(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
外傷治療装置に関連する多くの実施形態が、ここに開示されている。一般的に、外傷治療装置は、酸素のような治療ガスを用いて外傷治癒を促進するのに、用いられている。さらに、ここに開示されている実施形態は、柔軟ハウジングを有する装置に関連しているが剛性ハウジングにも容易に適用可能である。加えて、外傷治療として、高気圧療法、圧縮療法、および減圧療法が挙げられる。以下にさらに詳細に説明するように、この外傷治療装置は、可搬式であり、任意選択的に、使い捨て式になっている。
【0023】
[実施形態A]
本発明の実施形態では、柔軟式外傷治療装置は、アクセスポートを備えている。このアクセスポートによって、臨床医は、容易に被治療肢にアクセスし、該肢を調整することが可能となる。さらに、臨床医は、先行技術による剛性チャンバのアクセスポートによって行っていたのと同様の方法によって、投薬または包帯替えを行うことができる。
【0024】
図1Aは、アクセスポートおよび対応するクランプ機構を有している柔軟式外傷治療装置を示している。具体的には、柔軟式外傷治療装置10Aは、肢を受け入れる第1の端12Aおよびアクセスポートを含んでいる第2の端14Aを備えている。第1の端12Aは、どのような適切な手段によって、患者の肢の周囲を封止するようになっていてもよい。このような1つの封止手段として、後述する膨張性カフが本質的に有している機能が挙げられる。
【0025】
装置10Aは、一般的に、2枚の材料シート16A,18Aを備えている。これらの材料シートは、長軸と平行の両端で恒久的に封止されており、装置10Aの内部20Aを形成している。シート16A,18Aは、容易に膨張することができると共に、典型的には処理ガスに対して不透過性になっている、ポリマー材料またはどのような他の適切な材料から形成されていてもよい。代替的に、装置10Aは、単一シートから形成されていてもよい。単一シートは、第1の端12Aと第2の端14Aとの間の側部17Aにおいて、折り重ねられ、かつ恒久的に封止されている。この場合、シート16A,18Aは、折り重ねられた単一シートの各側面を指すことになる。肢が、第1の開端12Aを通して、2枚のシート16A,18によって形成されている内部20A内に挿入されるようになっている。2枚のシート16A,18Aは、第2の端14Aに隣接している箇所で一緒に離脱可能に封止されている。第2の端14Aにおける2枚のシート16A,18Aの封止および開封によって、アクセスポート22Aが形成されることになる。
【0026】
図1Aおよび
図2Aに示されているように、クランプ機構24Aを用いて、第2の端14Aを封止および開封し、アクセスポート22Aをもたらすようになっている。クランプ機構24Aは、細長の第1の脚25Aおよび細長の第2の脚26Aを備えている。第1の脚25Aと第2の脚26Aとの間には、一方の脚を他方の脚に対して旋回させるために、ヒンジ28Aが配置されている。第1および第2の脚25A,26Aおよびヒンジ28Aは、基部30Aによって支持されている。
【0027】
クランプ機構24Aは、成形された樹脂材料から構成されていてもよいし、またはステンレス鋼のような他の医学的に認められている材料から構成されていてもよい。クランプ機構24Aは、柔軟式装置10Aの内部20Aと接触していないので、患者に対して感染のおそれを殆どまたは全くもたらすことがない。これによって、クランプ機構24Aは、多くの場合、必要に応じて、再使用することが可能となる。さらに、クランプ機構24Aは、本発明の一実施形態では、略垂直に配置可能となっているが、どのような適切な配置、例えば、水平方向の配置または任意の望ましい角度の配置が用いられてもよい。クランプ機構24Aの一方の脚25A,26Aが他方の脚に対して移動可能になっているが、必要に応じて、いずれの脚が他方に対して移動し、いずれの脚が静止するようになっていてもよい。垂直方向の配置では、アクセスポート22Aの封止および開封中に、クランプ機構24Aを直立位置に保持するために、基部30Aが設けられている。基部30Aは、クランプ機構24Aを水平方向の配置形態または(クランプ機構を横にする、すなわち、ある角度に倒すことによって得られる)傾斜した配置形態に支持するように、構成されていてもよい。
【0028】
第2の端14Aは、クランプ機構を第2の端に連結するのを容易にするために、細長の部材、例えば、スラット32Aを備えている。スラット32Aは、装置の2枚のシートの1つの装置の端14Aに隣接する箇所に、固定してまたは離脱可能に取り付けられている。
図3Aに示されている例では、スラット32Aは、第2のシート18Aに取り付けられているものとして示されているが、第1のシート16Aに取り付けられていてもよい。スラット32Aは、概して、装置10Aの第2の端14Aの高さよりも可能な限り長くなっているかまたはより長くなっている。スラット32Aは、プラスチックのような樹脂材料から構成されていてもよいし、鋼または他の医学的に認められている材料から構成されていてもよい。従って、スラットは、柔軟であってもよいし、または剛性であってもよい。
【0029】
スラット32Aは、第2の端14Aにおいて2枚のシートの1つに取り付けられているかまたは別個に設けられている細長の部材である。好ましくは、スラット32Aは、シートがスラットをしっかり捕まえることを可能とするために、リブ、粗面、などを備えている。しかし、リブ、粗面、などは、必ずしも必要ではない。一般的に、スラット32Aは、ロッドのような細長部材であり、その周囲に、シートの第2の端14Aが巻かれるようになっている。装置の2枚のシート16A,18Aの端は、一緒にされ、スラット32Aの周囲に巻き付けられ、
図4Aに示されているように、クランプ機構24A内に配置されるようになっている。これらのシート16A,18Aは、少なくとも1回、好ましくは、2回、スラット32Aの周囲に巻き付けられるようになっている。
【0030】
図4Aおよび
図5Aに示されているように、装置10Aのスラット32Aおよび巻かれたシート16A,18Aを受け入れるために、細長の凹み34Aが、第1の脚25Aの内面36Aに形成されていてもよい。凹み34Aは、スラット32Aの大きさおよび形状に応じて、形作られているとよい。凹み34Aは、スラット32Aおよび巻かれたシート16A,18Aを受け入れるために、第2の脚の内面に形成されていてもよいし、または両方の脚の内面に形成されていてもよい。このような構成のいずれが用いられてもよい。
【0031】
図6Aに示されているように、いったんシート16A,18Aがスラット32Aの周囲に巻かれると、このスラット32Aは、凹み34A内に配置されることになる。その後、
図7Aに示されているように、第2の脚26Aが、第1の脚25Aに向かって上方に旋回されることになる。基部30Aから離れた端において第1の脚25A上に配置されているクランプ38Aのような固定具を用いて、第1の脚25Aおよび第2の脚26Aを一緒に離脱可能に連結することになる。クランプ38Aは、2つの脚を一緒に離脱可能に連結させるどのような形式の固定具であってもよい。第1の脚の上に配置されている例を図示して説明したが、このクランプ38Aは、第2の脚26A上に配置されていてもよいし、またはクランプ機構24Aのどのような位置に配置されていてもよい。
【0032】
第2の開端14Aは、2枚のシート16A,18Aが互いに離間したとき、アクセスポート22Aをそれらのシート16A,18A間に形成することになる。臨床医は、端14Aにおいて2枚のシート16A,18Aを分離させることによって、クランプ機構24Aを解除してアクセスポート22Aを開ける前に、必要に応じて、治療を停止し、装置10Aを減圧することができる。これは、治療ガスを節約するのに役立つことになる。臨床医は、アクセスポート22Aを通して、脚に枕、薬剤などを施すことができる。その後、前述したように、2枚のシート16A,18Aの端が、一緒にされ、スラット32Aの周囲に巻き付けられ、クランプ機構24Aの第1の脚25Aおよび第2の脚26A内の適所に保持されることになる。
【0033】
治療が終了した後、クランプ機構24Aは、柔軟装置10Aから取り外され、ここに述べた装置10Aと同様の新しい使い捨ての柔軟式外傷治療装置を用いて、次の患者に再利用されてもよい。
【0034】
アクセスポート22Aは、装置10Aの全高さに及んでいてもよいし、または装置10Aの全高さよりも短くなっていてもよい。換言すれば、アクセスポート22Aは、装置10Aの第2の端14Aの全高さにわたって封止および開封を行うようになっていてもよいし、または第2の端14Aの全高さよりも短い開口の封止および開封を行うようになっていてもよい。後者の場合、シート16A,18Aの一部を恒久的に互いに固着し、残りの部分をアクセスポート22Aとして開けるようになっていてもよい。従って、スラット32Aの大きさは、当該開口の大きさに応じて、異ならせることができる。
【0035】
本発明の他の実施形態では、
図8A〜
図11Aに示されているように、クランプ機構24Aは、治療ガス供給源などに連結されていてもよい。図示されている実施形態では、クランプ機構24Aの第2の脚26Aは、種々のガスラインまたは流体ラインなどに連結されている種々のポートを備えている。例えば、圧力監視ライン40A、治療ガス入口ライン42A、治療ガス出口ライン44A、および装置10Aの他の部分を膨張させる入口および出口を備えることが可能である。
【0036】
第2の凹み46Aが、クランプ機構24Aのいずれかの脚上に形成されていてもよい。ここでは、第1の脚25A上に形成されている例が示されている。この第2の凹み46Aは、装置のシート16A,18Aの1つに固定してまたは離脱可能に取り付けられた第2のスラット48Aを受け入れることが可能となっている。スラット32Aと同じように、第2のスラット48Aは、ヒートシールなどによって、装置のシート16A,18Aの1つに固定して取り付けられているとよい。他の実施形態では、第2のスラット48Aは、別個に設けられていてもよい。
【0037】
第2のスラット48Aは、圧力監視ライン40A、治療ガス入口ライン42A、治療ガス出口ライン44A、などと一直線に並ぶそれぞれのポートを有し、これらのラインを補完するように構成されている。従って、第2のスラット48Aは、シートの既存の孔または開口に連結するようになっていてもよいし、またはアクセスポートが封止されたとき、シートに孔または開口を形成するようになっていてもよい。第2のスラット48Aが種々のポートに隣接する箇所に鋭利な突起を備えていることによって、孔が第2のスラット48Aによって形成されることになる。これらの鋭利な突起は、アクセスポートがクランプ機構24Aによって封止されるとき、柔軟なシートを貫通して、孔を形成することができる。2枚のシートの1つに孔を形成することによって、種々の部分が装置10Aの内部20Aと流体連通することが可能になる。従って、第2のスラット48Aは、装置10Aに配置されている既存の流体ラインに適応するように構成されており、これらの流体ラインをクランプ機構24Aに連結するようになっている
