(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5656648
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】カテーテル、導尿カテーテル、間欠的導尿カテーテル、及びフォーリーカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/14 20060101AFI20141225BHJP
A61M 25/10 20130101ALI20141225BHJP
【FI】
A61M25/00 306Z
A61M25/00 410F
【請求項の数】26
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2010-548663(P2010-548663)
(86)(22)【出願日】2008年12月17日
(65)【公表番号】特表2011-512942(P2011-512942A)
(43)【公表日】2011年4月28日
(86)【国際出願番号】US2008087124
(87)【国際公開番号】WO2009108243
(87)【国際公開日】20090903
【審査請求日】2011年12月15日
(31)【優先権主張番号】61/032,253
(32)【優先日】2008年2月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591000414
【氏名又は名称】ホリスター・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HOLLISTER INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100084010
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 秀利
(74)【代理人】
【識別番号】100094695
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 憲七
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147500
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 雅啓
(72)【発明者】
【氏名】ハノン、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】シスコー、ジョージ・ジェイ・ジュニア
【審査官】
鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−255053(JP,A)
【文献】
特開2007−244919(JP,A)
【文献】
特表2002−534222(JP,A)
【文献】
特開平9−10298(JP,A)
【文献】
特表2007−505681(JP,A)
【文献】
仏国特許出願公開第2240025(FR,A1)
【文献】
米国特許第3981297(US,A)
【文献】
米国特許第2460473(US,A)
【文献】
特開昭64−29271(JP,A)
【文献】
米国特許第3769981(US,A)
【文献】
米国特許第4210478(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/14
A61M 1/00
A61M 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膀胱から尿を排出するためのカテーテルであって、
近位端及び遠位端を有し、該近位端から該遠位端まで実質的に延びて内部に尿を通す内腔を備えた円筒壁を有するカテーテルチューブであって、該カテーテルチューブの前記円筒壁は、前記近位端が有する閉鎖先端付近の地点から、体腔に挿入される前記カテーテルチューブの少なくとも一部に沿って実質的に均一な直径を有し、前記カテーテルチューブは、前記近位端が、前記カテーテルチューブを、尿道を通して前記閉鎖先端が前記膀胱内に位置するまで挿入するための前記閉鎖先端を有すると共に、前記遠位端が、尿を前記膀胱から前記カテーテルチューブの前記内腔を通して排出するための開口を有するように形成され、前記円筒壁は、前記膀胱内において前記閉鎖先端に近接する地点から前記尿道内におけるその遠位の地点まで長手方向へ実質的に延びる、少なくとも1つの画定された外部流路を有する外面を有するカテーテルチューブと、
前記外部流路と連通する排出小穴であって、前記閉鎖先端に近接する前記外部流路の前記地点が前記膀胱内に位置するときに前記排出小穴は前記尿道内または前記膀胱の頸部領域内に位置し、前記排出小穴は、前記外面から前記内腔まで前記カテーテルチューブを貫通するように延び、前記外部流路内の尿を、前記排出小穴を通して前記内腔へ通過させる少なくとも1つの排出小穴と
を備えるカテーテル。
【請求項2】
