(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
通信線を介して自機に具備された各電源での電力情報を送信可能な複数の電力供給型電力機器を多段接続し、さらに前記通信線を介して自機の機器情報を送信可能な電力消費型電力機器を前記電力供給型電力機器の前記電源に接続した際の接続状態を特定する電力機器接続状態特定装置において、
前記電力供給型電力機器の前記電源をオン又はオフする制御信号を出力する電力機器制御手段と、
前記複数の電力供給型電力機器から送信された各電源での電力情報を収集して電力情報蓄積手段に蓄積する電力情報収集手段と、
前記制御信号による前記電力供給型電力機器の前記電源のオン又はオフにより、前記電力消費型電力機器の機器情報を検出又は非検出する電力機器同定手段と、
前記電力情報蓄積手段から電力情報を読み出して、前記制御信号により電力情報の値が変化した電力供給型電力機器のうち、ある値を有する電力供給型電力機器とその次に小さな値を有する電力供給型電力機器とが接続されていると特定すると共に、当該制御信号により機器情報が検出又は非検出された電力消費型電力機器は前記電力情報の値が変化した電力供給電力機器のいずれかに接続されていると特定する電力機器接続状態特定手段と、
を有することを特徴とする電力機器接続状態特定装置。
通信線を介して自機に具備された各電源での電力情報を送信可能な複数の電力供給型電力機器を多段接続し、さらに前記通信線を介して自機の機器情報を送信可能な電力消費型電力機器を前記電力供給型電力機器の前記電源に接続した際の接続状態を特定する電力機器接続状態特定装置で行う電力機器接続状態特定方法において、
前記電力供給型電力機器の前記電源をオン又はオフする制御信号を出力する電力機器制御ステップと、
前記複数の電力供給型電力機器から送信された各電源での電力情報を収集して電力情報蓄積手段に蓄積する電力情報収集ステップと、
前記制御信号による前記電力供給型電力機器の前記電源のオン又はオフにより、前記電力消費型電力機器の機器情報を検出又は非検出する電力機器同定ステップと、
前記電力情報蓄積手段から電力情報を読み出して、前記制御信号により電力情報の値が変化した電力供給型電力機器のうち、ある値を有する電力供給型電力機器とその次に小さな値を有する電力供給型電力機器とが接続されていると特定すると共に、当該制御信号により機器情報が検出又は非検出された電力消費型電力機器は前記電力情報の値が変化した電力供給電力機器のいずれかに接続されていると特定する電力機器接続状態特定ステップと、
を有することを特徴とする電力機器接続状態特定方法。
【背景技術】
【0002】
省エネ意識の高まりから、使用している電力機器の電流値、電圧値、電力値など(以下、電力情報)を計測する機器や装置が求められている。電力情報を計測することから、電力センサを各電力機器に具備させて当該機器上に表示する手法が一般的であるが、現在では、通信モジュールを更に内蔵させ、計測した電力情報を外部に出力する手法を採用したスマートタップを利用できる(非特許文献1,2参照)。
【0003】
図8に、このようなスマートタップの外観および内部構成の概要を示す。同図(a)の外観に示すように、スマートタップ100の外観は、他の電力機器の電源などに接続される電力入力端11と、電力入力端11から入力された電流、電圧、電力などを他の電力機器に供給する第1電源12a〜第4電源12dと、内部の通信モジュールに接続された通信入出力端13とで主に構成される。
【0004】
また、同図(b)の内部構成に示すように、第1電源12a〜第4電源12dでの電力情報をそれぞれ計測する電力情報計測部14と、電力入力端11と第1電源12a〜第4電源12dとの間にそれぞれ位置する第1スイッチ17a〜第4スイッチ17dを外部からの制御信号に基づいてオン・オフすることにより、第1電源12a〜第4電源12dのオン・オフをそれぞれ制御する電源制御部15と、計測された電力情報や上記制御信号を通信入出力端13を介して入出力する通信部16とで主に構成される。
【0005】
図9に、このようなスマートタップ100を複数使用して2段状に接続し、下段のスマートタップ100にスマート機器300を接続したスマートタップネットワーク構成システムを示す。なお、スマート機器300とは、イーサネット(登録商標)などの通信機能を備えた電力機器をいう。
【0006】
第1スマートタップ100aは、壁900の内部に配線された電力線やその先の電力供給元に接続され、表面の各電源から第2スマートタップ100b〜第4スマートタップ100dに電力をそれぞれ供給する。第2スマートタップ100b〜第4スマートタップ100dは、同様に各表面にそれぞれ形成された各電源から第1スマート機器300a〜第5スマート機器300eに電力をそれぞれ供給する。
【0007】
また、全てのスマートタップ100および全てのスマート機器300は、自機に具備された通信入出力端を介して通信線700に接続され、その通信線700には、汎用PCなどで動作する電力情報測定装置500が更に接続されている。
【0008】
