特許第5657725号(P5657725)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5657725
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】清掃棒、レンズユニット、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/447 20060101AFI20141225BHJP
   B41J 2/45 20060101ALI20141225BHJP
   G03G 15/04 20060101ALI20141225BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20141225BHJP
   H04N 1/036 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
   B41J2/447 101F
   B41J2/447 101C
   B41J2/45
   G03G15/04 111
   G03G21/00 310
   H04N1/036 A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-49298(P2013-49298)
(22)【出願日】2013年3月12日
(65)【公開番号】特開2013-216090(P2013-216090A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2013年9月13日
(31)【優先権主張番号】61/622,701
(32)【優先日】2012年4月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 丈嗣
【審査官】 名取 乾治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−254137(JP,A)
【文献】 特開2005−041147(JP,A)
【文献】 特開2009−122427(JP,A)
【文献】 特開2012−025130(JP,A)
【文献】 特開2008−018690(JP,A)
【文献】 特開2006−139000(JP,A)
【文献】 特開2010−105342(JP,A)
【文献】 特開2010−052156(JP,A)
【文献】 特開2010−234558(JP,A)
【文献】 特開2001−162835(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0100225(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/447
B41J 2/45
G03G 15/04
G03G 21/10
H04N 1/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向両側にある軸部と、長手方向において前記軸部の一方側にあり、第1乗り上げ面を備えて清掃対象物上の異物を拭くことが可能な第1清掃部と前記長手方向において前記軸部の他方側にあり、清掃対象物上の異物を掃くことが可能第2清掃部、を備える回動部材と、
前記軸部が差し込まれる穴部を前記回動部材の前記幅方向両側に備えて前記回動部材を回動可能に保持し、前記幅方向と直交し前記清掃対象物側に向かう第1方向にスライド移動する保持部材と、を備え、
前記第1乗り上げ面は、前記第1方向において前記軸部から離れるに従って前記第1方向および前記幅方向との直交方向に延びるテーパ状または弧状であり、前記保持部材が前記第1方向にスライド移動すると前記清掃対象物に当たることにより前記回動部材を回動させて前記第1清掃部を前記清掃対象物上に乗り上げさせる
ことを特徴とする清掃棒。
【請求項2】
請求項1に記載の清掃棒において、
前記第2清掃部は、前記第1清掃部よりも重く、前記第1清掃部が前記第1方向先端側に来る姿勢で前記保持部材が前記清掃対象物の側方から前記第1方向にスライド移動する際に、前記第1清掃部を鉛直方向上向きに位置させた状態にする
ことを特徴とする清掃棒。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の清掃棒において、
