(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1支持面と前記第2支持面との間に配置された一対の同軸スクリューギアスリーブ機構が存在し、該同軸スクリューギアスリーブ機構は共通の駆動機構によって駆動される、請求項1に記載の伸延可能な装置。
前記同軸スクリューギアスリーブ機構のうちの一方のスリーブのねじ山付き内面およびギア付き外面は、他方の同軸スクリューギアスリーブ機構のねじ山付き内面およびギア付き外面のねじピッチの向きと反対のねじピッチの向きを有する、請求項3に記載の伸延可能な装置。
前記駆動機構は一対のねじ部分を有するウォーム駆動部であり、各ねじ部分は前記同軸スクリューギアスリーブ機構のうちの1つと界接するように構成されている、請求項3に記載の伸延可能な装置。
前記第1支持面は第1部材の外面であり、前記第2支持面は第2部材の外面であり、前記スリーブは、前記スリーブが突出する支持面に対応する第1部材または第2部材の一方のスリーブ開口内に、前記スリーブの前記ギア付き外面が前記スリーブ開口内の雌ねじ山と界接するように嵌合する、請求項1に記載の伸延可能な装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は様々な修正および代替形態を受け入れるが、それらのうちの特定のものを例として図面に示し、詳細に説明する。しかしながら、本発明は本発明を記載される特定の実施形態に限定するものではないことを理解すべきである。むしろ、本発明は、本発明の精神および範囲内にあるすべての変更物、均等物、および代替物を対象とするものとする。
【0015】
本発明の以下の詳細な説明において、本発明についての完全な理解を提供するために多くの特定の詳細が述べられる。しかしながら、当業者は、本発明がこれらの特定の詳細を有することなく実施されてもよいことを認識するであろう。他の場合において、本発明の態様を不要に曖昧にしないように、周知の方法、手順および構成要素は詳細に記載されていない。
【0016】
図1A〜1Cを参照すると、本発明の実施形態に従った患者の椎間板腔内への植え込みに適合された伸延可能な椎間体固定装置100が見られる。
図1Aは完全に圧縮された形態にある装置100を示し、
図1Bは完全に拡張された形態にある装置100を示し、
図1Cは装置100の分解図を示している。
【0017】
装置100は、椎間板腔の上位または下位の椎骨のうちの一方の終板と界接するように構成された支持面102を有する第1部材110と、上位または下位の椎骨のうちの他方の終板と界接するように構成された支持面104を有する第2部材150とを備える。一実施形態において、支持面102,104は、装置100の偶発的な突出を防止する椎骨の終板との摩擦を生じさせるために、波形構造114によって提供されるようなテクスチャ表面(textured surface)を備えることができる。波形構造114の谷の半径および波形構造114の頂部幅は、依然として装置100が椎間板腔から突出する傾向を低減する波形設計を提供しながらも、切欠係数を最小にし、応力を低減するように最大にされ得る。前記部材110,150の一方または双方は、装置100を介した骨成長を容易にするために、その部材を通って延びる開口173,153を備えることができる。他の実施形態において、開口は、椎間板の核を再現することができ、圧縮、せん断およびねじれ負荷状態において装置の強度を補うことができるゲル、ゴムまたは他の柔軟な材料で充填され得る。これに代わって、各部材110,150上には、概して固体の表面、テクスチャ表面もしくはエッチング表面、刻み目もしくは切欠を有する表面、または多数の開口を有する表面が提供され得る。
【0018】
装置100はまた、第1部材110から延びるねじ山付きポスト部材111,112と、前記ねじ山付きポスト部材111,112を包囲するように構成された一対のねじ状のギア付きスリーブ(threaded geared sleeve)120,130とを有する一対の同軸スクリューギアスリーブ機構を備えることができる。ねじ山付きポスト部材111,112はその外面上に画定されたねじ山113,115を有し得る。ねじ状のギア付きスリーブ120,130は双方とも、ねじ山付きポスト部材111,112のねじ山113,115と界接するように構成された雌ねじ山(interior threads)122,132と、雄ねじ山(exterior threads)121,131とを有し得る。一実施形態において、スリーブ120のうちの一方の雄ねじ山121および雌ねじ山122の双方は、他方のスリーブ130のねじ山131,132とは反対巻き(opposite hand)のものである。スリーブ120,130の雄ねじ山121,131は、該ねじ山に切り込まれたギア歯124,134を有し得る。一実施形態において、ギア歯124,134は、ねじ山の強度を最大にするために、ねじ山121,131の根元まで、すなわち谷の径までは切断されていない。圧縮形態において、ねじ状のギア付きスリーブ120,130は、第2部材150のスリーブ開口161,162内に嵌合し得る。開口161,162は、ねじ状のギア付きスリーブ120,130の雄ねじ山121,131とかみ合うねじ部151,152を備え得る。一実施形態において、スリーブ開口161,162は、第2部材150の支持面104を通り抜けて延びる。いくつかの実施形態において、図示されているように、ねじ状のギア付きスリーブ120,130は実質的に固体であり得る。他の実施形態において、ねじ状のギア付きスリーブは、質量の低減および材料の節約のため、または骨の内部成長を促進するために、前記スリーブを通る1つ以上のスロットを備えることができる。
【0019】
装置100は、装置100内のウォーム孔154を通って延びるウォーム140の支援によって拡張され得る。ウォーム140は、スリーブ開口161,162のねじ部151,152内の一対の孔157,158を介してねじ状のギア付きスリーブ120,130のギア歯124,134を有する雄ねじ山と界接するように構成された第1対向ねじ部分142および第2対向ねじ部分141を有し得る。ウォーム140は、ウォーム140のそれぞれの端に、それがデリバリーシステム(下記に述べる)によって駆動されることを可能にする六角頭(hex)143,144を備え得る。そのようなデリバリーシステムもまた、ねじ穴156Aまたはねじ穴156Bにおいてウォーム140を駆動する場合に該デリバリーシステムを安定させるために、前記装置100に取り付けられ得る。装置100は、装置100がどちらの端からも挿入および駆動され得るように、該装置のそれぞれの端に六角頭143,144およびねじ穴156A,156Bを備えることもできるし、または装置の片側のみに六角頭およびねじ穴を備えて、装置を単一方向からの挿入および伸延に限定することもできる。底部材150はまたウォーム孔154の上方に1つ以上のスカラップ155も備えることができ、該スカラップは、ねじ状のギア付きスリーブ120,130が回転するのを依然として可能にしながら、増大した強度および厚さを提供する。
