(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の範囲は以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0014】
(第1実施形態)
<水晶デバイス100の構成>
図1は、水晶デバイス100の概略分解斜視図である。水晶デバイス100は、表面実装型の水晶デバイスであり、プリント基板等に実装されて使用される。水晶デバイス100は主に、水晶フレーム110と、リッド部120と、ベース部130とにより構成されている。水晶フレーム110にはATカットの水晶材が用いられる。ATカットの水晶材は、主面(YZ面)が結晶軸(XYZ)のY軸に対して、X軸を中心としてZ軸からY軸方向に35度15分傾斜されている。以下の説明では、ATカットの水晶材の軸方向を基準とし、傾斜された新たな軸をY’軸及びZ’軸として用いる。すなわち、水晶デバイス100においては水晶デバイス100の長辺方向をX軸方向、水晶デバイス100の高さ方向をY’軸方向、X及びY’軸方向に垂直な方向をZ’軸方向として説明する。
【0015】
水晶フレーム110は、電圧の印加により振動する水晶振動部111と、水晶振動部111を囲むように形成される枠部112と、水晶振動部111と枠部112とを連結する一対の連結部117とを備えている。また、水晶振動部111と枠部112との間には水晶フレーム110をY’軸方向に貫通する貫通部113が形成されている。以下、枠部112の−X軸側の辺を第1辺112a、+X軸側の辺を第2辺112b、+Z’軸側の辺を第3辺112c、−Z’軸側の辺を第4辺112dとして説明する。なお、水晶振動部111は一対の連結部117を介して枠部112の第1辺112aに連結されている。水晶振動部111の+Y’軸側の面と−Y’軸側の面とには一対の励振電極114が形成されている。また、水晶フレーム110は−Y’軸側の励振電極114に接続され一方の連結部117を通り枠部112の第1辺112aの−Z’軸側の隅まで形成された第1引出電極115aを有している。さらに水晶フレーム110は、+Y’軸側の励振電極114に接続され他方の連結部117を通り貫通部113を介して水晶フレーム110の+Y’軸側の面から−Y’軸側の面に引き出された第2引出電極115bを有している。また、第2引出電極115bは水晶フレーム110の−Y’軸側の面において枠部112の第1辺112a及び第3辺112cを通り第2辺112bの+Z’軸側の隅まで形成される。
【0016】
リッド部120は、+Y’軸側の面及び−Y’軸側の面が凹凸のない平板状に形成されており、水晶フレーム110の+Y’軸側に配置される。リッド部120の−Y’軸側の面には、水晶フレーム110の枠部112と接合される接合面121が形成されている。
【0017】
ベース部130は水晶フレーム110の−Y’軸側に配置される。ベース部130の+Y’軸側の面には凹部131及び接合面132が形成されている。またベース部130の+Y’軸側の面の四隅には電極パッド135が形成されている。ベース部130の−Y’軸側の面の+X軸側及び−X軸側には一対の外部電極133が形成されている。また、ベース部130の四隅にはキャスタレーション134が形成されており、キャスタレーション134にはキャスタレーション電極136が形成されている。各キャスタレーション電極136は、+Y’軸側の面に形成されている電極パッド135と−Y’軸側の面に形成されている外部電極133とをそれぞれ電気的に接続している。
【0018】
図2は、
図1のA−A断面図である。水晶デバイス100は、水晶フレーム110の+Y’軸側にリッド部120が配置され、−Y’軸側にベース部130が配置される。リッド部120の接合面121及びベース部130の接合面132は、水晶フレーム110の枠部112と封止材140を介して接合される。また、水晶フレーム110に形成されている第1引出電極115a及び第2引出電極115bは、ベース部130の+Y’軸側の面に形成されている電極パッド135と接続される。そのため水晶フレーム110に形成されている励振電極114は、第1引出電極115a又は第2引出電極115b、電極パッド135及びキャスタレーション電極136を介してベース部130に形成されている外部電極133と電気的に接続される。
