特許第5657047号(P5657047)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マックス株式会社の特許一覧 ▶ 堡勝企業股▲分▼有限公司の特許一覧

<>
  • 特許5657047-穴開けパンチのカッター構造 図000002
  • 特許5657047-穴開けパンチのカッター構造 図000003
  • 特許5657047-穴開けパンチのカッター構造 図000004
  • 特許5657047-穴開けパンチのカッター構造 図000005
  • 特許5657047-穴開けパンチのカッター構造 図000006
  • 特許5657047-穴開けパンチのカッター構造 図000007
  • 特許5657047-穴開けパンチのカッター構造 図000008
  • 特許5657047-穴開けパンチのカッター構造 図000009
  • 特許5657047-穴開けパンチのカッター構造 図000010
  • 特許5657047-穴開けパンチのカッター構造 図000011
  • 特許5657047-穴開けパンチのカッター構造 図000012
  • 特許5657047-穴開けパンチのカッター構造 図000013
  • 特許5657047-穴開けパンチのカッター構造 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5657047
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】穴開けパンチのカッター構造
(51)【国際特許分類】
   B26F 1/44 20060101AFI20141225BHJP
   B26F 1/02 20060101ALI20141225BHJP
   B26D 7/18 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
   B26F1/44 B
   B26F1/02 A
   B26F1/02 C
   B26D7/18 G
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-38777(P2013-38777)
(22)【出願日】2013年2月28日
(62)【分割の表示】特願2009-266675(P2009-266675)の分割
【原出願日】2009年11月24日
(65)【公開番号】特開2013-99850(P2013-99850A)
(43)【公開日】2013年5月23日
【審査請求日】2013年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513070978
【氏名又は名称】堡勝企業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100096677
【弁理士】
【氏名又は名称】伊賀 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100106781
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 稔也
(74)【代理人】
【識別番号】100150898
【弁理士】
【氏名又は名称】祐成 篤哉
(72)【発明者】
【氏名】黄 建銓
【審査官】 馬場 進吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−105899(JP,A)
【文献】 実開昭63−060599(JP,U)
【文献】 実開昭63−161696(JP,U)
【文献】 特開平03−121800(JP,A)
【文献】 実開平6−39396(JP,U)
【文献】 特開昭56−62799(JP,A)
【文献】 特開昭64−34699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26F 1/44
B26D 7/18
B26F 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の収容槽である筒体より成して底端に刃を備えたカッターと、
前記収容槽の内部に設置されたバネと、
前記収容槽の内部に設置されて、上端が前記バネと当接して付勢されるとともに、前記収容槽の内縁に形成された階段状の停止部によって停止する屑排出棒と、
を備えて紙を裁断して穴を開ける、穴開けパンチのカッター構造において、
前記カッターは、
前記中空の前記筒体の前記底端の前記刃が、
前記底端に設けられた単一点の先端尖鋭縁と、
前記単一点の先端尖鋭縁から垂直距離を隔てて設けられた単一点の末端尖鋭縁と、
