【実施例1】
【0034】
図4は実施例1に係るフラッシュメモリの上視図(保護膜、配線層、層間絶縁膜は図示せず)である。
図5(a)は
図4のA−A断面図であり、
図5(b)は
図4のB−B断面図であり、
図5(c)は
図4のC−C断面図である。
図6(a)は
図4のD−D断面図であり、
図6(b)は
図4のE−E断面図である。
図4を参照し、P型シリコン半導体基板10(または半導体基板内に形成されたP型領域)内に埋め込まれ形成されたビットライン14およびその上にビットライン14の長手方向に連続して形成された絶縁膜ライン18が
図4の縦方向に延在している。さらに、
図4では図示していないが、配線層36がビットライン14上をビットライン14の長手方向に延在している。
【0035】
ワードライン20がビットラインの幅方向に延在している。ワードライン20を複数本越える毎に、コンタクトホールが形成されている。コンタクトホール内はプラグ金属34で埋め込まれており、ビットライン14と配線層36を接続している。これは、ビットライン14は拡散層で形成されているため抵抗が高い。このため、メモリセルの書き込み・消去特性が劣化してしまう。そこで、この劣化を防止するため、ビットライン14はワードライン20を複数本越える毎に、低抵抗の配線層36と接続している。
【0036】
図5(a)を参照に、ワードライン20長手方向のワードライン20間の断面について説明する。ビットライン14間の半導体基板10にトレンチ部22が形成されており、トレンチ部22上に絶縁膜層24として窒化シリコン膜が設けられている。半導体基板10内にビットライン14が埋め込まれている。その上には絶縁膜ライン18として、酸化シリコン膜が設けられている。絶縁膜ライン18および絶縁膜層24上に層間絶縁膜30が設けられている。層間絶縁膜30上のビットライン14上には配線層36が設けられている。それらの上に、保護膜38が設けられている。
【0037】
図5(b)を参照に、ワードライン20長手方向のワードライン20の断面について説明する。ビットライン14間の半導体基板10にはトレンチ部22が設けられておらず、半導体基板10内にチャネルが形成される。ビットライン14間の半導体基板10上にONO膜12が設けられている。ONO膜12上の絶縁膜ライン18間にゲート電極16が設けられている。半導体基板10内に形成されたビットライン14はソース領域およびドレイン領域として機能する。ビットライン14上には絶縁膜ライン18が設けられている。絶縁膜ライン18およびゲート電極16上にワードライン20が接して設けられている。これにより、ゲート電極16とワードライン20が接続される。ワードライン20上には層間絶縁膜30が設けられ、その上は
図5(a)と同じである。
【0038】
図5(c)を参照に、ワードライン20長手方向のコンタクトホール32を横切る断面について説明する。ビットライン14間は
図5(a)と同様であり、説明を省略する。ビットライン14上にはコンタクトホールが形成され、プラグ金属34が埋め込まれている。プラグ金属34上に配線層36が設けられ、ビットライン14と配線層36がコンタクトホールにより接続している。
【0039】
図6(a)を参照に、ビットライン14長手方向のビットライン14間の断面について説明する。ワードライン20間では、半導体基板10にトレンチ部22が形成されており、トレンチ部22上に絶縁膜層24が形成されている。ワードライン20下では、トレンチ部22は形成されておらず、半導体基板10内にチャネルが形成される。半導体基板10上にONO膜12、ONO膜12上にはゲート電極16、ゲート電極16上にワードライン18が設けられている。ワードライン16および絶縁膜層24上に層間絶縁膜30、層間絶縁膜30上に保護膜38が設けられている。
【0040】
図6(b)を参照に、ビットライン14長手方向のビットライン14の断面について説明する。半導体基板10にはビットライン14が埋め込まれ形成されている。ビットライン14上には絶縁膜ライン18が連続して形成されている。絶縁膜ライン18上にワードライン20が設けられている。ワードライン20および絶縁膜ライン18上に層間絶縁膜30が設けられている。層間絶縁膜30上に配線層36が設けられ、配線層36上に保護膜38が設けられている。ビットライン14と配線層36はワードライン20を複数本越える毎に、絶縁膜ライン18および層間絶縁膜30に形成されたコンタクトホール32により接続している。コンタクトホール32にはプラグ金属34が埋め込まれている。
