(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接続部材は、1の前記太陽電池セルと他の前記太陽電池セルとの基板同士の接続線を覆うように貼り付けられた絶縁テープである、請求項1から4のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の太陽電池モジュールの接続方法のように導電性接着剤を用いる場合、導電性接着剤中の樹脂成分によって太陽電池セル間の電気抵抗値が高くなるおそれがある。
また、導電性接着剤はその厚みによって電気抵抗値が変化するため、導電性接着剤の厚みにバラつきがある場合、太陽電池モジュールによって電気抵抗値にバラつきが生じることも想定される。
さらに、導電性接着剤を用いた接続方法では、導電性接着剤を塗布する工程と硬化させる工程が必要となり、工数が増えるという可能性も懸念される。
【0005】
本発明の目的は、色素増感型の太陽電池セルが少なくとも2つ以上接続された太陽電池モジュールにおいて、太陽電池セル間の電気抵抗値を低くすることにより、優れた変換効率の太陽電池モジュールを提供することであり、そのような太陽電池モジュールの接続方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、少なくとも2つの色素増感型の太陽電池セルが接続された太陽電池モジュールであって、太陽電池セルは、第1基材と、その一方面に順次形成された第1導電層と光電極層とを有する光電極基板と、第2基材と、その一方面に形成された第2導電層とを有し、第1導電層が形成された面に対向するように、光電極基板に対して所定の間隔をあけ、第1導電層の露出部と第2導電層の露出部が形成されるようにずらして配置された対極基板と、所定の間隔に設定された電荷輸送層とを含み、1の太陽電池セルの第1導電層の露出部と、他の太陽電池セルの第2導電層の露出部とに接触するように配置された粘着性を有さない導電部材と、導電部材が接触するように1の太陽電池セルと他の太陽電池セルとを接続する接続部材とを備えたものである。
【0007】
このように構成すると、太陽電池モジュールの接続に導電性接着剤が不要になるため、太陽電池セル間の電気抵抗値が低くなる。また、導電性接着剤を塗布する工程と硬化させる工程が不要となるため、工数が少なくなる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明の構成において、第1導電層は、第1導電性被膜と、その上の光電極層が形成されていない部分に形成された第1集電線とを含み、第1導電層の露出部は第1集電線である、太陽電池モジュールである。
【0009】
このように構成すると、第1集電線から電力を導出することができるため、第1導電性被膜の電気抵抗による発電効率の低下を低減させることができる。
【0010】
第3の発明は、第1又は第2の発明の構成において、第2導電層は、第2導電性被膜と、その上に形成された第2集電線とを含み、第2導電層の露出部は第2集電線である太陽電池モジュールである。
【0011】
このように構成すると、第2集電線から電力を導出することができるため、第2導電性被膜の電気抵抗による発電効率の低下を低減させることができる。
【0012】
第4の発明は、第1又は第2の発明の構成において、第2基材と、その一方面に形成された第2導電層とは金属板である、太陽電池モジュールである。
【0013】
このように構成すると、対極基板が金属板になるため、対極基板の電気抵抗値を下げることができる。また、対極基板の構成が簡単になる。
【0014】
第5の発明は、第1から第4のいずれかの発明の構成において、導電部材は金属板又は金属テープである、記載の太陽電池モジュールである。
【0015】
このように構成すると、金属板又は金属テープを太陽電池セルの第1導電層の露出部と、他の太陽電池セルの第2導電層の露出部とに接触するように配置するだけでよいため、工数が少なくなる。また、金属板又は金属テープは簡単に入手することができるため、製造コストが下がる。
【0016】
第6の発明は、第1から第4のいずれかの発明の構成において、接続部材は、1の太陽電池セルと他の太陽電池セルとの基板同士の接続線を覆うように貼り付けられた絶縁テープである、太陽電池モジュールである。
【0017】
このように構成すると、絶縁テープを1の太陽電池セルと他の太陽電池セルとの基板同士の接続線を覆うように貼り付けるだけでよい。その結果、基板への特別な加工を必要とせず太陽電池モジュールを接続できるため、工数が少なくなる。
【0018】