通信線700に接続された全てのスマートタップ100と、全てのスマート機器300と、電力情報測定装置500とには、ハードウェアアドレスやIPアドレスなどが予め設定されていることから、各スマート機器300間、電力情報測定装置500と各スマートタップ100との間で相互に通信可能となっている。
【0009】
このような構成下、ユーザは、所定のスマート機器300を動作することにより、所期する処理を実行させることができる。例えば、第2スマート機器300b(パソコン)を使用しているユーザは、通信線700を介してデータを送受信することにより、画面に表示された文章や画像を第1スマート機器300a(プリンタ)で印刷することができる。
【0010】
また、電力情報測定装置500には、各スマートタップ100を制御する制御プログラムが予め実行可能にインストールされており、その制御プログラムにより、通信線700を介して、各スマートタップ100でそれぞれ計測された各電源12での電力情報をそれぞれ受信して、例えば、数字やグラフにより時間軸を基準にスマートタップ毎、電源毎に画面表示することができる。
【0011】
更に、電力情報測定装置500から各スマートタップ100に上記制御信号を送信することにより、スマートタップ100の電源のオン・オフを電源単位で切り替えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、スマートタップの表面に具備された各電源のオン・オフと、そのオン・オフによる各電源の電力情報(電流値、電圧値、電力値のうち1以上)の値の変化と、そのオン・オフによりスマートタップの機器情報(機器名、IPアドレス、ハードウェアアドレスなど)を検出・非検出する電力機器同定技術とを利用することにより、スマートタップ間の接続状態、すなわち電力線網の接続状態を特定できるという効果を得るものである。具体的には、どのスマートタップが、どのスマートタップのどの電源に接続されているかを把握することが可能となる。
【0031】
また、本発明は、スマートタップの表面に具備された各電源やスマート機器の電源のオン・オフと、そのオン・オフによる各電源の電力情報の値の変化と、そのオン・オフによりスマートタップやスマート機器の機器情報を検出・非検出する電力機器同定技術とを利用することにより、スマートタップとスマート機器との接続状態を特定できるという効果を得るものである。具体的には、どのスマート機器が、どのスマートタップのどの電源に接続されているかを把握することが可能となる。
【0032】
以下、本発明を実施する一実施の形態について図面を用いて説明する。但し、本発明は多くの異なる様態で実施することが可能であり、本実施の形態の記載内容に限定して解釈すべきではない。
【0033】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態に係るスマートタップネットワーク構成システムを示す図である。このスマートタップネットワーク構成システムは、複数のスマートタップ100と、複数のスマート機器300と、電力機器接続状態特定装置1とで主に構成される。
【0034】
スマートタップ100は、1つ以上の電源を持つ電源タップの一種であり、外部からの制御信号により具備する各電源をオン・オフ可能であり、イーサネット(登録商標)、USB(登録商標)、RS−232Cシリアルバスなどを用いて、内蔵された電力センサで計測されたスマートタップ内の消費電力等を外部出力可能な仕組みを具備している。
【0035】
具体的には、
図8(a)を用いて説明したように、その外部において、電源に接続される電力入力端11と、電力入力端11から入力された電流、電圧、電力などを他のスマートタップ100やスマート機器300に供給する1以上の電源12と、内部の通信モジュールに接続された通信入出力端13とを具備している。
【0036】
また、
図8(b)を用いて説明したように、その内部構成において、各電源12での電力情報をそれぞれ計測する電力情報計測部と、電力入力端11と各電源12との間にそれぞれ位置する各スイッチを制御信号に基づいてオン・オフすることにより各電源12のオン・オフをそれぞれ制御する電源制御部と、計測された電力情報や上記制御信号を通信入出力端13を介して入出力する通信部とを具備している。
【0037】
本実施の形態で利用する複数のスマートタップ100は、
図1に示すように、具備する電力線を通じて2段状にカスケード接続された第1スマートタップ100a〜第4スマートタップ100dである。
【0038】
第1スマートタップ100aは、その機器名が「A社製スマートタップA1」であり、壁900の内部に配線された電力線やその先の電力供給元に接続された電力入力端11aから電力を受け取り、具備する第1電源12aa〜第4電源12adから電流、電圧、電力などをそれぞれ出力して、それら各電源に接続されたスマートタップ100に供給する。
【0039】
第2スマートタップ100bは、その機器名が「A社製スマートタップA2」であり、具備する電力線を通じて第1スマートタップ100aの第1電源12aaに接続されている。
【0040】
