特許第5657159号(P5657159)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5657159
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】ロール圧下装置
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/128 20060101AFI20141225BHJP
【FI】
   B22D11/128 350A
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-106339(P2014-106339)
(22)【出願日】2014年5月22日
【審査請求日】2014年5月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】新日鉄住金エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】三浦 康彰
【審査官】 酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−052043(JP,A)
【文献】 特開平04−305350(JP,A)
【文献】 実開平03−091148(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/128
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上ロールと、下ロールと、ロッドヘッドを有するロッド及び該ロッドを往復運動させる本体部を有するアクチュエータとを備える丸鋳片用のロール圧下装置において、
前記上ロール及び前記下ロールがそれぞれ上下方向に移動可能に配置され、
前記上ロールと前記下ロールとが前記アクチュエータにより連結され、前記上ロール及び前記下ロールのうちの一方のロールA側が前記本体部側と連結し、他方のロールB側が前記ロッドヘッド側と連結し、前記本体部が前記上ロールより上方に配置されていることを特徴とするロール圧下装置。
【請求項2】
請求項1記載のロール圧下装置において、
前記ロールAとしての前記上ロールと前記本体部とを連結する本体部側部材、及び
前記ロールBとしての前記下ロールと前記ロッドヘッドとを連結するロッドヘッド側部材
をさらに備えることを特徴とするロール圧下装置。
【請求項3】
請求項1記載のロール圧下装置において、
前記ロールAとしての前記下ロールと前記本体部とを連結する本体部側部材、及び
前記ロールBとしての前記上ロールと前記ロッドヘッドとを連結するロッドヘッド側部材
をさらに備えることを特徴とするロール圧下装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載のロール圧下装置において、
前記本体部側部材が、支点A、前記ロールA及び前記本体部がこの順に配置され、支点Aを中心に回動するアームであり、
前記ロッドヘッド側部材が、支点B、前記ロールB及び前記ロッドヘッドがこの順に配置され、支点Bを中心に回動するアームであることを特徴とするロール圧下装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のロール圧下装置において、
前記上ロール及び前記下ロールの圧下量を制御するスペーサーをさらに備えることを特徴とするロール圧下装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のロール圧下装置において、
前記上ロール及び前記下ロールに対して上向きの力を加える重量調整手段をさらに備えることを特徴とするロール圧下装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のロール圧下装置において、
前記上ロールの下方向移動位置を制御するストッパーをさらに備えることを特徴とするロール圧下装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のロール圧下装置において、
前記アクチュエータが油圧シリンダであることを特徴とするロール圧下装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、丸鋳片用のロール圧下装置に関する。
【背景技術】
【0002】
