。
【0073】
アニール処理は、窒素雰囲気下で実施してよい。アニール処理は、360℃以下で実施することが好ましい。より好ましくは、260℃以下でアニール処理することが好ましい。これにより、素子分離領域240の結晶構造が回復することを抑制でき、リーク電流をより低減できる。
【0074】
図10は、HEMT100の製造過程における断面図の一例を概略的に示す。
図10に示すとおり、素子分離領域240の素子分離処理を再度実施してよい。これにより、リーク電流をより低減できる。素子分離領域240の素子分離処理は、例えば、基板102の非素子分離領域150を覆うマスク1060を形成した後、基板102にBをイオン注入することで実施できる。
【0075】
図9に関連して説明したとおり、ゲート電極122を形成した後、窒素雰囲気下でアニール処理を実施することで、素子分離領域240におけるリーク電流が増加する場合がある。ゲート電極122を形成して、アニール処理を実施した後、再度、素子分離処理を実施することで、素子分離領域240におけるリーク電流の増加を抑制できる。これにより、上記アニール処理を260℃より高い温度で実施した場合であっても、素子分離領域240におけるリーク電流の発生を抑制できる。なお、再度、素子分離処理を実施した後の工程は、260℃以下で実施することが好ましい。
【0076】
図11は、HEMT100の製造過程における断面図の一例を概略的に示す。
図11に示すとおり、基板102の表面に絶縁層224が形成される。絶縁層224は、基板102の上に全体的に形成されてよい。これにより、ゲート電極122が絶縁層224に覆われる。ゲート電極122の直下以外の絶縁層222が除去されている場合には、ゲート電極122だけでなく、基板102の表面のソース電極112、ソース電極114、ソース電極引出配線130、ドレイン電極116、ドレイン電極118、ドレイン電極引出配線140、キャリア供給層216およびキャップ層218も絶縁層224に覆われる。絶縁層224は、例えば、真空蒸着法等の蒸着法、スパッタ法、CVD法、塗布法により形成できる。
【0077】
図12は、HEMT100の製造過程における断面図の一例を概略的に示す。
図12に示すとおり、基板102の表面に保護層226が形成される。保護層226は、基板102の上に全面的に形成されてよい。保護層226は、260℃以下、好ましくは100℃以下で形成されてよい。これにより、素子分離領域240におけるリーク電流の増加を抑制できる。また、保護層226がSiを含む場合には、保護層226のシリサイド化を抑制できる。一方、保護層226は、室温以上の温度で形成されてよい。保護層226は、例えば、真空蒸着法等の蒸着法、スパッタ法、CVD法、塗布法により形成できる。保護層226は、リモートプラズマCVD法により形成されてよい。保護層226は、リモートプラズマCVD法により、室温以上260℃以下の温度で形成されてよい。
【0078】
図13は、HEMT100の製造過程における断面図の一例を概略的に示す。
図13に示すとおり、絶縁層222、絶縁層224および保護層226に開口1334を形成する。開口1334は、プラグ134およびプラグ144が形成される位置に、複数、形成されてよい。開口1334は、ソース電極112、ソース電極114およびソース電極引出配線130、ドレイン電極116、ドレイン電極118およびドレイン電極引出配線140の一部を露出させてよい。開口1334は、例えば、エッチング、イオンミリングにより形成できる。
【0079】
その後、各々の開口1334の内部にプラグ134またはプラグ144が形成された後、例えば、保護層226の上にソース電極接続部132およびドレイン電極接続部142が形成される。プラグ134、プラグ144は、例えば、真空蒸着法等の蒸着法、スパッタ法、CVD法、めっき法により形成できる。ソース電極接続部132およびドレイン電極接続部142は、例えば、真空蒸着法等の蒸着法、スパッタ法、CVD法、めっき法により金属薄膜を形成した後、上記金属薄膜をパターニングして形成できる。以上により、HEMT100を製造できる。
【0080】
なお、ソース電極接続部132およびドレイン電極接続部142の上に、さらに、絶縁層および保護層を形成してもよい。また、本実施形態において、保護層226の上に形成した金属薄膜をパターニングして、ソース電極接続部132およびドレイン電極接続部142を形成する場合について説明したが、ソース電極接続部132およびドレイン電極接続部142はこれに限定されない。例えば、ソース電極接続部132およびドレイン電極接続部142は空中配線であってよい。
【0081】
図14は、別の実施形態に係るHEMT1400の平面図の一例を概略的に示す。HEMT1400は、ソース電極接続部132に相当する部材の形状が異なる点と、上記部材およびドレイン電極接続部142の位置関係が異なる点とで、HEMT100と相違する。上記相違点以外については、HEMT1400は、HEMT100と同様の構成を有してよい。そこで、相違点以外については説明を省略する場合がある。
【0082】
ソース電極接続部1432は、HEMT100のソース電極接続部132に相当する。ソース電極接続部1432は、コの字型の平面形状を有する点でソース電極接続部132と相違する。本実施形態において、配列電極群110を構成する電極のゲート電極122の幅方向における両端部の上方には、ソース電極接続部1432の一部が形成される。また、配列電極群110を構成する電極のゲート電極122の幅方向における中央近傍の上方には、ドレイン電極接続部142が形成される。