前記第2清掃部は、前記保持部材が前記清掃対象物側に向かう前記第1方向にスライド移動すると前記清掃対象物に当たることにより前記回動部材を回動させて前記第2清掃部を前記清掃対象物上に乗り上げさせる第2乗り上げ面であって、前記第1方向において前記軸部から離れるに従って前記第1方向および前記幅方向との直交方向に延びるテーパ状または弧状の第2乗り上げ面を備える
ことを特徴とする清掃棒。
【請求項4】
前記第1方向に延びる発光素子と、前記第1方向に延び、前記発光素子が出射する光が通過するレンズアレイと、を備える光源装置と、
前記レンズアレイの光出射面を清掃する請求項1から請求項3のいずれかに記載の清掃棒と、
を備えることを特徴とするレンズユニット。
【請求項5】
トナー像を担持する感光体と、
前記感光体の周囲にあり、前記感光体を露光し前記感光体上に静電潜像を形成する請求項4に記載のレンズユニットと、
前記静電潜像を現像し、前記感光体上に前記トナー像を形成する現像器と、
前記光源装置を、露光位置と、前記感光体から前記露光位置より離れた待機位置とに移動させる近接離間機構と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書に記載の実施形態は、清掃対象物のエッジへの清掃部の引っ掛かりを抑制できる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、光源装置が感光体を露光して感光体上に静電潜像を形成する。現像器がこの静電潜像を現像し、感光体上にトナー像を形成する。画像形成装置は、感光体上のトナー像をシートに転写する。
【0003】
画像形成装置において、光源装置としてLEDヘッド (LED:Light Emitting Diode) を用いるものがある。LEDヘッドは、発光素子とレンズアレイとを備える。LEDヘッドのレンズアレイは、感光体に近接した位置にあるため、その光出射面はトナーや紙粉等の異物が付着しやすい。レンズアレイの光出射面が異物により汚れると、画像むらが生じて画像品質の低下を招く。
【0004】
そこで、レンズアレイの長手方向一端側から布状部材を光射出面に当てて長手方向他端側へ向かって光出射面を拭くことで光射出面上の異物を除去できるが、レンズアレイ端部のエッジが尖っていると、エッジに布状部材が引っ掛かり、清掃作業が煩雑になるという問題がある。また、エッジに引っ掛かった布状部材が破れ、破れた部分から生じる繊維がレンズアレイに付着して画像むらが生じ、画像品質の低下を招くという問題がある。
【0005】
これらの問題を解決する技術として、エッジを丸みた樹脂カバーをレンズアレイ端部に取り付けることで、レンズアレイ端部での布状部材の引っ掛かりを防ぐものがある(例えば、特許文献1)。また、上記問題を解決する技術として、レンズアレイの光出射面を清掃部により自動で清掃する清掃装置を設けるとともに、この清掃装置に、エッジを乗り越えさせてから清掃部を光出射面に当接させる機構を設けたものがある(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−52156号公報
【特許文献2】特開2005−41147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これらの特許文献1、2では、レンズアレイ端部に取り付ける樹脂カバーや、エッジを乗り越えさせてから清掃部を光出射面に当接させる機構が必要であり、清掃部とは別の要素部が必要となるという問題がある。また、近年、機体の小型化が進んでいるため、これらの要素部を配置するスペースを確保するのが難しいという問題もある。
【0008】
この明細書は、清掃対象物のエッジへの清掃部の引っ掛かりを抑制するものであって、小型化を図ることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一般に、実施形態によれば、清掃棒は、回動部材と、保持部材と、を備える。回動部材は、幅方向両側にある軸部と、長手方向において軸部の一方側にあり、第1乗り上げ面を備えて清掃対象物上の異物を拭くことが可能な第1清掃部と長手方向において軸部の他方側にあり、清掃対象物上の異物を掃くことが可能第2清掃部、を備える。保持部材は、軸部が差し込まれる穴部を回動部材の幅方向両側に備えて回動部材を回動可能に保持し、幅方向と直交し清掃対象物側に向かう第1方向にスライド移動する第1乗り上げ面は、第1方向において軸部から離れるに従って第1方向および幅方向との直交方向に延びるテーパ状または弧状の乗り上げ面であり、保持部材が第1方向にスライド移動すると清掃対象物に当たることにより回動部材を回動させて第1清掃部を清掃対象物上に乗り上げさせる