前記単一点の先端尖鋭縁の両側から前記単一点の末端尖鋭縁へ前記筒体の開口縁に沿って延びるとともに、前記カッターの断面視において、前記単一点の先端尖鋭縁と前記単一点の末端尖鋭縁とをほぼ直線状に結ぶように形成された斜口カッター縁と、によって形成されるとともに、
前記停止部の下方の空間が、
前記停止部と前記単一点の先端尖鋭縁と前記単一点の末端尖鋭縁と前記斜口カッター縁とで囲繞されて屑排出口を形成する、
ことを特徴とする穴開けパンチのカッター構造。
【請求項2】
請求項1に記載の穴開けパンチのカッター構造において、
前記カッターは、前記紙を裁断して穴を開ける過程において、
前記紙の裁断が、前記単一点の先端尖鋭縁が重ねた紙の最上層に接触したのち、前記斜口カッター縁の両側が前記重ねた紙の裁断を進め、前記単一点の末端尖鋭縁による裁断により終了する、
ことを特徴とする穴開けパンチのカッター構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の何れか1項に記載の穴開けパンチのカッター構造において、
前記紙を裁断して穴を開ける過程において、
完全に裁断されていない紙屑は、前記屑排出口から、前記停止部の下方の空間の内に入り、
前記屑排出口から、前記停止部の下方の空間の内に入った紙屑は、前記屑排出棒によって前記紙屑排出口より外へ押し出される
ことを特徴とする穴開けパンチのカッター構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパンチのカッター構造に関し、特に紙に穴を開ける事務用の穴開けパンチのカッター構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図10、11に示すように、従来の穴開けパンチのカッターにおいて、カッター4は、カッターフレーム5上に可動状態で設置する。カッター4は、実芯の柱体構造を呈し、しかも柱体周囲には、刃を備える逆V字型槽を形成する。そのV字型の縁は、水平で尖った形状の2個のカッター先端41を呈する。しかも、そのV字型槽の槽型の周囲面には、平らな状態の2個の内側縁42と上曲面43とを備え、紙屑aの裁断を行い、及び裁断された後の紙屑bを収納する空間を形成することができる。上曲面43の最高点から、斜行のカッター先端41の2個の突端を結ぶ水平線までの垂直距離をカッターの窪みの深さhとする。
【0003】
作動力量(kg)を縦軸にとり、重ねた紙の枚数を横軸としたグラフである図12に、多数回のテストの結果を示す。逆V字型槽のカッター4が、適当なカッターの窪みの深さhに対応し、異なる枚数、厚みの重ねた紙aに対して穴開けを行う時、カッター4は、10ページを重ねた紙aを貫通するため、20.6kgが必要で、20ページを重ねた紙aを貫通するため、48.4kgが必要で、30ページを重ねた紙aを貫通するため、63kgが必要で、40ページを重ねた紙aを貫通するため、95kgが必要で、50ページを重ねた紙aを貫通するため、120kgが必要である。
【0004】
しかし、従来の穴開けパンチのカッター4が作動する時、先ず、2点式の水平カッター先端41が、重ねた紙aの最上層に接触し、次に、下方へと圧力を加え穴を開けるが、カッター先端41は、水平で同じ高さの設計を採用するため、カッター4が穴開けを開始する時、重ねた紙aに同時に圧力を加えてしまい、圧力を受けて生じる抵抗力が2点となってしまう。このため、穴開け開始時に受ける抵抗力が比較的大きく、比較的大きなエネルギーが損耗され、順番に徐々に進む方式で順調に裁断が進むことがなく、よって通常は力を込めて一気に行う必要がある。さらに、カッター4底部の周囲面は、逆V字型槽の設計を採用するため、穴開け後に形成される紙屑bは、上曲面において変形し、最後は圧縮され、V字型槽間に圧迫される。紙屑bが生じる湾曲度は非常に高いため、カッター4平側面が受ける抵抗力は、それに相対して増大し、より力を必要とする穴開け状況を形成する。本発明は、従来の穴開けパンチのカッター構造の上記した欠点に鑑みてなされたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実願昭61−152091号(実開昭63−060599号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、カッターが中空収容槽を呈する筒体であり、カッターの底端には、刃を備える斜口カッター縁を形成し、これにより紙を裁断して穴を開ける機能を達成する穴開けパンチのカッター構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明は下記の穴開けパンチのカッター構造を提供する。
