(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
円筒型のリテーナ内に円筒フレームを有した回動ルーバーが回動可能に配設され、該回動ルーバーには送風方向と平行な中心線から放射状に複数の可動フィンが該円筒フレームの内側でラジアル方向の支軸により回動可能に軸支されてなるレジスタにおいて、
該リテーナ内の送風方向と平行な中心線上に、ボールを有するボールジョイントが配設され、該回動ルーバーには、該円筒フレームの中央に、軸支部を外周部に設けた中央軸支部が配設され、該中央軸支部は中央に設けたボール穴を該ボールに嵌合させて、傾動及び回動可能に取り付けられ、
該円筒フレームの内側に複数の可動フィンが、略等間隔をおいてラジアル方向の支軸により回動可能に軸支されるとともに、該各可動フィンの内側の支軸が該中央軸支部の該軸支部の各軸穴に嵌入され、
該中央軸支部の前面側中央には操作部が該回動ルーバーの中心線の回りで回動可能に装着され、該操作部はベベルギヤ機構を介して該各可動フィンの内側部分と連係され、
該ボールジョイントのボールと該中央軸支部のボール穴間には、カップ状でゴム状弾性体製の荷重付与部材が介装され、該可動フィンの該支軸は、先端が該荷重付与部材に当接して該荷重付与部材の弾性力を軸方向に受けた状態で軸支され、
該操作部の該中心線を軸とする回動操作に応じて、該可動フィンの該支軸が該ベベルギヤ機構を介して、該中央軸支部の該軸支部を中心に回動し、該操作部を該円筒フレームのラジアル方向に動かしたとき、該円筒フレームと該リテーナ内面が非接触で、該回動ルーバーは該ボールジョイントに支持された状態で該ボールを中心に傾動すること特徴とするレジスタ。
前記回動ルーバーの中央軸支部の外周部には5個の軸支部が等間隔で設けられ、5枚の前記可動フィンがそれらの該軸支部に軸支されて、該回動ルーバーの円筒フレームの内側に該可動フィンが等間隔で配置され、前記円筒フレームの横断面と略平行状態まで該可動フィンが回動したとき該円筒フレーム内を閉鎖すること特徴とする請求項1記載のレジスタ。
前記ベベルギヤ機構は、駆動側のベベルギヤ部が前記操作部に連結されるとともに前記中央軸支部の中央に突設された中央軸に回動可能に軸支され、従動側のベベルギヤ片が前記各可動フィンの内側元部近傍に一体成形され、駆動側の該ベベルギヤ部と従動側の各該ベベルギヤ片が噛合して構成されたこと特徴とする請求項1記載のレジスタ。
前記回動ルーバーの円筒フレームは、前円筒フレームと後円筒フレームを嵌着して形成され、該前円筒フレームにはその横断面に沿って格子部が設けられ、該格子部の前面に前記操作部が回動可能に支持されるとともに前記ベベルギヤ機構に該操作部の中央部が連結されたことを特徴とする請求項3記載のレジスタ。
前記回動ルーバーの各可動フィンには支軸が外側に突設され、該支軸は前記前円筒フレームと後円筒フレームの間に挟持されて回動可能に支持されたことを特徴とする請求項4記載のレジスタ。
前記リテーナ内には、前記回動ルーバーの円筒フレームがその外周面と該リテーナの内周面との間に僅かな隙間をもって回動可能に配設され、当該状態で、該リテーナの前部にベゼルが嵌着されたことを特徴とする請求項5記載のレジスタ。
【発明の概要】
【0004】
このレジスタは、内側に球面を有する円筒形の外枠を有し、その外枠の内側に、外側球面を有する内枠を、回動及び傾動可能に嵌め込み、内枠内には4枚の可動羽根を中心軸の周囲に放射状に配置した回動ルーバーが配設され、回動ルーバーの各可動羽根は、内枠のラジアル方向の支軸の回りで回動可能に軸支されて構成される。
【0005】
さらに、このレジスタは、中心軸の末端及び各可動羽根の支軸の内側端にベベルギヤが設けられ、中心軸の末端に設けたベベルギヤと各可動羽根のベベルギヤが噛合し、中心軸の先端に設けた摘みを回すと、ベベルギヤを介して各可動羽根がその支軸を軸に回動する構造となっている。
【0006】