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の画像形成装置の内部構成を示す図である。
図2】画像形成時の現像器およびLEDヘッドの位置を示す図である。
図3】メンテナンス時の現像器およびLEDヘッドの位置を示す図である。
図4】清掃棒の斜視図である。
図5】清掃棒の構成を示す側面図
図6】第1清掃部がレンズアレイに乗り上げる様子を示す図である。
図7】第1、第2清掃部による清掃状態を示す図である。
図8】第2実施形態の清掃棒の構成を示す側面図である。
図9】第1清掃部がレンズアレイに乗り上げる様子を示す図である。
図10】清掃棒の往路の清掃状態を示す図である。
図11】清掃棒の復路の清掃状態を示す図である。
図12】第1、第2清掃部の乗り上げ面の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
図1は、画像形成装置100の内部構成を示す図である。
画像形成装置100は、MFP(Multi Function Peripheral)であり、読取部31、給紙カセット32、画像形成部33、定着器34、および不図示の制御部を備える。読取部31は、原稿台311上のシートを読み取る。給紙カセット32は、シートを収納する。画像形成部33は、給紙カセット32から取り出されたシートに画像を形成する。
【0012】
画像形成部33は、感光体10、レンズユニット11、現像器13、駆動ローラ101、1次転写ローラ14、転写ベルト30、2次転写対向ローラ102、および2次転写ローラ103を備える。画像形成装置100の転写定着方式は4連タンデム型となっており、前記各部材10、11、13、14は、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の画像形成用毎にある。
【0013】
感光体10は、外周面がOPC(Organic Photo Conductor)等の感光面となっており、レンズユニット11および現像器13により感光面上にトナー像が形成され、該トナー像を担持する。
レンズユニット11は、感光体10の周囲にあり、感光体10を露光し感光体10上に静電潜像を形成する。
【0014】
Y〜K用の現像器13は、内部にそれぞれY〜Kのトナーを収容する。現像器13は、内部に収容するトナーをマグネットローラ12により感光体10上の静電潜像に供給する。これにより、現像器13は、Y〜Kの感光体10上の静電潜像を現像し、感光体10上にY〜Kのトナー像を形成する。
【0015】
駆動ローラ101は、転写ベルト30を図1中反時計方向に駆動する。
Y〜Kの感光体10上のトナー像は、各1次転写ローラ14による転写バイアス電圧により転写ベルト30上の同一位置に順次転写され、重ねられる。これにより、転写ベルト30上に1枚のカラートナー像が形成される。
【0016】
2次転写対向ローラ102および2次転写ローラ103の間には、給紙カセット32からシートが搬送される。転写ベルト30上のトナー像は、2次転写対向ローラ102および2次転写ローラ103の間にて、2次転写ローラ103による転写バイアス電圧によりシートに転写される。画像が転写されたシートは、定着器34にて加熱押圧されて画像が定着した後、排紙部35に排紙される。
【0017】
不図示の制御部は、CPU(Central Processing Unit)、CPUに読み出される各種のプログラムを格納するメモリ、および各種の機能を実現する専用回路であるASIC(Application Specific Integrated Circuit)を備え、画像形成装置1全体を制御する。
【0018】
図2は、画像形成時のY〜K用の各現像器13およびLEDヘッド111の位置を示す図、図3は、メンテナンス時のY〜K用の各現像器13およびLEDヘッド111の位置を示す図である。
