【実施例】
【0029】
実施例1
デンドロビー・ハーバからの多糖類の調製
2kgの新鮮なデンドロビー・ハーバを乾燥し乾燥材料を形成した後、20 Lのメタノールに浸漬し、処理して、処理された植物を得た。メタノールを除去する方法で前記の処理された植物を処理し、水中に一夜浸漬し、宵越し水溶液を得た。温度範囲が60℃である温水24 Lで、前記の宵越し水溶液を30分間抽出した後、遠心分離機(ER-RC13 C-124, HITACH)により、5,000rpm、10℃で遠心分離した。遠心分離した後、上澄液を6μmろ紙でろ過した。ろ液を50%(w/v)エタノールで沈殿させ、多糖類を得た。
【0030】
実施例2
デンドロビー・ハーバから抽出された多糖類の喘息に対する効果
<喘息の動物モデルの作成>
BALB/c雄性マウスをランダムに正常群(n=6, 陰性対照としての健康なマウス)、対照群(n=10, OVAで感作されるが、デンドロビー・ハーバから抽出された多糖類で処置されていないマウス)、給餌量がそれぞれ10 mg/kg/日(n=8)、30 mg/kg/日(n=8)及び90 mg/kg/日(n=8)であるOVAで感作された処置群に分けた。正常群以外、1日目と14日目で、それぞれ腹腔内注射で20と50μg/mLのOVA(Sigma, USA)及び補助剤としての2mgと5mgのAl(OH)
3を含むリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)を使用し、すべてのマウスを免疫化した。免疫化ごとに、陰性対照マウスに対して1×PBSの腹腔内注射を行った。28日目、29日目と30日目で、超音波ネブライザー(Buxco)によりすべてのマウスが1%OVAを含むPBSに20分間暴露された。31日目で、様々な濃度のメタコリン(methacholine)ですべてのマウスにAHR(Airway hyperresponsiveness、気道過敏性)テストを行って、次の日にマウスを犠牲にした(方法としてはCharles Perkinsなど, J. Allergy Clin. Immunol., 118(2):410-419を参照して下さい)。0日目と21日目とAHRテスト後で、眼窩後静脈叢からマウスの血液を集めた。血液のサンプルにOVA特異的抗体を測定した。
【0031】
<メタコリンに対する気道過敏性の測定>
マウスを無拘束に円筒状のプレキシガラス プレチスモグラフ チェンバー(cylindrical plexiglass plethysmograph chamber)内に置いて、前記のプレチスモグラフ チェンバーはBuxcoネブライザー制御エアロゾル配達システム(Buxco nebulized control aerosol delivery system)とBuxco Max II装置に連接し、気圧のプレチスモグラフィーを分析することに使用された(Buxco Electronics, Sharon, Conn)。5分間をかけて強化された一時停止(enhanced pause,Penh)のベースラインを測量した。Penhとは、気流妨害の単位なしの測量(unit-less measure)であり、吸気と呼気の間に時間と程度の量的差異に関する肺機能の変化を示す。具体的には、Penhは測量されたボックス内の圧力の信号(box pressure signal)の波形の変化(気管支収縮の結果)を示すパラメーターであり、即ち気道妨害の指数と思われる。喘息の重症度をPenhレベルにより評価することができる(Zhangなど, J. Allergy Clin. Immunol., Feb; l13(2):320-6, 2007)。
【0032】
その後、エアロゾル化されたβ-メタコリンを含むPBS(ネブライザー(Buxco Electronics, Sharon, Conn)で生産する)を吸入する手段でマウスを3分間刺激し、開始のメタコリン濃度は6.25 mg/mLである。エアロゾル化されたメタコリンに3分間暴露された後、Penh測量を開始し、3分間の平均のPenh値を計算した。次いで、前記の過程を連続に繰り返し、メタコリンの濃度を12.5 mg/mLと25 mg/mLに変えた。記録した全部のデータをベースライン測量で規準化し、
