特許第5656817号(P5656817)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立アプライアンス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5656817-洗濯機 図000002
  • 特許5656817-洗濯機 図000003
  • 特許5656817-洗濯機 図000004
  • 特許5656817-洗濯機 図000005
  • 特許5656817-洗濯機 図000006
  • 特許5656817-洗濯機 図000007
  • 特許5656817-洗濯機 図000008
  • 特許5656817-洗濯機 図000009
  • 特許5656817-洗濯機 図000010
  • 特許5656817-洗濯機 図000011
  • 特許5656817-洗濯機 図000012
  • 特許5656817-洗濯機 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5656817
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/10 20060101AFI20141225BHJP
   D06F 39/08 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
   D06F39/10 E
   D06F39/08 311C
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-282619(P2011-282619)
(22)【出願日】2011年12月26日
(65)【公開番号】特開2013-132304(P2013-132304A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立アプライアンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
【審査官】 村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−035748(JP,A)
【文献】 特開2006−271891(JP,A)
【文献】 特開2005−058779(JP,A)
【文献】 特開2006−204717(JP,A)
【文献】 特開2005−185314(JP,A)
【文献】 特開2006−255326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/10
D06F 39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯水を溜める外槽と、この外槽内に回転可能に設けた洗濯兼脱水槽である内槽と、前記外槽内に前記洗濯水を給水する給水機構と、前記外槽内の洗濯水を排水する排水機構と、この排水機構に異物捕集装置を備え、
前記異物捕集装置は、前記外槽底部から前記洗濯水が流入する入水口及び前記洗濯水が流出する出水口が形成されたフィルタケースと、先端のハンドルを回動させることにより前記フィルタケースに対し軸方向に摺動して着脱されるフィルタ体を有し、
前記フィルタ体に取り付けられた環状弾性体の外周面が、前記フィルタケースの内周面と接触することにより水密を保つ洗濯機において、
前記フィルタケースの軸方向の所定位置であって、周方向の一部内面に凹部を設け、
前記フィルタ体が最も奥側に装着されて水密が保たれた状態から、前記ハンドルを回動させて手前側の所定の位置まで前記フィルタ体を摺動させたときに、前記環状弾性体が前記凹部の位置に至り、前記凹部から前記洗濯水が流れ出すことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1において、前記環状弾性体が前記凹部の位置に至った後、更に前記ハンドルを回動させて手前側の所定の位置まで前記フィルタ体を摺動させると、前記凹部以外からも前記洗濯水が流れ出すことを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項1において、前記フィルタ体が最も奥側に装着されて水密が保たれた状態から、前記ハンドルを90度〜180度回動させた場合に、前記凹部から前記洗濯水が流れることを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項1において、前記外槽底部に溜めた洗濯水を前記洗濯兼脱水槽内へ循環する洗濯水循環機構を有することを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水中に流れるリントなどの異物を捕集する捕集装置を有する洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、洗濯兼脱水槽より排水される際に排水中に含まれている異物を捕集するための捕集装置として、フィルタ体を備えた洗濯機が利用されている。