本発明に係る穴開けパンチのカッター構造は、中空の収容槽である筒体より成して底端に刃を備えたカッターと、前記収容槽の内部に設置されたバネと、前記収容槽の内部に設置されて、上端が前記バネと当接して付勢されるとともに、前記収容槽の内縁に形成された階段状の停止部によって停止する屑排出棒と、を備えて紙を裁断して穴を開ける、穴開けパンチのカッター構造において、前記カッターは、前記中空の前記筒体の前記底端の前記刃が、前記底端に設けられた単一点の先端尖鋭縁と、前記単一点の先端尖鋭縁から垂直距離を隔てて設けられた単一点の末端尖鋭縁と、前記単一点の先端尖鋭縁の両側から前記単一点の末端尖鋭縁へ前記筒体の開口縁に沿って延びるとともに、前記カッターの断面視において、前記単一点の先端尖鋭縁と前記単一点の末端尖鋭縁とをほぼ直線状に結ぶように形成された斜口カッター縁と、によって形成されるとともに、前記停止部の下方の空間が、前記停止部と前記単一点の先端尖鋭縁と前記単一点の末端尖鋭縁と前記斜口カッター縁とで囲繞されて屑排出口を形成することを特徴とするものである。
穴開けパンチのカッター構造は、穴を開ける過程において、最初の抵抗力は、斜口カッター縁の先端先鋭縁に生じ、次に、順番に斜口カッター縁の両側により裁断され、斜口カッター縁の末端先鋭縁において終了し、これにより穴開けの抵抗力はそれぞれ単一点方式により発生し、カッターと重ねた紙との全面的な接触を減らすことができ、省力化を達成でき、収容槽内の紙屑排出棒は、紙屑を自動的に排出させる機能を備えるため、紙屑が詰りカッターに引っ掛かる恐れを払拭することができ、しかもカッターの重ねた紙に対する抵抗力を減らすことができるため、省力しつつスムーズに穴を開けるという機能を達成することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明穴開けパンチのカッター構造は、カッターの斜口カッター縁と重ねた紙との間の角度により、斜口カッター縁が穴を開ける時には、前、末端先鋭縁において、抵抗力はそれぞれ単一点方式により発生し、カッターと重ねた紙との全面的な接触を減らすことができる。しかも、収容槽内の紙屑排出棒は、紙屑を自動的に排出させるため、紙屑が詰りカッターに引っ掛かる恐れを払拭することができ、しかもカッターの重ねた紙に対する抵抗力を減らすことができるため、省力しつつスムーズに穴を開けるという機能を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の組合せ模式図である。
図2】本発明カッターの分解模式図である。
図3】本発明カッターの断面組合せ模式図である。
図4】本発明カッターが連続して穴を開ける動作の模式図である。
図5】本発明カッターが重ねた紙に対して穴開けを行う際の、重ねた紙の枚数と、さまざまな角度における作動力を示す折れ線グラフである。
図6】本発明カッターが重ねた紙に対して穴開けを行う際の、重ねた紙の枚数と、さまざまな角度における作動力を示す折れ線グラフである。
図7】本発明カッターが重ねた紙に対して穴開けを行う際の、重ねた紙の枚数と、さまざまな角度における作動力を示す折れ線グラフである。
図8】本発明カッターが重ねた紙に対して穴開けを行う際の、重ねた紙の枚数と、さまざまな角度における作動力を示す折れ線グラフである。
図9】本発明カッターが重ねた紙に対して穴開けを行う際の、重ねた紙の枚数と、さまざまな角度における作動力を示す折れ線グラフである。
図10】従来のカッターの外観模式図である。
図11】従来のカッターの穴開け動作の模式図である。
図12】従来カッターが、さまざまな厚みの重ねた紙に対して穴開けを行う作動力の折れ線グラフである。
図13】本発明カッターと従来のカッターとの作動力を比較する折れ線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1〜4に示すように、穴開けパンチのカッター構造は、穴開け台1、加圧部品2、カッター3を備える。穴開け台1上には、カッターフレーム11を設置する。加圧部品2には、プレッシャーアーム21を設置する。プレッシャーアーム21と穴開け台1のカッターフレーム11とは、可動状態で設置する。カッター3は、中空の収容槽31である筒体で、カッター3の底端には、刃を備える斜口カッター縁32を形成する。カッター3上には、可動孔33を設置し、可動棒22により、穴開け台1のカッターフレーム11上にカッター3を可動状態で設置する。斜口カッター縁32と重ねた紙Aの角度θは、15〜50度の間で、斜口カッター縁32の先端尖鋭縁321と末端尖鋭縁322との間の垂直距離は、カッター縁長さHである。カッター3の収容槽31内縁には、階段状の停止部34を設置する。停止部34下方の空間には、屑排出口35を形成する。収容槽31内には、屑排出棒36、バネ37を設置する。バネ37は、屑排出棒36を作動させ、これにより、紙屑Bは、屑排出口35から排出される。
【0011】
