(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エレベータの異常を検出する監視装置と、この監視装置と通信回線を通じて接続され、前記エレベータを遠隔的に監視する監視センタ装置とを備えたエレベータ監視装置において、
前記エレベータに供給される電力を検出する供給電力検出手段と、
計画停電の実施の有無が提供される計画停電情報に基づいて、前記エレベータを休止させるかどうかの設定を行う休止設定手段と、
この休止設定手段の設定に応じて前記エレベータを休止させる制御を行う休止制御手段と、
この休止制御手段によって前記エレベータが休止してから前記供給電力検出手段が前記エレベータに供給される電力を所定の時間の間検出し続けた場合、前記休止設定手段の設定を解除して前記エレベータを復旧させる復旧手段とを備え、
前記所定の時間は、前記計画停電が実施されなかった場合に、前記計画停電が開始される時刻から定められる第1の時間に設定され、前記計画停電が実施された場合に、前記供給電力検出手段が電力を検出した時刻から定められる第2の時間に設定されたことを特徴とするエレベータ監視装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、予定されていた計画停電が中止になった場合には、計画停電の対象となっていた地域に属する建物のエレベータを休止させる必要がなくなる。しかしながら、上述した特許文献1に開示された従来技術のエレベータの自動休止装置では、予定されていた計画停電が中止になった場合でも、時刻検出器が停電時刻の所定時間前になると動作し、休止指令回路によって予告された停電時刻前に乗かごが所定の階床に停止することになる。
【0006】
そのため、建物に常駐する管理人は電力会社のホームページ等で計画停電が中止になったことを確認し、手動でエレベータの休止設定を解除しなければならず、このエレベータの休止設定の解除に多大な時間を費やすことが問題になっている。特に、管理人が建物に常駐していない場合には、エレベータの保守管理を行うエレベータ保全会社の作業者が計画停電の対象となっていた地域の建物に派遣され、このエレベータの休止設定を解除することになるので、その分余計に時間がかかる虞がある。
【0007】
従って、管理人が建物に常駐していないことも多く、計画停電の対象となる地域も広範囲に渡る近年では、計画停電が中止になった場合にエレベータ保全会社の作業者が、計画停電の対象となっていた地域の全てのエレベータの運行を迅速に対応させることができず、エレベータのサービス性が低下することが懸念されている。
【0008】
本発明は、このような従来技術の実情からなされたもので、その目的は、予定された計画停電の変更に対して迅速に対応することができるエレベータ監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明のエレベータ監視装置は、エレベータの異常を検出する監視装置と、この監視装置と通信回線を通じて接続され、前記エレベータを遠隔的に監視する監視センタ装置とを備えたエレベータ監視装置において、前記エレベータに供給される電力を検出する供給電力検出手段と、計画停電の実施の有無が提供される計画停電情報に基づいて、前記エレベータを休止させるかどうかの設定を行う休止設定手段と、この休止設定手段の設定に応じて前記エレベータを休止させる制御を行う休止制御手段と、この休止制御手段によって前記エレベータが休止してから前記供給電力検出手段が前記エレベータに供給される電力を所定の時間の間検出し続けた場合、前記休止設定手段の設定を解除して前記エレベータを復旧させる復旧手段とを備え
、前記所定の時間は、前記計画停電が実施されなかった場合に、前記計画停電が開始される時刻から定められる第1の時間に設定され、前記計画停電が実施された場合に、前記供給電力検出手段が電力を検出した時刻から定められる第2の時間に設定されたことを特徴としている。
【0010】
このように構成した本発明は、計画停電が中止になった場合には、休止制御手段によってエレベータが休止状態となっても、計画停電が実施される時間に対象地域のエレベータに電力が供給され続けるので、この時間において供給電力検出手段によって電力が検出される。従って、復旧手段は、休止制御手段によってエレベータが休止してから供給電力検出手段がエレベータに供給される電力を所定の時間の間検出した場合に、休止設定手段の設定を解除してエレベータを復旧させるようにしたので、建物に常駐する管理人が手動でエレベータの休止設定を解除したり、あるいはエレベータ保全会社の作業者を当該建物へ派遣する必要もなく、エレベータを運行させることができる。このように、予定された計画停電の変更に対して迅速に対応することができる。
【0012】
