(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5657098
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】ターボジェットファンのブレードの支持体のための耐摩耗性部品
(51)【国際特許分類】
F01D 5/30 20060101AFI20141225BHJP
F04D 29/34 20060101ALI20141225BHJP
F04D 29/02 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
F01D5/30
F04D29/34 C
F04D29/34 N
F04D29/02
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-506718(P2013-506718)
(86)(22)【出願日】2011年4月28日
(65)【公表番号】特表2013-525682(P2013-525682A)
(43)【公表日】2013年6月20日
(86)【国際出願番号】FR2011050969
(87)【国際公開番号】WO2012072903
(87)【国際公開日】20120607
【審査請求日】2014年3月6日
(31)【優先権主張番号】1053270
(32)【優先日】2010年4月28日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505277691
【氏名又は名称】スネクマ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドウラピエール,ミシヤエル
(72)【発明者】
【氏名】ルゲザ,パトリツク・ジヤン−ルイ
【審査官】
寺町 健司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−247804(JP,A)
【文献】
特開2008−008297(JP,A)
【文献】
特開2002−195102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/30−32
F04D 29/34,02
F02K 3/06
Thomson Innovation
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のファンブレード(10)と共に、周囲に複数の凹部(8)を画定するディスク(2)を含む航空機ターボジェットファン(1)にして、各ブレードが、空気力学的翼(15)と、前記凹部(8)の1つ内に保持されたブレード根元部(12)と、翼と根元部の間に挿入された支持体(13)とを含み、前記支持体が、翼の内弧側(20)に位置する第1の表面(13a)と、この翼の外弧側(22)に位置する第2の表面(13b)とを含む後方部分を含み、ファンディスク(2)が、凹部(8)間に、半径方向に外側に突起する装着フランジ(26)を含み、それにより、第1の表面および第2の表面(13a、13b)が、2つの装着フランジ(26)の向かい側にそれぞれ位置するようになる、ファンであって、前記ブレード(10)の少なくとも1つに関して、ファンは、ブレード上に取り付けられた耐摩耗部品(40)を含み、その結果、支持体の第1および第2の表面(13a、13b)の各々に保護シェル(32a、32b)を形成して、各表面(13a、13b)とその向かい側に位置する装着フランジ(26、26)との間の接触を防止することを特徴とする、ファン。
【請求項2】
前記耐摩耗部品(40)が、クリップ固定によってブレード(10)上に取り付けられることを特徴とする、請求項1に記載のファン。
【請求項3】
前記耐摩耗部品(40)が、ブレードのプラットフォーム(17)上のクリップ固定によってブレード(10)上に取り付けられることを特徴とする、請求項2に記載のファン。
【請求項4】
各保護シェル(32a、32b)が、0.2から0.5mmの間の厚さであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のファン。
【請求項5】
前記耐摩耗部品(40)が、80%のニッケル、14%のクロム、および6%の鉄を含有する合金から製造されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のファン。
【請求項6】
前記耐摩耗部品(40)が、プレートを切断し折り曲げることによって製造されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のファン。
【請求項7】
