特許第5656646号(P5656646)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5656646
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】エアバッグ
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/232 20110101AFI20141225BHJP
   B60R 21/213 20110101ALI20141225BHJP
   B60R 21/2338 20110101ALI20141225BHJP
【FI】
   B60R21/231 100
   B60R21/213
   B60R21/231 300
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-546105(P2010-546105)
(86)(22)【出願日】2009年2月11日
(65)【公表番号】特表2011-511734(P2011-511734A)
(43)【公表日】2011年4月14日
(86)【国際出願番号】US2009033797
(87)【国際公開番号】WO2009102791
(87)【国際公開日】20090820
【審査請求日】2012年2月1日
(31)【優先権主張番号】61/064,040
(32)【優先日】2008年2月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509307495
【氏名又は名称】ティーケー ホールディングス インク.
【氏名又は名称原語表記】TK HOLDINGS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100118267
【弁理士】
【氏名又は名称】越前 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】スラーツ, ポール マリア アントニウス
(72)【発明者】
【氏名】カーロウ, ジム
(72)【発明者】
【氏名】ワイパスラモント, ポンデット ポール
(72)【発明者】
【氏名】ボウマラフィ, モエ
【審査官】 三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−041460(JP,A)
【文献】 特開2002−362280(JP,A)
【文献】 特開2004−058849(JP,A)
【文献】 特開2004−123082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16 − 21/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用エアバッグシステムにおいて、
車両内のリアピラーの間に設置されたリアウィンドウに隣接して展開するように構成され複数の鉛直膨張式チャンバを含む後部カーテンエアバッグと、
前記後部カーテンエアバッグ用ハウジングと、
前記後部カーテンエアバッグを膨張させる膨張ガスを供給するように構成されたインフレータと、を備え、
前記後部カーテンエアバッグは前記リアピラーの間で伸長し、完全に展開されると、前記リアピラー及び少なくとも前記リアウィンドウの大部分を覆うように構成され、
前記後部カーテンエアバッグは、前記複数の鉛直膨張式チャンバを備える中央領域と、前記中央領域の片側に配置される第1の膨張式ピラーローブと、前記中央領域の反対側に配置される第2の膨張式ピラーローブと、を含み、前記第1及び第2のピラーローブは、鉛直に伸長する膨張式チャンバを備え、
前記後部カーテンエアバッグは、前記第1のピラーローブから前記中央領域を仕切るように実質的に鉛直に伸長している第1の折り線に沿って曲がるように構成され、
前記後部カーテンエアバッグは、前記第2のピラーローブから前記中央領域を仕切るように実質的に鉛直に伸長している第2の折り線に沿って曲がるように構成され、
前記第1及び第2の折り線は、前記後部カーテンエアバッグの対向面を縫合するシームにより形成され、
前記後部カーテンエアバッグに横方向の張力を加えるテザーは、前記第1の折り線に接続され、
前記後部カーテンエアバッグに横方向の張力を加えるテザーは、前記第2の折り線に接続される、