また、本発明は、計画停電が実施された場合には、計画停電が開始される時刻になると、計画停電の対象地域のエレベータに電力が供給されなくなる。そのため、供給電力検出手段によって電力が計画停電の開始時刻から第1の時間の間継続して検出された場合には、計画停電が実施されていないことを早い段階で把握することができる。一方、計画停電が実施された後に途中で中止になった場合には、計画停電の実施時間の途中、すなわち計画停電が終了する時刻になる前に、計画停電の対象地域のエレベータに電力が供給される。そのため、供給電力検出手段によって電力が計画停電の実施時間の途中から第2の時間の間検出され続けた場合には、電力会社に確認しなくても計画停電が途中で中止になったことを把握することができる。
【0013】
また、本発明に係るエレベータ監視装置は、前記発明において、前記第1の時間は、前記第2の時間よりも長く設定されたことを特徴としている。ここで、計画停電の情報に基づいて行われる休止設定手段によるエレベータを休止させるかどうかの設定は、エレベータの利用者が計画停電の開始時に乗かご内に閉じ込められないように事前に十分に時間を取って行われる。そのため、計画停電が実施されたかどうかの判断の基となる第1の時間は比較的長くなり易い。一方、計画停電が実施された後、計画停電が途中で中止あるいは計画停電が終了した場合には、エレベータを早期に復旧させる必要があるので、第2の時間は比較的短くなり易い。従って、本発明は、第1の時間を第2の時間よりも長く設定することにより、エレベータを復旧させるかどうかの判断に利用者のニーズを反映させることができる。
【0014】
また、本発明に係るエレベータ監視装置は、前記発明において、前記監視センタ装置は、前記計画停電情報の中から前記エレベータの休止を開始する日時の情報を示
す休止開始日時情報を前記監視装置へ送信し、前記休止設定手段は、前記監視装置に格納され、前記監視センタ装置から受信した前記休止開始日時情報に基づいて前記エレベータを休止させるかどうかの設定を行うことを特徴としている。
【0015】
このように構成した本発明は、エレベータの監視装置の休止設定手段が休止開始日時情報に基づいてエレベータを休止させるかどうかの設定を行うようにしたので、監視センタ装置は、計画停電情報のうち休止開始日時情報を監視装置へ送信し、エレベータの休止を終了する日時の情報を示す休止終了日時情報を送信しなくて済む。これにより、監視センタ装置から監視装置へ送信する情報を少なくすることができるので、短時間に多台数のエレベータの休止設定を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のエレベータ監視装置によれば、休止制御手段によってエレベータが休止してから供給電力検出手段がエレベータに供給される電力を所定の時間の間検出し続けることにより、計画停電が中止になってもその旨を容易に把握することができる。そして、供給電力検出手段の検出によって復旧手段が休止設定手段の設定を解除してエレベータを復旧させるようにしたので、建物に常駐する管理人が手動でエレベータの休止設定を解除したり、あるいはエレベータ保全会社の作業者を当該建物へ派遣する必要もなく、エレベータを運行させることができる。このように、予定された計画停電の変更に対して迅速に対応することができ、従来よりもエレベータのサービス性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るエレベータ監視装置を実施するための形態を図に基づいて説明する。
【0019】
本発明に係るエレベータ監視装置の一実施形態は、
図1に示すようにエレベータの異常を検出する監視装置10と、この監視装置10と通信回線6を通じて接続され、エレベータを遠隔的に監視する監視センタ装置20とを備えている。なお、本実施形態では、通信回線6には図示しない複数のエレベータが接続されているが、これらのエレベータのうち
図1に示す1台のエレベータの構成について詳細に説明し、図示されない他のエレベータの構成についても同様であるので、その説明を省略している。
【0020】
具体的には、エレベータは、例えば建物の昇降路内に設けられた乗かご1と、昇降路の上部の機械室に設けられ、乗かご1の運行を制御する制御装置5と、昇降路内に設けられ、主ロープ2を介して乗かご1と相対的に昇降する釣合い錘3と、機械室に設置され、主ロープ2が巻き掛けられて乗かご1に駆動力を伝動する巻上機4とを備えている。
【0021】
監視センタ装置20は、通信回線6に接続され、監視装置10と通信する通信装置21と、この通信装置21から受信した情報を処理すると共に、監視装置10へ送信する情報を処理する処理装置22と、この処理装置22に処理された各種の情報を表示したり、各種の入力を行う操作卓23と、処理装置22に接続され、計画停電の実施の有無が提供される計画停電情報24と、処理装置22に接続され、各地域の建物に属するエレベータに関する情報が作成される監視装置データベース25とを有している。なお、計画停電情報24は監視センタ装置20に格納された図示しない記録装置に記録されている。