【0083】
本実施形態において、ソース電極接続部1432の幅W
S1と幅W
S2との和は、ドレイン電極接続部142の幅W
Dより大きい。また、ソース電極接続部1432により覆われるゲート電極122の面積の和は、ドレイン電極接続部142により覆われるゲート電極122の面積の和より大きい。ソース電極接続部1432により覆われる配列電極群110の面積の和は、ドレイン電極接続部142により覆われる配列電極群110の面積の和より大きい。
【0084】
図15は、別の実施形態に係るHEMT1500の断面図の一例を概略的に示す。HEMT1500は、絶縁層222に相当する部材の形状が異なる点と、絶縁層224に相当する部材がない点と、保護層226が260℃以下、好ましくは100℃以下で形成される点とで、HEMT100と相違する。上記相違点以外については、HEMT1500は、HEMT100と同様の構成を有してよい。そこで、相違点以外については説明を省略する場合がある。
【0085】
絶縁層1522は、HEMT100の絶縁層222に相当する。HEMT1500は、配列電極群110を構成する電極、ソース電極引出配線130およびドレイン電極引出配線140の上には、絶縁層1522が配されない点でHEMT100と相違する。また、HEMT1500は絶縁層224に相当する部材を備えていないので、配列電極群110を構成する電極、ゲート電極引出配線120、ゲート電極122、ゲート電極接続部124、ソース電極引出配線130およびドレイン電極引出配線140と、保護層226とが接触する。この場合であっても、保護層226が260℃以下、好ましくは100℃以下で形成される場合には、リーク電流を低減できる。
【0086】
図16は、スイッチ回路1600の構成の一例を概略的に示す。スイッチ回路1600は、DC/RFスイッチであってよい。スイッチ回路1600は、トランジスタ1602と、トランジスタ1604と、トランジスタ1606と、入力端子1608と、出力端子1610と、DC端子1612と、DC端子1614と、制御端子1622と、制御端子1624と、制御端子1626とを備える。
【0087】
スイッチ回路1600は、入力端子1608、DC端子1612およびDC端子1614から入力された入力信号を切り替えて、いずれか1つの信号を出力端子1610から出力する。スイッチ回路1600は、入力端子1608から高周波信号(RF信号と称する場合がある。)が入力され、DC端子1612およびDC端子1614から直流信号が入力される。
【0088】
トランジスタ1602、トランジスタ1604およびトランジスタ1606は、それぞれ、制御端子1622、制御端子1624または制御端子1626に入力される制御信号に従って、ONとOFFとを切り替える。これにより、スイッチ回路は、入力端子1608、DC端子1612およびDC端子1614から入力される入力信号のうち、いずれか1つの信号を出力できる。
【0089】
トランジスタ1602、トランジスタ1604およびトランジスタ1606は、HEMT100、HEMT1400またはHEMT1500であってよい。これにより、高周波数帯においても、挿入損失の少ないスイッチ回路が得られる。
【実施例】
【0090】
(実施例1)
図1から
図3に示されるHEMT100を、
図4から
図13に関連して説明した工程に従って製作した。基板102は、以下の手順で準備した。支持基板212として市販のSiC基板を準備した。SiC基板の上に、チャネル層214としてi型のGaNを有機金属気相化学成長法(MOCVD法と称する場合がある。)により形成した。チャネル層214の上に、スペーサー層215として、i型のAlGaNをMOCVD法により形成した。
【0091】
スペーサー層215の上に、キャリア供給層216として、MOCVD法により、n型のAlGaNを形成した。キャリア供給層216の上に、キャップ層418として、MOCVD法により、n型のGaNを形成して、基板102を製作した。エッチングによりキャップ層418をパターニングして、キャップ層218を形成した。
【0092】
次に、準備した基板102に、ソース電極112、ソース電極114、ドレイン電極116またはドレイン電極118として、Ti薄膜、Al薄膜、Ni薄膜およびAu薄膜がこの順に積層された積層体を形成した。ソース電極引出配線130またはドレイン電極引出配線140として、Ti薄膜の上にAu薄膜が積層された積層体を形成した。各ソース電極および各ドレイン電極は、チャネル長方向の長さが15μm、チャネル幅方向の長さが100μmの電極が、3μmの間隔で配列するように形成した。チャネル長方向における、ソース電極引出配線130と配列電極群110との距離およびドレイン電極引出配線140と配列電極群110との距離は、それぞれ、5μmとした。
【0093】
上記積層体を形成した後、N
2雰囲気下で基板102をアニール処理した。アニール処理は、750℃で3分間実施した。次に、基板102の素子分離領域240に素子分離処理を実施した。素子分離処理は、配列電極群110とHEMT100のチャネル領域にマスク760を形成した後、Bをイオン注入することで実施した。次に、絶縁層222として、タンタルオキサイドを真空蒸着法により形成した。絶縁層222は、基板102の表面に全面的に形成した。絶縁層222の厚さは、20nmであった。