このフィルタ体は、洗濯運転を繰り返し利用するうちにリント等により目詰まりを生じるため、フィルタケースに対して着脱可能とし、取り外したフィルタ体のリント等を除去して再装着できるように構成したものが一般的である。
【0003】
しかし、このフィルタ体がフィルタケースに対して確実に装着できていない状態で洗濯機の運転を開始すると、洗濯機の外部へ漏水を起こしてしまう。これを防止するために、下記特許文献1には、フィルタ体が装着されているか否かを検知するスイッチを設け、装着されていることを検知した場合に、洗濯機の運転を開始できるように制御することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−255326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の洗濯機では、例えば、洗濯運転中に顧客が洗濯機の電源を切り、洗濯機内に洗濯水が溜まっている状態で誤ってフィルタ体を取り外した場合、スイッチが機能せず、内部の大量の洗濯水が一気に漏れ出し、洗濯機周辺が浸水してしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するものであり、洗濯機の電源が入っていないときにフィルタ体を取り外そうとした場合でも、洗濯機内に溜まっている洗濯水が一気に漏れ出すのを防ぐ洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
洗濯水を溜める外槽と、この外槽内に回転可能に設けた洗濯兼脱水槽である内槽と、前記外槽内に前記洗濯水を給水する給水機構と、前記外槽内の洗濯水を排水する排水機構と、この排水機構に異物捕集装置を備え、前記異物捕集装置は、前記外槽底部から前記洗濯水が流入する入水口及び前記洗濯水が流出する出水口が形成されたフィルタケースと、先端のハンドルを回動させることにより前記フィルタケースに対し軸方向に摺動して着脱されるフィルタ体を有し、前記フィルタ体に取り付けられた環状弾性体の外周面が、前記フィルタケースの内周面と接触することにより水密を保つ洗濯機において、前記フィルタケースの軸方向の所定位置であって、周方向の一部内面に凹部を設け、前記フィルタ体が最も奥側に装着されて水密が保たれた状態から、前記ハンドルを回動させて手前側の所定の位置まで前記フィルタ体を摺動させたときに、前記環状弾性体が前記凹部の位置に至り、前記凹部から前記洗濯水が流れ出すように構成した。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、洗濯機の電源が入っていないときにフィルタ体を取り外そうとした場合でも、初めに少量の洗濯水が流れることにより、使用者に水漏れの注意を喚起し、洗濯機内に溜まっている多量の洗濯水が一気に漏れ出すのを防ぐ洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のドラム式洗濯乾燥機を示す外観図である。
図2】本発明のドラム式洗濯乾燥機の概略構造を、側板を外して示した側面図である。
図3】本発明のドラム式洗濯機の概略構造を、上カバーを外して示した上面図である。
図4図2における外槽と洗濯兼脱水槽のA−A断面図である。
図5】外槽及び洗濯兼脱水槽の底部を示す縦断面図である。
図6図5における外槽と洗濯兼脱水槽のB−B断面図である。
図7】蒸気弁の縦断面図である。
図8】循環ポンプ、フィルタケース及び配管系を示す斜視図である。
図9】循環ポンプとフィルタケースの接続部を示す上面図である。
図10図9におけるフィルタケースとフィルタ体のC−C断面図である。
図11】ハンドルをフィルタケースに完全取付状態から90度取り外し方向に回転させたときの、図9におけるフィルタケースとフィルタ体のC−C断面図である。