ことを特徴とする車両用エアバッグシステム。
【請求項2】
前記後部カーテンエアバッグは、前記リアウィンドウからの乗員の放出を防止し、前記リアウィンドウから侵入する物体が乗員に接触することを防止するための位置に展開するように構成される、請求項1に記載の車両用エアバッグシステム。
【請求項3】
前記ハウジング、前記後部カーテンエアバッグ及び前記インフレータは、前記リアピラーの間で伸長する後部ルーフレール上の前記車両のルーフに取り付けられる、請求項1に記載の車両用エアバッグシステム。
【請求項4】
前記インフレータは、流出口を含み、膨張ガスは、前記インフレータを出て、前記後部カーテンエアバッグに入り、前記流出口は、前記後部カーテンエアバッグの横方向中央部に近接した前記車両の前記リアピラーのほぼ中間に設置される、請求項1に記載の車両用エアバッグシステム。
【請求項5】
前記後部カーテンエアバッグは、前記後部カーテンエアバッグを前記車両のルーフに取り付ける取付タブを少なくとも一つ含む、請求項1に記載の車両用エアバッグシステム。
【請求項6】
前記エアバッグハウジングは、ルーフヘッドライナの裏側の後部ルーフレールに取り付けられる、請求項1に記載の車両用エアバッグシステム。
【請求項7】
前記第1及び第2のピラーローブは、前記後部カーテンエアバッグの上部に配置された膨張経路を介して前記複数の鉛直膨張式チャンバに滑らかに接続される、請求項1に記載の車両用エアバッグシステム。
【請求項8】
前記複数の鉛直膨張式チャンバは、前記後部カーテンエアバッグを形成する材料の対向面を接続する内部シームにより分割される、請求項1に記載の車両用エアバッグシステム。
【請求項9】
前記後部カーテンエアバッグは、前記後部カーテンエアバッグの上部に配置された膨張経路を含み、前記膨張経路は、前記複数の鉛直膨張式チャンバを充填するように膨張ガスを供給するために、前記複数の鉛直膨張式チャンバのそれぞれに接続される、請求項1に記載の車両用エアバッグシステム。
【請求項10】
前記鉛直膨張式チャンバは、前記後部カーテンエアバッグに沿ってほぼ左右対称に配置される、請求項1に記載の車両用エアバッグシステム。
【請求項11】
前記第1及び第2のピラーローブは、それぞれ前記リアピラーに隣接して展開するように構成される、請求項1に記載の車両用エアバッグシステム。
【請求項12】
前記第1及び第2のピラーローブは、膨張時に、それぞれ隣接する前記リアピラーの周囲で湾曲するように構成される、請求項1に記載の車両用エアバッグシステム。
【請求項13】
前記後部カーテンエアバッグに取り付けられたセイルパネルをさらに備える、請求項1に記載の車両用エアバッグシステム。
【請求項14】
第1の端部が前記後部カーテンエアバッグに接続された前記テザーと、前記車両内の前記リアピラーの一つに固定された後部テザーロッドと、を備え、前記テザーは、展開時に前記後部カーテンエアバッグの位置を制御するように構成され、前記テザーの第2の端部は、前記後部テザーロッドに接続され、前記後部カーテンエアバッグの展開時に前記後部テザーロッドに沿って摺動するように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用エアバッグシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2008年2月12日に出願された米国仮出願第61/064040号に基づく優先権を主張し、その全体を参照することにより本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
本開示は、一般に車両エアバッグの分野に関する。より詳細には、本開示は、車両リアウィンドウカーテンエアバッグに関する。
【0003】
車両エアバッグは、車両衝突時に車両乗員を負傷から保護するのを補助するために用いられる。頭部サイドエアバッグ(HSAB)又はサイドカーテンエアバッグ(SCAB)は、側面の衝撃衝突時に乗員を保護するために車両に設けられ、一般に、車両の両側、すなわち、運転席側及び/又は助席側のルーフレールの位置にある金属薄板に取付部品を介して車両内に取り付けられる。
【0004】