ファンのブレード(10)の各々には、耐摩耗部品(40)が嵌合されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のファン。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のファン(1)を含む、航空機用ターボジェット。
【請求項9】
ブレードの支持体の第1および第2の表面(13a、13b)上のそれぞれに保護シェル(32a、32b)を形成するために、請求項1から7のいずれか一項に記載の航空機ターボジェットファン(1)のブレード(10)上に取り付けられるよう意図される耐摩耗部品(40)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機用ターボジェットファンの分野に関し、より詳細にはこれらのファンに嵌合されるブレード支持体の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機のターボジェットファンは、慣習的に、ファンディスク内に取り付けられた複数のファンブレードを含む。ディスクは、その周囲に、互いに対して接線方向に離間された複数の凹部を画定し、凹部の各々はブレード根元部を保持する。各ブレードはまた、空気力学的翼と共に、この翼とブレード根元部の間に挿入される支持体も含む。
【0003】
支持体は、対応する凹部によって画定された上側開口を横断し、したがって、凹部の外側に嵌合された翼と、その内側に保持された根元部との間の機械的結合を可能にし得る目的で、根元部より薄いものである。支持体は、ディスクの後方端部近くに位置する後方部分を含み、この場合支持体のこの後方部分は、翼の内弧側に位置する第1の表面と、この翼の外弧側に位置する第2の表面とを含む。
【0004】
これらの両方の対向表面は、外側に向かって半径方向に突起する、ファンディスク内に組み込まれた装着フランジと向かい合う。知られている方法では、これらの装着フランジは、ディスクの後方端部において凹部間に取り付けられ、ドラムをディスクに装着するために使用される。
【0005】
この設計は、非常に確立されたものであり、航空機ターボジェットで広く使用されているにも関わらず無視できない欠点を有し、すなわち支持体の第1および第2の後方表面の早期摩耗および破損を有する。調査では、この摩耗および破損は、本質的にはウインドミリング段階とも呼ばれるファンの自転の段階中、これらの表面とその向かい合う装着フランジとの間の摩擦から生じたことが実証できた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの自転段階中、実際にはブレードは、ブレード根元部を貫通しファンの長手方向軸に平行な軸内で、ブレード支持体の接線停止部として作用する2つの装着フランジによって決定された2つの極限位置間で振動する傾向がある。したがって、この支持体とその両側に嵌合された両方の装着フランジとの間に最初に設定された隙間は吸収され、その結果生じる摩擦が、支持体の第1および第2の後方表面の各々に早期摩耗および破損をもたらす。
【0007】
この摩耗および破損は、支持体の後方表面上に2つの圧痕を作り出す形態をとり、これらの圧痕は、ブレードの寿命にわたって除々に深くなる。
【0008】
これらの圧痕の第1の有害となる結果は、支持体の全体的な機械的耐性を弱めることである。
【0009】
この欠点に加えて、支持体の摩耗表面とその向かい合う装着フランジとの間の隙間が増大することである。自転段階中に見出されるブレードの振動の振幅は、このとき増大して摩耗および破損の影響を加速させる。加えて、ある所与のブレードに隣接するブレードが失われる場合、その衝撃から生じるその所与のブレードにかかる大きな力は、そのブレードを、接線方向の停止部として作用する装着フランジによって停止されるまでより高振幅で旋回させる傾向があり、それによってこの所与のブレードの破壊および損失のリスクを増大させる。
【0010】
したがって、本発明の目的は、従来技術の実施形態と比べた上記で述べた欠点に対する解決策を少なくとも部分的に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記を達成するために、本発明の第1の目的は、複数のファンブレードと共に、周囲に複数の凹部を画定するディスクを含む航空機ターボジェットファンであって、各ブレードが、空気力学的翼と、前記凹部の1つ内に保持されたブレード根元部と、翼と根元部の間に挿入された支持体とを含み、前記支持体が、翼の内弧側に位置する第1の表面と、この翼の外弧側に位置する第2の表面とを含む後方部分を含み、ファンディスクが、凹部間に、半径方向に外側に突起する装着フランジを含み、それにより、第1の表面および第2の表面が、2つの装着フランジの向かい側にそれぞれ位置するようになる、航空機ターボジェットファンである。
