(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
二次コイルに対して電磁誘導により電力を供給する一次コイルと、該一次コイルに交流電力を供給する駆動回路と、該駆動回路に供給される入力電流を検出する電流検出回路と、該電流検出回路の検出結果が供給される制御回路と、
該二次コイルと直列に接続された二次コンデンサと、該二次コイルおよび該二次コンデンサに対して並列に接続した検出用コンデンサと、
を備え、
該制御回路は、該電流検出回路が該入力電流を検出する前に該二次コイルと該二次コンデンサと該検出用コンデンサからなる共振回路の共振周波数を測定し、測定した該共振周波数に基づいて該共振周波数より低域側に設定した駆動周波数で該駆動回路を駆動するとともに、
そのときに流れる該入力電流に基づいて該一次コイルと該二次コイル間の相対位置を検出することを特徴とするワイヤレス電力伝送装置。
前記駆動回路に供給される入力電圧が変動したことによる前記入力電流の変化分を打ち消すように、前記制御回路が前記入力電流の検出結果を補正する請求項1に記載のワイヤレス電力伝送装置。
前記報知手段が十字状に配置された複数のLEDから構成され、前記一次コイルと前記二次コイル間の相対位置が近づくにつれて、外側に配置したLEDから中央に配置したLEDに向かって順番に点灯させる請求項3に記載のワイヤレス電力伝送装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて実施例を説明する。
【実施例1】
【0012】
図1に本発明の第1の実施例におけるワイヤレス電力伝送装置のブロック図を示す。送電器10は、電流検出回路11、制御回路15、入力平滑コンデンサ16、駆動回路17、一次コンデンサ18、一次コイル19を備える。電流検出回路11は、電流検出抵抗12、誤差増幅器13、アナログ/デジタル変換器14より構成されている。受電器20は、二次コイル21、二次コンデンサ22、検出用コンデンサ23、整流回路24、出力平滑コンデンサ25、インピーダンス素子26、制御回路27、負荷開閉スイッチ28、負荷29を備える。
【0013】
まず、送電器10の構成について説明する。駆動回路17には、電流検出抵抗12を介して直流電源DCから入力電圧Vinが供給される。電流検出抵抗12には、入力電流Iinが流れる。誤差増幅器13は、電流検出抵抗12の両端電圧を増幅し、増幅された電圧信号をアナログ/デジタル変換器14を介して制御回路15に供給する。駆動回路17の動作は、一例としてマイコンなどで構成される制御回路15から供給される駆動信号Sdrにより制御される。駆動回路17の入力端には、入力平滑コンデンサ16が接続されており、駆動回路17の出力端には、一次コイル19と一次コンデンサ18が直列接続されている。駆動回路17は、一次コイル19と一次コンデンサ18に交流電力を供給する。一例として、駆動回路17はフルブリッジ回路やハーフブリッジ回路などにより構成される。
【0014】
次に、受電器20の構成について説明する。二次コイル21は、電磁誘導作用により一次コイル19から電力を受電する。二次コイル21の両端には、二次コンデンサ22を介して検出用コンデンサ23が接続されている。検出用コンデンサ23に印加される電圧は、整流回路24により整流される。整流回路24の出力端には、出力平滑コンデンサ25、インピーダンス素子26および制御回路27が並列に接続されている。出力平滑コンデンサ25は、出力電圧Voutのリプルを除去するものである。インピーダンス素子26は、受電器20に設けられるLEDや電圧レギュレータなどの素子を示すものである。また、整流回路24の出力端には、負荷開閉スイッチ28を介して二次電池などの負荷29が接続されている。受電器20に設けられたインピーダンス素子26や負荷開閉スイッチ28の動作は、一例としてマイコンなどで構成される制御回路27により制御される。負荷29は、負荷開閉スイッチ28により受電器20の回路から切り離すことができる。二次コイル21が得た電力を負荷29に供給する場合は、負荷開閉スイッチ28が閉じられ、負荷29に出力電圧Voutが印加される。
【0015】
以下、一次コイル19に供給される交流電力の周波数を駆動周波数fdrとする。また、一次コイル19と一次コンデンサ18で構成される一次LC共振回路の共振周波数を一次共振周波数fpとする。また、二次コイル21と二次コンデンサ22で構成される二次LC共振回路の共振周波数を二次共振周波数fsとする。また、二次コイル21と二次コンデンサ22と検出用コンデンサ23で構成される共振回路の共振周波数を検出用二次共振周波数fdとする。
【0016】
図2は、一次コイル19と二次コイル21の位置関係を示す斜視図である。一次コイル19と二次コイル21はそれぞれ平面で薄型の構造となっており、対向するように配置されている。一次コイル19と二次コイル21の中心軸間の距離を水平距離D、一次コイル19と二次コイル21の相対向する面の間の距離をギャップGとする。
【0017】
図3は、送電器10と受電器20の断面図である。一次コイル19は送電器10のケース41、二次コイル21は受電器20のケース51にそれぞれ収納されている。一次コイル19と二次コイル21の相対向する面の反対側の面に磁性体42、52がそれぞれ設けられている。送電器10のケース41の表面に受電器20のケース51が載置されている。一次コイル19と二次コイル21の中心軸間の距離を水平距離Dとする。一次コイル19と二次コイル21の中心軸がずれた場合でも、各ケースの厚さ等により、ギャップGはほぼ一定の値となる。
【0018】
次に、一次コイル19と二次コイル21の相対位置の検出動作について、具体的に説明する。ここでは、駆動回路17としてフルブリッジ回路を用いるとする。