多くの車両(すなわち、ミニバン、スポーツユーティリティ車、クロスオーバー車、シティカー、ハッチバック、小型トラック等)は、実質的に平坦なリアエンドを有し、リアウィンドウに極めて接近して設けられた座席を含む。追突時に、衝突された車両の乗員区画に車両又は他の物体が侵入する場合がある。かかる衝突では、追突された車両の乗員は、リアウィンドウから車両内部に侵入する破片又は物体に当たったり、割れたリアウィンドウのガラスに当たったり、リアウィンドウに衝突して頭部又は上肢部を負傷したりする危険にさらされる。さらに、衝突又は転覆事故時に、乗員がリアウィンドウから車両の外に放出される場合がある。
【0005】
乗員が負傷する可能性を減らし、乗員がリアウィンドウから放出される可能性を減らすために、車両のリアウィンドウに近接するカーテンエアバッグを提供することが有利であろう。
【発明の概要】
【0006】
本開示の一実施形態は、車両用エアバッグシステムに関する。エアバッグシステムは、車両内のリアピラーの間に設置されたリアウィンドウに隣接して展開するように構成された膨張式後部カーテンエアバッグを備える。後部カーテンエアバッグは、複数の鉛直膨張式チャンバを含む。エアバッグシステムは、後部カーテンエアバッグ用ハウジングと、後部カーテンエアバッグを膨張させる膨張ガスを供給するように構成されたインフレータと、をさらに含む。後部カーテンエアバッグは、リアピラーの間で伸長し、完全に展開されると、リアピラー及び少なくともリアウィンドウの大部分を覆うように構成される。
【0007】
本開示の別の実施形態は、車両用エアバッグシステムに関する。エアバッグシステムは、車両内のリアピラーの間に設置されたリアウィンドウに隣接して展開するように構成された膨張式後部カーテンエアバッグを備える。後部カーテンエアバッグは、複数の鉛直膨張式チャンバを含む。エアバッグシステムは、後部カーテンエアバッグ用ハウジングと、後部カーテンエアバッグを膨張させる膨張ガスを供給するように構成されたインフレータと、をさらに含む。
【0008】
本開示の別の実施形態は、車両用エアバッグシステムに関する。エアバッグシステムは、車両内のリアピラーの間に設置されたリアウィンドウに隣接して展開するように構成された膨張式後部カーテンエアバッグを備える。後部カーテンエアバッグは、リアピラーと第1及び第2の膨張式ピラーローブとの間に設置された膨張可能な中央領域を含む。第1及び第2のピラーローブのそれぞれは、リアピラーの一つに隣接して設置される。エアバッグシステムは、後部カーテンエアバッグ用ハウジングと、後部カーテンエアバッグを膨張させる膨張ガスを供給するように構成されたインフレータと、をさらに含む。ハウジング、後部カーテンエアバッグ及びインフレータは、車両のルーフに取り付けられる。後部カーテンエアバッグは、中央領域を第1のピラーローブと仕切るように実質的に鉛直に延伸している第1の折り線に沿って曲がるように構成される。後部カーテンエアバッグは、中央領域を第2のピラーローブと仕切るように実質的に鉛直に延伸している第2の折り線に沿って曲がるように構成される。
【0009】
本開示のさらに別の実施形態は、車両用エアバッグシステムに関する。エアバッグシステムは、車両内のリアピラーの間に設置されたリアウィンドウに隣接して展開するように構成された膨張式後部カーテンエアバッグと、後部カーテンエアバッグ用ハウジングと、後部カーテンエアバッグを膨張させる膨張ガスを供給するように構成されたインフレータと、一端が後部カーテンエアバッグに接続されたテザーと、を備える。テザーは、展開時に後部カーテンエアバッグの位置を制御するように構成される。エアバッグシステムは、車両のリアピラーの一つに固定された後部テザーロッドをさらに備える。テザーの第2の端部は、後部テザーロッドに接続され、後部カーテンエアバッグの展開時に後部テザーロッドに沿って摺動するように構成される。

【0010】
上述の全体的な説明及び以下の詳細な説明はともに、例示的かつ説明的なものに過ぎず、特許請求の範囲に記載される本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明のこれら及び他の特徴、態様及び効果は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び図面に示された以下の例示的実施形態から明らかになろう。次に、図面について簡単に説明する。
【0012】