連続鋳造法によって鋳片を製造する場合、鋳片内部における偏析やポロシティ(空孔)の発生等を低減させるために、連続鋳造中の鋳片への圧下が行われている。この圧下は鋳片の中央部分に対して行うため、断面矩形状の鋳片の場合は、例えば凸型ロールと平型ロールとを対として有する圧下スタンド(圧下装置)により行い、断面円形状の鋳片(丸鋳片)の場合は、同型の例えば一対の平型ロールを有する圧下スタンド(圧下装置)によって行うことができる。矩形状鋳片の圧下の場合、凸型ロールにより上側から幅方向中央部分のみ圧下しても、下側の平型ロールの受圧面積が大きいため、鋳片の上側のみが圧下される。従って、鋳片が下方に押し下げられて曲がることを原因とする割れが生じることは無い。
【0003】
一方、図10(a)に示すように、断面円形状の鋳片100(丸鋳片)を一対の平型ロール110で圧下する場合、油圧シリンダ111により一方側(上側)からのみ圧下すると鋳片100が下方に押し下げられる。この場合、鋳片100が曲げられることによって割れが発生する。そこで、丸鋳片の圧下においては、図10(b)に示すように、上下のロール110a、110bのそれぞれに対して油圧シリンダ111a、111bが設けられ、上下のロール110a、110bを共に圧下させる構造がとられる(特許文献1、図2等参照)。上下のロール110a、110b間の中心位置が変わらないように、上下のロール110a、110bを共に圧下させることで、鋳片100が一方に曲がることを防止している。しかし、下ロール110bに対して油圧シリンダ111bを設けた場合、圧下スタンド(圧下装置)下方に油圧シリンダ111bが位置することとなる。圧下スタンド下方は、鋳片100からの輻射や熱気による高温雰囲気であり、スケールや粉塵の落下や堆積、ロールネック冷却水の飛散等が生じる劣悪環境である。従って、頻繁に動作不良等が生じ、メンテナンス頻度も高くする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−52043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、動作不良の発生を抑え、メンテナンス回数も削減することができる丸鋳片用のロール圧下装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う本発明に係るロール圧下装置は、上ロールと、下ロールと、ロッドヘッドを有するロッド及び該ロッドを往復運動させる本体部を有するアクチュエータとを備える丸鋳片用のロール圧下装置において、前記上ロール及び前記下ロールがそれぞれ上下方向に移動可能に配置され、前記上ロールと前記下ロールとが前記アクチュエータにより連結され、前記上ロール及び前記下ロールのうちの一方のロールA側が前記本体部側と連結し、他方のロールB側が前記ロッドヘッド側と連結し、前記本体部が前記上ロールより上方に配置されている。
【0007】
本発明に係るロール圧下装置においては、上ロールと下ロールとがアクチュエータにより連結され、アクチュエータを作動させることで上下ロールが共に動いて間隔を狭める、つまり丸鋳片を圧下することができる構造となっている。このため、丸鋳片の軸の位置を保ったまま、丸鋳片を曲げることなく圧下することができる。また、アクチュエータの本体部(例えば、油圧シリンダにおけるシリンダチューブ等)が上ロールよりも上方に配置され、劣悪環境である下方に配置されていないため、動作不良の発生を抑え、メンテナンス回数も削減することができる。
「上ロール及び下ロールが上下方向に移動可能」とは、通常水平に配置される丸鋳片に対して近づく方向及び離れる方向に移動可能であることをいい、厳密に垂直方向に移動する場合のみに限定するものではない。「ロールA側が本体部側と連結している」とは、ロールAに本体部が他の部材を介して間接的に連結されている場合を含み、ロールAと本体部とは一体的に動く状態であることをいう。「ロールB側がロッドヘッド側と連結している」も同様の意味である。
【0008】
本発明に係るロール圧下装置において、前記ロールAとしての前記上ロールと前記本体部とを連結する本体部側部材、及び前記ロールBとしての前記下ロールと前記ロッドヘッドとを連結するロッドヘッド側部材をさらに備えることが好ましい。このように、下ロールロッドヘッドとが連結されている場合、ロッドの引き込み動作により両ロール間隔を狭め、丸鋳片を圧下することができる。
【0009】