図4は、駆動回路の一例を示す回路図である。駆動回路17は、フルブリッジ回路を構成するスイッチング素子Q1〜Q4より構成されている。
【0019】
まず、位置検出を行うときに受電器20に設けられている負荷開閉スイッチ28をオープンにする。そして、制御回路15は、ある一定の周期で決められた時間だけ、所定の駆動信号Sdrを駆動回路17に供給する。ここで、駆動信号Sdrのパルスパターンの一例を
図5に示す。時刻taになると、所定の周波数のパルス波の供給が開始される。オン期間Tonが経過した時刻tbになると、パルス波の供給が止まる。さらにオフ期間Toffが経過した時刻tcになると、再度所定の周波数のパルス波の供給が開始される。このように、駆動回路17には、制御回路15から、ある一定の周期Tsで決められたオン期間Tonだけパルス波が供給される。一例として、周期Tsは200ms、オン期間Tonは3msに設定する。オン期間Tonの間、スイッチング素子Q1〜Q4は駆動信号Sdrに応じてオンオフ制御され、一次コイル19に交流電力が供給される。一方、オフ期間Toffの間は、スイッチング素子Q1、Q4をオン、スイッチング素子Q2、Q3をオフに切り替え、一次コイル19に交流電力は供給されない。もしくは、スイッチング素子Q1、Q4をオフ、スイッチング素子Q2、Q3をオンに切り替える。オフ期間Toffの間、すべてのスイッチング素子Q1〜Q4をオフとしないのは、一次コイル19に大きなフライバック電圧が発生するのを抑えるためである。周期Tsやオン期間Tonは、制御回路15によって決定される。オン期間Tonの間、駆動回路17内のスイッチング素子Q1〜Q4は、このような駆動信号Sdrによりオンオフ制御される。
【0020】
ここで、駆動信号Sdrのオン期間Tonにおけるスイッチング素子Q1〜Q4の動作の一例を示すタイミングチャートを
図6に示す。時刻t0において、スイッチング素子Q4がオンに切り替わり、スイッチング素子Q1、Q4がオンになる。時刻t1になると、スイッチング素子Q1がオフに切り替わり、スイッチング素子Q2のボディーダイオードとスイッチング素子Q4で電流が回生する。時刻t2になると、スイッチング素子Q2がオンに切り替わり、スイッチング素子Q2とスイッチング素子Q4で電流の回生を継続する。時刻t3になると、スイッチング素子Q4がオフに切り替わり、スイッチング素子Q2とスイッチング素子Q4のボディーダイオードで電流の回生を継続する。時刻t4になると、スイッチング素子Q3がオンに切り替わり、スイッチング素子Q2、Q3がオンになる。時刻t5になると、スイッチング素子Q2がオフに切り替わり、スイッチング素子Q1のボディーダイオードとスイッチング素子Q3で電流が回生する。時刻t6になると、スイッチング素子Q1がオンに切り替わり、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q3で電流が回生する。時刻t7になると、スイッチング素子Q3がオフに切り替わり、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q3のボディーダイオードで電流が回生する。時刻t8になると、再度スイッチング素子Q4がオンに切り替わり、スイッチング素子Q1、Q4がオンになる。このような動作を繰り返すことで、一次コイル19と一次コンデンサ18に交流電力が供給される。時刻t1とt4の間および時刻t5とt8の間の期間は、デッドタイムDTを表す。デッドタイムDTを設けることで、スイッチング素子Q1とQ2もしくはスイッチング素子Q3とQ4が同時にオンとなるのを防ぎ、直流電源DCが短絡するのを防止している。周期Tに対するスイッチング素子がオンとなる時間の割合をオンデューティとする。周期Tやスイッチング素子Q1〜Q4のオンデューティは、制御回路15によって決定される。デッドタイムDTは、駆動周波数fdrとオンデューティにより決定される。
【0021】
このように、制御回路15によって、駆動周波数fdrやスイッチング素子Q1〜Q4のオンデューティなどが決められる。ここでは、駆動周波数fdrを700kHzに設定する。また、検出用二次共振周波数fdを1MHzとする。
【0022】
駆動信号Sdrのオン期間Tonに一次コイル19に電流が供給される。そして、このときの入力電流Iinを電流検出回路11により検出する。ここで、一次コイル19に電流を供給したときの入力電流Iinの波形図を
図7に示す。横軸は時間、縦軸は入力電流Iinを示す。
図7には、一次コイル19と二次コイル21の中心軸間の水平距離Dを0mm、4mm、10mm、20mmにそれぞれ設定したときの入力電流Iin波形を示している。時刻taになると、駆動回路17に所定の周波数のパルス波の供給が開始され、一次コイル19と一次コンデンサ18に電流が供給される。すると、
図7に示すように入力電流Iinが徐々に上昇していく。水平距離Dが0mm、4mm、10mmのときには、入力電流Iinの立ち上がりにピークが現れている。水平距離Dが20mmのときには、入力電流Iinは単調増加となっているが、その電流ピーク値は、水平距離Dが10mmのときより小さい。このように、入力電流Iinのピーク値は、水平距離Dが短いほど大きくなるのが分かる。時刻tbになると、駆動回路17に供給されるパルス波の供給が止まる。すると、一次コイル19と一次コンデンサ18に電流が供給されなくなり、入力電流Iinが減少する。
【0023】
次に、一次コイル19と二次コイル21の中心軸間の水平距離Dに対する検出電圧を
図8に示す。横軸は一次コイル19と二次コイル21の中心軸間の水平距離Dを示す。縦軸は検出電圧を示す。検出電圧は、入力電流Iinが流れる電流検出抵抗12の両端の電圧を誤差増幅器12で増幅して検出したものであり、入力電流Iinのピーク値を検出したものである。水平距離Dが0mmのときに検出電圧、すなわち入力電流Iinが最大値となる。そして、水平距離Dが長くなるのに従って入力電流Iinが減少する。