レジスタの使用時に、中心軸先端の摘みを回すと、ベベルギヤを介して4枚の可動羽根がラジアル方向の支軸を中心に回動し、4枚の可動羽根が送風方向と平行な場合、レジスタの空気吹出口から送風される風が、可動羽根によって、中央に収束されるが、4枚の可動羽根が各支軸を軸に傾動すると、送風される空気流は空気吹出口の周囲に拡散するように流れる。さらに、各可動羽根を流路の横断面と平行な状態まで回動させた場合、レジスタの流路を遮断し送風を止めるようになっている。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、この従来のレジスタは、風向を変える場合、摘みを持って内枠を、外枠に対し上下左右等の任意の方向に傾動(回動)させると、可動ルーバーが内枠とともに傾動し、風向が調整されるが、このとき、外枠に対し傾動(回動)する内枠は、その外側球面が外枠の内側球面と比較的広い面積で接触して回転する。
【0008】
合成樹脂の型成形により部品が成形されるレジスタでは、通常、製品ごとの各部品の寸法に公差内誤差があり、球面の接触で回動可能に支持される、レジスタの可動ルーバーの構造では、レジスタの製品ごとの各球面形状の公差内寸法誤差により、回転時の摩擦抵抗にばらつきが発生する。
【0009】
このため、外枠と内枠間の隙間が比較的大きく、その間の摩擦抵抗が小さい場合、内枠の傾動操作が軽くなりすぎ、送風時の風圧によっても、内枠の向きが変化しやすく、一方、逆に外枠と内枠間の隙間が小さくその間の摩擦抵抗が大きい場合、内枠の傾動操作は重くなって、操作しにくくなる。
【0010】
そこで、外枠の内側球面と内枠の外側球面との間に、不織布などの摺動シートを介装し、公差内寸法誤差による摩擦抵抗のばらつきを吸収して、回動操作時に安定した操作荷重を付与することが行なわれているが、外枠の内側球面と内枠の外側球面間の、比較的広い接触面に不織布などの摺動シートを介在させた場合、内枠の回動操作時、その操作角度に応じて操作荷重が変わり、或いはゴリゴリ感が発生し、風向調整時の操作フィーリングが悪化しやすいという課題があった。
【0011】
また、従来の上記レジスタは、4枚の可動羽根をラジアル方向の支軸の回りで回動させることにより、送風を収束から拡散まで調整することができるものの、拡散して送風する際、拡散風が荒くなる場合があり、滑らかな拡散風を求める要望があった。また、可動羽根の回転時にガタツキが生じやすいという課題があった。
【0012】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、滑らかな拡散風を送風することができ、傾動操作時の操作フィーリング感を改善し、ガタツキを防止することができる丸型のレジスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明のレジスタは、円筒型のリテーナ内に円筒フレームを有した回動ルーバーが回動可能に配設され、該回動ルーバーには送風方向と平行な中心線から放射状に複数の可動フィンが該円筒フレームの内側でラジアル方向の支軸により回動可能に軸支されてなるレジスタにおいて、
該リテーナ内の送風方向と平行な中心線上に、ボールを有するボールジョイントが配設され、該回動ルーバーには、該円筒フレームの中央に、軸支部を外周部に設けた中央軸支部が配設され、該中央軸支部は中央に設けたボール穴を該ボールに嵌合させて、傾動及び回動可能に取り付けられ、
該円筒フレームの内側に複数の可動フィンが、略等間隔をおいてラジアル方向の支軸により回動可能に軸支されるとともに、該各可動フィンの内側の支軸が該中央軸支部の該軸支部の各軸穴に嵌入され、
該中央軸支部の前面側中央には操作部が該回動ルーバーの中心線の回りで回動可能に装着され、該操作部はベベルギヤ機構を介して該各可動フィンの内側部分と連係され、
該ボールジョイントのボールと該中央軸支部のボール穴間には、カップ状でゴム状弾性体製の荷重付与部材が介装され、該可動フィンの該支軸
は、先端が該荷重付与部材に当接し
て該荷重付与部材の弾性力を軸方向に受けた状態で軸支され、
該操作部の該中心線を軸とする回動操作に応じて、該可動フィンの
該支軸が該ベベルギヤ機構を介して、該中央軸支部の
該軸支部を中心に回動し、該操作部を該円筒フレームのラジアル方向に動かしたとき、該円筒フレームと該リテーナ内面が非接触で、該回動ルーバーは該ボールジョイントに支持された状態で該ボールを中心に傾動すること特徴とする。
【0014】