【0019】
図2に示されたように、水晶フレーム110において水晶振動部111の+Y’軸側の面が枠部112の+Y’軸側の面よりも−Y’軸側に凹んで形成されているので、枠部112は水晶振動部111よりY’軸方向に厚く形成されている。また水晶振動部111は、中心が外周よりY’軸方向に厚いメサ型形状に形成されている。励振電極114は、この水晶振動部111の厚さが厚くなっているメサ部116に形成されている。
【0020】
図3(a)は、水晶フレーム110の平面図である。水晶フレーム110は水晶振動部111と、枠部112と、水晶振動部111と枠部112の第1辺112aとを連結する連結部117とを備えている。また、水晶振動部111と枠部112との間には貫通部113が形成されている。水晶振動部111はメサ型に形成されており、外周より厚く形成されたメサ部116の+Y’軸側の面と−Y’軸側の面とにはそれぞれ励振電極114が形成されている。また、各励振電極114には第1引出電極115aと第2引出電極115bとが接続されている。枠部112の水晶振動部111側には水晶振動部111に向かって突き出した凸部118が形成されている。枠部112の第3辺112cに形成された第2引出電極115bは凸部118の一部にも形成されている。また、第2引出電極115bは、点線191で囲まれた貫通部113の−X軸側端部を介して+Y’軸側の面から−Y’軸側の面に引き出される。点線191で囲まれた部分に示されたように、第1辺112aと第2辺112bとが交わって形成された第1角部113a、及び連結部117と第1辺112aとが交わって形成された第2角部113bは直角以下の角度で形成され、特に凸部が大きく突き出して形成される。そのため、第1角部113a及び第2角部113Bでは貫通部113の側面に電極となる金属膜を形成し易く、電極を+Y’軸側の面から−Y’軸側の面に引き出す場合には貫通部113の角部を介することが好ましい。
【0021】
図3(b)は、
図3(a)のB−B断面図である。枠部112の+Y’軸側の面を第1平面119a、−Y’軸側の面を第2平面119bとする。また第2平面119bに接続される凸部118の斜面を第2斜面118bとする。第2引出電極115bは、第2平面119bに形成され、また第2斜面118bの一部に形成されている。
【0022】
図3(c)は、
図3(a)のC−C断面図である。第2引出電極115bは、貫通部113の第1角部113a及び第2角部113bを介して+Y’軸側の面から−Y’軸側の面に引き出される。これは、貫通部113の第1角部113a及び第2角部113bにおいて凸部118が大きく突き出して形成されており、貫通部113の側面に電極となる金属膜を形成し易いためである。
【0023】
<水晶デバイス100の製造方法>
図4は、水晶デバイス100の製造方法が示されたフローチャートである。
まずステップS101で、水晶ウエハW110が用意される。水晶ウエハW110は、ATカットされた水晶材により形成されており、水晶ウエハW110には複数の水晶フレーム110が形成されている。
図5を参照して水晶ウエハW110について説明し、さらに
図6から
図8を参照して水晶ウエハW110の製造方法について説明する。
【0024】
図5は、水晶ウエハW110の平面図である。水晶ウエハW110には複数の水晶フレーム110が形成されている。
図5では、隣接する水晶フレーム110の境界線が二点鎖線で示されている。この二点鎖線は、後述される
図4のステップS105でウエハが切断される線であるスクライブライン170である。各水晶フレーム110には水晶振動部111、枠部112、貫通部113及び連結部117が形成されている。また水晶振動部111の+Y’軸側の面と−Y’軸側の面とには励振電極114が形成されており、各励振電極114はそれぞれ第1引出電極115a又は第2引出電極115bに接続されている。
【0025】
図6から
図8は、水晶ウエハW110の製造方法を示すフローチャートである。
図6から
図8を参照して水晶ウエハW110の製造方法、特に水晶振動部111及び貫通部113の形成方法について説明する。
図6から
図8では、フローチャートの右横に各ステップを説明するための図面が示されている。また、