前記カテーテルチューブの前記円筒壁は、前記閉鎖先端付近の地点から、前記尿道に挿入される前記カテーテルチューブの少なくとも一部に沿って実質的に均一な直径を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記排出小穴は、前記外部流路内の尿を前記カテーテルチューブに通すように、前記閉鎖先端の遠位に位置する前記外部流路の端に実質的に位置付けられる、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記カテーテルチューブの前記近位端にある前記閉鎖先端は実質的に丸まっており、前記カテーテルは、尿を排出するための前記開口を画定する前記カテーテルチューブの前記遠位端と結合する漏斗を含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記円筒壁の前記外面は、少なくとも1つの凹んだ領域を有し、それによって、前記外部流路は、前記凹んだ領域によって画定されると共に前記閉鎖先端と近接する地点からその遠位の地点まで延びるチャネルを有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記カテーテルチューブの前記外面の周りに実質的に均一に離隔した関係で前記閉鎖先端と近接する地点から、それぞれ長手方向に実質的に延びる少なくとも2つのチャネルを含む、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
膀胱から尿を排出するための導尿カテーテルであって、
近位端及び遠位端を有し、該近位端から該遠位端まで実質的に延びて内部に尿を通す内腔を備えた円筒壁を有するカテーテルチューブであって、該カテーテルチューブの前記円筒壁は、前記近位端が有する閉鎖先端付近の地点から、体腔に挿入される前記カテーテルチューブの少なくとも一部に沿って実質的に均一な直径を有し、前記カテーテルチューブは、前記近位端が、前記カテーテルチューブを、尿道を通して前記閉鎖先端が前記膀胱内に位置するまで挿入するための前記閉鎖先端を有すると共に、前記遠位端が、尿を前記膀胱から前記カテーテルチューブの前記内腔を通して排出するための開口を有するように形成され、前記円筒壁は、前記膀胱内において前記閉鎖先端に近接する地点から前記尿道内におけるその遠位の地点まで長手方向へ実質的に延びる外部流れチャネルを画定する、少なくとも1つの凹んだ領域を有する外面を有するカテーテルチューブと、
前記外部流れチャネルと連通する排出小穴であって、前記閉鎖先端に近接する前記外部流れチャネルの前記地点が前記膀胱内に位置するときに前記排出小穴は前記尿道内または前記膀胱の頸部領域内に位置し、前記排出小穴は、前記外面から前記内腔まで前記カテーテルチューブを貫通するように延び、前記外部流れチャネル内の尿を、前記排出小穴を通して前記内腔へ通過させる少なくとも1つの排出小穴と
を備える導尿カテーテル。
【請求項8】
前記カテーテルチューブの前記円筒壁は、前記閉鎖先端付近の地点から、前記尿道に挿入される前記カテーテルチューブの少なくとも一部に沿って実質的に均一な直径を有する、請求項7に記載の導尿カテーテル。
【請求項9】
前記排出小穴は、前記カテーテルチューブの前記円筒壁に対して凹んだ関係になるように、前記閉鎖先端の遠位に位置する前記外部流れチャネルの端に実質的に位置付けられる、請求項7に記載の導尿カテーテル。
【請求項10】
前記カテーテルチューブの前記近位端にある前記閉鎖先端は実質的に丸まっており、前記導尿カテーテルは、尿を排出するための前記開口を画定する前記カテーテルチューブの前記遠位端と結合する漏斗を含む、請求項7に記載の導尿カテーテル。
【請求項11】
前記円筒壁の前記外面は、前記閉鎖先端と近接する地点から前記少なくとも1つの排出小穴まで延びる別個の外部流れチャネルをそれぞれ画定する少なくとも2つの凹んだ領域を有する、請求項7に記載の導尿カテーテル。
【請求項12】
前記外部流れチャネルはそれぞれ、前記カテーテルチューブの前記外面の周りに実質的に均一に離隔した関係で前記閉鎖先端と近接する地点から長手方向に実質的に延びる、請求項11に記載の導尿カテーテル。
【請求項13】
膀胱から尿を排出するための間欠的導尿カテーテルであって、
近位端及び遠位端を有し、該近位端から該遠位端まで実質的に延びて内部に尿を通す内腔を備えた円筒壁を有するカテーテルチューブを備え、
該カテーテルチューブは、前記近位端が、前記カテーテルチューブを、尿道を通して閉鎖先端が前記膀胱内に位置するまで挿入するための閉鎖先端を有すると共に、前記遠位端が、尿を前記膀胱から前記カテーテルチューブの前記内腔を通して排出するための開口を有するように形成され、
前記円筒壁は、前記膀胱内において前記閉鎖先端に近接する地点から少なくとも1つの排出小穴まで長手方向へ実質的に延びる外部流れチャネルを画定する少なくとも1つの凹んだ領域を有する外面を有し、
前記円筒壁の前記外面は、前記閉鎖先端付近の地点から、尿道に挿入される前記カテーテルチューブの少なくとも一部に沿って実質的に均一な直径を有するように形成され、
前記排出小穴は、前記カテーテルチューブの前記円筒壁に対して凹んだ関係になるように、前記閉鎖先端の遠位に位置する前記流れチャネルの端に実質的に位置付けられ、前記閉鎖先端に近接する前記外部流れチャネルの前記地点が前記膀胱内に位置するときに前記排出小穴は前記尿道内または前記膀胱の頸部領域内に位置し、
前記排出小穴は、前記外面から前記内腔まで前記カテーテルチューブを貫通し、前記流れチャネル内の尿を、前記排出小穴を通して前記内腔へ通過させる間欠的導尿カテーテル。
【請求項14】
前記カテーテルチューブの前記近位端にある前記閉鎖先端は実質的に丸まっており、前記間欠的導尿カテーテルは、尿を排出するための前記開口を画定する前記カテーテルチューブの前記遠位端と結合する漏斗を含む、請求項13に記載の間欠的導尿カテーテル。
