(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、光源装置が感光体を露光して感光体上に静電潜像を形成し、現像器が静電潜像を現像して感光体上にトナー像を形成する。画像形成装置は、このトナー像をシートに転写する。
【0003】
画像形成装置において、光源装置としてLEDヘッド (LED:Light Emitting Diode) を用いるものがある。LEDヘッドは、発光素子とレンズアレイとを備える。LEDヘッドのレンズアレイは、感光体に近接した位置にあるため、その光出射面はトナーや紙粉等の異物が付着しやすい。レンズアレイの光出射面が異物により汚れると、画像むらが生じて画像品質の低下を招く。そのため、画像形成装置では、レンズアレイの光出射面の清掃装置が設けられることがある。
【0004】
清掃装置では、レンズアレイの光出射面を、布等が設けられた清掃部を往復させることにより清掃する。ところが、清掃装置では、往路で清掃部により捕獲したレンズアレイ上の異物が、復路にて清掃部からレンズアレイ上に再付着するおそれがあり、清掃能力の向上が課題であった。
【0005】
この課題を解決する装置として、清掃部として、レンズアレイの光出射面にエッジが当接する第1清掃部と、レンズアレイの光出射面に面接触する第2清掃部と、を用いるものが提案されている(例えば、特許文献1)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、画像形成装置100の内部構成を示す図である。
画像形成装置100は、MFP(Multi Function Peripheral)であり、読取部31、給紙カセット32、画像形成部33、定着器34、および不図示の制御部を備える。読取部31は、原稿台311上のシートを読み取る。給紙カセット32は、シートを収納する。画像形成部33は、給紙カセット32から取り出されたシートに画像を形成する。
【0012】
画像形成部33は、感光体10、レンズユニット11、現像器13、駆動ローラ101、1次転写ローラ14、転写ベルト30、2次転写対向ローラ102、および2次転写ローラ103を備える。画像形成装置100の転写定着方式は4連タンデム型となっており、前記各部材10、11、13、14は、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の画像形成用毎にある。
【0013】
感光体10は、外周面がOPC(Organic Photo Conductor)等の感光面となっており、レンズユニット11および現像器13により感光面上にトナー像が形成され、該トナー像を担持する。
レンズユニット11は、感光体10の周囲にあり、感光体10を露光し感光体10上に静電潜像を形成する。
【0014】
Y〜K用の現像器13は、内部にそれぞれY〜Kのトナーを収容する。現像器13は、内部に収容するトナーをマグネットローラ12により感光体10上の静電潜像に供給する。これにより、現像器13は、Y〜Kの感光体10上の静電潜像を現像し、感光体10上にY〜Kのトナー像を形成する。
【0015】
駆動ローラ101は、転写ベルト30を
図1中反時計方向に駆動する。
Y〜Kの感光体10上のトナー像は、各1次転写ローラ14による転写バイアス電圧により転写ベルト30上の同一位置に順次転写され、重ねられる。これにより、転写ベルト30上に1枚のカラートナー像が形成される。
【0016】
2次転写対向ローラ102および2次転写ローラ103の間には、給紙カセット32からシートが搬送される。転写ベルト30上のトナー像は、2次転写対向ローラ102および2次転写ローラ103の間にて、2次転写ローラ103による転写バイアス電圧によりシートに転写される。画像が転写されたシートは、定着器34にて加熱押圧されて画像が定着した後、排紙部35に排紙される。
【0017】