この発明によれば、回動ルーバーの中央の操作部を持って回動ルーバーを任意の方向に傾動操作したとき、回動ルーバーは、該円筒フレームと該リテーナ内面が非接触で、該ボールジョイントに支持された状態でボールを中心に傾動するので、従来のレジスタのように、外枠の内側球面と内枠の外側球面の接触による回動支持に比して、製品ごとの寸法誤差に起因した操作荷重のばらつきやゴリゴリ感は発生せず、安定した滑らかな操作フィーリングで回動ルーバーを傾動させて風向を変えることができる。
【0015】
さらに、ボールジョイントのボールと中央軸支部のボール穴間に、カップ状でゴム状弾性体製の荷重付与部材を介装させているので、より安定した操作荷重で且つ滑らかな操作フィーリングをもって、回動ルーバーを傾動操作することができる。加えて、可動フィンの支軸の先端が荷重付与部材に当接し、荷重付与部材はゴム状弾性体などから形成されて支軸に弾性力を付与するので、可動フィンの寸法のばらつきなどに起因した可動フィンのガタツキを防止することができる。
【0016】
一方、上記レジスタにおいて、上記回動ルーバーの中央軸支部の外周部には5個の軸支部を等間隔で設け、5枚の可動フィンをそれらの軸支部に軸支させ、回動ルーバーの円筒フレームの内側に該可動フィンを等間隔で配置し、上記円筒フレームの横断面と略平行状態まで該可動フィンが回動したとき該円筒フレーム内を閉鎖するように構成することができる。これによれば、従来のレジスタで使用されていた4枚の可動羽根の大きさに比して、可動フィンの大きさを小形にすることができ、これにより、可動フィンをボールジョイントに干渉させずに、回動ルーバーを傾動させることができる。
【0017】
つまり、例えば従来のレジスタのように4枚の可動フィンを中央軸支部の周囲に回動可能に軸支した場合、可動フィンが円筒フレームの横断面と略平行状態まで回動したとき円筒フレーム内を閉鎖する必要性から、5枚の可動フィンの場合より、その可動フィンの形状がより大形となって、可動フィンを送風方向と平行にした状態で回動ルーバーを傾動させたとき、可動フィンの後部内側がボールジョイントと干渉して、回動ルーバーの傾動角度が制限される。
【0018】
これに対し、回動ルーバーに5枚の可動フィンを設けることにより、可動フィンがより小形となり、回動ルーバーを傾動させたときのボールジョイントとの干渉を回避し、広い角度範囲で回動ルーバーを傾動することができる。しかも、可動フィンの小形化に伴い、流路の軸方向(送風方向)と平行になった状態の軸方向の長さを短くすることができるため、リテーナの長さをより短くすることができ、これにより、レジスタの設置スペースを省スペース化することができる。
【0019】
さらに、上記ベベルギヤ機構は、駆動側のベベルギヤ部が上記操作部に連結されるとともに上記中央軸支部の中央に突設された中央軸に回動可能に軸支され、従動側のベベルギヤ片が上記各可動フィンの内側元部近傍に一体成形され、駆動側のベベルギヤ部と従動側の各ベベルギヤ片を噛合して構成することができる。これによれば、従動側のベベルギヤ片が各可動フィンの内側部分に一体成形されるので、部品点数を削減できるとともに、部品の組付工数を少なくすることができる。
【0020】
また、上記回動ルーバーの円筒フレームは、前円筒フレームと後円筒フレームを嵌着して形成され、該前円筒フレームにはその横断面に沿って格子部が設けられ、該格子部の前面に上記操作部が回動可能に支持されるとともに上記ベベルギヤ機構に該操作部の中央部が連結される構成とすることができる。
【0021】
また、上記回動ルーバーの各可動フィンには上記支軸が外側に突設され、該支軸は上記前円筒フレームと後円筒フレームの間に挟持されて回動可能に支持される構造とすることができる。
【0022】
さらに、上記リテーナ内には、上記回動ルーバーの円筒フレームがその外周面と該リテーナの内周面との間に僅かな隙間をもって回動可能に配設され、当該状態で、該リテーナの前部にベゼルを嵌着するように構成することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のレジスタによれば、滑らかな拡散風を送風することができるとともに、円滑な傾動操作を可能とし、傾動操作時の操作フィーリング感を改善し、ガタツキを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は自動車の車室内に設けられる空調装置用の丸型レジスタの正面図を示し、