第7の発明は、少なくとも2つの色素増感型の太陽電池セルが接続された太陽電池モジュールの製造方法であって、太陽電池セルは、第1基材と、その一方面に順次形成された第1導電層と光電極層とを有する光電極基板と、第2基材と、その一方面に形成された第2導電層とを有し、第1導電層が形成された面に対向するように、光電極基板に対して所定の間隔をあけ、第1導電層の露出部と第2導電層の露出部が形成されるようにずらして配置された対極基板と、所定の間隔に設定された電荷輸送層とを含み、1の太陽電池セルの第1導電層の露出部または第2導電層の露出部に導電部材を配置する工程と、他の太陽電池セルの第2導電層の露出部又は第1導電層の露出部が、配置された導電部材に重なるように、他の太陽電池セルを配置する工程と、導電部材が互いの露出部に接触するように、1の太陽電池セルと他の太陽電池セルとを接続部材により接続する工程とを備えたものである。
【0019】
このように構成すると、太陽電池モジュールの接続に導電性接着剤が不要になるため、太陽電池セル間の電気抵抗値が低くなる。また、導電性接着剤を塗布する工程と硬化させる工程が不要となるため、工数が少なくなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、色素増感型の太陽電池セルが少なくとも2つ以上接続された太陽電池モジュールにおいて、太陽電池セル間の電気抵抗値を低くすることにより、優れた変換効率の太陽電池モジュールを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。
【0023】
[第1実施形態]
図1(1)を参照して、本発明の第1実施形態に係る太陽電池モジュール10は、1の太陽電池セル20と他の太陽電池セル20との光電極基板30同士の接続線及び対極基板40同士の接続線を覆うように絶縁テープ53が貼り付けられて構成されている。
【0024】
(1)太陽電池セル
太陽電池セル20について
図2及び
図3を参照して説明する。
太陽電池セル20は、光電極基板30と、光電極基板30に対向する対極基板40と、それらが対向する領域に設定された電荷輸送層50と、それらが対向する領域を塞ぐように配置された封止剤51とを備えている。
光電極基板30は、光の入射面側の基板である。光電極基板30は、第1基材31と、第1導電性被膜32と、光照射により増感色素から生じた電荷を伝導する光電極層33と、発生した電子を効率よく集めるための第1集電線34とを有している。第1導電性被膜32と光電極層33とは、第1基材31の一方面に順次形成されている。第1集電線34は、第1導電性被膜32の電気抵抗による損失を少なくするため、第1導電性被膜32上の光電極層33が形成されていない部分に例えば櫛形状に形成される。第1導電性被膜32と第1集電線34とは第1導電層を構成する。
対極基板40は、第2基材41と、第2導電性被膜42と、発電効率をより向上させる触媒層43と、発生した電子を効率よく集めるための第2集電線44とを有している。第2導電性被膜42と、触媒層43とは、第2基材41の一方面に順次形成されている。第2集電線44は、第1集電線34と同様に、第2導電性被膜42の電気抵抗による損失を少なくするため、第2導電性被膜42の上の触媒層43が形成されていない部分に例えば櫛形状に形成される。第2導電性被膜42と第2集電線44とは第2導電層を構成する。なお、第1集電線34及び第2集電線44は、発電に寄与する領域を出来るだけ広く確保するため、対向する位置に形成されることが好ましい。また、第1集電線34及び第2集電線44は、絶縁層36で被覆されることが好ましい。それは、電荷輸送層50である電解質による腐食を防止し、光電極基板30と対極基板40とが第1集電線34及び第2集電線44を介しショートするのを防止するためである。
対極基板40は、第1導電層が形成された面と第2導電層が形成された面とが対向するように、光電極基板30に対して所定の間隔をあけ、第1導電層の露出部35と第2導電層の露出部45が形成されるようにずらして配置されている。第1導電層の露出部35は第1集電線34で構成され、第2導電層の露出部45は第2集電線44で構成される。
【0025】
次に、太陽電池セル20を構成する各部材について説明する。
【0026】
第1基材
第1基材31は光の入射面となるため透光性に優れていることが望ましく、例えば透明性の高いガラス、強化ガラスや、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル等の透明性の高い合成樹脂等を用いることができる。また、後述する電荷輸送層50に対する耐久性の高いポリエチレンテレフタレート樹脂に加え、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂といったポリエステル合成樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン樹脂といったポリオレフィン系合成樹脂等も好適に用いることができる。