現像器13は、図2、3に示すように、画像形成装置100のメンテナンス時には、不図示の駆動機構により、回動中心131を中心に感光体10からマグネットローラ12が離間する方向(図3中反時計方向)に回動する。なお、メンテナンス時とは、例えば印刷ジョブの非実行時を指す。
【0019】
レンズユニット11は、LEDヘッド111(光源装置)、清掃棒4(図3)、LEDヘッド111を収納するケース110、および清掃棒4を駆動する不図示の近接離間機構を備える。
【0020】
LEDヘッド111は感光体10を露光する。LEDヘッド111は、図2の紙面垂直方向である走査方向(第1方向)にLEDが配列されたLEDアレイ112(発光素子)と、走査方向に延び、LEDアレイ112の各LEDが出射する各光を感光体10表面に結像させるレンズアレイ113(清掃対象物)とを備える。レンズアレイ113の感光体10との対向面は、光を出射する光出射面114である。レンズアレイ113は、LEDアレイ112から突出する。
【0021】
不図示の近接離間機構は、画像形成時には、LEDヘッド111を図2に示す感光体10に近接する露光位置に位置づける。近接離間機構は、メンテナンス時には、LEDヘッド111を、感光体10から前記露光位置より離れた図3に示す待機位置に移動させる。
清掃棒4は、メンテナンス時にレンズアレイ113と感光体10との隙間S1に入り込み、レンズアレイ113の光出射面114を清掃する。
【0022】
図4は、清掃棒4の斜視図である。
清掃棒4は、長手状であり、先端部に回動部材5を備える。回動部材5は、後述する第1清掃部6および第2清掃部7を備える(図5参照)。清掃棒4は、不図示の駆動機構によりY方向にスライド移動し、すなわちレンズアレイ113に沿って往復動し、第1、第2清掃部6,7を用いてレンズアレイ113の光出射面114を清掃する。
【0023】
以下、清掃棒4の長手方向を+−Y方向(第1方向)とし、Y方向と直交する清掃棒4の幅方向を+−X方向(第2方向)とし、XY方向と直交する方向をZ方向(第3方向)とする。なお、Y方向は走査方向であり、X方向は副走査方向である。+Z方向は、感光体10の径方向において感光体10に近接する方向であり、−Z方向は、感光体10の径方向において感光体10から離間する方向である。本実施形態では、+Z方向は鉛直方向における上方向であり、−Z方向は鉛直方向における下方向である(図1参照)。
【0024】
図5は、清掃棒4の構成を示す側面図である。
清掃棒4は、回動部材5および保持部材8を備える。
回動部材5は、板状の本体部51と、本体部51の幅方向であるX方向両側にある円柱状の軸部52、およびY方向において軸部52を挟んで軸部52の両側にある第1、第2清掃部6、7を備える。
【0025】
本体部51において軸部52の+Y方向側は、−Z方向に膨出する弧状部511となっており、軸部52の−Y方向側は、−Z方向に膨出する弧状の第2清掃部7となっている。
【0026】
第1清掃部6は、前記弧状部511、および弧状部511の−Z方向側の面に取り付けられる布状部材61を備える。布状部材61は、布や不織布等の柔らかい素材からなる。第1清掃部6は、布状部材61によりレンズアレイ113上の異物を拭くことが可能となっている。レンズアレイ113上の異物を拭くとは、第1清掃部6をレンズアレイ113の表面にこすって異物を第1清掃部6に付着させ、異物をレンズアレイ113上から取り去ることを指す。第1清掃部6の−Z方向側の面において+Y方向先端側は、軸部52側(−Y方向先端側)に進むに従って−Z方向に延びる弧状の乗り上げ面62(第1乗り上げ面)となっている。
【0027】
第1清掃部6は、弧状の乗り上げ面62を有する形状であり、レンズアレイ113のエッジ115に当たる際に+Z方向に逃げやすい形状となっている。エッジ115とは、レンズアレイ113の光出射面114における−Y方向端を指す。
【0028】
第2清掃部7は、前述したとおり、本体部51における軸部52の−Y方向側からなり、−Z方向に弧状に膨出する。第2清掃部7は、第1清掃部6より重い。ここで、清掃棒4のホームポジションは、回動部材5がレンズアレイ113の−Y方向側に位置する図5の位置となっている。本実施形態では、第2清掃部7が第1清掃部6よりも重いので、清掃棒4がホームポジションにある際には、回動部材5は、第1清掃部6の方が第2清掃部7よりも+Z方向に位置する姿勢となる。第2清掃部7の−Z方向側の面において、+Y方向先端側は、軸部52側に進むに従って+Z方向に延びる乗り上げ面71(第2乗り上げ面)となっている。