図2は同レジスタの斜視図を示している。このレジスタは、概略的には、
図4に示す如く、円筒型のリテーナ1内に円筒フレーム20を有した回動ルーバー2が回動可能に配設され、回動ルーバー2には送風方向と平行な中心線S1から放射状に、5枚の可動フィン23が、円筒フレーム20の内側で放射状の軸支部4によって、回動可能に軸支される。リテーナ1内には流路15が形成され、リテーナ1はその前後部で開口している。
【0026】
図7、9に示すように、リテーナ1内の後部には、支持枠12が放射状に設けられ、支持枠12の中央部にボールジョイント支持部11が設けられ、ボールジョイント支持部11の軸方向に穿設された軸孔に、ボールジョイント8の軸部82が嵌め込まれて取り付けられる。ボールジョイント8は、
図4などに示すように、円筒フレーム20と5枚の可動フィン23を有した回動ルーバー2を、レジスタの中心線S1上で支持し、中心線S1を中心に上下左右等に傾動可能に支持する構造となっている。
【0027】
リテーナ1の前部外周部には、ベゼル9を嵌着するために、複数の係止部13が設けられ、係止部13にはベゼル9の係止爪9aが係止される。ベゼル9は、円環状に形成されてその円形開口部が空気吹出口9bを形成し、内側に回動ルーバー2を配設した状態で、リテーナ1の前部に嵌着される。
【0028】
回動ルーバー2は、
図7に示すように、円筒フレーム20内に5枚の可動フィン23を放射状に配設し、円筒フレーム20の前円筒フレーム21の中央に操作部6を回動可能に軸支し、操作部6の回動操作に応じて、5枚の可動フィン23を、中央軸支部3の外周部の軸支部4の回りで回動させるとともに、各可動フィン23を支軸24a,24bを中心に傾動(回動)させるように構成される。また、回動ルーバー2は、中央に配置した中央軸支部3が、外周部に5個の軸支部4を等間隔(約72°の角度間隔)で配置し、5枚の可動フィン23をそれらの軸支部4に軸支させ、回動ルーバー2の円筒フレーム20の内側に等間隔で配置するようになっている。
【0029】
回動ルーバー2の可動フィン23は、回動操作時、閉鎖方向の回動端で、リテーナ1内の流路15(
図5)の横断方向と平行状態まで回動し、5枚の可動フィン23によって円筒フレーム20内つまり流路15を全閉状態とするようになっている。
【0030】
このような回動ルーバー2を有したレジスタは、リテーナ1内に回動可能に収納され、
図9の如く、その前部にベゼル9が嵌着される。この状態で、リテーナ1内における、回動ルーバー2の円筒フレーム20は、その外周面とリテーナ1の内周面との間に僅かな隙間をもって回動可能に配設され、その状態で、リテーナ1の前部にベゼル9が嵌着される。
【0031】
上記のように、回動ルーバー2を支持するボールジョイント8は、リテーナ1内の送風方向と平行な中心線S1上に、ボールジョイント支持部11にその軸部82を挿入して配設されるが、軸部82の前側先端にボール81が設けられ、そのボール81には、荷重付与部材7を介して、中央軸支部3の中央のボール穴41(
図11)が傾動及び回動可能に嵌合させる。
【0032】
荷重付与部材7は、
図10,11に示すように、熱可塑性エラストマーなどのゴム状弾性体によってカップ状に形成され、中央軸支部3の中央のボール穴41に嵌入され、その内側に、ボールジョイント8のボール81が嵌入される。これにより、回動ルーバー2は、リテーナ1の流路15内で、ボールジョイント8のボール81中心を軸に、荷重付与部材7を介して傾動及び回動可能に装着される。
【0033】
回動ルーバー2は、
図4、7などに示すように、円筒フレーム20の中央に中央軸支部3を配設し、中央軸支部3の外周部に5個の軸支部4を等間隔で設けて構成され、
図10,11のように、中央軸支部3には、その外周部に5個の軸穴4aが等間隔(約72°の角度間隔)で設けられ、さらにその中央軸方向には、中央軸31が突設される。
【0034】
このように、ボールジョイント8のボール81が荷重付与部材7のボール穴内に適度な摩擦抵抗をもって嵌入され、中央軸支部3がその中央のボール穴41を、荷重付与部材7を介してボールジョイント8のボール81に嵌合させているので、回動ルーバー2は、