【請求項15】
前記円筒壁の前記外面は、前記閉鎖先端と近接する地点から前記少なくとも1つの排出小穴まで延びる別個の外部流れチャネルをそれぞれ画定する少なくとも2つの凹んだ領域を有する、請求項14に記載の間欠的導尿カテーテル。
【請求項16】
前記外部流れチャネルはそれぞれ、前記カテーテルチューブの前記外面の周りに実質的に均一に離隔した関係で前記閉鎖先端と近接する地点から長手方向に実質的に延びる、請求項15に記載の間欠的導尿カテーテル。
【請求項17】
近位端及び遠位端を有し、該近位端から該遠位端まで実質的に延びて内部に尿を通す内腔を備えた円筒壁を有するカテーテルチューブを備え、
該カテーテルチューブは、前記近位端が、前記カテーテルチューブを尿道へ挿入するための閉鎖先端を有すると共に、前記遠位端が、尿を前記カテーテルチューブから排出するための開口を有するように形成され、
前記円筒壁は、前記閉鎖先端に近接する地点から少なくとも1つの排出小穴まで長手方向へ実質的に延びる少なくとも1つの画定された外部流路を有する外面を有し、
前記円筒壁の前記外面は、前記閉鎖先端付近の地点から、尿道に挿入される前記カテーテルチューブの少なくとも一部に沿って実質的に均一な直径を有するように形成され、
前記カテーテルチューブは、前記外部流路を、前記閉鎖先端の遠位に位置するその端の実質的に近くで包囲するように前記円筒壁の前記外面の周りに少なくとも実質的に延びる膨張可能バルーンを有し、
前記排出小穴はそれぞれ、前記膨張可能バルーンの遠位に位置する前記外部流路の端に実質的に位置付けられると共に、前記外面から前記内腔まで前記カテーテルチューブを貫通し、前記外部流路内の尿を、前記排出小穴を通して前記内腔へ通過させるフォーリーカテーテル。
【請求項18】
前記カテーテルチューブの前記近位端にある前記閉鎖先端は実質的に丸まっており、前記フォーリーカテーテルは、尿を排出するための前記開口を画定する前記カテーテルチューブの前記遠位端と結合する漏斗を含む、請求項17に記載のフォーリーカテーテル。
【請求項19】
前記カテーテルチューブの前記外面は少なくとも1つの凹んだ領域を含むように形成され、それによって、前記外部流路は、前記凹んだ領域によって画定されると共に前記閉鎖先端と近接する地点から前記少なくとも1つの排出小穴まで延びるチャネルを有する、請求項18に記載のフォーリーカテーテル。
【請求項20】
それぞれが前記カテーテルチューブの前記外面の周りに実質的に均一に離隔した関係で前記閉鎖先端と近接する地点から長手方向に実質的に延びる少なくとも2つの流れチャネルを含む、請求項19に記載のフォーリーカテーテル。
【請求項21】
前記膨張可能バルーンは、膨張すると前記カテーテルチューブを完全に囲むことによって前記流れチャネルを完全に囲み、膀胱から尿を排出するために前記カテーテルチューブを膀胱内の適切な位置に固定する、請求項20に記載のフォーリーカテーテル。
【請求項22】
前記膨張可能バルーンは、膨張すると、前記カテーテルチューブの前記遠位端付近から前記内腔を通過する細菌への暴露のために前記排出小穴が上皮細胞に近接するように、前記カテーテルチューブを固定する、請求項17に記載のフォーリーカテーテル。
【請求項23】
近位端及び遠位端を有し、該近位端から該遠位端まで実質的に延びて内部に尿を通す内腔を備えた円筒壁を有するカテーテルチューブを備え、
該カテーテルチューブは、前記近位端が、前記カテーテルチューブを尿道へ挿入するための閉鎖先端を有すると共に、前記遠位端が、尿を前記カテーテルチューブから排出するための開口を有するように形成され、
前記円筒壁は、前記閉鎖先端に近接する地点からその遠位に位置する排出小穴まで長手方向へ実質的に延びる少なくとも1つの画定された外部流路を有する外面を有し、
前記円筒壁の前記外面は、前記閉鎖先端付近の地点から、尿道に挿入される前記カテーテルチューブの少なくとも一部に沿って実質的に均一な直径を有するように形成され、
前記カテーテルチューブは、前記円筒壁の前記外面の周りに全体的にではないが延びると共に前記円筒壁の前記外面から離隔する隣接したローブを有する膨張可能バルーンを有し、前記円筒壁の前記外面と前記隣接したローブとの間の空間として前記外部流路を画定し、
前記排出小穴は、前記膨張可能バルーンの遠位に位置する前記外部流路の端に実質的に位置付けられると共に、前記外面から前記内腔まで前記カテーテルチューブを貫通し、前記流路内の尿を、前記排出小穴を通して前記内腔へ通過させるフォーリーカテーテル。
【請求項24】
前記円筒壁の前記外面の周りに少なくとも実質的に共に延びると共に前記円筒壁の前記外面から離隔する隣接したローブの対を共に有する少なくとも1対のバルーンであって、前記隣接したローブの対がそれぞれ、前記円筒壁の前記外面と前記隣接したローブとの間の空間に外部流路を形成する少なくとも1対のバルーンと、
前記外部流路の少なくとも1つの端に実質的に位置付けられる前記排出小穴と
を含む、請求項23に記載のフォーリーカテーテル。
【請求項25】
少なくとも2つの位置で前記円筒壁の前記外面に取り付けられた連続的な区域を有すると共に該連続的な区域が取り付けられていない位置で前記円筒壁の前記外面から離隔する隣接したローブの2つ以上の対を有するバルーンであって、前記隣接したローブの対がそれぞれ、前記円筒壁の前記外面と前記隣接したローブとの間の空間に外部流路を形成するバルーンと、
前記外部流路の少なくとも1つの端に実質的に位置付けられる前記排出小穴と