【0029】
このような第2清掃部7は、レンズアレイ113の光出射面114に当接してレンズアレイ113上の異物を掃く。レンズアレイ113上の異物を掃くとは、第2清掃部7をレンズアレイ113の表面に当接しながら移動させることにより、異物を移動させることを指す。
第1、第2清掃部6、7のX方向の長さは、光出射面114のX方向の長さと同様である。
【0030】
保持部材8は、回動部材5のX方向両側に位置しY方向に延びる一対の側板81を備える(図4参照)。側板81において回動部材5のX方向両側に位置する部分には円径状の穴部82がある。穴部82には軸部52が差し込まれる。穴部82は、回動部材5を回動可能に保持する。
【0031】
画像形成装置100のメンテナンス時において清掃棒4によりレンズアレイ113を清掃する際、清掃棒4は、不図示の駆動機構により、ホームポジションからレンズアレイ113に向かって+Y方向にスライド移動する。ここで、回動部材5は、清掃棒4がホームポジションにあり、第1、第2清掃部6、7がレンズアレイ113に当接していない状態では、支点としての軸部52を中心にシーソのように時計回りや反時計回りに自由に回動できる。また、第1清掃部6は、弧状の乗り上げ面62を備えている。
【0032】
従って、清掃棒4が+Y方向に移動し、第1清掃部6がレンズアレイ113のエッジ115に当接すると、図6に示すように、第1清掃部6は、弧状の乗り上げ面62によってエッジ115に引っ掛かることなくレンズアレイ113上に移動することとなる。
【0033】
また、本実施形態では、第2清掃部7が第1清掃部6よりも重いので、清掃棒4がホームポジションにある際に、第1清掃部6の方が第2清掃部7よりも+Z方向に位置することとなる。これにより、本実施形態では、第1清掃部6のエッジ115での引っ掛かりをより効果的に抑制できる。
【0034】
清掃棒4が図6の位置からさらに+Y方向に移動すると、図7に示すように、第2清掃部7もレンズアレイ113上に乗りあげ、両第1、第2清掃部6,7がレンズアレイ113に接触する。2つの第1、第2清掃部6、7は、清掃棒4の+Y方向への移動に伴い、圧力が釣り合った状態でかつ十分な圧力でレンズアレイ113に当接し、レンズアレイ113上の異物を拭き取るとともに異物を+Y方向に掃く。清掃棒4は、第2清掃部7がレンズアレイ113上から外れる位置まで+Y方向に移動し、第2清掃部7によって異物をレンズアレイ113外へ掃き出す。
【0035】
以上のように、本実施形態の清掃棒4は、第1、第2清掃部6、7に弧状の乗り上げ面62,71があるとともに、回動部材5が回動可能に設けられている。そのため、本実施形態では、清掃棒4をLEDヘッド111上でスライド移動させるだけで、第1、第2清掃部6、7がエッジ115に引っ掛かることなく自動的にレンズアレイ113上に乗り上げ、これら第1、第2清掃部6、7によりレンズアレイ113上の異物の拭き取りおよび掃き出しを行うことができる。
【0036】
また、本実施形態では、第1、第2清掃部6、7をレンズアレイ113上に乗り上げさせる機構が簡素であり、かつ該機構は感光体10とLEDヘッド111の間の高さの小さい空間内に収まるので、小型化かつ低コスト化を図ることができる。
【0037】
レンズアレイ113上の異物を第1清掃部6で拭くと、異物を拭き取れても第1清掃部6の繊維がレンズアレイ113上に付着する可能性がある。しかしながら、本実施形態では、第1清掃部6でレンズアレイ113上の異物を拭いた後、第2清掃部7でレンズアレイ113上を掃くので、第1清掃部6の繊維がレンズアレイ113に付着することを防止できる。
【0038】
(第2実施形態)
図8は、第2清掃部7Aの構成を示す側面図である。
本実施形態では、清掃棒4は、レンズアレイ113上を往復して清掃する。
側板81において回動部材5のX方向両側に位置する部分には長穴部82Aがある。長穴部82Aは、Y方向に進むに従ってZ方向に延びる。長穴部82Aには軸部52が差し込まれる。長穴部82Aは、軸部52をYZ方向側に移動可能に保持する。
【0039】
第2清掃部7Aは、回動部材5の−Y方向側にある支持部512、および支持部512が支持するブレード状部材72を備える。ブレード状部材72は、平面視矩形の薄板状であり、可撓性を有する。第2清掃部7Aは、レンズアレイ113上の異物を掃くことが可能である。