図16に示す如く、ボール81の中心を回動中心点として、適度な操作荷重をもって、上下左右等の任意の方向に傾動可能とされ、且つ中心線S2の回りで回動可能である。また、
図16などに示すように、回動ルーバー2の円筒フレーム20の外周部は、リテーナ1の内面に接触せずに回動するため、回動・傾動操作時、従来のように不安定な操作荷重が生じたり、ゴリゴリ感が生じたりすることなく、ボールジョイント8の支持によって円滑に回動操作や傾動操作が可能となっている。
【0035】
上記の如く、回動ルーバー2は、5枚の可動フィン23を、
図8のように、略等間隔(約72度の角度間隔)で、放射状に設けた構造であり、各可動フィン23の外周側と内周側には、
図8、10に示す如く、支軸24a,24bが突設される。各可動フィン23は、中央軸支部3の外周部の軸支部4に設けた軸穴4a内に、その支軸24bを嵌入させ、外側に突設された支軸24aを、円筒フレーム20の前円筒フレーム21と後円筒フレーム22間に挟持させて取り付けられる。
【0036】
特に、各可動フィン23の内側の支軸24bは、
図4などに示すように、軸穴4aに嵌入された状態で、中央軸支部3内に進入し、中央軸支部3内に挿入された荷重付与部材7に支軸24bの先端が当接した状態となる。これにより、各可動フィン23の支軸24bは、常に荷重付与部材7の弾性力を軸方向(ラジアル方向)に受けた状態で、回動可能に軸支されることとなる。
【0037】
このため、可動フィン23や中央軸支部3などに寸法公差内の寸法のばらつきが生じた場合でも、ガタツキなく各可動フィン23を回動可能に軸支することができる。また、支軸24bの先端部を半球状としているので、半球状の支軸24bの先端が荷重付与部材7を介してボール81の外周面に当接し、支軸24bは略点接触で支持され、これにより、より円滑な回動とガタツキのない支持を行なうことができる。
【0038】
また、このような回動ルーバー2は、各可動フィン23をその支軸24a,24bの回りで回動させたとき、その回動端で可動フィン23のフィン本体26が円筒フレーム20の横断面と略平行状態となって、流路15を全閉状態とし、送風を遮断する構造である。そのために、5枚の可動フィン23のフィン本体26は、流路15の通風方向と直角な横断面に並置状態となってとき、全閉可能な形状及び大きさとなっている。
【0039】
つまり、
図19に示すように、回動ルーバー2が、5枚の可動フィン23を通風方向と直角な横断面と平行な状態まで回動させたとき、流路15を全閉状態とする形状及び大きさに可動フィン23は形成される。このように、回動ルーバー2は、5枚の可動フィン23を並置するため、4枚の可動フィンの場合より、可動フィン23のフィン本体26の大きさを小形化することができる。これにより、回動ルーバー2は、上下左右等への傾動時、可動フィン23をボールジョイント8に干渉させずに、所定の最大角度まで傾動することができる。
【0040】
しかも、回動ルーバー2の可動フィン23を5枚とした場合、各可動フィン23をその支軸24a,24bを軸に回動させて送風を拡散させたとき、従来のように4枚の可動フィンを配設した回動ルーバーの場合より、送風時の風の拡散は、より高い効率で行なわれ、空気吹出口の周囲に、効率良く拡散されたマイルドな風を送風できるようになっている。
【0041】
さらに、上記のように、可動フィン23の小形化に伴い、可動フィン23が流路15の軸方向(送風方向)と平行になった状態の軸方向の長さを短くすることができる。このため、リテーナ1の長さを、従来の4枚の可動フィンのレジスタより、短くすることができ、これにより、レジスタの設置スペースを省スペース化することができるようになっている。
【0042】
レジスタの操作部6は、
図7などに示す如く、円環形状のダイヤル状に形成され、回動ルーバー2の円筒フレーム20の前部の格子部21aの中央に、回動操作可能に装着される。格子部21aの中央には、軸受孔21bが設けられ、その軸受孔21bにベベルギヤ機構5のベベルギヤ部51の軸部52が挿通され、操作部6はその軸部52に嵌合して取り付けられる。これにより、操作部6を回動操作すると、ベベルギヤ機構5のベベルギヤ部51が回動する構造となっている。また、