【0027】
第1導電性被膜
第1導電性被膜32の材料としては、導電性に優れたものであれば特に限定はされないが、例えばスズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、金、白金等やそれらを複数組み合わせたもので形成される。第1導電性被膜32は、真空蒸着法、スパッタ蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、泳動電着法等により形成される。
【0028】
光電極層
光電極層33は、金属酸化物の微粒子に増感色素が担持されて形成される。金属酸化物の微粒子は、増感色素が担持されることから、連通孔を有する多孔質であることが好ましい。
【0029】
第1集電線及び第2集電線
第1集電線34及び第2集電線44の材料としては、例えば銀などの金属材料を含むペーストを用いることができる。また、第1集電線34及び第2集電線44を被覆する絶縁層36としては、例えばガラスフリットや樹脂を用いることができ、ガラスフリット等のペーストを第1集電線34及び第2集電線44に塗布し焼成して形成される。
【0030】
第2基材
第2基材41は、第1基材31と同様の材料を用いて形成することができる。
【0031】
第2導電性被膜
第2導電性被膜42は、第1導電性被膜32と同様の材料を用いて、第1導電性被膜と同様の方法で形成することができる。また、第2導電性被膜42の上に触媒層43を形成する場合、触媒層43の材料としては、例えば白金を蒸着した層や、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等の有機物を用いることができる。
【0032】
電荷輸送層
電荷輸送層50はイオンを輸送できる導電性材料を用いて形成することができる。好適な材料として、例えば液体電解質、固体電解質、ゲル電解質等が挙げられる。液体電解質は、酸化還元種を含む液状物であればよく、一般に電池や太陽電池等において使用することができるものであれば特に限定されない。固体電解質は、電子、ホール、イオンを輸送できる導電性材料であり、太陽電池の電解質として用いることができて流動性がないものであればよい。ゲル電解質は通常、電解質とゲル化剤とで構成され、電解質としては上記固体電解質を用いることができる。
【0033】
次に、太陽電池セル20の製造方法について説明する。
【0034】
まず、第1基材31の一方面に形成された第1導電性被膜32の上に、金属酸化物の微粒子からなる多孔性半導体層を形成する。その多孔性半導体層に増感色素を担持させ、光電極層33を形成する。さらに、第1導電性被膜32の上の光電極層33が形成されていない部分に銀などの金属材料を含むペーストを塗布し焼成して、第1集電線34を形成する。第1集電線34にガラスフリット等のペーストを塗布し焼成して絶縁層36を形成する。上記のようにして光電極基板30が得られる。
次に、第2基材41の一方面に形成された第2導電層42の上に白金膜などの触媒層43をコーティングする。さらに、第1集電線34と同様に、第2導電性被膜42の上の触媒層43が形成されていない部分に銀などの金属材料を含むペーストを塗布し焼成して、第2集電線44を形成する。第2集電線44にガラスフリット等のペーストを塗布し焼成して絶縁層36を形成する。上記のようにして対極基板40が得られる。
続いて、光電極基板30と対極基板40とを、第1導電性被膜32の形成面と、第2導電性被膜42の形成面とが対向するよう配置する。その時、第1集電線34で構成される第1導電層の露出部35と、第2集電線44で構成される第2導電層の露出部45とが形成されるようにずらして配置する。
第1導電層の露出部35及び第2導電層の露出部45を構成する第1集電線34及び第2集電線44は、後述する金属板又は金属テープ52との導通を確保するため、絶縁層36が形成されていない。もっとも、
図3に示すように、第1導電層の露出部35及び第2導電層の露出部45を構成する第1集電線34及び第2集電線44の両端は絶縁層36で被覆してもよい。これは、第1導電層の露出部35及び第2導電層の露出部45の両端から後述の電解質を注入する際に、電解質による腐食から第1集電線34及び第2集電線44を保護する目的である。
なお、第1集電線34及び第2集電線44は、第1導電性被膜32及び第2導電性被膜42の電気抵抗が製品特性上許容される範囲内である場合は、必ずしも形成されていなくてもよい。第1集電線34及び第2集電線44が形成されない場合は、第1導電層の露出部35及び第2導電層の露出部45は、第1導電性被膜32及び第2導電性被膜42で構成される。