【0024】
次に、駆動周波数fdrと検出用二次共振周波数fdの関係について説明する。二次コイル21と二次コンデンサ22および検出用コンデンサ23で構成される共振回路は、検出用二次共振周波数fdにおいてインピーダンスが最小になる。一次コイル19の駆動周波数fdrを検出用二次共振周波数fdに近づけると、一次コイル19のインピーダンスが下がるため、一次コイル19に流れる電流が増加する。一次コイル19に供給される電流が増加するのに伴って、駆動回路17に供給される電流も増え、入力電流Iinが増加する。逆に、一次コイル19の駆動周波数fdrを、検出用二次共振周波数fdから遠ざけると一次コイル19のインピーダンスが上がるため、一次コイル19に流れる電流が減少する。一次コイル19に供給される電流が減少するのに伴って、駆動回路17に供給される電流も減り、入力電流Iinが減少する。このように、駆動周波数fdrが変化すると、入力電流Iinの値が変動してしまう。
【0025】
よって、一次コイル19の駆動周波数fdrを固定し、二次コイル21を一次コイル19に近づけると、一次コイル19と二次コイル21の結合係数が増加し、入力電流Iinが増加する。また、一次コイル19の駆動周波数fdrを固定し、二次コイル21を一次コイル19から遠ざけると、一次コイル19と二次コイル21の結合係数が減少し、入力電流Iinが減少する。
【0026】
このように、一次コイル19と二次コイル21の中心軸間の水平距離Dと入力電流Iinは相関関係にある。検出用二次共振周波数fdに対する駆動周波数fdrを固定して、入力電流Iinを測定することで、一次コイル19と二次コイル21の相対位置を求めることができる。具体的には、入力電流Iinの検出結果をアナログ/デジタル変換器14によりデジタル値に変換し、制御回路15がデジタル値とあらかじめ作成しておいた変換表や変換式を用いて計算することで、一次コイル19と二次コイル21の相対位置を求めることができる。なお、最初に負荷開閉スイッチ28をオープンにしたのは、負荷29にバラつきがある場合に、入力電流Iinの測定結果が変化してしまうのを防止するためである。
【0027】
次に、一次コイル19と二次コイル21の結合係数について説明する。一次コイル19と二次コイル21は、ある結合係数を持って結合している。一次コイル19と二次コイル21の中心軸間の水平距離Dに対する結合係数を
図9に示す。横軸は一次コイル19と二次コイル21の中心軸間の水平距離Dを示す。縦軸は結合係数を示す。水平距離Dが0mm、つまり一次コイル19と二次コイル21の中心軸が一致しているときに結合係数が最大となっている。このとき、一次コイル19から二次コイル21への電力伝送効率が最大となる。そして、水平距離Dが長くなるのに従って、結合係数が減少していく。一次コイル19と二次コイル21の結合係数と入力電流Iinは相関関係にある。これは、
図8と
図9に示した各曲線がほぼ相似形状になっていることからも分かる。よって、一次コイル19と二次コイル21の相対位置を求めるのと同様の手法により、一次コイル19と二次コイル21の結合係数を求めることもできる。
【0028】
なお、駆動周波数fdrを検出用二次共振周波数fdより低域側に設定すると、一次コイル19に二次コイル21を接近させたときに、入力電流Iinの立ち上がりにピークが現れる。そのため、入力電流Iinの検出感度がよく、一次コイル19と二次コイル21の相対位置を精度良く求めることができる。駆動周波数fdrが検出用二次共振周波数fdに近いほど、二次コイル19に誘起される電圧も大きくなるため、整流回路24の逆耐電圧を越えてしまう恐れがある。これを防ぐためには、整流回路24の入力端にツェナーダイオードなど、過電圧を防ぐための素子を設ければよい。駆動周波数fdrを検出用二次共振周波数fdからある程度離して設定することで、過電圧が発生するのを防止するのと同時に、消費電力の増加を抑えることができる。駆動周波数fdrと検出用二次共振周波数fdをどの程度離すかは、入力電流Iinの検出感度や出力電圧Vout、消費電力などを勘案して決定する。
【0029】
また、駆動回路17のデューティ比、すなわちスイッチング素子Q1〜Q4のオンデューティを変えることでより検出感度を調整することもできる。駆動回路17のオンデューティを増やすことで入力電流Iinが増加し、検出感度を向上させることができる。
【0030】
次に、検出用二次共振周波数fdのバラつきについて説明する。送電器10は、さまざまな電子機器に内蔵される受電器20に対して電力伝送を行う。このとき、各電子機器の受電器20内の検出用コンデンサ23の容量値や二次コイル21のインダクタンス値にバラつきが生じる場合がある。すると、それぞれの受電器20ごとに、二次コイル21と二次コンデンサ22および検出用コンデンサ23で構成される共振回路の共振周波数である検出用二次共振周波数fdにバラつきが生じてしまう。そのため、受電器20によって、駆動周波数fdrと検出用二次共振周波数fdの差が変わることになる。検出用二次共振周波数fdが変動すると、一次−二次コイルの相対位置検出時の駆動周波数fdrに対して、二次コイル21と二次コンデンサ22と検出用コンデンサ23のインピーダンスが変化することになる。このため、それぞれの受電器20によって、検出する入力電流Iinが変動してしまい、一次コイル19と二次コイル21の相対位置の検出結果に影響を及ぼすことが考えられる。
【0031】