図6から
図8は
図5のF−F断面に相当する位置の断面図である。
【0026】
まず
図6のステップS201で、ATカットされた水晶ウエハW110が用意される。
図6(a)は、ステップS201で用意されたATカットされた水晶ウエハW110の断面図である。水晶ウエハW110は+Y’軸側の面及び−Y’軸側の面に主面を有しており、両主面は凹凸のない平面に形成されている。
【0027】
ステップS202で、水晶ウエハW110の両面に金属膜180及びレジスト膜181が順に形成される。
図6(b)は、金属膜180及びレジスト膜181が形成された水晶ウエハW110の断面図である。金属膜180は、水晶ウエハW110の+Y’軸側の面と−Y’軸側の面とにクロム(Cr)層(不図示)が形成され、クロム層の表面に金(Au)層(不図示)が形成される。また、金属膜180の表面にはレジスト膜181が形成される。レジスト膜181は、例えば露光されると現像液に対する溶解性が高くなるポジ型のレジスト膜が用いられる。
【0028】
ステップS203で、レジスト膜181の露光及び現像が行われ、金属膜180の除去が行われる。ステップS203では、枠部112以外(
図3(a)の水晶振動部111及び貫通部113に対応)の+Y’軸側の面に形成されている金属膜180及びレジスト膜181が除去される。
図6(c)は、レジスト膜181の露光及び現像が行われ、金属膜180が除去された水晶ウエハW110の断面図である。ステップS203では、まず第1マスク161が水晶ウエハW110の+Y’軸側の面に配置される。第1マスク161は、枠部112が形成される位置の+Y’軸側に重なるように形成されている。第1マスク161を配置した後に水晶ウエハW110の+Y’軸側の面に紫外線を含む光190を照射してレジスト膜181を露光する。さらに、レジスト膜181を現像液(不図示)に浸して現像し、露出された金属膜180をエッチングして除去する。
【0029】
ステップS204で、水晶振動部111(
図3(a)参照)の厚さを薄くするために水晶ウエハW110がウエットエッチングされる。
図6(d)は、一部が薄くエッチングされた水晶ウエハW110の断面図である。ステップS204では、水晶ウエハW110の枠部112以外の+Y’軸側の面がウエットエッチングされて枠部112よりも薄く形成される。水晶材は結晶軸のX軸、Y軸及びZ軸でエッチングの速度が異なる。そのためATカットされた水晶材に於いてもX軸、Y’軸及びZ’軸でエッチングの速度が異なり、水晶ウエハW110は異方的にエッチングされる。
図6(d)の点線で囲まれた領域171a及び171bに示されるように、水晶ウエハW110は主面に対して斜めにエッチングされる。
【0030】
次に、
図7のステップS205では、水晶ウエハW110の両面に金属膜180及びレジスト膜181が順に形成される。ステップS205では、ステップS204の後に残っている金属膜180及びレジスト膜181を除去し、新たに水晶振動部111のメサ部116(
図2参照)を形成するための金属膜180及びレジスト膜181が形成される。
図7(a)は、ステップS205で金属膜180及びレジスト膜181が形成された水晶ウエハW110の断面図である。金属膜180及びレジスト膜181は、水晶ウエハW110の+Y’軸側の面及び−Y’軸側の面の全てに形成される。
【0031】
ステップS206では、レジスト膜181の露光及び現像が行われ、金属膜180の除去が行われる。ステップS206では、枠部112及び水晶振動部111のメサ部116(
図2参照)が形成される領域以外の金属膜180及びレジスト膜181が除去される。
図7(b)は、ステップS206でレジスト膜181の露光及び現像が行われ金属膜180が除去された水晶ウエハW110の断面図である。
図7(b)では、水晶振動部111の外周及び貫通部113(
図3(a)参照)の+Y’軸側及び−Y’軸側の面に形成されている金属膜180及びレジスト膜181が除去されている。ステップS206では、まず第2マスク162が水晶ウエハW110の+Y’軸側及び−Y’軸側の面に配置される。第2マスク162は、枠部112及びメサ部116(