【0041】
実施例1に係るフラッシュメモリにおいては、ビットライン14間でありワードライン20間の半導体基板10に形成されたトレンチ部22を具備している。これにより、従来技術1のように、ワードライン20の両側の半導体基板10中に電流が流れることはなく、ワードライン20両側のONO膜12に電荷がトラップされることはない。よって、ワードライン20間隔を狭くすることができ、メモリセルの微細化が可能となる。
【0042】
従来技術2のようにワードラインが1層の場合、絶縁膜ライン18を概垂直な形状とすることが難しい。絶縁膜ライン18間へのワードライン20の埋込性が悪くなるためである。そこで、実施例1のように、ゲート電極16が絶縁膜ライン18間に設けられ、その上にワードライン20を重ねて接するように設ける。これにより、従来技術2の課題を解決することができる。また、ゲート電極16とワードライン20が接して設けられている。これにより、後の製造方法の説明で述べるように、トレンチ部22を形成する際、従来技術3のように、複雑なエッチングをする必要がなくなる。
【0043】
従来技術2および3のように絶縁膜ラインを熱酸化膜で形成すると、絶縁膜ライン18の側面は斜面となり、バーズビークによりチャネル幅が狭くなり、メモリセルの微細化が難しい。そこで、実施例1のように、絶縁膜ライン18の幅方向側面を、半導体基板10の表面に対し概垂直とすることが好ましい。概垂直とは、LOCOS構造の熱酸化シリコン膜を形成したのに比べ垂直に形成すことである。これにより、バーズビークが発生することなく、メモリセルの微細化が可能となる。
【0044】
また、絶縁膜ライン18は絶縁性があればよいが、実施例1のように絶縁膜ライン18は酸化シリコン膜を含むことが好ましい。これにより、トレンチ部22を形成する際、シリコン半導体基板10とのエッチングの選択比を大きくすることができる。
【0045】
さらに、実施例1のようにトレンチ部22上に絶縁膜層24を設けることが好ましい。これにより、チャネル間を確実に絶縁することができる。また、実施例1のように絶縁膜ライン18を酸化シリコン膜、絶縁膜層22を窒化シリコン膜とすることにより、酸化シリコン膜を窒化シリコン膜に対し選択的にエッチングを行うことができる。これにより、ビットライン14とコンタクトホールの露光時の合わせ余裕を確保する必要がなくメモリセルを微細化することができる。
【0046】
さらに、半導体基板10とゲート電極16の間にONO膜12を設けられている。このように、ONO膜12を有するフラッシュメモリにおいて、ワードライン20両側のONO膜12への電荷のトラップを抑制することができる。
【0047】
次に、
図7ないし
図12を用い実施例1に係るフラッシュメモリの製造方法について説明する。
図7ないし
図11は、各図(a)が
図4のA−A断面に相当する断面図であり、各図(b)が
図4のB−B断面に相当する断面図であり、各図(c)が
図4のD−D断面に相当する断面図である。
図12は
図4のC−C断面に相当する断面図である。
【0048】
図7を参照し、P型シリコン半導体基板10(または半導体基板内のP型領域)上にONO膜12として、トンネル酸化膜(酸化シリコン膜)を熱酸化法で、トラップ層(窒化シリコン膜)、トップ酸化膜(酸化シリコン膜)をCVD法で形成する。ONO膜12上に、ゲート電極16を構成すべき第1の金属層16aとして多結晶シリコン膜を形成する。第1の金属層16a上にビットライン14を形成する領域に開口部を設けたフォトレジスト44を形成する。フォトレジスト44をマスクに第1の金属層16aおよびONO膜12をエッチングし、開口部48を形成する。これにより、
図7(a)および(b)のように、ビットライン14および絶縁膜ライン18を形成すべき領域に開口部48が形成される。
図7(c)のように、ビットライン14が形成されるビットライン14間には連続して、第1の金属層16aが設けられている。開口部48の側面は、半導体基板10の表面に対し概垂直に形成する。なお、第1の金属層16aの膜厚は100nm、開口部48の幅(すなわちビットライン幅)は70nm、ビットライン間距離は160nmである。
【0049】