【0012】
本発明によれば、前記ブレードの少なくとも1つに関して、ファンは、ブレード上に取り付けられた耐摩耗部品を含み、その結果、支持体の第1および第2の表面の各々に保護シェルを形成して、各表面とその向かい側に位置する装着フランジとの間の接触を防止する。
【0013】
したがって、本発明で使用される耐摩耗部品は、ブレード支持体の両方の後方表面を保護し、摩耗圧痕がその上に形成されることをこうして防止する。これは、支持体の機械的耐性、より全体的にはブレードの全体的な機械的耐性を強化する。
【0014】
加えて、支持体の両方の後方表面上に摩耗圧痕が存在しないことにより、ファンの自転段階中、ブレードの振動の振幅を抑制することができ、また、破壊された隣接するブレードによって衝撃が与えられるいずれの所与のブレードもその旋回振幅を抑制することもできる。
【0015】
ブレード支持体の接線方向の停止部を形成する装着フランジによって画定されたこれらの振幅はまた、支持体の後方表面とその関連する装着フランジとの間に挿入されることが効果的である保護シェルの厚さによって低減される。振動の振幅がこうして低減されることにより、ブレードおよびその周囲要素のすべての摩耗が有利に低減される。
【0016】
耐摩耗性部品は、有利には、製造されたばかりの新しいファンブレードにまたはすでに作動に入っているブレードに保守解決策として適用され得る。後者の場合、本発明の重要な利点は、ターボジェット全体を分解する必要無く耐摩耗部品をブレード上に取り付けることができることにあり、その理由は、この作業は、実際には航空機の「翼の下方で」行われ得るためである。
【0017】
この部品が摩耗している場合、これは、当然ながら容易に交換され得る。ブレードはこのとき、その現状で引き続き使用可能であり、それによってその寿命が延びる。
【0018】
加えて、ファン内の耐摩耗部品の特定の位置決めに照らして、ファンが破壊された場合であってもこの部品の損失のリスクは極めて低い。
【0019】
さらに、そのような耐摩耗部品は、優先的には、ファンのブレードすべてに嵌合されることが推奨され、したがってその結果、ファンのバランスを取り直すことを求めることがあるアンバランスを生じさせない。
【0020】
前記耐摩耗性部品は、好ましくは、クリップ固定によってブレード上に取り付けられる。その結果、作業は簡単かつ短時間である。しかし、たとえば熱硬化性接着剤を用いた結合などの他の取り付け解決策が、想到され得る。
【0021】
このシナリオでは、前記耐摩耗部品は、優先的には、ブレードのプラットフォーム上にクリップ固定することによってブレート上に取り付けられる。
【0022】
各々の保護シェルは、好ましくは0.2から0.5mmの間の厚さである。
【0023】
前記耐摩耗性部品は、好ましくは、80%のニッケル、14%のクロム、および6%の鉄を含有する合金、たとえばインコネル合金、好ましくは合金インコネル718から製造される。この材料は、ブレード支持体の製造に使用されるものと同一または類似するものになり得る。
【0024】
あるいは、これは、高い機械的耐性を備えた複合材料にもなり得る。
【0025】
前記耐摩耗部品は、好ましくは、金属プレートを切断し折り曲げることによって製造される。あるいは、これは、機械加工によってまたは粉末冶金によっても製造され得る。
【0026】
先に述べられたように、ファンのブレードの各々には、好ましくは、耐摩耗部品が嵌合される。
【0027】
本発明の別の目的は、上記で説明されたファンを含む航空機ターボジェットである。
【0028】
本発明の最終目的はまた、ブレード支持体の第1および第2の表面の各々に保護シェルを形成するために、航空機ターボジェットファンのブレード上に上記で説明したように取り付けるよう意図される耐摩耗性部品でもある。
【0029】
本発明の他の利点および特性は、以下の非制限的に詳述される開示において明白になるであろう。
【0030】
この説明は、次の添付の図を参照して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の好ましい実施形態による、航空機ターボジェットファンの一部分の分解斜視図である。
【
図2】ファンディスクの装着フランジを貫通する、
図1に示されるファンの部分的な横断面図である。
【
図3】ブレードが、ファンの自転段階中に見出される旋回位置で示された、
図2のものに類似する図である。
【
図4】ファンブレードに嵌合される耐摩耗部品の斜視図である。