図1】一例示的実施形態による車両フレームの支持ピラー、ウィンドウ及びリアウィンドウカーテンエアバッグの格納位置を図示する車両の斜視図である。
図2】一例示的実施形態による展開後のリアウィンドウカーテンエアバッグを図示する車両内部の正面斜視図である。
図3】展開後のリアウィンドウカーテンエアバッグを示す図2の車両の3−3線上部部分断面図である。
図4】一例示的実施形態による後部カーテンエアバッグの展開を制御するために設けられたテザーロッドを示す、車両用左後部Cピラーの詳細断面図である。
図5】外部展開ストラップ及びテザーロッドを示す一例示的実施形態による車両用Cピラーの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(詳細な説明)
図1〜4の全体を通して、一例示的実施形態による後部カーテンエアバッグモジュール30を含む車両10を示す。後部カーテンエアバッグモジュール30は、衝突又は転覆事故時に車両10の乗員を保護するのを補助するために設けられている。図1に示す車両10は、フロントガラス及びウィンドウを構造的に支持する車両10の両側に配置された複数の鉛直フレーム部材を含む。Aピラー12として示される第1の部材(例えば、ピラー、コラム等)は、車両のフロントウィンドウを支持する。Bピラー14として示される第2の部材は、サイドウィンドウ22を支持する。Cピラー16として示される第3の部材は、車両のリアウィンドウ20を支持する。
【0014】
以下の開示では、車両10の最後尾の鉛直支持ピラーを指す一般用語として、便宜上「Cピラー」を使用する。ある代表的な車両では、片側の支持ピラーが二本以下であって(すなわち、マイクロカー)、Bピラーが最後尾のピラーであるものもある。他のある代表的な車両では、片側の支持ピラーが四本以上であって(すなわち、ミニバン、スポーツユーティリティ車等)、Dピラー又は、さらに追加されたピラーが最後尾の鉛直支持ピラーであるものもある。以下の開示に記載されている後部カーテンエアバッグモジュール30は、多種多様な車両の最後尾の鉛直支持ピラーを保護するために用いられることは、当業者なら理解するであろう。
【0015】
エアバッグモジュール30は、インフレータ32と、膨張式カーテンエアバッグ又はクッション40と、を含む。カーテンエアバッグ40は、好ましくは関連する車両10のルーフ24に沿って、例えば、リアウィンドウ20の開口部上方にある車両のルーフレール26に沿って、従来の方法で格納される。一例示的実施形態によれば、カーテンエアバッグ40は、後部ルーフレール26に結合される複数の織布タブ42(図2)を含む。カーテンエアバッグ40は、好ましくはトリムパネル(例えば、ヘッドライナーパネル18)の下に折り畳まれた状態で固定される。ウェザーストリップトリム部品は、ヘッドライナーパネル18と後部ルーフレール26との間の間隙を覆うために設けられてもよい。別の例示的実施形態によれば、エアバッグモジュール30のインフレータ32は、内部車両部品(例えば、自動車ヘッドライナーパネル18)上に一体的に取り付けられるように構成される。
【0016】
インフレータ32(例えば、従来のガス充填インフレータ)は、拘束カーテンエアバッグ40の膨張/展開用ガスを供給する。車両制御システムに組み込まれる衝撃センサ(図示せず)は、衝撃衝突を検出するために用いられる。車両衝突又は転覆事故時に、インフレータ32は、カーテンエアバッグ40を膨張するために加圧ガスを供給するように作動される。膨張ガスは、インフレータ32の流出口33を経てカーテンエアバッグ40に入ると、カーテンエアバッグ40は、ヘッドライナーパネルの下から飛び出し、格納位置から離れるように下方の展開位置へ移動される。流出口33及び/又はインフレータ32は、後部カーテンエアバッグ40の横方向中央部に近接した車両のリアピラーのほぼ中間に設置される。
【0017】
図2に最もよく示されるように、展開位置において、カーテンエアバッグ40は乗員と車両10の後部との間に配置され、一般に、少なくともリアウィンドウ20の開口部の一部を覆う。カーテンエアバッグ40は、好ましくはリアウィンドウ20全体を覆う。
【0018】