【0038】
装置10Aは、装置10Aの内部20Aが治療ガスと流体連通するために、治療ガス入口ライン42A、治療ガス出口ライン44A、などに対応する開口を有していてもよい。他の実施形態では、クランプ機構の種々の部分が、内部20A内に延在する管状突起、または第2のスラット48Aまたは(第2のスラット48Aが設けられていない場合には)2枚のシートの1つのいずれかを通る空気通路を備えていてもよい。
【0039】
装置10Aは、装置10Aの第1の端12Aに膨張性カフを備えていてもよい。膨張性カフは、膨張して肢を封止し、気密シールを形成するように、構成されている。この場合、カフを膨張させるためにガスを供給するラインが、第2のスラット48Aに設けられていてもよい。さらなる詳細は、後述することにする。
【0040】
さらに、2005年2月24日に出願された「高気圧酸素装置および供給方法」という表題の米国特許出願第11/064,581号明細書に開示されているように、本装置は、両端で一緒に封止された2枚の材料シートであって、内部20Aを形成するように折り重ねられている、2枚の材料シートを備えていてもよい。なお、この特許の開示内容は、参照することによって、ここに含まれるものとする。このようにして、空気または治療ガスのような流体が装置を膨張させることを可能にするポケットを形成することができる。これらのポケットは、2枚のシート16A,18Aを種々の箇所で一緒に封止することによって形成され、これによって、膨張性通路が得られることになる。この場合、ガスが、シート間に供給され、装置を膨張させ、該装置を剛性に保つことができる。従って、装置を膨張させるためにガスを供給するラインが、第2のスラット48Aに設けられていてもよい。
【0041】
クランプ38Aが第1の脚25Aに連結されている第2の脚26Aを解除すると、ガス治療が自動的に停止することになる。具体的には、クランプ38Aは、装置の機能部を作動させる装置用制御装置に接続されたセンサまたはスイッチに電気的に連結されていてもよい。従って、クランプ38Aを開けると、スイッチに警告信号が送られ、その結果、制御装置が治療ガスの流れを停止することになる。クランプ38Aを閉じると、スイッチに警告信号が送られ、その結果、制御装置が流れを開始することになる。臨床医は、治療を停止する必要がなく、クランプ機構を開けることができる。これによって、肢へのアクセスが容易になる。さらに、臨床医が治療を停止することを忘れて、クランプ機構を開けた場合でも、治療ガスが排出されることがない。何故なら、治療は、クランプ機構24Aの開動作によって、自動的に停止するからである。
【0042】
[実施形態B]
図1Bを参照すると、本発明の実施形態による外傷治療装置10Bが示されている。本装置は、外傷の治療を改良すると共に、該装置の形成に付随する問題を少なくするかまたはなくすように構成されている。
【0043】
本装置は、該装置を形成するのに用いられる材料および方法に関連する課題に取り組んでいる。例えば、本装置は、高周波(RF)溶接を用いて形成することもできる。しかし、この方法の使用に付随して、問題が生じることがある。従って、装置の効率を改良すると共に、これらの問題を少なくするかまたはなくすことができるような本装置を形成する材料および方法が望ましい。
【0044】
図1Bに最もよく示されているように、装置10Bは、内部領域または内部チャンバ14Bを形成している装置ハウジング12Bを備えている。内部チャンバ14Bは、第1の端16Bでは閉じており、第2の端18Bでは、患者の肢を受け入れるために、開いている。
【0045】
図2Bに最もよく示されているように、ハウジング12Bは、2枚の柔軟シート、すなわち、外シート12Baおよび内シート12Bbから形成されている。シート12Ba,12Bbは、互いに同心に配置されており、一緒に接合されて、それらの間に膨張可能な環状壁を形成している。これらの2枚のシートを一緒に封止させると、空気または酸素のようなガスを用いて、これらのシート間の環状空間を加圧することができる。従って、装置ハウジング12Bを半剛性の円筒形状に膨張させることができる。ハウジングの第1の端は、封止されており、第1の閉端16Bを形成している。本発明の一実施形態では、第1の端16Bは、壁12Ba,12Bbの両端を一緒に封止することによって、閉鎖されているとよい。他の実施形態では、第1の端16Bは、他のシート(図示せず)をシート12Ba,12Bbの端に第1の端を密閉するように取り付けることによって、閉鎖されていてもよい。第2の端18Bには、テーパが付されており、この第2の端18Bは、ハウジング12Bの直径よりも小さい直径のカフ22Bを備える開口を有している。しかし、他の形状が用いられてもよいし、第2の端18には、必ずしもテーパが付されていなくてもよいことを理解されたい。
【0046】
ハウジング12Bは、シート12Ba,12Bbに形成された種々の開口または孔19Bを備えている。これらのポート19Bには、チャンバ14Bに流体連通している1つまたは複数のチューブ20Bbが連結されている。チューブ20Baは、1つまたは複数の弁(図示せず)を通して、治療ガス供給源(図示せず)に選択的に流体連通している。治療ガスおよびその関連する弁は、(後でさらに詳細に説明する)装置の機能部を操作する制御装置によって、制御されるようになっている。適切な制御装置として、2008年5月30日に出願された「4肢高気圧装置用の制御装置」という表題の米国特許出願第12/156、465号および12/156,466号を参照されたい。これらの内容は、参照することによってここに含まれるものとする。チューブ20Bbは、1つまたは複数の弁(図示せず)を介して、排出場所、例えば、大気と選択的に流体連通している。排出弁は、制御装置によって同様に制御され、装置10Bの作動中に、ガスがチャンバ14Bから排出され、チャンバ14Bの圧力を低減させるためのものである。
【0047】
前述したように、装置10Bの第2の開端18Bは、カフ22Bを有するように構成されている。このカフ22Bを通して、肢が装置10B内に挿入されるようになっている。一実施形態では、カフ22Bは、ハウジング12Bの賦形化された区域から形成されている。これに関連して、ハウジング12Bは、チャンバ14Bを形成するハウジング12Bの部分とカフ22Bを形成するハウジング12Bの部分とを分離するために、2枚のシート12Ba,12Bb間にシーム22Baを備えている。
図3Bに示されているように、カフ22Bは、シーム22Baによって、2枚のシート12Ba,12Bb間の封着された空間から形成されている。
【0048】
カフ22Bは、(1つまたは複数の弁を通して空気または治療ガスの加圧源に流体連通している)チューブ20Bcを通る空気または治療ガスによって膨張し、膨張性カフシールを形成するようになっている。カフ22Bは、装置10Bがカフの膨張時に使用状態にあるとき、患者の肢の周囲を封止し、これによって、患者の肢に対して、シール、例えば、気密シールをもたらすことになる。代替的に、カフ22Bは、別個に形成されて、ハウジング12Bに取り付けられるようになっていてもよい。
【0049】
図2Bに示されているように、ハウジング12Bは、外接シーム23Bbによってシート12Ba,12Bb間の空間に形成される複数の膨張性通路24Bを備えることができる。外接シーム23Bbは、第1のシート12Baおよび第2のシート12Bbが一緒に封着されている箇所である。通路24Bは、外接シーム23B間に形成された間隙であり、空気または治療ガスによって膨張して硬化し、ハウジング12Bに剛性をもたらすようになっている。通路24Bの膨張は、チャンバ14Bへの治療ガスの供給と独立していてもよいし、それらと連動していてもよい。互いに隣接する通路24B間にガスを流すために、外接シーム23Bは、種々の箇所で終端し、これによって、外接シーム23Baに沿って間隙23Bを形成するようになっているとよい。このようにして、患者の外傷上でハウジングを収縮させることなく、治療ガスの圧力を変化させることができる。例えば、装置10B内の圧力は、(大気よりも高い)第1の正圧と第2のより低い正圧との間で変化させることができ、または正圧と(大気よりも低い)負圧との間で変化させることができる。
【0050】
通路24Bは、チューブ20Bd(および1つまたは複数の弁)を通って、加圧された流体、例えば、空気または治療ガスの供給源と選択的に流体接続されており、これによって、ハウジング12Bへの治療ガスの流れと独立して、通路24Bを膨張させることができる。1つまたは複数の弁を介する通路24B内へのガスの流れも、装置の機能部の全てを操作する制御装置によって、制御されるようになっている。制御装置のさらなる詳細は、後述することにする。
【0051】
図1Bを参照すると、装置10B内に含まれている特徴部として、空気枕25Bが挙げられる。空気枕25Bは、チャンバ14B内に配置することができ、内向きのシート12Bbを覆う第3の材料シート12Bdから形成されているとよい。シート12Bdは、その周囲がシート12Bbにシールされており、これによって、シート12Bd,12Bb間に枕用の膨張性間隙が形成されている。枕25Bの内部は、枕25Bが通路24Bおよびカフ22Bと同じように個別に膨張可能となるように、チューブ20Beおよび1つまたは複数の弁を介して空気または治療ガスの供給源に流体連通しているとよい。しかし、枕の膨張は、装置10Bへの治療ガスの供給と連携してなされてもよい。膨張すると、枕25Bは、チャンバ14B内に挿入された患者の肢を支持することになる。枕25Bは、内部のどのような箇所、すなわち、必要に応じて、第1の端に隣接する箇所、第2の端に隣接する箇所、およびそれらの間に配置されていてもよい。ここでは単一の枕について述べたが、種々の大きさを有する複数の枕が、ハウジング内の種々の箇所に同様に配置されていてもよい。適切な通路、枕、および膨張性カフの例として、「高気圧酸素装置および供給方法」という表題の米国特許出願公開第2006/0185670号を参照されたい。この開示内容は、参照することによって、ここに含まれるものとする。
【0052】
図示されている実施形態において前述したように、ハウジング12Bは、2枚以上の材料シートから形成されている。これらのシートは、単一プライシートであってもよいし、または多重プライシートであってもよい。例えば、適切な材料は、殆どまたは全く伸びのない樹脂ポリマー材料の群から一般的に選択される材料である。さらに具体的には、適切な材料の例として、(ウイスコンシン州ニーナのBemis社から市販されている)エチルビニルアセテート(EVA)またはポリエチレンのような熱融着性材料のいずれかによって被覆されているナイロンが挙げられる。代替的に、(デラウエア州ウィルミントンのデュポン社から市販されている)EVAまたはポリエチレンのいずれかによって被覆されているポリエステルであってもよい。