図1にそれぞれの群の結果を示す。
【0033】
AHRは気道妨害及び喘息の主要な症状(例えば息切れ、胸部圧迫感、咳嗽及び発話困難)を引き起こす主な原因である。従って、AHRを抑制することにより、喘息の重症度を和らげることができる。
図1に示されるように、対照群に比べると、すべての三つの処置群はエアロゾル化された25 mg/mLメタコリンに応答し、著しく低下したPenhを示す。これは、デンドロビー・ハーバから抽出された多糖類はAHRを抑制することができるため、喘息を治療することができると示す。
【0034】
<気管支肺胞洗浄液(BALF)分析>
気管支肺胞洗浄液とは、肺における肺胞の部分を洗い出すことにより得られる液体である。それを肺組織間質における生化学的変化と炎症的な変化を測定することに使用し、本発明の方法の効果を評価した。
【0035】
頸椎脱臼を行った後、気管を暴露させ、ポリエチレンカテーテルで培養した。前記の気管に1mL PBSを通して洗浄することにより、マウス由来のBALFを集めた。洗浄液を遠心分離した後、上澄液を抗体検出に使用し、沈殿物から総細胞数を得た。サイトスピンスライド(Cytospin slide)を製作して、Liu's染色法(Liu's staining、ギームザ染色法の改良した方法)で染色した(Sevens, M L. Fundamentals of clinical hematology., W.B. Saunders company, 1997)。
【0036】
まず、Liu'sのA溶液0.5mL(調製方法:0.18gのエオシンYと0.05gのメチレンブルーとをメタノール100mLに溶解し、得られた溶液を3号ろ紙でろ過する)を添加し、マウス由来のBALFの細胞を30秒間染色した。その後、直ちにLiu'sのB溶液1mL(調製方法:0.12gのメチレンブルー、0.14gのアズールB、2.52gのNa
2HPO
4と1.26gのKH
2HPO
4をH
2O 100mLに溶解し、得られた溶液を3号ろ紙でろ過する)を添加し、Liu'sのA染色溶液と混合した。60秒間反応させた後、前記のスライドを水で洗って、染色溶液を除去した。
前記のスライドを空気で乾燥した後、光学位相顕微鏡で検査し、300個の細胞を数えた後に、その区別を得た。結果を
図2と
図3に示す。
【0037】
図2に示されるように、対照群に比べると、90 mg/kg/日の群における総細胞數が著しく低下した。また、
図3にそれぞれの細胞タイプ(好酸球、好中球、単球及びリンパ球)の百分率を示す。対照群に比べると、90 mg/kg/日でデンドロビー・ハーバ多糖類を経口給予した群では、好酸球とリンパ球の百分率が著しく低下した。
【0038】
理論に束縛されるものではないが、デンドロビー・ハーバから得られた多糖類は下記の機構によって有効に喘息を治療することが可能である。好酸球が喘息の進展に重要な役割を担うことは報告されていた。Walsh G.M., Curr Opin Hematol., 8(1):28-33, 2001、Menzies-Gow Aなど, J Asthma., 38(8):605-13, 2001を参照して下さい。上記のように、デンドロビウム多糖類はBALFにおける好酸球の数を減らし、喘息の症状を軽減する。
【0039】
<デンドロビー・ハーバから抽出された多糖類の肺における好酸球増多と気道リモデリングに対する効果>
BALFを得た後、10%の中性緩衝ホルマリンで肺組織を24時間固定した。肺組織をパラフィンに埋めた後、厚さが5μmである切片に切った。H&E溶液(ヘマトキシリン、Sigma MHS-16及びエオジン、sigma HTl 10-1-32)で前記の切片を染色した。結果の写真を撮って、
図4に示される。
【0040】
喘息の特徴とは、気道粘膜における炎症の特異的パターンであり、好酸球の浸潤、T
H1細胞に対してT
H2細胞の数の増加に関連することである。また、気道に特徴的な構造変化を有することは「リモデリング」と称し、いくらかのリモデリングは疾患の進展に先行する。喘息の患者の体内に見られるこのような構造変化には、気道壁網状基底膜の肥厚、異常な弾性線維網の形成、気道軟骨構造の変化、血管新生、及び気道平滑筋質量の増加を含んでもよい。