を含む、請求項23に記載のフォーリーカテーテル。
【請求項26】
2つ以上の別個のバルーンを含み、
該バルーンは、前記円筒壁の前記外面の周りに全体的に共に延びると共に前記円筒壁の前記外面から離隔する隣接したローブの2つ以上の対を有し、前記円筒壁の前記外面と前記隣接したローブの対との間の空間として2つ以上の外部流路を画定する、請求項23に記載のフォーリーカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包括的には身体から流体を排出するためのカテーテルに関し、1つの特定の用途においては、膀胱から尿を排出するための導尿カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの場合において、健康管理に付属するものとしてカテーテル法が重要であり得ることが一般的に公知である。カテーテル法は、体腔から流体を排出する場合であることが知られており、特に、膀胱から尿を排出する役割を果たす導尿カテーテルと関連した場合であることが知られている。膀胱の正常な排液は、泌尿器の健康のために重要な機能であることが十分に認識されている。
【0003】
泌尿器系の異常を患う人にとって、間欠的カテーテル法が良好な選択肢であることが分かっている。そのような異常を患う人は多くの場合、膀胱から尿を排出するために、個別に包装された滅菌カテーテルを定期的に使用することが望ましいことが分かっている。間欠的カテーテルの重要な基準の中でもより重要な基準は、カテーテルが膀胱を完全に排液することである。
【0004】
同様に、実質的に寝たきりの多くの患者にとっては留置カテーテル法が良好な選択肢であることが知られている。長期間入院している患者、及び様々な理由から動くことができない患者は、多くの場合、フォーリーカテーテルの使用の恩恵を受ける。通常、フォーリーカテーテルは、最高約30日間の期間、適所に留めることが健康管理提供者によって推奨される。
【0005】
間欠的カテーテルと同様に、フォーリーカテーテルは、良好な泌尿器の健康を維持するために膀胱の実質的に完全な排液を確実にすることが重要である。
【0006】
残念ながら、膀胱内の残尿を最小限に抑えることは、間欠的カテーテルの実質的に正確な位置付けに左右されるが、この位置付けは多くの場合確実にすることが難しい。特に、最大量の尿を除去することを比較的確かなものとするために、膀胱の内側頸部に対して間欠的カテーテルの下側の小穴(eye)を正確に位置付ける必要がある。しかしながら、さらに、膀胱の頸部領域の軟組織が時々、小穴の中に吸い込まれる傾向があるため、膀胱を完全に排液することを困難にしている。
【0007】
その結果、間欠的カテーテルは、位置付け/取出しの問題、及び小穴の閉塞の問題の両方を呈し、実質的に完全な膀胱の排液を確実にする上で困難を引き起こす。
【0008】
フォーリーカテーテルに関しては、通常はカテーテルの小穴において始まり、小穴の真下のカテーテル内腔内に延びる結晶の蓄積から堆積(encrustation)の問題が生じる。これと関連して、この堆積は、フォーリーカテーテルを完全に閉塞することにつながる可能性があり、推奨される時間よりもかなり前にカテーテル交換が必要となることが分かっている。
【0009】
その結果、間欠的カテーテル及びフォーリーカテーテルの両方には、完全な膀胱の排液を確実にする能力に関する問題があり、それによって、間欠的カテーテル及びフォーリーカテーテルが、良好な泌尿器の健康を確実にする上で完全に効果的なものではなくなる。
【発明の概要】
【0010】
従って、本開示は、
膀胱から尿を排出するためのカテーテルであって、近位端及び遠位端を有し、近位端から遠位端まで実質的に延びて内部に尿を通す内腔を備えた円筒壁を有するカテーテルチューブ
であって、カテーテルチューブの円筒壁は、近位端が有する閉鎖先端付近の地点から、体腔に挿入されるカテーテルチューブの少なくとも一部に沿って実質的に均一な直径を有し、カテーテルチューブは、近位端が、カテーテルチューブを
、尿道を通して閉鎖先端が膀胱内に位置するまで挿入するための閉鎖先端を有すると共に、遠位端が、尿を膀胱からカテーテルチューブの内腔を通して排出するための開口を有するように形成され、円筒壁は、
膀胱内において閉鎖先端に近接する地点から
尿道内におけるその遠位の地点まで長手方向へ実質的に延びる、少なくとも1つの
画定された外部流路を有する外面を有するカテーテルチューブと、外部流路と連通する排出小穴であって、閉鎖先端に近接する外部流路の地点が膀胱内に位置するときに排出小穴は尿道内または膀胱の頸部領域内に位置し、排出小穴は、外面から内腔までカテーテルチューブを貫通するように延び、外部流路内の
尿を、排出小穴を通して内腔へ通過させる
少なくとも1つの排出小穴とを備える。
【0011】
本開示は、膀胱から尿を排出するための導尿カテーテルであって、近位端及び遠位端を有し、近位端から遠位端まで実質的に延びて内部に尿を通す内腔を備えた円筒壁を有するカテーテルチューブであって、カテーテルチューブの円筒壁は、近位端が有する閉鎖先端付近の地点から、体腔に挿入されるカテーテルチューブの少なくとも一部に沿って実質的に均一な直径を有し、カテーテルチューブは、近位端が、カテーテルチューブを、尿道を通して閉鎖先端が膀胱内に位置するまで挿入するための閉鎖先端を有すると共に、遠位端が、尿を膀胱からカテーテルチューブの内腔を通して排出するための開口を有するように形成され、円筒壁は、膀胱内において閉鎖先端に近接する地点から尿道内におけるその遠位の地点まで長手方向へ実質的に延びる外部流れチャネルを画定する、少なくとも1つの凹んだ領域を有する外面を有するカテーテルチューブと、外部流れチャネルと連通する排出小穴であって、閉鎖先端に近接する外部流れチャネルの地点が膀胱内に位置するときに排出小穴は尿道内または膀胱の頸部領域内に位置し、排出小穴は、外面から内腔までカテーテルチューブを貫通するように延び、外部流れチャネル内の尿を、排出小穴を通して内腔へ通過させる少なくとも1つの排出小穴とを備える。