【0053】
ナイロン材料は、従来の打抜きプレス装置によって、容易に切断することが可能である。さらに、ナイロンの場合、他の材料よりもプレスの切断寿命が長くなる。いずれの材料の場合も、EVAまたはポリエチレンの被覆によって、高気圧外傷治療装置の作製を容易にする熱融着表面が得られることになる。熱融着性被覆は、非伸縮性布の片側または熱融着される箇所に施されるようにすることが可能である。
【0054】
熱融着の好ましい方法は、「可搬式ヒートシール装置」という表題の米国特許第6,881,929号明細書に記載されている。この開示内容は、参照することによって、ここに含まれるものとする。この特許は、一回のヒートシールサイクルで種々の布厚みに適合させるために、分割ヒートシール法を用いることを開示している。その結果、より強力な接合部を有する製品を短いシールサイクル時間で作製し、これによって、製造コストを節約することを可能としている。先行技術において用いられているRF溶接と比較して、分割ヒートシールの1つの利点は、製品を得るために必要な製造ステップの数が少ないことにある。さらに、製造中のRF場をなくすことができる。さらに、このプロセスは、いくつかの外傷治療装置に利用されているポリビニルアセテート(PVA)に関連する問題をなくすことができる。
【0055】
図2Bおよび
図4Bを参照すると、装置10Bは、2枚以上のシート12Ba,12Bbから形成されており、各シートは、ステップ40Bにおいて、前述した適切な材料のシートから切断されることになる。打抜プレス装置を用いることができる。次いで、シート12Ba,12Bbを折り曲げて融着すると、ハウジング12Bが形成されることになる。
【0056】
装置10Bの外形の切断に加えて、チューブ20B用の1つまたは複数の接続点をもたらすために、打抜きプレス装置を用いて、ポート19Bをシート12Ba,12Bbに形成されるようになっていてもよい。これらの追加的な開口は、それぞれのシートの外形が切断されるのと同時に形成されてもよいし、外形が打ち抜かれた後に形成されてもよい。枕25Bも、このときに打ち抜かれてもよい。ポート19B内に配置された後、チューブ20Bは、ステップ50Bにおいてシート12Ba,12Bbに熱融着されることになる。以下に述べるように、チューブ20Bは、典型的には、シートの縁を一緒に熱融着する前に、シート12Ba,12Bbに熱融着されるようになっている。
【0057】
ポート19B内においてチューブ20Bがシート12Ba(またはチューブ20Ba,20Bbの場合はシート12Ba,12Bb)に熱融着された後、シートの縁が一緒に融着され、これによって、ハウジング12B、通路24B、およびカフ22Bが形成されることになる。一緒に融着された時点で、ハウジング12Bは、折り曲げられ、その上端および底端が略一直線に配列され、その側縁がシート12Bcと一直線に配列されることになる。ハウジング12Bの壁を形成する上端、底端、および側端、および第1の閉端16Bは、ステップ55Bにおいて、前述したヒートシール技術を用いて、熱融着されることになる。前述したように、枕25Bのような任意選択的な部品は、他のシートまたは他の素材を上記の2枚のシートの上に配置し、その両縁をハウジングに熱融着し、これによって、追加シートとハウジング12Bとの間に空間を形成することによって、形成されてもよい。
【0058】
ステップ60Bにおいて、カフ22Bは、ハウジング12Bとは別に形成されてもよいし、またはハウジング12Bと一体に形成されてもよい。別に形成される場合、カフは、ロール状に巻かれた連続的ポリエチレン管材料から作製することができる。ポリエチレン管材料は、ポリエチレン材料の連続チューブを生産する押出機によって製造されるものである。このような材料は、種々の製造供給元、例えば、マサチューセッツ州ロレンスのEastern Packagingから市販されている。
【0059】
さらに、カフ22Bは、材料を滑りやすくするどのような滑り剤を用いることなく、任意選択的に製造されるようになっている。自動機械によって取り扱われる一部の製品にはこのような助剤を含ませることが望ましいが、ここでの用途では、このような助剤によって、カフが肢から抜け落ちる場合がある。
【0060】
ステップ60Bのカフ作製段階中、カフをガスによって充填させるためのチューブ20Bが、例えば、ヒートシールによって、カフ22Bを形成するポリエチレン管材料の適切な長さの箇所に取り付けられる。ポリエチレン管材料のこの長さ部分は、その長さがカフを形成するために選択されている場合、シームを有していない。従って、この時点では、カフ材料は、
図3Baに示されているような中空円筒に類似している。その後、ポリエチレン管材料は、それ自体を折り重ね、これによって、外側に第1のシート22Baおよび内側に第2のシート22Bbを形成することになる。このようにして、折り重ねられたポリエチレン管材料は、二重壁の中空円筒状になり、これらの二重壁は、第1のカフ端22Bcにおいて互いに接続されている。第2のカフ端22Bdでは、2枚のシート22Ba,22Bbは、互いに接続されていない。
【0061】
カフ22Bを形成するこの折り重ねられた管材料の長さ部分は、ハウジング12B内のその端18Bの近くに配置される。第2のカフ端22Bdが、
図3Bcに示されているように、ハウジング12Bの第2の端18Bに隣接して配置される。次いで、これらのシートは、同時に熱融着され、ハウジング12Bとカフシート22Ba,22Bbとの間に周方向シームを形成する。従って、カフ22Bの軸に沿って、どのようなシームも存在しないことになる。
【0062】
いったんカフ22Bが取り付けられると、ポリエチレン管材料は、内側から引き出され、装置の外部に肢カフを形成することになる。カフシート22Ba,22Bbは、カフがハウジング12B内に部分的に配置されるように、ハウジング12Bに取り付けられていてもよい。また、カフは、装置ハウジング12B内に全体が含まれるように配置されていてもよいし、または装置ハウジング12B内に全体が含まれないように配置されていてもよい。
【0063】
製造ステップの数を減らすために、熱融着によるハウジング12Bへのカフ22Bの取付けは、ステップ70Bにおいてシート12Ba,12Bbを熱融着してハウジング12Bを形成するのと同時に行われてもよい。通路24Bおよび/または枕25Bの作製も、シート12Ba,12Bbを熱融着してハウジング12Bを形成するのと同時に行われてもよい。従って、通路24Bおよび/または枕25Bならびにカフ22Bは、全て、ハウジング12Bおよび枕25Bを形成するシートがヒートシール装置内に配置されているときに同時に、熱融着されてもよいことになる。
【0064】
これらの部品がヒートシール装置内に配置されて、熱が加えられる前に、ニュージャージ州ロビンスヴィルのMacMaster Carr から市販されている1/32インチ厚みのTeflon(登録商標)シートが、カフ22B内の装置10Bのハウジング12Bに熱融着される箇所に配置されるようになっている。このTeflon(登録商標)シートは、ヒートシールプロセス中、カフ22Bが自己融着するのを妨げるためのものである。装置のハウジング12B、通路24B、および枕25Bのような他の部品は、自己融着しない。何故なら、ヒートシール性の被膜が材料の片側のみまたはヒートシールが望まれる箇所にしか配置されていないからである。
【0065】
任意選択的に、ステップ90Bにおいて、装置10Bの全体が、「可搬式ヒートシール装置」という表題の米国特許第6,881,929号明細書に記載されている方法を利用する単一ステップによって、一緒に熱融着されてもよい。この開示内容は、参照することによって、ここに含まれるものとする。この特許は、単一ステップによって装置を融着するために、シールダイの種々の区域または領域を異なる温度に設定することが可能であることを示唆している。例えば、より大きい厚みの領域、すなわち、3つの材料層が融着される箇所、例えば、カフ22Bには、より薄い領域、すなわち、数の少ない層がヒートシールされる箇所よりも余分の熱が加えられるようになっている。
【0066】
装置10Bが単一ユニットに熱融着された後、ステップ100Bにおいて、漏れがないことを確実にするために、任意選択的に圧力試験がなされるようになっている。例えば、装置10Bの部品の全てが、伸びることなく、圧力を保持する能力があるかどうかが試験されるとよい。
【0067】
図5Bを参照すると、本発明の高気圧外傷治療装置の操作の一実施形態による圧力波形は、線状の形状を有している。高気圧外傷治療装置の布は、殆どまたは全く伸びを有していないので、治療ガスの圧力波形は、高気圧治療の圧力最大値30Bまで直線状に上昇し、ガスがチャンバ14Bから排出されると、急速に降下する。従って、装置10Bは、より迅速なパルス外傷治療をもたらすことができる。このパルスによって、患者の治療効果が改善されることになる。
【0068】
本発明の他の実施形態では、
図6Bに最もよく示されているように、柔軟式高気圧外傷治療装置110Bは、単一の材料シートから形成されているハウジング112Bと、チャンバ114Bと、を備えている。シートは、前述の実施形態と同様、折り重ねられ、外シール120Bにおいて熱融着されている。シートの適切な材料の例については、第1の実施形態を参照されたい。
【0069】
ハウジング112Bは、膨張性カフ190Bと、各々が複数の通路140Baを有している1つまたは複数の領域または区域と、を備えている。本発明の実施形態では、カフ190Bは、その全体が外部にあるとよい。すなわち、カフは、チャンバ114Bの外に形成されているとよい。本発明の他の実施形態では、カフ190Bは、前述の米国特許出願第12/156,465号明細書および第12/156,466号明細書に記載されているように、その全体または一部がハウジング114B内に形成されていてもよい。
【0070】
各通路群140Bは、第2のシート141Bから形成することが可能である。第2のシート141Bは、その周辺が、シーム142Bによって、ハウジング112Bの内部または外部に熱融着されている。第2のシートとの間の空間が、間隙を形成するが、この間隙は、複数の互いに離間したシーム144Bによって分割されている。シーム144Bは、シートを横断し、周辺シーム142Bの手前で終端している。従って、空気は、互いに隣接する通路間を流れることが可能となる。通路24Bと同様、通路140Baは、膨張すると、ハウジング112Bの少なくとも一部を固くすることになる。
【0071】
さらに、装置110Bは、治療ガスが装置110Bに出入りすることを可能にする(第1の実施形態と同様の)ポート160B,170Bを備えている。空気通路140Bの各群用の第3のポート180Bが設けられている。この第3のポート18Bは、空気通路140Bを空気または治療ガスによって膨張させるために、他のチューブに連結されている。
【0072】