第3スマートタップ100cは、その機器名が「A社製スマートタップA3」であり、具備する電力線を通じて第1スマートタップ100aの第2電源12abに接続されている。
【0041】
第4スマートタップ100dは、その機器名が「A社製スマートタップA4」であり、具備する電力線を通じて第1スマートタップ100aの第4電源12adに接続されている。
【0042】
それら第2スマートタップ100b〜第4スマートタップ100dは、第1スマートタップ100aと同様に、表面に形成された各電源12から電流、電圧、電力などをそれぞれ出力して、それら各電源に接続されたスマート機器300に供給する。
【0043】
なお、スマートタップ100とは、電力供給型電力機器の例であり、上記構成を具備する電力機器であればどのようなものであってもよい。
【0044】
一方、スマート機器300とは、イーサネット(登録商標)などの通信機能を有し、起動状態のオン・オフを確認するヘルスチェック機能を備え、具備する電力線を通じてスマートタップ100に接続可能な電力消費型電力機器である。例えば、パソコン、デジタル家電、ホームゲートウェイなどが一例に挙げられる。
【0045】
本実施の形態で利用するスマート機器300は、
図1に示すように、第1スマート機器300a〜第5スマート機器300eである。
【0046】
第1スマート機器300aは、その機器名が「C社製プリンタM」のプリンタであり、第2スマートタップ100bの第4電源12bdに接続されている。
【0047】
第2スマート機器300bは、その機器名が「T社製PC−D」のパソコンであり、第3スマートタップ100cの第1電源12caに接続されている。
【0048】
第3スマート機器300cは、その機器名が「S社製ビデオレコーダBD」のビデオレコーダであり、第3スマートタップ100cの第3電源12ccに接続されている。
【0049】
第4スマート機器300dは、その機器名が「H社製IP電話I」のIP電話であり、第4スマートタップ100dの第1電源12daに接続されている。
【0050】
第5スマート機器300eは、その機器名が「S社製ネット対応テレビBR」のデジタルテレビであり、第4スマートタップ100dの第2電源12dbに接続されている。
【0051】
以上説明した全てのスマートタップ100および全てのスマート機器300は、具備する通信入出力端(例えば、LAN端子など)を介して通信線700に接続されている。また、その通信線700上には、スマートタップ100間の接続状態や、スマートタップ100とスマート機器300との接続状態を特定する電力機器接続状態特定装置1が更に接続されている。
【0052】
また、通信線700に接続された全ての電力機器(スマートタップ100、スマート機器300)や電力機器接続状態特定装置1には、機器名の他、ハードウェアアドレスやIPアドレスなどが予め設定されていることから、電力機器接続状態特定装置1と各スマートタップ100との間、電力機器接続状態特定装置1と各スマート機器300との間で相互に通信可能である。勿論、各スマート機器300間でも相互通信可能である。
【0053】
なお、
図1に示した接続状態は一例であり、スマートタップ100のカスケード接続を3段以上にする構成や、スマート機器300を上段や中段のスマートタップ100の電源に接続する構成であっても、同様の効果が得られる。第2の実施の形態で詳述する。
【0054】
次に、電力機器接続状態特定装置1について説明する。
図2は、電力機器接続状態特定装置1の機能ブロック構成を示す図である。本電力機器接続状態特定装置1は、電力制御機能部110と、電力機器同定機能部120とで主に構成される。
【0055】
電力制御機能部110は、電力機器制御部111と、電力情報収集部112と、電力情報蓄積部113と、電力機器接続状態特定部114と、電力機器配置蓄積部115と、電力機器同定結果収集部116とで主に構成される。以下、それら各部の機能について詳述する。
【0056】
電力機器制御部111は、通信線700を介して、各スマートタップ100の電源12や各スマート機器300の電源をオン又はオフする制御信号を送信する機能を有している。
【0057】
電力情報収集部112は、通信線700を介して、各スマートタップ100で計測され送信される電力情報を受信して収集し、電力情報蓄積部113に蓄積する機能を有している。
【0058】
電力機器接続状態特定部114は、電力情報蓄積部113に蓄積されている電力情報を読み出して、電力機器制御部111により送信された制御信号によって、スマートタップ100の電源12やスマート機器300の電源がオン又はオフされることにより、電力情報の値が変化したスマートタップ100を検出して、検出されたスマートタップ100のうち、ある値を有するスマートタップ100とその次に小さな値を有するスマートタップ100とが接続されていると特定すると共に、上記制御信号によって、電力機器同定部121(後述)により検出又は非検出されたスマートタップ100やスマート機器300が上記電力情報の値が変化したスマートタップのいずれかに接続されていると特定して、その結果を電力機器配置蓄積部115に蓄積する機能を有している。