【0012】
本開示は、膀胱から尿を排出するための間欠的導尿カテーテルであって、近位端及び遠位端を有し、近位端から遠位端まで実質的に延びて内部に尿を通す内腔を備えた円筒壁を有するカテーテルチューブを備え、カテーテルチューブは、近位端が、カテーテルチューブを、尿道を通して閉鎖先端が膀胱内に位置するまで挿入するための閉鎖先端を有すると共に、遠位端が、尿を膀胱からカテーテルチューブの内腔を通して排出するための開口を有するように形成され、円筒壁は、膀胱内において閉鎖先端に近接する地点から少なくとも1つの排出小穴まで長手方向へ実質的に延びる外部流れチャネルを画定する少なくとも1つの凹んだ領域を有する外面を有し、円筒壁の外面は、閉鎖先端付近の地点から、尿道に挿入されるカテーテルチューブの少なくとも一部に沿って実質的に均一な直径を有するように形成され、排出小穴は、カテーテルチューブの円筒壁に対して凹んだ関係になるように、閉鎖先端の遠位に位置する流れチャネルの端に実質的に位置付けられ、閉鎖先端に近接する外部流れチャネルの地点が膀胱内に位置するときに排出小穴は尿道内または膀胱の頸部領域内に位置し、排出小穴は、外面から内腔までカテーテルチューブを貫通し、流れチャネル内の尿を、排出小穴を通して内腔へ通過させる。
【0013】
本開示は、フォーリーカテーテルであって、近位端及び遠位端を有し、近位端から遠位端まで実質的に延びて内部に尿を通す内腔を備えた円筒壁を有するカテーテルチューブを備え、カテーテルチューブは、近位端が、カテーテルチューブを尿道へ挿入するための閉鎖先端を有すると共に、遠位端が、尿をカテーテルチューブから排出するための開口を有するように形成され、円筒壁は、閉鎖先端に近接する地点から少なくとも1つの排出小穴まで長手方向へ実質的に延びる少なくとも1つの画定された外部流路を有する外面を有し、円筒壁の外面は、閉鎖先端付近の地点から、尿道に挿入されるカテーテルチューブの少なくとも一部に沿って実質的に均一な直径を有するように形成され、カテーテルチューブは、外部流路を、閉鎖先端の遠位に位置するその端の実質的に近くで包囲するように円筒壁の外面の周りに少なくとも実質的に延びる膨張可能バルーンを有し、排出小穴はそれぞれ、膨張可能バルーンの遠位に位置する外部流路の端に実質的に位置付けられると共に、外面から内腔までカテーテルチューブを貫通し、外部流路内の尿を、排出小穴を通して内腔へ通過させる。
【0014】
本開示は、フォーリーカテーテルであって、近位端及び遠位端を有し、近位端から遠位端まで実質的に延びて内部に尿を通す内腔を備えた円筒壁を有するカテーテルチューブを備え、カテーテルチューブは、近位端が、カテーテルチューブを尿道へ挿入するための閉鎖先端を有すると共に、遠位端が、尿をカテーテルチューブから排出するための開口を有するように形成され、円筒壁は、閉鎖先端に近接する地点からその遠位に位置する排出小穴まで長手方向へ実質的に延びる少なくとも1つの画定された外部流路を有する外面を有し、円筒壁の外面は、閉鎖先端付近の地点から、尿道に挿入されるカテーテルチューブの少なくとも一部に沿って実質的に均一な直径を有するように形成され、カテーテルチューブは、円筒壁の外面の周りに全体的にではないが延びると共に円筒壁の外面から離隔する隣接したローブを有する膨張可能バルーンを有し、円筒壁の外面と隣接したローブとの間の空間として外部流路を画定し、排出小穴は、膨張可能バルーンの遠位に位置する外部流路の端に実質的に位置付けられると共に、外面から内腔までカテーテルチューブを貫通し、流路内の尿を、排出小穴を通して内腔へ通過させる。
【0016】
本開示の他の目的、特徴及び利点は、添付の図面と併せて以下の明細書を検討することによって明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示による画定された外部流路を有する間欠的カテーテルの平面図である。
【
図1A】
図1の線1A−1Aに沿った間欠的カテーテルの断面図である。
【
図2】画定された外部流路及び排出小穴を示す、
図1の間欠的カテーテルの近位端の平面図である。
【
図3】
図2の間欠的カテーテルの近位端の側部立面図である。
【
図4】
図2の線4−4に沿った間欠的カテーテルの断面図である。
【
図5】膀胱内の適切な位置にある間欠的カテーテルの概略図である。
【
図6】本開示による画定された外部流路を有するフォーリーカテーテルの平面図である。
【
図7A】膀胱内の適切な位置にある従来のフォーリーカテーテルの内腔を通る細菌の経路を示す断面図である。
【
図7B】膀胱内の適切な位置にある
図6のフォーリーカテーテルの内腔を通る細菌の経路を示す断面図である。
【
図8A】本開示による画定された外部流路を有する別のフォーリーカテーテルの実施形態の断面図である。
【
図8B】画定された外部流路を示す、膀胱内の適切な位置にある
図8Aのフォーリーカテーテルの平面図である。
【