ハウジング112Bを形成しているシートまたは素材が、湾曲したまたはテーパが付された遷移部分145Bを形成するように、切断されている。遷移部分145Bは、カフ190Bに隣接する領域から、カフ190Bから離れた装置110Bの部分、例えば、第2の通路140Bに隣接する部分まで、延在している。この湾曲した遷移部分145Bは、膨張中に装置に加えられる機械的な応力を低減するためのものである。装置110Bを製造するのにEVA被覆ナイロンを用いる場合、被覆ナイロンが殆ど伸びずに剛性を呈するので、この湾曲した遷移部分145Bは、特に有利である。
【0073】
カフ22Bと同様、カフ190Bは、シーム230Bによって装置110Bに熱融着されるポリエチレンの連続チューブから形成することが可能である。カフ190Bは、ハウジング114B内の患者の肢と装置110Bの内壁との間に位置決めされ、弁(図示せず)に連結されたカフポート200Bを用いて、膨張するようになっている。カフ190Bは、膨張し、肢をシールすることになる。次いで、ハウジング114Bがポート160Bを通して膨張すると、ハウジング110B内のガス圧がカフ190Bを加圧し、カフ190Bを肢に対してさらに気密に封止することになる。
【0074】
柔軟式装置110B内の圧力がそのピークに達すると、カフ190Bを柔軟式装置110Bに接合している周方向ヒートシール230Bがいくらかの歪みを受けることがある。また、装置110Bの包装方法および輸送方法に起因して、装置が平坦に置かれと、第1の皺210Bおよび第2の皺220Bがカフ190Bの両端に生じることがある。従って、柔軟式装置110Bが最大加圧期間中にも引裂かれないことを確実にするために、第1の皺210Bの部分および第2の皺220Bの部分が強化され、応力除去をもたらすようになっている。強化領域は、
図6Bに示されているように、シームの全体にわたって溶接された追加的な材料から構成されていると好ましい。しかし、他の種類の強化材が用いられてもよい。
【0075】
[実施形態C]
本発明の実施形態では、3モダリティ(療法)用の外傷治療装置は、外傷を治療するために、圧迫療法、減圧療法、および/または高気圧ガス療法を含む1つ以上の療法をもたらすように構成されている。3つの療法の全ての組合せによって、いずれか1つの療法ではこれまでに見られなかった付加的な利得が得られることが見込まれている。間欠的な圧迫が負圧と組み合わされると、間質液を除去し、腫れを低減させることが可能となる。この腫れの低減によって、その領域への血流が高められ、次いで、酸素と組み合わされると、組織内の肉芽形成が改良され、これによって、先行技術の外傷治療方法を上回る強化治療が得られることになる。
【0076】
本発明の一実施形態では、本装置は、少なくとも2つの個々の区画を備えている。それぞれの区画は、患者の肢を封止する膨張性仕切りカフによって互いに分離された外傷治療区画とすることができる。個々のカフは、各々、空気のようなガスによって個別に膨張されるように、個別の弁を含んでいてもよい。従って、もしカフが膨張した時に外傷に接触するかもしれない場合には、そのカフを膨張させる必要がない。このように、多数の膨張性カフが設けられているので、臨床医は、どのカフを膨張させるかを選択することが可能となる。
【0077】
本実施形態の使い捨て式治療装置は、該装置の底に高吸収性の発泡ライナーを有しており、この吸収性ライナーに排出流体を捕捉させることが可能となっている。本装置は、外傷部位の上方において、四肢の周囲を密封することが可能である。外傷部位は、枕のような支持構造物によって、装置の内側において持ち上げられ、これによって、外傷が吸収性ライナーと直接接触しないようになっている。
【0078】
本発明の実施形態による外傷治療装置10Cが
図1Cに示されている。この装置10Cは、開端12Cおよび閉端14Cを有するハウジング8Cを備えている。開端12Cに隣接しているのは、シール16Cである。このシール16Cは、肢を包囲し、肢に対して気密シールをもたらし、治療ガスがシール16Cから漏れるのを防ぐものである。シール16Cは、どのような形式のシール、例えば、テープシール、またはラテックスシールであってもよい。さらに、このシールは、前述した米国特許出願第12/156,465号明細書および第12/156,466号明細書に開示されているシールと同様のものであってもよい。装置10Cは、外傷を治療するための治療ガスを受け入れる内部チャンバ18Cを備えている。また、装置10Cは、残渣物または流体を捕捉するために、内部18Cの底に隣接している吸収性ライナー20Cを備えていてもよい。さらに、装置10Cは、患者をくつろがせるために、肢用の枕22Cまたは支持物を備えていてもよい。
【0079】
図2Cは、本発明の実施形態の装置10Cの断面斜視図である。装置10Cは、装置10Cの内部18C内の種々の箇所に配置されている複数の仕切りカフ24Cを組み込んでいる。仕切りカフ24Cは、開口26Cを備えており、リング状またはドーナツ状の形状とすることができる。開口26Cは、膨張時に、肢を収容し、かつ包囲するものである。
【0080】
これらの仕切りカフ24Cの各々は、該仕切りカフを個別に膨張させることができる個々の弁30Cに接続されている。これらの弁は、ホース31Cを介してガス源Iに連結可能となっている。このガス源Iは、どのような種類のガスであってもよく、好ましくは、空気である。カフ24Cを収縮させるために、他の弁(図示せず)を用いて、ガスを周囲に排気させることが可能となっている。カフの1つが膨張した時に外傷に接触するかもしれない場合には、その特定のカフ24Cは、収縮した状態で保たれるようになっているとよい。
【0081】
図3Caは、仕切りカフ24Cの1つの断面図であり、
図3Cbは、仕切りカフ24Cの1つの斜視図である。具体的に、一実施形態では、カフ24Cは、開口26Cの軸と直交して延在している第1の壁23Cを備えている。さらに、カフは、第1の壁23Cと平行に延在している第2の壁25Cを備えている。次いで、カフは、第1の壁23Cおよび第2の壁25Cを互いに接続している内壁27Cを備えている。最後に、カフ24Cは、装置ハウジング8Cの内部に固定して取り付けられる外壁29Cを備えていてもよい。任意選択的に、カフの外壁29Cは、装置ハウジング8Cの内部であってもよい。これらの壁間に、間隙が形成されており、この間隙は、膨張可能である。すなわち、弁30Cを通るガスがこの間隙に入って、カフ24Cを膨張させるようになっている。
【0082】
好ましくは、第1の壁23Cおよび第2の壁25Cは、内壁27Cの材料よりも厚い材料から形成されている。この構成によって、カフ24Cが膨張したとき、薄い内壁27Cは、拡張し、厚い第1および第2の壁23C,25Cの伸びよりも大きく伸びることが可能となる。内壁27Cのこのような伸びによって、カフ24Cの開口26Cは、治療される肢を封止し、気密シールを形成することが可能となる。
【0083】
カフの1つが外傷と接触するかもしれない場合、その特定のカフを膨張しないようにすることができる。すなわち、開口26Cを弛ませておけば、肢に接触することがない。仕切りカフ24Cは、膨張すると、拡張して肢の周囲を封止し、複数の独立した区画を形成することになる。5つの区画(I,II,III,IV,V)が
図2Cに示されているが、どのような数の仕切りカフ24Cが内部に組み込まれ、どのような数の区画をもたらすようになっていてもよい。具体的には、個々の区画は、仕切りカフ24Cのそれぞれの間および仕切りカフと内部18Cの各端との間に形成されることになる。
【0084】
圧迫療法をもたらすために、装置10Cは、少なくとも2つの区画を備えている。任意選択的に、2〜13の数の区画があればよい。しかし、必要に応じて、多くの区画が設けられてもよい。閉端14Cに隣接する区画Iが遠位区画として定められ、開端に隣接する区画Vが近位区画とされている。
【0085】
区画の各々内の圧力は、個々に制御されかつ調整されるようになっている。各区画は、入口弁15Cおよび出口弁17Cを有している。弁15Cは、ホースを介してガス源IIに連結されている。このガス源IIは、好ましくは、酸素のような治療ガスである。しかし、カフ弁30Cがガス源IIに連結されていてもよく、これによって、ガス源Iをなくすことができる。従って、第2のガス源は、任意選択的なものである。
【0086】
従って、全ての区画の入口弁15Cは、ガス源IIに連結されている。区画の各々の出口弁17Cは、治療の終了時に治療ガスを周囲に排気するように、ホースを介して連結されている。
【0087】
いったん肢が装置10Cの内部18C内に配置され、シール16Cが肢の周囲を封止すると、ここに述べる3つの療法のいずれかを用いて、治療を開始することができる。3つの療法は、種々の手法および様々な順序に従って組み合わされてもよい。例えば、減圧療法を含まずに、高気圧ガス療法および圧迫療法だけを利用する治療が行われてもよい。代替的に、減圧療法だけが単独で行われてもよい。このように、種々の組み合わせを用いることができる。
【0088】
例えば、肢がハウジング8C内に挿入される。ここで、シール16Cを用いて、肢に対してハウジング8Cを封止する。その後、選択された仕切りカフ24Cを肢に対して膨張させ、種々の区画の各々を互いに封止する。次いで、入口弁15Cを用いて、酸素のような治療ガスによって内部18Cを充填し、これによって、まず、ガス治療が行われるとよい。その後、個々の区画1〜V内の治療ガスが、各区間内のガス量、従って、治療ガスの圧力を高めることによって、圧縮されるとよい。この場合、各区画内の圧力を順次高め、これによって、肢の遠位部から近位部に向かって、順次圧縮を加えると、有利である。すなわち、治療ガスの量、従って、圧力を高めることによって、圧迫が、遠位区画から近位区間に向かって、順次、生じることになる。
【0089】
従って、区画Iが、まず圧縮されるとよい。次いで、区画II内の治療ガスが圧縮されるとよい。以下同様である。全ての区画がしばらくの間圧縮された後、これらの区画の全てが、各区画からの治療ガスの一部または全てを除去することによって、大気圧に戻されることになる。治療ガスは、出口弁17Cを通して除去されるとよい。従って、治療ガスは、治療が終了した時にのみ、周囲に排気されることになる。さらに、区画の全てを排気することなく、区画の1つを排気することも可能である。同様に、1つの区画を除く他の区画をそのままとして、該1つの区画に治療ガスを加えるかまたは負圧をもたらすことも可能である。
【0090】
装置10Cは、装置の機能部、例えば、弁、カフ、およびガス源を操作する制御装置に連結されていてもよい。制御装置は、当技術分野において知られているどのような形式のコンピュータ、マイクロプロセッサ、などであってもよい。さらなる詳細については、後述することにする。
【0091】