図12】フィルタケースの溝形状外略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図1図7を参照して説明する。
【0011】
図1は本発明の一実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機の外観図である。図2は内部の構造を示す側面図、図3は内部の構造を示す平面図(上補強材36の一部を切断して示している)、図4図2の2点鎖線で切断し矢印A−Aから見た断面図、図5は外槽底部の断面図、図6図5の2点鎖線で切断し矢印B−Bからみた断面図である。
【0012】
外郭を構成する筐体1は、ベース1hの上に取り付けられており、左右の側板1a,1b,前面カバー1c,背面カバー1d,上面カバー1e,下部前面カバー1fで構成されている。左右の側板1a,1bは、コの字型の上補強材36,前補強材37,後補強材(図示せず)で結合しており、ベース1hを含めて箱状の筐体1を形成し、筐体として十分な強度を有している。
【0013】
前面カバー1cの略中央には、衣類を出し入れするための投入口を塞ぐドア9が設けられており、前補強材37に設けたヒンジ9cによって、ドア9が開閉可能に支持されている。ドア開放ボタン9dを押すとロック機構(図示せず)が外れてドア9が開き、ドア9を前面カバー1cに押し付けることでロックされて閉じる。前補強材37は、後述する外槽2の開口部と同心に、衣類を出し入れするための円形の開口部を有している。
【0014】
筐体1の上部中央には操作パネル6が設けられており、この操作パネル6は電源スイッチ39,操作ボタン12,13,表示器14を備えている。また、操作パネル6は、筐体1下部に設けた制御装置38と電気的に接続している。
【0015】
洗剤容器19は、筐体1内の上部左側に位置し、筐体1の上補強材36に固定されており、上部および前部に開口を有している。この洗剤容器19の前部開口19bから、引き出し式の洗剤トレイ7が装着されるように構成されており、洗剤類を入れる場合は、洗剤トレイ7を図1の2点鎖線で示すように引き出す。また、洗剤容器19の左側面、やや後方に出水口19aを有しており、洗剤容器19底面は出水口19aの位置が最も低くなるようなすり鉢状に形成されている。
【0016】
洗剤容器19の後ろ側には、給水電磁弁16や風呂水給水ポンプ17,水位センサ34など給水に関連する部品を設けてある。洗剤容器19の上部開口19cには、給水電磁弁16を取り付けた給水ユニット15を備える。上面カバー1eには、水道栓からの給水ホース接続口16a,風呂の残り湯の吸水ホース接続口17aが設けてある。
【0017】
内槽たる洗濯兼脱水槽3は、回転可能に支持された円筒状のドラム構造となっており、その外周壁および底壁に通水および通風のための多数の貫通孔3bを有し、前側端面に衣類を出し入れするための開口部3aを設けてある。開口部3aの外側には洗濯兼脱水槽3と一体の流体バランサ3cを備えている。また、洗濯兼脱水槽3の回転中心軸は、水平または開口部側が高くなるように傾斜している。
【0018】
洗濯水を溜める外槽2は、円筒状であり、洗濯兼脱水槽3を同軸上に内包し、前面は開口し、後側端面の外側中央にモータ4が取り付けられている。モータ4の回転軸は、外槽2を貫通し、洗濯兼脱水槽3と結合している。前面の開口部には外槽カバー2dを設け、外槽内への貯水を可能としている。外槽4は、下側をベース1hに固定されたダンパ5で防振支持されている。また、外槽4の上側は上補強材36に取り付けた補助ばね33で支持されており、外槽4の前後方向へ倒れを防ぐ。外槽カバー2dの前側中央には、衣類を出し入れするための開口部2cを有している。この開口部2cと前補強材37に設けた開口部は、ゴム製のベローズ10で接続しており、ドア9を閉じることで外槽2を水封する。
【0019】
外槽2の左外側面後部には、外槽2内へ水や洗剤類を供給する給水口2aを設けてある。給水口2aと洗剤容器19の出水口19aは、ゴム製の蛇腹管A20で接続されている。また、給水口2aは蒸気弁11を内蔵している。
【0020】
図7は蒸気弁11の詳細を示す断面図である。蒸気弁11は、略円筒形状で、外径部に外槽2の給水口2aに装着するための庇部を有している。内径部は上流側内径φd1より下流側内径φd2の方が大きく、両内径部はリング状の傾斜面11aで接続されている。傾斜面11aは洗濯兼脱水槽3側が高く外槽2の外周側が低くなるように形成している。傾斜面11aの最上部には内側に突出した突出部11bを有しており、突出部11bには複数本のピン11cを設けてある。傾斜面11aには、傾斜面11aを塞ぐよう、楕円状のシート11dを装着している。シート11dの長軸側端部にはピン11cと同じ配置の孔を設けてあり、この孔をピン11cに入れ加締めることでシート11dを傾斜面11aに固定する。従って、シート11dは片持ち支持で傾斜面11aに固定されている。
