(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5657072
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】管路またはトンネルの構築方法
(51)【国際特許分類】
E21D 9/00 20060101AFI20141225BHJP
E21D 9/08 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
E21D9/00 Z
E21D9/08 K
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-156312(P2013-156312)
(22)【出願日】2013年7月29日
【審査請求日】2013年8月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】596149899
【氏名又は名称】中黒建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100167243
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 充
(72)【発明者】
【氏名】中黒 憲一
(72)【発明者】
【氏名】志村 洋平
(72)【発明者】
【氏名】高橋 智
【審査官】
▲高▼橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−214085(JP,A)
【文献】
特開平03−132595(JP,A)
【文献】
特開2000−145372(JP,A)
【文献】
特開2012−041706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/00 − 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発進立抗から到達立抗に向けて、地中障害物の切断を行うことができない第1の掘進機を前進させて掘削し、管路またはトンネルを構築する際、前記地中障害物によって前記第1の掘進機が前進不能になった場合に、前記管路または前記トンネルの構築を完遂させるための管路またはトンネルの構築方法であって、
前記地中障害物を切断可能な第2の掘進機を使用して、前記到達立抗から前記地中障害物の手前まで掘削する第1の工程と、
前記地中障害物の手前に到達した前記第2の掘進機によって、前記地中障害物を切断する第2の工程と、
前記第2の工程の後に、前記発進立抗から前記到達立抗に至る前記管路または前記トンネルの構築を完遂させる第3の工程と
を備えた管路またはトンネルの構築方法。
【請求項2】
請求項1に記載の管路またはトンネルの構築方法であって、
前記第1の掘進機が前進不能になった場合とは、前記第1の掘進機が、推進工法によって、連続して接続される第1の推進管を前記第1の掘進機の後方に構築しつつ、前記地中障害物まで掘進した際に、前記前進不能になった場合であり、
前記第1の工程は、前記推進工法によって、連続して接続される第2の推進管を前記第2の掘進機の後方に構築しつつ、前記到達立抗から前記地中障害物の手前まで掘進する工程を含み、
前記第3の工程は、
前記到達立抗から前記第2の推進管および前記第2の掘進機を前記到達立抗側に引き抜きながら、前記第1の掘進機の後方に前記第1の推進管をさらに接続しつつ、前記第1の掘進機を前記到達立抗まで前進させて、前記発進立抗から前記到達立抗に至る前記第1の推進管の構築を完遂させる第4の工程と、
前記発進立抗から前記第1の推進管および前記第1の掘進機を前記発進立抗側に引き抜きながら、前記第2の掘進機の後方に前記第2の推進管をさらに接続しつつ、前記第2の掘進機を前記発進立抗まで前進させて、前記発進立抗から前記到達立抗に至る前記第2の推進管の構築を完遂させる第5の工程と
のうちの、いずれか一方を含む
管路またはトンネルの構築方法。
【請求項3】
請求項2に記載の管路またはトンネルの構築方法であって、
前記第1の推進管および前記第2の推進管は、同一の径を有しており、
前記第3の工程は、前記第4の工程および前記第5の工程のうちの前記第4の工程を含み、