図2参照)が形成される位置に重なるように形成されている。第2マスク162を配置した後に水晶ウエハW110の+Y’軸側及び−Y’軸側の面に紫外線を含む光190を照射してレジスト膜181を露光する。さらに、レジスト膜181を現像液(不図示)に浸して現像し、露出された金属膜180をエッチングして除去する。
【0032】
ステップS207では、水晶振動部111がメサ型に形成される。ステップS207では、水晶ウエハW110の水晶振動部111の外周の厚さが薄くなるようにウエットエッチングされる。
図7(c)は、ステップS207で水晶振動部111の外周の厚さが薄くされた水晶ウエハW110の断面図である。ステップS207では、水晶ウエハW110の貫通部113(
図3(a)参照)及び水晶振動部111の外周の+Y’軸側及び−Y’軸側の面がウエットエッチングされて水晶振動部111にメサ部116が形成される。
【0033】
ステップS208では、水晶ウエハW110の両面に金属膜180及びレジスト膜181が順に形成される。ステップS208では、ステップS207の後に残っている金属膜180及びレジスト膜181を除去し、新たに貫通部113(
図3(a)参照)を形成するための金属膜180及びレジスト膜181が形成される。
図7(d)は、ステップS208で金属膜180及びレジスト膜181が形成された水晶ウエハW110の断面図である。金属膜180及びレジスト膜181は、水晶ウエハW110の+Y’軸側の面及び−Y’軸側の面の全てに形成される。
【0034】
次に、
図8のステップS209では、レジスト膜181の露光及び現像が行われ、金属膜180の除去が行われる。ステップS209では、貫通部113(
図3(a)参照)の+Y’軸側及び−Y’軸側の金属膜180及びレジスト膜181が除去される。
図8(a)は、ステップS209でレジスト膜181の露光及び現像が行われ、金属膜180が除去された水晶ウエハW110の断面図である。
図8(a)では、貫通部113(
図3(a)参照)の+Y’軸側及び−Y’軸側の面に形成されている金属膜180及びレジスト膜181が除去されている。ステップS209では、まず第3マスク163が水晶ウエハW110の+Y’軸側及び−Y’軸側の面に配置される。第3マスク163は、貫通部113(
図3(a)参照)以外の領域を覆うマスクである。第3マスク163を配置した後に水晶ウエハW110の+Y’軸側及び−Y’軸側の面に紫外線を含む光190を照射してレジスト膜181を露光する。さらに、レジスト膜181を現像液(不図示)に浸して現像し、露出された金属膜180をエッチングして除去する。
【0035】
ステップS210では、水晶ウエハW110がウエットエッチングされることにより貫通部113が形成される。
図8(b)は、ステップS210で貫通部113が形成された水晶ウエハW110の断面図である。水晶ウエハW110はATカットの水晶材の異方性により主面に対して斜めにエッチングされるため、貫通部113の側面には凸部118が形成される。
【0036】
ステップS211では、水晶ウエハW110に励振電極114、第1引出電極115a(
図3(a)参照)及び第2引出電極115bが形成される。ステップS211では、まずステップS210の後に残っている金属膜180及びレジスト膜181が除去される。そして、第4マスク164a及び第4マスク164bを介して、励振電極114、第1引出電極115a(
図3(a)参照)及び第2引出電極115bが形成される。
図8(c)は、ステップS211により励振電極114、第1引出電極115a(
図3(a)参照)及び第2引出電極115bが形成された水晶ウエハW110の断面図である。第4マスク164aは、水晶フレーム110の+Y’軸側の面に形成される電極の形状に開口を有し、水晶ウエハW110の+Y’軸側の面に配置されることにより用いられる。第4マスク164bは、水晶フレーム110の−Y’軸側の面に形成される電極の形状に開口を有し、水晶ウエハW110の−Y’軸側の面に配置されることにより用いられる。励振電極114、第1引出電極115a(
図3(a)参照)及び第2引出電極115bは、ステップS202で説明された金属膜180と同様にクロム層及び金層が第4マスク164a及び第4マスク164bを介して水晶ウエハW110に形成される。
【0037】