図1〜3に示すように、本発明のカッター3を組み合わせて実施する時には、屑排出棒36、バネ37を、カッター3の収容槽31内に入れ、カッター3を、穴開け台1のカッターフレーム11内に設置する。加圧部品2のプレッシャーアーム21と、カッターフレーム11とを可動状態で結合させ、次に、加圧部品2のプレッシャーアーム21、カッター3の可動孔33を可動棒22により通過し、可動状態で接続して固定する。こうして、屑排出棒36は、バネ37の圧迫を受け、しかも収容槽31の停止部34上において定位される。
【0012】
図1〜4に示すように、本発明穴開けパンチのカッター構造の使用時には、加圧部品2のプレッシャーアーム21により、カッター3の斜口カッター縁32を連動して下方へと向かわせ、カッター3斜口カッター縁32の先端尖鋭縁321を利用して、重ねた紙Aの最上層に接触させる。この時には、先端尖鋭縁321における単一点の抵抗力だけしか受けない。続けて下方へと加圧し穴開けを進めると、先端尖鋭縁321の両側の斜口カッター縁32が、それぞれ徐々に重ねた紙Aに対して裁断を進行する。この時、完全に裁断されていない紙屑Bは、屑排出口35内に入り、屑排出棒36の末端と接触する。屑排出棒36は、重ねた紙Aに圧迫され、上方へとバネ37を圧縮する。これにより、カッター3が、再度、下方へと穴を開ける時には、斜口カッター縁32末端先鋭縁322の単一抵抗力に転換する。こうして、カッター3は、重ねた紙Aの紙屑Bを完全に裁断する。紙屑Bが裁断された後、カッター3が受けていた抵抗力は消失し、収容槽31内の、紙屑Bの圧縮を受けていたバネ37は、弾性により、紙排出棒36を下方へと押す。こうして、紙屑Bは、紙屑排出口35より外へと押し出され、カッター3の重ねた紙Aに対する穴開け動作を完成する。
【0013】
図5〜9に示すグラフでは、縦軸に作動力量(kg)を、横軸に斜口カッター縁32と重ねた紙Aとの角度θをとる。図5〜9では、カッター3の斜口カッター縁32と重ねた紙Aとの間の角度θ(カッター縁長さH)が、それぞれ16度(2mm)、23.2度(3mm)、29.7度(4mm)、35.5度(5mm)、40.6度(6mm)、45度(7mm)、48.8度(8mm)で、穴を開ける重ねた紙Aの厚みが、10ページ、20ページ、30ページ、40ページ、50ページである時、それが示す作動力量を示す。
【0014】
さらに図13は、本発明と従来の構造との作動力量を比較する模式図である。図13における上方の曲線は、従来の構造が穴を開ける際の重ねた紙のページ数と作動力量を示し、10ページ/20.6kg、20ページ/48.4kg、30ページ/63kg、40ページ/95kg、50ページ/120kgとなる。下方の曲線は、本発明の構造が、図5〜9に示すように、重ねた紙Aのページ数がさまざまである時の作動力量を示す。本発明構造は、斜口カッター縁32が10ページの重ねた紙Aに対して穴を開ける時に、29.7度であれば最適な作動力量は、9.24kgで、20ページの時に35.5度であれば18.68kgで、30ページの時に35.5度であれば36.52kgで、40ページの時に35.5度であれば56kgで、50ページの時に35.5度であれば76kgである。よって、本発明と従来の構造とを比較すると、本発明のカッター3は、省力の効果を確実に備えていることが分かる。上記したグラフにおける数値は、最適な省力角度を選択したもので、図5〜9に示すように、本発明は他の各角度における作動力量においても、従来の構造より高い省力効果を備える。
【0015】
本発明の穴開けパンチのカッター構造は、中空の収容槽を備え、しかも斜口カッター縁を備える中空カッターで、カッターの斜口カッター縁と重ねた紙との間の角度により、斜口カッター縁が穴を開ける時には、前、末端先鋭縁において、抵抗力はそれぞれ単一点方式により発生し、カッターと重ねた紙との全面的な接触を減らすことができる。しかも、収容槽内の紙屑排出棒は、紙屑を自動的に排出させるため、紙屑が詰りカッターに引っ掛かる恐れを払拭することができ、しかもカッターの重ねた紙に対する抵抗力を減らすことができるため、省力しつつスムーズに穴を開けるという機能を達成することができる。
【符号の説明】
【0016】
1 穴開け台、11 カッターフレーム、2 加圧部品、21 プレッシャーアーム、22 可動棒、3 カッター、31 収容槽、32 斜口カッター縁、321 先端尖鋭縁、322 末端尖鋭縁、33 可動孔、34 停止部、35 屑排出口、36 屑排出棒、37 バネ、A 重ねた紙、B 紙屑、H カッター縁長さ、4 カッター、41 カッター先端、42 内側縁、43 上曲面、5 カッターフレーム、a 重ねた紙、b 紙屑、h カッターの窪みの深さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13