図3、4に示すように、操作部6はベゼル9の空気吹出口9bより少し前方に突出して設けられる。これにより、使用時、使用者は操作部6を容易に持って傾動操作または回動操作することができる。
【0043】
ベベルギヤ機構5のベベルギヤ部51は、中央軸支部3の中央軸31を軸に回動し、中央軸支部3の軸支部4の各軸穴4aに軸支された各可動フィン23の内側端部に設けたベベルギヤ片25が、このベベルギヤ部51と噛合する。このため、操作部6を回動操作すると、ベベルギヤ部51を介してベベルギヤ片25が従動して回動し、回動ルーバー2の各可動フィン23は、その支軸24a,24bを軸に回動する。つまり、ベベルギヤ機構5は、
図10に示すように、駆動側のベベルギヤ部51と従動側のベベルギヤ片25とを噛合して構成され、駆動側のベベルギヤ部51の中央に軸部52が突設され、軸部52は操作部6の中央に連結される。軸部52は前円筒フレーム21の格子部21aの中央に設けた軸受孔21bに挿通して回転可能に支持される。
【0044】
また、ベベルギヤ機構5のベベルギヤ部51は、
図11に示すように、軸部52の軸方向に軸孔52aが形成され、この軸孔52aには、中央軸支部3の中央軸31が回動可能に挿通される。これにより、駆動側のベベルギヤ部51は中央軸支部3の中央に突設された中央軸31に回動可能に支持される。駆動側のベベルギヤ部51と噛合する従動側のベベルギヤ片25は、
図10に示すように、各可動フィン23の内側部分に一体成形されている。つまり、各可動フィン23は、その内側端部に設けた支軸24bを、中央軸支部3の軸支部4の軸穴4aに嵌入し、従動側のベベルギヤ片25は可動フィン23の内側部分に一体成形される。また、各可動フィン23の回動範囲は約90°であるため、ベベルギヤ片25は円環ホイール状に形成する必要はなく、
図14に示すように、約180°の角度範囲つまり略半円形の歯部として形成される。
【0045】
上記構成により、駆動側のベベルギヤ部51が操作部6の回動操作により回動したとき、
図4に示すように、従動側の各ベベルギヤ片25が軸支部4を中心に約90°の範囲で回転し、これにより可動フィン23が、軸支部4の回りで、回動ルーバー2の中心線S2と平行な状態から中心線S2と垂直な垂直面と平行な状態(流路の遮断状態)まで回動することとなる。また、上記のように、操作部6を持って
図15〜17の如く、回動ルーバー2を上下左右などの任意の方向に傾動操作し、或いは回動操作したとき、回動ルーバー2はボールジョイント8のみで支持された状態で任意の方向に傾動または回動する構造となっている。
【0046】
上記構成のレジスタは、例えば自動車のインストルメントパネルに設けられた空調装置の空気吹出口等に装着して使用される。レジスタの送風方向を変える場合、操作部6を持って回動ルーバー2を傾動操作或いは回動操作して行なう。操作部6はダイヤル状に形成され且つベゼル9の空気吹出口9bより少し前方に突出して配設されるため、使用者は容易に操作部6を持って傾動操作或いは回動操作が可能である。
【0047】
図2,4に示すように、回動ルーバー2がレジスタの正面前方に真直ぐな状態にあるとき、つまり、回動ルーバー2の可動フィン23が流路15の軸方向に沿った中心線S2と平行な状態にあるとき、空気流は回動ルーバー2の可動フィン23にガイドされて前方に真直ぐ送風され、このとき、前方の比較的狭い範囲に集中して送風が行なわれる。
【0048】
一方、空気吹出口9bの前方の周囲における比較的広い範囲に、拡散して送風する場合、操作部6を持って中心線S2を軸に捻るように右または左に回す。
【0049】
このとき、操作部6の回動力はベベルギヤ機構5の軸部52を介してベベルギヤ部51に伝達され、ベベルギヤ部51が回転し、その回転がベベルギヤ部51と噛合する5枚の可動フィン23のベベルギヤ片25に伝達され、5枚の可動フィン23はその支軸24a,24bを軸に回動し、各可動フィン23のフィン本体26が流路15の横断面に沿ったラジアル方向の軸の回りで回動する。
【0050】