【0041】
本発明において、対照群は著しく気道上皮基底の肥厚及び気管支の狭窄を示す。デンドロビー・ハーバ多糖類処置の剤量の増加につれて、気道リモデリングの特徴が減り、気管支の直徑が自然状態に戻る。
図2における結果と組み合わせれば、本発明の特徴は、好酸球とリンパ球の数を減らし、気道リモデリング症状を緩和する方法にある。
【0042】
<デンドロビー・ハーバから抽出された多糖類の経口処置によって、腸固有層におけるTregの百分率を増大することが可能>
頸椎脱臼によりマウスを殺した。直ちに小腸を取り出し、HBSS(HEPESを有するが、Ca
2+和Mg
2+を有しない)で洗い流した。パイエル氏腺(Peyer's patchs)を丁寧に摘出し、断片(segment)に切った。上皮細胞を除去するために、前記の断片を1mMジチオスレイトール溶液(DTT, Amresco, USA)と1mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA, Sigma, USA)に37℃で1時間振盪した。このように処置した後、前記の断片を1mm小片にミンチし、30単位/mLのタイプIのコラゲナーゼ(Sigma, USA)と10単位/mLのタイプIIのコラゲナーゼ(Sigma, USA)を含有するRPMI 1640(Gaithersburg, USA)及び10%ウシ胎児血清において、37℃で1時間消化した。消化された組織をナイロンメッシュ(Small Parts, USA)に通して、細胞を得た。徹底的な洗浄の後、パーコール(Percoll)上で遠心分離することにより単核細胞を得た。
【0043】
前記の単核細胞を1×10
6細胞/mLに調整し、チューブに加えて、FITC標識CD4抗体(BD Biosciences, USA)とPE標識CD25抗体(BD Biosciences, USA)で4℃、暗闇中に30分間培養した。サンプルを冷PBSで2回洗浄し、FACScan(Becton Dickinson Bioscience, USA)を用いた2色サイトメトリーで分析した。CD4+CD25+ 細胞の数をCD4+ 細胞の数で割り、Tregの百分率になる。結果を
図5に示す。90 mg/kg/日でデンドロビー・ハーバ多糖類を給餌したマウスは、腸固有層中により多いTregを有する。
【0044】
<デンドロビー・ハーバから抽出された多糖類の、OVAで感作されたマウスの血清及びBALFにおけるOVA特異的IgEレベルに対する効果>
1日目、14日目及び犠牲になった前日で集めた血清とBALFを使用し、ELISAによりOVA特異的IgEを検出した。製造業者の説明書により分析を実施する。血清サンプルの2通(in duplicate)は1:50に希釈したが、BALFは希釈しない。ここに使用される抗体は、Southern BioTech(USA)から得たAP標識ヤギ-抗マウスIgEである。
図6に示されるように、90 mg/kg/日のデンドロビー・ハーバ多糖類群の血清がIgE著しく低下した。また、同群におけるBALFのIgEレベルも低下傾向がある。
【0045】
現在、たくさんの研究者は、IgEが即時型アレルギー反応における鍵分子(key molecule)であるのは、それがアレルゲンと好中球との間に橋を形成し細胞脱顆粒を誘発させ、同時に無数のあらかじめ形成されたメディエーターとサイトカインを遊離させることができるためであると表示した(Holgate Sなど, J. Allergy Clin. Immunol., 115:459-465, 2005、Cooper PJ, Parasite Immunol. 26:455-467, 2004、Milgrom Hなどの前記資料を参考して下さい)。従って、IgE合成の中和又は抑制は、アレルギー性疾患の治療に対して合理的な選択である(Sarinho EとCruz AA, J Pediatr (Rio J), 82(5 Suppl):S 127-32, 2006、Wagelie-Steffen ALなど, Clin Chest Med., 27:133-147, 2006、Clark Jなど, J Asthma, 43:87-93, 2006)。本発明において、90 mg/kg/日のデンドロビー・ハーバ多糖類は、喘息マウスの血清と肺におけるIgEレベルを低下させることができる。これらのデータから見ると、デンドロビー・ハーバ多糖類は、アレルギー性疾患又は喘息を治療する大きな可能性が持っている。