図4Cは、本発明の実施形態による方法を示している。ステップ100Cにおいて、肢が装置10C内に置かれ、ステップ102Cにおいて、装置が肢に対して膨張したシール16Cによって封止される。その後、ステップ104Cにおいて、内部18C内に閉じ込められた空気が、出口弁17Cを介して排気される。次いで、ステップ106Cにおいて、治療が、減圧治療から開始されることになる。これは、内部18C内に存在する空気を最初に排気することができるという利点がある。次いで、ガス治療および圧迫治療を続けることが可能である。ガス治療の後に圧迫治療を行うと、ガス治療中に装置10Cに存在している治療ガスを利用することが可能となる。
【0092】
図5Cは、実施可能な種々の治療サイクルの一実施形態を示している。最初、肢がハウジング8C内に挿入される。次いで、シール16Cを用いて、肢に対してハウジング8Cを封止する。その後、選択された仕切りカフ24Cを肢に対して膨張させ、種々の区画の各々を互いに封止する。次いで、ステップ200Cにおいて、区画内に存在している空気の排気時に、治療ガスが内部18C内に導入される。任意選択的に、治療ガスは、酸素である。しかし、どのような適切な他のガスが用いられてもよい。その後、ステップ202Cにおいて、遠位区画Iから近位区画Vに向かって、治療ガスの順次圧縮が行われる。次いで、ステップ204Cにおいて、全ての区画から治療ガスが排気され、減圧治療が、所定期間にわたって行われる。最後に、ステップ206Cにおいて、この特定の治療が、必要に応じて、繰り返されることになる。
図5Cは、本発明の一実施形態を示しているが、3つの療法の組合せは、必要に応じて、どのような順序に従ってなされてもよいし、さらに1つの療法のみが用いられてもよい。また、種々の時間枠および種々の時間期間が用いられてもよい。
【0093】
本発明の実施形態では、治療は、例えば、90分サイクルのような周期で行うことが可能である。サイクルの時間間隔を決定するために、装置に連結されたタイマーが内蔵されているとよい。第1のセッションは、略10分間継続する減圧サイクルと、これに続く治療ガス療法およびその後の(圧縮媒体として治療ガスを用いる)間欠的な圧迫療法の略20分サイクルと、の組合せとすることができる。この30分サイクルが、セッション中に2度以上繰り返されてもよく、総計90分サイクルとすることも可能である。これらの特定の時間範囲について述べたが、種々の時間範囲、サイクル数、および繰り返し数は、必要に応じて、変更されてもよい。本装置は、酸素のような治療ガスを連続的に利用する能力を有している。
【0094】
減圧療法は、肉芽形成に役立つと共に、制御された局所的な負圧を加えることによって、外傷を緩慢かつ均一に封じるのを促進する。また、減圧療法は、間質液を除去し、外傷から感染材料を除去するのを助長しながら、組織の復元を可能にする。さらに、減圧療法は、閉鎖湿潤環境をもたらし、組織弁および移植片の残存を促進する。装置10Cは、外傷部位に対して非接触減圧治療を施すようになっている。個々の区画の圧力が調整されているので、治療が領域に対して直接施されることになる。
【0095】
圧力範囲は、ATAまたは大気圧を超える25mmHgから200mmHgの間とすることができる。制御された負圧を加えるので、装置10Cは、リンパ浮腫として一般的に知られているリンパ廃液系の破壊による間質組織をせき止めている流体の排出に役立つことになる。外傷から排出した流体は、装置10C内に配置された吸収性ライナー20C内に吸収されることになる。この吸収性ライナー20Cは、外傷から排出された流体を吸収するように構成されているが、以下にさらに十分に述べるように、外傷から離間して配置されている。
【0096】
前述したように、装置10Cは、段階的な順次圧迫療法を施すのに、用いることが可能である。順次圧迫療法は、腫れおよび線維増殖、または四肢に流体が溜まることによる慢性的な炎症疾患である硬化を低減させるものである。さらに、順次圧迫療法は、循環および外傷治癒を改善し、静脈血栓症に対する効果的な予防をもたらすものである。
【0097】
順次圧迫治療は、流体を遠位―近位方向に漸次的に押し出し、四肢から浮腫をなくすように設計されている。まず、圧力を肢の遠位端、例えば、腕または脚の指または爪先に加え、肢の全体が圧縮されるまで、肢の近位端に向かって近位方向に前進させるようになっている。例えば、圧力は、30秒間の圧迫過程において5mmHgから100mHgの範囲内であればよく、この後、5秒未満の一時的に圧力を減少させた圧迫過程が続くようになっている。なお、これらの時間範囲は、変更可能であり、ここでは単なる例として挙げられているにすぎない。
【0098】
図6Cは、吸収ライナー20C上に配置された脚を示す、本発明の他の実施形態の説明図である。任意選択的に、吸収性ライナーは、略4インチ(略10.2センチ)厚みとすることができ、装置10Cの基部の全長に沿って配置することが可能となっている。吸収性ライナー20Cは、取外し可能な部分32Cを備えていてもよく、この取外し可能な部分32Cは、ライナーの高さよりも浅い深さ、例えば、4インチライナーの場合、2インチまたは3インチの深さを有している。従って、もし脚の一部、例えば、踵が外傷を負っており、その外傷が吸収性ライナー20Cとの接触に感じやすい場合、取外し可能な部分32Cを取り外し、踵が吸収性ライナー20Cと接触しないようにすることができる。なお、ここに述べた寸法は、必要に応じて、変更可能である。
【0099】
加えて、ライナー20Cの一部、例えば、1インチ厚みの層が、残渣物吸収のために、ライナー20Cの底に残存していてもよい。この残存している部分は、仮にライナー20Cの取外し可能な部分32Cが外傷を考慮して取り外された場合でも、治療中の流体の減圧中に外傷から排出された流体を吸収することになる。
【0100】
本発明の他の実施形態では、多数の個々の吸収性ライナー20Cが、区画内に配置されていてもよい。取外し可能な部分32Cの大きさ、深さ、および形状のこれらの範囲は、単なる例示にすぎず、どのような種々の形状および大きさのものが用いられてもよい。取外し可能な部分32Cは、ツールを用いることなく、ユーザによって、容易に引きちぎられることが可能である、一般的に、取外し可能な部分32Cは、ライナー20Cを穿孔することによって形成されていてもよいし、またはどのような他の適切な方法によって形成されていてもよい。
【0101】
[実施形態D]
図1Dを参照すると、本発明の一実施形態による外傷治療システムが概略的に示されている。このシステムは、外傷治療装置10Dと、前述したように装置10Dの種々の機能部を操作するための制御システム16Dと、を備えている。具体的には、装置10Dは、圧力補償シールを含んでいる。圧力補償シールは、漏れを低減させ、患者または臨床医のいずれの介入もなしに、肢シールを自動的に調整することを可能にするものである。
【0102】
装置10Dは、高気圧チャンバまたは高気圧ハウジング12Dを備えている。この高気圧ハウジング12Dは、少なくともその一端に、ハウジング12D内に肢を封止することができるカフ45Dを有している。ハウジング12Dは、治療ガス源から供給される治療ガスまたは空気によって、選択的に充填されるようになっている。制御システム16Dは、ハウジング12D内への治療ガスの流れ、およびカフ45Dによって得られたシールを制御するようになっている。装置10Dは、前述した米国特許出願第12/156,465号明細書および第12/156,466号明細書に開示されているものと同様である。
【0103】
制御システム16Dは、ハウジング12Dおよびカフ45Dの両方の機能を操作するようになっている。制御システム16Dは、マイクロプロセッサ60D、複数の弁、および複数の圧力センサを備えている。圧力センサは、ハウジング12Dおよびカフ45Dの内側のそれぞれの圧力を監視し、それらの圧力値をマイクロプロセッサ60Dに伝達するものである。ハウジング12Dおよびカフ45Dに付随している弁によって、治療ガス、空気、または他の流体は、マイクロプロセッサ60Dによって指定されたように、ハウジングまたはカフを膨張または収縮させることが可能となっている。このようにして、制御システム16Dは、カフ45D内の圧力およびハウジング12D内の圧力を監視し、いくつかの弁を開閉し、流体をハウジング12Dおよびカフ45Dに対して供給または排出することによって、それぞれの圧力を調整することができる。
【0104】
具体的には、治療ガス源またはポンプ(図示せず)からの治療ガスは、吸気ポート75Dbおよびハウジング供給弁65Dを通して、ハウジング12D内に導かれるようになっている。治療が始まると、治療ガスは、このようにして、肢に供給されることになる。同様に、治療が終了すると、治療ガスは、ハウジング排気弁50Dおよび排気ポート75Daを通して、ハウジング12Dから除去、すなわち、排気されるようになっている。さらに、供給弁65Dおよび排気弁50Dは、それぞれ、ハウジング12D内の圧力に基づいて、マイクロプロセッサ60Dによって制御されるようになっている。
【0105】
ハウジング12Dの内部と連通しているハウジング圧力センサ70Dが、制御ポートCを介して、マイクロプロセッサ60Dによって監視されている。どのような形式の圧力センサ、例えば、圧力変換器などが用いられてもよい。従って、ハウジング内の治療ガスの圧力は、マイクロプロセッサ60Dによって、実時間で、連続的に監視され、かつ制御されるようになっている。もし圧力が高すぎる場合、排気弁50Dを開き、ハウジング12Dから治療ガスを除去し、これによって、圧力を低下させることが可能となる。もし圧力が低すぎる場合、供給弁65Dを通して、追加的な治療ガスをハウジング12Dに供給することが可能である。
【0106】
カフ45Dによって患者の脚の周囲にもたらされたシールが、同じように操作し、かつ監視されるようになっている。カフ45Dは、膨張可能であり、以下にさらに十分に述べるような方法によって形成することができる。治療ガス、周囲空気などのガスを用いて、カフ45Dを膨張させることができる。従って、カフ45Dは、ハウジング12Dにガスを供給するのと同じ治療ガス源と流体連通していてもよいし、または第2のガス源(図示せず)と流体連通していてもよい。
【0107】
具体的には、カフ45Dは、カフ供給弁80Dを介してカフガス源に流体連通しており、カフガス源からのガスは、治療ガスを供給する吸気ポート75Dbを通して供給されるようになっている。他の実施形態では、他の源からのカフガスの供給用の吸気ポート(図示せず)が設けられていてもよい。カフ45D内の圧力は、制御ポートEを介してマイクロプロセッサ60Dによって監視されるカフ圧力センサ85D、例えば、圧力変換器などによって測定されるようになっている。さらに、カフ45Dは、カフ排気弁55Dを備えている。このカフ排気弁55Dは、カフ排気ポート75Dcを通してカフ45Dからガスを除去するためのものである。
【0108】
ハウジング12Dに関して前述したように、マイクロプロセッサ60Dは、患者を治療しているときの装置10Dの作動中、カフ45D内の圧力を監視し、かつ調整するようになっている。マイクロプロセッサ60Dは、カフ圧力センサ85Dから得られたカフ45D内の圧力値を用いて、カフ内の圧力が低いときには、カフガス供給弁80Dを通して、ガスをカフ45Dに追加するようになっている。同様に、マイクロプロセッサ60Dは、カフ内の圧力が高すぎるときには、カフ排気弁55Dを通して、カフ45Dからガスを除去することになる。