図9A】本開示による画定された外部流路を有する別のフォーリーカテーテルの実施形態の断面図である。
【
図9B】カテーテル及びバルーンに対して画定された外部流路を示す、
図9Aのフォーリーカテーテルの平面図である。
【
図10】膀胱内の適切な位置にある複数のローブを備えたバルーンを有する別のフォーリーカテーテルの実施形態の概略図である。
【
図10A】2つのローブを有するバルーンのバージョンを示す
図10のフォーリーカテーテルの断面図である。
【
図10B】3つのローブを有するバルーンのバージョンを示す
図10のフォーリーカテーテルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
与えられている図面において、また、最初に
図1を参照すると、参照符号10は概して本開示によるカテーテルを示している。カテーテル10は、近位端14及び遠位端16を有し、近位端14から遠位端16まで実質的に延びて内部に流体を通す内腔20(
図3を参照のこと)を備えた円筒壁18を有するカテーテルチューブ12を備えている。
図1及び
図1Aに示すように、カテーテルチューブ12は、近位端14が、カテーテルチューブを体腔へ挿入するための閉鎖先端22を有すると共に、遠位端16が、流体を体腔からカテーテルチューブ12の内腔を通して排出するための開口24を有するように形成されている。
【0019】
図1〜
図5を参照すると、円筒壁18は、閉鎖先端22に近接する地点からその遠位の地点まで長手方向へ実質的に延びる、少なくとも1つの画定された外部流路26を有する外面を有することが分かる。本明細書において使用する場合、「画定された外部流路」という用語は、カテーテルと連通する構造の結果として、1つの地点から別の地点への流体の通過に対応することが具体的に意図される経路を意味するものと理解される。具体的には
図3を参照すると、少なくとも1つの排出小穴28が、画定された外部流路26と連通し、外面から内腔20までカテーテルチューブ12を貫通し、外部流路26内の流体を、排出小穴28を通して内腔20へ通過させる。
【0020】
図1〜
図5に示されるように、カテーテル10は間欠的導尿カテーテルとして最適なものであり、この場合、カテーテルチューブ12の円筒壁18は、閉鎖先端22付近の地点から、尿道に挿入されるカテーテルチューブ12の少なくとも一部に沿って実質的に均一な直径を有するように形成される(
図1〜
図4を参照のこと)。同様に
図1〜
図5から分かるように、排出小穴28はそれぞれ、外部流路26の端に実質的に位置付けられ、外部流路26はこの実施形態では、閉鎖先端22の遠位に位置する円筒壁18の凹んだ領域によって画定されるため、カテーテルチューブ12の円筒壁に対して凹んでいる。
【0021】
図1〜
図5に示される実施形態では、排出小穴28はそれぞれ、外部流路26の端に実質的に示されているが、排出小穴28は代替的に、外部流路26を画定する円筒壁18の凹んだ領域に沿って任意の地点に位置付けられてもよいことが理解される。
【0022】
図1を参照すると、カテーテルチューブ12の近位端14にある閉鎖先端22は実質的に丸まっており、漏斗30が、尿を排出するための開口24と連通するカテーテルチューブ12の遠位端16と結合している。また、
図3及び
図4から、この実施形態において、円筒壁18の外面は、少なくとも2つの凹んだ領域を含むように形成されるのが好ましく、該領域はそれぞれ、閉鎖先端22と近接する地点から排出小穴28まで延びるチャネルの形態の別個の外部流路26を画定することが分かるであろう。
図3に示されるように、流れチャネル26はそれぞれ、カテーテルチューブ12の外面の周りに実質的に均一に離隔した関係で、閉鎖先端22と近接する地点から長手方向に実質的に延びている(
図4も参照のこと)。
【0023】
図3に関して、流れチャネルは、直線的に延びるものとして示されていることが分かるが、本開示の利点を提供するためには直線的に延びる必要はなく、例えば流れチャネルは、閉鎖先端22と近接する地点から長手方向に実質的に延びるのであれば、螺旋形状又は任意の他の形状をとってもよい。
【0024】
間欠的カテーテル10の場合、流れチャネル26及び排出小穴28は、流れチャネルを閉鎖先端22の近くに組み込むことにより、排出小穴28が流れチャネル26内の尿を内腔20内へ通過させることによって、膀胱を完全に排液するか又は膀胱内の残尿の保持を少なくとも最小限に抑えることを可能にする。尿が流れ始めるまで間欠的カテーテル10を尿道へ挿入することによって、流れチャネル26は、排出小穴28が尿道内又は膀胱の頸部にあるものの流れチャネル26内で凹んだ状態で膀胱内に適切に位置付けられており、この場合、流れチャネル26及び排出小穴28は、膀胱の軟組織によって閉塞されない(
図5を参照のこと)。
【0025】
換言すると、流れチャネル26の近位端は膀胱内に好適に位置付けられるため、排出小穴28が尿道内に位置付けられていても、尿は、流れチャネル26に沿って排出小穴28まで流れることができ、また、排出小穴28は流れチャネル26内で凹んでいるため、カテーテルを正確に位置付けることなく、又は排出小穴28が軟組織で閉塞されることを心配することなく、流れチャネル26内の尿がカテーテルチューブ12を通って内腔20まで流れることを可能にする。
【0026】