前記第4の工程において、前記到達立抗から引き抜かれた前記第2の推進管は、前記第1の掘進機の後方にさらに接続される第1の推進管として利用される
管路またはトンネルの構築方法。
【請求項4】
請求項2に記載の管路またはトンネルの構築方法であって、
前記第1の推進管および前記第2の推進管は、同一の径を有しており、
前記第3の工程は、前記第4の工程および前記第5の工程のうちの前記第5の工程を含み、
前記第5の工程において、前記発進立抗から引き抜かれた前記第1の推進管は、前記第2の掘進機の後方にさらに接続される第2の推進管として利用される
管路またはトンネルの構築方法。
【請求項5】
請求項1に記載の管路またはトンネルの構築方法であって、
前記第1の掘進機が前進不能になった場合とは、前記第1の掘進機が、推進工法またはシールド工法によって、前記管路または前記トンネルを前記第1の掘進機の後方に構築しつつ、前記地中障害物まで掘進した際に前記前進不能になった場合であり、
前記第1の工程は、前記推進工法または前記シールド工法によって、前記管路または前記トンネルを前記第2の掘進機の後方に構築しつつ、前記到達立抗から前記地中障害物の手前まで掘進する工程を含み、
前記第3の工程は、前記第1の掘進機の後方に構築された前記管路または前記トンネルと、前記第2の掘進機の後方に構築された前記管路または前記トンネルと、を地中接合する工程を含む
管路またはトンネルの構築方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の管路又はトンネルの構築方法であって、
前記第2の掘進機は、流体を超高圧で噴射して前記地中障害物を切断するための超高圧噴射ノズルを備え、
前記第2の工程は、前記超高圧噴射ノズルから前記流体を噴射して前記地中障害物を切断する工程を含む
管路またはトンネルの構築方法。
【請求項7】
請求項6に記載の管路又はトンネルの構築方法であって、
前記第2の掘進機は、前記超高圧噴射ノズルから地盤改良材を噴射可能に構成され、
前記第2の工程は、前記地中障害物の切断の前に、前記超高圧噴射ノズルから前記地盤改良材を噴射して前記地中障害物の周囲を地盤改良する工程を含む
管路またはトンネルの構築方法。
【請求項8】
発進立抗から到達立抗に向けて、第1の掘進機を前進させて掘削し、管路またはトンネルを構築する際、地中障害物によって前記第1の掘進機が前進不能になった場合に、前記管路または前記トンネルの構築を完遂させるための管路またはトンネルの構築方法であって、
前記地中障害物を切断可能な第2の掘進機を使用して、前記到達立抗から前記地中障害物の手前まで掘削する第1の工程と、
前記地中障害物の手前に到達した前記第2の掘進機によって、前記地中障害物を切断する第2の工程と、
前記第2の工程の後に、前記発進立抗から前記到達立抗に至る前記管路または前記トンネルの構築を完遂させる第3の工程と
を備え、
前記第1の掘進機が前進不能になった場合とは、前記第1の掘進機が、推進工法によって、連続して接続される第1の推進管を前記第1の掘進機の後方に構築しつつ、前記地中障害物まで掘進した際に、前記前進不能になった場合であり、
前記第1の工程は、前記推進工法によって、連続して接続される第2の推進管を前記第2の掘進機の後方に構築しつつ、前記到達立抗から前記地中障害物の手前まで掘進する工程を含み、
前記第3の工程は、
前記到達立抗から前記第2の推進管および前記第2の掘進機を前記到達立抗側に引き抜きながら、前記第1の掘進機の後方に前記第1の推進管をさらに接続しつつ、前記第1の掘進機を前記到達立抗まで前進させて、前記発進立抗から前記到達立抗に至る前記第1の推進管の構築を完遂させる第4の工程と、
前記発進立抗から前記第1の推進管および前記第1の掘進機を前記発進立抗側に引き抜きながら、前記第2の掘進機の後方に前記第2の推進管をさらに接続しつつ、前記第2の掘進機を前記発進立抗まで前進させて、前記発進立抗から前記到達立抗に至る前記第2の推進管の構築を完遂させる第5の工程と
のうちの、いずれか一方を含む
管路またはトンネルの構築方法。
【請求項9】
請求項8に記載の管路またはトンネルの構築方法であって、
前記第1の推進管および前記第2の推進管は、同一の径を有しており、