【0059】
例えば、上記検出された複数のスマートタップ100の電力情報の値を比較して、その値が大きいスマートタップ100において電力情報の値が変化した電源12と、その値が次に大きいスマートタップ100とが接続されているとする。
【0060】
また、電力機器接続状態特定部114は、制御対象であるスマートタップ100の電源12を適宜変更しながら各電源12のオン又はオフを繰り返すことにより、スマートタップ100やスマート機器300が接続されているスマートタップ100の電源12を特定する機能を有している。
【0061】
電力機器同定結果収集部116は、電力機器同定部121(後述)によって検出又は非検出されたスマートタップ100やスマート機器300の機器情報(機器名、IPアドレス、ハードウェアアドレス(例えば、MACアドレスなど)など)を取得する機能を有している。
【0062】
一方、電力機器同定機能部120は、電力機器同定部121で主に構成される。電力機器同定部121は、スマートタップ100の電源12やスマート機器300の電源のオン又はオフにより、スマートタップ100やスマート機器300の機器情報を通信線700を介して検出又は非検出する機能を有している。例えば、パケットの特徴を分析して推定する技術や、UPnPプロトコルを利用して機器情報を取得要求する技術などを利用して実現できる。
【0063】
なお、電力機器制御部111と、電力情報収集部112と、電力機器接続状態特定部114と、電力機器同定結果収集部116と、電力機器同定部121とは、CPUなどの制御手段により実現可能である。電力情報蓄積部113と、電力機器配置蓄積部115とは、メモリなどの記憶手段により実現可能である。それら各部の処理は、当該処理をコンピュータに実行させるプログラムにより実現される。
【0064】
次に、上記構成を具備する電力機器接続状態特定装置1の動作フローについて説明する。
【0065】
電力機器接続状態特定装置1の動作フローは、電源をオンするかオフするか、オン又はオフされる電源がどの段のスマートタップ100か、オン又はオフされる電源がスマートタップ100であるかスマート機器300か、などにより異なる。
【0066】
例えば、スマートタップ100の各電源のオン・オフと、そのオン・オフによる各電源の電力情報の値の変化と、そのオン・オフにより検出・非検出された電力機器の機器情報とを利用することにより、スマートタップ100間の接続状態や、スマートタップ100とスマート機器300との接続状態を特定する第1の方法を採用できる。
【0067】
また、その第1方法に加えて、又は、スマート機器300のオン・オフに代えて、スマート機器300の電源をオン・オフすることを更に利用する第2の方法も採用できる。
【0068】
以下では、最もシンプルな第1の方法の場合における電力機器接続状態特定装置1の動作フローについて説明する。なお、第2の方法の場合であっても、基本的には同様である。
【0069】
〔動作例1〕
動作例1では、スマートタップ100間の接続状態、すなわち電力線網の接続状態を特定する場合の動作フローについて説明する。
図1において、第2スマートタップ100bの第4電源12bdをオンからオフする場合を例に、以下詳述する。
図3に、動作例1の動作フローを示す。
【0070】
最初に、ステップS1において、電力機器接続状態特定装置1の電力機器制御部111が、通信線700を介して、第2スマートタップ100bの第4電源12bdをオフする制御信号を送信する。この制御信号により、この第4電源12bdはオフされる。
【0071】
次に、ステップS2において、電力情報収集部112が、通信線700を介して、上記制御信号を送信した後に第1スマートタップ100a〜第4スマートタップ100dから送信された電力情報を受信し、電力情報の値の変動の有無を判定して、変動ありと判定した場合に、電力情報の値に変動があったことを意味するイベントを保持する。
【0072】
次に、ステップS3において、電力機器接続状態特定部114が、ステップS2で保持されたイベントにより電力情報の値に変動があったこと認識した場合、電力情報の値が変化したスマートタップ100を検出する。
【0073】
ここで、第2スマートタップ100bの第4電源12bdをオフしたことから、第2スマートタップ100bの第4電源12bdにおける電力情報の値、例えば電力値が0(ゼロ)になるため、第2スマートタップ100bの第4電源12bdの電力値は変化している。
【0074】
これと同時に、第1スマートタップ100aの第1電源12aaにおいても、第2スマートタップ100bの第4電源12bdで消費されていた分だけ電力値が低下することから、第1スマートタップ100aの第1電源12aaの電力値も変化している。
【0075】
ゆえに、ステップS3では、電力情報の値が変化したスマートタップ100として、第1スマートタップ100aおよび第2スマートタップ100bが検出される。
【0076】