【0020】
図1Dの伸延可能な椎間体固定装置100の部分断面図は、前記装置が、第1部材110および第2部材150を互いに対して拡張するために、ねじ山付きポスト部材111,112、ねじ状のギア付きスリーブ120,130、およびウォーム140を用いた入れ子式機構(telescoping mechanism)として多重同軸スクリューギアスリーブ機構をどのように用いることができるかを示すのを支援する。六角頭144を反時計回りに、従ってウォーム140を反時計回りに回転させることによって、ウォーム140の第1ねじ部分142は、ねじ状のギア付きスリーブ130のギア歯134を六角頭144に向かって引っ張る。これはスリーブ130を雌ねじ山152に沿って第2部材150から上方に並進
運動させる。スリーブ130が上方に並進
運動しながら回転
運動するにつれて、第1部材110から延びるねじ山付きポスト部材112は、回転することはできないが、該ポスト部材112もまた、スリーブ130および第2部材150に対して上方に並進
運動する。この第2の並進
運動は、スリーブ130の対応する雌ねじ山132によって駆動されているねじ山付きポスト部材112の反対巻き(opposite handed)の雄ねじ山115によって生じる。同一の機構が、雄ねじ山121および雌ねじ山122を有する反対のねじ山付きスリーブ120と、雄ねじ山113を有するポスト部材111と、ウォーム140の第2ねじ部分141とを備えた装置の反対側において生じている。
【0021】
各装置の同一の構成要素のためのねじ山が反対巻きであるので、ウォーム140の一方の側のねじ山142は、ねじ状のギア付きスリーブ130上のギア歯134を引っ張り、一方、ウォーム140の他方の側のねじ山141は、他方のスリーブ120上のギア歯124を押す、またはウォーム140の回転の方向に応じて、逆もまた同様である。ねじ状のギア付きスリーブ120,130によってウォーム140に印加される反対の力は、ウォーム140によって張力(tension)または圧縮力(compression)のいずれかに保持される。従って、ウォーム140は、装置100が拡張されるか、または収縮される際に、ウォーム孔154内に
向かって、または同孔から
出るように実質的に駆動されない。これは、ウォームを保持し、かつ装置において前記力を釣り合わせるためにピンまたは他の保持装置が必要とされないという点で有利である。そのようなピンは、装置の寿命をより短寿命にし得る過剰な摩耗の地点になり得る。いくつかの実施形態において、ウォーム140が軸線方向に引っ張られたり、または押されたりすることによって、装置が引っ掛かる(jammed)ようになり得るが、これを防止するためにピンを用いることができる。
【0022】
ウォーム駆動に対する代替駆動機構としては、圧電アクチュエータ、および衝突機構または構成を与える任意の推進力が挙げられる。加えて、ウォームのような駆動機構はデリバリーシステムの一体化部品であり得る。そのような実施形態において、ねじ状のギア付きスリーブの雄ねじ山は双方とも同方向巻き(same hand)のものであり、また、前記ウォームはウォーム孔において圧縮された装置に螺入されるであろう。ウォームが回転される際に、ウォームの軸方向位置は、ピンの代わりに、デリバリーシステムによって束縛され、装置の伸延を生じるであろう。前記装置が所望の高さに達したならば、前記ウォームはウォーム孔から螺脱され、前記装置は、ねじ山付きロッキングウォームをねじ込むことによって、適所にロックされ得る。前記ロッキングウォームは、それが装置に恒久的にまたは取り外し可能な方法で取り付けられることを可能にする付加的なねじ山付きまたはスナップ式の形状構成(threaded or snapping feature)を有し得る。ロッキングウォームはPEEKのような放射線透過性材料からを製造され得る。従って、これはウォームを介した撮像を可能にするであろう。ロッキングウォームは、単に、ねじ状のギア付きスリーブが前記装置に回転して入るか、前記装置から回転して出ることを阻止するために十分に強固である必要があり、装置を伸延させるのに十分なほど強固である必要はないであろう。装置が必要な量の剛性を保持する限り、装置の長さに沿って底部材の開口の両側の底部材の側面の一部を除去することによって、より大きな放射線透過性窓を形成することができる。
【0023】
ここで
図2Aおよび
図2Bを参照すると、第2部材150の雌ねじ山部151,152内におけるねじ状のギア付きスリーブ120,130のギア歯124,134の好ましい嵌合が示されている。ギア歯124,134がウォームによって第2部材150の雌ねじ山151,152に向かって押し付けられるとき、ギア歯124,134とねじ山151,152との間の負荷は、構成要素間において支持面163,164によって均衡を保たれる。これは装置100が実質的な負荷を散らす能力をもたらす。ギア歯124,134と雌ねじ山151,152との間におけるこの嵌合は、
図3Aおよび
図3Bに示される嵌合と対照的であり得る。それらの図において、ねじ状のギア付きスリーブ120’,130’のギア歯124’,134’が、第2部材150’の雌ねじ山151’,152’に向かって押し付けられる場合に、その力は
図2Bにおけるように支持面によって均衡を保たれるのではなく、雌ねじ山151’,152’がギア歯124’,134’に印加する力によって均衡を保たれている。これは、ギア歯124’,134’が楔として作用し、雌ねじ山151’,152’に対して押し付けられるようになることを生じ得る。これにより、装置が実質的な負荷を散らす能力は大幅に低下され、前記装置は構成要素間の摩擦に影響を受けやすくされる。任意で、機構における摩擦を低減するために、ケイ素潤滑剤のような液体または気体潤滑剤が用いられてもよい。また、生理食塩水を潤滑剤として用いてもよい。
【0024】
図面に示したねじ山はすべて突出した螺旋状のリブの形態にあるねじ山であるが、本発明の目的のための「ねじ山」はまた、回転力を並進運動または長手方向運動に変換する任意の他の機構を指すことができることに留意すべきである。例えば、いくつかの実施形態において、ねじ山は、ベアリングの再循環配列もしくは螺旋状配列、または協働する磁石のような他の低摩擦配列で構成することができる。
【0025】