【0021】
シート11dは、可撓性のゴムや合成樹脂製である。シート11dに上側から力が作用すると(給水時)、図7の2点鎖線で示すように変形し蒸気弁11は開となり水が流れる。一方、乾燥時のように外槽2内の圧力が洗剤容器19内の圧力(大気圧)より高いとシート11dに下側から力が作用し、シート11dは傾斜面11cに押しつけられ、蒸気弁11は閉となる。
【0022】
外槽2の底面には、凹状の窪み部2aが軸方向に設けてある。窪み部2aの底面は、前側から後側に下がる傾斜面になっており、窪み部2aの後ろ側最下部に排水口21が設けてある。排水口21には排水ホース22を接続する。窪み部2aの前側には底部循環水の流入口18が設けてある。また、窪み部2aの上部には、窪み部2aの幅の略半分を覆うように外槽2外周壁の内周面から連続する隔壁2bを有している。隔壁2bは洗濯兼脱水槽3の脱水時の回転方向に対向する方向に設ける。排水口21及び流入口18は、窪み部2aの幅方向の中心から洗濯兼脱水槽3の回転方向にずれた位置に設置してある。このため、排水口21と流入口18の上部には隔壁2bがある。
【0023】
窪み部2aは、脱水時に洗濯兼脱水槽3の回転による遠心力で、貫通孔3bから外槽2内周面に出て、洗濯兼脱水槽3の回転方向と同一方向に流れる水を受け止め、排水口21へ導く。隔壁2bは、窪み部2aへ入った水が再び外槽2内へ循環しないように堰き止める作用を有する。
【0024】
外槽9の後部端面の最下部にはエアトラップ36が設けてあり、チューブ35で水位センサ34と接続し、外槽2内の水位を検出する。
【0025】
外槽2とベース1hとのすき間には、循環ポンプ24,フィルタケース23,排水弁25を設けてある。フィルタケース23は、前側に開口部を有する円筒状で、内部に着脱可能なフィルタ体が装着されており、洗濯水中のリントや糸くず等の異物を捕集する。また、フィルタケース23は前側が高くなるように傾斜しており、下部前面カバー1fに設けられた扉1gを開けてハンドル52を回すことにより、フィルタ51を容易に着脱できるように構成されている。
【0026】
乾燥フィルタ8は、筐体1の上部右側に設けられ、このフィルタを掃除する時にメッシュ式のフィルタ8aを引き出して取り出す。乾燥フィルタ8には、乾燥ダクト29が接続されている。乾燥ダクト29は、筐体1の背面内側に設置してあり、外槽2の後部端面下方に設けた吸気口にゴム製の蛇腹管B29aで接続している。乾燥ダクト29内には、水冷除湿機構(図示せず)を内蔵しており、給水電磁弁16dから給水ホース32で、水冷除湿機構へ冷却水を供給する。
【0027】
送風ファン28は、乾燥フィルタ8の後ろ側に設けられており、その吸気口が乾燥フィルタ8に、その吐出口がヒータ(図示せず)を内蔵する温風ダクト31に、それぞれ接続されている。また、温風ダクト31は、ゴム製の蛇腹管(図示せず)を介して、外槽2の前部開口部と接続されている。
【0028】
そして、乾燥運転時に送風ファン28を運転し、ヒータに通電すると、洗濯兼脱水槽3内に温風が吹き込み、衣類を温め水分が蒸発する。高温多湿となった空気は、乾燥ダクト29に吸い込まれ、水冷除湿機構を流下する冷却水で冷却除湿されて乾いた低温空気となり、フィルタ8aを通りヒータで再度加熱され、洗濯兼脱水槽3内に吹き込むように循環する。
【0029】
次に、本実施形態に係るドラム式洗濯乾燥機の排水機構に設置される、異物捕集装置の構造について、図2図8図12を用いて詳細に説明する。図8は循環ポンプ24及び配管を示す斜視図、図9は循環ポンプ24,フィルタケース23の配管接続部を示す上面図、図10図9の2点鎖線部で切断しC−Cからみた断面図である。
【0030】
循環ポンプ24は、外槽2底部に溜めた洗濯水を洗濯兼脱水槽3内へ循環シャワーとして散水するためのものであり、これを利用することで節水性能の向上を図っている。そして、本実施形態における異物捕集装置は、排水弁25を介して機外へ排水する洗濯水だけでなく、このように洗濯兼脱水槽3内へ循環させる洗濯水に含まれる異物をも捕集できる。
【0031】