カーテンエアバッグ40は、一般に、複数のシーム48,50により結合される第1のパネル44(例えば、内側パネル、インナーパネル、フロントパネル等)及び第2のパネル46(例えば、外側パネル、アウターパネル、リアパネル等)から形成される。一例示的実施形態によれば、第1のパネル44及び第2のパネル46は、ナイロン織物又は任意の他の適切な材質である。シーム48及び50は、二枚の織布パネルを連結するための(例えば、糸による)縫製結合部、織製結合部、接着結合部、又は従来技術において周知の任意の他の適切な結合部として形成されてもよい。カーテンエアバッグ40は、二個以上の鉛直区画又はチャンバに仕切られてもよい。一般に、チャンバが互いに流体を連通するように、各チャンバ間に通路又はポートが設けられる。特に、図2〜3に示すカーテンエアバッグ40は、車両10のリアウィンドウ20を覆うように構成される第1の中央(鉛直)ローブ又はチャンバ54の集合体と、一般に、車両のCピラー16に沿って車両10の側面に配置された少なくとも二つの(鉛直)サイドローブ又はチャンバ56と、を備える。中央鉛直チャンバ54は、後部カーテンエアバッグ40に沿ってほぼ左右対称に配置される。隣接する中央チャンバ54から各サイドローブ56を分割するシーム50は、「深さ0のテザー」と呼ばれることもある。
【0019】
カーテンエアバッグ40は、カーテンエアバッグ40の上部に膨張流路(例えば、55)も含む。膨張流路55は、膨張ガスを鉛直チャンバ54及びサイドピラーローブ56を膨張させる(充填させる)ように流すための経路である。
【0020】
カーテンエアバッグ40は、多数の非膨張部分(例えば、一般にチャンバを分割する非膨張部分)も有していてもよい。そのような非膨張部分は、車両10の側面に近接した(例えば、Cピラー16に近接した)パネル52(例えば、セイルパネル)を備えていてもよい。セイルパネル52は、一端がサイドウィンドウ22上方にあるサイドルーフレール28に結合され、反対端がカーテンエアバッグ40の本体に結合される。セイルパネル52は、個別の織布パネルであってもよいし、第1のパネル44又は第2のパネル46の一方又は両方により一体的に形成されてもよい。
【0021】
セイルパネル52は、サイドチャンバ56を安定させるのに役立つ。例示的実施形態によれば、セイルパネル52は、一つ以上の取付点53で(例えば、織布タブによって、)車両サイドルーフレール28に結合される。セイルパネル52は、サイドチャンバ56に結合される個別のパネルであってもよいし、カーテンエアバッグクッション40を構成する第1のパネル44及び/又は第2のパネル46により一体的に形成されてもよい。別の実施形態において、セイルパネル52は、膨張式チャンバを含んでいてもよい。
【0022】
他の例示的実施形態によれば、サイドチャンバ56は、サイドチャンバ56が乗員とサイドウィンドウ22との間に配置されるように伸長させてもよい。その場合、サイドチャンバ56は、乗員とCピラー16との間及び乗員とサイドウィンドウ22との間に配置されることによって、後列に着座した乗員を側面衝撃及び転覆から保護する。後列座席に近接するサイドウィンドウ22上を覆うようにサイドチャンバ56を伸長することによって、後列の乗員を保護するために個別のサイドカーテンエアバッグを伸長させる必要が無くなる。長いホイールベースを有する車両(例えば、バンやスポーツユーティリティ車)では、サイドチャンバ56を伸長することが望ましい場合がある。
【0023】
衝撃センサが後部衝撃又は転覆のような衝突を検知する場合、カーテンエアバッグ40は、ヘッドライナ18の後部裏側から下方かつリアウィンドウ20を横断するように展開する。さらに、サイドローブ56は、車両乗員にさらなる保護を提供するために、車両10のCピラー16を覆うように伸長する。中央チャンバ54及びサイドチャンバ56は、鉛直に配置される。中央チャンバ54は、リアウィンドウ20の下縁部を越えて下方へ伸長する。
【0024】
車両10のリアウィンドウ20及びCピラー16の外形に倣うために、カーテンエアバッグ40は、膨張時に略U字形状となるように形成される。そうすると、サイドチャンバ56は、中央チャンバ54に対して傾斜して配置される(例えば、湾曲、折り返し等)。
【0025】