最後に、光電極基板30と対極基板40とが対向する領域に電解質を注入し電荷輸送層50を形成する。光電極基板30と対極基板40とが対向する領域の側面をエポキシ樹脂等の封止剤51で封止する。なお、電荷輸送層50が液体電解質である場合は、液体電解質の液漏れを防止するため、光電極基板30と対極基板40とが対向する領域を塞ぐ封止剤51を設けるとよいが、固体電解質やゲル電解質の場合は、封止剤51は必ずしも形成されなくてもよい。上記のようにして太陽電池セル20が得られる。
【0035】
(2)太陽電池モジュール
上記の製造方法によって製造される太陽電池セル20を少なくとも2つ接続して得られる太陽電池モジュール10について
図1、
図2、
図3を用いて説明する。
図2を参照して、太陽電池モジュール10は、1の太陽電池セル20の第1導電層の露出部である第1集電線35と、他の太陽電池セル20の第2導電層の露出部である第2集電線45とに接触するように配置された粘着性を有さない導電部材である金属板又は金属テープ52と、金属板又は金属テープ52が接触するように1の太陽電池セル20と他の太陽電池セル20とを接続する接続部材である絶縁テープ53とを備えている。
導電部材である金属板又は金属テープ52は、1の太陽電池セル20と他の太陽電池セル20とを導通させるもので、粘着性を有さない薄い板状又は帯状の金属が用いられる。金属板又は金属テープ52は、その一方の面が1の太陽電池セル20の第1導電層の露出部である第1集電線35に接触し、その他方の面が他の太陽電池セル20の第2導電層の露出部である第2集電線45に接触するように配置される。金属板又は金属テープを用いることで、厚みを均一に形成しやすくなり、太陽電池モジュール10の電気抵抗値にバラつきがなくなる。また、金属板又は金属テープは簡単に入手できる材料であるため、安価に製造することができる。
接続部材である絶縁テープ53は、1の太陽電池セル20と他の太陽電池セル20とを接続するものである。絶縁テープ53は、一方の面に粘着層を有しており、その粘着層側を太陽電池セル20の表面に向けて、1の太陽電池セル20と他の太陽電池セル20との光電極基板30同士の接続線及び対極基板同士40同士の接続線を覆うように貼り付けられる。絶縁テープ53を用いることで、1の太陽電池セル20と他の太陽電池セル20に貼るだけで太陽電池モジュールを接続することができるため、基板に特別な加工を必要とせず、工数を減らすことができる。
なお、
図2では1の太陽電池セル20と他の太陽電池セル20との光電極基板30同士及び対極基板40同士が隙間を空けて接続されているが、密着させ接続してもよい。
【0036】
次に、太陽電池モジュール10を構成する各部材について説明する。
【0037】
金属板又は金属テープ
粘着性を有さない導電部材である金属板又は金属テープ52の材料は、例えば銅、アルミ、鉄等の各種の金属を用いることができる。金属板又は金属テープ52の厚みは、光電極基板30と対極基板40との間隔と同程度の厚みに形成されることが好ましい。それより厚いと1の太陽電池セル20と他の太陽電池セル20とを面一に接続できない。金属板又は金属テープ52は、光電極基板30と対極基板40との間隔に合わせて、例えば50〜200μmの程度の厚みで形成することができる。
また、金属板又は金属テープ52の長さと幅は、第1導電層の露出部35及び第2導電層の露出部45に収まるものであればよく、特に限定されない。
図3に示すように、電解質の注入による腐食を防止するために、第1導電層の露出部35である第1集電線34及び第2導電層の露出部45である第2集電線44の両端を絶縁層36で被覆した場合は、金属板又は金属テープ52は絶縁層36が形成されていない部分に収まる長さに形成する。
【0038】
絶縁テープ
絶縁テープ53の材料は、絶縁性を有する粘着テープであれば特に限定はされないが、例えばポリイミドフィルム、エポキシフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエステルフィルム、ガラスクロス等の基材上に、アクリル系粘着剤、熱硬化型シリコーン系粘着剤、熱硬化型ゴム系粘着剤等からなる粘着層が積層された粘着テープを用いることができる。絶縁性の材料を用いることで1の太陽電池セル20と他の太陽電池セル20との光電極基板30同士及び対極基板40同士がショートすることを確実に防止できる。
また、絶縁テープ53の幅は、発電の妨げにならないよう、配置した時に光電極層33と重ならない幅で形成することが好ましい。
【0039】
次に、2つの太陽電池セル20が接続された太陽電池モジュール10の製造方法について
図1(2)を用いて説明する。
まず、太陽電池セル20を2つ準備する。1の太陽電池セル20において、第1導電層の露出部35である第1集電線34の上に、金属板又は金属テープ52の一方面が接触するよう配置する。なお、