【0109】
殆どの場合、ハウジング内の圧力損失は、カフ45Dと患者の肢との間に形成されたシールが不十分になった結果として、生じることになる。先行技術による外傷治療装置の場合、装置と肢との間のシールは、通常、テーピングによって得られている。従って、漏れが生じたとき、患者、または多くの場合、臨床医が治療を停止し、装置を肢に再びテーピングしなければならない。これは、うんざりする作業であり、外傷治癒における貴重な時間を浪費し、多くの場合、別の人の補助を必要とする。すなわち、大抵の場合、肢に対してより効果的なシールを形成することによって、漏れを停止することができる。本発明の実施形態では、先行技術による外傷治療装置では必要とされていた臨床医または患者による肢に対するシールの再テーピングを行うことなく、圧力損失を阻止する気密シールを得ることができる。
【0110】
従って、本発明の実施形態では、治療を停止し、臨床医が肢に対するシールの再テーピングを行う必要がない。患者は、制御システム16Dによって、治療期間を通して、効果的なシールを確実に得ることが可能となる。一般的に、ハウジング圧力センサ70Dの圧力の低下によって、ハウジング12D内の漏れが検出されると、カフ45Dへのガスを追加することによってカフ圧力を高め、これによって、より緊密なシールがカフと肢との間に得られるようになっている。これに応じて、追加的な治療ガスを供給し、ハウジング12D内の圧力を高めることができる。漏れが減少または排除されたかを判断するために、これに続く圧力値が読み取られ、もし漏れが減少または排除されているなら、カフ圧力をこれに応じて調整する、すなわち、低下させることになる。もし漏れが継続しているなら、追加的な圧力をカフに与え、さらに漏れを減少させるとよい。このように、本発明の外傷治療システムは、圧力補償シールをもたらすようになっている。
【0111】
マイクロプロセッサ60Dは、正のフィードバックを行う圧力補償シールをもたらすための、種々の方法を実施するように構成することが可能である。2つの例示的な方法が、ここに開示されている。
【0112】
本発明の一態様では、治療ガスは、弁65Dを通ってハウジング12D内に流れ、ハウジング12D内の圧力は、ハウジング圧力センサ70Dによって検出され、マイクロプロセッサ60Dによって監視されるようになっている。治療ガスは、
図2Dのライン88Dで示されている圧力波形を有する治療ガスが、ハウジング供給弁65Dを通ってハウジング12Dに供給されている。同様に、空気または治療ガスが、弁80Dを通ってカフ45D内に流れ、このときのマイクロプロセッサ60Dによって設定された初期のカフ圧力は、
図2Dのライン90Dによって示されている。マイクロプロセッサ60Dは、センサ85Dによって生じた圧力センサ信号を読み取ることによって、カフ45Dの圧力を監視している。
【0113】
次いで、マイクロプロセッサ60Dは、ハウジング供給弁65Dを用いて徐々に増大するハウジング12D内の圧力を監視することになる。もし圧力が、例えば、ライン95Dで示されているように、所望の高気圧治療の圧力レベル未満の値で停滞している場合、漏れが生じている可能性がある。この例では、最大圧力は、約50mmHgまたは810mmHgATA(絶対圧)である。この場合、もし圧力が約50mmHg未満に降下している場合、漏れが生じていることになる。従って、マイクロプロセッサ60Dが、カフ45Dの圧力をライン100Dによって示されている高レベルまで高め、このサイクルが繰り返されることになる。
【0114】
第2のサイクルでは、もし圧力がライン110Dの停滞期に再び達したとマイクロプロセッサが判断した場合、マイクロプロセッサ60Dは、カフ45D内の圧力レベルをライン115Dで示されているレベルまで再び高めることになる。この種のサイクルが繰り返されることになる。適正なレベルの高気圧治療用の圧力120Dが、停滞することなく、ハウジング12D内に得られたとき、これは、十分なシールがその圧力に対して達成されており、従って、高気圧治療を行うことができることを示している。もし治療過程において、高気圧治療用の適正な圧力レベルが維持されない場合には、マイクロプロセッサ60Dがカフ45D内の圧力を再調整し、気密シールを再設定することになる。
【0115】
本発明の他の実施形態では、
図3Dに示されているように、マイクロプロセッサ60Dは、十分なシールが得られていることを確実にするために、カフ45Dによって得られたシールを試験することが可能である。マイクロプロセッサは、治療サイクル中の特定点において、ハウジング12D内への治療ガスの流れを遮断し、ハウジング12D内の圧力の低下率を測定することによって、この試験を行うようになっている。例えば、ハウジング12D内の圧力が点125Dで示されているレベルに達した時点で、ハウジング供給弁65Dを閉鎖し、ハウジング12D内への治療ガスの流れを停止することになる。
【0116】
カフ圧力が肢30Dに対して気密シールをもたらすのに十分な場合、ハウジング12D内の圧力は、平坦なライン130Dで示されているように、安定して保たれている。従って、カフ45Dに漏れは生じていない。この理想的な状況にあると判断した場合、マイクロプロセッサ60Dは、治療を続け、ハウジング供給弁65Dを用いて、治療ガスをハウジング12Dに追加する。このハウジング12D内の上昇が、ライン135Dで示されている。最終的に、ハウジング12D内の圧力は、
図3Dにおいて140Dで示されている50mmHgの最大圧力に達することになる。この時点で、マイクロプロセッサ60Dは、ハウジング排気弁50Dを開いて、治療プロセスにもよるが、ハウジング12Dからいくらかの治療ガスを除去し、これによって、ハウジング12D内の圧力を低下させるようになっている。
【0117】
カフ圧力が肢に対して気密シールをもたらすのに十分でない場合、ハウジング12D内の圧力は、ライン130D’で示されているように、低下しているが、これは、カフの漏れを示している。検出された漏れの結果として、マイクロプロセッサ60Dは、良好なシールをもたらすために、カフ圧力をより高いレベルに高めることができる。ハウジング12D内への治療ガスの流れを停止し、ハウジング内の圧力を測定するこのサイクルは、ライン130Dで示されているのと同様の(漏れが排除されていることを示す)安定状態のラインが得られるまで、繰り返されることになる。その後、マイクロプロセッサは、140D’で最大圧力に達するまで、135D’によって示されているように、ハウジング12Dに治療ガスを追加することによって、治療を継続することができる。
【0118】
この時点において、ここでも、ハウジング供給弁65Dを閉鎖し、ハウジング排気弁50Dを開放し、ハウジングから治療ガスを除去し、治療プロセスによって予め定められているように、ハウジングを大気圧に戻すことが可能である。
【0119】
ハウジング圧力とカフ圧力との間の関係が、
図4Dに示されている。治療がハウジング12D内で始まると、ハウジング圧力が、正の勾配を有しているライン160Dで示されているように、増大する。カフ45D内の安定状態の圧力が、平坦なライン155Dによって示されている。ある時間、t=1において、漏れが生じている。このとき、ハウジング内の圧力が、負の勾配を有するライン165Dで示されているように、低下することになる。この圧力低下を補償するために、マイクロプロセッサ60Dは、ライン170Dで示されているように、カフ45D内の圧力を高めることになる。その結果として得られた(正の勾配を有するライン167Dで示されている)ハウジング内の圧力は、漏れが低減していることを示している。
【0120】
t=2とt=3との間で、パルス治療サイクルが行われている。このサイクルでは、ハウジング内の圧力は、(ライン168Dで示されているように)ゼロに降下し、次いで、(ライン169Dで示されているように)上昇する。ハウジング内の圧力は、所定の測定値に基づく治療ガスの供給および排気に対応しているので、漏れは認められず、カフ内の圧力は、ライン170Dで示されているように、安定している。
【0121】
治療の終了に近いt=3の後、ハウジング内の圧力は、追加的な治療ガスが供給されなくても、正の勾配を有するライン176Dで示されているように、増大している。その結果、マイクロプロセッサ60Dは、カフ内の圧力をライン180Dで示されているレベルまで低下させ、いくらかの治療ガスを漏出させている。治療の終了時に、マイクロプロセッサ60Dは、ハウジング内への治療ガスの流れを停止し、ハウジング内の圧力を(負の勾配を有するライン177Dで示されているように)ゼロに戻すことになる。
【0122】
もし患者が不快な状態にある場合、またはもしカフ45D内の圧力が肢の血流の狭窄、すなわち、止血効果をもたらすほど大きい場合、カフ45D内の圧力低下がなされるとよい。従って、マイクロプロセッサ60Dは、ハウジング12Dからの治療ガスの漏れを阻止すると共に、止血効果を低減または排除するように、カフ45D内の圧力を調整することになる。
【0123】
このサイクルのフローチャートが、
図5Dに示されている。ここでは、本発明の一実施形態によれば、ステップ190Dにおいて、カフ45Dの圧力は、公称値に設定されている。次いで、ステップ200Dにおいて、高気圧治療が開始される。ステップ210Dにおいて、ハウジングがその第1の加圧値に達すると、ハウジング供給弁65Dによる装置10D内への治療ガスの流れが打ち切られ、ステップ220Dに示されているように、ハウジング圧力センサ70Dを用いて、漏れ率が測定される。ステップ230Dにおいて、マイクロプロセッサ60Dによって測定された漏れ曲線に基づいて、カフ圧力に対する適切な調整がなされ、次いで、ステップ240Dにおいて、治療サイクルが再開されることになる。
【0124】
ここに記載されている方法は、パルス高気圧治療に用いられる周期的圧力と違って、外傷治療に安定状態の圧力を必要とする装置に適用されてもよい。このような安定状態装置の例として、リンパ浮腫を治療するのに用いられる装置、人工肺、および従来のグローブボックスが挙げられる。安定状態治療におけるハウジング圧力とカフ圧力との間の関係の例が、
図6Dに示されている。
【0125】
この例では、
図6Dにおいてライン245Dで示されている第1の圧力レベルが、カフ45Dにおいて得られている。ハウジング12Dへの治療ガスの供給が、ライン250Dで示されている期間にわたって継続されている。t=1において、試験が行われることになる。この試験では、治療ガスが、点255Dで示されているように、一時的に停止される。ライン260Dで示されているように、負の勾配を有する明らかな圧力低下は、カフに漏れが生じていることを示している。従って、カフ圧力が、t=2において、ライン265Dで示されているように、より高いレベルに高められることになる。