【
図5a】ある視点からの、耐摩耗性部品が嵌合されたブレードの1つの下側の後方部分の斜視図である。
【
図5b】別の視点からの、耐摩耗性部品が嵌合されたブレードの1つの下側の後方部分の斜視図である。
【
図5c】別の視点からの、耐摩耗性部品が嵌合されたブレードの1つの下側の後方部分の斜視図である。
【
図5d】別の視点からの、耐摩耗性部品が嵌合されたブレードの1つの下側の後方部分の斜視図である。
【
図6a】クリップ固定による耐摩耗性部品のブレード上の取り付けを説明する概略図である。
【
図6b】クリップ固定による耐摩耗性部品のブレード上の取り付けを説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
最初に
図1および
図2を参照すれば、本発明の好ましい実施形態による航空機のターボジェットファン1の一部分が、表されている。
【0033】
これは、全般的には、ファンの長手方向軸4上に中心が置かれたディスク2を含み、ディスクの周囲には、互いに対して円周方向に離間された歯6が製造されており、この場合その歯の各々は、ほぼ長手方向かつ半径方向に、すなわち軸4に対してほぼ平行に延びる。円周方向/接線方向に直近で連続する2つの歯6の間に、これらの歯は、ファンブレード10の根元部12を収容するように意図された凹部8を画定する。
【0034】
知られている方法では、各歯6の頭部は、ブレードを半径方向に外側に向かって保持することができるように拡大される。換言すれば、凹部8は、ブレード10を支持体13から移動させることを可能にする狭くされた外部半径方向端部を有し、そのブレードの断面/厚さは、その根元部12のものに対して狭くされている。したがって、与えられた組立体は、蟻継ぎタイプのもの、または「クリスマスツリーデコレーション」タイプのものでもある。
【0035】
支持体13およびこの支持体の内側半径方向端部上に組み付けられたブレード根元部12に加えて、ブレード10は、支持体の外側半径方向端部上に組み付けられた空気力学的翼を有する。これらの2つの要素間の接合部では、ブレード10はまた、ファンを横断する空気流が外側を辿るように意図されたプラットフォーム17も有する。翼15の両側で翼の内弧20および外弧22の基部から接線方向に延びるこのプラットフォーム17は、ファンノーズドーム(表されず)と空気力学的に連続的になる。
【0036】
加えて、各ブレード10に関連して、ファン1は、ブレード根元部12の下側端部と、その関係するブレードに関連する凹部の基部8aとの間に挿入されるシム21を含む。
【0037】
図2でさらに明確に見ることができるように、シム21は、ファンが回転していないとき、ブレード10を内部に向かって半径方向に位置決めすることができる。加えてシム21は、ファンブレード12に、下流側に位置しドラムの保持溝内に滑り入れられる軸方向の保持フック(
図5bおよび
図5cで見ることができる)が嵌合される取り付けを可能にする。加えて、
図1に見ることができるように、シム21は、その関連するブレードの軸方向の保持のための停止部23を上流側に含む。
【0038】
これは表されていないが、ブレードのプラットフォーム17と、歯6の半径方向の外部表面によって画定されるディスク2の周囲との間に半径方向に挿入される、1つまたは複数の振動緩衝用ファンシムが取り付けられてもよい。このシムは、全体として、ファンブレードの振動レベルを低減するように設計された接触プレートが嵌合されたエラストマーブロックの形態をとる。
【0039】
さらに、ディスク2は、歯6の後方端部から半径方向に外側に向かって延びる装着フランジ26を含む。好ましくは歯6との一体品として製造されるこれらのフランジ26は、
図1および
図2で見ることができるように、凹部8間にこうして嵌合される。表された実施形態では、単一のフランジが各歯に取り付けられ、このフランジには、ドラムを装着するのに使用されるボルトが通ることを可能にする開口が穿孔される。
【0040】
図2により明確に見ることができるように、各支持体13の後方部分は、凹部8の上側開口部を横断する。これは、翼10の内弧側に位置する第1の表面13aと、この翼の外弧側に位置する第2の表面13bとを含み、この場合支持体の両方のこれらの表面13a、13bは、互いに平行であり、互いに向かい合っている。第1の表面13aは、対応する凹部の開口部を形成する歯6の1つの拡大された端部6aの向かい側に位置し、一方で第2の表面13bは、これもまた同じ凹部8の開口を形成する、別の直近の連続する歯6の拡大された端部6aの向かい側に位置する。加えて、これら2つの表面13a、13bの各々は、装着フランジ26の1つと向かい合いながら、特に装着フランジ上に製造された接線方向の停止部30と向かい合いながら、外側に向かって半径方向に延びる。