一実施形態において、完全に圧縮された形態では、支持面102,104の間の装置100の高さは6.5ミリメートルであり、最大の完全に伸延された高さは12ミリメートルであり、よって装置の初期の高さに対して非常に多大な伸延を提供する。最大高さは、前記装置が植え込み型椎間体固定装置に対する動的な圧縮、せん断、およびねじれの要件を満たすことができる最大の高さによって定義される。この高さを決定する変数としては、装置の所望の幅によって制限されるねじ状のギア付きスリーブの幅と、装置を製造する材料とが挙げられる。前記装置の材料に関して、より高い耐疲労性能を有する材料は、より狭い幅においてさえ、より高い装置の最大高さを可能にする。一実施形態において、前記装置はチタンから製造される。前記装置はまた、材料に応じて増大した強度特性または増大した放射線透過特性のために、コバルト・クロム、MP35NまたはPEEKから製造されてもよい。固定している骨(fusing bone)が前記装置を介して撮像されることを可能にするので、X線透過性は所望の性質である。一実施形態において、前記装置は、圧縮形態において、さらに大きな量の伸延を提供するために、前記ねじ状のギア付きスリーブが第2部材の支持面を介して突出するように設計され得る。前記装置を植え込みに適応させるために、前記スリーブの突出部分を収容するように構成された開口が、隣接する椎骨の終板内に切り込まれ得る。
【0026】
一旦伸延されたならば、装置100は体内において所望の高さを維持するためにロッキング機構を必要としない。これは、逆に駆動された場合、前記装置は、システムにおけるわずかな摩擦でさえ、前記装置に印加され得る任意の量の圧縮、ねじれまたはせん断に打ち勝つようにする、非常に高いギア比を示すためである。せん断、ねじれおよび圧縮における動的試験において、装置の高さが変化した最高値は約0.01ミリメートルまでであった。前記装置100は、ねじ状のギア付きスリーブに沿ったいずれの地点においても高さを維持することができるので、よって約1マイクロメーターのオーダーの、非常に高い分解能の高さ調節も示す。
【0027】
一実施形態において、ねじ状のギア付きスリーブ120,130上の雄ねじ山121,131およびギア歯124,134は、実質的に台形の形状であり得る。一実施形態において、前記ねじ山は、台形の8ミリメートル×1.5ミリメートルのメートルねじ山である。台形の設計は、比較的大きなギア歯の大きさを可能にし、従って伸延負荷が分散される大きな面積を可能にする。加えて、正確な製造によれば、
図4Aおよび
図4Bに示されるように、ねじ状のギア付きスリーブ120,130上の多数のギア歯124,134が、圧力角ANGに沿って、ウォーム140によって同時に係合され得る。伸延負荷をスリーブ120,130およびウォーム140の多数の歯の上に分布させることは、最高量の伸延および耐荷重(load capacity)を提供しながら、最小の装置サイズを達成するために重要である。
【0028】
図5A(圧縮形態)、
図5B(部分的に伸延された形態)および
図5C(完全に伸延された形態)には、本発明の実施形態に従った伸延可能な椎間体固定装置を植え込むためのデリバリーシステム200が示されている。デリバリーシステム200はまた、伸延を作動させるための作動ツール300も備える。
【0029】
装置100を伸延させるために、装置の六角頭143または六角頭144は、まず、デリバリーシャフト203の端部201のソケットドライバーによって、デリバリーシステム200に接続される。装置100とデリバリーシステム200とをより確実に取り付けるために、送達シャフト204のねじ山付き端部202は、装置100の第2部材150内のねじ穴156Aまたはねじ穴156Bのうちの一方に螺入され得る。次に、装置100はデリバリーシステム200を用いて、標準的な経椎間孔腰椎椎体間固定術(TLIF:transforaminal lumbar interbody fusio)または後方経路腰椎椎体間固定術(PLIF:posterior lumbar interbody fusion)の手順によって身体に挿入され得る。側方腹膜後通路(lateral retroperitoneal corridor)を通る側方椎体間固定はもう一つアプローチである。デリバリーシステム200は、装置100がハンドル213の使用によって挿入される際に、装置100の位置を案内し得る。
【0030】
デリバリーシステム200は、デリバリーシャフト204の近接端部において六角頭215および周方向溝214を備え、またデリバリーシャフト203の端部において六角頭および周方向溝(図示せず)を有する。一旦装置100が椎間板腔内に位置したならば、作動ツール300は、作動ツールの内部六角ソケットドライバーをデリバリーシャフト203,204の端部上の六角頭と係合させることによって、デリバリーシステムに接続され得る。いくつかの実施形態において、作動ツール300が使用中に偶発的に外れないことを保証するために、作動ツール300内の内部スナップリングまたは周方向ばねが、デリバリーシャフト203上の周方向溝と係合することができる。
【0031】
作動ツール300を回転させることによって、使用者はトルクをデリバリーシャフト203を下ってウォーム140に伝え、前記トルクは装置100を伸延する。デリバリーシャフト203が回転されると、スライダ206はシャフト203上のねじ山209に沿って前進する。
図5Dに最もよく示されるように、装置100が拡張されたときの装置100の高さは、起点マーク208を有するデリバリーシャフト204に沿ったスライダ206の位置によってデリバリーシステム200上に表わすことができる。マーク208はデリバリーシャフト204に沿って任意の望ましい間隔に配置され得る。また、スライダ206は、スライダ206が前記マークに達したときに、マーク208をより完璧に観察するために、観察スロット207を備えてもよい。一実施形態において、各マーク208は1ミリメートルの伸延高さを表わし得る。
【0032】
デリバリーシステム200は、装置100がその最大の所望高さに達した場合に、スライダ206はそれ以上進むことができないように停止具205に当接し、よって装置100の高さを制限するように構成され得る。デリバリーシステム200が拡張を制限することを可能にすることによって、過大トルクによるいかなる損傷もデリバリーシステム200において直ちに明らかとなり、そのため装置100によって損傷が持続されない。別の実施形態において、装置100は、装置100がその最大の所望高さに到達したときに、ねじ状のギア付きスリーブ120,130のうちの一方の上のギア歯124,134のうちの2つを、それらの歯がウォーム140と結合するように溶接することによって、装置自身の拡張を制限することができる。同様に、他の実施形態では、ギア歯124,134のうちの1つ以上を省略することもできるし、または、装置の拡張を制限するために、2本のギア歯の間の間隙に小さなポストを挿入することもできる。
【0033】