本発明に係るロール圧下装置において、前記ロールAとしての前記下ロールと前記本体部とを連結する本体部側部材、及び前記ロールBとしての前記上ロールと前記ロッドヘッドとを連結するロッドヘッド側部材をさらに備えることが好ましい。このように、上ロールロッドヘッドとが連結されている場合、ロッドの押し出し動作により両ロール間隔を狭め、丸鋳片を圧下することができる。
【0010】
本発明に係るロール圧下装置において、前記本体部側部材が、支点A、前記ロールA及び前記本体部がこの順に配置され、支点Aを中心に回動するアームであり、前記ロッドヘッド側部材が、支点B、前記ロールB及び前記ロッドヘッドがこの順に配置され、支点Bを中心に回動するアームであることが好ましい。このようなアームを用いることで、テコの原理によって圧下力を高めることなどができる。
【0011】
本発明に係るロール圧下装置において、前記上ロール及び前記下ロールの圧下量を制御するスペーサーをさらに備えることが好ましい。このスペーサーにより圧下したときの両ロールの間隔が制御され、圧下量を制御することができる。
【0012】
本発明に係るロール圧下装置において、前記上ロール及び前記下ロールに対して上向きの力を加える重量調整手段をさらに備えることが好ましい。ロールやアクチュエータの重量などのために、両ロールの間隔を狭めるようにアクチュエータを作動させても、下ロールが上昇しない、あるいは上昇しにくい場合がある。そこで、ロールやロールに固定されたアクチュエータのみかけの重量を緩和させる重量調整手段を用いることで、アクチュエータの作動の際に下ロールが上昇しやすくなる。
【0013】
本発明に係るロール圧下装置において、前記上ロールの下方向移動位置を制御するストッパーをさらに備えることが好ましい。上述のように下ロールが上昇しにくい場合であっても、アクチュエータを作動させた際に先に移動(降下)する上ロールはストッパーにより所定位置で止まり、これにより止まっていた下ロールが強制的に上昇しだすため、両ロールを最終的に対称な位置に移動させることができる。
【0014】
本発明に係るロール圧下装置において、前記アクチュエータが油圧シリンダであることが好ましい。油圧シリンダを用いることで、圧下作業を効果的に行うことなどができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るロール圧下装置によれば、動作不良の発生を抑え、メンテナンス回数も削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るロール圧下装置の模式的斜視図である。
図2】(a)は同ロール圧下装置の圧下時の状態を示す模式的側面図であり、(b)は模式的正面図である。
図3】(a)は同ロール圧下装置のロール開放時の状態を示す模式的側面図であり、(b)は模式的正面図である。
図4】(a)は本発明の第2の実施の形態に係るロール圧下装置の圧下時の状態を示す模式的側面図であり、(b)は模式的正面図である。
図5】(a)は同ロール圧下装置のロール開放時の状態を示す模式的側面図であり、(b)は模式的正面図である。
図6】(a)は本発明の第3の実施の形態に係るロール圧下装置の圧下時の状態を示す模式的側面図であり、(b)は模式的正面図である。
図7】(a)は同ロール圧下装置のロール開放時の状態を示す模式的側面図であり、(b)は模式的正面図である。
図8】(a)は本発明の第4の実施の形態に係るロール圧下装置の圧下時の状態を示す模式的側面図であり、(b)は模式的正面図である。
図9】(a)は同ロール圧下装置のロール開放時の状態を示す模式的側面図であり、(b)は模式的正面図である。
図10】(a)は丸鋳片を上側からのみ圧下した状態を示す説明図であり、(b)は丸鋳片を上下両側から圧下した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
続いて、添付した図面を参照しながら本発明を具体化した実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1図3に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るロール圧下装置10は、上ロール11、下ロール12、本体部側部材の一例である一対の上アーム13、ロッドヘッド側部材の一例である一対の下アーム14、アクチュエータの一例である一対の油圧シリンダ15を主に備える。油圧シリンダ15は、ロッドヘッド16を有するロッド17及びロッド17を往復運動させる本体部18を有する。