これにより、空気流は、回動ルーバー2を通過する際、回動ルーバー2の中心線S2の回りで旋回するように周囲に広って送風され、空気吹出口9bの周囲に拡散するように送風される。またこのとき、送風は空気吹出口の内側に配置された5枚の可動フィン23により、周囲にガイドされて拡散されるので、従来の4枚の可動フィンの場合に比べ、よりマイルドな風を送風することができる。
【0051】
一方、送風を遮断する場合には、操作部6をさらに右または左に回動端まで回す。これにより、回動ルーバー2の各可動フィン23は、
図19に示すように、支軸24a,24bを軸に、中心線S1,S2と垂直な垂直面と平行な状態(流路の遮断状態)まで回動し、これによって流路15は全閉状態となり、送風は遮断される。
【0052】
一方、風向を斜め上方に向ける場合、操作部6を持って持ち上げるように操作すると、
図15,16のように、操作部6を含む回動ルーバー2がボールジョイント8のボール81を中心に上側に回動(傾動)し、リテーナ1の中心線S1に対し回動ルーバー2の中心線S2が
図16のように上側に傾斜し、これにより、送風方向は斜め上方に向けられる。同様に、風向を斜め下上方に向ける場合、操作部6を持って下げるように操作すると、
図17,18のように、操作部6を含む回動ルーバー2がボールジョイント8のボール81を中心に下側に回動(傾動)し、リテーナ1の中心線S1に対し回動ルーバー2の中心線S2が
図18のように下側に傾斜し、送風方向は斜め下方に向けられる。このように、操作部6を上下或いは左右等と任意の方向に傾動操作することにより、風向を任意の方向に向けることができる。
【0053】
このとき、回動ルーバー2は、円筒フレーム20とリテーナ1内面が非接触で、ボールジョイント8のみに支持された状態で、ボール81を中心に傾動するので、従来のレジスタのように、外枠の内側球面と内枠の外側球面の接触による回動支持に比して、製品ごとの寸法誤差に起因した操作荷重のばらつきやゴリゴリ感は発生せず、安定した滑らかな操作フィーリングで回動ルーバー2を傾動させて風向を変えることができる。
【0054】
また、ボールジョイント8のボール81と中央軸支部3のボール穴41間に、カップ状の荷重付与部材7を介装しているので、この荷重付与部材7により適度な操作荷重(摩擦抵抗)付与され、より安定した操作荷重で且つ滑らかな操作フィーリングをもって、回動ルーバー2を傾動操作することができる。
【0055】
さらに、可動フィン23の支軸24bの先端が荷重付与部材7に当接し、荷重付与部材7はゴム状弾性体などから形成されて、支軸24bに軸方向の弾性力を常時付与するので、可動フィン23の寸法のばらつきなどに起因した可動フィン23のガタツキを防止することができる。
【0056】
一方、上記のように回動ルーバー2を傾動させた状態で、さらに操作部6を中心線S2の回りで回動操作すると、上記と同様、操作部6の回動力がベベルギヤ機構5の軸部52を介してベベルギヤ部51に伝達され、ベベルギヤ部51が回転し、その回転がベベルギヤ部51と噛合する5枚の可動フィン23のベベルギヤ片25に伝達され、5枚の可動フィン23はその支軸24a,24b及び軸支部4を軸に回動する。これにより、回動ルーバー2を通過する空気流は、中心線S2に沿って集中して送風される状態から、回動ルーバー2の中心線S2の回りで旋回するように周囲に拡散する状態まで変化し、上記と同様に、送風状態を集中状態から拡散状態まで変えるように調整することができる。
【0057】
このように、回動ルーバー2の中央の操作部6を持って回動ルーバー2を任意の方向に傾動操作したとき、回動ルーバー2は、円筒フレーム20とリテーナ1内面が非接触で、ボールジョイント8に支持された状態でボール81を中心に傾動するので、従来のこの種のレジスタのように、外枠の内側球面と内枠の外側球面の接触による回動支持に比して、製品ごとの寸法誤差に起因した操作荷重のばらつきやゴリゴリ感は発生せず、安定した滑らかな操作フィーリングで回動ルーバー2を傾動させて風向を変えることができる。
【0058】
なお、上記実施形態の回動ルーバー2には、5枚の可動フィン23を設けたが、例えば、可動フィンの数を3枚或いは6枚とすることもできる。また、上記操作部6は円環状としたが、別の多角形などの形状にすることもできる。