一方、ステップS4において、ステップS1〜ステップS3に同期して、電力機器同定部121が、ステップS1で送信された制御信号により第4電源12bdがオフされた第2スマートタップ100bの機器情報を非検出する。
【0077】
すなわち、第2スマートタップ100bの他の電源はこれまで未使用であって既にオフされており、使用中であった唯一の第4電源12bdがオフされたことから、これまで検出されていた第2スマートタップ100bの機器情報が取得できなくなることから、第2スマートタップ100bの機器情報が非検出される。
【0078】
なお、非検出とは、これまで検出されていたものの、上記電源をオフする制御信号により検出されなくなったスマートタップの機器名、IPアドレス、ハードウェアアドレスなどの機器情報を特定することをいう。ここでは、第2スマートタップ100bの機器情報として、機器名「A社製スマートタップA2」、IPアドレス「192.168.7.3」、ハードウェアアドレス「01:01:02:02:04:04」が特定される。
【0079】
次に、ステップS5において、電力機器接続状態特定部114が、ステップS3で検出された第1スマートタップ100aと第2スマートタップ100bとを対応付けることによりそれらスマートタップ100間の接続状態を特定すると共に、ステップS4で非検出された第2スマートタップ100bの機器情報を関連付けて、その結果を電力機器配置蓄積部115に蓄積する。
【0080】
すなわち、第2スマートタップ100b以外に電力値が低下するスマートタップ100が検出されているのであれば、それが第2スマートタップ100bに電力を供給しているスマートタップ100であると分かることから、第2スマートタップ100bに対して、第1スマートタップ100aの第1電源12aaを対応付けることによりその接続関係を特定すると共に、第2スマートタップ100bの機器名、IPアドレス、ハードウェアアドレスを、ステップS4で非検出された機器名(A社製スマートタップA2)、IPアドレス(192.168.7.3)、ハードウェアアドレス(01:01:02:02:04:04)とする。
【0081】
なお、上記動作例1では、スマート機器が接続されたスマートタップの電源のオン・オフを例に説明したが、スマートタップ自身が起動していることにより消費される電力があることから、スマート機器のオン・オフやスマート機器の接続・非接続に関係なく上記動作例を適用することができる。
【0082】
具体的には、スマートタップやスマート機器などの電力機器が何ら電源に接続されていない第5スマートタップ(不図示)を第1スマートタップ100aの第3電源12acに接続し、その第5スマートタップ上の任意の電源をオン又はオフした場合や、当該第3電源12acをオン又はオフした場合であっても、上記動作例1と同様の処理により、電力線網の接続状態を特定することができる。
【0083】
〔動作例2〕
動作例2では、スマートタップ100とスマート機器300との接続状態を更に特定する場合の動作フローについて説明する。
図1において、第4スマートタップ100dの第2電源12dbをオフからオンする場合を例に、以下詳述する。
【0084】
図4に、動作例2の動作フローを示す。ただし、全てのスマートタップ100は既に起動しており、各電源をオン・オフ可能であって、電力線網の接続状態は特定されているものとする。
【0085】
最初に、ステップS31において、電力機器接続状態特定装置1の電力機器制御部111が、通信線700を介して、第4スマートタップ100dの第2電源12dbをオンする制御信号を送信する。この制御信号により、この第2電源12dbはオンされる。
【0086】
次に、ステップS32において、電力情報収集部112が、通信線700を介して、上記制御信号を送信した後に第1スマートタップ100a〜第4スマートタップ100dから送信された電力情報を受信し、電力情報の値の変動の有無を判定して、変動ありと判定した場合に、電力情報の値に変動があったことを意味するイベントを保持する。
【0087】
次に、ステップS33において、電力機器接続状態特定部114が、ステップS32で保持されたイベントにより電力情報の値に変動があったこと認識した場合、電力情報の値が変化したスマートタップ100を検出する。
【0088】
ここで、第4スマートタップ100dの第2電源12dbをオンしたことから、第4スマートタップ100dの第2電源12dbにおける電力情報の値、例えば電力値が上昇するため、第4スマートタップ100dの第2電源12dbの電力値は変化している。
【0089】
これと同時に、第1スマートタップ100aの第4電源12adにおいても、第4スマートタップ100dの第2電源12dbで消費された分だけ電力値が上昇することから、第1スマートタップ100aの第4電源12adの電力値も変化している。
【0090】
ゆえに、ステップS33では、電力情報の値が変化したスマートタップ100として、第1スマートタップ100aおよび第4スマートタップ100dが検出される。
【0091】