なお、図2(a)、図3(a)の模式的側面図及び図2(b)、図3(b)の模式的正面図においては、説明を容易にするために、隠れている部分の構造の一部を実線で図示しているところがある(以下の全ての模式的側面図及び模式的正面図において同様)。
【0018】
ロール圧下装置10は、丸鋳片100の連続鋳造設備に用いられ、丸鋳片100の凝固が完了する位置近傍に配置される。ロール圧下装置10の前後には丸鋳片100の支持ロール101が配置されている。
【0019】
上ロール11及び下ロール12は、それぞれ上下方向に移動可能に配置され、対となって丸鋳片100を上下から圧下するものである。すなわち、上ロール11と下ロール12との間を丸鋳片100が搬送される。上ロール11及び下ロール12は、平型ロール、凸型ロール、凹型ロール等のいずれであってもよいが、平型ロールとして図示している。
【0020】
上アーム13は、圧下時に略水平となる向きに配置された棒状構造体である(図2(a)参照)。上アーム13は、一端側に設けられた支点19(支点A)を中心に上下方向に回動する。上アーム13は支点19を軸として回動可能にフレーム20に連結されている。フレーム20は基台28の上面に立設している。上アーム13の他端側上面には油圧シリンダ15の本体部18が固定されている。本体部18は、ロッド17が下方に向くように配置されている。上アーム13の中間位置には、軸受箱21が組み込まれており、上ロール11は軸受箱21に回転可能に固定(支持)されている。すなわち、本体部18は上ロール11より上方に配置されている。また、上ロール11(ロールA)に対して本体部18が固定されており、上アーム13には、支点19(支点A)、上ロール11(ロールA)及び本体部18がこの順に配置されている。上アーム13の回動により、上ロール11は上下方向に移動(支点19を中心とした回転移動)する。
【0021】
下アーム14は、圧下時に略水平となる向き、すなわち上アーム13と略平行に配置された棒状構造体である(図2(a)参照)。下アーム14は、一端側に設けられた支点22(支点B)を中心に上下方向に回動する。下アーム14は支点22を軸として回動可能にフレーム20に連結されている。下アーム14の他端側にはロッド17のロッドヘッド16が回動可能に固定されている。下アーム14の中間位置には、軸受箱23が組み込まれており、下ロール12は軸受箱23に回転可能に固定(支持)されている。すなわち、下ロール12(ロールB)に対してロッドヘッド16が固定され、下アーム14には、支点22(支点B)、下ロール12(ロールB)及びロッドヘッド16がこの順に配置されている。また、この下アーム14の回動により、下ロール12は上下方向に移動(支点22を中心とした回転移動)する。
【0022】
油圧シリンダ15は、前述のようにロッド17及び本体部18を有している。本体部18は、ピストン24及びピストン24が挿入されたシリンダチューブ25等から構成されている。本体部18は上アーム13に対して回動可能に固定されている。ピストン24は、ロッド17のロッドヘッド16とは反対側の端部と連結している。油圧シリンダ15は、図示しない油圧ポンプに接続されている。油圧シリンダ15は複動型であるが、引き型の単動型であってもよい。ピストン24の往復運動によりロッド17も往復運動する。
【0023】
ロール圧下装置10は、上アーム13の中央位置下面に配置される上側スペーサー26及び下アーム14の中央位置上面に配置される下側スペーサー27を備えている(図1においては図示しない)。上側スペーサー26及び下側スペーサー27は箱状体である。上側スペーサー26と下側スペーサー27との合計高さが、圧下の際の上ロール11と下ロール12との間隔となるようになっている。すなわち、上側スペーサー26と下側スペーサー27とにより上ロール11と下ロール12の圧下量が制御される。下側スペーサー27(スペーサーのうちの少なくとも一方)は、厚さが調整可能な層構造となっており、これにより圧下量(圧下時の両ロールの間隔)の調整を行うことができる。
【0024】
ロール圧下装置10は、基台28の上面と、下アーム14の先端部(ロッドヘッド16の固定箇所)下面との間に設けられるバネ29(重量調整手段の一例)を備えている(図1においては図示しない)。バネ29は略垂直方向に設けられており、上ロール11、下ロール12及び油圧シリンダ15等に対して上向きの力を加えている。すなわち、バネ29は、上ロール11、下ロール12及び油圧シリンダ15等を支持している。このバネ29の力は、各ロール11、12や油圧シリンダ15の重量、圧下力等に応じて適宜調整される。
【0025】