図10は、駆動周波数fdrを一定とし、検出用二次共振周波数fdが変動したときにおける、一次コイル19と二次コイル21の中心軸間の水平距離Dに対する検出電圧を示すグラフである。横軸は一次コイル19と二次コイル21の中心軸間の水平距離Dを示す。縦軸は検出電圧を示す。このときの駆動周波数fdrは700kHzである。駆動周波数fdrと検出用二次共振周波数fdの差が変化すると、入力電流Iinが変動してしまうため、検出電圧にバラつきが生じるのが分かる。
【0032】
検出用二次共振周波数fdが1.0MHzのときにおいて、水平距離Dが6mmのときの検出電圧をTH1、水平距離Dが10mmのときの検出電圧をTH2とする。検出電圧がTH1およびTH2に対して、どのような範囲にあるか検出することで、一次コイル19と二次コイル21の中心軸間の水平距離Dが6mm以内にあるのか、6〜10mmの範囲内にあるのか、10mm以上の範囲にあるのかを検出することができる。
【0033】
検出用二次共振周波数fdが900kHzに変動すると、水平距離Dが6.3mm以内のときに検出電圧がTH1より大きく、水平距離Dが6.3〜11.0mmの範囲内のときに検出電圧がTH1より小さくかつTH2より大きく、水平距離Dが11.0mm以上の範囲のとき検出電圧がTH2より小さくなる。また、検出用二次共振周波数fdが1.1MHzに変動すると、水平距離Dが0mmのときに検出電圧がTH1と等しくなり、水平距離Dが0〜8.4mmの範囲内のときに検出電圧がTH1より小さくかつTH2より大きく、水平距離Dが8.4mm以上の範囲のとき検出電圧がTH2より小さくなる。
【0034】
このように、検出用二次共振周波数fdが変動すると、一次コイル19と二次コイル21の相対位置の検出結果に大きな誤差が生じてしまう。この誤差を抑制するためには、検出用二次共振周波数fdが変動したことによる入力電流Iinの変化分を打ち消すように、駆動周波数fdrを設定すればよい。
【0035】
図11は、検出用二次共振周波数fdと駆動周波数fdrの差を一定とし、検出用二次共振周波数fdが変動したときにおける、一次コイル19と二次コイル21の中心軸間の水平距離Dに対する検出電圧を示すグラフである。横軸は一次コイル19と二次コイル21の中心軸間の水平距離Dを示す。縦軸は検出電圧を示す。ここでは、駆動周波数fdrを検出用二次共振周波数fdより300kHz低い値に設定した。
【0036】
検出用二次共振周波数fdが1.0MHzの特性曲線は、
図10に示したものと同じである。検出用二次共振周波数fdが900kHzのときの駆動周波数は600kHz、検出用二次共振周波数fdが1.1MHzのときの駆動周波数fdrは800kHzである。
【0037】
検出用二次共振周波数fdが900kHzに変動すると、水平距離Dが6.6mm以内のときに検出電圧がTH1より大きく、水平距離Dが6.6〜9.8mmの範囲内のときに検出電圧がTH1より小さくかつTH2より大きく、水平距離Dが9.8mm以上の範囲のとき検出電圧がTH2より小さくなる。また、検出用二次共振周波数fdが1.1MHzに変動すると、水平距離Dが6.9mm以内のときに検出電圧がTH1より大きく、水平距離Dが6.9〜10.8mmの範囲内のときに検出電圧がTH1より小さくかつTH2より大きく、水平距離Dが10.8mm以上の範囲のとき検出電圧がTH2より小さくなる。
【0038】
これらの測定結果より、検出用二次共振周波数fdと駆動周波数fdrの差を一定に調整する前と後とを比較する。検出用二次共振周波数fdが900kHz〜1.1MHzの間で変動した場合、検出電圧がTH1となる水平距離Dの範囲は、調整前は0〜6.3mmであったのに対し、調整後は6〜6.9mmとなった。また、検出電圧がTH2となる水平距離Dの範囲は、調整前は8.4〜11.0mmであったのに対し、調整後は10〜10.8mmとなった。このように検出用二次共振周波数fdと駆動周波数fdrの差を一定にすることで、検出用二次共振周波数fdが変動したことによる入力電流Iinの検出結果の変動を抑えることができる。
【0039】
さまざまな受電器20に対して電力伝送を行う場合、検出用二次共振周波数fdにバラつきが生じる。これを補償するためには、各コイルの相対位置すなわち入力電流Iinを検出する前に、受電器20の検出用二次共振周波数fdを測定し、その測定結果に基づいて駆動周波数fdrを設定すればよい。例えば、相対位置を検出する前に制御回路15から駆動回路17に供給する駆動信号Sdrの周波数を連続的に変化し、そのときの入力電流Iinの反応から検出用二次共振周波数fdを測定しておく。そして、測定した検出用二次共振周波数fdに基づいて、相対位置を検出する際の駆動周波数fdrを設定すればよい。例えば、測定した検出用二次共振周波数fdから、一定値離れた周波数を計算する。そして相対位置の検出時には、計算した周波数により一次コイル19を駆動する。このような制御を行うことで、個々の受電器20の検出用二次共振周波数fdにバラつきがある場合でも、入力電流Iinの変動を抑制することができる。また、インピーダンス素子26の変動やバラつきによる入力電流Iinの変化を抑制するため、駆動周波数fdrを二次共振周波数fsより検出用二次共振周波数fdに近い値に設定するが好ましい。
【0040】
このように、受電器20の検出用二次共振周波数fdに応じて、駆動周波数fdrを設定することで、一次コイル19と二次コイル21の相対位置を精度よく求めることができる。なお、上述した駆動周波数fdrの設定方法はあくまで一例である。検出用二次共振周波数fdが変動したことによる入力電流Iinの変化分を打ち消すように、駆動周波数fdrを設定するのであれば、どのような値に設定しても構わない。また、検出用二次共振周波数fdを測定するときに駆動周波数fdrをスイープさせなくともよい。あらかじめいくつかの周波数を設定し、各周波数で一次コイル19を駆動したときの入力電流Iinの値から検出用二次共振周波数fdを求め、駆動周波数fdrを設定してもよい。