【0040】
第1清掃部6の−Z方向側の面において+Y方向基端側は、軸部52側に進むに従って+Z方向に延びる弧状の乗り上げ面63となっている。乗り上げ面63は、清掃棒4が−Y方向に移動する復路において、レンズアレイ113のエッジに当接する際に第1清掃部6を円滑にレンズアレイ113上に案内する。
【0041】
清掃棒4が+Y方向に移動すると、図9に示すように、第1清掃部6がエッジ115に当接することで、回動部材5が図9中時計方向に回動するとともに、回動部材5が+Z方向に持ち上げられて軸部52が長穴部82Aの+Z方向側に案内される。これにより、第1清掃部6は、エッジ115に引っ掛かることなくレンズアレイ113上に乗り上げる。
【0042】
清掃棒4がさらに+Y方向に移動すると、図10に示すように、第2清掃部7A(ブレード状部材72)が撓みながらレンズアレイ113上に乗りあげる。清掃棒4が+Y方向に移動する図10の往路では、第2清掃部7Aが撓んで両第1、第2清掃部6,7がレンズアレイ113に接触する。また、軸部52は、長穴部82Aの−Y方向側に案内されて長穴部82Aから−Z方向側に力を受ける。
【0043】
これらにより、往路においては、2つの第1、第2清掃部6、7は圧力が釣り合った状態でかつ十分な圧力でレンズアレイ113に当接し、異物を清掃することとなる。清掃棒4は、第2清掃部7Aがレンズアレイ113上から外れる位置まで+Y方向に移動する。
【0044】
図11は、清掃棒4の復路の清掃状態を示す図である。
清掃棒4が−Y方向に移動する復路では、第2清掃部7Aが撓むのと同時に、軸部52が長穴部82Aの+Y方向に案内されて+Z方向側に移動し、長穴部82Aから+Z方向側に力を受ける。これらにより、復路では、第1清掃部6がレンズアレイ113から浮いた状態となるので、清掃棒4は、第1清掃部6からレンズアレイ113への繊維の付着を防止しながら第2清掃部7Aのみによりレンズアレイ113上を清掃できる。
【0045】
(変形例)
図12は、第1、第2清掃部6B、7Bの乗り上げ面62B、71Bを示す図である。
第1、第2清掃部6B、7Bの乗り上げ面62B、71Bは、軸部52側に進むに従って−Z方向に延びるテーパ状であってもよい。
【0046】
第2清掃部は、第1清掃部と同じ重さでもよいし、第1清掃部より軽くてもよい。
第1、第2実施形態では、清掃棒4は、光を鉛直方向上向きに出射する光射出面を清掃したが、清掃棒が、光を鉛直方向下向きに出射する光射出面を清掃する場合、第2清掃部は第1清掃部より軽くてもよい。この場合、回動部材がホームポジションにある時に、第1清掃部が鉛直方向下側にくるように回動部材を回動させることができ、レンズアレイ113のエッジに対する第1清掃部の引っ掛かりを抑制できる。
【0047】
第2実施形態では、保持部材8の先端側に、布状部材61を備える第1清掃部6Aがあり、第2清掃部7Aは、第1清掃部6Aより保持部材8の基端側にあった。しかしながら、保持部材8の先端側に第2清掃部7Aがあり、第1清掃部6Aが保持部材8の基端側にあってもよい。この場合、往路で第2清掃部7Aによりレンズアレイ113上の異物をレンズアレイ113表面外へ掃き出した後、復路で、異物の少なくなったレンズアレイ113上の異物の拭き取りおよび掃き出しを第1、第2清掃部6、7により行うので、第1清掃部6への異物の付着を抑えることができ、第1清掃部6からレンズアレイ113への異物の再付着を抑制できる。
【0048】
前記実施形態では清掃棒4の清掃対象物としてLEDヘッド111のレンズアレイ113を例示したが、清掃対象物は他のものであってもよい。
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0049】
1…画像形成装置、4…清掃棒、5…回動部材、6…第1清掃部、7…第2清掃部、8…保持部材、10…感光体、11…レンズユニット、13…現像器、52…軸部、62…第1乗り上げ面、71…第2乗り上げ面、82…長穴部(穴部)、111…LEDヘッド(光源装置)、112…LEDアレイ(発光素子)、113…レンズアレイ。
図1
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図12