ロール圧下装置10は、フレーム20の側面に突設されるストッパー30を備えている。ストッパー30は、上アーム13が所望する位置まで下がってきたときに、上アーム13を止める役割を有する。すなわち、ストッパー30は上アーム13、すなわち上ロール11の下方移動位置を制御している。ストッパー30は、上面位置が調整可能な層構造となっている。
【0026】
次いで、ロール圧下装置10の使用方法について説明する。圧下される丸鋳片100は、複数の支持ロール101によって上ロール11と下ロール12との間を搬送される。丸鋳片100の中心軸高さ102が水平になるように支持ロール101等の高さは調整されている。圧下を行う際は、図3の状態にあるロール圧下装置10から油圧シリンダ15を作動させて図2の状態にする。具体的には以下の通りである。
【0027】
図3(a)、(b)のロール圧下装置10は、油圧シリンダ15のロッド17が引き出されている状態である。ロッド側に油圧をかけることでロッド17が引き込まれ、ロッドヘッド16と本体部18との距離が縮む向きに力が生じる。これにより上アーム13は下向きに、下アーム14は上向きに回転移動する。この上アーム13と下アーム14の動きにより、上ロール11と下ロール12とが近接し、丸鋳片100を圧下する(図2(a)、(b)参照)。
【0028】
上アーム13はストッパー30と接触することにより略水平位置で移動が止まる。下アーム14は上側スペーサー26と下側スペーサー27とが接触することにより略水平位置で移動が止まる。すなわち、ストッパー30及び上側スペーサー26と下側スペーサー27とにより圧下量並びに圧下の際の上ロール11及び下ロール12の位置が定まる。圧下の際の上ロール11及び下ロール12の位置は、丸鋳片100の中心軸高さ102に対して対称となるようにストッパー30、上側スペーサー26及び下側スペーサー27の高さ等が調整されている。また、バネ29により下アーム14が上昇しやすくなっている。
【0029】
ロール圧下装置10によれば、このように上ロール11及び下ロール12の共通の油圧シリンダ15を作動させることで、上ロール11が下方向に、下ロール12が上方向に動いて間隔を縮めている。このため、丸鋳片100の中心軸高さ102がずれず、丸鋳片100を曲げることなく圧下することができる。また、油圧シリンダ15の本体部18が上ロール11よりも上方に配置され、劣悪環境である下ロール12よりも下方に配置されていないため、動作不良の発生を抑え、メンテナンス回数も削減することができる。なお、下ロールの下方に油圧シリンダを配置した従来のロール圧下装置においては、月に1回程度のメンテナンスが必要であるが、ロール圧下装置10においては年に1回程度に大幅にメンテナンス頻度が削減される。また、ロール圧下装置10は、下部に油圧シリンダを配置する必要が無いため、既存装置から改良するときに基礎の改造が不要となる。すなわち、既存装置から比較的容易に改造することができ、改造工事も短期間で行うことができる。
【0030】
(第2の実施の形態)
図4図5に示すように、本発明の第2の実施の形態に係るロール圧下装置40は、上ロール41、下ロール42及び油圧シリンダ43を備える。これらの構造は、第1の実施の形態に係るロール圧下装置10の上ロール11、下ロール12及び油圧シリンダ15をそれぞれ参考にすることができる。
【0031】
ロール圧下装置40は、本体部側部材としての軸受箱44及び平板材45を備えている。上ロール41(ロールA)は軸受箱44を介して平板材45の下面に回転可能に固定されている。油圧シリンダ43の本体部46は、ロッド47が下へ伸びる向きに、平板材45の上面に固定されている。平板材45にはロッド47が通る孔(図示しない)が設けられている。
【0032】
ロール圧下装置40は、ロッドヘッド側部材としての軸受箱48を備えている。下ロール42(ロールB)は軸受箱48に回転可能に固定されている。油圧シリンダ43のロッドヘッド49も軸受箱48に固定されている。
【0033】
軸受箱44の下方には上側スペーサー51が、軸受箱48の上方には下側スペーサー52がそれぞれ設けられている。下側スペーサー52は厚さ(高さ)調整可能に構成されている。
【0034】
ロール圧下装置40は、側面視略U字形状のフレーム50を備える。フレーム50は、上ロール41及び下ロール42の上下方向の移動をガイドする。フレーム50の内側に上ロール41の軸受箱44及び下ロール42の軸受箱48がそれぞれ上下移動可能に配置されている。フレーム50の内側面には軸受箱44(上ロール41)の下方向移動位置を制御するストッパー53が設けられている。ストッパー53は高さ調整可能に構成されている。フレーム50の底板上面には下ロール42及び間接的には上ロール41に対して上向きの力を加えるバネ54が配置されている。