一実施形態において、シャフト204にトルクを印加するためのレバーは、シャフト204の端部における六角頭215に固着され得る。前記レバーは、装置100がデリバリーシステム200と適切に係合された場合には、前記レバーの位置は駆動軸203へのアクセスを可能にするが、装置が適切に係合されない場合には、前記レバーは駆動軸203へのアクセスを可能にしない形状に形成され、かつ配向され得る。別の実施形態において、スライダ206は、デリバリーシステム200の長さを低減するために、ハンドル213に収容されてもよい。別の実施形態において、デリバリーシステムの構造剛性を増すために、ねじれにおける負荷を保持することができるチューブが、シャフト203,204のうちの一方のまわりに実装されてもよい。前記デリバリーシステムが前記装置による、または前記装置への、ねじれにおける負荷を保持し、伝達するために、小さな足部が前記チューブに固着されてもよい。別の実施形態において、デリバリーシステム200のシャフトは、湾曲または銃剣の形状であり得、最小侵襲性システムおよびワーキングチャネルを介した視覚化を可能にする。
【0034】
作動ツール300は、使用者が1本の指で作動ツール300を回すことを可能にする凹部またはループ304および使用者が作動ツール300を回転させるために握持することができる大きな握持面301の少なくとも1つを備え得る。一実施形態において、前記ループは、該ループが使用者の手袋をはめた指のまわりを容易に回転することを可能にするために、滑性面またはベアリング面で内側を覆われていてもよい。作動ツール300はまた、植え込みのためのハンマーの衝撃を受けるように設計された広い表面303も備え得る。作動ツール300には、前記装置が植え込まれる間に使用者に装置100の改善された視野を与えるために、凹部302も備えられ得る。作動ツール300は、デリバリーシャフト203,204の双方に及ぶことができ、デリバリーシステム200のハンドル213上に延びてもよいし、かつ/または同ハンドル213を受容してもよい。別の実施形態では、マニュアル作動ツール300によって駆動されるのではなく、前記装置100は、空気ドリルもしくは電気ドリル、または電動ドライバー機構のような動力付き作動器具(powered actuation implement)によって駆動され得る。前記動力付き作動器具は、いくつかの実施形態では、前記ツールが遠隔的に制御されることを可能にし得る。
【0035】
他の実施形態において、手動または自動である作動ツールは、装置内においてセンサーを用いて、装置負荷および筋張力のような植え込みパラメーターおよび環境に関するデータを操作者またはオペレーティング・システムに送信し、外科的処置の実施および結果を改善する。デリバリーシステム200は、植え込みおよび伸延プロセスの間に存在する負荷を測定するために、前記装置100上に配置された小さな歪みゲージやリバリーシャフト203,204および作動ツールに取り付けられたロードセルを用いることができる。これらのゲージやロードセルは、デリバリーシステム200上に配置されたマイクロコントローラボードによって監視され得、その情報は、USBのような標準インタフェースまたは無線接続を介して、監視コンピュータにフィードバックされる。この情報は、手順の進行を厳密に監視し、差し迫った問題を警告し、将来の手順を改善するために用いられ得る。フルブリッジされていない場合には、前記ゲージは装置内においてハーフブリッジとして構成され、装置の外側で完成され得る。標準的な信号調整アンプを用いて、信号を励起および調整して、電圧および電流の測定可能な出力を生じ得る。
【0036】
一実施形態において、装置100は、
図6Aおよび
図6Bに示されるような強化された第2部材150を有し得る。これは、装置100がその最大高さに拡張された場合に、ウォーム140が、ねじ状のギア付きスリーブ130の底部136に最も近いねじ状のギア付きスリーブ130の上で完全ギア歯(full gear tooth)134Aと係合するように、ウォーム孔154を、従ってウォーム140を、下げることによって行われ得る。これは第2部材150の上面166を下げることを可能にし、それにより、同一の初期高さを維持しながらも、第1部材110をより厚くする、よってより強くすることが可能にされる。さらに、これは、第2部材150の上面166とウォーム孔154との間の材料168をより厚くすることを可能にする。この形態のさらなる利点は、前記装置が完全に伸延されたときに、第2部材150の少なくとも1つの完全雌ねじ山(full internal thread)152Aがねじ状のギア付きスリーブ134と係合状態にあるということである。そのような形態では、ウォーム孔154の反対の第2部材150の側に付加的な厚さ167が、以前には第2部材150のその側の上面166Aと記載されていたものに対して追加され得る。これは、完全雌ねじ山152Bが、雌ねじ山152Aの反対の側においてねじ状のギア付きスリーブ130と係合することを可能にする。前記ねじ状のギア付きスリーブを両側で完全ねじ山によって捕捉することにより、前記装置がせん断およびねじれによって負荷をかけられる場合に、最大量の材料が負荷に抵抗することになり、これは結果として生じる応力を最小限にし、装置100の疲労寿命を増大させる。
【0037】
図7Aおよび
図7Bは、ねじ山付きポスト111,112が鋸歯ねじ山113A,115Aを用いた本発明の別の実施形態を示している(
図7Bのねじ山113Aを
図1Dのねじ山113,115と比較されたい)。のこ歯ねじ山形態は、ポスト111,112の螺旋軸線に直交する荷重支持ねじ面を生じ、これは装置の軸線方向強度を高める。
図8Aおよび8Bは、ねじ山付きポスト111,112上において標準的な60度ねじ山113B,115Bを用いた実施形態をさらに示している。60度のねじ山は業界基準と見なされ、従って、一般的な機械加工の実施によって形成することができる。これは、より迅速かつ低コストで生産することができる装置をもたらし得る。
【0038】
今度は
図9A〜
図9Dを参照すると、伸延可能な椎間体固定装置400の別の実施形態は、先に記載した別々のねじ状のギア付きスリーブ120,130およびねじ山付きポスト111,112ではなく、第1部材410と第2部材450との間に延びる単一対のねじ状のギア付きポスト423を備える。ねじ状のギア付きポスト423は、各々、ねじ状のギア付き部分421と、ポスト部分411とを備える。ねじ状のギア付き部分421は第2部材450の開口461内に嵌合し、ウォーム440および雌ねじ山451と界接して、装置400を伸延させる。ポスト部分411は第1部材410の開口416に嵌合し、ワッシャー418に取り付けられ得る。ワッシャー418は、装置400を作動させると、ねじ状のギア付きポスト423が第1部材410とは無関係に自由に回転するように、第1部材410をねじ状のギア付きポスト423に対して適所に維持する。したがって、
図9Cおよび
図9Dにおいて見られるように、第1部材410と第2部材450との間の伸延は、ポスト部分411は第1部材410の開口416内に残存すると同時に、より厚いねじ状のギア付き部分421によって引き起こされる。これは高い軸線方向強度を有する装置400をもたらす。