不図示の制御部は、CPU(Central Processing Unit)、CPUに読み出される各種のプログラムを格納するメモリ、および各種の機能を実現する専用回路であるASIC(Application Specific Integrated Circuit)を備え、画像形成装置1全体を制御する。
【0018】
図2は、画像形成時のY〜K用の各現像器13およびLEDヘッド111の位置を示す図、
図3は、メンテナンス時のY〜K用の各現像器13およびLEDヘッド111の位置を示す図である。
現像器13は、
図2、3に示すように、画像形成装置100のメンテナンス時には、不図示の駆動機構により、回動中心131を中心に感光体10からマグネットローラ12が離間する方向(
図3中反時計方向)に回動する。なお、メンテナンス時とは、例えば印刷ジョブの非実行時を指す。
【0019】
レンズユニット11は、LEDヘッド111(光源装置)、清掃棒4(
図3)、LEDヘッド111を収納するケース110、および清掃棒4を駆動する不図示の近接離間機構を備える。
【0020】
LEDヘッド111は感光体10を露光する。LEDヘッド111は、
図2の紙面垂直方向である走査方向(第1方向)にLEDが配列されたLEDアレイ112(発光素子)と、走査方向に延び、LEDアレイ112の各LEDが出射する各光を感光体10表面に結像させるレンズアレイ113(清掃対象物)とを備える。レンズアレイ113の感光体10との対向面は、光を出射する光出射面114である。レンズアレイ113は、LEDアレイ112から突出する。
【0021】
不図示の近接離間機構は、画像形成時には、LEDヘッド111を
図2に示す感光体10に近接する露光位置に位置づける。近接離間機構は、メンテナンス時には、LEDヘッド111を、感光体10から前記露光位置より離れた
図3に示す待機位置に移動させる。
清掃棒4は、メンテナンス時にレンズアレイ113と感光体10との隙間S1に入り込み、レンズアレイ113の光出射面114を清掃する。
【0022】
図4は、清掃棒4の斜視図である。
清掃棒4は、長手状であり、先端部に回動部材5を備える。回動部材5は、後述する第1清掃部6および第2清掃部7を備える(
図5参照)。清掃棒4は、不図示の駆動機構によりY方向にスライド移動し、すなわちレンズアレイ113に沿って往復動し、第1、第2清掃部6,7を用いてレンズアレイ113の光出射面114を清掃する。
【0023】
以下、清掃棒4の長手方向を+−Y方向(第1方向)とし、Y方向と直交する清掃棒4の幅方向を+−X方向(第2方向)とし、XY方向と直交する方向をZ方向(第3方向)とする。なお、Y方向は走査方向であり、X方向は副走査方向である。+Z方向は、感光体10の径方向において感光体10に近接する方向であり、−Z方向は、感光体10の径方向において感光体10から離間する方向である。
【0024】
図5は、清掃棒4の構成を示す側面図である。
清掃棒4は、回動部材5および保持部材8を備える。
回動部材5は、板状の本体部51と、本体部51の幅方向であるX方向両側にある円柱状の軸部52、およびY方向において軸部52を挟んで軸部52の両側にある第1、第2清掃部6、7を備える。
【0025】
本体部51において軸部52の+Y方向側には、−Z方向に膨出する円弧状部511があり、軸部52の−Y方向側には、第2清掃部7を−Z方向に支持する支持部512がある。
【0026】
第1清掃部6は、前記円弧状部511、および円弧状部511の−Z方向側の面に取り付けられる布状部材61を備える。布状部材61は、布や不織布等の柔らかい素材からなる。このように、第1清掃部6は、レンズアレイ113上の異物を拭くことが可能となっている。なお、レンズアレイ113上の異物を拭くとは、第1清掃部6をレンズアレイ113の表面にこすって異物を第1清掃部6に付着させ、異物をレンズアレイ113上から取り去ることを指す。第1清掃部6の−Z方向側の面において+Y方向先端側は、軸部52側(−Y方向先端側)に進むに従って−Z方向に延びる円弧状の乗り上げ面62となっている。