【0046】
<デンドロビー・ハーバから抽出された多糖類の、OVAで感作されたマウスの肺組織における遺伝子発現に対する効果>
組織を摘出し小片に切った。その後、製造業者の説明書により、rareRNA総RNA単離試薬(Gsharp Corporation、台湾)で総RNAを単離した。5μg RNAとMMLV逆転写酵素(Promega、 USA)を使用し40μLの総体積で逆転写を行って、cDNAを合成した。得られた逆転写産物の一部(1μL)をPCRで増幅した。表1にIL-13、エオタキシン-1、IDO、IL-17とTSLPのプライマー(primer)に用いる配列を示す。
【0047】
【表1】
【0048】
これらの基因を増幅するPCRの条件としては、95℃ 5分間の初期変性、続いて94℃ 30秒、58℃ 30秒及び72℃ 1分間にする。全部の遺伝子発現レベルはβ-アクチンmRNAで規準化された。
図7に示されるように、デンドロビー・ハーバから抽出された多糖類を30 mg/kg/日及び90 mg/kg/日で給餌した群において、肺におけるサイトカイン又はケモカインのmRNA発現レベルがより低い。
【0049】
アレルギー性炎症において、ケモカイン、例えばIL-13、エオタキシン-l、IL-17とTSLPによって好酸球を選択的に気道に集めることは、肺炎症の経過において、好酸球特異的化学誘引物質が生産及び放出されることを示す(Rothenberg ME., N. Engl. J. Med., 338:1592-1600, 1998;Lacy Pなど, Chem. Immunol., 76:134- 155, 1998)。また、好酸球によって誘発されたIDOの増加は、Th1のアポトーシスとTh2の極性化をもたらすことが認知された。その結果、好酸球は、リンパ組織において機能的に活性なIDOを発現することによって、アレルギー性喘息に見られたTh1-Th2不均衡を維持することができる(Odemuyiwa SOなど,J Immunol.2004 Nov 15;173(10):5909-l3)。従って、これらのタンパク質の生産を抑制することは、喘息の発展を遮断することに役を立つ。本発明において、デンドロビー・ハーバ多糖類で経口処置されたマウスは上記のようにより低い遺伝子発現レベルを有し、これは好酸球又はリンパ球を集めることに関連する。この二種の細胞がアレルギー性疾患、特に喘息の発展に重要な役割を担うため、ケモカインを減らすことにより、肺の浸潤を防止できる。従って、好酸球に関連するアレルギー性疾患、例えば喘息の症状を治療することができる。
【0050】
実施例3
デンドロビー・ハーバから抽出された多糖類の花粉症に対する効果
<ブタクサ(Ragweed Pollen)花粉からの活性タンパク質の抽出>
Polyscience, Inc.(Polyscience, Inc., Warrington, Pa., USA)からブタクサ花粉を購入した。室温において、500μLのエーテルと20mLの0.125M重炭酸アンモニウムでブタクサ花粉(1g)を48時間処理し、10000×gで30分間遠心分離し、第1上澄液を得た。室温において、処理された花粉を12mLの0.125M重炭酸アンモニウムで24時間処理し、10000×gで30分間遠心分離し、第2上澄液を得た。前記の第1上澄液と第2上澄液を孔径が3500 Daである透析袋に集めて、5mM重炭酸アンモニウムで4時間透析した後、新たな5mM重炭酸アンモニウムに変えて、続いて24時間透析した。最後のサンプルを凍結乾燥し、-20℃で貯蔵された。花粉からの抽出率は21.1%であり、抽出物に11.9%のタンパク質を有する。