【0039】
図10A〜
図10Dは、ねじ状のギア付きスリーブ520の差動調整(differential adjustment)を可能にする伸延可能な椎間体固定装置500のさらなる実施形態を示している。ねじ山付きポスト511は、各々、第1部材510のアーチ形凹部517に対応するアーチ形部分515を備え得る。対応アーチ形部分515およびアーチ形凹部517によって形成された、ねじ山付きポスト511と第1部材510との間におけるアーチ形の界面は、第1部材510が回転して、第2部材550に対して角度をなすようになることを可能にする。ピボットピン572を用いたピン継手は、アーチ形表面によって、第1部材510とねじ山付きポスト511と間の一方の界面を、他方の界面が摺動を許容されている間に、静止させておくために用いられ得る。配置ピン570は、前記装置を伸延する場合に、ウォーム540が第2部材550から滑り出るのを防止するために用いられる。ウォーム540は、第1ねじ部543を有する第1部分546と、第2ねじ部544を有する、第1部分546のポスト547上に嵌合する第2部分548とを備える2部構成のウォームであり得る。従って、2つの部分546,548は互いとは無関係に回転することができ、各々が別のねじ状のギア付きスリーブ520を駆動する。各ねじ状のギア付きスリーブ520は別々に係合させることができるので、それらのスリーブは異なる量で伸延させることができ、
図10Dに最も明らかに示されるように、傾斜した第1部材510をもたらす。そのような形態は脊柱前湾または脊柱後湾の幾何学的配置に適応する。任意で、第1部材550のアーチ形凹部517およびポスト511のアーチ形表面515は、屈曲継手、またはボールもしくはシリンダーおよびソケット継手で置き換えられ得る。
【0040】
本発明の別の実施形態に従った伸延可能な椎間体固定装置600を
図11A〜
図11Dに示す。装置600は、第1部材610と第2部材650との間にねじ状のギア付きスリーブ620とねじ山付きポスト621とを各々有する3つの同軸スクリューギアスリーブ機構を用いる。
図11Cおよび
図11Dに見られるように、前記装置を伸延させるために、ウォーム駆動部640が回転され、ねじ状のギア付きスリーブ620のうちの1つと係合し、そのスリーブを回転させる。第1ねじ状のギア付きスリーブ620が回転されると、該スリーブは他の2つのねじ状のギア付きスリーブ620と係合し、それらのスリーブを回転させ、装置600を伸延させる。先に記載したように、ねじ状のギア付きスリーブ620の回転は、ねじ山付きポスト621も伸延させる。3つの同軸スクリューギアスリーブ機構の使用により、軸線方向において増強された強度を有する装置、椎体の終板を支持するためのより広い表面積、およびより均整の取れた幾何学的形状が提供される。任意で、前記装置の表面を付加的な自由度で調整するために、3つの伸延機構の各々を独立して作動させることができる。いくつかの幾何学的形状を達成するためには、前記駆動機構は可撓性である必要があることがある。その場合には、曲げることができ、かつトルクを伝達することができるベローまたはスパイラルレーザーカット駆動機構が実装され得る。より具体的には、1つのそのような駆動機構が、多数の伸延機構の周囲に配置され、ただ1つの入力によって各々を伸延させることができる。別の実施形態では、可撓性の駆動機構は、前記装置の部材を多くの空間自由度(spatial degrees)で制御するために、多重駆動機構(multiple drive mechanisms)を独立して作動させるのに有用であり得る。
【0041】
図12Aおよび
図12Bは、ウォーム740によって第1部材710を第2部材750に対して伸延させるために、ねじ状のギア付きスリーブ720およびねじ山付きポスト721を有する単一の同軸スクリューギア機構のみを用いた伸延可能な椎間体固定装置700を示している。装置700はまた、第1入れ子式支持要素774および第2入れ子式支持要素776を備え得る。入れ子式支持要素774,776は、第2部材750に対する第1部材710の相対的な回転配置を維持するように機能し、装置700を伸延させるために、ねじ状のギア付きスリーブ720が第1部材710および第2部材750の双方に対して回転することを可能にする。
図13Aおよび
図13Bは、第1部材710および第2部材750を回転方向において束縛するために、第1部材710および第2部材750から延びる複数のスパイク778を用いた装置のさらなる変形例700を示している。操作において、スパイク778は、隣接する椎骨の終板に接触し、前記終板にそれらの自身を固定して、第1部材710および第2部材750が互いに対して回転するのを防止する。さらなる実施形態を
図14Aおよび
図14Bに示す。この実施形態は、第1部材710と第2部材750との間にねじ状のギア付きスリーブ720のみを備えており、装置700がウォーム740の回転によって伸延されるときに、第1部材710はスリーブ720とともに回転することを可能にする。任意で、第1部材710が椎体の終板と係合し、その終板に対して回転しないように、第1部材710はねじ状のギア付きスリーブ720に対して回転について自由であり得る。
【0042】
一実施形態において、本願に記載されるような伸延可能な椎間体固定装置はチタンから製造することができ、デリバリーシステムは主としてステンレス鋼から製造することができる。互いに対して摺動する各機構の構成要素は異なる種類の一般的な材料から製造することができる。例えば、第1部材は、高い平滑疲労性能(smooth fatigue performance)を有するTi 6Al 4V標準チタンから製造することができる。一方、ねじ状のギア付きスリーブは、高い切欠き疲労性能(notched fatigue performance)を有するTi 6Al 4VELIから製造することができる。そのような組み合わせは、全体的な機構は構成要素が摺動可能に配置される場所に異なる材料を提供するときに、その切欠き係数に対して好ましい材料から製造されている各構成要素をもたらす。
【0043】
様々な実施形態において、前記装置は人間工学的になるような形状に形成される。装置に、例えば、矩形、腎臓形、またはフットボール形のような様々な形状を有し得る。椎骨の終板はわずかに凹状である傾向があるので、腎臓形またはフットボール形の装置は、該装置と椎体との間の接触を最大にする。前記装置の一端または両端はまた、挿入を容易にするために、テーパー状であってもよい。これは、最初に装置を挿入し、椎体を分離するために必要とされる力の量を最小にする。さらに、前記装置はその長さおよびその幅の双方に沿って凸状であってもよいし、または両凸状であってもよい。装置は、椎骨の種類およびその装置が用いられる患者のサイズに応じて、様々な大きさに構成され得る。