いくつかの機構は、サイドチャンバ56を中央チャンバ54に対して傾斜するように配置したり、Cピラー16に沿って曲げたりするために用いられてもよい。例えば、チャンバ54,56を互いに分割するシーム50は、Cピラー16に略位置合わせされるように配置される。したがって、エアバッグクッション40が膨張すると、シーム50によって、サイドチャンバ56が中央チャンバ54に対して曲がるための自然な折り線が提供される。さらに、外部展開ストラップ又はテザー58は、サイドチャンバ56と中央チャンバ54との間に折り線を作成するために、リアウィンドウ20とCピラー16との間の遷移部の角部に近接して配置されてもよい。
【0026】
図4及び5に最もよく示されるように、テザー58は、カーテンエアバッグ40に横方向の張力を加え、カーテンエアバッグ40の展開及び配置を導くために設けられてもよい。テザー58は、カーテンエアバッグ40の第2の(外側)パネル46に結合され、細長部材又はテザーロッド34に沿って摺動するように構成される。テザー58は、好ましくは実質的に平坦で、弾力性がある材質の閉ループから成る。テザー58は、従来の繊維材料から形成されてもよいし、他の適切な材料(例えば、ナイロンウェビング等)から形成されてもよい。好ましい実施形態において、テザー58は、中央チャンバ54からサイドチャンバ56を分割するシーム線50に沿って、下縁部に近接したカーテンエアバッグに固定される。また、他の例示的な実施形態によれば、テザー58は、他の用途のために、例えば、クッション40の側面に沿って又はクッション40の底隅部の近くに設置されるだろう。
【0027】
細長部材34(コード、ロッド等)は、例えば、Cピラー16に沿って車両10のフレームに結合される。細長部材34は、好ましくは両端がブラケットでCピラー16に固定される剛性部材である。テザー58は、展開時に細長部材34と摺動可能に係合する。クッション40が外向きに、好ましくはルーフレール26,28から下方へ移動すると、テザー58が細長部材34に沿って摺動するので、膨張しているクッション40はテザー58によって案内される。テザー58と細長部材34との係合により、膨張したカーテンエアバッグ40が細長部材34から離れようとする傾向に対抗し、リアウィンドウ20に極めて接近した状態を維持する。このように、展開時にテザー58と細長部材34とが協働することで、カーテンエアバッグ40の位置決め及び張力調整を補助し、カーテンエアバッグ40を横方向に支持する。図4に示すように、細長部材34及びテザー58の一部がCピラー16を覆うトリムパネル60及び/又は追加トリム部品62の裏側に設置されるようにして、細長部材34及びテザー58は、Cピラー16(に取付られて)から伸長し得る。
【0028】
チャンバ54,56を鉛直方向に向けることによって、カーテンエアバッグ40は、車両10の乗員をより良く保持可能となる。カーテンエアバッグ40は、膨張前の状態の細長部材34に(例えば、テザー58によって)結合される。チャンバ54,56が膨張するにつれて、膨張前の状態に対して水平方向に収縮し、細長部材34及びテザー58によって、カーテンエアバッグ40に水平張力が加えられる。一方、水平方向に配置されたチャンバは、膨張完了時に水平方向に大して収縮しない。
【0029】
一例示的実施形態では、リアウィンドウエアバッグモジュール20の展開は、衝突で生じる飛散破片物の捕集に役立ち得る。さらに、転覆時には、エアバッグモジュール20は、車両10の後部からの乗員の上肢部、身体各部又は全身の放出を制限するように機能し得る。
【0030】
様々な例示的実施形態に示すリアウィンドウカーテンエアバッグの構造及び構成は、例示的なものに過ぎない点に留意することが重要である。本開示においては、いくつかの実施形態のみを詳細に説明してきたが、本明細書に記載されている主題の新規な教示及び効果から著しく逸脱することなく多くの変更態様が可能である(例えば、サイズ、寸法、構造、様々な要素の形状及び比率、パラメータの値、取り付け構成、使用される材料、色、方向などにおけるバリエーション)ことを、この開示を検討する当業者なら容易に理解するであろう。例えば、一体的に形成されるように示される要素は、複数の部品又は要素で構成してもよく、要素の位置を逆にする又は変更してもよく、個別の要素又は位置の性質又は数は、変更又は変化してもよい。例示的実施形態の設計、動作条件及び構成において、その他の置換、改変、変更及び省略を行うことが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5