図6を参照すると、フォーリーカテーテル110は、近位端114及び遠位端116を有し、近位端114から遠位端116まで実質的に延びて内部に尿を通す内腔120を備えた円筒壁118を有するカテーテルチューブ112を備えている。カテーテルチューブ112は、近位端114が、カテーテルチューブ112を尿道へ挿入するための閉鎖先端122を有すると共に、遠位端116が、尿をカテーテルチューブ112から排出するための開口124を有するように形成されている。
図6をさらに参照すると、円筒壁118は、閉鎖先端122に近接する地点から少なくとも1つの排出小穴128まで長手方向へ実質的に延びる少なくとも1つの画定された外部流路126を有する外面を有することが分かる。
【0027】
導尿カテーテル10と同様に、カテーテルチューブ112の円筒壁118は、閉鎖先端122付近の地点から、尿道に挿入されるカテーテルチューブ112の少なくとも一部に沿って実質的に均一な直径を有するように形成されている。さらに、フォーリーカテーテル110は、外部流路126を、閉鎖先端122の遠位に位置するその端の実質的に近くで包囲するように円筒壁118の外面の周りに延びる膨張可能バルーン140も有している。
【0028】
図6に示されるように、排出小穴128はそれぞれ、カテーテルチューブ112の円筒壁118に対して凹んだ関係になるように、膨張可能バルーン140の遠位に位置する外部流路126の端に実質的に位置付けられている。加えて、排出小穴128はそれぞれ、外面から内腔120までカテーテルチューブ112を貫通し、外部流路126内の尿を、排出小穴128を通して内腔120へ通過させる。
【0029】
図6に示される実施形態では、排出小穴128はそれぞれ、外部流路126の端に実質的に示されているが、排出小穴128は代替的に、外部流路126を画定する円筒壁118の凹んだ領域に沿って任意の地点に位置付けられてもよいことが理解される。
【0030】
間欠的カテーテル10と同様に、フォーリーカテーテル110は、カテーテルチューブ112の近位端114にある閉鎖先端122が実質的に丸まっているように形成され、漏斗130が、尿を排出するための開口124と連通するカテーテルチューブの遠位端116と結合している。また、間欠的カテーテル10と同様に、フォーリーカテーテル110は、少なくとも1つの、好ましくは2つ以上の凹んだ領域を含むように形成されるのが好ましく、該領域はそれぞれ、閉鎖先端122と近接する地点から排出小穴128まで延びるチャネルの形態の別個の外部流路を画定する。さらに、流れチャネル126はそれぞれ、実質的に
図3に示されるように、カテーテルチューブ112の外面の周りに実質的に均一に離隔した関係で、閉鎖先端122と近接する地点から長手方向に実質的に延びている。さらに、フォーリーカテーテル110は、この実施形態では、膨張可能バルーン140がドーナツ形状を有すると共に、膨張したときにカテーテルチューブ112を完全に囲むことによって流れチャネル126を囲むように形成されている。
【0031】
フォーリーカテーテル110の場合、堆積の傾向があるカテーテルを患者の適所に入れたままにすることができる期間を長くすることができる。公開されている研究によると、不規則な小穴の表面が容易にコロニー形成され、結晶性細菌バイオフィルムによって閉塞されることが示唆されている。流れチャネル126及び排出小穴128の場合、バイオフィルムが形成されて堆積が生じる傾向が減る。
【0032】
図7Aを参照すると、従来のフォーリーカテーテルが、バルーンを膨張させた状態で膀胱内の適切な位置に示されている。尿路内の上皮(又は表面)細胞層132は、(矢印によって示されるように)細菌がカテーテルの内腔及び排出小穴を通過することによって、膀胱に達することのできる細菌から実質的に隔離されることに留意されたい。残念ながら、細菌が上皮細胞層132に達することができないことは、尿路の保護にとって不利となる。
【0033】
より具体的には、上皮細胞は、上皮細胞内に内因性抗生物質であるカテリシジンが存在することによって、自然の化学的な防御系を提供する。この抗生物質は、通常は低濃度で存在するが、細菌が付着すると、上皮細胞はカテリシジンの産生及び放出を迅速に増大させる。したがって、上皮のカテリシジンは、尿路を保護するために重要な防御となるが、細菌が膀胱内へ直接通過することによってこの事実を利用することができない。
【0034】
ここで
図7Bを参照すると、(矢印によって示されるように)細菌が膀胱へ近づく経路は、上皮細胞層132に近接していることが分かる。本開示に従って構成されたフォーリーカテーテル110の場合、細菌は、カテーテルチューブ112の内腔120を通ってから、排出小穴128と流路すなわち流れチャネル126とを通るため、上皮細胞層132と容易に接触する。その結果、細菌と上皮細胞層132との接触は、上皮細胞層の自然の化学的な防御系が働いて尿路に保護を与えることを可能にする。
【0035】
図8A及び
図8Bを参照すると、フォーリーカテーテル110’の別の実施形態は、近位端及び遠位端を有し、近位端から遠位端まで実質的に延びる内腔120’を備えた円筒壁118’を有するカテーテルチューブ112’を備えている。これは多くの点においてフォーリーカテーテル110と同様であるが、カテーテルチューブ112’が、円筒壁118’の外面の周りに全体的にではないが実質的に延びる膨張可能バルーン140’を有し、円筒壁118’の外面から離隔して、円筒壁118’の外面との間の空間として外部流路126’を画定する隣接したローブ140a’及び140b’を有するという点において差異も有する。加えて、排出小穴128a’は、膨張可能バルーン140’の遠位に位置する画定された外部流路126’の端においてカテーテルチューブ112’を実質的に貫通し、外部流路内の尿を、排出小穴を通して内腔へ通過させる。