図4に戻って、ステップS102では、リッドウエハW120が用意される。リッドウエハW120には、複数のリッド部120が形成されている。リッドウエハW120は、水晶材又はガラス材等により形成される。
図9を参照してリッドウエハW120について説明する。
【0038】
図9は、リッドウエハW120の平面図である。リッドウエハW120には複数のリッド部120が形成されている。
図9では、隣接するリッド部120の境界にスクライブライン170である二点鎖線が示されている。各リッド部120は、−Y’軸側の面に形成されている接合面121において水晶フレーム110の枠部112と接合される。
【0039】
ステップS103では、ベースウエハW130が用意される。ベースウエハW130には、複数のベース部130が形成されている。ベースウエハW130は、例えば水晶材又はガラス等により形成される。
図10を参照してベースウエハW130について説明する。
【0040】
図10は、ベースウエハW130の平面図である。ベースウエハW130には複数のベース部130が形成されている。
図10では、隣接するベース部130の境界にスクライブライン170である二点鎖線が示されている。各ベース部130の−Y’軸側の面には外部電極133が形成されており、+Y’軸側の面には電極パッド135が形成されている。また、X軸方向に伸びるスクライブライン170とZ’軸方向に伸びるスクライブライン170が交差する場所にはベースウエハW130をY’軸方向に貫通する貫通孔134aが形成されている。貫通孔134aは後述するステップS105でウエハが切断されてキャスタレーション134(
図1参照)となる。貫通孔134aの内壁にはキャスタレーション電極136(
図1参照)が形成され、外部電極133と電極パッド135とが電気的に接続される。また各ベース部130の+Y’軸側の面には凹部131が形成されており、凹部131を囲むように接合面132が形成されている。
【0041】
ステップS104では、水晶ウエハW110、リッドウエハW120及びベースウエハW130が互いに接合される。各ウエハの接合では水晶ウエハW110の枠部112とリッドウエハW120の接合面121及びベースウエハW130の接合面132とがY’軸方向に重なるように位置合わせされる。その後、接合材140(
図2参照)を介して各ウエハ同士が接合される。
【0042】
ステップS105では、水晶ウエハW110、リッドウエハW120及びベースウエハW130が切断される。切断は、
図5、
図9及び
図10に示されたスクライブライン170に沿って行われる。これにより、水晶デバイス100が
図1に示されたように単体となる。
【0043】
水晶デバイス100では、枠部112に凸部118が形成されることにより、第2引出電極115bが意図しない場所に形成されることを防ぐことができる。例えば
図8(c)において、第4マスク164bが−Z’軸方向に僅かにずれた場合でも、凸部118が形成されていることにより第2引出電極115bは、枠部112の第3辺112cの側面の全面に形成されることが防がれている。また、凸部118はATカットの水晶材のエッチングの異方性を利用して形成されているため、凸部118を形成するための特別な工程を用意することなく形成することができる。また、第2引出電極115bが枠部112の第3辺112cの第2平面119bに形成されているので、電気抵抗値を低くすることができる。
【0044】
(第2実施形態)
水晶デバイス100では、第2引出電極115bが枠部112の第3辺112cの第2平面119bを介して第1辺112aから第2辺112bに引き出されていたが、第1平面119aを介して第1辺112aから第2辺112bに引き出されてもよい。以下、第2引出電極が第1平面119aを介して第1辺112aから第2辺112bに引き出されている水晶デバイス200について説明する。また以下の説明では水晶デバイス100とその構成が同じ部分には同じ番号を付してその説明を省略する。
【0045】
<水晶デバイス200の構成>
図11は、水晶デバイス200の概略分解斜視図である。水晶デバイス200は、表面実装型の水晶デバイスであり、プリント基板等に実装されて使用される。水晶デバイス200は主に、水晶フレーム210と、リッド部120と、ベース部130とにより構成されている。
【0046】
