特許第5656991号(P5656991)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5656991特にクランクCVT伝動装置に用いられるフリーホイール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5656991
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】特にクランクCVT伝動装置に用いられるフリーホイール
(51)【国際特許分類】
   F16D 41/07 20060101AFI20141225BHJP
【FI】
   F16D41/07 A
   F16D41/07 D
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-518746(P2012-518746)
(86)(22)【出願日】2010年6月17日
(65)【公表番号】特表2012-532290(P2012-532290A)
(43)【公表日】2012年12月13日
(86)【国際出願番号】DE2010000689
(87)【国際公開番号】WO2011003380
(87)【国際公開日】20110113
【審査請求日】2013年6月14日
(31)【優先権主張番号】102009032337.6
(32)【優先日】2009年7月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512006239
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100167852
【弁理士】
【氏名又は名称】宮城 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ラシュロ マン
【審査官】 堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第02881886(US,A)
【文献】 特開昭63−285336(JP,A)
【文献】 特開2003−113873(JP,A)
【文献】 実開平01−113629(JP,U)
【文献】 特開2004−001665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 1/00− 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーホイールであって、該フリーホイールが、インナレース(1)と、該インナレース(1)を半径方向で取り囲んで配置された、該インナレース(1)に対して相対的に少なくとも一方の回動方向に回動可能なアウタレース(2)と、インナレース(1)とアウタレース(2)との間に配置された、ヘッド範囲およびベース範囲を備えた複数の締付け体(3)とを備えており、該締付け体(3)が、互いに接触していて、押付け溝(N)内に係合する全周にわたって延びるばね(4)の半径方向内向きに作用するばね力によってインナレース(1)に向かって押圧可能であるフリーホイールにおいて、互いに隣り合った締付け体(3)の旋回運動時に接触する当付け面(3c,3d)が、前記ヘッド範囲にも前記ベース範囲にも同時に形成されており、締付け体(3)が、前記ヘッド範囲および前記ベース範囲においてサイクロイドの形で形成されており、これにより、互いに隣り合った締付け体(3)の当付け面(3c,3d)間において、旋回運動時の常時の当付けが保証されることを特徴とする、フリーホイール。
【請求項2】
あらゆる運転点において、互いに隣り合った締付け体(3)の前記ヘッド範囲と前記ベース範囲との間に、潤滑膜(油膜)の維持のために、規定されたコンスタントな間隔が存在している、請求項1記載のフリーホイール。
【請求項3】
前記ヘッド範囲における締付け体(3)の幅が、前記ベース範囲における締付け体(3)の幅よりも大きく設定されている、請求項1または2記載のフリーホイール。
【請求項4】
前記押付け溝(N)が、ばね(4)に対する圧着面(3f)を有しており、該圧着面(3f)、空転方向でインナレース(1)に向かって(半径方向内向きに)傾斜している、請求項1からまでのいずれか1項記載のフリーホイール。
【請求項5】
前記フリーホイールが、クランクCVT伝動装置に用いられるフリーホイールである、請求項1から4までのいずれか1項記載のフリーホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にクランクCVT伝動装置に用いられるフリーホイールであって、該フリーホイールが、インナレースと、該インナレースを半径方向で取り囲んで配置された、該インナレースに対して相対的に少なくとも一方の回動方向に回動可能なアウタレースと、インナレースとアウタレースとの間に配置された、ヘッド範囲およびベース範囲を備えた複数の締付け体とを備えており、該締付け体が、互いに接触していて、押付け溝内に係合する全周にわたって延びるばねの半径方向内向きに作用するばね力によってインナレースに向かって押圧可能であるフリーホイールに関する。
【0002】