【0041】
本発明の特徴によれば、耐摩耗部品が各ブレード10上に取り付けられ、その結果、支持体の第1および第2の表面13a、13bの各々に保護シェル32a、32bを形成して、これらの表面13a、13bと、向かい側に位置する装着フランジ26との間の接触を防止する。
【0042】
ファンの正常運転中、本質的には遠心力により、ブレード10は、第1の支持表面13aを覆う第1の保護シェル32aが向かい側の停止部30から僅かに触れる距離を離して位置し、僅かな隙間が見られ得るように位置合わせされる。第2の支持表面13bを覆う第2の保護シェル32bにも同じことが言え、この場合このシェル32bは、向かい側の停止部30から僅かに触れる方向の距離を離して位置しており、僅かな隙間36もまた見られる。したがって保護シェルと装着フランジの間に接触は生じない。
【0043】
反対に、いわゆるウインドミリング段階とも呼ばれるファンの自転段階中、各ブレード10は、根元部12を貫通し軸4に平行な軸38に沿って、2つの接線方向の停止部30、30によって決定された2つの極限位置の間で振動する傾向がある。そのうちの1つが
図3に表されるこれらの極限位置では、最初の隙間36の1つは完全に吸収され、それによって保護シェルとその関連する停止部30との間に機械的接触をもたらす。したがって、シェルは、ブレードの極限位置における支持体と停止部の間の直接的接触を防止し、それによってこの支持体の摩擦による摩耗および破損を抑制する。
【0044】
図4から
図5dは、両方の保護シェル32a、32bを組み込む耐摩耗性部品40の例となる実施形態を示している。
【0045】
この部品40は、0.2から0.5mmの間の厚さである、好ましくは合金インコネル718から作られ、次いで所望の最終形状を得るように切断され折り曲げられた金属プレートから製造されるように設計される。
【0046】
実際には、部品40は両方の平行なシェル32a、32bを組み込み、そのシェルの各々1つは本質的に矩形の形状であり、その長さの1つは、部分的には、支持体13の後縁42の一部の凸部プロファイルを辿るよう意図される。両方のシェルは、その上側端部において、両方のシェル32a、32bに対してほぼ直交する、T字の基部の下側部分に対応する結合部分44によって接続される。
【0047】
T字の基部の上側部分は、プラットフォーム17と接合する支持体13の後縁42の部分を辿る。この部分に関しては、46で参照され基部44上に組み付けられるT字の上側枝部は、翼15の両側に接線方向に延びるプラットフォーム17の内側半径方向の後方部分を辿る。この枝部46の2つの対向端部には、耐摩耗部品40をブレード10上に位置決めし、保持するために使用される2つのクリップ50が取り付けられる。
【0048】
各クリップ50は、U字状の弾性舌状のように成形され、その基部はほぼ軸方向に延び、その2つの横方向の枝部は、外側に向かって半径方向に位置合わせされて大きく開いている。これらの2つの枝部は、半径方向に内側に向かって延びるプラットフォーム17の突起部52周りにきつく嵌合させるために使用される。したがって、耐摩耗性部品40をブレード上に取り付けることができるのは、U字状のクリップの各々の両方の枝部によるこの突起部52の把持である。このクランプ止めは、場合によっては、両方のシェル32a、32bによって構成された弾性組立体およびT字の基部44の、支持体13の後方部分にかかる把持力によって調達される別の形のクランプ止めによって達成されてもよい。この場合、この弾性組立体は、このときベッドフレームとして作用する。あるいは、小さい隙間が、2つのシェル32a、32bの各々とその関連する表面13a、13bとの間に作られ得る。
【0049】
図6aおよび
図6bでは、クリップ50を用いた耐摩耗部品の取り付けが、図式化される。各クランプ50に関しては、T字46の上側枝部に接続されたU字の枝部は、最初に、プラットフォーム17の突起部52の面55に押しあてられ、その後56で参照されるU字の他の枝部が、この突起部52の反対側の面57上でこれをクランプ止めするために前方向および上方向に押し出される。クリップ固定は、U字のこの自由枝部56が、面57と2つの対向面55、57を接続する突起部の半径方向の内面60との間の縁部を超えて延びたときに得られる。したがって、縁部のこの通過により、この組立体のハードポイントがクリップ留めによって形成される。
【0050】
当然ながら、単なる非制限的な例として説明された本明細書に対して、さまざまな改変が当業者によって加えられ得る。