【0027】
このように、第1清掃部6は、円弧状の乗り上げ面6
2を有する形状であり、レンズアレイ113のエッジ115に当たる際に+Z方向に逃げやすい形状となっている。第1清掃部6のX方向の長さは、レンズアレイ113の光出射面114のX方向の長さと同様の長さである。なお、エッジ115とは、レンズアレイ113の光出射面114における−Y方向端を指す。
【0028】
第2清掃部7は、前記支持部512、およびブレード状部材71を備える。ブレード状部材71は、平面視矩形の薄板状であり、可撓性を有する。ブレード状部材71は、布状部材61より硬く、かつレンズアレイ113のエッジ115に当接しても削れない程度に硬い。ブレード状部材71のX方向の長さは、レンズアレイ113の光出射面114のX方向の長さと同様の長さである。第2清掃部7は、レンズアレイ113上の異物を掃くことが可能となっている。なお、レンズアレイ113上の異物を掃くとは、第2清掃部7(ブレード状部材71)をレンズアレイ113の表面に当接または近接させながら移動させることにより、異物を移動させることを指す。
【0029】
清掃棒4のホームポジションは、回動部材5がレンズアレイ113の側方に位置する
図5の位置である。ブレード状部材71は、清掃棒4がホームポジションにある際、先端がLEDアレイ112の+Z側の面から離れる長さである。
【0030】
保持部材8は、回動部材5のX方向両側に位置しY方向に延びる一対の側板81を備える。側板81において回動部材5のX方向両側に位置する部分には長穴部82がある。長穴部82は、Y方向に進むに従ってZ方向に延びる。長穴部82には軸部52が差し込まれる。長穴部82は、軸部52をZ方向側に移動可能に保持する。
【0031】
画像形成装置100のメンテナンス時において清掃棒4によりレンズアレイ113を清掃する際、清掃棒4は、まずホームポジションからレンズアレイ113に向かって+Y方向に移動する。ここで、回動部材5は、清掃棒4がホームポジションにあり、第1、第2清掃部6、7がレンズアレイ113に当接していない状態では、支点としての軸部52を中心にシーソのように時計回りや反時計回りに自由に回動できる。
【0032】
そのため、清掃棒4が+Y方向に移動し、
図6に示すように、第1清掃部6がレンズアレイ113のエッジ115に当接すると、第1清掃部6は、エッジ115に引っ掛かることなくレンズアレイ113上に逃げることができる。しかしながら、この状態では第1清掃部6は、レンズアレイ113の表面にしっかりと抑えつけられてはおらず、十分な清掃能力を発揮できない。
【0033】
清掃棒4がさらに+Y方向に移動すると、
図7に示すように、第2清掃部7(ブレード状部材71)が撓みながらレンズアレイ113上に乗りあげる。第2清掃部7が進行方向の基端側(−Y方向側)に来る姿勢で清掃棒4が+Y方向に移動する
図7の往路では、第2清掃部7が撓んで両第1、第2清掃部6,7がレンズアレイ113に接触することとなる。また、軸部
52が長穴部82の−Y方向側に案内されて長穴部82から−Z方向側に力を受けることとなる。
【0034】
これらにより、往路においては、2つの第1、第2清掃部6、7は圧力が釣り合った状態で共にレンズアレイ113に当接することとなるため、清掃棒4は、これら2つの第1、第2清掃部6、7に十分な荷重を加えながら清掃できる。清掃棒4は、第2清掃部7がレンズアレイ113上から外れる位置まで+Y方向に移動する。
【0035】
このようにして、往路では、清掃棒4は、第1清掃部6によってレンズアレイ113上の異物を拭くとともに、第2清掃部7によって異物をレンズアレイ113表面外に掃き出すことができ、拭き掃除と掃き掃除の両方を行う。
【0036】
レンズアレイ113上の異物を第1清掃部6で拭くと、異物を拭き取れても第1清掃部6の繊維がレンズアレイ113上に付着する可能性がある。しかしながら、本実施形態では、第1清掃部6でレンズアレイ113上の異物を拭いた後、第2清掃部7でレンズアレイ113上を掃くので、第1清掃部6の繊維がレンズアレイ113に付着することを防止できる。