前記第3の工程は、前記第4の工程および前記第5の工程のうちの前記第4の工程を含み、
前記第4の工程において、前記到達立抗から引き抜かれた前記第2の推進管は、前記第1の掘進機の後方にさらに接続される第1の推進管として利用される
管路またはトンネルの構築方法。
【請求項10】
請求項8に記載の管路またはトンネルの構築方法であって、
前記第1の推進管および前記第2の推進管は、同一の径を有しており、
前記第3の工程は、前記第4の工程および前記第5の工程のうちの前記第5の工程を含み、
前記第5の工程において、前記発進立抗から引き抜かれた前記第1の推進管は、前記第2の掘進機の後方にさらに接続される第2の推進管として利用される
管路またはトンネルの構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路またはトンネルの構築技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤を掘進機で掘削して管路またはトンネルを構築する場合、地中に埋設または残置された障害物(例えば、H鋼、鋼矢板)に遭遇すると、一般的な掘進機は、前進することができなくなる。この場合、地上から地中障害物(以下、単に障害物とも呼ぶ)を取り除いた後に、掘進機を前進させることができる。
【0003】
一方、障害物を切断可能な掘進機が開発されている。例えば、下記の特許文献1〜3では、超高圧噴射ノズルから超高圧流体を噴射して、障害物を切断可能な掘進機を開示している。かかる掘進機によれば、障害物に遭遇した場合であっても、地中において障害物を切断し、その後、掘進を継続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−249926号公報
【特許文献2】特開2005−97830号公報
【特許文献3】特開2004−204666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、管路やトンネルを施工する際には、事前調査によって把握された施工現場の地盤状況に応じて工事設計が行われ、当該設計に基づいて、現場施工が行われる。事前調査の結果が、管路やトンネルの構築ルートに障害物が存在しないものである場合には、障害物を切断可能な掘進機よりも工事費が安価となる一般的な掘進機を使用する工事設計がなされる。しかしながら、予期せずに一般の掘進機が障害物に遭遇することが生じ得る。この場合、地上から障害物を除去すれば、その後、施工を継続することができるが、地上から障害物を除去することが適切ではない状況も生じ得る。かかる状況としては、例えば、障害物の地上に建築物が存在する場合や、交通量の多い交差点が存在する場合などを例示できる。このようなことから、一般的な掘進機を使用して開始された管路またはトンネルの構築工事において、当該掘進機が障害物に遭遇した場合に、障害物の周辺の地上に大きな影響を与えることなく、管路またはトンネルの構築を完遂可能な工法が求められる。かかる問題は、管路またはトンネルの構築工事が一般的な掘進機を使用して開始された場合に限らず、任意の掘進機が障害物に遭遇して前進不能になった場合に共通する問題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
本発明の第1の形態は、発進立抗から到達立抗に向けて第1の掘進機を前進させて掘削し、管路またはトンネルを構築する際、地中障害物によって第1の掘進機が前進不能になった場合に、管路またはトンネルの構築を完遂させるための管路またはトンネルの構築工法として提供される。この工法は、地中障害物を切断可能な第2の掘進機を使用して、到達立抗から地中障害物の手前まで掘削する第1の工程と、地中障害物の手前に到達した第2の掘進機によって、地中障害物を切断する第2の工程と、第2の工程の後に、発進立抗から到達立抗に至る管路またはトンネルの構築を完遂させる第3の工程とを備える。
【0008】
かかる工法によれば、第1の掘進機が地中障害物に遭遇して前進不能になり、かつ、当該地中障害物を地上から除去することが適切ではない場合に、地中障害物を切断可能な第2の掘進機によって地中障害物を地中で切断して、地中障害物の周辺の地上の状況に大きな影響を与えることなく、管路またはトンネルの構築を完遂できる。