【0051】
<能動免疫化によって目の結膜炎を誘発させる及びデンドロビー・ハーバから抽出された多糖類を用いる処置する>
目の結膜炎を誘発させる方法は、従来の技術(Schopf, L.など, Invest Ophthalmol Vis Sci, 2005. 46(8):p.2772-80)で改良した。8週齢のBalb/c雌性マウスに対して、全部を感作前の11日目に卵巣摘出の手術を行った。0日目、7日目、14日目及び29日目で、マウスに対して200μg花粉抽出物(50μgタンパク質を含む)及び200μL PBSに溶解された4mg Al(OH)
3を腹腔内注射した。8日目と15日目で、マウスの左眼に500μg花粉抽出物と25μg Al(OH)
3の5μL PBSを含む滴眼液で感作した。22日目、23日目、24日目と36日目、37日目、38日目、39日目と40日目で、マウスの左眼に花粉抽出物を含むPBS(眼ごとに対して、3μg PBSに1mgを含む)で刺激した。刺激した15分後、マウスに涙の測量を行って、眼瞼の腫れと結膜発赤が観察された。正常マウスには前記の感作を行わないが、同様に刺激を受けた。対照マウスには感作と刺激を受けたが、多糖類処置を行わなかった。一部のマウスには8日目から52日目でマウスが犠牲にされるまでにデンドロビー・ハーバから抽出された多糖類を30 mg/kg/日又は90 mg/kg/日で経口投与した。
【0052】
<外見の観察及び涙の測量>
アレルギー性結膜炎は、アレルゲン、例えば花粉に対する過敏性である。症状には眼のかゆみ、眼瞼の腫れ、涙の過剰産生、及び結膜又は目の白い部分における発赤を含む。多糖類処置の効果を評価するために、刺激ごとに15分間後、マウスの左眼の写真を撮って涙の産生を測量するテストを受けた。涙の産生としては、ろ紙ストリップでテストを行った。本明細書に使用されるろ紙ストリップは、まず17.5mlの70%エタノールに溶解される0.5gフェノールレッド(Sigma, USA)で浸漬し、さらに室温で一夜乾燥した。前記のろ紙ストリップの大きさは幅1mm、長さ20mmである。そっと下眼瞼から過剰分泌した物を除去した後、前記のろ紙ストリップを下眼瞼の中央と外側の三分之一との接合部に置いた。マウスの涙の生産を測量する標準時間は1分間である。炎症した目の写真を
図8A〜
図8Dに示し、色の変化の長さを
図9に示す。
【0053】
図8Aに示される結果のように、正常マウスの眼睛には僅かな発赤と腫れがあるが、それらの対照マウスはひどく腫れて炎症した(
図8B)。デンドロビー・ハーバから抽出された多糖類を30 mg/kg/日(
図8C)又は90 mg/kg/日(
図8D)で経口投与したマウスの眼も炎症したが、発赤と腫れの症状は緩和された。
【0054】
図9に示される結果のように、アレルギー性結膜炎の症状と一致であり、対照群マウスは花粉と接触した後、より多い涙を生産した。デンドロビー・ハーバから抽出された多糖類を30 mg/kg/日又は90 mg/kg/日で投与したマウスは、対照マウスより涙が著しく少ない。
【0055】
<組織学的分析>
マウスを犠牲にした後、マウスの頭部を切り、Bouin's緩衝液に固定した。72時間後、Bouin's緩衝液の代わりに14% EDTA(エチレンジアミン四酢酸)を含むPBSを使用し、少なくとも72時間でカルシウムを除去した。カルシウムが完全に除去された後、眼球と結膜以外の組織をはさみで切った。その後、切り取った組織をパラフィンに埋め、厚さが5μmである切片に切った。Giemsa染色法(GIEMSA染色原液、Sigma、 USA)で前記の切片を染色した。切片ごとに結膜の固有層粘膜に浸潤した好酸球の数を数えた。データは、全部の検査されたマウスのスライドごとの平均値±S.E.Mで表す。
【0056】
アレルギーの重症度が増えるにつれて、より多い好酸球が検出されているため、結膜への好酸球の浸潤はアレルギー性結膜炎の重症度の目安として使われてもよいことは報告されていた。(Sumiなど, Int Arch Allergy Immunol. 143(4):276-81, 2007)。
図10A〜