【0044】
装置は様々な方法で製造することができ、いくつかの実施形態においては、装置の異なる構成要素は異なる方法で製造され得る。一実施形態において、装置内の様々なねじ山を製造するために、ねじフライス削りが実施され得る。装置内の孔および開口のうちの一部またはすべてを製造するためには、ワイヤーEDMを用いることができる。装置が厳格な基準に対して製造されることを可能にするために、組立ジグおよび後処理工程を用いることもできる。
【0045】
一部の実施形態において、前記装置の伸延に続いて、自家移植片、骨形態形成タンパク質または骨強化材料のような骨成長刺激剤が前記装置に送達されてもよい。一実施形態において、前記骨成長刺激剤は、挿入工具が装置から外される前に、挿入工具内の中空チャンバを介して送達される。前記装置は、椎体間に癒合が生じる時間の間、インビボの負荷を支持する。
【0046】
一実施形態において、前記装置の表面は、表面粗さを最小限にするため、または体内における前記材料のピッティング(pitting)を低減するために処理され得る。粗表面またはくぼみ(pit)は、装置に対する応力を増大させ得る。これは疲労寿命の短縮や疲労強度の低下をもたらし得る。一実施形態において、前記表面は、前記装置の縁からのばりの除去および表面仕上げの双方を兼ねた電解研磨によって処理され得る。別の実施形態では、終板上における粗表面が前記装置の偶発的な突出を防止することを支援するので、前記表面は未処理のままにされ得る。一実施形態において、前記装置はまた、その疲労寿命を延長するために、高度に弾性の不透過性材料で被覆され得る。具体的には、前記不透過性材料は、血液の腐蝕性が装置を分解するのを防止するであろう。別の実施形態において、前記装置は生体適合性材料で構成することができ、そのためコーティングは必要ではない。さらなる実施形態において、前記装置は、骨癒合後のような治癒プロセスの選択された段階において、体内で分解するように設計された生分解性材料から製造することができる。
【0047】
様々な実施形態において、本願に記載される装置は様々な骨成長刺激剤と共に用いることができる。一実施形態において、骨形成タンパク質(BMP:Bone Morphogenetic Protein)を送達するために、3Dプリミネラライズド絹フィブロインタンパク質スキャフォールド担体(3D premineralized silk fibroin protein scaffold carrier)が前記装置の表面上または前記装置内に保持され得る。前記BMPは、癒合を増進するために修飾骨髄間質細胞(bMSCs:bone marrow stromal cells)と任意に組み合わせられ得る。他の実施形態では、複合キトサン3D繊維メッシュスキャフォールドまたはゼラチンスキャフォールドを用いることができる。前記装置はまた、ヒト皮膚細胞の付着、生存能力、および増殖を増大させて、インプラントの周りの血管再生によって癒合された骨への血液供給の発達を促進するために、薄い付着性ポリドーパミン膜で被覆されたチタン合金基材上に、固定された血管内皮細胞増殖因子(VEGF:vascular endothelial growth factor)を堆積させることによって、VEGFを用いることができる。いくつかの実施形態において、血管新生および骨再生を増進するVEGF用のスキャフォールドを形成するために生分解性PLGAのような特定のポリマーが用いられ得る。いくつかの実施形態において、骨形成を促進するBMPの機能を阻害して、装置が時間とともに継続的に調整されることを可能にするために、VEGFをBMPと併用することができる。様々な実施形態において、前記装置上またはその周りのスキャフォールドは骨髄由来幹細胞、歯髄由来細胞、および脂肪由来幹細胞を播種され得る。スキャフォールドはまた、ポリエステル(例えばポリ乳酸−co−グリコール酸またはポリ3−ヒドロキシブチラート−co−3−ヒドロキシバレラート(poly 3-hydroxybuetyrate-co-3-hydorxyvalerate))、絹(例えば、絹フィブロインスキャフォールドに基づいた生体模倣性アパタイト被覆多孔性生体材料)、ポリカプロラクトン、PEOまたはゼラチンと同時紡糸(cospun)されたポリイプシロン−カプロラクトン/コラーゲン(mPCL/Col)、ミクロンサイズの繊維を有するmPCL/Colメッシュ、およびHeprasilと同時噴霧(cosprayed)されたmPCL/Colマイクロファイバーのようなヒドロゲル、並びにVEGFまたはリン酸カルシウムのコーティングのような様々な表面処理によって官能化された多孔性チタンおよびチタン合金(チタン−ニオブ−ジルコニウム合金など)を含む様々な材料で構成することができる。
【0048】
いくつかの実施形態において、前記装置は、骨をインプラント内部内に、またはインプラントに隣接して、保持するのに適合された構造を備えることができる。そのような構造としては、マイクロレベルのマトリックスもしくは足場(scaffolding)、または切り溝、ディボット、または装置の本体における他の同様の形状構成が挙げられる。また骨は、該骨が材料の間隙に保持されるように、多孔性材料の使用によって保持されてもよい。また、より大きな延長形状構成が実装されてもよい。周方向側板(circumferential shroud)などのそのような形状構成は、ねじれにおいて装置を剛直にする付加機能も有し得る。
【0049】
いくつかの実施形態において、本発明に従った2つ以上の伸延可能な椎間体固定装置を椎間板腔に植え込むことができる。
図15に示すように、一実施形態において、一対の装置100を、一方の装置100の第2部材150の外面104が、他方の装置100の第1部材110の外面102と直接界接するように植え込むことができる。そのような形態は、前記装置を植え込むためのより小さなアクセスチャネルの使用を可能にすることができる。一実施形態において、前記2つの装置の協働する表面102,104は平坦である。装置100は同時にまたは独立して作動させることができる。双方の駆動機構を中心に位置するようにするために、装置を互いに関して反転させることも可能である。さらに、前記装置は、椎体の終板と快適に係合するため、または脊椎の動作を維持するために、前記装置の支持面がそれらの位置を調整することを可能にするように、互いに関して回転または屈曲するように構成され得る。
【0050】
一実施形態において、椎体に固着されるアセンブリの一部として、ロッドおよびスクリューが前記装置と共に用いられ得る。具体的には、それによりロッドおよびスクリューが脊椎を補うために用いられる後方固定法が前記装置と組み合わせて用いられ得る。一実施形態において、前記ロッドおよびスクリューはインプラントに固着されてもよいし、またはインプラントに係合するように設計されていてもよい。別の実施形態において、前記装置が椎体の終板によって形成される平面にほぼ平行な前記装置の部材の延長部を介して配置されたスクリューによって椎体に固着され得るように、前記装置の部材は延長され、隣接する椎体の側面上に効果的に折り重ねられてもよい。他の実施形態では、骨形成を支援し得る接着剤を用いて、前記装置を脊椎に、または脊椎内に接着してもよい。