CVTは、斑なく変速する伝動装置である。この伝動装置では、入力する軸の回転数と出力する軸の回転数との比、つまり、変速比が、規定された範囲内で無限に多くの値(段)をとることができる。これには、軸の停止または回転方向逆転が含まれていてもよい。運動の伝達は、てこの原理に従って伝動作用を規定するジオメトリを有する構成部材の変更可能なカップリングを介して行われる。構成部材ジオメトリの変更によって、変速比変化が達成される。しかし、この変速比変化は、同時に構成部材カップリングの箇所におけるジオメトリの変更なしに行うことはできない。
【0003】
このために、クランクCVT伝動装置に用いられる多くのフリーホイール装置は締付け体を有している。この締付け体は、被駆動軸の範囲によって形成されたインナレースと、アウタレースとの間に配置されている。このアウタレースの面とインナレースの面とは、締付け体がインナレースとアウタレースとの間の一方の相対回動方向で回動をロックすることができ、これによって、アウタレースとインナレースとが一緒に回動させられるように互いに調整されている。アウタレースとインナレースとの間の他方の相対回動方向では、締付け体によるロック作用は生じない。個々の締付け体はロック方向に押圧される。このことは、少なくとも1つのばねエレメントによって行うことができる。
【0004】
たとえば、ドイツ連邦共和国特許出願公開第1814968号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公告第6811650号明細書およびドイツ連邦共和国特許第3233073号明細書に基づき、フリーホイールクラッチが公知である。この公知のフリーホイールクラッチは、アウタレース1とインナレースとの間に挿入された、互いに間隔を置いて配置された傾動可能な多数の締付け体を備えている。これらの締付け体は1つのケージ内にガイドされていて、係合方向もしくは機能係合方向で内向きに緊締する全周にわたって延びるばねによって保持されているかもしくは締付け体には、このばねによってプリロードがかけられている。締付け体の中間を貫いて、ばねを収容するための直線的に延びる溝が形成されている。
【0005】
ばねは、環状帯材ばね、環状の溝ばねもしくはコイルばね(ガータスプリング)の形で形成されていてよい。一番最後の例では、ガータスプリングが締付け体のガータスプリング溝内に係合している。
【0006】
また、ケージなしの締付け体型フリーホイールも公知である。この公知の締付け体型フリーホイールでは、傾動可能な締付け体のガイドが、ケージなしの針状ころ軸受けと同様に締付け体の中央において、たとえばメアンダスプリングによって行われる。締付け体は互いに接触している。
【0007】
締付け体が、特にケージなしのフリーホイールにおいて、固有の回動軸線を中心として高い動特性のもと望ましくない形で回動させられて、これによって、締付け機能が損なわれることは不利である。
【0008】
本発明の課題は、ケージなしの、特にクランクCVT伝動装置に用いられるフリーホイールを改良して、締付け体の望ましくない回動が阻止されるようにすることである。
【0009】
この課題を解決するために本発明に係るフリーホイールによれば、締付け体のガイド部が、前記ヘッド範囲にも前記ベース範囲にも同時に形成されており、締付け体が、前記ヘッド範囲および前記ベース範囲においてサイクロイドの形で形成されている。
【0010】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、あらゆる運転点において、互いに隣り合った締付け体の前記ヘッド範囲と前記ベース範囲との間に、潤滑膜(油膜)の維持のために、規定されたコンスタントな間隔が存在している。
【0011】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、前記ヘッド範囲における締付け体の幅が、前記ベース範囲における締付け体の幅よりも大きく設定されている。
【0012】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、互いに隣り合った締付け体の間に、一方のフリーホイール回動方向では2つのガイド点が形成されていて、前記フリーホイール回動方向と逆の回動方向では1つの衝突点が形成されている。
【0013】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、衝突時に締付け体にメアンダスプリングによって、締付け体に対する起立モーメントを増大させるてこ腕が作用しており、該てこ腕が、締付け体の基準の接触範囲におけるてこ腕よりも大きく設定されている。
【0014】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、前記押付け溝が、衝突時の前記てこ腕の増加のために、ばねに対する圧着面を有しており、該圧着面が、空転方向でほぼ凸状に湾曲させられていて、締付け体の減衰範囲でほぼ一直線に延びている。
【0015】
本発明に係るフリーホイールの有利な態様によれば、前記押付け溝の前記圧着面が、前記空転方向でインナレースに向かって(半径方向内向きに)傾斜している/傾けられている。
【0016】