【0009】
本発明の第2の形態として、第1の形態において、第1の掘進機が前進不能になった場合とは、第1の掘進機が、推進工法によって、連続して接続される第1の推進管を第1の掘進機の後方に構築しつつ、地中障害物まで掘進した際に、前進不能になった場合であってもよい。第1の工程は、推進工法によって、連続して接続される第2の推進管を第2の掘進機の後方に構築しつつ、到達立抗から地中障害物の手前まで掘進する工程を含んでいてもよい。第3の工程は、到達立抗から第2の推進管および第2の掘進機を到達立抗側に引き抜きながら、第1の掘進機の後方に第1の推進管をさらに接続しつつ、第1の掘進機を到達立抗まで前進させて、発進立抗から到達立抗に至る第1の推進管の構築を完遂させる第4の工程と、発進立抗から第1の推進管および第1の掘進機を発進立抗側に引き抜きながら、第2の掘進機の後方に第2の推進管をさらに接続しつつ、第2の掘進機を発進立抗まで前進させて、発進立抗から到達立抗に至る第2の推進管の構築を完遂させる第5の工程とのうちの、いずれか一方を含んでいてもよい。かかる形態によれば、推進工法によって、発進立抗から到達立抗に至るまで推進管を好適に構築できる。
【0010】
本発明の第3の形態として、第2の形態において、第1の推進管および第2の推進管は、同一の径を有していてもよい。第3の工程は、第4の工程および第5の工程のうちの第4の工程を含んでいてもよい。第4の工程において、到達立抗から引き抜かれた第2の推進管は、第1の掘進機の後方にさらに接続される第1の推進管として利用されてもよい。かかる形態によれば、仮設的に地中に設置される第2の推進管が、最終的には、常設される第1の推進管として利用されるので、省資源化および低コスト化に資する。
【0011】
本発明の第4の形態として、第3の形態において、第1の推進管および第2の推進管は、同一の径を有していてもよい。第3の工程は、第4の工程および第5の工程のうちの第5の工程を含んでいてもよい。第5の工程において、発進立抗から引き抜かれた第1の推進管は、第2の掘進機の後方にさらに接続される第2の推進管として利用されてもよい。かかる形態によれば、第3の形態と同様に、省資源化および低コスト化に資する。
【0012】
本発明の第5の形態として、第1の形態において、第1の掘進機が前進不能になった場合とは、第1の掘進機が、推進工法またはシールド工法によって、管路またはトンネルを第1の掘進機の後方に構築しつつ、地中障害物まで掘進した際に前進不能になった場合であってもよい。第1の工程は、推進工法またはシールド工法によって、管路またはトンネルを第2の掘進機の後方に構築しつつ、到達立抗から地中障害物の手前まで掘進する工程を含んでいてもよい。第3の工程は、第1の掘進機の後方に構築された管路またはトンネルと、第2の掘進機の後方に構築された管路またはトンネルと、を地中接合する工程を含んでいてもよい。かかる形態によれば、地中障害物の前後において推進工法およびシールド工法の任意の組み合わせを使用して、管路またはトンネルの構築を完遂できる。
【0013】
本発明の第6の形態として、第1ないし第5のいずれかの形態において、第2の掘進機は、流体を超高圧で噴射して地中障害物を切断するための超高圧噴射ノズルを備えていてもよい。第2の工程は、超高圧噴射ノズルから流体を噴射して地中障害物を切断する工程を含んでいてもよい。かかる形態によれば、地中障害物を好適に切断できる。
【0014】
本発明の第7の形態として、第6の形態において、第2の掘進機は、超高圧噴射ノズルから地盤改良材を噴射可能に構成されていてもよい。第2の工程は、地中障害物の切断の前に、超高圧噴射ノズルから地盤改良材を噴射して地中障害物の周囲を地盤改良する工程を含んでいてもよい。かかる形態によれば、地中で地盤改良を行えるので、地上で作業を行う必要がなく、地上の状況に影響を与えない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第2の掘進機の概略構成を示す部分縦断面図である。
【
図2】
図1に示すカッターヘッド部の正面図である。
【
図3】本発明の一実施例としての管路の構築手順を示す工程図である。