【0051】
別の実施形態において、伸延可能な椎間体固定装置は、前後や左右に傾斜することができるように屈曲性が増大された終板を備え得る。加えて、少なくとも部分的に可撓性材料を使用する同軸スクリューギアスリーブ機構は、様々な軸における傾斜を可能にするために、前記装置の周囲に配向される。一般に、傾斜できる装置は、装置に組み込まれるさらなる柔軟性を提供することが、骨成長を促進し、終板の表面にわたって応力を分散させ、装置を患者の脊椎の湾曲に適応させることを可能にするという点において有用であり得る。
【0052】
一実施形態において、前記装置は、例えば絹から製造された小さなソックス状のカバー(sock-like slip)内に配置され得、前記カバーは骨で充填され得る。前記装置が拡張して装置の体積が増大するにつれ、前記ソックスは、骨がインプラントから落下するのを防止し、かつ/または、より多くの骨がソックス内のインプラントのまわりの空間からインプラントに導入されることを可能にする。そのようなソックスは一端において閉鎖可能であり、前記装置の植え込みの間に前記デリバリーシステムに取り付けることができる。前記ソックスは、植え込みの後工程のいずれかの間に前記デリバリーシステムから解放され得る。
【0053】
様々な実施形態に従った装置は、例えば、頚部、胸部前方腰椎(thoracic anterior lumbar)、経椎間孔腰椎(trans-foraminal lumbar)、最外側腰椎(extreme lateral lumbar)および後方腰椎を含む、様々な椎間固定用途に用いることができる。これらの用途のための植え込み手順の様々な実施形態は以下の通りであり得る。
【0054】
頚部:前記装置は、自家移植片を用いて、C3〜C7レベルにおいて前方進入路を介して植え込まれる。前記装置は補助的な前方プレート固定(supplemental anterior plate fixation)と共に用いられる。
【0055】
経椎間孔腰椎:前記装置は、自家移植片を用いて、L2〜S1レベルに後方進入路を介して植え込まれる。前記装置は補助的な後方ロッド固定(supplemental posterior rod fixation)と共に用いられる。
【0056】
後方腰椎:前記装置は、自家移植片を用いて、L2〜S1レベルに後方進入路を介して植え込まれる。2つの装置が、一方は椎間板腔の左側に、他方は椎間板腔の右側に植え込まれる。前記装置は補助的な後方ロッド固定と共に用いられる。
【0057】
前方腰椎:前記装置は、自家移植片を用いて、L3〜S1レベルに前方進入路を介して植え込まれる。前記装置は後方ロッド固定の補助的な前方プレート固定と共に用いられる。
【0058】
最側方腰椎:前記装置は、自家移植片を用いて、T12〜L4レベルに側方進入路を介して植え込まれる。前記装置は補助的な後方ロッド固定と共に用いられる。
別の実施形態において、前記装置は椎体置換に用いることができる。破損または腫瘍による椎体または多数の椎骨の切除の後、前記装置は2つの離れた椎骨を架橋するために伸延され得る。伸延された装置は、切除後に残された空所を架橋し支持する。前記装置は、頚椎、胸椎、および腰椎の寸法差に適応するように様々な寸法に構成され得る。
【0059】
別の実施形態において、前記装置は、
図16Aおよび
図16Bに示すような棘突起間伸延装置(interspinous distraction device)として用いることができる。前記装置800は、2つの隣接する棘突起801a,801bに間に、最小アクセスシステムによって配置され得る。前記装置は配置の容易さを可能にするために折り畳み形態において挿入され得る。適所に位置したならば、前記装置は、椎骨を伸延位置でロックするように、同軸スクリューギアスリーブ機構804によって拡張形態に作動され得る。同軸スクリューギアスリーブ機構804は先に本願に記載したように構成され得る。前記装置は、前記装置を適所に固定するのを支援するために、棘突起801a,801bとの接触地点において握持歯800を有することができる。
【0060】
別の実施形態において、前記装置は棘突起間固定(interspinous fusion)に用いることができる。前記装置は、最小アクセスシステムによって、2つの隣接する棘突起間に折り畳み形態で配置され得る。適所に位置したならば、前記装置は、椎骨を伸延位置でロックするように作動され得る。前記装置は、前記装置を伸延された位置にロックし、かつ前記棘突起を介してロッキングプレートをロックするために、ボルトロッキング機構または同様のロッキング構成を有し得る。前記装置はまた、前記装置を適所に維持するのを支援するために、外側に握持用波形構造または形状構成を有することができる。自家移植片または骨固定増進材料は、前記装置内の空いた空間に配置され得る。
【0061】
別の実施形態において、前記装置は、伸延可能な骨折低減装置として骨粗鬆症の骨に用いることができる。前記装置は、最小侵襲性椎弓根アプローチによって、終板骨折部の下に挿入され得る。次に、前記装置をデリバリーシステムアクチュエータによって作動させる。前記骨折が軽減されたならば、前記装置は取り外され(explanted)、その空隙は、骨を強化するアクリルセメントまたは別の骨充填材で充填される。
【0062】
別の実施形態において、前記装置は椎間関節置換に用いることができる。肥大した椎間関節の切除後、前記装置を作動させることができる。各部材は、椎弓根スクリューによって、隣接する椎骨に固定することができる。これは椎間関節の動きに類似した動きを可能にし、不安定さを防止するであろう。前記装置は、ソフト固定装置システム(soft fusion device system)の一部であり得、椎間板置換装置と組み合わせて用いることができる。同軸スクリューギアスリーブ機構またはねじ山付きポストはまた、椎間板置換装置を拡張可能にするためにも用いられ得る。
【0063】
別の実施形態において、前記装置は、ダイナメーターおよび骨刺激物と共にプログラム可能な伸延ケージとして用いることができる。前記装置内にはプログラム可能なマイクロマシンアクチュエータ装置が植え込まれ得る。前記装置は植え込みの間に伸延され、手術後に無線周波数発信機によって、力読み取り値を提供することができる。前記装置の形状は、アクチュエータ装置によって部材を伸延させることによって、前記装置が植え込まれる間に、変更することができる。これは、脊柱前弯、脊柱後弯、さらなる伸延、またはより少ない伸延をもたらし得る。一実施形態において、バッテリー装置はシステムに動力を供給し、また骨刺激物として働く磁界を形成することもできる。バッテリー寿命は1週間のような短期間に限定されてもよい。前記装置の小さな運動は、バッテリー、コンデンサーまたは他のそのような電力蓄積装置を充電するために用いられ得る圧電体または導電性ポリマーによって電気エネルギーを生成するために用いられ得る。これに代わって、前記装置は、RF誘導、または容量的に結合された構成によって動力を供給されてもよい。