【0126】
ライン270Dで示されているような正の勾配を有するハウジング内の対応する圧力上昇は、カフの漏れが大幅に低減または排除されていることを示している。その後、ハウジング内の圧力は、安定化し、平坦なライン271Dで示されているように、一定に保持されている。ハウジング圧力の上昇が、正の勾配を有するライン275Dによって示されている。従って、カフ圧力をライン277Dで示されているように低下させ、治療ガスが、ライン278Dで示されているように、一定状態に戻されることになる。種々の構成が可能である。これらの例示的な関係は、ハウジング内の圧力とカフ内の圧力との間の関係を示すために、および漏れなどに対する調整がいかになされるかを明らかにするために、示されている。これらのステップは、効果的な外傷治癒に必要な治療法に従って反復され、かつ調整されるとよい。
【0127】
本発明の実施形態における装置10Dは、剛性式外傷治療装置または柔軟式外傷治療装置と連携するように、容易に具体化されることが可能である。カフ45Dは、本出願の譲渡人によるシリアル番号
を有する、米国仮特許出願第61/002,085号の優先権を主張する、2008年11月6日に出願された「高気圧外傷治療装置」に開示されているような剛性式装置に関連して、適合され、かつ使用されるようにすることができる。この特許の内容は、参照することによって、ここに含まれるものとする。
【0128】
ここでは本発明を特定の実施形態を参照して説明してきたが、これらの実施形態は、本発明の原理および用途の単なる例示にすぎないことを理解されたい。従って、例示的な実施形態に対して多くの修正がなされてもよいこと、および添付の特許請求の範囲に記載されている本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の構成が考案されてもよいことを理解されたい。
【0129】
以下の番号が付いたパラグラフは、本出願に記載されている実施形態による特徴について述べるものである。
【0130】
[実施形態A]
1.外傷治療装置において、
治療ガスを受け入れるための内部を有している柔軟ハウジング
を備えており、前記ハウジングは、
患者の肢を受け入れるための第1の端と、
アクセスポートを有している、前記第1の端から離れた第2の端と、
前記アクセスポートを封止および開封するためのクランプ機構と、
を備えていることを特徴とする装置。
【0131】
2.前記クランプ機構は、
第1の脚と、
前記第1の脚に連結された第2の脚であって、前記第1の脚に対して旋回可能に移動するように構成されている、第2の脚と、
前記第1の脚および前記第2の脚が取り付けられた基部と、
前記第1の脚および前記第2の脚を一緒に固定するための固定具と、
をさらに備えていることを特徴とする、パラグラフ1に記載の装置。
【0132】
3.前記第2の端は、細長部材を備えており、前記細長部材の周囲に,前記ハウジングの前記第2の端が巻かれるようになっていることを特徴とする、パラグラフ1に記載の装置。
【0133】
4.前記細長部材は、前記アクセスポートが封止状態にあるとき、前記クランプ機構内に封入されていることを特徴とする、パラグラフ3に記載の装置。
【0134】
5.クランプ機構と共に用いられる外傷治療装置において、
肢を封止するように構成された第1の端と、アクセスポートを形成するように構成された第2の端と、を有している柔軟な筐体
を備えており、
前記第2の端は、前記アクセスポートを封止および開封するためのクランプ機構に離脱可能に連結された細長部材に連結されていることを特徴とする装置。
【0135】
6.前記クランプ機構は、
第1の脚と、
前記第1の脚に連結された第2の脚であって、前記第1の脚に対して旋回可能に移動するように構成されている、第2の脚と、
前記第1の脚および前記第2の脚が取り付けられた基部と、
前記第1の脚および前記第2の脚を一緒に固定するための固定具と、
をさらに備えていることを特徴とする、パラグラフ5に記載の装置。
【0136】
7.前記第1の脚および前記第2の脚の少なくとも1つは、前記細長部材を受け入れるための凹みを備えていることを特徴とする、パラグラフ6に記載の装置。
【0137】
8.前記第1の脚および前記第2の脚の少なくとも1つは、治療ガスを前記柔軟な筐体に供給するための流体ライン用のポートを備えていることを特徴とする、パラグラフ6に記載の装置
【0138】
9.前記固定具は、前記柔軟な筐体への治療ガスの流れを停止または開始するスイッチに連結されていることを特徴とする、パラグラフ6に記載の装置。
【0139】
10.外傷治療装置において、
内部を有している柔軟な筐体
を備えており、前記柔軟な筐体は、
肢を封止するように構成された第1の端と、
封止可能および開封可能なアクセスポートを形成している第2の端と、
細長部材であって、該細長部材の周囲に、前記筐体の前記第2の端が連結されており、前記細長部材の前記第2の端は、クランプ機構に離脱可能に連結されるように構成されている、細長部材と、
を備えており、前記クランプ機構は、
第1の脚と、
前記第1の脚に対して移動可能な第2の脚と、
前記細長部材および前記細長部材に連結された前記筐体の前記第2の端を受け入れるために、前記第1の脚および前記第2の脚の少なくとも1つの内面に配置された凹みと、
前記細長部材を間に挟んで前記第1の脚を前記第2の脚に離脱可能に連結するための固定具と、
を備えていることを特徴とする装置。
【0140】
11.前記第1の脚を前記第2の脚を中心として旋回可能に移動させるためのヒンジをさらに備えていることを特徴とする、パラグラフ10に記載の装置。
【0141】
12.前記第1の脚および前記第2の脚が取り付けられた基部をさらに備えていることを特徴とする、パラグラフ10に記載の装置。
【0142】
13.前記柔軟な筐体は、第1のシートおよび第2のシートから構成されていることを特徴とする、パラグラフ10に記載の装置。
【0143】
14.前記第1のシートは、前記第2の端に前記細長部材を備えていることを特徴とする、パラグラフ13に記載の装置。
【0144】
15.前記細長部材は、前記第1のシートに固定して取り付けられていることを特徴とする、パラグラフ13に記載の装置
【0145】
16.前記第1のシートおよび前記第2のシートは、前記細長部材の周囲に巻き付けられていることを特徴とする、パラグラフ13に記載の装置。
【0146】
17.前記第1の脚は、前記細長部材を受け入れるための第1の脚凹みを有していることを特徴とする、パラグラフ10に記載の装置。
【0147】
18.前記第2の脚は、前記細長部材を受け入れるための第2の脚凹みを備えていることを特徴とする、パラグラフ10に記載の装置。
【0148】
19.前記第1の脚および前記第2の脚の少なくとも1つは、治療ガスを前記柔軟な筐体に供給するための流体ライン用のポートを備えていることを特徴とする、パラグラフ10に記載の装置
【0149】
[実施形態B]
1.外傷治療装置において、
患者の肢を受け入れるための第1の開端と、前記第1の開端との間にチャンバを形成している第2の閉端と、を有しているハウジングであって、前記ハウジングの一部は、エチルビニルアセテート熱融着性材料およびポリエチレン熱融着性材料からなる群から選択された第2のポリマー材料によって被覆された第1のポリマー材料から構成されている、ハウジング
を備えていることを特徴とする装置。
【0150】
2.前記ハウジングは、第1のシートを有しており、前記第1のシートは、第2のシートに、前記第1のシートおよび前記第2のシートのそれぞれの縁において、取り付けられていることを特徴とする、パラグラフ1に記載の装置。
【0151】
3.前記第1のシートおよび前記第2のシートの一部は、互いに取り付けられており、複数の膨張性空気通路を前記シート間に形成していることを特徴とする、パラグラフ2に記載の装置。
【0152】
4.前記第1のシートおよび前記第2のシートの一部は、膨張性カフを形成していることを特徴とする、パラグラフ2に記載の装置。
【0153】
5.前記第1の開端に膨張性カフをさらに備えていることを特徴とする、パラグラフ1に記載の装置。
【0154】
6.前記膨張性カフは、予め形成されており、前記第1の開端に取り付けられるようになっていることを特徴とする、パラグラフ4に記載の装置。
【0155】
7.外傷治療装置において、
エチルビニルアセテートによって被覆されたナイロンから形成された壁を有している柔軟ハウジング
を備えており、前記ハウジングは、
第1の閉端と、
肢を封止するための膨張性カフを有している、前記第1の端から離れた第2の端と、
治療ガスを受け入れるために、前記第1の端と前記第2の端との間に配置された治療チャンバと、
をさらに備えていることを特徴とする装置。
【0156】
8.前記柔軟ハウジングは、第1のシートを備えており、前記第1のシートは、第2のシートに、前記第1のシートおよび前記第2のシートのそれぞれの縁において、取り付けられていることを特徴とする、パラグラフ7に記載の装置。
【0157】
9.前記柔軟ハウジングは、膨張性空気通路をさらに備えていることを特徴とする、パラグラフ7に記載の装置。
【0158】
10.前記膨張性カフは、外壁、内壁、および前記内壁を前記外壁に連結している側壁を備えており、これによって、それらの間に膨張性間隙を形成していることを特徴とする、パラグラフ7に記載の装置。
【0159】
11.前記膨張性カフは、前記側壁に隣接する第1の端および前記第1の端から離れた第2の端を備えており、前記第2の端が、前記ハウジングの前記第2の端に取り付けられていることを特徴とする、パラグラフ10に記載の装置。
【0160】
12.外傷治療装置を作製する方法において、
第1のシートおよび前記第1のシートを覆っている第2のシートを設けるステップと、
前記第1のシートおよび前記第2のシートを略円筒形状を有するハウジングに形作るステップであって、前記ハウジングは、第1の端および前記第1の端から離れた第2の端を有している、ステップと、
前記第1のシートおよび前記第2のシートの縁を前記第1のシートおよび前記第2のシートの長手方向縁に沿って封止するステップと、
閉鎖された第1の端を形成するために、前記第1のシートおよび前記第2のシートの前記第1の端を一緒に封止するステップと、
肢を封止するためのカフを前記第2の端に形成するステップと、
を含んでいることを特徴とする方法。
【0161】
13.前記第1のシートおよび前記第2のシートの縁を一緒に封止する前記ステップに先立って、前記シートの熱融着される部分に熱融着性被覆を施すステップが行われることを特徴とする、パラグラフ12に記載の方法。
【0162】
14.前記カフを形成する前記ステップは、膨張性空間が間在している二重壁円筒形状を有する膨張性カフを形成することを含んでいることを特徴とする、パラグラフ12に記載の方法。
【0163】
15.前記膨張性カフをガス源に連結させることをさらに含んでいることを特徴とする、パラグラフ14に記載の方法。