【0022】
一方、エレベータの監視装置10は、通信回線6に接続され、監視センタ装置20と通信する通信手段11と、この通信手段11から受信した情報を処理すると共に、監視センタ装置20へ送信する情報を処理する処理装置12とを有している。また、監視装置10は、エレベータに供給される電力を検出する供給電力検出手段16と、計画停電の実施の有無が提供される計画停電情報24に基づいて、エレベータを休止させるかどうかの設定を行う休止設定手段13とを有している。
【0023】
本実施形態では、監視センタ装置20は、計画停電情報24の中からエレベータの休止を開始する日時の情報を示す休止開始日時情報を監視装置10へ送信するようになっている。また、監視装置10の休止設定手段13は、監視センタ装置20から受信した休止開始日時情報に基づいてエレベータを休止させるかどうかの設定を行うようにしている。
【0024】
そして、監視装置10は、休止設定手段13の設定に応じてエレベータを休止させる制御を行う休止制御手段14と、休止制御手段14によってエレベータが休止してから供給電力検出手段16がエレベータに供給される電力を所定の時間の間検出し続けた場合、休止設定手段13の設定を解除してエレベータを復旧させる復旧手段15とを有している。なお、これらの休止設定手段13、休止制御手段14、復旧手段15、及び供給電力検出手段16は処理装置12に接続されると共に、休止制御手段14、復旧手段15、及び供給電力検出手段16は制御装置5に接続されている。
【0025】
また、本実施形態では、上述した供給電力検出手段16によって継続して検出される所定の時間は、計画停電が実施されなかった場合に、計画停電が開始される時刻から定められる第1の時間に設定され、計画停電が実施された場合に、供給電力検出手段16が電力を検出した時刻から定められる第2の時間に設定されており、さらに第1の時間は第2の時間よりも長く設定されている。本実施形態は、例えば第1の時間を20分、第2の時間を10分に設定している。
【0026】
従って、監視装置10は、運行制御手段(図示せず)によって制御装置5を介してエレベータの運行状態の監視を行い、例えばエレベータの異常を検出すると通信手段11から通信回線6を経由して監視センタ装置20へ通報するようになっている。監視センタ装置20は、通信装置21から監視装置10の通報を受けると、処理装置22がこの通報を基に監視装置データベース25から各地域の建物に属するエレベータに関する情報を操作卓23の表示画面(図示せず)に表示し、エレベータに異常が発生した旨の通報を報知するようになっている。そして、監視センタ装置20のオペレータは、表示された通報を確認することにより、関連部署に速やかに連絡を取り、異常が発生したエレベータの建物へ担当者を派遣する等の適切な対応を実施する。
【0027】
ここで、監視センタ装置20の記録装置に記録される計画停電情報24は、例えば
図2に示すように計画停電が行われる時間帯に応じて地域毎にグループに分けられた停電地域グループ24aと、計画停電の対象に指定された地域の住所を示す計画停電地域24bと、計画停電が行われる時間帯を示す停電時間帯24cと、エレベータの休止設定が行われる時刻を示す休止設定時刻24dとから構成されている。
【0028】
本実施形態では、例えば電力会社から計画停電が公開されると、監視センタ装置20のオペレータが操作卓23の入力装置(図示せず)から上述した停電地域グループ24a、計画停電地域24b、及び停電時間帯24cを入力するようにしている。このとき、処理装置22は、入力された停電時間帯24cの開始時刻から予め定められた時間だけ早めて設定した休止設定時刻24dを作成して入力するようになっている。なお、本実施形態では、休止設定時刻24dは、例えば停電時間帯24cの開始時刻から30分だけ早めて設定されている。
【0029】
また、監視装置データベース25は、例えば
図3、
図4に示すように監視装置10の番号を示す監視装置番号25aと、監視装置10の電話番号を示す監視装置電話番号25bと、監視装置10が監視するエレベータが設置されたビルの名称を示すビル名25cと、ビルの住所を示すビル住所25dと、エレベータの機種を示すエレベータ機種25eと、ビルが所属する地域を示す停電地域グループ25fと、エレベータの休止設定が行われる時刻を示す休止設定時刻25gと、この休止設定時刻25gが入力されたかどうかを表示する設定フラグ25hとから構成されている。
【0030】