一方、ステップS34において、ステップS31〜ステップS33に同期して、電力機器同定部121が、ステップS31で送信された制御信号によりオンされた第4スマートタップ100dの第2電源12dbに接続されている第5スマート機器300eの機器情報を検出する。
【0092】
具体的には、その第2電源12dbをオンした時点前後の一定時間内に検出された第5スマート機器300eの機器名「S社製ネット対応テレビBR」、IPアドレス「192.168.7.15」、ハードウェアアドレス「06:06:07:07:01:01」が取得される。
【0093】
次に、ステップS35において、電力機器接続状態特定部114が、ステップS33で検出された第1スマートタップ100aと第4スマートタップ100dとを対応付けることによりそれらスマートタップ100間の接続状態を特定すると共に、ステップS34で検出された第5スマート機器300eの機器情報を関連付けることによりスマート機器300の接続状態を更に特定して、その結果を電力機器配置蓄積部115に蓄積する。
【0094】
すなわち、ステップS34で電力機器の同定を行っている間に検出された電力機器は第5スマート機器300eのみであり、第4スマートタップ100dの第2電源12dbの電力値が上昇したことから、第5スマート機器300eは第4スマートタップ100dの第2電源12dbに接続されていると分かる。
【0095】
これより、第5スマート機器300eに対して、第4スマートタップ100dの第2電源12dbを対応付けることによりその接続関係を特定すると共に、第5スマート機器300eの機器名、IPアドレス、ハードウェアアドレスを、ステップS34で検出された機器名(S社製ネット対応テレビBR)、IPアドレス(192.168.7.15)、ハードウェアアドレス(06:06:07:07:01:01)とする。
【0096】
具体的には、ステップS33で検出された第1スマートタップ100aと第4スマートタップ100dとの電力情報の値(例えば、各電源の電力値の総和や、電力値の変動量など)を比較して、スマートタップ100間の接続関係を特定する。
【0097】
すなわち、電源オン後の各スマートタップの電力値を比較すると、第1スマートタップ100aの方が電力供給元に近く、第4スマートタップ100dの電力値よりも第1スマートタップ100aの電力値の方が大きいことから、第4スマートタップ100dが第1スマートタップ100aに接続されていると分かる。
【0098】
これにより、第4スマートタップ100dに対して、第1スマートタップ100aにおいて電力値が変化した第4電源12adを対応付ける。
【0099】
なお、スマートタップ100が3段以上の場合であっても同様に電力情報の値を比較して、最も大きい値のスマートタップが上段、次に大きい値のスマートタップが次段、その次に大きい値のスマートタップが次々段、…、と接続関係を特定し、上記のように電源との関係を特定することが可能である。すなわち、電力値に変化があったとき、変化のあった値を有するスマートタップのうち、値が大きいものから小さいものに向かって、より下位にあるスマートタップと判断することにより、スマートタップの接続状態を特定するようにしている。
【0100】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態では、スマートタップ100が3段状にカスケード接続された場合について説明する。
図5に示すように、第1の実施の形態での接続状態に加えて、第5スマートタップ100eと、第6スマート機器300fと、第7スマート機器300gとを更に具備している。
【0101】
第5スマートタップ100eは、具備する電力線を通じて第4スマートタップ100dの第4電源12ddに接続されている。第6スマート機器300fと第7スマート機器300gとは、それぞれ、具備する電力線を通じて第5スマートタップ100eの第3電源ecと第4電源edとに接続されている。
【0102】
また、それら追加された全ては、具備する通信入出力端を介して通信線700に接続されている。なお、第1の実施の形態で説明したスマートタップ100やスマート機器300と同様の機能を有することから、本実施の形態では、動作フローについてのみ以下説明する。
図6に、動作例3の動作フローを示す。
【0103】
〔動作例3〕
最初に、ステップS51において、電力機器接続状態特定装置1の電力機器制御部111が、通信線700を介して、第4スマートタップ100dの第4電源12ddをオンする制御信号を送信する。この制御信号により、この第4電源12ddはオンされる。
【0104】
次に、ステップS52において、電力情報収集部112が、通信線700を介して、上記制御信号を送信した後に第1スマートタップ100a〜第5スマートタップ100eから送信された電力情報を受信し、電力情報の値の変動の有無を判定して、変動ありと判定した場合に、電力情報の値に変動があったことを意味するイベントを保持する。
【0105】
次に、ステップS53において、電力機器接続状態特定部114が、ステップS52で保持されたイベントにより電力情報の値に変動があったこと認識した場合、電力情報の値が変化したスマートタップ100を検出する。
【0106】