【実施例2】
【0041】
図12に本発明の第2の実施例におけるワイヤレス電力伝送装置のブロック図を示す。なお、第1の実施例と同じ機能を有する部位には同じ符号を付し、説明は省略する。送電器60は、第1の実施例に示した送電器10に電圧検出回路61をさらに設けたものである。電圧検出回路61は、直流電源DCから供給される入力電圧Vinを検出し、検出結果を制御回路15に供給する。受電器20の構成は、第1の実施例に示したものと同一である。
【0042】
一次コイル19と二次コイル21の相対位置は、駆動回路17に供給される入力電流Iinに基づいて検出している。そのため、直流電源DCから供給される入力電圧Vinが何らかの外的要因により変動してしまうと、それに伴い入力電流Iinが変動してしまう。そのため、入力電流Iinの検出結果が変動し、一次コイル19と二次コイル21の相対位置の検出結果などに影響する場合がある。
【0043】
図13は、入力電圧Vinが変動したときにおける、一次コイル19と二次コイル21の中心軸間の水平距離Dに対する検出電圧を示すグラフである。横軸は一次コイル19と二次コイル21の中心軸間の水平距離Dを示す。縦軸は検出電圧を示す。入力電圧Vinが増加すると入力電流Iinも増加し、入力電圧Vinが減少すると入力電流Iinも減少するのが分かる。ここでは、入力電圧Vinが5.2Vを標準値として、入力電圧Vinが4.5Vおよび5.5Vに変動したときの各コイル間の位置ズレ特性を測定した。
【0044】
入力電圧Vinが5.2Vのときにおいて、水平距離Dが6mmのときの検出電圧をTH3、水平距離Dが10mmのときの検出電圧をTH4とする。検出電圧がTH3およびTH4に対して、どのような範囲にあるか検出することで、一次コイル19と二次コイル21の中心軸間の水平距離Dが6mm以内にあるのか、6〜10mmの範囲内にあるのか、10mm以上の範囲にあるのかを検出することができる。
【0045】
入力電圧Vinが4.5Vに変動すると、水平距離Dが4.4mm以内のときに検出電圧がTH3より大きく、水平距離Dが4.4〜8.8mmの範囲内のときに検出電圧がTH3より小さくかつTH4より大きく、水平距離Dが8.8mm以上の範囲のとき検出電圧がTH4より小さくなる。また、入力電圧Vinが5.5Vに変動すると、水平距離Dが8.2mm以内のときに検出電圧がTH3より大きく、水平距離Dが8.2〜11.6mmの範囲内のときに検出電圧がTH3より小さくかつTH4より大きく、水平距離Dが11.6mm以上の範囲のとき検出電圧がTH4より小さくなる。
【0046】
このように、入力電圧Vinが変動すると、一次コイル19と二次コイル21の相対位置の検出結果に大きな誤差が生じてしまう。この誤差を抑制するためには、入力電圧Vinが変動したことによる入力電流Iinの変化分を打ち消すように、制御回路15により検出電圧の値を補正すればよい。
【0047】
図14は、入力電圧Vinが変動したときにおける、一次コイル19と二次コイル21の中心軸間の水平距離Dに対する補正後の検出電圧を示すグラフである。横軸は一次コイル19と二次コイル21の中心軸間の水平距離Dを示す。縦軸は補正後の検出電圧を示す。ここでは、補正係数k=(5.2/Vin)^1.3とし、補正後の検出電圧とは、検出電圧に対してこの補正係数kを乗じて求めた値である。入力電圧Vinが5.2Vの標準値であるときは、補正係数kは1となる。入力電圧Vinが5.2Vより大きくなると補正係数kは1より小さく、入力電圧Vinが5.2Vより小さくなると補正係数kは1より大きくなる。
【0048】
入力電圧Vinが5.2Vのときの特性曲線は、
図13に示したものと同じである。入力電圧Vinが4.5Vおよび5.5Vのときの特性曲線は、入力電圧Vinの変動に応じて検出電圧の値を補正したものである。
【0049】
入力電圧Vinが4.5Vに変動すると、水平距離Dが6.2mm以内のときに検出電圧がTH3より大きく、水平距離Dが6.2〜10.2mmの範囲内のときに検出電圧がTH3より小さくかつTH4より大きく、水平距離Dが10.2mm以上の範囲のとき検出電圧がTH4より小さくなる。また、入力電圧Vinが5.5Vに変動すると、水平距離Dが7.5mm以内のときに検出電圧がTH3より大きく、水平距離Dが7.5〜11.2mmの範囲内のときに検出電圧がTH3より小さくかつTH4より大きく、水平距離Dが11.2mm以上の範囲のとき検出電圧がTH4より小さくなる。
【0050】
これらの測定結果より、入力電流Iinの検出結果を補正する前と後とを比較する。入力電圧Vinが4.5〜5.5Vの間で変動した場合、検出電圧がTH3となる水平距離Dの範囲は、補正前は4.4〜8.2mmであったのに対し、補正後は6〜7.5mmとなった。また、検出電圧がTH4となる水平距離Dの範囲は、補正前は8.8〜11.6mmであったのに対し、補正後は10〜11.2mmとなった。このように入力電圧Vinの変動に応じて検出電圧を補正することで、入力電圧Vinが変動したことによる入力電流Iinの検出結果の変動を抑制することができる。
【0051】
電圧検出回路61により入力電圧Vinの検出を行い、制御回路15は入力電圧Vinが変動したことによる入力電流Iinの変化分を打ち消すように、入力電流Iinの検出結果を補正する。入力電流Iinの検出結果の補正は、例えばマイコンなどで構成される制御回路15により行えばよい。このように、入力電圧Vinの変動に応じて、入力電流Iinの検出結果を補正することで、入力電圧Vinが変動した場合でも一次コイル19と二次コイル21の相対位置を精度よく求めることができる。なお、上述した補正係数kはあくまで一例である。入力電圧Vinが変動したことによる入力電流Iinの変化分を打ち消すような補正であれば、どのような演算を行っても構わない。