【0035】
次いで、ロール圧下装置40の使用方法について説明する。図5(a)、(b)のロール圧下装置40は、油圧シリンダ43のロッド47が引き出されている状態である。油圧をかけることでロッド47が引き込まれ、ロッドヘッド49と本体部46との距離が縮む向きに力が生じる。これにより軸受箱44及び上ロール41は下向きに、軸受箱48及び下ロール42は上向きに移動し、上ロール41と下ロール42とにより丸鋳片100を圧下する(図4(a)、(b)参照)。ロール圧下装置10と同様に、上側スペーサー51及び下側スペーサー52並びにストッパー53により、上ロール41と下ロール42とは、丸鋳片100の中心軸高さ102に対して対称な位置に移動して圧下する。また、バネ54により下ロール42側が上方向に容易に移動できるようになっている。
【0036】
(第3の実施の形態)
図6図7に示すように、本発明の第3の実施の形態に係るロール圧下装置60は、上ロール61、下ロール62、油圧シリンダ63、及び側面視略U字状のフレーム64を備える。これらの構造は、第2の実施の形態に係るロール圧下装置40に備わるものを参考にすることができる。但し、油圧シリンダ63が単動型の場合、押し型の油圧シリンダが用いられる。
【0037】
ロール圧下装置60は、本体部側部材としての逆U字状フレーム65及び軸受箱66を備える。逆U字状フレーム65は平板部分69とこの平板部分69の下面両端から下方に延びる縦板部分70とから構成されている。油圧シリンダ63の本体部67は、ロッド68が下へ伸びる向きに、平板部分69の上面に固定されている。平板部分69にはロッド68が通る孔(図示しない)が設けられている。軸受箱66は縦板部分70の下端と連結しており、下ロール62(ロールA)を回転可能に固定(支持)している。すなわち、逆U字状フレーム65及び軸受箱66(本体部側部材)は、下ロール62(ロールA)と本体部67とを固定している。
【0038】
ロール圧下装置60は、ロッドヘッド側部材としての軸受箱71を備えている。上ロール61(ロールB)は軸受箱71に回転可能に固定されている。油圧シリンダ63のロッドヘッド72も軸受箱71に固定されている。
【0039】
軸受箱71の下方には上側スペーサー73が、軸受箱66の上方には下側スペーサー74がそれぞれ設けられている。下側スペーサー74は厚さ(高さ)調整可能に構成されている。フレーム64の内側面には軸受箱71(上ロール61)の下方移動位置を制御するストッパー75が設けられている。ストッパー75は高さ調整可能に構成されている。フレーム64の底板上面には下ロール62及び間接的には上ロール61に対して上向きの力を与えるバネ76が配置されている。
【0040】
次いで、ロール圧下装置60の使用方法について説明する。図7(a)、(b)のロール圧下装置60は、油圧シリンダ63のロッド68が縮んでいる(ロッド68が本体部67内に引き込まれている)状態である。ヘッド側に油圧をかけることでロッド68が押し出され、ロッドヘッド72と軸受箱66との距離が縮む向きに力が生じる。これにより、上ロール61は下向きに移動し、下ロール62は持ち上げられ(上向きに移動し)、上ロール61と下ロール62とにより丸鋳片100を圧下する(図6(a)、(b)参照)。上側スペーサー73及び下側スペーサー74並びにストッパー75により、上ロール61と下ロール62とは、中心軸高さ102に対して対称な位置に移動して圧下することができる。また、バネ76により下ロール62側が上方向に容易に移動できるようになっている。
【0041】
(第4の実施の形態)
図8(a)、(b)、図9(a)、(b)に示すように、本発明の第4の実施の形態に係るロール圧下装置80は、上ロール11、下ロール12、上アーム81、下アーム14、油圧シリンダ15及びフレーム20を備えている。ロール圧下装置80は、上アーム81(本体部側部材の一例)以外は、第1の実施の形態に係るロール圧下装置10と同様であるので、同一番号を付して説明を省略する。
【0042】