図1(2)では金属板又は金属テープ52は第1導電層の露出部35である第1集電線34の上に配置されているが、第2導電層の露出部45である第2集電線44の上に配置されてもよい。
次に、金属板又は金属テープ52が配置された1の太陽電池セル20の第1導電層の露出部35である第1集電線34又は第2導電層の露出部45である第2集電線44と、他の太陽電池セル20の第2導電層の露出部45である第2集電線44又は第1導電層の露出部35である第1集電線34とを、金属板又は金属テープ52を介して重ね合わせる。これにより、1の太陽電池セル20に配置された金属板又は金属テープ52の他方面が、他の太陽電池セル20の第2導電層の露出部45である第2集電線44又は第1導電層の露出部35である第1集電線34と接触され、1の太陽電池セル20と他の太陽電池セル20との導通が確保される。
最後に、金属板又は金属テープ52の両面が、1の太陽電池セル20の第1導電層の露出部35である第1集電線34又は第2導電層の露出部45である第2集電線44と、他の太陽電池セル20の第2導電層の露出部45である第2集電線44又は第1導電層の露出部35である第1集電線34とに接触した状態を保つように、2つの太陽電池セル20の光電極基板30同士の接続線と対極基板40同士の接続線を絶縁テープ53で覆う。上記のようにして太陽電池モジュール10が得られる。太陽電池セル20を3つ以上接続する場合も上記と同様の方法で接続することができる。
【0040】
以上から、上記のように製造される太陽電池モジュール10は、太陽電池モジュール10の接続に導電性接着剤を用いないため、1の太陽電池セル20と他の太陽電池セル20との間の電気抵抗値が低くなる。また、導電性接着剤を塗布する工程と硬化させる工程が不要となるため、工数が少なくなり製造が簡単になる。
【0041】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る太陽電池モジュール10では、第2基材41及び第2導電層である第2導電性被膜42が導電性を有する1つの部材で構成され、例えばチタンやアルミニウム等の各種の金属板が用いられて構成される。
図4を参照して、第2基材41及び第2導電層である第2導電性被膜42に用いられる金属板は抵抗値が低い材料であるため、第2集電線44は形成しなくても良い。よって、第2基材41及び第2導電層である第2導電性被膜42そのものが、第2導電層の露出部45を構成する。
また、本発明の第2実施形態に係る太陽電池モジュール10は、1の太陽電池セル20と他の太陽電池セル20とを隙間を空けて接続しなければならない。これは、1の太陽電池セル20と他の太陽電池セル20の対極基板40同士が接触してショートすることを防ぐためである。
なお、上記の
図2に示された太陽電池セル20の構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付している。また、上記の
図2に示された太陽電池セル20の構成要素及び太陽電池モジュール10の製造方法と重複する点については、説明を省略する。
【0042】
なお、上記の第1実施形態及び第2実施形態では、導電部材として金属板又は金属テープ52を挙げたが、形状は薄い板状又は帯状に特に限定されない。例えば、糸状の金属線を用いてもよい。
【0043】
また、上記の第1実施形態及び第2実施形態では、接続部材として絶縁テープ53を挙げて説明したが、接続部材は、特に絶縁テープ53に限定されない。太陽電池セル20の基板同士を接続できる部材であれば、本発明の接続部材に含まれる。
例えば
図5(1)を参照して、光電極基板30と対極基板40とにねじ穴を形成し、ねじとナット54を用いて接続してもよい。また、
図5(2)を参照して、1の太陽電池セル20の光電極基板30と他の太陽電池セル20の対極基板40とに凸部と凹部とで構成される嵌合部55を形成し、嵌め合わせてもよい。この場合、1の太陽電池セル20の光電極基板30と他の太陽電池セル20の対極基板40のどちらに凸部と凹部が形成されていてもよい。さらに、
図5(3)を参照して、1の太陽電池セル20と他の太陽電池セル20との基板同士を環状のバンド56で接続してもよい。
図5(4)を参照して、バンド56に代えてコの字型のクリップ57を用いることもできる。また、
図5(5)を参照して、1の太陽電池セル20の第1導電層の露出部35に配置された金属板又は金属テープ52の周囲に厚さ数十μmのガラスリボン58を配置し加熱し溶着して、他の太陽電池セル20と接続することもできる。また、ガラスリボン58を接着剤に代えることもできる。なお、
図5(5)では1の太陽電池セル10の第1導電層の露出部34に金属板又は金属テープ52が配置され、その周囲にガラスリボン58が配置されているが、金属板52が第2導電層の露出部45に配置されている場合は、ガラスリボン58も第2導電層の露出部45に配置される。