【0037】
図8は、清掃棒4の復路の清掃状態を示す図である。
清掃棒4は、第2清掃部7をレンズアレイ113より+Y方向側に移動させた後、復路としてレンズアレイ113上を−Y方向へ移動し、レンズアレイ113表面を再度清掃しながらホームポジションに戻る。
【0038】
具体的に、第2清掃部7が進行方向先端側に来る姿勢で清掃棒4が−Y方向に移動すると、進行方向先端側の第2清掃部7(ブレード状部材71)が撓む。同時に、軸部52は、長穴部82の+Y方向に案内されて+Z方向側に移動するとともに、長穴部82から+Z方向側に力を受ける。これらにより、復路では、進行方向基端側の第1清掃部6がレンズアレイ113から浮いた状態となるので、清掃棒4は、第1清掃部6からレンズアレイ113への繊維の付着を防止しながら第2清掃部7のみによりレンズアレイ113上を清掃できる。
【0039】
以上のように、本実施形態の清掃棒4は、LEDヘッド111上をスライド移動させるだけで、自動的に第1、第2清掃部6、7がレンズアレイ113上に乗り上げるとともに十分な荷重でレンズアレイ113表面に当接する。そのため、清掃棒4は、これら第1、第2清掃部6、7によりレンズアレイ113上の異物の拭き取りおよび掃き出しを十分に行うことができる。従って、清掃棒4は、感光体10とLEDヘッド111との間の高さが小さい空間において、長物であるLEDヘッド111の清掃に有効である。
【0040】
また、本実施形態では、第1、第2清掃部6、7をレンズアレイ113上に乗り上げさせるとともに十分な荷重でレンズアレイ113表面に当接させるための機構が簡素であり、かつ感光体10とLEDヘッド111の間の高さの小さい空間内に収まるので、本実施形態は小型化かつ低コスト化を図ることが可能である。
【0041】
(変形例)
前記実施形態では、保持部材8の先端側に、布状部材61を備える第1清掃部6があり、第2清掃部7は、第1清掃部6より保持部材8の基端側にあった。しかしながら、保持部材8の先端側に第2清掃部7があり、第1清掃部6が保持部材8の基端側にあってもよい。この場合、往路で第2清掃部7によりレンズアレイ113上の異物をレンズアレイ113表面外へ掃き出した後、復路で、異物の少なくなったレンズアレイ113上の異物の拭き取りおよび掃き出しを第1、第2清掃部6、7により行うので、第1清掃部6への異物の付着を抑えることができ、第1清掃部6からレンズアレイ113への異物の再付着を抑制できる。
【0042】
前記実施形態では、長穴部82はYZ方向に延びていたが、Z方向に延びていてもよい。前記実施形態では、長穴部82は、直線状に延びる部分のみから構成されていたが、曲線状の部分を備えていてもよい。
【0043】
図9は、第1清掃部6Aの乗り上げ面62Aを示す図である。
レンズアレイ113のエッジ115に当たる乗り上げ面62Aは、軸部52側に進むに従って−Z方向に延びるテーパ状であってもよい。
【0044】
図10は、第2清掃部7Aのブレード状部材71Aの正面図、
図11は、第2清掃部7Aによる異物の掃き方を示す図である。
ブレード状部材71Aは、レンズアレイ113に当たる−Z方向側のエッジ72がXZ方向に傾斜していてもよい。このようにすれば、第2清掃部7は、清掃時にブレード状部材71Aがレンズアレイ113に斜めに当たることとなる。そのため、第2清掃部7は、清掃棒4がY方向に移動することで、自動的に異物をX方向側(例えば+X方向側)に掃くことができ、異物を自動的にレンズアレイ113の表面外に掃き出すことができる。
【0045】
前記実施形態では清掃棒4の清掃対象物としてLEDヘッド111のレンズアレイ113を例示したが、清掃対象物は他のものであってもよい。
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、すべて本発明の範囲内のものである。