【0164】
16.膨張性空気通路をもたらすために、前記第1のシートおよび前記第2のシートの一部を封止することをさらに含んでいることを特徴とする、パラグラフ12に記載の方法。
【0165】
17.前記熱融着性被覆材は、エチルビニルアセテート熱融着性材料およびポリエチレン熱融着性材料からなる群から選択されるようになっていることを特徴とする、パラグラフ13に記載の方法。
【0166】
外傷治療装置を製造する方法において、
2枚のポリマー材料シートを設けるステップと、
前記2枚のシートを対称軸に沿って折り曲げるステップと、
前記2枚のシートの一部をエチルビニルアセテートおよびポリエチレンからなる群から選択された熱融着性材料によって被覆するステップと、
閉端および開端を有する筐体を形成するために、前記2枚のシートをそれらの周辺の一部に沿って熱融着するステップであって、前記筐体は、前記開端と前記閉端との間に、治療ガスを受け入れるための内部を有している、ステップと、
を含んでいることを特徴とする方法。
【0167】
19.ガス源と流体連通するポートを前記第1のシートおよび前記第2のシートに形成することをさらに含んでいることを特徴とする、パラグラフ18に記載の方法。
【0168】
20.前記第1のシートおよび前記第2のシートを一緒に封止する前記ステップは、熱融着または高周波溶接を含んでいることを特徴とする、パラグラフ18に記載の方法。
【0169】
21.前記第1のシートおよび前記第2のシートは、単一の折り重ねシートから形成されていることを特徴とする、パラグラフ18に記載の方法。
【0170】
[実施形態C]
1.外傷治療装置において、
閉端および肢を封止するように構成された開端を有しているハウジングと、
前記肢を封止するように構成された仕切りカフによって前記ハウジング内において互いに分離された少なくとも2つの区間と、
を備えていることを特徴とする装置。
【0171】
2.前記区間は、前記肢の治療に個別に適応するための内部空間を有していることを特徴とする、パラグラフ1に記載の装置。
【0172】
3.前記仕切りカフは、膨張ガスを受け入れるための膨張性空間を備えていることを特徴とする、パラグラフ1に記載の装置。
【0173】
4.前記仕切りカフは、ガス源と連通するための弁を備えていることを特徴とする、パラグラフ1に記載の装置。
【0174】
5.前記仕切りカフは、第1の開口を有する第1の環状壁と、第2の開口を有する第2の環状壁と、前記第1の開口および前記第2の開口に隣接して、前記第1の環状壁および前記第2の環状壁を一緒に連結している側壁と、を備えていることを特徴とする、パラグラフ1に記載の装置。
【0175】
6.前記第1の環状壁および前記第2の環状壁の厚みは、前記側壁の厚みよりも大きくなっていることを特徴とする、パラグラフ5に記載の装置。
【0176】
7.前記側壁は、患者の肢に対してシールを形成するように構成されていることを特徴とする、パラグラフ5に記載の装置。
【0177】
8.外傷治療装置において、
閉端および肢を封止するように構成された開端を有しているハウジングと、
前記肢を封止するように構成された複数の膨張性仕切りカフによって前記ハウジング内において互いに分割された複数の個別の区間であって、前記膨張性仕切りカフの各々は、膨張のための弁に連結されている、複数の個別の区間と、
を備えていることを特徴とする装置。
【0178】
9.前記複数の区画の各々は、治療ガス源に個別に連通していることを特徴とする、パラグラフ8に記載の装置。
【0179】
10.前記複数の膨張性仕切りカフの各々は、膨張ガス源に個別に流体連通していることを特徴とする、パラグラフ8に記載の装置。
【0180】
11.前記仕切りカフは、第1の開口を有する第1の環状壁と、第2の開口を有する第2の環状壁と、前記第1の開口および前記第2の開口に隣接して、前記第1の環状壁および前記第2の環状壁を一緒に連結している側壁と、を備えていることを特徴とする、パラグラフ7に記載の装置。
【0181】
12.前記第1の環状壁および前記第2の環状壁の厚みは、前記側壁の厚みよりも大きくなっていることを特徴とする、パラグラフ11に記載の装置。
【0182】
13.外傷治療装置において、
閉端および肢を封止するように構成された開端を有しているハウジングと、
肢を受け入れるための開口を有している膨張性仕切りカフによって互いに分離された少なくとも2つの区画であって、前記ハウジングは、高気圧ガス治療、順次圧迫治療、および減圧治療から選択された少なくとも1つの治療用に構成されている、少なくとも2つの区画と、
を備えていることを特徴とする装置。
【0183】
14.前記ハウジング内に配置された取外し可能な部分を有している吸収性ライナーをさらに備えていることを特徴とする、パラグラフ13に記載の装置。
【0184】
15.前記膨張性仕切りカフは、前記膨張性仕切りカフを膨張させるために、ガスを供給する入口弁をさらに備えていることを特徴とする、パラグラフ13に記載の装置。
【0185】
16.前記ハウジングは、治療ガスを前記区間の少なくとも1つに供給するための入口弁を備えていることを特徴とする、パラグラフ13に記載の装置。
【0186】
17.前記ハウジングは、前記区画の内部に対して治療ガスを供給および除去するための複数の弁を備えていることを特徴とする、パラグラフ13に記載の装置。
【0187】
18.前記仕切りカフは、第1の開口を有する第1の環状壁と、第2の開口を有する第2の環状壁と、前記第1の開口および前記第2の開口に隣接して、前記第1の環状壁および前記第2の環状壁を一緒に連結している側壁と、を備えていることを特徴とする、パラグラフ13に記載の装置。
【0188】
19.前記第1の環状壁および前記第2の環状壁の厚みは、前記側壁の厚みよりも大きくなっていることを特徴とする、パラグラフ18に記載の装置。
【0189】
20.前記側壁は、患者の肢に対してシールを形成するように構成されていることを特徴とする、パラグラフ18に記載の装置。
【0190】
[実施形態D]
1.外傷治療装置において、
患者の肢を該肢に供給されるガスによって治療するためのハウジングと、
前記ハウジング内の圧力を測定するためのハウジング圧力センサと、
前記患者の肢に対して前記ハウジングを封止するための膨張性カフであって、カフガス入口弁およびカフガス出口弁を備えている、膨張性カフと、
前記カフガス入口弁および前記カフガス出口弁を開閉するための制御装置であって、前記ハウジング圧力センサによって測定されたハウジング圧力の測定値に基づいて、前記カフ内へのガスの供給を調整し、カフ圧力を制御するようになっている、制御装置と、
を備えていることを特徴とする装置。
【0191】
2.前記カフガス入口弁は、ガス源に流体連通していることを特徴とする、パラグラフ1に記載の装置。
【0192】
3.前記装置ハウジングは、剛性であることを特徴とする、パラグラフ1に記載の装置。
【0193】
4.前記装置ハウジングは、柔軟であることを特徴とする、パラグラフ1に記載の装置。
【0194】
5.外傷治療装置において、
患者の肢を該肢に供給されるガスによって治療するためのハウジングと、
前記患者の肢に対して前記ハウジングを封止するための膨張性カフと、
前記ハウジング内のガス圧力に応じて、前記カフを膨張または収縮させることによって,カフ圧力を制御するための制御装置と、
を備えていることを特徴とする装置。
【0195】
6.前記カフは、膨張ガス源と流体連通するための第1の弁を備えていることを特徴とする、パラグラフ5に記載の装置。
【0196】
7.前記カフは、前記カフからガスを放出するための第2の弁を備えていることを特徴とする、パラグラフ5に記載の装置。
【0197】
8.前記ハウジングは、前記制御装置に連結されたハウジング圧力センサを備えていることを特徴とする、パラグラフ5に記載の装置。
【0198】
9.前記カフは、前記制御装置に連結されたカフ圧力センサを備えていることを特徴とする、パラグラフ5に記載の装置。
【0199】
10.外傷治療装置において、
内部を有しているハウジングと、
前記内部の圧力を測定するための内部圧力センサと、
前記ハウジングの前記内部内において肢を封止するための膨張性カフであって、膨張ガス源に流体連通しているカフ弁および前記カフ内のガス圧力を測定するためのカフ圧力センサを有している、膨張性カフと、
前記内部圧力センサに対応する前記カフ弁の操作によって、前記カフ内の圧力を制御するための制御システムと、
を備えていることを特徴とする装置。
【0200】
11.前記カフは、前記カフからガスを放出するための第2のカフ弁をさらに備えていることを特徴とする、パラグラフ10に記載の装置。
【0201】
12.前記ハウジングは、剛性であることを特徴とする、パラグラフ10に記載の装置。
【0202】
13.前記膨張性カフは、前記ハウジング内に全体的または部分的に配置されていることを特徴とする、パラグラフ12に記載の装置。
【0203】
14.前記カフは、前記ハウジングの外部に配置されていることを特徴とする、パラグラフ12に記載の装置。
【0204】
15.前記ハウジングは、柔軟であることを特徴とする、パラグラフ10に記載の装置。
【0205】
16.前記膨張性カフは、前記ハウジング内に全体的または部分的に配置されていることを特徴とする、パラグラフ15に記載の装置。
【0206】
17.前記カフは、前記ハウジングの外部に配置されていることを特徴とする、パラグラフ15に記載の装置。
【0207】
18.前記制御システムは、マイクロプロセッサを備えていることを特徴とする、パラグラフ10に記載の装置。
【0208】
19.外傷治療装置内において、患者の肢の周囲にシールをもたらすための方法において、
前記患者の肢の周囲のカフシールを第1の圧力に膨張させるステップと、
前記装置内のガス圧力を監視するステップと、
前記装置内の前記ガス圧力に応じて、前記カフシール内の前記ガス圧力を制御するステップと、
を含んでいることを特徴とする方法。
【0209】
20.前記装置および前記カフ内の内部圧力センサの測定値を得ることをさらに含んでいることを特徴とする、パラグラフ19に記載の方法。
【0210】
21.前記装置内の圧力損失を測定したとき、前記カフ圧力を第2の高圧力に増大させることをさらに含んでいることを特徴とする、パラグラフ19に記載の方法。
【0211】
22.前記カフ圧力の増大は、カフ入口弁を介する前記カフへのガスの供給を増大させることを含んでいることを特徴とする、パラグラフ21に記載の方法。
【0212】
23.前記装置内の圧力上昇を測定したとき、前記カフ圧力を第2の低圧力に低下させることをさらに含んでいることを特徴とする、パラグラフ19に記載の方法。
【0213】
24.前記カフ圧力の低下は、カフ出入口弁を介して前記カフからガスを排気させることを含んでいることを特徴とする、パラグラフ23に記載の方法。
【0214】
25.前記監視するステップは、装置圧力センサの測定値を得ることを含んでいることを特徴とする、パラグラフ19に記載の方法。