特にクランクCVT伝動装置に用いられるフリーホイールは、インナレースと、このインナレースを半径方向で取り囲んで配置された、このインナレースに対して相対的に少なくとも一方の回動方向に回動可能なアウタレースと、インナレースとアウタレースとの間に配置された、ヘッド範囲およびベース範囲を備えた複数の締付け体とを備えており、これらの締付け体は、互いに接触していて、押付け溝内に係合する全周にわたって延びるばねの半径方向内向きに作用するばね力によってインナレースに向かって押圧可能であり、本発明によれば、締付け体のガイド部が、ヘッド範囲にもベース範囲にも同時に形成されており、締付け体が、ヘッド範囲およびベース範囲においてサイクロイドの形で形成されている。これによって、締付け体が、ほとんど運動自由度を有しておらず、特にメアンダスプリングまたはガータスプリングとして形成されていてよいばねが幾つかの締付け体を締付けギャップ内に適正に押し込まない場合でも、これらの締付け体は別の締付け体によって連行される。
【0017】
有利な態様では、特にあらゆる運転点において、互いに隣り合った締付け体のヘッド範囲とベース範囲との間に、潤滑膜(油膜)の維持のために、規定されたコンスタントな間隔が存在している。
【0018】
さらに、ヘッド範囲における締付け体の幅が、ベース範囲における締付け体の幅よりも大きく設定されている。これによって、締付け体溝内でのメアンダスプリングの転動のために、周方向に全体的に多くのスペースが提供される。これにより得られたスペースは、押付け機能の改善のために使用することができる。
【0019】
より広幅のヘッド範囲によって、互いに隣り合った締付け体の間に、一方のフリーホイール回動方向では2つのガイド点が形成されていて、このフリーホイール回動方向と逆の回動方向では1つの衝突点が形成されている。さらに、有利には、衝突時に締付け体にばねによって、締付け体に対する起立モーメントを増大させるてこ腕が作用しており、このてこ腕が、有利には、締付け体の基準の接触範囲におけるてこ腕よりも大きく設定されている。これによって、締付け体に対する起立モーメントがより大きくなる。さらに、このことは、衝突に基づく締付け体の万が一の挟まりおよび潤滑油による相互固着をより良好に回避するために寄与する。
【0020】
しかし、基準の接触範囲では、引きずりモーメントを低く保ちかつ効率を高く保つために、てこ腕増加が作用してはならない。
【0021】
押付け溝は、衝突時のてこ腕の増加のために、ばねに対する圧着面を有しており、この圧着面は、空転方向でほぼ凸状に湾曲させられていて、締付け体の減衰範囲でほぼ一直線に延びている。さらに、押付け溝の圧着面は、空転方向でインナレースに向かって半径方向内向きに斜めに傾けられている。
【0022】
締付け体の相互のガイドの改善によって、不利な誤差のためにメアンダスプリングによって締付けギャップ内に適時に押し込まれない締付け体も、隣り合った締付け体によってヘッド範囲でもベース範囲でも連行され、これによって、フリーホイールのグリップ機能が改善され、締付け体の回動が阻止される。
【0023】
また、締付け体の起立を容易にするメアンダスプリングの、衝突時に増加させられるてこ腕による押付けの改善も有利である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】締付け体の正面図である。
図2】それぞれ異なる運転位置におけるフリーホイールを示す図である。
図3】締付け体の溝の範囲におけるフリーホイールの横断面の一部を基準位置で示す図である。
図4】締付け体の溝の範囲におけるフリーホイールの横断面の一部を衝突位置で示す図である。
【0025】
本発明を以下に1つの実施の形態および対応する図面につき詳しく説明する。
【0026】
図1には、ベース範囲3.1とヘッド範囲3.2とを備えた締付け体3の正面図が示してある。ベース範囲3.1は第1の接触面3aでフリーホイールのインナレース(図示せず)に向けられており、ヘッド範囲3.2は第2の接触面3bでフリーホイールのアウタレース(図示せず)に向けられている。
【0027】
ベース範囲3.1は幅b1を有しており、ヘッド範囲3.2は、幅b1に比べて大きな幅b2を有している。両幅b1,b2の間には、符号を付していないくびれが形成されている。
【0028】
衝突押圧時の(正の回動方向+での)締付け体3の、矢印によって示した旋回方向には、第1の当付け面3cが形成されており、この旋回方向と逆方向には、隣接した締付け体(図示せず)に向けられた第2の当付け面3dが形成されている。
【0029】
さらに、締付け体3は、アウタレースに向かって開いた押付け溝N(図3および図4参照)を有している。この押付け溝Nは、図1に破線で示した圧着面3fを有している。この圧着面3fには、たとえばメアンダスプリングもしくは環状の蛇行ばねの形のばね(図示せず)が作用する。圧着面3fは、第2の当付け面3dの方向に、減衰範囲において色濃く示したほぼ一直線に延びる範囲3f’を有している。
【0030】
ばねの、半径方向内側に向けられたばね作用によって、締付けエレメント3がインナレースに向かって押圧される。締付けエレメント3は、インナレースの締付けギャップ内に押し込まれる(図示せず)。
【0031】
図2の個別図a)〜d)には、衝突位置から最大のトルクまでのそれぞれ異なる運転位置におけるフリーホイールが示してある。
【0032】