本実施形態では、上述したように計画停電情報24が作成されると、監視センタ装置20の処理装置22は、監視装置データベース25のビル住所25dを順に読出し、読出したビル住所25dが計画停電情報24の計画停電地域24bに含まれているかどうかを確認するようにしている。
【0031】
また、処理装置22は、読出したビル住所25dが計画停電地域24bに含まれていることを確認すれば、計画停電情報24の停電地域グループ24aと休止設定時刻24dを監視装置データベース25の停電地域グループ25fと休止設定時刻25gのうち対応する部分に書込み、書込んだ休止設定時刻25gを読出すようにしている。
【0032】
そして、処理装置22は、休止設定時刻25gの書込みが行われたエレベータの監視装置10の監視装置電話番号25bにダイヤル発信を行い、当該監視装置10の休止設定手段13に対して通信装置6を介して当該休止設定時刻25gを書き込むようになっている。この休止設定時刻25gの書き込みが正常に終了すると、処理装置22は、
図4に示すように監視装置データベース25の設定フラグ25hのうち対応する部分の「0:未設定」を「1:設定済」に書き換えるようにしている。
【0033】
次に、本実施形態における監視センタ装置の処理装置が計画停電情報を読出して監視装置データベースの休止設定時刻を書込むまでの動作を
図5のフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0034】
図5に示すように、まず監視センタ装置20の処理装置22は、監視装置データベース25の各監視装置10の情報を例えば
図3に示す上の行から順に読出した後(ステップ(以下、Sと記す)1)、計画停電の実施の有無が提供される計画停電情報24を例えば
図2に示す上の行から順に読出す(S2)。そして、処理装置22は、読出した監視装置10のビル住所25dが計画停電情報24の計画停電地域24bに含まれているかどうかを確認する(S3)。
【0035】
このとき、処理装置22は、読出した監視装置10のビル住所25dが計画停電地域24bに含まれていることを確認した場合には、計画停電情報24のうち該当する停電地域グループ24aと休止設定時刻24dを読出し、これらの停電地域グループ24aと休止設定時刻24dを監視装置データベース25の停電地域グループ25fと休止設定時刻25gのうち対応する部分に書込む(S6)。そして、処理装置22は、監視装置データベース25の全ての監視装置10の情報を読出したことを確認するために、監視装置データベース25の監視装置番号25aを最終行まで読出したかどうかを判断する(S7)。
【0036】
一方、手順S3において処理装置22は、読出した監視装置10のビル住所25dが計画停電地域24bに含まれていないことを確認した場合には、計画停電情報24の停電地域グループ24aを最終行まで読込んだかどうかを確認する(S4)。手順S4において処理装置22は、停電地域グループ24aを最終行まで読込んでいないことを確認した場合には、停電地域グループ24aの次行を読込んで更新し(S5)、手順S3の動作に戻る。
【0037】
手順S4において処理装置22は、停電地域グループ24aを最終行まで読込んだことを確認した場合には、手順S7の動作を行う。手順S7において処理装置22は、監視装置番号25aを最終行まで読出していないと判断すると、監視装置データベース25の監視装置番号25aの次行を読込んで更新し(S8)、手順S1の動作に戻る。一方、手順S7において処理装置22は、監視装置番号25aを最終行まで読出したと判断すると、本実施形態における監視センタ装置20の処理装置22が計画停電情報24を読出して監視装置データベース25の休止設定時刻25gを書込むまでの動作を終了する。
【0038】
次に、本実施形態における監視装置データベースの休止設定時刻の書込みが完了した後、監視装置データベースの設定フラッグを書き換えるまでの動作を
図6のフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0039】
図6に示すように、まず監視センタ装置20の処理装置22は、監視装置データベース25の各監視装置10の監視装置電話番号25bを例えば
図3に示す上の行から順に読出す(S11)。そして、監視センタ装置20の通信装置21は、読出した監視装置電話番号25bを参照してダイヤル発信を行い、ダイヤル発信を行った監視装置10から応答があるかどうかを確認する(S12)。
【0040】
このとき、監視装置10から応答があった場合には、処理装置22は、監視装置データベース25の休止設定時刻25gを当該監視装置10の通信手段11に送信する(S13)。そして、当該監視装置10の処理装置12は、通信手段11を介して受信した休止設定時刻25gを休止設定手段13に書込む。
【0041】
次に、監視センタ装置20の処理装置22は、