【0036】
図8A及び
図8Bに示される実施形態の場合、図面に示されるような所望の膨張形状を達成するために、バルーン140’を様々な肉厚にすることができる。バルーン140’はとぎれており、すなわち、カテーテルチューブ112’の周りを360度完全に包むわけではなく、それによって、肉厚を調整することによって制御することのできる隣接したローブ140a’及び140b’が突出する結果として、画定された外部流路126’を提供する。ローブ140a’及び140b’の区域において膨張可能バルーンの壁をより厚くすることによって、より薄い壁を有する膨張可能バルーンの大部分がそのひずみ限界に達する一方、より厚い壁が拡張し続ける。
【0037】
ローブ140a’及び140b’のより厚い壁がバルーンの大部分に対して拡張し続けるため、膨張によって図示された形状のローブを形成することが可能であり、これがさらに、画定された外部流路126’を形成する。
【0038】
所望であれば、フォーリーカテーテル110’は、閉鎖先端122’の遠位であるがバルーン140’の近位に位置する排出開口128b’も有することができる。
【0039】
さらなる代替形態として(
図9A及び
図9Bを参照のこと)、110’’のようなフォーリーカテーテルは、円筒壁118’’の外面の周りに連続的且つ完全に延びる140’’のようなバルーンを含むことができる。バルーン140’’は、
図9Bに最もよく示されるように、118a’’及び118b’’のような1つ又は複数の位置で円筒壁118’’の外面に取り付けることができるが、そうでなければ、膨張したときに126’’のような流路を画定するように円筒壁118’’の外面から離隔していてもよい。2つの取り付け地点の結果として2つの外部流路126’’を形成するように示されているが、バルーン140’’は、1つ、2つ又はそれ以上のそのような流路を形成するように取り付けてもよいことが理解される。
【0040】
特に、126’’のような流路は、バルーン140’’が取り付けられていない円筒壁118’’と、膨張したときにバルーン140’’の内向きに面する壁(又は複数の壁)140a’’との間の空間(又は複数の空間)によって画定される。
【0041】
また、さらなる代替形態として(
図10、
図10A及び
図10Bを参照のこと)、110’’’のようなフォーリーカテーテルは、140’’’のような複数のローブを有するバルーンを含むことができ、この場合、ローブを有するバルーンは、円筒壁118’’’の外面の周りに実質的に延びている。
図10において概して140’’’として指定されるバルーンは、2つ以上の一体型バルーンセグメントを有する1つのバルーンを備えるが、2つ、3つ又はそれ以上の別個のバルーンを備えてもよい。ただし、それぞれの場合において、バルーンは、
図10Aに示されるように隣接したローブ140a’’’及び140b’’’の2つの対、
図10Bに示されるように隣接したローブ140a’’’及び140b’’’の3つの対等を有するように形成することができる。バルーンが別個のバルーンを含む場合、これらを2つの位置118a’’’及び118b’’’(
図10A)、118a’’’と118b’’’と118c’’’とのような3つの位置(
図10B)等で円筒壁118’’の外面に取り付けることができる。
【0042】
バルーン140’’’は、別個のバルーンから形成することができるが、
図10に示されるように、2つ以上の一体型バルーンセグメントを有する単一のバルーンとして形成するときに、バルーン「ヘッダ」すなわち「マニホルド」を画定するように、連続的な区域142’’’を有することができる。バルーン140’’’はまた、所望の数の外部流路126’’’を形成するために用いる隣接したローブの対の数に応じて、円筒壁118’’’の外面の2つ以上の位置に取り付けることができる。連続的な区域142’’’を設けることによって、円筒壁118’’’を囲む連続的なバルーン構造が存在することになり、これは、バルーン140’’’を均一に膨張させることと、均一な外部流路126’’’を形成することとに有利であり得る。
【0043】
フォーリーカテーテルの円筒壁の外面と協働して外部流路を画定すなわち形成するバルーンを用いる実施形態の場合、128a’(
図8B)又は128a’’(
図9A)又は128a’’’(
図10)のような排出小穴は、それぞれの閉鎖先端122’、122’’及び122’’’並びにそれぞれのバルーン140’、140’’及び140’’’の遠位に位置するように、それぞれの画定された外部流路126’、126’’及び126’’’の1つ又は複数の端に実質的に位置付けられる。
【0044】
本開示の理解の目的で、間欠的導尿カテーテル及びフォリータイプの導尿カテーテルの両方を詳細に説明したが、本明細書に記載されるカテーテル構造は、任意の体腔から流体を排出する排液カテーテルとして広範な適用性を有することが理解されるであろう。
【0045】
上記開示は、好ましい開示の詳細な説明を記載するが、添付の特許請求の範囲に記載される開示の真の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書において与えられる詳細を変えることができることを当業者は理解するであろう。