上アーム81は、支点82(支点A)を基準に上ロール11と反対側にも伸びている点が、ロール圧下装置10の上アーム13と異なる。上アーム81において支点82を基準に上ロール11と反対側にも伸びている部分に、重量調整手段としてのカウンターウェイト83が配置されている。このカウンターウェイト83により上ロール11及び間接的に下ロール12に対して上向きの力が加わる。これにより、油圧シリンダ15を作動させたときに、下アーム14(下ロール12)が持ち上がりやすくなっている。カウンターウェイト83は、重量調整可能に複数パーツに分離される構造となっている。ロール圧下装置80の使用方法は、第1の実施の形態に係るロール圧下装置10と同様である。
【0043】
(その他の実施の形態)
本発明は前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲でその構成を変更することができ、各実施の形態を組み合わせた構成とすることもできる。例えば、第1の実施の形態と第3の実施の形態とを組み合わせた構造とすることもできる。具体的には、上ロールが固定された上アームと下ロールが固定された下アームとを備える構造において、上アーム(上ロール)に対してロッドヘッドを固定し、下アーム(下ロール)に対してアクチュエータの本体部を固定した構造とすることもできる。この場合においても、アクチュエータの本体部は上アーム(上ロール)の上方に配置することとなるが、本体部は上アームに対しては固定されない。また、下アームと一体的な本体部の安定した上下動を可能とするためのガイドを設けることなどができる。
【0044】
アクチュエータとしては、往復運動を出力するものであればよく、油圧シリンダ以外の他の流体圧シリンダや、電動シリンダ等を用いることができる。また、スペーサーは、圧下の際の両ロール間距離(圧下量)が制御できれば、上側又は下側の一方のアームにのみに設けられていてもよい。スペーサーは、アーム(本体部側部材及びロッドヘッド側部材)の他、フレーム等に取り付けられていてもよい。
【0045】
さらには、本発明のロール圧下装置においては、ストッパーやスペーサーが備えられていなくてもよい。連続鋳造設備における丸鋳片に対する圧下力(例えば200t程度)は、上下ロールや油圧シリンダの合計重量(例えば10t程度)に比して非常に大きい。従って、ストッパーやスペーサーが無くとも、油圧シリンダを作動させると、まず上ロール側が下方に移動するものの、上ロールが丸鋳片に接するとその後は下ロールが持ち上がる。これにより、丸鋳片の曲がりを抑えて圧下を行うことができる。但し、ストッパーやスペーサーを備えたロール圧下装置を用いることで、圧下の際の丸鋳片の曲がりをより0に近づけることが可能となる。
【符号の説明】
【0046】
10:ロール圧下装置、11:上ロール、12:下ロール、13:上アーム、14:下アーム、15:油圧シリンダ、16:ロッドヘッド、17:ロッド、18:本体部、19:支点、20:フレーム、21:軸受箱、22:支点、23:軸受箱、24:ピストン、25:シリンダチューブ、26:上側スペーサー、27:下側スペーサー、28:基台、29:バネ、30:ストッパー、40:ロール圧下装置、41:上ロール、42:下ロール、43:油圧シリンダ、44:軸受箱、45:平板材、46:本体部、47:ロッド、48:軸受箱、49:ロッドヘッド、50:フレーム、51:上側スペーサー、52:下側スペーサー、53:ストッパー、54:バネ、60:ロール圧下装置、61:上ロール、62:下ロール、63:油圧シリンダ、64:フレーム、65:逆U字状フレーム、66:軸受箱、67:本体部、68:ロッド、69:平板部分、70:縦板部分、71:軸受箱、72:ロッドヘッド、73:上側スペーサー、74:下側スペーサー、75:ストッパー、76:バネ、80:ロール圧下装置、81:上アーム、82:支点、83:カウンターウェイト、100:丸鋳片、101:支持ロール、102:中心軸高さ
【要約】
【課題】動作不良の発生を抑え、メンテナンス回数も削減することができる丸鋳片用のロール圧下装置を提供する。
【解決手段】上ロール11と、下ロール12と、ロッドヘッド16を有するロッド17及びロッド17を往復運動させる本体部18を有するアクチュエータ15とを備える丸鋳片用のロール圧下装置10において、上ロール11及び下ロール12がそれぞれ上下方向に移動可能に配置され、上ロール11及び下ロールのうちの一方のロールA(上ロール11)に対して本体部18が固定され、他方のロールB(下ロール12)に対してロッドヘッド16が固定され、本体部18が上ロール11より上方に配置されている。
【選択図】図1
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