【
図4】
図3の各工程における管路の構築状況を模式的に示す説明図である。
【
図5】
図3の各工程における管路の構築状況を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
A.実施例:
以下、本発明の一実施例としての管路の構築方法について説明する。この方法は、第1の掘進機60によって地盤を掘削して管路を構築する途中において、地中に埋設または残置された障害物(例えば、H鋼、鋼矢板、鉄筋コンクリート壁等)に遭遇し、第1の掘進機60が前進不能になり、かつ、当該障害物を地上から除去することが適切ではない場合に、第2の掘進機10を使用して、管路の構築を完遂するものである。本実施例では、第1の掘進機60は、障害物の切断を行うことができない一般的な掘進機である。ただし、第1の掘進機60の種類は、特に限定するものではなく、障害物を切断可能な掘進機を第1の掘進機60として使用してもよい。すなわち、障害物を切断可能な第1の掘進機60が、不慮の事態によって、障害物を切断不能になり、それによって前進不能になった場合に、第2の掘進機10を使用して、管路の構築を完遂することもできる。本実施例では、管路の構築は、推進工法によって行われる。第2の掘進機10は、障害物を切断可能なタイプの掘進機である。本実施例では、第2の掘進機10は、超高圧の流体を噴射することによって、障害物の切断を行う。このため、第2の掘進機10は、超高圧の流体を噴射するための構成およびそれに付随する構成を備えている点が第1の掘進機60と異なっている。
【0017】
図1は、第2の掘進機10の概略構成を示す部分縦断面図である。
図2は、
図1に示すカッターヘッド部30の正面図である。
図1に示すように、第2の掘進機10は、本体部20とカッターヘッド部30とを備えている。本体部20は、回転軸21と排泥管22と駆動モータ23とを備えている。カッターヘッド部30は、本体部20の掘進方向先端部に設けられており、回転軸21を中心にして駆動モータ23によって回転されることによって、地盤91の掘削を行う。カッターヘッド部30の回転によって掘削された土壌は、排泥管22を介して排出される。
【0018】
カッターヘッド部30は、
図2に示すように、互いに直交する取付板32,33を備えている。取付板32,33は、回転軸21において互いに交差している。取付板32,33には、中心ビット34、カッタービット35、先行ビット36およびトリムビット37が適宜設けられている。
【0019】
取付板32,33には、ノズルヘッド40が設けられている。ノズルヘッド40は、流体を超高圧で噴射する超高圧噴射ノズル42を有している。超高圧噴射ノズル42からの流体の噴射は、駆動機構41によって駆動される。本実施例では、駆動機構41は、ピストンロッドおよび油圧シリンダ(図示省略)を備える油圧シリンダ駆動方式とされている。ノズルヘッド40は、取付ヘッドを介してシリンダの一端部に取り付けられ、シリンダは、油圧のイン・アウト(IN・OUT)の切り換えによりピストンロッドに沿って移動される。超高圧噴射ノズル42の両側には、超高圧噴射ノズル42を保護するためのカッタービット38が設けられている。
【0020】
超高圧噴射ノズル42は、本実施例では、超高圧ジェット水と研磨材とが混合されたアブレッシブジェット水と、超高圧ジェット水と地盤改良材とが混合された地盤改良ジェット水と、を切り替えて噴射可能に構成されている。アブレッシブジェット水は、障害物を切断する際に噴射される。地盤改良ジェット水は、障害物の周囲を地盤改良する際に噴射される。なお、各ジェット水用に専用の噴射ノズルが設けられていてもよい。
【0021】
図3は、本実施例における管路の構築手順を示す工程図である。
図4および
図5は、
図3の各工程における管路の構築状況を模式的に示す。
図3の手順は、発進立抗71から到達立抗72に向けて第1の掘進機60を前進させて掘削し、管路を構築する際に、地盤91中の障害物92に遭遇した場合、すなわち、第1の掘進機60がこれ以上前進できない場合、かつ、障害物92を地上から除去することが適切ではない場合に開始される。第1の掘進機60の掘進は、第1の掘進機60の後方に第1の推進管81を順次接続し、発進立抗71に設けられたジャッキ84によって最後尾の第1の推進管81を押圧することによって行われる。これによって、第1の掘進機60の後方には、連続して接続された第1の推進管81が構築される。