図8を参照し、フォトレジスト44をマスクに半導体基板10に例えば砒素をイオン注入し、フォトレジスト44を除去する。その後熱処理することにより、半導体基板10内にN型のビットライン14を形成する。高密度プラズマ型のCVD装置により、開口部48を埋め込むように、開口部48と第1の金属層16a上に、約180nmの膜厚を有する酸化シリコン膜層を堆積させる。高密度プラズマ型のCVD装置を用いることにより、アスペクト比が2.7と大きい開口部48にも確実に酸化シリコン膜18を埋め込むことができる。CMP法を用い、酸化シリコン膜層を第1の金属層16aまで研磨する。これにより、ビットライン14上に開口部48に埋め込まれた絶縁膜ライン18が形成される。なお、このとき、第1の金属層16aの膜厚は約90nmとなる。
【0050】
このように、ビットライン14と絶縁膜ライン18がセルフアラインで形成することができる。よって、絶縁膜ライン18をビットライン14の長手方向に連続して形成することができる。また、絶縁膜ライン18を開口部48内に形成することにより、絶縁膜ライン18の側面を半導体基板10に対し、概垂直とすることができる。これにより、メモリセルの微細化が可能となる。さらに、CVD法により絶縁膜ラインを形成することにより、バーズビークが発生することがなく、メモリセルの一層の微細化が可能となる。
【0051】
図9を参照し、絶縁膜ライン18および第1の金属層16a上にワードライン20を構成すべき第2の金属層20aを多結晶シリコン膜を用い形成する。第2の金属層20a上に、ワードライン20を形成する領域以外に開口部を設けたフォトレジスト46を形成する。
図9(a)のように、ワードライン12間となるべき領域にはフォトレジスト46は形成されておらず、
図9(b)のように、ワードライン12となるべき領域にはフォトレジスト46が形成される。なお、第2の金属層20aの膜厚(すなわちワードラインの膜厚)は100nm、ワードライン幅は75nm、ワードライン間隔は75nmである。
【0052】
図10を参照し、フォトレジスト46をマスクに、第2の金属層20a、第1の金属層16aおよびONO膜12をエッチングする。さらに、ビットライン14間でありワードライン20間の半導体基板10に深さ40nmのトレンチ部22を形成する。このとき、
図10(a)のように、ワードライン20間の領域では、第2の金属層20aおよびビットライン14間の第1の金属層16aがエッチングされる。さらに、ビットライン14間の半導体基板10にトレンチ部22が形成される。ビットライン14上には絶縁膜ライン18が設けてある。絶縁膜ライン18は、酸化シリコン膜で構成されている。そこで、酸化シリコン膜に対し多結晶シリコン膜等からなる第2の金属層20aおよび第1の金属層16aを選択的にエッチングすることにより、絶縁膜ライン18を残存させることができる。これにより、半導体基板10にトレンチ部22を形成する際も、ビットライン14がエッチングされることを防止することができる。
【0053】
図10(b)のように、ワードライン20を形成する領域は第1の金属層16aおよび第2の金属層20aが残存し、ゲート電極16およびワードライン20となる。よって、ビットライン14間の半導体基板10上にゲート電極16が形成され、ゲート電極16に接し、ビットライン14幅方向に延在するワードライン20が形成される。さらに、ビットライン14の間でありワードライン20の間の半導体基板10にトレンチ部22が形成される。トレンチ部22の形成は少なくとも絶縁膜ライン18をマスクに半導体基板10をエッチングすることにより形成される。
【0054】
従来技術3のように、第1の金属層16aと第2の金属層20aの間に酸化シリコン膜がある場合、第2の金属膜20aエッチング後、この酸化シリコン膜で停止してしまうか、エッチングに時間がかかってしまう。そこで、酸化シリコン膜のエッチングを別条件で行い、さらに、第1の金属層16aをエッチングする必要があった。実施例1では、ゲート電極16上にワードライン20、すなわち第1の金属層16a上に第2の金属層20aを接して設けることにより、ONO膜12まで、連続してエッチングを行うことができ、上記複雑なエッチングは必要としない。
【0055】
以上、説明したように、第1の金属層16aに形成された開口部48により、ビットライン14と絶縁膜ライン18をセルフアラインで形成する。さらに、その上に、第2の金属層20aを形成する。そして、ワードライン20、ゲート電極16およびトレンチ部22を形成するためのエッチングを、同一のマスクを用い行う。これにより、ワードライン20、ゲート金属16およびトレンチ部22がセルフアラインで形成できる。よって、製造工程の削減を行うことができる。さらに、露光時の合わせずれを考慮する必要がなくメモリセルの微細化を行うことができる。