【0094】
絶縁層222を形成した後、ゲート電極引出配線120、ゲート電極122、ゲート電極接続部124を形成した。上記部材は、基板102の表面にフォトレジストを形成して、フォトレジストをパターニングした後、Ni薄膜を真空蒸着法により形成した。Ni薄膜の膜厚は、100nmであった。ゲート電極は、ゲート長が1μm、ゲート幅が100μmの電極が、一対のソース電極およびドレイン電極の中央に配されるように形成した。上記フォトレジストを除去した後、窒素雰囲気下でアニール処理を実施した。アニール処理は、360℃で60分間実施した。上記アニール処理の後、素子分離領域240に、再度、素子分離処理を実施した。
【0095】
次に、絶縁層224として、タンタルオキサイドを真空蒸着法により形成した。絶縁層224は、基板102の表面に全面的に形成した。絶縁層224の厚さは、5nmであった。絶縁層224の上に、保護層226として、窒化シリコンをリモートCVD法により形成した。窒化シリコンの製膜時には、基板102の温度を100℃に設定した。保護層226の厚さは、200nmであった。
【0096】
次に、ソース電極接続部132およびドレイン電極接続部142を形成した。
図1から
図3に示したHEMT100とは異なり、ソース電極接続部132およびドレイン電極接続部142の構造として、空中配線を用いた。ソース電極接続部132の幅W
Sおよびドレイン電極接続部142の幅W
Dは、35μmとした。
【0097】
(実施例2)
実施例1と同様にして、HEMT1500を製作した。実施例1とは異なり、実施例2では、絶縁層222を形成した後、エッチングにより絶縁層222の一部を除去した。また、実施例2では、絶縁層224を形成する工程を省略した。実施例1と同様、
図15に示したHEMT100とは異なり、ソース電極接続部132およびドレイン電極接続部142の構造として、空中配線を用いた。
【0098】
(実施例3)
実施例2と同様にして、HEMT1500を製作した。実施例2とは異なり、保護層226として、窒化シリコンをCVD法により形成した。実施例3では、窒化シリコンの製膜時に、基板102の温度を350℃に設定した。
【0099】
図17は、実施例1および実施例2のHEMTのゲート電流特性を示す。
図17において、縦軸はゲート幅1mmあたりのゲート電流[A/mm]を示し、横軸はゲート電圧[V]を示す。
図17において、符号1702は実施例1の実験結果を示し、符号1704は実施例2の実験結果を示す。
【0100】
図17に示すとおり、実施例1および実施例2のHEMTの双方とも、ゲート電圧が−30V〜0Vの範囲におけるゲート電流が、500pA/mm以下に抑制されている。また、ゲート電圧が−25V〜0Vの範囲におけるゲート電流も250pA/mm以下に抑制されている。さらに、ゲート電圧が−20V〜0Vの範囲におけるゲート電流が50pA/mm以下に抑制されている。これらの結果から、上記構成を採用することにより、リーク電流の低減された半導体装置が得られることがわかる。
【0101】
なお、上記範囲において、実施例1および実施例2のHEMTのオン抵抗は、2Ωmm以下であった。また、一対のソース電極とドレイン電極の間のリーク電流は、上記ゲート電流と比較して無視できる程度の大きさであった。そこで、上記ゲート電流の値は、HEMTのリーク電流の値と同視できる。
【0102】
図18に、実施例2および実施例3のHEMTのゲート電流特性を示す。
図18において、縦軸はゲート幅1mmあたりのゲート電流[A/mm]を示し、横軸はゲート電圧[V]を示す。
図18において、符号1704は実施例2の実験結果を示し、符号1804は実施例3の実験結果を示す。
【0103】
図18に示すとおり、実施例3のHEMTも、ゲート電圧が−30V〜0Vの範囲におけるゲート電流が、500pA/mm以下に抑制されている。また、ゲート電圧が−25V〜0Vの範囲におけるゲート電流も250pA/mm以下に抑制されている。また、
図18に示すとおり、実施例2のHEMTの方が実施例3のHEMTよりもリーク電流を低減できることがわかる。なお、実施例3についても、実施例1および実施例2と同様に、一対のソース電極とドレイン電極の間のリーク電流は、上記ゲート電流と比較して無視できる程度の大きさであった。そこで、上記ゲート電流の値は、HEMTのリーク電流の値と同視できる。
【0104】
(実施例4)
実施例1で製作したHEMT100を用いて、スイッチ回路1600を製作した。使用したHEMT100のオン抵抗の値は、2Ωmm以下であった。スイッチ回路1600の特性を調べる目的で、スイッチ回路の挿入損失を測定した。
【0105】
図19は、入力端子1608から入力されたRF信号の周波数と、スイッチ回路1600の挿入損失との関係を示す。
図19において、縦軸は挿入損失[dB]を示し、横軸は上記RF信号の周波数[GHz]を示す。
図19に示すとおり、スイッチ回路1600は、入力信号の周波数が30GHzの場合であっても、挿入損失は−3dBであった。これにより、以上のとおり、上記の構成を採用した半導体装置をスイッチ回路に適用することで、挿入損失特性に優れたスイッチ回路が得られた。
【0106】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【0107】
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。