【0022】
この手順では、まず、
図3に示すように、到達立抗72から障害物92の手前まで第2の掘進機10を前進させて掘削する(ステップS110)。この際、
図4(a)に示すように、第2の掘進機10の後方には、第2の推進管82が順次接続され、到達立抗72に設けられたジャッキ85によって最後尾の第2の推進管82が障害物92に向けて押圧される。これによって、第2の掘進機10の後方には、連続して接続された第2の推進管82が構築される。
【0023】
第2の掘進機10が障害物92の手前まで掘進すると、障害物92の位置および形状を確認する(ステップS120)。ステップS120は、本実施例では、
図4(b)に示すように、第2の掘進機10の超高圧噴射ノズル42から障害物92に高圧ジェット水95(例えば、100MPa)を噴射し、その反射音をオシロスコープ等で解析することによって行われる。
【0024】
次に、
図4(c)に示すように、障害物92の位置および形状に応じた領域に対して、第2の掘進機10の超高圧噴射ノズル42から地盤改良ジェット水96(例えば、245MPa)を噴射し、障害物92の周囲に改良体97を造成する(ステップS130)。かかる構成によれば、障害物92の周辺の地上の状況に影響を与えることなく、改良体97を造成できる。ただし、地上の状況が許すのであれば、地上から地盤改良を行ってもよい。
【0025】
次に、
図5(d)に示すように、第2の掘進機10の超高圧噴射ノズル42からアブレッシブジェット水98(例えば、245MPa)を噴射し、障害物92を切断する(ステップS140)。次に、
図5(e)に示すように、第2の掘進機10を前進させて、障害物92の切断片を、排泥管22を介して回収する(ステップS150)。これによって、第1の掘進機60は、さらに前進できるようになる。
【0026】
次に、
図5(f)に示すように、到達立抗72から第2の推進管82および第2の掘進機10を到達立抗72側に順次引き抜きながら、第1の掘進機60を到達立抗72に向けて前進させる(ステップS160)。本実施例では、第2の推進管82および第2の掘進機10の引き抜きは、引き抜き用の鋼棒86を第2の掘進機10に連結し、ジャッキ85を反転させて、鋼棒86をジャッキ85によって到達立抗72側に引き抜くことによって行われる。第1の掘進機60の前進は、その後方に第1の推進管81をさらに接続しながら行われる。本実施例では、第1の推進管81と第2の推進管82とは、同一の径(内径および外径)を有している。このため、到達立抗72において引き抜かれた第2の推進管82は、第1の掘進機60の後方に新たに接続される第1の推進管81として利用される。こうすれば、省資源化および低コスト化に資する。ただし、第1の推進管81と第2の推進管82とは、異なる径を有していてもよい。また、本実施例では、第2の掘進機10の引き抜きと、第1の掘進機60の前進とは、略同一の速度で行われる。こうすれば、第2の推進管82および第2の掘進機10の引き抜きによって地盤91が不安定になることを抑制できる。換言すれば、第2の推進管82および第2の掘進機10が引き抜かれた穴に支持工を施工する必要がない。
【0027】
そして、
図5(g)に示すように、第2の掘進機10を到達立抗72まで引き抜いて第2の掘進機10を回収するとともに、第1の掘進機60を到達立抗72まで到達させて、到達作業を完了する(ステップS170)。こうして、発進立抗71から到達立抗72に至る第1の推進管81の構築が完遂される。
【0028】
以上に説明した方法によれば、第1の掘進機60が障害物92に遭遇して前進不能になり、かつ、障害物92を地上から除去することが適切ではない場合に、第2の掘進機10が到達立抗72側から掘進し、障害物92を地中で切断できる。したがって、このような場合に、障害物92の周辺の地上の状況に大きな影響を与えることなく、第1の推進管81の構築を完遂できる。
【0029】
B.変形例:
B−1.変形例1:
上記ステップS160,170においては、到達立抗72から第2の推進管82および第2の掘進機10を到達立抗72側に順次引き抜くとともに、第1の掘進機60の後方に第1の推進管81をさらに接続しながら、第1の掘進機60を到達立抗72に向けて前進させて、発進立抗71から到達立抗72に至る第1の推進管81を構築したが、かかる方法に代えて、次の方法を採用してもよい。すなわち、発進立抗71から第1の推進管81および第1の掘進機60を発進立抗71側に順次引き抜くとともに、第2の掘進機10の後方に第2の推進管82をさらに接続しながら、第2の掘進機10を発進立抗71に向けて前進させて、発進立抗71から到達立抗72に至る第2の推進管82を構築してもよい。この場合、上述の実施例と同様に、発進立抗71において引き抜かれた第1の推進管81を、第2の掘進機10の後方に新たに接続される第2の推進管82として利用してもよい。これらの2つの方法は、発進立抗71と障害物92との距離と、到達立抗72と障害物92との距離と、を考慮して、経済性、工期など、所望の条件に合致する方を選択可能である。
【0030】
B−2.変形例2:
上述の実施例においては、第2の推進管82を引き抜きながら、第1の推進管81を新たに接続することによって、管路の構築を完遂する例について示したが、第2の推進管82の引き抜きに代えて、第1の推進管81と第2の推進管82とを地中接合することによって、管路を構築してもよい。地中接合は、公知の技術であり(例えば、特開2009−79425号公報、特開2008−31695号公報、特開2005−226448号公報、特開2004−197323号公報など)、詳しい説明は省略するが、補助工法によって止水を行って掘削機を接合する方法や、掘削機のスキンプレートを機械的に接合する方法などを利用できる。
【0031】
地中接合を行う場合には、上述した管路の構築方法は、推進工法に限らず、掘進機の後方でセグメントを組み立てて管路を構築するシールド工法にも適用できる。この場合、地中接合される管路の両方が、シールド工法によって構築されてもよいし、一方がシールド工法によって構築され、他方が推進工法によって構築されてもよい。また、地中接合される管路の径は、異なっていてもよいし、同じであってもよい。
【0032】
B−3.変形例3:
上述した管路の構築方法は、管路に限らず、トンネルを構築する場合にも同様に適用可能である。
【0033】
B−4.変形例4:
第2の掘進機10には、障害物92を切断可能な任意の掘進機を使用可能である。例えば、カッタービットの回転のみによって、障害物92を切断可能な掘進機を使用してもよい。
【0034】
以上、いくつかの実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0035】
10…第2の掘進機
20…本体部
21…回転軸
22…排泥管
23…駆動モータ
30…カッターヘッド部
32,33…取付板
34…中心ビット
35…カッタービット
36…先行ビット
37…トリムビット
38…カッタービット
40…ノズルヘッド
41…駆動機構
42…超高圧噴射ノズル
60…第1の掘進機
71…発進立抗
72…到達立抗
81…第1の推進管
82…第2の推進管
84,85…ジャッキ
86…鋼棒
91…地盤
92…障害物
95…高圧ジェット水
96…地盤改良ジェット水
97…改良体
98…アブレッシブジェット水
【要約】
【課題】管路またはトンネルの構築工事において、掘進機が地中障害物に遭遇して前進不能になった場合に、地中障害物の周辺の地上の状況に大きな影響を与えることなく、管路またはトンネルの構築を完遂可能な工法を提供する。
【解決手段】発進立抗から到達立抗に向けて第1の掘進機を前進させて掘削し、管路またはトンネルを構築する際、地中障害物によって第1の掘進機が前進不能となった場合に、管路またはトンネルの構築を完遂させるための管路またはトンネルの構築工法は、地中障害物を切断可能な第2の掘進機を使用して、到達立抗から地中障害物の手前まで掘削する第1の工程と、地中障害物の手前に到達した第2の掘進機によって、地中障害物を切断する第2の工程と、第2の工程の後に、発進立抗から到達立抗に至る管路またはトンネルの構築を完遂させる第3の工程とを備える。
【選択図】
図3