図10Dに示されるように、対照群には一番多い浸潤細胞を有する。対照群に比べると、30 mg/kg/日処置群と90 mg/kg/日処置群(
図10E)の浸潤細胞の數は著しく低下した。その結果、デンドロビー・ハーバから抽出された多糖類を用いる処置はアレルギーの重症度を緩和するできることを表す。
【0057】
<血清におけるIgEの測量>
刺激した0日目、24日目及び40日目で、能動免疫化されたマウスの血液を集めて血清を製作した。前記の実施例で述べるように、ELSAにより血清におけるブタクサ花粉の特異的IgEレベルを測量した。
【0058】
図11に示されるように、40日目で、30 mg/kg/日又は90 mg/kg/日でデンドロビー・ハーバから抽出された多糖類を経口投与したマウスは、対照マウスより著しく低いIgEレベルを有する。
【0059】
<フローサイトメトリー分析>
新鮮の単離されたRBC枯渇脾臓細胞を2%ホルムアルデヒドで固定し、FACS緩衝液(PBS+1%ウシ胎児血清)で洗浄した。洗浄した後、最適濃度のFITC標識ヤギ抗マウスCD4+抗体で4℃に細胞を30分間培養し、同緩衝液で2回洗浄した。洗浄した後、最適濃度のPE標識ヤギ抗マウスCD25+抗体で4℃に細胞を30分間培養し、同緩衝液で2回洗浄した。最後、細胞を100μl FACS緩衝液に再懸濁させて、FACScan(Becton Dickinson Bioscience, San Diego, CA, USA)で分析した。分析とデータの取得はCellQuestソフトウェアを使用することにより実施した。
【0060】
図12Aと
図12Bに示される結果のように、能動免疫化されたマウス脾臓細胞と血清におけるCD4+CD25+T細胞の百分率は低いである。対照マウスに比べると、30 mg/kg/日又は90 mg/kg/日でデンドロビー・ハーバから抽出された多糖類を経口投与したマウスの方が、CD4+CD25+T細胞の百分率がより高いである。
【0061】
実施例4
デンドロビー・ハーバから抽出された多糖類のアトピー性皮膚炎に対する効果
<アトピー性皮膚炎の動物モデルの作成>
0日目で、腹部皮膚に1%オキサゾロン100μLを施すことにより9週齢マウスを感作し、PBS群を正常群とした。7日目及び8日目で、局所的に両耳に0.5%オキサゾロン40μLを施した。対照群には感作と刺激を受けたが、多糖類処置を行わなかった。他の群のマウスには、0日目で感作する4日目前からマウスが犠牲になされるまで、それぞれ10 mg/kg/日、30 mg/kg/日又は90 mg/kg/日でデンドロビー・ハーバから抽出された多糖類を経口投与した。9日目及び10日目、即ち8日目で刺激した後の24時間に、耳の厚さを測量した。9日目のデータは、全部の検査されたマウスの平均値±S.E.M.で表す。
【0062】
<結果>
図13に示される結果のように、全ての能動免疫化されたマウスの耳の厚さは増えている。対照群に比べると、10 mg/kg/日の群及び30 mg/kg/日の群での効果は明らかではないが、90 mg/kg/日の群での耳の厚さは著しく低下した。
【0063】
本技術分野に習熟した者は、広い発明の概念から逸脱しない限り、上記の具体的な実施例に変更を施すことが可能であると理解すべきである。従って、本発明は、特定の具体的な実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲で定義される本発明の趣旨及びその範囲内の変更を含むと理解すべきである。
【0064】
他の具体的な実施例
本明細書に開示されたすべての特徴は、任意の組み合わせで併せることが可能である。本明細書に開示されたいずれの特徴も、同じ、相当又は類似の目標を与える置換手段で代わることができる。従って、特別に限定しない限り、開示されたいずれの特徴も、その相当又は類似の特徴のシリーズの実例の一つに過ぎない。
【0065】
本技術分野に習熟した者は、上記の説明により簡単に本発明の基本的な特徴を確知でき、その趣旨及び範囲から逸脱しない限り、本発明に各種の変更と修正を施すことにより各種の用途と条件に適応させることができる。従って、他の具体的な実施例も特許請求の範囲に含まれる。