【実施例3】
【0052】
図15に本発明の第3の実施例におけるワイヤレス電力伝送装置のブロック図を示す。なお、第1の実施例と同じ機能を有する部位には同じ符号を付し、説明は省略する。送電器70は、第1の実施例に示した送電器10に報知手段71をさらに設けたものである。報知手段71は、一例としてLED71a、ブザー71b、振動体71cなどにより構成される。LED71a、ブザー71b、振動体71cは、制御回路15から供給される信号により駆動される。受電器20の構成や一次コイル19と二次コイル21の相対位置の検出動作は、上述した実施例と同一である。
【0053】
制御回路15は、一次コイル19と二次コイル21の相対位置の検出結果に基づいて報知手段71を制御する。制御回路15は、一次コイル19と二次コイル21の相対位置がどの程度であるのかによって報知手段71の動作を変化させる。ユーザは、送電器70に受電器20を載置するときに報知手段71の動作を確認することにより、一次コイル19と二次コイル21の相対位置を認識することができる。
【0054】
図16は、本発明の第3の実施例におけるワイヤレス電力伝送装置の一例を示す斜視図である。送電器70のケース41内に一次コイル19が設けられている。受電器20のケース51内に二次コイル21が設けられている。送電器70のケース41表面には、報知手段71が設けられている。報知手段71は、十字状に配置されたLEDより構成されている。報知手段71は、中央LED81、4つの内側LED82a〜82d、4つの外側LED83a〜83dの9つのLEDより構成されている。9つのLEDは、中央LED81を中心に十字状に配置されている。中央LED81から等距離に各内側LED82a〜82dが配置されている。同様に、中央LED81から等距離に各外側LED83a〜83dが配置されている。中央LED81と各外側LED83a〜83dの間にそれぞれ内側LED82a〜82dが配置されている。一次コイル19から二次コイル21に効率よく電力伝送を行うためには、一次コイル19と二次コイル21の相対位置を近づける必要がある。そのため、ユーザは受電器20を図中の矢印Pの方向に動かし、一次コイル19と二次コイル21の相対位置が近づくように受電器20の位置合わせを行う。
【0055】
次に、各LED81、82a〜83d、83a〜83dの動作について説明する。ここでは、制御回路15が検出した各コイル間の相対位置に基づいて、以下(A)〜(D)の4つの状態を報知手段71により報知するものとする。
(A)受電器20が送電器70の適正位置から遠い場合、または受電器20が送電器70に置かれていない場合、または送電器70が受電器20を検知できない場合。
(B)送電器70が受電器20を検知できるが、一次コイル19と二次コイル21の相対位置が遠い場合。
(C)送電器70が受電器20を検知でき、一次コイル19と二次コイル21の相対位置も近いが電力伝送するには効率が低い場合。
(D)送電器70が受電器20を検知でき、電力伝送するのに最適な位置にある場合。
つまり、一次コイル19と二次コイル21の相対位置が近づくに従って、状態(A)→状態(B)→状態(C)→状態(D)と変化する。
【0056】
一次コイル19と二次コイル21の相対位置に応じて、各LED81、82a〜83d、83a〜83dは次のように動作する。
状態(A)のとき、すべてのLEDを消灯させる。
状態(B)のとき、外側LED83a〜83dを点灯させる。
状態(C)のとき、内側LED82a〜82dを点灯させる。
状態(D)のとき、中央LED81を点灯させる。
一次コイル19と二次コイル21の相対位置が近づくに従って、まずは外側LED83a〜83dが点灯する。さらに各コイルの相対位置が近づくと、内側LED82a〜82dが点灯する。さらに各コイルの相対位置が近づいて、電力伝送するのに最適な位置に受電器20を載置すると、中央LED81が点灯する。一次コイル19と二次コイル21の相対位置に応じて、このように各LEDを動作させることで、各コイル間の相対位置をユーザに報知することができる。また、受電器20の位置合わせを行うときに、一次コイル19と二次コイル21の相対位置を段階的に報知することで、ユーザは一次コイル19と二次コイル21の相対位置が近づいていくのを認識することができる。よって、受電器20の位置合わせを行うときに、各コイル間の相対位置が電力伝送を行うのに最適な位置になるようにユーザを誘導することができる。また、電力伝送するのに最適な位置に受電器20が載置されたときに、中央LED81が点灯する。このように報知手段71の動作を変化させることで、効率よく電力伝送を行うのに最適な位置に受電器20を簡単に載置することができる。
【0057】
また、一次コイル19に対する二次コイル21の位置ずれ方向の検出手段を設けることで、位置ずれ方向を内側LED82a〜83dまたは外側LED83a〜83dにより報知することができる。位置ずれ方向の検出手段を設けたワイヤレス電力伝送装置の一例を