このフリーホイールは、インナレース1と、アウタレース2と、両レース1,2の間に配置された複数の締付け体3と、1つのメアンダスプリング4とから成っている。このメアンダスプリング4は締付け体3の溝(図示せず)内に係合していて、締付け体3を半径方向内向きにインナレース1に向かって押圧している。
【0033】
図2a)には、衝突位置が示してある。この衝突位置では、締付け体3が正の加速+によって旋回させられていて、締付け体3のヘッド範囲3.2が正の加速の方向(図2a)では右方)に旋回させられている。締付け体3がその接触面3aでインナレース1から緩められる。これによって、アウタレース2とインナレース1との間にクリアランスが保証され、減衰部が形成される。正の回動方向+では、互いに隣り合った締付けエレメント3が、ベース範囲3.1において第1のガイド点P1で互いに接触していて、ヘッド範囲3.2において第2のガイド点P2で互いに接触している(締付け体3の長さにわたって、線接触が得られる)。反対の側では、締付け体3の持上りを助成する衝突点P3において接触が生じている。
【0034】
図2b)には、第1のガイド点P1と第2のガイド点P2とを備えた締付け体3の基準の位置が示してある。
【0035】
図2c)には、アウタレース2とインナレース1との間で平均的なトルクを伝達するための締付け体3の位置が示してある。第1のガイド点P1は内方に「移動」させられており、第2のガイド点P2は外方に「移動」させられている。
【0036】
図2d)には、負の加速−時に最大のトルクを伝達するための位置が示してある。これによって、締付け体3のヘッド範囲3.2が、図2d)では左方に旋回させられていて、締付け体3がその接触面3a,3bでインナレース1とアウタレース2とに向かって押圧され、ひいては、アウタレース2とインナレース1との間で最大のトルクが伝達可能となる。締付け体3の旋回運動時には、凸状に丸み付けられた第1の接触面3aがインナレース1で転動し、凸状に湾曲させられた第2の接触面3bがアウタレース2で転動する。図2d)に示した位置でも、互いに隣り合った締付け体3において、ベース範囲3.1同士が第1のガイド点P1で接触しており、ヘッド範囲3.2同士が第2のガイド点P2で接触している。
【0037】
さらに、図2d)によれば、締付け体3の転倒防護が実現される。なぜならば、1つの締付け体3のヘッド範囲3.2の当付け面3dが、負の回動方向−で見て、この締付け体3の前方に配置された締付け体3のベース範囲3.1の当付け面3cに当接していて、これによって、もはや半径方向内向きに運動しないようになっているからである。
【0038】
したがって、正の回動方向から負の回動方向への、逆に、負の回動方向から正の回動方向への旋回体3の全旋回運動の間、常に2つの接触点P1,P2での、互いに隣り合った締付け体3の当付けが保証されている。
【0039】
図3には、締付け体3の押付け溝Nの範囲におけるフリーホイールの横断面の一部が基準位置で示してあり、図4には、衝突位置で示してある。図3および図4から明らかであるように、メアンダスプリング4は押付け溝N内に係合していて、この押付け溝Nの圧着面3fに作用している。押付け溝Nの圧着面3fは、色濃く示したほぼ一直線の範囲3f’を有している。図3に示した基準の位置では、この一直線の範囲3f’がほぼ全体的にメアンダスプリング4の内側輪郭に接触している。そして、メアンダスプリング4の、長さL1を備えた第1のてこ腕が得られる。締付け体3が、図4に示した衝突位置に運動させられると、メアンダスプリング4のてこ腕が、図4に示した圧着面3fの一直線に延びる断面形状3f’によって長さL2に増加させられる。これによって、締付け体3に対する起立モーメントがより大きくなる。このことは、締付け体3が、衝突に基づく万が一の挟まりおよび潤滑油による相互固着をより良好に回避することを助成する。基準の接触範囲では、引きずりモーメントを低く保ち、ひいては、効率を高く保つために、てこ腕増加が作用してはならない。締付け体3の形状をヘッド範囲3.2およびベース範囲3.1においてサイクロイドの形で特殊に形成することによって、あらゆる運転点において、締付け体ヘッドとベースとの間に、規定されたコンスタントな間隔が形成される。これによって、潤滑のための油膜の形成が保証されている。締付け体3は、新規のジオメトリによって、ほとんど運動自由度を有していない。したがって、傾倒が阻止される。さらに、これによって、誤差に基づきメアンダスプリングまたはガータスプリングが幾つかの締付け体をインナレースの締付けギャップ内に適正に押し込まない場合でも、これらの締付け体は別の締付け体によって連行される。これは、常に確実に全ての締付け体3が同時に締付けギャップ内に押し込まれることを意味している。
【符号の説明】
【0040】
1 インナレース
2 アウタレース
3 締付け体
3.1 ベース範囲
3.2 ヘッド範囲
3a 第1の接触面
3b 第2の接触面
3c 第1の当付け面
3d 第2の当付け面
3f 圧着面
3f’ 一直線に延びる範囲
4 メアンダスプリング
B1 ベース範囲の幅
B2 ヘッド範囲の幅
L1 基準の位置におけるメアンダスプリングのてこ腕
L2 衝突位置におけるメアンダスプリングのてこ腕
N 押付け溝
図1
図2
図3
図4