【0064】
別の実施形態において、前記装置は自己作動式の伸延可能なケージになり得る。前記装置は、折り畳まれた状態で椎間板腔に挿入することができる。前記装置は、いったん解放されると、予め設定された高さに、ゆっくり伸延することができる。
【0065】
別の実施形態において、前記装置は、下顎骨折用の骨折延長装置として顔面の顎の手術に用いることができる。前記装置は、近位または遠位の骨折部のいずれかへの各部材の固定を可能にする孔を備えた垂直板を有する狭幅部材を想定して設計され得る。前記装置は予め設定された高さに作動させることができる。これは骨折骨喪失、異形成または発育不全の場合に損傷部の延長を可能にするであろう。
【0066】
別の実施形態において、前記装置は、長骨骨折の伸延のための延長爪として整形外科用途に用いることができる。整形外科的骨折が骨損失を伴って起きた後、骨を延長するために伸延可能な伸長爪が配置され得る。伸長はマイクロメーターの動きで数日間にわたって生じる。この用途は、伸延装置が反伸延力を及ぼす爪の可動部分の間に挿入されて、骨の延長を提供することを伴う。
【0067】
別の実施形態において、前記装置は、手の指関節、足の中足骨関節、または踵骨−距骨関節と置き換えるために用いることができる。これらの関節は、隣接する骨の動作を可能にし、過伸展または過屈曲を制限するインプラントを有し得る。
【0068】
図17Aおよび
図17Bは、本発明の別の実施形態に従った再循環ベアリングを備えた包囲同軸スクリューギアスリーブを備えた伸延可能装置900を示している。装置900はポスト910、包囲同軸スクリューギアスリーブ920、ウォーム930およびハウジング940を備える。ポスト910は、平滑外面912と、ベアリング913用の機械加工された螺旋軌道911とを備える。ベアリング913を収容するために螺旋軌道911に対して相補的である包囲同軸スクリューギアスリーブ920の内表面にも、螺旋状軌道(図示せず)が機械加工されている。同軸スクリューギアスリーブ920の内表面はまた、ポスト910がスリーブ920に対して移動するにつれて、ベアリング913が再循環するための機械加工されたトンネルを備える。前記再循環ベアリングは、
図17Bにベアリング914として示されている。包囲同軸スクリューギアスリーブの外面はまた、再循環ベアリング914および包囲スクリューギア922のための螺旋軌道921を備える。ウォーム930は、スリーブ920の包囲スクリューギア922と係合するように構成された螺旋ねじ山を有する。ハウジング940の内表面は、螺旋軌道921と協働して、アリング914を保持する螺旋軌道(図示せず)と、同軸スクリューギアスリーブ920がハウジング940に対して移動するにつれてベアリング914を再循環させるためのトンネルとを有する。任意で、同軸スクリューギアスリーブ920は前記スリーブの内側および外側の双方の上に再循環ベアリングを有し、再循環トンネルは、前記スリーブの内側と外側との間に位置して、組み立ておよび製造を用意にすることができる。
【0069】
装置900を拡張するために、ウォーム930は包囲スクリューギア922と係合するように時計回りに回転され、包囲同軸スクリューギアスリーブ920を回転させてハウジング940から並進
運動させる。これは、同時に、ポスト910を包囲同軸スクリューギアスリーブ920から外へ、ハウジング940から離れるように、並進
運動させる(しかし回転させない)。ベアリング913,914は、ごくわずかな摩擦を有した包囲同軸スクリューギアスリーブ920の回転を可能にし、装置900が非常に高い機械効率(mechanical advantage)および非常に高い分解能を有する移動制御を示すことができるようにする。包囲スクリューギア922の使用は、ウォーム930と包囲同軸スクリューギアスリーブ920との間の界面が実質的により高い負荷を保持できるようにする。
【0070】
今度は
図18A〜
図18Dを参照すると、本発明の実施形態に従った同軸スクリューギアスリーブを用いた別の伸延可能装置1000が見られる。装置1000は、包囲同軸スクリューギア1010と、ハウジング1020と、ウォーム1030とを備える。同軸スクリューギアスリーブ1010を包囲する外面は、一連の包囲同軸スクリューギア歯1014を有する螺旋溝を備える。前記螺旋溝は、ハウジング1020の内表面1022上の雌ねじ山1021と協働して、装置1000が軸方向荷重を保持することを可能にする。別の実施形態において、ギア歯1014は、包囲同軸スクリューギアスリーブ1010の外面に直接機械加工され得る。一実施形態において、包装置1000が側方荷重を保持できるようにするために、ハウジング1020の内表面1022上に同様の滑らかなベアリング面を有して構成される場合には、囲同軸スクリューギアスリーブ1010の外面はベアリング面のように作用する滑らかな機械加工表面であり得る。
【0071】
装置1000を拡張するためには、ウォーム1030は包囲同軸スクリューギア歯1014と係合するように回転され、包囲同軸スクリューギアスリーブ1010を回転させてハウジング1020に対して並進
運動させる。一実施形態において、内表面1010および中心穴1012は、前記装置の伸延を複合するために、
図17Aおよび
図17Bに記載したポスト910に類似したポストを収容するように構成することができる。一実施形態において、ハウジング1020の内表面1022上にはねじ山1021が存在せず、そのため、スリーブ1010が回転すると、包囲同軸スクリューギアスリーブ1010の螺旋溝およびギア歯1014の少なくとも1つは、スリーブ1010をハウジング1030に対して並進
運動させる。そのような形態において、ウォーム1030は、包囲同軸スクリューギアスリーブ1010とハウジング1020との間の傾斜した界面によって支援されていない軸方向荷重を保持するであろう。
【0072】
本願においてシステム、装置および方法の様々な実施形態を説明してきた。これらの実施形態は例のためのみ与えられ、本発明の範囲を限定するようには意図されない。さらに、記載された実施形態の様々な特徴は、多くの付加的な実施形態を生み出すために、様々な方法で組み合わせられてもよいことが理解されるべきである。さらに、様々な材料、寸法、形状、植え込み位置などは開示された実施形態と共に用いるために記載されているが、開示されたものに加えて他のものも本発明の範囲を逸脱することなく用いられ得る。