図4に示すように監視装置データベース25の設定フラグ25hのうち対応する部分の「0:未設定」を「1:設定済」に書き換える(S14)。そして、処理装置22は、監視装置データベース25の全ての監視装置10の設定フラグ25hが書き換えられたことを確認するために、監視装置データベース25の監視装置番号25aを最終行まで読出したかどうかを判断する(S17)。
【0042】
一方、手順S12において監視装置10から応答がなかった場合には、通信装置21は、同一の監視装置10に対してダイヤル発信を3回実施したかどうかを確認する(S15)。このとき、ダイヤル発信が3回実施されなかった場合には、手順S12の動作に戻る。手順S15においてダイヤル発信が3回実施された場合には、
図4に示すように監視装置データベース25の設定フラグ25hのうち対応する部分の「0:未設定」を「2:接続不可」に書き換え(S16)、手順S17の動作を行う。
【0043】
手順S17において処理装置22は、監視装置番号25aを最終行まで読出していないと判断すると、監視装置データベース25の監視装置番号25aの次行を読込んで更新し(S18)、手順S11の動作に戻る。一方、手順S17において処理装置22は、監視装置番号25aを最終行まで読出したと判断すると、本実施形態における監視装置データベース25の休止設定時刻25gの書込みが完了した後、監視装置データベース25の設定フラッグ25hを書き換えるまでの動作を終了する。なお、本実施形態は、手順S16において「2:接続不可」に書き換えられた監視装置10に対して、時間が経過した後に上述の動作を再度実行したり、あるいは必要に応じて当該監視装置10の建物へ担当者を派遣して現地で設定処理を実施する。
【0044】
次に、本実施形態における監視装置がエレベータを休止させてから復旧させるまでの動作を
図7のフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0045】
図7に示すように、まず監視装置10の処理装置12は、上述した
図6に示す手順S13において休止設定手段13に書込まれた休止設定時刻25gと、内部の時計の時刻とを比較し、現在の時刻が休止設定時刻25gになったどうかを判断する(S21)。このとき、処理装置12は、現在の時刻が休止設定時刻25gになっていないと判断した場合には、現在の時刻が休止設定時刻25gになるまで待機する。
【0046】
次に、処理装置12は、現在の時刻が休止設定時刻25gになったと判断した場合には、休止制御手段14が制御装置5を介してエレベータを休止させる制御を行う(S22)。従って、制御装置5は、登録されている乗場呼び及びかご呼びに応答してエレベータを運行させ、新規呼び登録がなくなった後、エレベータを休止状態にする休止運転を実施する(S23)。
【0047】
手順S23においてエレベータが休止状態になると、供給電力検出手段16がエレベータに供給される電力の検出を行う(S24)。このとき、供給電力検出手段16によってエレベータに供給される電力が検出された場合、すなわち計画停電の開始時刻になってもエレベータへの電力の供給が停止しなかった場合には、復旧手段15は、計画停電の開始時刻から20分間(第1の時間)、供給電力検出手段16が電力を検出し続けたかどうかを確認する(S25)。
【0048】
手順S25において計画停電の開始時刻から20分間、供給電力検出手段16によって電力が検出され続けなかった場合には、手順S24の動作に戻る。一方、手順S25において計画停電の開始時刻から20分間、供給電力検出手段16によって電力が検出され続けた場合には、復旧手段15は、休止設定手段13の設定を解除してエレベータを復旧させる(S29)。
【0049】
また、手順S24において供給電力検出手段16によってエレベータに供給される電力が検出されなかった場合には、監視装置10の処理装置12は停電状態を確認する(S26)。そして、供給電力検出手段16がエレベータに供給される電力の検出を再度行う(S27)。このとき、供給電力検出手段16によってエレベータに供給される電力が検出されなかった場合、手順S27の動作に戻る。
【0050】
手順S27において供給電力検出手段16によってエレベータに供給される電力が検出された場合、すなわち計画停電が実施された後、エレベータへの電力の供給が再び行われた場合には、復旧手段15は、供給電力検出手段16が電力を検出した時刻から10分間(第2の時間)、供給電力検出手段16が電力を検出し続けたかどうかを確認する(S28)。
【0051】
手順S28において供給電力検出手段16が電力を検出した時刻から10分間、供給電力検出手段16によって電力が検出され続けなかった場合には、手順S27の動作に戻る。一方、手順S28において供給電力検出手段16が電力を検出した時刻から10分間、供給電力検出手段16によって電力が検出され続けた場合には、手順S29の動作を行い、本実施形態における監視装置10がエレベータを休止させてから復旧させるまでの動作を終了する。