ここで、第4スマートタップ100dの第4電源12ddをオンしたことから、第4スマートタップ100dの第4電源12ddにおける電力情報の値、例えば電力値が上昇するため、第4スマートタップ100dの第4電源12ddの電力値は変化している。
【0107】
これと同時に、第6スマート機器300fと第7スマート機器300gとが接続された第5スマートタップ100eの第3電源12ecと第4電源12edとにおける各電力情報の値もそれぞれ上昇するため、第5スマートタップ100eの第3電源12ec及び第4電源12edの各電力値も変化している。
【0108】
更に、第1スマートタップ100aの第4電源12adにおいても、第4スマートタップ100dの第4電源12ddで消費された分だけ電力値が上昇することから、第1スマートタップ100aの第4電源12adの電力値も変化している。
【0109】
ゆえに、ステップS53では、電力情報の値が変化したスマートタップ100として、第1スマートタップ100aと第4スマートタップ100dと第5スマートタップ100eとが検出される。
【0110】
一方、ステップS54において、ステップS51〜ステップS53に同期して、電力機器同定部121が、ステップS51で送信された制御信号によりオンされた第4スマートタップ100dの第4電源12ddに接続されている第5スマートタップ100eの機器情報と、その第5スマートタップ100eに接続されている第6スマート機器300fと第7スマート機器gとの各機器情報とを検出する。
【0111】
次に、ステップS55において、電力機器接続状態特定部114が、ステップS53で検出された第1スマートタップ100aと第4スマートタップ100dとを対応付けると共に、第4スマートタップ100dと第5スマートタップ100eとを対応付けることにより、それらスマートタップ100間の接続状態を特定して、その結果を電力機器配置蓄積部115に蓄積する。この処理について以下詳述する。
【0112】
ステップS53ではスマートタップ100が複数検出され、ステップS54ではスマートタップ100やスマート機器300の機器情報が複数検出されたことから、この時点では、どのスマート機器300が、どのスマートタップ100のどの電源に接続されているかについて特定できない。
【0113】
しかし、第4スマートタップ100dの第4電源ddがオンになったことに伴い、第5スマートタップ100eの第3電源12ec及び第4電源12edの各電力値が上昇し、且つ、第5スマートタップ100eと第6スマート機器300fと第7スマート機器300gとの各機器情報が検出されたことから、第5スマートタップ100eと第6スマート機器300fと第7スマート機器300gとは、第4スマートタップ100dの第4電源ddに接続されていることが分かる。
【0114】
これより、ステップS55では、第5スマートタップ100eに対して、第4スマートタップ100dの第4電源ddを対応付ける。
【0115】
なお、第6スマート機器300fや第7スマート機器300gを第4電源ddに対応付けることも考えられるが、仮に第6スマート機器300fが第4電源ddに接続されているとすると、ステップS53において機器情報が複数検出されることはないため、ここでは理解を容易にするため、第5スマートタップ100eを第4電源ddに対応付けている。
【0116】
仮に第6スマート機器300fを第4電源ddに対応付けてもよいが、後述するように、第5スマートタップ100eの第3電源12ecをオフした際に第6スマート機器300fの機器情報が非検出されることから、その仮の対応付けは結果的に誤りであることが後の処理段階で把握される。
【0117】
また、ステップS53で検出された第1スマートタップ100aと第4スマートタップ100dとの電力情報の値を比較して、それら2つのスマートタップ100間の接続関係を特定する。
【0118】
すなわち、電源オン後の各スマートタップの電力値を比較すると、第1スマートタップ100aの方が電力供給元に近く、第4スマートタップ100dの電力値よりも第1スマートタップ100aの電力値の方が大きいことから、第4スマートタップ100dが第1スマートタップ100aに接続されていると分かる。
【0119】
これにより、ステップS55では、第4スマートタップ100dに対して、第1スマートタップ100aにおいて電力値が変化した第4電源12adを対応付ける。
【0120】
次に、ステップS56において、電力機器接続状態特定装置1の電力機器制御部111が、通信線700を介して、第5スマートタップ100eの第3電源12ecをオフする制御信号を送信する。この制御信号により、この第3電源12ecはオフされる。
【0121】
次に、ステップS57において、電力情報収集部112が、通信線700を介して、上記制御信号を送信した後に第1スマートタップ100a〜第5スマートタップ100eから送信された電力情報を受信し、電力情報の値の変動の有無を判定して、変動ありと判定した場合に、電力情報の値に変動があったことを意味するイベントを保持する。
【0122】