【0056】
図11を参照し、トレンチ部22上に、トレンチ部22を埋め込むように絶縁膜層24として膜厚100nmの窒化シリコン膜をCVD法または高密度プラズマ型のCVD装置で形成する。その後、全面をエッチングする、またはCMP法を用い研磨することにより、絶縁膜層24が埋め込まれる。絶縁膜層24により、ワードライン20下のチャネル間をより確実に素子分離することができる。
【0057】
次に、
図12を参照し、コンタクトホール32を形成する領域について説明する。
図12(a)は
図11と同じ製造工程の図である。コンタクトホールを形成する前は、
図4のA−A断面に相当する
図11(a)と同じ構成の断面となる。
図12(b)を参照し、絶縁膜層24および絶縁膜ライン18上に層間絶縁膜30として例えばBPSG(Boro-Phospho Silicated Glass)等の酸化シリコン膜をCVD法を用い形成する。フォトレジストをマスクに、層間絶縁膜30および絶縁膜層24の間の絶縁膜ライン18をエッチングし、ビットライン14に接続するコンタクトホール32を形成する。
【0058】
層間絶縁膜30および絶縁膜ライン18は酸化シリコン膜であり、絶縁膜層24は窒化シリコン膜である。そのため、酸化シリコン膜を窒化シリコン膜に対し選択的にエッチングを行うことができる。これにより、コンタクトホール32を形成するフォトレジストの開口部がビットライン14からずれた場合であっても、コンタクトホール32がビットライン14から外れて形成されることはない。コンタクトホール32がビットライン14から外れて形成されると、ビットライン14と半導体基板10間に接合電流が流れしまう。実施例1ではこれを防止することができる。これにより、ビットライン14とコンタクトホールの露光時の合わせ余裕を確保する必要がなくメモリセルを微細化することができる。
【0059】
図12(c)を参照し、コンタクトホール32内に、例えばTi/WNまたはTi/TiN並びにW等の金属を埋め込み、プラグ金属34を形成する。その後、配線層36の形成、保護膜38の形成を行い、実施例1にかかるフラッシュメモリが完成する。
【実施例4】
【0065】
実施例4はトレンチ部22の側面に側壁28を形成し、チャネルカット領域40を設けた例である。
図18および
図19は実施例4に係るフラッシュメモリの製造方法を示す図である。各図(a)は
図4のA−A断面に相当する断面図であり、各図(b)は
図4のD−D断面に相当する断面図である。
図18を参照し、まず、実施例1と同様に
図10までの製造工程を行う。実施例1と同じ構成要素は同じ符号を付し、説明を省略する。その後、サイドウォール法を用い、トレンチ部22の側面に側壁28を形成する。側壁28の幅は、例えば15nmとする。側壁28は例えば酸化シリコン膜または窒化シリコン膜で形成する。絶縁膜ライン18、ワードライン20および側壁28をマスクに、半導体基板10に例えばボロンを実施例3と同じ条件でイオン注入し、その後熱処理する。これにより、P型(ビットライン14と反対導電型)のチャネルカット領域40を形成する。
【0066】
図19を参照に、実施例1の
図11と同様に、トレンチ部22上に絶縁膜層24として窒化シリコン膜を形成する。その後、実施例1の
図12と同じ工程を行うことにより実施例4に係るフラッシュメモリが完成する。
【0067】
実施例4に係るフラッシュメモリは実施例3と同様の効果を得ることができる。加えて、実施例4に係るフラッシュメモリは、チャネルカット領域40とチャネルの距離を確保することができるため、P型領域からの空乏層により、チャネルが狭くなることを防止することができる。さらに、絶縁膜ライン18、ワードライン20および側壁28をマスクにチャネルカット領域40を形成しているため、チャネルカット領域40をトレンチ部22とセルフアラインに形成することができる。よって、製造工程の削減を行うことができる。また、露光時の合わせずれを考慮する必要がなくメモリセルの微細化を行うことができる。
【0068】
なお、実施例2のようにバリア層26を有するフラッシュメモリに、実施例3または実施例4のようなチャネルカット領域40を設けることもできる。
【0069】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。