【0052】
このように構成した本実施形態によれば、計画停電が開始時刻になる前に中止になったり、あるいは途中で中止になった場合には、手順S22及び手順S23においてエレベータの監視装置10の休止制御手段14によってエレベータが休止状態となっても、計画停電が実施される時間に対象地域のエレベータに電力が供給され続けるので、この時間において供給電力検出手段16によって電力が検出される。従って、手順S25あるいは手順S28において復旧手段15は、休止制御手段14によってエレベータが休止してから供給電力検出手段16がエレベータに供給される電力を所定の時間の間検出した場合に、手順S29において休止設定手段13の設定を解除してエレベータを復旧させるようにしたので、建物に常駐する管理人が手動でエレベータの休止設定を解除したり、あるいはエレベータ保全会社の作業者を当該建物へ派遣する必要もなく、エレベータを運行させることができる。このように、予定された計画停電の変更に対して迅速に対応することができ、エレベータのサービス性を向上させることができる。
【0053】
また、本実施形態は、計画停電が実施されなかった場合に、計画停電が開始される時刻になると、計画停電の対象地域のエレベータに電力が供給されなくなる。そのため、手順S25において供給電力検出手段16が計画停電の開始時刻から10分間継続して電力を検出した場合には、計画停電が実施されていないことを早い段階で把握することができる。
【0054】
一方、計画停電が実施された後に途中で中止になった場合には、計画停電の実施時間の途中、すなわち計画停電が終了する時刻になる前に、計画停電の対象地域のエレベータに電力が供給される。そのため、計画停電が終了する時刻になる前に、手順S28において供給電力検出手段16が電力を検出してから10分間、供給電力検出手段16によって電力が検出され続けた場合には、電力会社に確認しなくても計画停電が途中で中止になったことを把握することができる。
【0055】
また、本実施形態は、計画停電情報24においてエレベータの休止設定が行われる時刻を示す休止設定時刻24dが停電時間帯24cの開始時刻から30分だけ早めて設定されているように、計画停電情報24に基づいて行われる休止設定手段13によるエレベータを休止させるかどうかの設定は、エレベータの利用者が計画停電の開始時に乗かご内に閉じ込められないように事前に十分に時間を取って行われる。そのため、手順S25において供給電力検出手段16の検出時間である第1の時間、すなわち計画停電が実施されたかどうかの判断の基となる第1の時間は比較的長くなり易い。
【0056】
一方、計画停電が実施された後、計画停電が途中で中止したり、あるいは計画停電が終了した場合には、エレベータを早期に復旧させる必要があるので、手順S28において供給電力検出手段16の検出時間である第2の時間は比較的短くなり易い。従って、本実施形態は、第1の時間を第2の時間よりも長く設定することにより、エレベータを復旧させるかどうかの判断に利用者のニーズを反映させることができる。
【0057】
また、本実施形態は、エレベータの監視装置10の休止設定手段13がエレベータの休止を開始する日時の情報を示す休止開始日時情報に基づいてエレベータを休止させるかどうかの設定を行うようにしたので、監視センタ装置20は、通信回線6を介して計画停電情報24のうち休止開始日時情報を監視装置10へ送信し、エレベータの休止を終了する日時の情報を示す休止終了日時情報を送信しなくて済む。これにより、監視センタ装置20から監視装置10へ送信する情報を少なくすることができるので、短時間に多台数のエレベータの休止設定を行うことができ、監視センタ装置20の監視能力を高めることができる。
【0058】
また、本実施形態は、計画停電が予定通り終了したり、あるいは計画停電が予定通り終了せずに延長された場合には、手順S26において停電状態が確認された後、計画停電が終了した時刻から計画停電の対象地域のエレベータに電力が供給されることになる。そのため、手順S28において供給電力検出手段16が電力を検出してから、すなわち計画停電が終了した時刻から10分間継続して電力を検出することにより、計画停電が予定通り終了したり、あるいは計画停電が予定通り終了せずに延長された場合であっても、計画停電が中止になった場合と同様に手順S29において復旧手段15によって人手を介さずにエレベータを復旧させることができる。これにより、計画停電によるエレベータの運行の影響を抑えることができるので、計画停電の実施期間中においてもエレベータの高い利便性を確保することができる。