次に、ステップS58において、電力機器接続状態特定部114が、ステップS57で保持されたイベントにより電力情報の値に変動があったこと認識した場合、電力情報の値が変化したスマートタップ100を検出する。
【0123】
ここで、第5スマートタップ100eの第3電源12ecをオフしたことから、第5スマートタップ100eの第3電源12ecにおける電力情報の値、例えば電力値が0(ゼロ)になるため、第5スマートタップ100eの第3電源12ecの電力値は変化している。
【0124】
これと同時に、第1スマートタップ100aの第4電源12adや第4スマートタップ100dの第4電源12ddにおいても、第5スマートタップ100eの第3電源12ecで消費された分だけ電力値が低下することから、第1スマートタップ100aの第4電源12adと第4スマートタップ100dの第4電源ddとの各電力値もそれぞれ変化している。
【0125】
ゆえに、ステップS58では、電力情報の値が変化したスマートタップ100として、第1スマートタップ100aと第4スマートタップ100dと第5スマートタップ100eとが検出される。
【0126】
一方、ステップS59において、ステップS56〜ステップS58に同期して、電力機器同定部121が、ステップS56で送信された制御信号によりオフされた第5スマートタップ100eの第3電源12ecに接続されている第6スマート機器300fの機器情報を非検出する。
【0127】
次に、ステップS60において、電力機器接続状態特定部114が、ステップS56の制御信号によりオフされた第5スマートタップ100eの第3電源12ecに、ステップS59で非検出された第6スマート機器300fの機器情報を関連付けることによりスマート機器300の接続状態を更に特定して、その結果を電力機器配置蓄積部115に蓄積する。
【0128】
すなわち、電力機器接続状態特定部114は、ステップS51やステップS56においてスマートタップ100の電源のオン・オフが繰り返されることにより、スマートタップ100間の対応関係や、スマートタップ100やスマート機器300が接続されているスマートタップ100の電源を特定している。
【0129】
なお、ステップS55においてスマートタップ100間の対応関係が既に特定されていることから、ステップS58での検出結果を用いたスマートタップ100の対応付けは実行されない。勿論、ステップS55での対応関係を確認するために再度実行するようにしてもよい。
【0130】
オフする制御対象の電源を第5スマートタップ100eの第4電源12edに代えて、ステップS56〜ステップS60の各処理を再度行うことにより、第7スマート機器300gが接続されている電源についても同様に特定できる。また、制御対象の電源をスマート機器300に代えても、その電源のオン・オフによりスマート機器300の機器情報が検出・非検出されることから、接続されているスマートタップ100の電源を同様に特定できる。
【0131】
以上より、スマートタップ100の電源12やスマート機器300の電源をオン・オフすることにより部分的な接続状態を特定し、そのオン・オフを繰り返すことにより当該特定された接続状態の情報を統合していくことにより、スマートタップ100やスマート機器300が多段且つ大量の場合であっても、その接続状態を特定することができる。
【0132】
以上説明した動作例1〜動作例3で説明した処理を、スマートタップ100やスマート機器300の全電源について繰り返し行うことにより、例えば
図7に示すような電力機器接続状態特定結果を得ることができる。これにより、どのようなスマートタップ100やスマート機器300が、どのスマートタップ100のどの電源12に接続されているかを特定できる。
【0133】
また、例えば
図4に示したステップS31〜ステップS34において、一定の時間内に複数のスマート機器300が検出された場合には、過去の履歴を参照しながらステップS35を行うことにより、関連付けられるべきスマート機器300の機器情報の絞込みを行うようにしてもよい。これにより、一意に特定できる可能性を高めることができる。
【0134】
本実施の形態によれば、スマートタップ100の電源12をオン又はオフする制御信号により電力情報の値が変化したスマートタップ100のうち、ある値を有するスマートタップ100とその次に小さな値を有するスマートタップ100とが接続されていると特定すると共に、その制御信号により機器情報が検出又は非検出されたスマート機器300は電力情報の値が変化したスマートタップ100のいずれかに接続されていると特定するため、スマートタップ100間の接続状態を特定できると共に、スマート機器300との接続状態を更に特定できる。
【0135】
以上より、節電や電力のピークシフトを行う際に必要な制御対象の電力機器がどの電源に配置されているかを容易に把握できる。従来は、これらの機器情報をコンピュータに手入力していたが、本装置により自動的に取得可能となることから、大幅な省力化が可能になる。また、域内の電力線配置やスマート機器の配置が把握できることから、どの機器がどの程度消費しているかを適時適切に知ることが可能になる。