水晶フレーム210は、水晶振動部111と、枠部112と、連結部117とを備え、水晶フレーム210をY’軸方向に貫通する貫通部113が形成されている。さらに、水晶振動部111には一対の励振電極114が形成されている。また一対の励振電極114は、一対の連結部117を通り枠部112の角まで形成される第1引出電極215a及び第2引出電極215bを有している。第1引出電極215aは、−Y’軸側の励振電極114から一方の連結部117を通り枠部112の第1辺112aの−Y’軸側の面の+Z’軸側の隅まで形成されている。また、第2引出電極215bは、+Y’軸側の励振電極114から他方の連結部117及び枠部112の第4辺112dを通り、第2辺112bと第4辺112dとが交差した貫通部113の第3角部113cで+Y’軸側の面から−Y’軸側の面に引き出され、枠部112の第2辺112bの−Y’軸側の面の−Z’軸側の隅まで形成されている。
【0047】
水晶デバイス200は、水晶フレーム210がリッド部120及びベース部130に挟まれて接合されることにより形成されている。また、水晶フレーム210とリッド部120とが互いに接合されることによりベース部130の外部電極133と第1引出電極215a及び第2引出電極215bとが接続され、外部電極133と励振電極114とが電気的に接続される。
【0048】
図12(a)は、水晶フレーム210の平面図である。水晶フレーム210は水晶振動部111と、枠部112と、連結部117とを備え、水晶振動部111と枠部112との間に貫通部113が形成されている。水晶振動部111のメサ部116の+Y’軸側の面と−Y’軸側の面とにはそれぞれ励振電極114が形成されている。水晶振動部111の−Y’軸側の面に形成されている励振電極114(不図示)から引き出されている第1引出電極215aは、−Y’軸側の面に形成されている励振電極114から一方の連結部117を介して枠部112の第1辺112aに引き出され、第1辺112aの+Z’軸側の隅まで形成されている。また、水晶振動部111の+Y’軸側の面に形成されている励振電極114から引き出されている第2引出電極215bは、+Y’軸側の面に形成されている励振電極114から他方の連結部117を介して枠部112の第1辺112aに引き出され、第4辺112dを通り、第2辺112bと第4辺112dとが交わる貫通部113の第3角部113c(点線192)で+Y’軸側から−Y’軸側に引き出され、第4辺112dの+X軸側の隅まで形成されている。
【0049】
図12(b)は、
図12(a)のD−D断面図である。枠部112の+Y’軸側の面である第1平面119aと、第1平面119aに接続され凸部118の斜面である第1斜面118aの一部とには、第2引出電極215bが形成されている。
【0050】
図12(c)は、
図12(a)のE−E断面図である。第2引出電極215bは、第2辺112bと第4辺112dとが交わる貫通部113の角部で+Y’軸側から−Y’軸側に引き出される。またこの角部では、凸部118が大きく突き出して形成され、枠部112の側面に金属膜を形成し易くなっている。また、第2引出電極215bが枠部112の第4辺112dの第1平面119aに形成されているので、電気抵抗値を低くすることができる。
【0051】
(第3実施形態)
水晶フレームの一対の連結部は、枠部112の第1辺112aと第3辺112cとが交わる貫通部113の角部、及び第1辺112aと第4辺112dとが交わる貫通部113の角部に形成されていてもよい。また、枠部112の第3辺112cと第4辺112dとに接続されて形成されていてもよい。以下に、枠部112の第1辺112aと第3辺112cとが交わる貫通部113の角部、及び第1辺112aと第4辺112dとが交わる貫通部113の角部に連結部が形成されている水晶フレーム310と、枠部112の第3辺112cと第4辺112dとに連結部が形成されている水晶フレーム410とについて説明する。また以下の説明では水晶フレーム110とその構成が同じ部分には同じ番号を付してその説明を省略する。
【0052】
<水晶フレーム310の構成>