図17に示す。送電器80は、位置ずれ方向の検出手段として、ケース41内に方向検出コイル85a〜85dが設けられている。一次コイル19を中心に各方向検出コイル85a〜85dが十字状に配置されている。また、各方向検出コイル85a〜85dの中心軸は、一次コイル19の中心軸から等距離になるように配置されている。各方向検出コイル85a〜85dは、方向検出駆動回路より交流電流が供給される。位置ずれ方向の検出時には、各方向検出コイル85a〜85dに対して順番に交流電流を供給する。そして、方向検出コイル85a〜85dに交流電流を供給したとき、方向検出駆動回路に流れる電流を検出する。この検出結果を比較することにより、一次コイル19に対する二次コイル21の位置ずれ方向を検出することができる。たとえば、方向検出コイル85aに交流電流を供給したときの検出結果が、他の方向検出コイル85b〜85dに交流電流を供給したときの検出結果より相対的に大きいとする。この場合には、一次コイル19に対する二次コイル21の位置ずれ方向が図中のaの方向であることが分かる。方向検出コイル85bと85cに交流電流を供給したときの検出結果が同程度で、かつ方向検出コイル85a、85dに交流電流を供給したときの検出結果より相対的に大きいとする。この場合には、一次コイル19に対する二次コイル21の位置ずれ方向が図中のfの方向であることが分かる。このように、位置ずれ方向の検出手段により、二次コイル21が一次コイル19に対して図中の矢印a〜hに対してどの方向にずれているのかを検出する。また、そのときの各LEDの動作例を説明する。
【0058】
状態(A)のとき、すべてのLEDを消灯させる。状態(D)のとき、中央LED81を点灯させる。これら状態(A)および状態(D)のときは、一次コイル19に対する二次コイル21の位置ずれ方向を報知する必要はない。状態(B)で図中のaの方向にずれている場合、外側LED83aを点灯させる。状態(B)で図中のdの方向にずれている場合、外側LED83dを点灯させる。状態(B)で図中のeの方向にずれている場合、外側LED83aおよび83bを点灯させる。状態(C)で図中のaの方向にずれている場合、内側LED82aを点灯させる。状態(C)で図中のgの方向にずれている場合、内側LED82cおよび82dを点灯させる。状態(C)で図中のhの方向にずれている場合、内側LED82dおよび82aを点灯させる。このように、一次コイル19に対する二次コイル21の位置ずれ方向に応じて、内側LED82a〜82dまたは外側LED83a〜83dのうち、一つもしくは中央LED81に対して等距離にあり90度の方向位置する二つのLEDを点灯させる。位置ずれ方向に応じて、中央に配置した中央LED81から等しい距離に配置されたLEDのうち、一つもしくは二つのLEDを点灯させることで、45度ずつの8方向の位置ずれ方向を報知することができる。なお、上述した位置ずれ方向の検出方法はあくまで一例である。位置ずれ方向の検出は8方向に限定するものではない。
【0059】
以上説明したように、一次コイル19に対する二次コイル21の位置ずれ方向の検出機能を設け、さらに報知手段71としてLEDを十字状に配置する。そして、位置ずれ方向に応じて、点灯させるLEDを制御する。これにより、ユーザは各コイル間の相対位置と同時に、一次コイル19に対する二次コイル21の位置ずれ方向を認識することができる。
【0060】
なお、上述したような各LEDの動作はあくまで一例である。一次コイル19と二次コイル21の相対位置をユーザが認識できれば、LEDの動作はどのように変更しても構わない。また、一次コイル19と二次コイル21の相対位置に応じて、状態(A)〜(D)の4つの状態を検出するようにしていたが、これはあくまで一例である。いくつの状態を検出するかによって、用いるLEDの数を任意に変化させてもよい。
【0061】
以下、報知手段71の他の実施例を説明する。
【0062】
報知手段71の他の一つ目の例として、報知手段71は1つのLEDにより構成する。
状態(A)のとき、LEDを消灯させる。
状態(B)のとき、LEDをゆっくり点滅させる。
状態(C)のとき、状態(B)のときよりLEDをはやく点滅させる。
状態(D)のとき、LEDを点灯させる。
このように、一次コイル19と二次コイル21の相対位置に応じて、LEDを消灯、点滅、点灯させることで、各コイル間の相対位置をユーザに報知することができる。一次コイル19と二次コイル21の相対位置をLEDの点滅スピードに置き換えることで、ユーザは各コイル間の相対位置を容易に認識することができる。また、LEDの点滅スピードを段階的に変化させるのではなく、一次コイル19と二次コイル21の相対位置に応じて、連続的に変化させるようにしてもよい。
【0063】
また、報知手段71として1つのLEDにより構成する場合、色が可変できるLEDを用いてもよい。
状態(A)のとき、LEDを消灯させる。
状態(B)のとき、LEDを赤色で点灯させる。
状態(C)のとき、LEDを橙色で点灯させる。
状態(D)のとき、LEDを緑色で点灯させる。
このように、一次コイル19と二次コイル21の相対位置に応じて、LEDの色を変化させることで、各コイル間の相対位置をユーザに報知することができる。
【0064】
また、報知手段71として1つのLEDにより構成する場合、LEDの明るさを変化させてもよい。例えば、PWM制御によりLEDを駆動する。
状態(A)のとき、LEDを消灯させる。
状態(B)のとき、所定のデューティ比でLEDを駆動させる。
状態(C)のとき、状態(B)のときよりデューティ比を大きくしてLEDを駆動させる。
状態(D)のとき、デューティ比が100%でLEDを駆動する。
このように、一次コイル19と二次コイル21の相対位置に応じて、LEDの明るさを変化させることで、各コイル間の相対位置をユーザに報知することができる。また、LEDの明るさを段階的に変化させるのではなく、一次コイル19と二次コイル21の相対位置に応じて、連続的に変化させるようにしてもよい。
【0065】
報知手段71の他の2つ目の例として、報知手段71は複数のLEDにより構成する。例えば、報知手段71を3つのLEDにより構成する。
状態(A)のとき、いずれのLEDも消灯させる。
状態(B)のとき、1つのLEDのみ点灯させる。
状態(C)のとき、2つのLEDを点灯させる。
状態(D)のとき、3つのLEDを点灯させる。
このように、報知手段71として複数のLEDを設け、一次コイル19と二次コイル21の相対位置に応じて、LEDの点灯個数を変化させることで、各コイル間の相対位置をユーザに報知することができる。