図9に示す通り、本実施形態の異物捕集装置は、フィルタ51及びハンドル52を有するフィルタ体と、筐体1内に取り付けられたフィルタケース23とで構成されており、これらがネジ部23c,52bで嵌合摺動する構造となっている。このため、フィルタ体の先端のハンドル52を回動させることにより、フィルタ体をフィルタケース23に対し軸方向に摺動して、ハンドル52と共にフィルタ51を着脱することが可能である。
【0032】
ここで、フィルタ51とハンドル52は、嵌合ツメ51a,52aで嵌合されており、これらフィルタ51及びハンドル52を組合せることにより、溝部を形成している。そして、この溝部に弾性パッキンなどの環状弾性体53を装着することにより、フィルタ体から環状弾性体53が脱落するのを防止できる。また、フィルタ51とフィルタケース23との間に設置される環状弾性体53が、径方向に圧縮されることで、洗濯水が機外へ漏れ出ないよう密閉している。
【0033】
一方で、フィルタケース23底部奥側には、外槽20底部から洗濯水が流入する入水口23aと、洗濯水が流出する出水口23bを備えている。更に、この入水口23aと外槽2の排水口21とはホース22で、この出水口23bと排水弁25とはホース49で繋がっている。そして、排水弁25には排水ホース26が接続されており、機外へ洗濯水を排水する。また、図12に示すように、フィルタケース23の軸方向の所定位置であって、周方向の一部(下部)内面には、軸方向へ延びる凹部54が設けられている。
【0034】
図10は、図9のC−C断面図であり、フィルタ体が最も奥側に装着された状態を示している。このとき、フィルタ体に取り付けられた環状弾性体53の外周面がフィルタケース23の内周面と接触することにより水密が保たれている。尚、ハンドル52を形成する細長把持部は、略鉛直方向の位置にある。
【0035】
次に、図11は、図10の状態から、ハンドル52を例えば90度左回りに回転させてフィルタ体を軸方向外側(手前側)へ所定の位置まで摺動させた状態を示している。このとき、ハンドル52の細長把持部は、略水平方向の位置となる。また、図11に示す状態になると、環状弾性体53の周方向の一部が凹部54の位置に至り、この凹部54から少量の洗濯水が流れ出す。
【0036】
尚、本実施形態における凹部54の周方向寸法は、5mm〜15mm(図12では約10mm)と大き過ぎない幅であるため、環状弾性体53が凹部54の位置に至っても、極力少ない浸水量でかつ使用者が認識できる程度の量の洗濯水を漏れ出させることが可能である。
【0037】
次に、図11の状態の後、ハンドル52を更に左回りに(例えば、図10の状態から180度)回動させて手前側の所定の位置までフィルタ体を摺動させると、凹部54以外の場所からも洗濯水が流れ出るようになるため、大量の洗濯水が機外へ漏れ出す。そして、ハンドル52を図10の状態から約360度回転させた状態にまで達すると、フィルタケース23からフィルタ体を完全に引き抜くことが可能となる。
【0038】
ここで、フィルタ体が最も奥側に装着されて水密が保たれた図10の状態から、ハンドル52を約90度〜180度回動させたときに、少量の洗濯水が漏れ出るようにしたのは、使用者が一度の操作で回り易い角度が約90度〜180度だからである。この一度の操作で使用者が少量の漏れに気づき、2度目以降の操作を控えるようになる。
【0039】
このように、本実施形態によれば、機内に洗濯水が溜まっている状態でフィルタ体を取り外そうとした場合でも、大量の洗濯水が一気に漏れ出す前に、使用者に水漏れの注意を喚起することができる。
【0040】
上述の実施形態では、外槽2底部に溜めた洗濯水を洗濯兼脱水槽3内へ循環する洗濯水循環機構として、循環ポンプ24を有するドラム式洗濯乾燥機を前提として説明した。しかし、このような実施形態に限らず、縦型の洗濯機であって、底部の回転翼の遠心力を利用して洗濯水を上方へ持ち上げて槽内に散水するような循環機構を有するものや、循環機構そのものがなく、単に排水するための経路に本実施形態のような異物捕集装置を設けたものであっても良い。
【符号の説明】
【0041】
1 筐体
2 外槽
3 洗濯兼脱水槽
21 排水口
23 フィルタケース
23a 入水口
23b 出水口
24 循環ポンプ
51 フィルタ
51a,52a 嵌合ツメ
52 ハンドル
52b ネジ部
53 環状弾性体
54 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12