図13(a)は、水晶フレーム310の平面図である。水晶フレーム310は水晶振動部111と、枠部112と、水晶振動部111と枠部112とを連結する一対の連結部317とを備え、水晶振動部111と枠部112との間には貫通部313が形成されている。一対の連結部317の一方は、枠部112の第1辺112a及び第4辺112dが交わる貫通部313の角部と水晶振動部111の−X軸方向の−Z’軸側の端部とを連結している。一対の連結部317の他方は、枠部112の第1辺112a及び第3辺112cが交わる貫通部313の角部と水晶振動部111の−X軸方向の+Z’軸側の端部とを連結している。水晶振動部111のメサ部116の+Y’軸側の面と−Y’軸側の面とにはそれぞれ励振電極114が形成されている。水晶振動部111の−Y’軸側の面に形成されている励振電極114(不図示)から引き出されている第1引出電極315aは、−Y’軸側の面に形成されている励振電極114から一方の連結部317を介して枠部112の第1辺112aの−Z’軸側の隅まで形成されている。また、水晶振動部111の+Y’軸側の面に形成されている励振電極114から引き出されている第2引出電極315bは、+Y’軸側の面に形成されている励振電極114から他方の連結部317と第3辺112cとが交わる貫通部313の角部(点線193)で+Y’軸側の面から−Y’軸側の面に引き出され、枠部112の第3辺112cを通り第2辺112bの+Z’軸側の隅まで形成されている。
【0053】
水晶フレーム310は、連結部317と枠部112の第3辺112c又は第4辺112dとが直角以下の角度で接続されており、連結部317と枠部112との間に形成される凸部118は、枠部112の各辺に形成された凸部118よりも大きく突き出して形成される。そのため、連結部317と枠部112との間に形成される凸部118では枠部の側面に電極を形成し易くなっている。また、第2引出電極315bが枠部112の第3辺112cの第2平面119bに形成されているので、電気抵抗値を低くすることができる。
【0054】
<水晶フレーム410の構成>
図13(b)は、水晶フレーム410の平面図である。水晶フレーム410は水晶振動部111と、枠部112と、水晶振動部111と枠部112とを連結する一対の連結部417とを備え、水晶振動部111と枠部112との間には貫通部413が形成されている。一対の連結部417は、水晶振動部111と枠部112の第3辺112cとを連結し、水晶振動部111と枠部112の第4辺112dとを連結している。水晶振動部111のメサ部116の+Y’軸側の面と−Y’軸側の面とにはそれぞれ励振電極114が形成されている。水晶振動部111の−Y’軸側の面に形成されている励振電極114(不図示)から引き出されている第1引出電極415aは、−Y’軸側の面に形成されている励振電極114から一方の連結部417を介して枠部112の第3辺112cに引き出され、第1辺112aの+Z’軸側の隅まで形成されている。また、水晶振動部111の+Y’軸側の面に形成されている励振電極114から引き出されている第2引出電極415bは、+Y’軸側の面に形成されている励振電極114から他方の連結部417を介して枠部112の第4辺112dに引き出され、第2辺112bと第4辺112dとが交わる貫通部413の角部(点線194)で+Y’軸側の面から−Y’軸側の面に引き出され、第2辺112bの−Z’軸側の隅まで形成されている。
【0055】
水晶フレーム410は、連結部417と枠部112の第3辺112c又は第4辺112dとが直角で接続されており、連結部417と枠部112との間に形成される凸部118は、枠部112の各辺に形成された凸部118よりも大きく突き出して形成される。そのため、連結部417と枠部112との間に形成される凸部118では枠部の側面に電極を形成し易くなっている。また、第2引出電極415bが枠部112の第4辺112dの第1平面119aに形成されているので、電気抵抗値を低くすることができる。
【0056】
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
【0057】
例えば、上記の実施例における水晶振動片の製造方法では、ポジ型のレジスト膜を形成して水晶振動部及び貫通部が形成されたが、ネガ型のレジスト膜が使用されてもよい。ネガ型のレジスト膜は露光されると現像液に対する溶解性が低下する性質を有しているため、使用される露光用マスクは、エッチングを行いたい場所がマスクに覆われる。