【0066】
また、報知手段71として複数のLEDにより構成する場合、色の異なる複数のLEDを用いてもよい。例えば、赤色、橙色、緑色の3つのLEDを使用する。
状態(A)のとき、いずれのLEDも消灯させる。
状態(B)のとき、赤色のLEDのみ点灯させる。
状態(C)のとき、橙色のLEDのみ点灯させる。
状態(D)のとき、緑色のLEDのみ点灯させる。
このように、色の異なる複数のLEDを設け、一次コイル19と二次コイル21の相対位置に応じて、点灯させるLEDの色を変化させることで、各コイル間の相対位置をユーザに報知することができる。
【0067】
報知手段71の他の3つ目の例として、報知手段71は音源により構成する。例えば、音源としてブザーを設け、一次コイル19と二次コイル21の相対位置に応じて、音を出力する間隔を変化させる。
状態(A)のとき、音源を消音させる。
状態(B)のとき、音源から所定の間隔でビープ音を鳴らす。
状態(C)のとき、状態(B)のときより短い間隔でビープ音を鳴らす。
状態(D)のとき、音源から一定時間の連続したビープ音を発生させる。
このように音源を設け、一次コイル19と二次コイル21の相対位置に応じて、音源から発生する音の間隔を変化させることで、各コイル間の相対位置をユーザに報知することができる。音源はブザーでなはくスピーカーなど、どのような音源を用いてもよい。また、発生する音も何を用いてもよい。変形例として、状態(D)すなわち、送電器70から受電器20に電力伝送するのに最適な位置にある場合にのみ、音源からメロディや音声アナウンスなどの所定の音を一定時間出すようにしてもよい。これにより、ユーザは送電器70と受電器20の相対位置が電力伝送を行うのに最適な位置にあるのを容易に認識することができる。
【0068】
報知手段71の他の4つ目の例として、報知手段71は振動体により構成する。
状態(A)のとき、振動体を振動させない。
状態(B)のとき、所定の振動強度で振動体を振動させる。
状態(C)のとき、状態(B)のときより強い振動強度で振動体を振動させる。
状態(D)のとき、状態(C)のときより強い振動強度で振動体を振動させる。
このように、送電器70に振動体を設け、その振動により充電装置20を持ったユーザに振動を伝える。一次コイル19と二次コイル21の相対位置に応じて、振動体の振動強度を変化させることで、各コイル間の相対位置をユーザに報知することができる。
【0069】
また、報知手段71として振動体により構成する場合、一次コイル19と二次コイル21の相対位置に応じて、振動間隔を変化させるようにしてもよい。
状態(A)のとき、振動体を振動させない。
状態(B)のとき、振動体を所定の間隔で振動させる。
状態(C)のとき、状態(B)のときより短い間隔で振動体を振動させる。
状態(D)のとき、振動体を一定時間連続的に振動させる。
このように、振動体を設け、一次コイル19と二次コイル21の相対位置に応じて、振動パターンを変化させることで、各コイル間の相対位置をユーザに報知することができる。
【0070】
以上挙げた例のほかに、報知手段71をモニタにより構成してもよい。一次コイル19と二次コイル21の相対位置がどの程度にあるのかを、モニタ画面に表示することによりユーザに報知する。また、送電器70と受電器20の相対位置が電力伝送を行うのに最適な位置にある場合、モニタ画面に最適状態であることを表示する。
【0071】
このように、制御回路15は、一次コイル19と二次コイル21の相対位置の検出結果に基づいて報知手段71を制御する。よって、一次コイル19と二次コイル21の相対位置がどの程度であるのかによって、報知手段71の動作を変えることができる。ユーザは、送電器70に受電器20を載置するときに報知手段71の動作を確認することにより、一次コイル19と二次コイル21の相対位置を認識することができる。また、一次コイル19と二次コイル21の相対位置が電力伝送を行うのに適した範囲内であるのを報知手段71で通知することもできる。これにより、一次コイル19と二次コイル21の位置ずれによる結合係数の低下を抑え、効率よく電力伝送を行うことができる。
【0072】
第1の実施例で示したような検出用二次共振周波数fdのバラつきに対する入力電流Iinの変動を抑制する方法を組み合わせて用いてもよい。また、第2の実施例で示したような入力電圧Vinの変動に対する入力電流Iinの変動を補正する検出方法を組み合わせて用いてもよい。これによって、より正確な位置検出を行うことができ、よりよい伝送効率で電力伝送を行うことができる。
【0073】
なお、上述した報知手段71の例および報知手段71の動作例はあくまで一例である。報知手段71の動作例は、一次コイル19と二次コイル21の相対位置をユーザが認識できればどのように変更しても構わない。また、報知手段71としてLEDや音源、振動体を用いた例を示したが、これらを組み合わせて使用してもよい。また、LED以外の発光素子を用いてもよい。また、一次コイル19と二次コイル21の相対位置に応じて、状態(A)〜(D)の4つの状態を検出するようにしていたが、これはあくまで一例である。最低でも1つの閾値を設け、各コイル間の相対位置がある距離より近いか遠いかを検出し、それを報知手段71により報知できれば良い。また、一次コイル19と二次コイル21の相対位置に応じて、LEDの明るさや点滅スピードなどを段階的ではなく連続的に変化させることも可能である。これにより、ユーザは各コイル間の相対位置がどの程度離れているのかを詳しく認識することができる。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形したり、各実施例を組み合わせたりして実施することができる。